1. 生きるべきか死ぬべきか
ルビッチの映画の中でも高評価だったので見た映画なのだけど、そのときはどこがどうおもしろいのか理解できなかった。ひとつは役者が演じているナチスか本物のナチスかがわからなかったり、場面の切り替えについていけなかったりで、私の頭の悪さが原因だったのだが・・・。最近メル・ブルックスの大脱走という映画を偶然見て、”To Be or Not To Be”と言ったとたんリメイクと気づき、もういちど見直すことにした。そしたらわかるわかる、やっぱりルビッチのおもしろさだった。 [DVD(字幕)] 7点(2018-03-18 21:49:43) |
2. インティマシー/親密
前半はセックスシーンがやたら多いし長い。それだけ必要なのだろうか。また後半は後半で主人公男女の心理状態がどうもよくわからない。映画祭では評価されているようだが、私にはその価値が理解できない。 [DVD(字幕)] 4点(2015-04-14 19:04:40) |
3. イントゥ・ザ・ウッズ
ミュージカルとしてはもちろん歌の合間の台詞や仕草に滑稽さがみなぎる大変おもしろい舞台劇である。童話の世界の主人公たちを絡ませ、おとぎ話以降の物語を描き出すという試みは大人向きの新しい趣向だ。舞台では表現できなかった神秘の森の世界を作り出し、巨人や魔法目に見えるものとして表現できるのはまさに映画という映像の賜と言ってよい。白い牝牛、赤い頭巾、黄色い髪、黄金の靴の4つのアイテムを探し出す第1幕はミュージカルになじみがなくても大変魅力的なのだが、ハッピーエンドで終わったその後の第2幕がこの映画の真価。ところが前半の馴染み深い物語について行けても、ファンタジー映画にしたため後半はどうもとっつきにくいので、"No One is Alone"などの楽曲に親しみがないと十分楽しめないかもしれない。 [映画館(字幕)] 7点(2015-03-18 11:11:43) |
4. 妹の恋人
両親の死で心を病んだ妹と親代わりの兄、そこへ変な男サムが登場してとたんにおもしろくなる。ジョニー・デップは何でもできる役者だ。シザーハンズで病的な顔を見せたかと思うとここでは芸達者な奇人ぶりを発揮する。2組のカップルの幸せを祈りたい。ところでこの映画の主題曲 I'm Gonna Walk(500Miles)は、近く公開の「サンシャイン/歌声が響く街」でも登場する。 [DVD(字幕)] 7点(2014-10-25 22:06:02) |
5. 一命
瑛太と満島では仲代達矢をはじめ、三国、岩下、丹波と役者をそろえたオリジナルの名作「切腹」にかなうわけがない。それに半四郎と求女、美穂の三人の生活になってからは情に流れすぎで、オリジナルの緊縛感や説得力はない。それでいて、竹光での腹切りや立ち回りシーンはやり過ぎのようにも思う。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-13 21:37:05) |
6. いとしきエブリデイ
4人の実の兄弟姉妹を使い、父親の刑期終了までの5年を文字通り5年かけて作った映画。面会に行く刑務所も本物というのだからすごくリアリティに富んでいる。何気ない日常(エブリデイ)が淡々と進んでいくだけなのだが、子どもたちの成長とともに深い家族愛を感じる。 [映画館(字幕)] 6点(2014-01-21 19:59:52) |
7. インビクタス/負けざる者たち
立派すぎる内容とうまくいきすぎる展開に少々気味悪く気持ち悪いほど。しかしそれはそれ、実話だからこそ意味があるのだろう。モーガン・フリーマンのネルソン・マンデラは文句ないし、アパルトヘイトやラグビーワールドカップなどについても大変勉強になった。ただマンデラがどうして離婚したのか疑問が生じたのは事実、家庭的な面はどうだったのだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2013-12-07 23:03:49) |
