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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1701
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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1.  いつかの君にもわかること 《ネタバレ》 
主人公の置かれた状況は確かにやや特殊かと思いますが、作品のテーマ自体はごく非常に普遍的なモノだと思いました。彼が唐突に・緊急に向き合うコトになったのは、子どもをどう育てたらよいのか・どう育てたら子どもは幸せに為れるのか(⇒そもそも子どもの幸せとは何か)という、ソレこそ人の親の誰しもが生涯を懸けて追い求めるけれど、答えは結局神のみが知る…という問いかけだと思うのですね。父と子の2人のシーンも(当然)多いのですが、養親を探す上でのその問いに関わる親同士の対話シーン(=子育てに対する種々の価値観が示される場面)が思ったより多くて、でも主人公と同様に観ているコッチだってナニが・誰が正しいのか(⇒この場面における「正解」は誰なのか)なんて全然ピンと来ない…というトコロに、実に非常に共感できましたですね(若干香ばしい方も居ましたケド、大半は基本、比較的真っ当なコトを言ってる真っ当な大人だったよな…とも思うのですケドも)。  演技にせよ演出にせよ、意図的にかなり抑制してゆく方のアイデアを採用しているらしく、全編非常に静かな(静謐な)作品だと思います。がソレが一層、この問いに答えを出すコトの難しさと、そして主人公の悩みの深さ(=端的には「愛」の深さ)をも好く表現している様に思われました。良作以上かと。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-09 13:12:47)
2.  インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 《ネタバレ》 
思ったホドにはインディ本人の(締め括りの)物語というワケでもなくて、結構全編ひたっすらに(年甲斐も無く)冒険しまくっているのですし、だったらそもそもこんなに長尺にする必要ある?とだって少しダケ思ったりもするのですね(⇒折角、アクションシーンが意外にもドレも降板したスピルバーグばりの良テンポで纏まってるのに)。でも、その辺り+終わり方とかも含めて最終作はコレで好かったのではないか…と(素直に)思いましたよね。重ね重ね、アクションは総じて素晴らしいテンポ&疾走感で分量も豊富、かつ細部まで非常に丁寧につくり込まれていてもう一回スローでじっくり観たい…という様な惚れ惚れする出来だと思いました。クライマックスも、1~3作目と比べりゃあだいぶん「派手」「荒唐無稽」だとは思うのですケド、コレも今風と言えば今風(の味付け)だと思います。オーラスだって、年経た二人の様子も含めて個人的にはかなり気に入ったのですよね(人生という冒険は、生きてる限り終わらないのだ!と)。一点加点しておきます。
[映画館(字幕)] 8点(2023-07-03 23:50:48)(良:1票)
3.  イニシェリン島の精霊 《ネタバレ》 
まあ確かに、お話の内容的にはサッパリ訳の分らない映画…ではありましたかね。実は、時代も場所も明確なのだし(⇒前提情報無し・劇中描写ダケ、でもある程度は察せるレベル)その意味では寓意・メタファーの類を読み取るべきお話にも(大いに)見えてはいるのですケド、正直(少なくとも)私には全然伝わりませんでしたですかね⇒でも、コレは慢心に聞こえたら大変申し訳ありませんが、そもそも伝わる様につくられた作品ではねーかな…とも(個人的には)思いましたケドね。  で鑑賞後に調べてみると、いちおう各所ではコメディの部類(具体的にはブラック・コメディとかトラジコメディとかって表現)という扱いなんすよね。んでんで、そのコトについては(コレも個人的には)ごくワリとしっくり来たとゆーか、むしろ私としては(結果的には)当然の様にコメディだと見做すしかない…という様にも思ったのですよ。結局、いちばん根本のトコロでとにかく「理由が全く分らない」から⇒納得とか共感とか感情移入とかが出来ないから、だからモ~「突っ込む」しかねーのですよね⇒そーすると、なんか「お笑い」になってっちゃう…という個人的感覚がありましてですね。か、もう一つ考えられるのはただ「ドン引く」方かな…とも⇒そーすると今度はむしろ「ホラー」になってゆくコトが可能…なのかとは思うのですケド、今作に関しては(ギリ)ソッチの方ではなかった様に(コレも個人的には)見えていたのでしてね。  