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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2260
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  シムソンズ
少なからず本作をなめていました。「カーリング娘」こと「チーム青森」人気にあやかったブーム便乗作品であると。美少女を主役に配し、彼女ら目当ての男性客を見込んだ作品であると。事実、そういう側面を持った作品だとは思います。しかしだからといって、作品の質が低いと決め付けるのは大きな間違いだと知りました。何といっても4人娘が素晴らしい!正直彼女たちが役者として上手いのかどうかは分かりません。でもハツラツとしています。表情も豊か。嫌味がありません。大泉洋をはじめ、脇を固める役者陣もみな味がある。ストーリーに意外性はありませんが、丁寧にドラマをつくっている印象。4人がちゃんと悩んで、自ら答えを出していきます。カーリングの描写も然り。地道な努力をしっかり見せること。スポーツ作品で一番大切なことが守られていました(最近、これが欠けている作品がホントに多い)。カーリングに対する愛情、地元北海道に対する敬意も感じます。作品に気負いがなく自然体。だから爽やか。元気が出ます。大いに笑えて素直に泣ける、上質なスポーツ青春ムービーでした。これから何度も観ることになるでしょう。本作に携わった全ての人に感謝したい、握手してまわりたい、そんな作品でした。
[DVD(邦画)] 10点(2006-12-04 17:52:22)(良:4票)
2.  純喫茶磯辺 《ネタバレ》 
ブラマヨ小杉ではありませんが『俺の気持ちもてあそぶやん!』と大声で叫びたい気持ち。前半は小気味いいギャグを連発し観客の心のガードをガラ開きにさせておいて、中盤以降グイグイと監督お得意のエグいのを入れてくる。親父、娘、ヤリマンの切ない気持ちが入り乱れる修羅場の最中、わき腹をくすぐる『もしかしてあなた九州の人?いえポルトガル人です』を放り込んでくる監督の悪ノリぶり。もう、大好きだ!!もちろん意地悪いだけでなく、ちゃんと物語のツボを心得ているのもニクイ限り。田舎へ帰るというヤリマンからの手紙。親父はやせ我慢でそ知らぬふり。そこで一旦、代わりに娘を走らせておいて、(走るのはお前じゃないだろう!と観客に突っ込ませておいて)きっちり親父を走らせるお約束。くぅ~泣かせるねえ。でもこの恋を成就させないのが監督の流儀。心得ていますよ。1年後のシーケンスは本来ならいらない。でも監督は観客に甘い幻想を抱かせることはさせない。キッチリ落とし前をつけ、それでいて一歩前へ進ませる。純喫茶磯辺は失敗だった。当然の成り行き。でもだからと言ってあの喫茶店が無かった人生を考えてみると寂しい気がする。痛い経験も、恥ずい思い出も、死ぬ手前になりゃみんな同じ宝物。何も無いより100倍は得でしょうよ。誰の心の中にだって、純喫茶磯辺は眠っているんじゃないかな。とくに思春期あたりに。自分の場合は当分鍵を掛けておきますけども(笑)。それにしても監督は役者の長所を引き出すのが滅法上手い。宮迫は味出しまくりだし、仲や麻生の肩の力の抜け具合が絶妙でした。愛すべき人物に囲まれた物語は観ていて最高に気持ちいいです。楽しかった!(注意)本文中にあるヤリマンとは麻生久美子嬢のことであります。念のため。
[DVD(邦画)] 9点(2010-06-27 19:11:38)(良:2票)
3.  少年メリケンサック 《ネタバレ》 
劇場鑑賞後の帰り道の話。自分の前を一組のカップルが歩いていた。ズボンがずり下がってパンツが見えそうな男。靴の踵は潰していた。しきりに女のうなじを撫でている。とりあえず延髄切りを食らわすことにした。腹が空いたのでラーメン屋へ入った。「本場博多とんこつ」と暖簾にある。隣の席のカップルの会話。「私軽め目に、トンコツじゃなくて醤油にしとくわ。セットは唐揚げごはんね」「僕もあんまりお腹空いてないから野菜ラーメンにする」2人の額を紅生姜色に染めることにした。これは実話です(ごく一部フィクション)。普段はこの程度でムカついたりしない。身が持たないから。それに、どちらかと言うと『少年アラモード』系な自分ですから。でも本作に触れて素直になれた気がする(暴力映画に感化されたとも言う)。「パンク」の定義は知らないけれど、映画を通じて感じた「パンク」はこういうこと。キザな言い方をすれば“心の開放”。叫んで、跳ねて、心を軽くしよう。そういう意味では、気持ちのいい映画はみんな「パンク」なんだと思う。中年男たちの醜態がどうしようもなく愛おしくて、主人公の境遇に同情しつつも羨ましくて、『ニューヨークマラソン』の歌詞に涙を流して笑った。ヤングはイイ奴だと思ったし、TELYAには本気で惚れた。アンドロメダのフレーズが耳から離れません。そうそう、久々にペヤ○グを食べてみました。死ぬほど美味かった。観終えて笑顔になれました。それで十分。だから声を大にして言いたい。好きです!『少年メリケンサック』!可愛いぞ!宮崎あおい!許します!障害手当不正受給!嘘です!