8. イングリッシュ・ペイシェント
戦争を背景にした壮大なロマンはまさにアカデミー作品賞にふさわしい。忘れかかった頃にDVDで繰り返し見るが、そのたびに涙が止まらない。アフリカの広大な砂漠を飛ぶ飛行機が実に印象的だが、キップとハナのロマンスもフレスコ画あたりだけでなくもうちょっと膨らませてほしかった。 [DVD(字幕)] 9点(2013-12-03 14:05:25) |
9. インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
以前見たときはおもしろく平気で見られたのだが、今見直してみるとあまり気持ちいいものではない。年月が経つと見方も変わってくるものだとつくづく感じるし、どこがおもしろかったのかわからなくなっている。 [DVD(字幕)] 3点(2013-11-17 06:21:55) |
10. 5つの銅貨
良い映画だった。この映画は実在のコルネット奏者の伝記物であり音楽ものなのだが、娘ドロシーが生まれてからの物語はファミリーものと言っても差し支えないだろう。娘を寄宿舎に入れ顧みなかったばかりに、娘の病気はレッドにとっては相当なものだったろう。命より大切にしていたトランペットを河に投げ捨てるシーンは私の胸に強烈に響いた。なおこの映画は名作であることは随分前から知っていたのだが、私がジャズや金管楽器が好きでないばかりに見るのが延び延びになってしまっていた。ところで皆さんはトランペットとコルネットの違いがすぐにわかりますか? 丸みがある方がコルネットです。 [DVD(字幕)] 8点(2013-11-15 08:53:30) |
11. 異母兄弟
当時30代のバリバリの若手だった三國連太郎が大女優田中絹代と共演、老け役を演じるため上下の歯を10本抜いた話は有名。それほどまで役に対する意気込みは強く、軍国主義の権化のような鬼頭範太郎を堂々と演じた。対する田中絹代は女中の身から後妻に収まった故、辛抱に辛抱を重ねた生活を送り、ようやく本心が言えたのは戦後になった幕際。あまりに悲惨と言えば悲惨。高千穂ひづるの明るい歌声も一瞬のものだったのか。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-10-04 10:11:49) |
12. インポッシブル
2004年に起きたスマトラ島沖大地震で大津波に遭遇した家族の物語だが、我が国でも近年東日本大震災が起こっただけに深刻さは一入。映画は実在の家族の体験談をもとに、リアルさを徹底的に追求したもの。特に津波がおそってくるシーンや母と長男が流されるシーンは息をのむ。ハリウッドに負けないスケールとナオミ・ワッツの演技は見もの。 [映画館(字幕)] 6点(2013-07-23 10:46:29) |
13. 今のままでいて
《ネタバレ》 いつのまにか女はいなくなっていた。残された男、切なく流れる音楽、これぞまさしくラブストーリーなのだが、この映画の終わり方は何度も予感させるものがあった。母親との別れもたぶんこうだったのだろう。実の父娘かもしれないという不安や疑問は残ったまま、年の差の離れた恋は進行し、最高潮に達したところで突然終わる。何ともロマンティックな映画であり、男と女、年代の相違かもしれなかった。ナスターシャ・キンスキーの美しさは際だっていて、裸体まで拝めるとは・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2013-07-21 06:50:41) |
14. 生きものの記録
米ソ冷戦の時代、両国は広島長崎の数十倍から数百倍の威力をもつ原水爆実験を競い合うように行った。それはもはや地球の全都市を破壊してしまうほどのものであり、死の灰とか黒い雨など放射能汚染の恐怖もさかんに論じられていた。だからこういう映画ができても当然なのだが、いかんせんこの映画ではエゴと狂人に焦点が当てられ、社会派映画にはどうもという感じに思える。三船敏郎の老け役には驚くばかりだが・・・。ところで何でブラジルが安全という理由はないだろう。当時はブラジル移民の数が多かったし、単に新天地開拓と結びつけただけではなかろうか。 [DVD(邦画)] 5点(2013-07-16 17:21:01) |