結局、その「コメディ」としての(純粋にジャンル的な)出来に関して二つ、こ~んな貫禄の有るマジメそーな人達が、またこ~んな上質につくり込まれた映画空間に於いて、またココまで意味不明&奇天烈なコトをやっちまうのか…という「ボケ質」のユニークさ+ハイ・ソサエティ振りがシンプルにコメディ的にかなり面白かったというコト、ともう一つ、中盤までのその感じから「あ、コレ多分フツーにコメディだな…」と思った矢先にごくごく凄惨な展開が唐突に炸裂して⇒がソレでも今作、頑なに「まだイケるだろ⁉」てな如くにコメディの範疇に踏み留まろうとし続ける、その「チキンレース」振りが(またシンプルに)面白かった+ソコには最早、ごく上質+希少な「不条理の可笑しみ」すらも感じ取れたコト、この二つを含めて下記の評価となって居ります。私からは重ねて、ナニも考えずにコメディとして観てしまえば好さそう…とダケお伝えしておきたく。。(⇒ソレはつまり、安易に理解や共感を引き出そうとせずに、どっちかとゆーと「突き放して」観た方が好いかも…とゆーコトで。。)
[映画館(字幕)] 8点(2023-05-07 22:09:10)
4.  生きる LIVING 《ネタバレ》 
大筋は、意外なホドにほぼ原作どおりのリメイクとなっていて、特に前半は細かい演出に至るまでかなり完コピに近い…と言っても好い感じですね。ただ、原作の日守新一にあたる新人職員が冒頭から配置されて⇒我々は彼の視点で主人公の様子を観てゆけばよい…という形式になっていたり、また小田切みきにあたる役の女性も(原作では中盤に出番が集中していたトコロ)全編に渡ってより多くの役割を果たす様になっていたり、その辺を踏まえると全体的に分り易さや感情移入の容易さとゆーのは増していたかな、と思います。もう一点、尺が短くなっているのはテンポを全体的に少し上げている、というコトの他に、後半のお葬式のシーンが(やはり)大幅に簡略化されていたから、だと思うのですが、原作ではこの部分は(作品における)社会批判・官僚主義への批判といった側面が強く出ているシーンだったと思いますが、だからこのリメイクではその側面は若干薄まっていて⇒よりシンプルなヒューマニズムの描き出しの方にごく注力している…という様にも見えましたかね(⇒その意味でもより分り易い・伝わり易いかと)。  もう一点、大きな違いとしてはやはり志村喬とビル・ナイそのものの「キャラ」の違い…でしょーかね。どっちも役人ですが、日本人とイギリス人だと畢竟だいぶ雰囲気自体が違いますし、更にビル・ナイはどーしたって多少「カッコ好い」のですよね。。まァある種、ゆーて他の部分(≒お話の内容的なコト)はほぼ原作どおり⇒変えても小手先のコトで済んだケド、もし主人公のキャラまで全く同じにしてしまうとなると、ソレは志村喬vsビル・ナイの真っ向勝負!というコトになる……もし私がビル・ナイだったらば、ソレは流石にちょっと避けたいかな…(いくら何でもやや「分が悪い」かな…)な~んて思ったりもしましたですかね。  重ねて、描かれるモノ自体は全く同じ=普遍的な価値観であって、だからソレは寸分も変わっていないですね。ただ、重ね重ねこのリメイクの方が(種々の側面で)シンプルに「観易い」とは言えるかと思います。個人的には、どちらを先に観ても(コレも別に)変わりは無いかと思いますかね(私としては、評点も両作品とも同じになります)。とにかくとりあえず、もし観ていないならばドッチでも好いから早く観た方が好い…とは言っておきたいですケドね(コレは、なる早でまず観た方が好いヤツだと昔から思ってますよ)。
[映画館(字幕)] 8点(2023-04-05 23:09:18)
5.  愛しのロクサーヌ 《ネタバレ》 
『シラノ・ド・ベルジュラック』が下敷きとなっている作品ではありますが、スティーヴ・マーティンが主演なのだから当然大いにコメディ寄りではあって、原作後半のドラマ部分もだいぶマイルドなコメディに挿げ替わっています。とゆーか個人的にはこのC・D・ベイルズという主人公、ほぼほぼいつものスティーヴ・マーティンじゃね?という様にしか見えなかったのですよね(まあ、普通にソレは「観客が求めるモノ」だとも思いますケド)。で、そーすると一番の違和感として感じられるのはやはり、ことスティーヴ・マーティンに関してゆーなら例え鼻があんな感じだったとしても全然女にはモテると思うのですよね。その意味では流石にちょっと原作とは全然違う話だな、と思ってしまいました。非常に典型的でコテコテな80年代コメディの中でも軽めの作品として十分に暇潰しにはなると思いますが、ちょっと喰い足りなかったかな…とも。
[DVD(字幕)] 5点(2022-10-28 23:19:11)
6.  犬も食わねどチャーリーは笑う 《ネタバレ》 
