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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  ゴースト/ニューヨークの幻 《ネタバレ》 
私がもっとも苦手としている「泣けるラブストーリー」として宣伝されていた上に、『ニューヨークの幻』という甘さ5割増しの邦題により敬遠してきた作品であり、これだけの大ヒット作ながら今の今まで見たことがなかったのですが、もうすぐAmazonプライムの無料配信が終わるということで「タダのうちに見ておくか」と鑑賞しました。 そしたらなんと良かったんですよ。決してラブストーリーに寄りすぎておらず、ドラマ・ミステリー・コメディがバランスよくブレンドされた作品であり、アイデアも豊富で非常によくできた作品だと思いました。早く言ってよぉって感じです。 オスカーを受賞した本作の脚本を書いたのはブルース・ジョエル・ルーベンであり、この人は人が死ぬ話ばかりを書く変わった脚本家なのですが、それだけこだわりを持っているジャンルだけあって本作には意表を突くようなアイデアがいくつもありました。幽霊って生身の人間よりも優位な存在として描かれることがほとんどなのですが、本作では声を伝えることも目の前のものを動かすこともできない非力な存在であるという逆転の発想で描かれています。かなり変わった切り口ではあるものの、幽霊という存在を突き詰めると本作の描写の方が理にかなっており、なかなかよく考えられているなぁと感心させられました。さらには、非力で為す術がなかった主人公が徐々に形勢を逆転させ、最終的には自らの死の黒幕を追い込む様には大変なカタルシスが宿っており、特異な設定と物語が見事に絡み合った上質な脚本となっています。 監督はジェリー・ザッカー。『フライング・ハイ』を監督したり『裸の銃を持つ男』シリーズの脚本を書いたりしてきた人物なのですが、これらの作品はすべての映画の中でももっともコテコテな部類に入るコメディであり、ドラマ要素や風刺要素が一切入ることなく、くだらない笑いを大量投下することで90分程度の上映時間を満たしているという作風に特徴がありました。そんな映画ばかり撮ってきた人物が突如として真面目な映画を手掛け、途中でふざけたりすることもなく安定的な演出力を披露していることにはかなりの意外性がありました。一応、ウーピー・ゴールドバーグが出てくるところだけは笑えるのですが、その笑いも従前の作品とは異質なタイプの笑いであり、そのキャリアで磨いてきたスキルをほとんど使わずに笑いを取りに行っているという監督の引き出しの多さには感心させられました。なお、本作の翌年に製作と脚本を担当した『裸の銃を持つ男PART2 1/2』では早速本作をパロディにしており、オリジナルとパロディの両方で儲けるという卒のなさには二重の意味で笑わされました。 主要登場人物4名の中でもっとも目立っているのはウーピー・ゴールドバーグであり、彼女のオスカー受賞は順当な評価だったと言えます。また、公開当時に全世界が惚れたデミ・ムーアの魅力は圧巻のレベルで、こんな彼女がいたら心配で成仏できないだろうなぁという作劇上の説得力にも繋がっています。そんなウーピーとデミが本作公開後にはハリウッドトップクラスのギャラを得るスターにランクアップした一方で男優陣は伸び悩んだという世評が示している通り、男優2名はパっとしません。そもそもパトリック・スウェイジの起用に監督は賛成しておらず、ハリウッドの名だたるスター達にことごとく出演オファーを断られた後にスウェイジに落ち着いたという経緯があるのですが、スウェイジは本作の顔を演じるには華に欠けたという印象です。また、憎まれ役を演じたトニー・ゴールドウィンには妙な小粒感がありました。監督はカール役にはビッグネームが欲しいと考えていたものの、こちらも意図した俳優を押さえられなかったための配役だったようです。
[インターネット(字幕)] 8点(2018-06-22 22:28:32)(良:1票)
2.  GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 《ネタバレ》 
