1. いま、会いにゆきます
約束通り一年後に蘇って更なる永遠の愛を築き上げるという泣きを狙った感動作としては、筋書きがややありきたりな展開だなと思っていたら、実は生き返ったのではなく事故の瞬間に見た自分の未来を確かなものにするために自分が自分の人生にタイムスリップする話にいつの間にか変わっていった。 自分が自分の未来にタイムスリップすると言うことは、29歳の澪が二人になるのかという心配は無用で本当の私は一年前に(都合よく)死んでいた。 蘇りだけでなくタイムスリップ(ワープ)までもやってしまう幻想的な部分の表現で本当はいくつものパラドックスが物語にも澪のせりふにも日記にも発生しているのに、極めて写実的で丁寧な泣かせる演出と高校生時代の淡いエピソードがジグソーパズルの欠けたピースのように気持ちよく順に合っていくため、知らないうちにうまく騙されていき見ている者に無駄な詮索をさせない。卒業の寄せ書きを書いた後の行き違いの場面など一つ一つのシーンをとても丁寧に効果的に撮影した確かな頭脳プレイの勝利と言える。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-29 21:30:40) |
2. 生きる
ストレートに表現するテーマと力強いメッセージが製作側の主張を感じさせるが、脚本の三人は市役所で何か嫌な思いでもしたのだろうか。通夜の席で主人公に対する賛美の意識が徐々に高まり、渡辺さんにわれらも続こうと同意するも翌日には旧態依然の仕事を繰り返す現実に普通に人間の弱さを見るし、公務員の仕事振りに批判的な表現が必要以上に濃すぎて、一人の人間の生きる意味を問うこれまた大きな主題が次第に霞んでいってしまうのは残念至極だ。志村喬の演技は他作品では見ることの出来ないほど鬼気迫るものを感じるが、繰り返されるギョロ目アップとぼそぼそと聞き取りにくい小さな声には少々不満が残る。人は生きた証を如何に残すかのテーマは思う所ありだが、他の黒澤映画と比較して完璧な出来とは言い辛い。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-23 22:39:48) |
3. イン&アウト
ゲイかどうか本人もよく分かっていないなんてことが有るのか。優しい物腰ではあるけれどゲイらしい行いは全くしていない主人公に突然「アイ・アム・ゲイ」と言わせて「ゲイでええじゃないか、ええじゃないか」と騒いで終わるだけの中身の無いこんな脚本でよく映画にする気になったもんだ。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2005-05-18 21:47:22) |
4. イマジン/ジョン・レノン
ビートルズの曲は大好きなんですけどねえ。生きていればきっと新たな名曲をたくさん聴けたのにと思うととても残念だけれど、活動家としてのジョンにはあまり同調できません。天才は常人には理解できないものを持っているようで、唯一彼を理解できたのはオノ・ヨーコだけだったんですね。仕事仲間だけでなく二人の妻や息子にもしているインタビューはファンにとってなかなか興味あるものですが、大した内容のものを語っていずにやや退屈なものでした。 下にあるかと思えば突然右へ行ったりまた左へ行ったりする字幕は何なんだ。 5点(2004-08-13 11:41:18) |
5. 一票のラブレター
こんな形のちょっとした出会いがもてない不器用な男には運命の出会いに思えてすぐ好きになってしまうんです。でも女の方は自分のタイプじゃないと相手を男として全然見ていないんですよねえ。そしてまたベッドで溜め息です。 7点(2004-07-19 17:14:15) |
6. いとこのビニー
法廷ものは、必ずある最後の逆転劇の出来具合いで作品の良し悪しが決まる。この作品の場合、誰にでも解かり易く綺麗にまとめられているので一応合格点に達しているのだが、目撃者がいい加減な供述をしていることが明らかなので反証も簡単過ぎた様だ。またビニーの弁護士としての技量が身につく期間の短さと、突然超人的な専門知識を披露するリサに幾らか疑問符をつけたくなるものの、作品としての評価を下げる程のものではない。随所に散りばめられた笑いの種はセンスも良く、よそ者に冷たいアメリカの田舎と、田舎者をバカにしている都会の人間との対比を嫌味なくコミカルに見せることに成功している。 7点(2004-02-22 20:44:31) |