こーなった原因はワリとシンプルで、片や岸井ゆきのチャンの方は特に自分の感情を抱え込む=曝け出せないタイプのコであって、で香取クンの方が典型的な理屈っぽくて感情の機微に疎いタイプ、という正直まァ~相性の悪そーな2人なのですよね。ただ、事前に想像してた様な「小さい不満が積もり積もって…」な話とゆーよりは、明確にひとつの比較的「重い」ターニングポイントが在ってソコから関係性が撚れていった…という話でもあるのですよ。だから本質の部分は結構マジメで少なからずシリアスな物語でもあって、故に作品全体としても思った程にはコメディ寄りではなかったかな…という印象でもありましたですね。  ただ、全然笑えない…とかってコトではない⇒まずまずチャンとニヤついて観てゆけるコメディにはなってるので、個人的には悪い作品だとまでは全く思わないのです。がそれでもちょっと(重ねて)笑いは思ったより少なかったかな…とゆーのに加えて、ドラマとしてもやや薄味だったかな…とも。全体的にかなりテンポの緩い映画で、だからどーも密度が高くならないとゆーか、2人の特徴的なキャラの描き出しにせよ・そしてそんな2人が繰り広げるお待ちかねの夫婦喧嘩にせよ、コレもちょっとそーいうシーンの数自体も少ないし描写も総じて不足気味(+どれも浅い)とも思われました。だから結局、ラストの大立ち回りで2人が本音をブチまけるシーンが個人的には少し唐突な(=お話として繋がりが好くない)様にも思われて、結果あまり感情を乗せて観てゆけなかった…と言いますか。このオーラスの印象が微妙だったのを含めて、評価はこの位にしておきます。  それでもコメディとしてもドラマとしても、面白かったな!笑えたな!というシーンは所々に在ったので観て損まではしていませんですね。コメディとしては井之脇海の結婚式コントの場面はかなり面白く観るコトが出来ました。ドラマでゆーと(脇役ではありますが)やはり余貴美子の存在感は格別でしたね。ゆきのチャンも香取クンも(コッチもワリとコテコテな演技だとも思いましたが)私は決してキライではないヤツでしたっす。
[映画館(邦画)] 5点(2022-10-07 22:44:00)
7.  いとみち 《ネタバレ》 
しかし今どき、ココまで訛ってる女子高生てのは本場青森にも居るモンなのですかね?(⇒まあコレは、内向的な性格+多分お婆ちゃん子だった、というキャラあってのモノなのでしょーケドも)で、言い方はまた非常に悪いのですケド、このレベルの訛りに加えてのこのコミュ障ぶりってのは、ちょっとマジでヤバいっすね(何しろ全編通してナ~ニを言ってんだかまるでサッパリわかんない、という…)。今作はそんな女の子の成長物語としてはまずは非常にシンプルな筋ですし、本質的な話の内容・実際の展開運びとゆーのもまたごくオーソドックスだと言って好い作品には思えるのです。が、ソレを津軽の諸々+メイド喫茶という各々ごくドメスティックな要素と、前述どおりの主人公の特殊な(やや極端な)キャラで彩った演出自体は、中々にユニークでかつ本邦独自という感じの雰囲気も十分に醸し出せていたかなとは思いました(=決して月並な青春ものには為ってなかったかな…と)。あと、彼女の仕草・口調に合わせた様なごくかなりゆったりとしたテンポとゆーのも、最後まで観ると個人的にはなんかとても心地好くも感じられましたね(好い意味で素敵に田舎な空気感が在ったかな…とゆーか)。  主演の駒井蓮さんは、流石にこの人は青森出身なのだろーな…と思ったらソコはドンピシャでした(あの訛りっぷりは一朝一夕のモノではないでしょーなと)。ただ、ラストの三味線も一年稽古して自前で演奏した…とゆーのには率直にちょっと驚きましたですね。演技諸々も含めて素晴らしい仕事だったと思いますし、その他助演の方々も総じてまずまず好い出来だったかな、と。オススメ出来るか出来ないかで言えば、前者ですかね。
[DVD(邦画)] 7点(2022-07-17 00:01:58)
8.  犬王 《ネタバレ》 
題材の物珍しさに加えてアニメ的表現自体もかなり独特で、確かに相当にユニークな映像世界が展開されるコトからして(その時点で)観る価値てのは十分だとは思うし、音楽性にしてもシンプルなロックの様でコレも確かになんか「和風」な…とゆーか和の趣を大いに含むというやっぱ結構に独特なモノだったと思うし、かつ純粋な音楽シーンの分量が思ったよりもかなり多めで結果音楽だけにも相当高度に「浸れる」てのも個人的にはシンプルに好きな感じでした(巷では、映画の皮を被ったロックフェスだ…とか言われてたりもするよーで)。  ただ、一つだけ(言おうか言うまいか物凄く迷うのですケド+コレは私の観方が捻じ曲がってるダケなのは重々承知なのですケド)思い切って言ってしまうならば、じゃあ嘗ての(或いは今に至る迄の)観世の能楽とゆーのは、シンプルな現代のフツーなロックに「劣る」というモノなのか、というどーしようもないモヤモヤが(今作を眺めてゆく中で)私にはどーにも拭い切れなかった…てコトなのですよね。モチロン、実在の犬王の失われた芸術に「権力によって腕ずくで葬られたモノ」としての性質(=テーマ)を仮託するうえで、ソレに必要な芸術的クオリティを(現代の視聴者に)分かり易く実際の映画表現として落とし込む単なる「ツール」であるというコトは私とて重々承知なのです。とは言え、現代でも実在する二つの要素を実際に二つ並べて確実に「比較」しているという物語の構造(⇒ぶっちゃけこの構造自体、そもそもこの二つって比較できる様なモノなのだろーか?という点にも大いに疑問が在りますケド)がある中で、流石にちょっと「片手落ち」すぎやしないですかねコレ?