Windows95が発売されてようやく一般にもインターネット普及の土壌ができたばかりだった1995年の段階で、すでに電脳や情報の海をテーマにしたという先見性。また、舞台となる未来都市の作り込みの凄さや、リアリティと荒唐無稽の間で絶妙なバランスを維持するアクションなど、すべてがハイレベルで時代に囚われない普遍性を持つ作品だと言えます。スカヨハ版の鑑賞にあたって十数年ぶりに鑑賞したのですが、インターネットが当然のインフラとして定着した現在の目で見る方がよりしっくりと来て、以前に見た時よりも印象はさらに良くなっていました。とにかく凄い映画だと思います。 本作のタイトルには「抜け殻(シェル)に魂(ゴースト)は宿るのか」というテーマが集約されています。脳や脊髄を除く全身が義体化された主人公・素子は、「自分は作られた記憶を信じ込まされているニセモノではないのか」「ほぼ全身が義体である自分を人間と言えるのか」との不安を抱き続けています。しかしクライマックスで100%電脳である人形使いと接触し、その魂が生身の人間のそれと何ら変わらないものであると知ることで有機か無機かという器へのこだわりが無意味だったことを悟り、新たな電脳生命体へ進化する道を選択します。これぞサイバーパンクです。 他方で、テーマがよりはっきりと見えるようになった分、構成のまずさも見えるようになりました。実存主義を説く素子の物語が横軸だとすれば、人形使いを追う中で巨大な陰謀に巻き込まれていく9課の物語は縦軸だと言えますが、9課の物語が無駄にややこしくて観客に要らん脳を使わせているし、本来は盛り上がるべき部分に勢いがなかったりと、娯楽作としてはやや失敗しているのです。ひたすらしかめっ面をするのではなく、バカバカしくも面白い部分があれば、より素晴らしくなったと思うのですが。 この点、評判の良くないスカヨハ版は娯楽部分のまとまりが良く、本作の欠点がうまく補完された作品だと評価できます。本作を見ればスカヨハ版の良さが分かるし、スカヨハ版を見れば本作がいかに深いことを語っていたかが分かる。ニコイチで見ることで双方の味わいがより深くなるという、なかなか面白いコンビだと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2018-01-27 02:28:55)(良:1票)
3.  ゴールデンボーイ(1998) 《ネタバレ》 
ブライアン・シンガーが『ユージュアル・サスペクツ』の次回作として製作した作品であり、主演は当時人気絶頂だったブラッド・レンフロ、おまけにスティーブン・キング原作と話題性には事欠かない企画だったのですが、シャワールームの撮影においてヌードの強要があったとのことでエキストラの少年数人から訴訟を起こされて、完成後1年以上も作品を上映できない期間が発生し、すっかり熱の冷めた状態でロクな宣伝もないまま公開されたために興行的には惨敗。結果、ブライアン・シンガー監督作中においてもっとも注目度の低い作品となっているのですが、これがなかなか見ごたえがありました。 作品では、少年が悪に飲まれていく様がじっくり描かれるのですが、元ナチの老人にも一定程度感情移入の余地を作っており、その結果、悪とは誰にでも根付くものであるという含みを持たせている点が見事でした。並みの監督であれば元ナチは純粋悪として描くしかないところですが、シンガーには自身がユダヤ人であるという強みがあるため、この辺りに創作上の自由を持つという優位性があったのではないでしょうか。なお、シンガーは後に手掛ける『ワルキューレ』においてもナチの様式美等をじっくりと描いており、彼はユダヤ人カードを結構有効に使っています。 圧巻なのがブラッド・レンフロとイアン・マッケランの演技合戦なのですが、撮影当時14歳だったブラッド・レンフロが30年超のキャリアを誇るイアン・マッケランと互角に渡り合い、時に圧倒している点には驚かされました。本作を見るに、ルックスも演技力もあったレンフロならば後に大スターに成長することもできたはずなのに、私生活の乱れから代表作を残すことができず、わずか25歳で命を落としたことは残念で仕方ありません。 作品中で良くなかった点は、入院したドゥサンダーの隣のベッドにはかつての彼の被害者が入院しており、その被害者に正体を見破られるという後半の転換点があまりに強引すぎたこと。どんな凄い偶然だよとツッコミを入れてしまいました。トッドとドゥサンダーがやってきたことの結果としてドゥサンダーの正体が暴かれるという因果にまみれた展開とした方が、内容的にはしっくりくるのですが。