[映画館(邦画)] 9点(2009-03-10 19:25:05)(笑:2票)
4.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 
小洒落たタイトル、妻夫木くんが主演、池脇千鶴のヌードの話題先行など、個人的に食指が動かない作品でした。(すいません。嘘です。最後のセンテンスには興味津々です。)でも観てみるとコレが自分のツボ。もう大好き。ほんとに好き。妻夫木を初めて上手いと思いましたし、池脇も魅力的でした。ばあちゃん、板尾、「いてまうど」の兄ちゃん、荒川良々等の濃いキャラも旨味を発揮していました。重いテーマですが、物語と向き合わせる手法に長けていたと思います。死別や結婚という安易な結末に逃げなかったのも好印象。とくにジョゼの気持ちが心に沁みます。動物園で虎の見学。恐怖に対峙したときに、自分を守ってくれる人がいること。これほど心安らかなことはありません。でもこの幸せが長く続かないことも彼女は承知しています。いずれ彼は去っていく。だから車椅子を買おうとしなかった。少しでも長く彼の背中に触れていたいから。乳母車を新調しなかったのも、押してくれる人がいなくなるのを知っていたから。彼女が妻夫木に言う「私をおぶえ」という台詞。それは遠まわしなプロポーズでもあったと思います。頭では彼との別れを予期していたとしても、幸せな結婚生活を夢見ないはずがありません。しかし彼女の願いは叶わなかった。その直後のシーンもたまらない。トイレに入ったジョゼを覗く妻夫木。彼女は「あっち向いてて」と言います。「出て行って」ではなく。その想いに胸がつまります。水族館で見られなかったお魚たちをラブホテルの映写装置で見る彼女。自由に泳ぐ魚たちの中で、至福の時を過ごすジョゼ。貝殻ベットの中の彼女は、まるで人魚姫。幸せを知ってしまった彼女は、もう海の底へは戻れないと言います。彼と過ごした日々を受け止めようとする彼女。切ないほどに強い。いや、強くあろうとする姿に心打たれます。それに比べると男のほうは情けない。でも彼を責める気にはなれません。彼が怖気づいたのも分かる。彼は彼が思う幸せを求めて生きていくでしょう。でも心の傷はずっと残るはずです。それも仕方がない。悲しいこと、苦しいこと、切ないこと。人生には嫌なことの方が多いかもしれない。でもそれを知らずして、幸せを知ることもありません。ラストは料理をするジョゼの姿。食べることは生きること。海の底とは違う世界を、喜びも悲しみもある世界を、彼女はこれから生きていく。ジョゼは死を選ばなかった人魚姫です。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2007-06-18 18:02:04)(良:9票)
5.  ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 
ゾンビ映画は数々あれど、本作ほど“ゾンビとは何?”という問いに明確に答えている映画は無いと思う。いや、おバカ映画ですよ。くだらないです。それは胸を張って言える。でも一周すると、いろんなものが見えてくる。それが何とも楽しい。例によって原因不明のまま、いつの間にかゾンビで溢れる世界。圧倒的に人間の能力のほうが上なのに、多数に圧倒されて食われてしまう。これって実生活でも経験している気がする。多数決で負けたり、世論に流されたり。理不尽なことも多い。人間は群れると、集団という別の生き物に変わります。大いなる意思に従い、盲目的に動かされる。まさにゾンビだと思う。それが、人間という生き物の本質だと言われているよう。結末も皮肉が効いています。でも本作では終始一貫、人間とゾンビを並列に扱っています。ゾンビも人間も否定していない。愛すべき存在として受け入れています。エドなんか、生前の生活とちっとも変わっていません。人に対する優しさがある。だから嫌味がない。屈託なく笑えるのだと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2006-04-16 19:52:32)(良:3票)