と思ったりもするのが(重ねて)正直なトコロでありまして。  まあ、諸々と事情があるコトだとも思いますが、そもそも今作はまず尺が短めで、んで前述どおり純粋な音楽シーンが比較的にも多いというコトで物語やキャラ・世界観の描き出し自体からして少~し軽めには為っていたかと思うのですね。その中である種、根本的な「能楽」の何たるかの描写とてまた軽く薄くなっている…とゆーのは仕方が無い or 高度な取捨選択の結果、なのかも知れないとは思うのですよね。まあ実際、今作を観てそんなトコロ=「能楽」と「ロック」が比べられているというコトに「引っ掛かる」という客なんて殆ど居ないだろう…とは、私だって当然の如くにそ~思うのでありますですし。
[映画館(邦画)] 5点(2022-06-05 23:01:21)
9.  イカリエ‐XB1 《ネタバレ》 
ごくコンパクトな尺ながら、内容自体にしてもソレを構成する幾つかの印象的なエピソードは意外とバラエティに富んでいる、とも思えました。そしてそれ以上に、映画の雰囲気とゆーか質感とゆーか、ソレは当然の如くにSFでありつつも、一方でごく物質的とゆーよりは多分に幻想的であったり文芸映画的であったり、更に部分的にはホラーぽくもあったりまた真摯な人間ドラマでもあったり、と非常に多様で独特なモノに仕上がって居たかと思います。重ねて、とてもユニークな雰囲気でしたし、不思議と強力に引き込まれる映画でしたね。観て損は無いかと。
[インターネット(字幕)] 7点(2022-05-19 22:39:38)(良:1票)
10.  イン・ザ・ハイツ 《ネタバレ》 
「ハイツ」とは、ニューヨーク・マンハッタンのワシントンハイツ地区のことで、劇中でも描かれる様にドミニカ系の移民が多く住む地域だとのコト。ブロードウェイ・ミュージカルの映画化であるが、お話の内容としては彼ら移民が抱える諸問題を登場人物に仮託して、ある種群像劇的にソレを描いてゆく…という構成になっている(ワリと結構社会派作品なヤツ)。  ただ今作、ミュージカル映画としても歌唱シーンが非常にボリューム多くて、結果として2時間超の長尺ながら他方でお話の進み方の方はゆったりのんびりで、かつそれぞれが(結果的に)あんまり深く描き切られるというワケでもない様に見えたのが正直なトコロ。個人的にはやや「浅いなあ~」と思ってしまった…てな感じで、少なくともも~少し要点を絞った方が(=キャラを減らして誰かの話に集中した方が)好かったのではないかな…とは少しだけ思われたりしますですね(多分、曲がキャラに付属してるから再構成が難しかった…てコトなのでしょーね)。  ミュージカルとして、楽曲は基本的にはラテン系の極上にノリの好い曲が揃っているので、ソレ自体はかなり楽しい。でも、ラップ調の曲やもう少しオーソドックスな曲調のもあって決してバリエーションが少ないというワケでもない。また、街中で大勢で歌い踊りまくる正にミュージカル!なシーンも多くて、シンプルにミュージカル映画としてはごく上質な作品だと言えるのではないか。もう一つだけ、ニーナとベニーの「ビルの壁」のシーンは、映像的な工夫も含めて明るく・爽やかに・且つしっとりと素晴らしい雰囲気でとても好みだった。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2022-04-02 23:09:19)(良:1票)
11.  異端の鳥 《ネタバレ》 
むかし『LIMBO』というゲームがあって、ゲームではあるのですが個人的になんか本作に色々似てるな、と思ったのですね(特にモノクロで、かつ音楽が無い、というあたりが)。  個々の描写の凄惨さは高度ですが、全体としてはストーリーはごく淡々と進む、とゆーか、その残虐行為がごく淡々としたものに(途中から)見えてくる、とゆーか、静かな様でコレはごく「悪しき」静けさ、だとも思いましたかね。  一方で、お話(個々のエピソード)の起承転結自体には意外と因果応報な側面も無くはない…とゆーか、発端の暴虐に対する「復讐」が描かれる場面も結構多かったりするのです。ただ、此処からもやはりごく「悪しき」モノがまた感じ取れる…とゆーのが、鑑賞者としての我々さえ(少なくとも私は)その「復讐」の場面において次第にどこか確実に「胸が空く」のを覚える様になる(覚えてしまう様になる)、そのコト自体が私にはもはや一種の「恐怖」でしかなかったです。その意味でも、諸々とやはり実に恐ろしい映画だ、とも思いましたね。  もう一つだけ、コレもごく限定された時代・場所・状況設定を舞台背景にしている様に見せかけて、種々の工夫や少し非現実的なまでにショックシーンが連続する展開は本作を多分に寓話的なつくり話にも見せている、その意味では、架空と現実の「好いトコ取り」をしている様な映画だ、とも個人的には感じました(コレって、率直に相当に難しい仕事だろうな、とも)。傑作かと。
[DVD(字幕)] 9点(2022-01-30 01:55:38)
12.  インシデント 《ネタバレ》 