[インターネット(吹替)] 7点(2017-08-19 03:14:51)
4.  コン・エアー
90年代を代表するバカアクション超大作。長年のパートナーだったドン・シンプソンと死別後、ジェリー・ブラッカイマーが単独で仕切ることとなった初の大作であり、本作はブラッカイマーにとってキャリアの分岐点となった作品でもあります。『クリムゾン・タイド』や『ザ・ロック』の頃にはまだ企画力で勝負しようという姿勢のあったブラッカイマーですが、本作以降は完全にB級バカ街道を突っ走ることとなるのです。。。 とはいえ、B級路線であってもマジメに仕事をすることがブラッカイマーのエライところで、基本設定のバカさ加減を除けば、意外なほど丁寧に作られている映画でもあります。この手の映画にありがちなご都合主義(なぜか現場に居合わせる主人公、戦いが終わったところで都合よく駆けつける警官隊etc…)がほとんどなく、すべてのイベントについては事前に理由付けがなされています。登場人物は多いものの埋没したキャラはおらず、全員にきちんとした個性が与えられている点でも感心しました。VFXの完成度は非常に高く、現在の目で見てもアラがほとんど見当たりません。同時期に製作された『エグゼクティブ・デシジョン』や『エアフォース・ワン』にミニチュアやCG丸出しの場面が散見されたことを考えると、このクォリティは驚異的だと思います。キャスティングはかなりの邪道で、ジョン・キューザックを除けばブサイクなおっさんばかり。当時のニコラス・ケイジは大作に主演するクラスの俳優ではなかったし、コンエアーに乗り込む唯一の女性はヒスパニック系の微妙なおばさん。普通の映画であれば、このふたつの役柄くらいは美男美女で固めてくるところなのですが、そういった王道は完全に外してきているのです。そして、こんなにもヘンテコなキャスティングで映画を成功させたわけですから、ヒットメーカーとしてのブラッカイマーの勘の良さは相当なものだと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2012-11-10 15:36:54)(良:2票)
5.  氷の微笑 《ネタバレ》 
中学時代に見た時にはエロしか印象に残らず、どんな話だったかはまるで覚えていなかったのですが、あらためて見るとかなり面白い映画でした。史上最高額で落札されたという脚本の出来はさすがのもので、前半は完全にノーマークだったジーン・トリプルホーンが後半にキーパーソンとなってくるという構成は、サスペンス映画としてなかなか巧いのではないでしょうか。キャサリン・トラメルという強烈な人物はよく作り込まれているし、これに対するニック・カラン刑事も一筋縄ではいかない人物像で、魅力的なキャラクターに溢れています。さらに、この脚本を引き受けたのがポール・バーホーベンであったことも幸運でした。この映画の要は言うまでもなくキャサリン・トラメルですが、このエキセントリックな人物を描き切るのは並みの監督では難しいところだと思います。「訳の分からん魅力を放つ悪人」を描ける監督というのはそう多くありません。そこにきて、バーホーベンは当時無名に等しかったシャロン・ストーンを見つけ出し、キャサリンという人物を完全に作り上げてしまったのだから驚異的な仕事をしたと言えます。シャロン・ストーンの後の出演作を見ても彼女の強烈な個性を活かせている作品は本作が唯一であり、バーホーベンの監督としてのカンや手腕は大いに評価すべきでしょう。さらに、その相手役に演技の出来る大スター、マイケル・ダグラスを持ってくるという卒のないキャスティングも絶妙です。ストーリーテリングも巧いもので、前半でキャサリンの怪しい魅力をじっくりと見せつつ、後半謎解きが急展開を迎える辺りからはアクション映画並みのテンションを作ってくるという緩急の付け方は本当に手慣れています。エロ以外にも見るべきところの多い作品だと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2010-05-25 20:52:30)
6.  コップランド 《ネタバレ》 
