1. E.T.
意外だったのは、とても「暗い」作品であること。冒頭から夜の屋外のシーンが続くし、家の中でも灯りがついている場面はあまりない。E.T.を追ってくる集団は、意図的なくらいに顔を見せなくしている。この辺が、押し入れの奥でも洞窟に見えるみたいな子供視点からの冒険心を確保し、作品に落ち着きを与えているし、ワーワー騒ぐだけのSFファミリー作とは一線を画している。一方で、E.T.自身の生態や能力といった点については、あまり作り込みがされていないのが難点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-03 01:55:36) |
2. 生きてみたいもう一度 新宿バス放火事件
《ネタバレ》 実在の事件を対象とするにふさわしく、導入部から中盤までは、カメラは地道に事実を追い続ける。決して役者に感情をあふれさせることなく、治療のディテールや実際の記事なども織り交ぜながら、救済を求める主人公の姿を浮かび上がらせている。だからこそにじみ出る緊迫感。●しかし、中盤から話は大幅に愛人との関係にシフトしてしまい、結局、放火事件も受傷も添え物扱いになってしまっている。あの前半から、何でこの後半になるかなあ・・・。芦原温泉のシークエンスなんて、残らずいらないんじゃない?それよりも、主人公の被告人に向けた心理の変化であるとか、法廷や裁判の進行であるとかを、なぜもっと描いてくれないのか?●ただし、全体の中で、ここだけは語り継がれないといけない衝撃的なシーンがあって、1つは、自宅と拘置所前で放送局のインタビューに答えるところ。この主人公のコメントは実に奥が深いし、現在にも通じる普遍性を有している(もっとも、かりに今、事件関係者がこのようなコメントを出しても、マスコミで報道されることはないだろう。こういった内容に基づいて番組を構成する力が、マスコミには存在しないからだ)。もう1つは、中盤の手紙の朗読にあわせて実名入り(一部仮名)で再現される、事件発生直前のバス内の様子。「こういう人がこのようにここにいた」という当たり前の事実こそが、何よりも重い。 [DVD(邦画)] 6点(2016-04-12 02:06:18) |
3. いつの日かこの愛を
《ネタバレ》 密輸事件とそれにかかわる殺人事件というのが序盤で提示されて、真面目なサスペンスっぽい雰囲気が漂っているのだが、いつの間にかその辺は本筋ではなくなっていく(笑)。つまり、前後の作品同様、チョウ・ユンファとチェリー・チャンの奥床しい慕情を楽しむ作品です。それにしてもチェリー・チャンという人は、どのシーンでちょろっと出てきただけでも、画面に手を突っ込んで抱きしめてあげたくなるほどの生々しい美しさがあります。それだけでもこの作品は十分です。邦題は全然違うと思うけどね・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2015-09-19 20:03:09) |
4. 居酒屋兆治
説明台詞ばかりの脚本にまずげんなりするが、それぞれの登場人物も、何を表現するために出てきているのか全然はっきりしない。キャラクターの骨格が定められていないので、演者の芝居もすべて上滑りしてしまっている。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2013-01-03 23:24:44) |
5. インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
要するに「驚かせるためだけのシーン」を最初から最後まで連ねているだけであって、それはすでに映画ではない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-12-20 02:27:07) |
6. 異人たちとの夏
《ネタバレ》 両親の方の描き方自体は秀逸で、特に幽霊であることをあえて強調していないのがいい。ただ、そこで掘り下げが止まってしまったのが残念。永島敏行をどうしてもっと使わなかったの? [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-07-27 23:30:01)(良:1票) |
7. イマジン/ジョン・レノン
《ネタバレ》 もともとあらゆる意味でドラマチックな激動の人生を歩んだ人であるだけに、そのまま映像を並べるだけでも十分面白い内容になってしまう。思想や創造の背景にまで踏み込んでいるとは言い難いが、基本的なところは押さえられている。内容的には、ベッドインの状況がきちんと伝えられていたところと、オノ・ヨーコがいかに精神的支柱になっていたかというところが興味深かった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-12-14 23:44:20) |
8. いつか誰かが殺される