通常、スラッシャー・ホラーにおいては、まずはヤリ○ンから殺されてゆく…とゆーのが絶対法則なのであって、ソレが今作では処女&童貞の方が狙われる、とゆーの自体が一種の脱構築とゆーか、少なくとも意表を突くという意味ではまま良好なアイデアだと思うのですね。かつ(おそらく陽キャに違いない)今作の製作陣が「処女&童貞が狙われるってなったら、マジ乱パ開くしかねーべさ!」「ヒョ~そのアイデア、マジパナイっすわヒャッハ~!!」てな具合に本作の構成をノリノリでつくり上げていった(のであろう)とゆーのも決して想像に難くない…ともやはり思われるのですよ。そして実際、平凡な前半が終わってブリタニー・マーフィちゃんが理科室で大暴れ→全校総出の乱パが現実味を帯びてゆく…というド真ん中のあたりは、私自身もかなりワクワクしながら観れていたのも(恥ずかしながら)また事実ではあるのでございますね。  しかし今作、最後まで観ると結論的にはアイデア倒れだったとゆーか、特に(そっから)中盤以降は総じてどーにもショボっちいのですよね。一切合切ひっくるめて腑に落ちない・納得いかない諸々をあげつらうってだけでも、例えば…   ・中盤以降の展開運びが単純にスローモーでだいぶダルい。 ・肝心の乱パの描写もどーにもショボい(全然「乱痴気騒ぎ」な感じがしない)。 ・そもそも、狙ったコが処女or童貞かを確かめてそーだったらトドメを刺すモンだとして、当初4人連続でアタリを引くとゆーのは結構なご都合主義ではないか。 ・とゆーか、非常に肝心なハズの「犯人が処女&童貞を狙う理由(理屈)」とゆーのが、コレも実に弱っちい(薄っぺらい)。 ★結局犯人はごく凡人…なのにも関わらず、ケニーが助けに入った段階では親子+ケニーvs犯人の3対1になってるのに、ガキどもがマトモに戦わないモンだから親父は殺されちゃうし、その後だってあれだけ(乱パに)大集合してんだから少しは抵抗してくれよ…つーか。コレも要するにですね、スラッシャーの「最大のキモ」たる殺人鬼のキャラ(凶悪さ・強大さ)のつくり込みが、これまた非常に雑だとゆーコトに他ならん…と思われるのですね。 ★そして何より、同級生が2日で4人も殺されてんのに破廉恥に浮かれてゆく生徒諸君とゆーのにだって、当たり前ですがコレはもう「狂気」とゆーべきモノしか感じ取れないです(=流石にちょっと感情移入・同情は出来ない、てか)。   もう一つだけ、何ゆえに今作の邦題は『インシデント』なんてのになってるのでしょーか?え、コレ担当のかたは中身観ないで付けた、とかじゃねーでしょーね?いくらB級ホラーとは言え、ココまでやる気(売る気)の無いヤツも中々珍しい…とも思うのですよね。
[DVD(字幕)] 4点(2022-01-27 22:03:38)
13.  イエスタデイ(2019) 《ネタバレ》 
これは要するに、この国で近頃流行りの「異世界転生」の一種ですよね(私、漫画やアニメは殆ど追いかけてないので、最近のそーいうので観たこと読んだことあるのは『ドリフターズ』くらいなのですケド)。そして「知識」を持ち込むことで俺ツエ―!するうえでは、知的財産、中でも「歌」とゆーのは意外ながら好い着目点だと思います。専門分野のソレとゆーのは、よほど体系的に学習して応用が利くように実践も積んでいるとゆーならまだしも、素人レベルでは(色々と状況が異なるだろう)異世界で適応して活躍するのはかなり難しいでしょうし、同じ知的財産でも文学とかは本を数冊丸暗記でもしてないとまた厳しそうですし。歌とゆーのは、ひとりでも結構沢山持ち込めそうですし、基本自分が覚えていれば幾らでもどーにでも再現できますからね。日本の「なろう」作家さん達は「してやられた!」と思ったのではないでしょーか。  ただし、最強の切り札たる「知識」を持ち込んだトコロで、其処で幸せになれるかはまた別、とゆーのにも今作では納得しやすいです。ソレによって間違いなく「違う自分」になってしまう、このお話の中ではその変化のスピードも非常に急激で、結局主人公はソッチの方に適応できませんでした。でもそれは「やり方」の問題とゆーよりは「人の器」の問題、という様にも見えてですね…その意味では、今作とゆーのは平凡な人間が(予想どおりに)平凡で在り続けた、という私にとってはごく普通のお話に感じられました。誤解を恐れずに言えば正直、非常に部分的なアイデアは優れていたのだけど…とでも言いますか。  でも、そんな中でひとつ際立つのは、そもそものお話の根本である「ビートルズ」自体の偉大さなのだと思います(それは主人公が平凡であることで一層光り輝く様に感じられる)。ビートルズは確かに、己らの才能に身を持ち崩すこともなく、また世界的スターであることの重圧にも負けずに名曲を、歴史をつくり、また今もつくり続けているのですから。恐らくコッチの方こそが今作の真のテーマ、なのではないかと思いましたね。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-08-16 21:28:03)(良:1票)
14.  いちごブロンド 《ネタバレ》 