公開当時にも鑑賞したのですが、その際には、他の出演者の演技力と釣り合っていないことや、そもそも弱い男には見えないことから、本作におけるスタローンはミスキャストだと思いました。しかし、現在になって作品を再見すると印象も随分と変わるもので、これはこれでなかなか良いキャスティングだなと納得できました。演技派として名高い俳優の中に、むしろ大根役者として知られるスタローンを放り込んだこと自体が、彼が演じるフレディというキャラクターの立場を表現しているようです。。。 警官が多く住んでおり、犯罪が起こりようのない街、コップランド。その治安を守る保安官はそこにいるだけの存在であり、住民の警察官達からは見下されています。不慣れな社会派サスペンス映画において木偶の棒となり、終始、周りの演技派俳優達に圧倒されまくるスタローンは、警察官に囲まれてバカ扱いされるフレディと同じ立ち位置にあるのです。デ・ニーロやリオッタから早口で煽られても、それに言い返すことのできないフレディの姿は、俳優として行き詰まりはじめていた当時のスタローンと重なります。。。 そんなスタローンが、ラストでは得意の銃を握り締め、彼をさんざんバカにしてきた演技派俳優達をブチ殺しにいきます。ここに来ると映画は完全に西部劇の雰囲気となり、監督もノリノリ。「俺の特技はこれなんだ!覚えとけ!」と言わんばかりにスタローンがショットガンをぶっ放す場面では、拍手喝采したくなるほどのカタルシスが得られました。レイ・リオッタの参戦にも燃えた。社会派サスペンスはどうなってしまったんだという点はこの際置いといて、これはこれで良しとしましょう。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-09-20 01:19:56)
7.  ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 
老いたマイケルの物語と、ファミリーの子供たちの物語を同時に見せるという構成は第一作を踏襲したものであり、第一作でファミリーを継いだマイケルが、今度は後進を育成する側に回るという点がなかなか興味深かったのですが、残念なことに彼とヴィンセントの間のドラマはうまく流れていません。ヴィンセントは、登場場面こそ父親ソニー譲りの狂犬ぶりを見せて「こいつはちゃんとしつけねば」と観客を大いに不安にさせるものの、その後はさほどの暴れっぷりを見せることもなく、気が付けば三代目ドンの座に納まっているのだから、そこに感動も何もないのです。演じるアンディ・ガルシアの力量にも問題があって、第一作のアル・パチーノはドラマの進行とともに表情がどんどん変わっていき、普通の青年から大ファミリーを束ねるドンへの変貌ぶりをきちんと体現できていたのに対して、ガルシアには最初から最後までこれといった変化が見られませんでした。 1979年に発生したローマ法王暗殺疑惑をそのまま当てはめた本作の展開は、スケールが大きすぎて逆にピンとこなかったし、敵がまったくキャラ立ちしていないために、マイケルが一体誰と戦っているのかすら見失いそうになりました。芸術面でも娯楽面でも前2作からかなり後退したと言わざるをえません。 唯一興味深く感じたのはラストであり、一時は世界の権力中枢に迫るほどの勢いを持っていたマイケルがたった一人で亡くなる様は、孫との戯れの中で亡くなったヴィトーの最期と好対照をなしており、マイケルが最後の最後まで孤独な人間であったことを浮き彫りにしています。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2017-03-18 02:49:31)
8.  GONIN 《ネタバレ》 
90年代は日本映画が海外で賞を獲りまくる一方で観客がまるで入らず、良くも悪くも映像作家達が野放しにされていた時代なのですが、そんな時代を象徴する作品のひとつが本作です。豪華キャストを投入した全国公開作品でありながら作りは驚くほど粗削り。石井隆作品らしく印象的な場面が多くて映画全体にパワーと勢いが溢れている反面、監督が興味を示さないパートについてはかなり強引な省略がなされており、唐突な展開が目立ちます。 例えば、根津甚八演じる氷頭と家族の関係。中盤にてヒットマンに家族を殺されたことから氷頭はヤクザに対して弔い合戦を挑むこととなるのですが、その前段階において家族と氷頭との関係性を見せる描写がほとんどないために感情的な盛り上がりを逃しています。それどころか、家族が殺された瞬間にも氷頭は何らの感情も表さず、仲間と合流した後にも家族の死という重大事件に一切言及しないことから、見ている私は「あれ?家族は無事だったの?さっき殺されたのは家族以外の別人だったっけ?」と混乱してしまいました。通常の映画文法ならば当然あるべき描写が足りていないため、本来は簡単なはずの話がひどく分かりづらくなっています。 また、この頃の邦画は録音が悪いのかセリフが聞き取りづらい点もマイナスでした。せっかく素晴らしいバイオレンス描写があるのに、説明不足なお話と聞き取りづらいセリフのせいで興が削がれたことは残念でした。