15. インドシナ
長大いや壮大なドラマだった。見ているうちに有吉佐和子の「紀ノ川」を思い出してしまった。大きな川(河)と美しい大自然、母と娘の思いが交錯するところは共通点があるし、大河ドラマ的要素も似通っている。ただ「紀ノ川」が日本伝統と因習が背景だったのに対し、こちらはフランスの植民地政策やベトナム独立運動が背景になる。冷徹だったバチストが愛によって変わっていくのにも惹かれるし、男勝りの強い女性を演じたドヌーヴも良い。 [DVD(字幕)] 8点(2013-06-15 07:32:35) |
16. 池島譚歌
監督の思いが込められた映画であり、見る者にとってもその人なりの思いをはせることができる。立ち入り禁止区域に子供たちだけ(?)で探検するというのは、九州版スタンド・バイ・ミーを思わせる。 [映画館(邦画)] 6点(2013-06-11 14:28:25) |
17. いつも心に太陽を
初めて見たのが、私が教員を目指していた頃だったので感激は一入。日本と外国では随分違う(英米はとても自由)と感じたものだ。その後日本でも熱血先生もののドラマが流行ったが、このシドニー・ポワチエの先生は少々違う。元々エンジニアだし、下町の学校にやって来たのも適当な就職先がなかったからなのだ。それが生徒たちとふれあっていくうちに先生らしくなっていくし、生徒たちも成長していく。何といってもこの過程がいいのだ。良いと言えばルルの歌う主題歌、心に残るメロディーだった。 [映画館(字幕)] 7点(2013-05-22 06:31:50) |
18. 偽りなき者
《ネタバレ》 子どもは純粋だ。クララが大好きなルーカスに贈り物をしたのも、キスをしたのも純粋な気持ちの表れだろう。また嘘をついてしまったのも拒否されたからのちょっとした犯行で大意はないのである。しかし大人の世界は作為的だ。純粋な子どもが嘘をつくはずはないと信じ切ったことから大事件へ。もちろん純粋だからこそのたわいもない嘘があるわけなのだが・・・。しかしながら思い返してみると、特定の子どもから贈り物をもらうのが良くないというのも、唇へのキスも子どもとして早すぎるというのも大人の論理だ。やさしく拒否はしたものの子どもに通じるわけはないのだ。ラスト近くでルーカスの息子が一人前になったということで猟銃が与えられ狩りに出るシーンがあるが、息子もまた純粋の世界から作為の世界へと移ったのだろうか。原題の狩りが、鹿狩りと魔女狩りの両方の意味を持つ。 [映画館(字幕)] 7点(2013-05-14 14:31:35) |
19. 命をつなぐバイオリン
《ネタバレ》 ユダヤ人虐殺や戦争によって翻弄される人々を描いた映画は数多い。この映画では、国を超えた三人の子供たちがピアノとヴァイオリンによって友情の絆で結ばれる。しかし戦争は容赦しない。ソ連共産党やナチスドイツによって引き裂かれ、ユダヤ人の二人の子供には一つでもミスをすれば死という完璧な演奏を要求されるのだ。美しい音楽とは裏腹に悲しく切ない物語に共感を覚える。 [映画館(字幕)] 7点(2013-04-05 14:57:15) |
20. いいかげん馬鹿
「馬鹿まるだし」に続いて本作を見たが、こっちの方がずっと山田洋次らしい人情喜劇で断然好き。クレージーキャッツと言えば、当時は無責任男の植木等ばかりが目立っていたけれど、ハナ肇の人情味のある男っぷり(馬鹿さ加減)に感服。岩下志摩はほれぼれするような美しさだし、子役の弓子と安吉もほほえましかった。うさぎ追いしの「故郷」の歌も室生犀星の「ふるさとは遠きにありて」の詩も心に残った。 [映画館(邦画)] 9点(2013-02-16 12:57:48)(良:1票) |