戦前~戦中あたりの古い映画の中でも、とりわけ観てホッとできる作品、とでも言いましょうか(『素晴らしき哉、人生!』的な)。決して器用だとは言えないけれどごく誠実なジェームズ・キャグニーとオリヴィア・デ・ハヴィランドが、結局は最後にささやかながらも真の幸せを手にする、此処に在るのはシンプルな人間性への称賛と信頼です。全編通してラブコメ描写も非常に微笑ましく、それでいてやるコトなすコトジャック・カーソンに出し抜かれるキャグニーの様子には、少しばかりの人生の口惜しさというモノと、それ以上に「頑張れ!」という意味での力強い共感を覚えることが出来るのです。  キャグニーの憎めないキャラも抜群でしたが、女優2人がとにかく出色な作品でもあります。「いちごブロンド」ことリタ・ヘイワースはサバサバとした小悪魔的女子を実に爽快に演じていましたし、ルックスも色気・品の好さ・若々しさ等をバランス好く兼ね備えた素晴らしいものでした。しかし、今作の主役は何と言ってもハヴィランドの方。こちらは清楚さに全振りしたエレガントな佇まいが正に絶品です。それでいて中盤、ちょっと気取って自由奔放な女を装う場面なんかは対照的に背伸びした少女的な可愛さを振りまいて、ココって私ホントに大好きですわ。女優さん目当てでぜひ観てもらいたい隠れた秀作です。
[DVD(字幕)] 7点(2021-05-31 23:42:11)
15.  糸(2020) 《ネタバレ》 
映画のジャンルの中でも純・恋愛映画というヤツは、肝心なシーンでとっておきのムーディな名曲を流しとけばそれだけでも結構成立する(否、名作にすら成り得る)と個人的には考えているし、この中島みゆきの『糸』という曲も、そーいう使い方をする分には十分な力を持っている名曲のひとつだ、と思っているのだ。  しかし本作は、一見そーいう純愛映画な風に見せかけてその実、男女ふたりの人生(前半生つーか)そのものを描き出してゆくという(シンプルな恋愛映画よりは)間違い無く奥行きの深い作品なのだし、同時にそれを通して平成という時代を丸ごと振り返ろうとしている、とも言うことが出来る。その意味では、高度な一貫性があると言うよりはある種オムニバス的な作品なのであり、非常に多岐に渡る小テーマ(特に、ひとつの「時代」を描くというやや大それたコトを含む)をひとつに融合する、という大役を果たせるとなると、これは本当に限られた特殊な曲、ということになってくるかと思う(それこそ国民的名曲、例えば昭和なら『川の流れのように』とか)。結論、やはりちょっとコンセプトに無理があった映画、ということにも感じられる、のですね。
[ブルーレイ(邦画)] 4点(2021-05-27 23:55:50)
16.  生きちゃった 《ネタバレ》 
人は、他者との関係性の中にしか、真の意味での幸福を見出せないのだとしたら、自分の幸福と他者の幸福というのは、ひとつ同じものかも知れないと思います(自分が他者に与えるから、他者も自分に与えてくれているのだろう、という冷徹な損得勘定ゆえに)。  その意味では、自分がいま他者に幸せを運べているのか、逆に他者はいま自分に幸せを齎してくれているのか、自分、あるいはその他者にとってそもそも幸せとは何なのか、という「疑問」とゆーのが、自分が幸せを求めるが故に他者とより深く交わるに連れ、次第に綯交ぜになってゆくと同時にどんどんと曖昧なモノになってゆき、いつしか確かに、それが何だったのかもよく分からなくなる、というのも思いがけずあり得ることかとは思っています。   大島優子が木っ端微塵なまでにどん底に不幸に描かれている、という部分には、シンプルに(痛快な)勧善懲悪を目撃した、という意味を超えて、少しばかり深めのシンパシーを覚えるのです。端的に言えば彼女は、ある種の典型的に自分勝手・自己中心的な人物であるワケですが、もう少し具体的に言うなら、彼女は自分「も」幸せになるうえでの他者へのアプローチの仕方を履き違えている、という人物かと思います。仮に、仲野太賀の愛が彼女にとってピント外れなものだったとして、だからと言って彼を確実に不幸にするだろう彼女の行為が正当化されるものだとは思いませんし、その後の浮気相手との関係性にも、本当の意味での「幸福の与え合い・共有」というものは見出せませんでした。そもそも、恐らく彼女が一番大切に思っているのだろう自分の娘(の幸福)についてだって、十分に配慮が出来ていたかというと大いに疑問です。率直に、その部分について非常に独り善がりな女性であるように見えたのですね。  もう一人、圧倒的に独り善がりな人物が、仲野太賀の兄です。あんなことをしたトコロで、一体誰が幸せになるというのでしょうか。総じて本作に登場する人物は、破滅的に不器用であったり、言葉・コミュニケーションが足りなかったり、或いは性格上の問題から、他者との幸福の遣り取りに難のある人物として描かれています。そして案の定、彼らは最終的に不幸になってゆきます。その意味では、決して観ていて気持ちの好い、という映画でないのはひとつ確実ですね(そもそも、例え彼らがそうであるからといって、みんなここまで不幸になる必要ある?