6.  下妻物語 《ネタバレ》 
本作をとても心地よく、そして清々しく感じるのは、主人公に思い入れが出来たからだと思います。自分も2人と同じ。もちろん、かつて美少女だったわけでも、ヤンキーやゴスロリファッション愛好者だったわけでもありません。同じなのは孤独だということ。人は誰かと共にいることを願う生き物。飾りなく言うなら「社会生活を営む動物の性」。その願いの形が「友人」です。強制的に所属する「家族」や、生殖活動を伴う「恋人」とは少し違います。しかしこの願いは、なかなか叶いません。望む友には簡単に出会えません。でも一人ではいられません。ですからとりあえず数多くの友を得ようとします。質より量で勝負。でも本作の主人公2人はそれをしません。そういう生き方をしてこなかったのです。不器用なのでしょう。桃子はファッションに、イチゴは単車と族に傾倒することで、心のバランスを保っていました。でもそれは代替手段でしかありません。イチゴのいた族も彼女の心を満たすものではなくなりました。やはり心の隙を埋められるのは友達。それも本当に信じられる友なのだと思います。親友、いや真友とめぐり合えた2人。清々しくも羨ましいお話でした。独創的な青春コメディを見事に体現した主役2人。土屋アンナは確かに良かったですが、個人的には深田恭子の方が印象に残りました。まだ役を選びますが、はまった時の爆発力が深田にはあります。今後の日本映画界に必要不可欠な女優になってくれることでしょう。笑って感動でき、何度も観たいと思う作品にはなかなか出会えないもの。オッサンが年端の行かない小娘に共感してしまう。それだけで結構凄いことだと思います。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-04-16 19:30:23)(良:3票)
7.  重力ピエロ 《ネタバレ》 
人は規則に従って生きている。社会活動の規範は法律。人としての在り方を示す道徳。そして自分の中のルール。罪を犯した葛城は、一度法によって裁かれました。しかし彼は意に介していない。彼のルールでは、何ら自身に非は無いから。魚を盗ったノラ猫を窃盗罪で起訴するのは無理な話。真に葛城を裁けるのは、彼が認めるルールのみです。それを見極めるために春は何度も葛城に会った。回りくどい遣り方で彼の良心に問い掛けた。自認するスタンダードで“正当に”裁かれた葛城については、この際どうでもいい。問題は春です。葛城が言う「自分の心は痛まない」は、春にも当てはまるのか。答えはおそらくYES。春に潜む凶暴性は、父の血を引いている。ただし、彼にはもう一人父親がいます。唐突に“降ってきた”命を全身全霊で受け止めた男。誹謗や蔑みを恐れぬ強い心を持った男。奥野の選択を道化と揶揄する人もいる。でも凄い事を凄いと思わせない事が、いちばん凄いこと。ピエロは笑っているから最強なのです。奥野もまた、自分のルールを持った人間でした。葛城と同じです。違うのは自分のルールに従う理由。強いから従うのか、弱いから従うのか。春のはにかんだような笑顔は、どちらの父親に似ているのでしょう。キャスティングについて。加瀬と岡田については文句なし。それぞれの血を引く父親、小日向と渡部との相性も抜群です。ただ、若き日の小日向にヅラを被せた事や、年増の鈴木京香には違和感がありました。若作りする必要は?でも観終わって納得。この夫婦の年齢は物語に深みを与える重要なファクターと考えます。養蜂にも意味がある。ミツバチの生態が奥野家の姿と重なります。遠心分離機の2枚の巣板は、DNAの二重螺旋の暗示か。奥野正志の生き方を象徴するような優しい音楽の使い方もいいです。細部まで創りこんだ映画。素晴らしい。