《ネタバレ》 冒頭の、いかにもなお屋敷でなされる変な人たちばかりの大家族の食事会は、ミステリーの基本という感じで大いに期待させるのですが、終わってみたら全然本筋と関係ないじゃん!いや、これはもうほとんど詐欺のレベルです。それ以外でも、父のさりげない失踪とか、キーアイテムのディスクとか、謎の要素はそれなりに撒いているのに、後半はその処理を全部捨て去ってC級ラブロマンスに走っちゃってます。参りました。渡辺典子が"Summertime"を歌うシーンはなかなか格好良くて意外な見所だったので、点数はそこに対して。 [DVD(邦画)] 3点(2008-01-08 01:41:11) |
9. インナースペース
80'sコメディってこんな感じなんですよねー。笑いが暖かくて、ちょっとキザで、テンポは速くも遅くもなくて、うるさくなくて。安心して見られます。敵側とかカウボーイとかがもうちょっと笑わせてくれたら、もっとよかったのですが。 [DVD(字幕)] 6点(2007-11-19 22:19:53) |
10. 彩り河
《ネタバレ》 もともと、主題のはっきりしない話ではあるのだが、全体を見通しても、やっぱり何が言いたいのかはよく分からない。主人公の背景はかなり適当だし(言葉で説明されているだけ)、いろいろな登場人物がいるわりには事件の発生経緯はありがちだし、二人が結びつく過程も不明確である。それと、平幹二朗と夏八木勲の配役は、どうみても逆であるべきだったと思うけどな・・・。真田広之の若々しさに4点、今ではすっかりいい人になってしまった石橋蓮司の毒々しい不気味さに1点。 [DVD(邦画)] 5点(2007-07-25 00:53:55) |
11. インドへの道
《ネタバレ》 異国情緒への表面上の憧れだけでできてしまったような作品です。インドを舞台としていながらインド人はほとんど進行に絡んでこないし、数少ない接点であるアジズ医師にしても、その描写はかなり西欧人的です。そもそも、最初の方はどうみてもアデラよりもモア夫人の方が主役みたいだし、終盤は完全にアジズ医師が主役に成り代わってしまっていて、視点の大きなブレも気になります。160分強という尺も長すぎ。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-06 03:13:44) |
12. 愛しのロクサーヌ
《ネタバレ》 古き良き80'sラブコメ、なはずなんだが、展開に工夫がなく、それぞれのシーンもありきたりなので、さほど印象に残らない。もっと馬鹿馬鹿しく盛り上げてこそ、ダリル・ハンナの美しさとラストの幸福感が強調されたはずです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-05-14 23:40:48) |
13. イーストウィックの魔女たち
これだけ綺麗どころを集めておいて、何もこんなに下らない話を作らなくても・・・。ミシェル・ファイファー様に免じて+1点。 4点(2004-10-19 00:27:16) |
14. インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
映像と音響効果で何とか見せきっていますが、ストーリーはほとんど破綻しています、というかはじめから存在していません。完全に子供向けですね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2004-08-02 03:14:32) |
15. いまを生きる
《ネタバレ》 キーティングは、生徒に何を強制しているわけでもない。彼がしていることは、生徒の内面とか、素養とか、情熱とか、方向性を引き出すこと。もっといえば、それを自分自身で確立することの重要性を自覚させること。だから、父親の命令にすべてイエスと言い続けてきたニールは、いざというときに「自分がしたいこと」が存在しないことに決定的に気づいてしまい、必然的に死を選ばざるをえなかった。見えなければ、模索を続けたまま青年期を終えることもできるのですが、先々まで走りすぎてしまったが故の悲劇です。そして、事の責任をとったキーティングは、自分の指導理念や技術にもまだ不足点があったという、ある意味では新たな道(目標)を見つけたからこそ、何も言わずに去ったのではないかと思います。そんなことも今頃になって分かってきました。また、今になって見ると、自分の中のニールは、トッドは、キャメロンは・・・といったことも考えてしまう作品でもあります。 [DVD(字幕)] 7点(2004-04-10 03:46:54)(良:2票) |
16. 1969
終盤近くまで、演出がわざとらしい部分が気になってあまり真剣に見ていなかったのだが、葬儀の場面以降は実に素晴らしかった。あの素朴な疑問と決意、そして行動こそが、プロテスト・アクションの原点であり、すべてである。アメリカが何の学習も進歩もなく侵略行動を繰り返し、日本が露骨かつ厚顔無恥にそれに対する追従を明らかにしている現在こそ、再確認されるべきシーンだと思う。 6点(2004-03-21 23:47:27) |