[インターネット(字幕)] 5点(2016-10-25 17:44:27)
9.  GODZILLA ゴジラ(1998)
よく言われることですが、日本人の描く怪獣は人間では対抗することのできない神に等しい存在で、一方ハリウッドのモンスターはやがて人間の力によって命を奪われてしまう存在。これをはじめて見た時は、ヘリや潜水艦からの攻撃、果ては歩兵の撃つ自動小銃からも逃げているゴジラの姿が印象的でした。最近公開された「クローバーフィールド」は日本の怪獣映画を参考にして作られたと言われますが、結局あれも軍隊の力でモンスターに対抗していたので、やはり怪獣の捉え方は日本独特のものだと思います。そんな特殊な文化的背景を持つ「ゴジラ」の製作ですから、エメリッヒも相当苦労したと思います。例えばゴジラの出自ひとつとってみても、不思議なことに日本人はあれが一体何者なのかということに説明を求めません。ゴジラが水爆実験によって復活した太古の恐竜という設定を知らない人は意外と多いのではないでしょうか?キングギドラの基本設定がコロコロ変わったり、最後のつがいが死んで絶滅したはずのラドンが次作に登場したり、ゴジラに息子がいたりしても何となく受け入れてきたのも、やはり「怪獣は人智の及ばない存在」という捉え方から来ているのだと思いますが、ハリウッドで映画化するとなればそれなりに納得できる説明が必要となります。批判の多い巨大イグアナという設定にしても、さすがに太古の恐竜という話を世界マーケットでそのまま押し通せるものでもないので、あれはあれで仕方のない方便だったと思います。そんな難しい映画化でしたが、前半は非常に巧く作られていて感心します。主人公が局地的な異変を辿りながらゴジラの存在に行きつく展開はこれまで製作されたどの続編よりも1954年版に忠実で、かつ退屈になりがちな序盤の前振りをここまで面白く撮っているのはさすがです。ミミズの突然変異を研究してる学者、テレビ局に勤める野心家の元カノ、愛妻家のカメラマン、保険調査員と称して事故現場に現れるフランス諜報部員と、普通ではちょっと思いつかない登場人物を配置してるのも面白く、かなりよく考えて作られた映画だと思います。ただしエメリッヒ作品毎度のことですが後半になるにつれ演出がグダグダになっていくし、ゴジラが軍隊から逃げ回るという同じような見せ場を何度も見せられたのでは飽きてくるし、せっかくの登場人物を活かしきれていないしと、明らかな問題点も指摘できるので、ここは5点という評価で。
[DVD(吹替)] 5点(2008-06-22 03:51:00)(良:2票)
10.  ゴースト&ダークネス
精悍なヴァル・キルマーはヤバイくらいにかっこいいし(本作でラジー賞にノミネートとかウソでしょ?)、エキセントリックなハンター役のマイケル・ダグラスもハマっています。アフリカの大自然や橋梁建設場面のスペクタクルを捉えるヴィルモス・ジグモンドによる撮影、ジェリー・ゴールドスミスによる音楽も素晴らしく、この映画なかなか弾は揃っています。しかし、監督の無能によってこれらすべてが台無しに。この企画には並外れた演出力が必要であり、スティーブン・ホプキンスのような凡庸な監督には荷が重すぎました。見せ場における緊張感のなさは異常であり、作品のハイライトであるハントシーンよりも、つなぎのドラマパートの方が面白いというあんまりな状態となっています。技術的な制約によりタイトルロールである「ゴースト」と「ダークネス」の全身像をほとんど写せなかったというハンデは確かにあったのですが、写せないことを逆手にとって動物を動物以上のモンスターとして見せた「ジョーズ」という先例があるのですから、演出にはもっと頑張って欲しいところでした。
[レーザーディスク(字幕)] 3点(2011-01-17 21:38:20)
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