というコトも含めて)。  ごく終盤まで、物語のこの重苦しさに加えて、何となく「答え」の無さそうな話だなあ、という予感もあって、面白く観れていたとは言い難かったです。ただし、ラストは比較的シンプル・簡潔にテーマ的なモノが描き出されていました。主人公の仲野太賀自身は、他者との関係性においては端的に「コミュニケーション(言葉、説明あるいは積極性)」の面にウィークポイントがある人物でした。その部分の自分を乗り越えて前向きな一歩を踏み出してゆく、というラストの内容自体は、決して悪くないと思いますし、それ自体は十分にポジティブだと思います。  ただ、コレは意図的な演出としての「カッコ付け感の排除」だと思いますが、とにかくどーにも最後まで彼はいい大人・親として「上手いことやれている」様には見えない、その部分から感じる一抹の(ただし致命的な)「頼りなさ」と、そしてここまでネガティブに描かれた物語の締めくくりとして踏み出した一歩の「小ささ=物足りなさ」故に、コレ正直「ちょっとワリに合ってないなあ」と感じてしまったのも事実なのですよね。  最終的な(個人的)評価としては、  「ネガティブ展開の方にはそこそこの見応えまでもが見い出せる(個々人の好みがあるとは言え)」  「ラストはポジティブ方面へ『振れる』が、ソレが弱くて感動にまでは至らなかった」 ということを鑑みて、いま一歩良作未満、という感じかと思いました。
[DVD(邦画)] 6点(2021-05-17 06:39:51)
17.  異邦人 《ネタバレ》 
諸々ひっくるめて原作(の雰囲気)にかなり忠実というか、それはつまりどちらかと言えば(ややもすると)少し工夫を欠く、というコトにも思われる。何故そう思うか、と言えば、そーしちゃったら中々に勝目の無い戦いに陥る、とも思われるからだ、とでも言いますか。  小説も実に淡々としているのは映画とも同様なのだが、あっちはムルソーの一人称で書かれているため、ごく一部の箇所においては彼の心情の極めて重要な部分が直接的に表れてくるのだ。それがこのお話を理解するための非常に重要な取っ掛かりでもある。しかし、実際のそれは彼が心で独り言ちているものであるから、小説に忠実に撮ってしまったこの映画ではそれが抜け落ちてしまっているのも必然なのであって、結局コレ、小説読んでない人には多分「分からない」と思う。件の太陽の描写、ラストの監獄での神父との対話、等々、ソコも確かに重要だとは思うのだけど、でもソコ「だけ」でもない、とも思うのだよね。「太陽のせい」というのは、別にホントに「太陽」の所為であったワケではないのだからさ。  結局のトコロ、オーソドックスに映画化するには向かないタイプの小説、つーことかと思います(そもそも)。マストロヤンニ自体の出来は決して悪くないし、地味にアンナ・カリーナが出ててお得感もあったりするのだケド。
[映画館(字幕)] 5点(2021-04-03 19:19:22)
18.  イップ・マン 完結 《ネタバレ》 
うーん、お話の出来がかなりイマイチだすね。。舞台がアメリカ、で結局「敵」となるのは差別意識溢れる白色アメリカン、迎え撃つのがイップ・マンはじめとする中華人脈、という構図で、我々東洋人から見ると相当にイラっとさせられる様な事件が次から次へと発生する…のだけど、エピソードの繋がりも薄いし、あまりキッチリと事を片付けずにダラダラ進んでいくので、率直にどうも盛り上がりに欠ける、というか。ブルース・リーの使い方とかもド下手だし、正直褒めるトコロがありませぬ。ある種「カンフーではよくあること」とは言え『2』『3』はもう少しシンプルに仕上げてお話の出来自体もややマシだった気がします(『マスターZ』は本作に負けず劣らずパッパラパーだったケド)。  カンフー自体の出来もどーですかね。序盤、ウー・ユエVSイップ・マンなんかはかなり凝った大規模なCGの使い方をしていましたが、ちょっと「どーみてもCG」過ぎて個人的にはこれもイマイチでした。全体として分量は悪くないのですが、目新しいモノもさほど無く、この部分の出来も『マスターZ』の方がやや上回る、のではないかと。実のトコロ(何となくですが)『マスターZ』でやりたいコト・出来るコトをちょっと出し尽くしてしまった、という様にも見えて。  ただ、ラストのスコット・アドキンスVSイップ・マンはそれでもまずまずでしたかね。話はワチャワチャしましたが結局コレが観たかった!のだし、アドキンスは流石の第一人者で中々に凄い動きでした。やっぱりまずは演者の力量をしっかりとベースにしたカンフーの方が私は好みです。  話の内容の不出来さにも絡むコトですが、敵(アドキンス)の台詞で「お前らの劣った文化を海兵隊に持ち込むな」とゆーのもワケ分からんですよね。だってオマエがやってんのは空手だろ?て実際どーいうコトなのでしょうか(中国共産党的な日米同盟の世界観、てコト?)。
[DVD(字幕)] 6点(2021-04-01 00:58:39)
19.  イーダ 《ネタバレ》 
BWV639『主よ、われ汝に呼ばわる』という曲は、タルコフスキーの『惑星ソラリス』で使用された曲でもありますが、今作でもラストにこの曲が使われることの意味というものは、かの作品と同一だと感じました。バッハの音楽の本質は「神の光」、即ち神が人にもたらす「救い」そのものであると考えています。取りも直さず、それはまた「原罪」の象徴でもあると考えます。基より罪を背負った人類に救いを与えられるのは、ただ神のみなのだ、という点で、それは同じことを意味しているのだと。  イーダの表情というのは、全編を通して「表向きは」特に変化しません。と言いつつも、その無表情の意味するものは物語と共にドラスティックに変化してゆきます。自分が何者であるかも知らない真に無垢な無の顔付きが、いつしか自らの運命を理解したことの絶望を湛えた冷たい無の表情に変わります。彼女には、自分の親を殺した男に対して怒りを抱くことすら許されていません(何故なら彼女だけが助かった理由もまた、その男の人間性の内にあるからです)。これはあまりに残酷な運命だとは思いませんか。それから、愛を交わした後に先の事を話し出す男に投げかけた表情、そして自らの人生を決した最後の表情、これらもまた、それまでと変わらずに「無」ではあります。が、そこには彼女の心の移り変わりが実に見事に描き出されていました。この部分の演技・演出というものは、率直に極めて高度なクオリティの仕事だったと思っています。  本質はごくシンプルなテーマを擁する作品で、尺も非常にコンパクトでありますが、これほどまでに意味の深い「旅」というものを描いたロード・ムービーというのは他にあるのでしょうか(フェリーニの『道』も思い起こされますが、あれよりも更にエッセンシャルだ、とでも言いますか)。モノクロで絵画的(静物画的)な映像のエレガントさも含めて、眩いばかりに透きとおった風情を全体に纏いながらも、この上無く濃密である、という映画です。傑作かと。
[DVD(字幕)] 9点(2021-03-18 02:10:30)
20.  犬神の悪霊 《ネタバレ》 
いや完成度という意味では、決して褒められたモンじゃない作品なのは確かですよ。ただ、この行き当りばったり感というかチグハグ感というか支離滅裂かげんというものについて、これが何故にこーなったのかを考えるのはホラー愛好者としては中々に面白いことであったりもするのですよね。あと単純に、こんなホラー世界中探しても今作くらいしかないでしょうし、今後こんなのがつくられる可能性も限りなく低いでしょう。その意味では、あくまで珍品としての鑑賞価値というものは今後も衰えることもないものか、とも思ったり。  まず本作、質感としては(現代劇ながら)50~60年代の「怪談」系の邦画ホラー映画の影響を色濃く残すというか、ショック描写その他にしても諸々矢鱈とおどろおどろしいです(正直あまり怖くありません)。同時に妙にややっこしい(その一方でイマイチ繋がりの悪い)展開運びも、我が国古来の怪談ばなしをどこか想起させるというか。落語や講談の世界に残る「怪談」というのを幾つか聴いてみても思いますが、この国のソレの根底にあるのはただ「怨念」なのであって、その怨みつらみに重みを与えるべく、とでもいうか、その手の怪談というのは思いのほか筋が複雑なのですよね(有名な部分というのはごくダイジェスト的に切り抜かれたものだったり、という)。  ド初っ端からウランがどーたらゆってたりちょっと風変わりな作品にも見えますが、根本的な部分は色々と実に古典的で日本的な作品だと思うのですよ。その今作がある種「失敗」している最大の要因は、コッチが恐らく70年代の洋画オカルトホラー(『エクソシスト』とか『オーメン』とか)の影響なのでしょうが、より迫力・凄みのある描写をしこたま入れてやろうという強い目的意識と、それをこの日本的怪談ばなしとどう整合させるかというノウハウの欠如、ということなのでしょうね(その部分について、割かし気合の入った製作だということも完全に裏目に出ていますね)。本作のショック描写というものは所謂ホラーのソレではなく(少なくとも後にJホラーという形で価値あるものとして結実したソレではなく)、なにか別のジャンル(アクションとかカンフーとか任侠ヴァイオレンスとか)のものになってしまっているのですよ(何故か爆発シーンも多かったりとか、ラストのアレとかもそーですし)。結果、スゴくチグハグで統一感の無い作品になってしまっている、ということですね(もちろん、現代のホラーに観られる「人を怖がらせるために必要なノウハウとしての統一感」が無い、という意味です)。  以上、駄文はご容赦願いたいですが、結論です。重ねて本作、珍品枠あるいはホラーのお勉強として観る分には大変参考になる作品かと思います。エロシーンも(中盤までは)結構多いので、普通に観るにも全く無価値、というワケではないですし。
[DVD(邦画)] 5点(2020-12-30 23:03:18)
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