[映画館(邦画)] 8点(2009-05-27 18:25:49)(良:1票)
8.  幸福のスイッチ 《ネタバレ》 
口を開けば文句ばかり。プライドだけは一人前。世間知らずもいいところ。上野を観ていると腹が立ちます。でもちょっと苦くて、むず痒い。自分自身を観ているようだから。間違いなく、ああいう時期が自分にもあった。というか、今もその傾向が無いとは言えません。なんともお恥ずかしい限り。だから彼女の気持ちや考え方はよく分かる。電気屋は家電製品を売るのが仕事。部屋の模様替えなんかに付き合っていられるか。ごもっとも。でもそれは普通の電気屋の考え方。それではライバル店には勝てません。ジュリー夫妻は開店当初、顧客開拓のために町内の家々を全て回ったという。さらに“売った製品の面倒は最後までみる“というポリシーを貫いてきた。他の店がやらないこと。だから価値がある。量販店が他では出せない低価格で製品を提供するのと同じ発想。商売で成功する秘訣をジュリーは知っている。しかもその仕事に喜びを感じ、みんなから感謝されている。こんなに素晴らしいことはない。外面の天才?それがどんなに凄いことか。学校の勉強では教えてくれないこと、経験して初めて分かることがある。彼女は直に電気屋の仕事に触れることで、ジュリーの偉大さに気付いたはずです。(もっとも素直にそう思えるまでは、もう少し時間が必要かと思いますが。)幸せのスイッチは”気付くこと“だと思う。それは大人の入り口にある灯り。人生を照らすひかり。彼女は今、パチンとスイッチを入れました。
[DVD(邦画)] 8点(2007-12-06 18:23:08)(良:3票)
9.  自虐の詩 《ネタバレ》 
中谷主演や類似設定ゆえ、『嫌われ松子の一生』との比較は避けられない本作。コメディ色が強い前半は同監督の『トリック』を、不幸話が続く中盤から終盤にかけては、確かに『松子』を彷彿とさせます。シンボルシーンのちゃぶ台返しは序盤に集中。バリエーションを付けて楽しませてくれます。阿部の顔はそれだけで“勝ち”みたいなものだし、遠藤憲一も巧い。堤節が楽しめるコメディパートは概ね上々の出来。笑いはOKです。ただし“泣き”の方はパッとしません。『松子』で培った中谷の演技をはじめ、役者陣は申し分なかっただけに、演出・脚本面での不手際が感じられます。幸江の過去の回想場面は冗長で中弛み。シリアスモードに水を差す阿部のロン毛。熊本さんとの後日談も取って付けたような。完成度という尺度で『松子』と比較するのは相当厳しい。DVDレンタルやテレビ放映等が済んだ頃の評価は、5~6点台で落ち着くと思います。でも自分は本作が好き。大好きです。エンドクレジット、海に漂う大量のクラゲを見つめながら胸に込み上げるものがありました。(※クラゲは黒沢清監督の某作と同じ比喩表現。でも物語に取り込めておらず、これまた使い方は下手です。)ラスト赤子を抱えて寄り添うイサオと幸江。「幸も不幸も関係ない」「人生には明らかに意味がある」そんな当たり前の事を言葉に出すのは恥ずかしい。でも本作のように下手な映画はそれでいい。不粋なやり方でも観客の心に届けばいい。シチュエーションで泣かされていると思います。多分に主題歌の影響もある。原作が素晴らしいのでしょう。そうだとしても構いません。冷静に映画を分析するよりも、素直に自分の心と向き合うほうがきっと幸せ。自分の人生が愛おしく思える。そんな映画はダメじゃない。下手くそだけど、いい映画だと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2007-10-30 18:28:25)(良:2票)
10.  死にぞこないの青 《ネタバレ》 
スケープゴートを利用した集団統制手法は、費用対効果に優れています。僅かな犠牲で強固な団結。隣国では国策として採用していますし、日常生活の中でも多かれ少なかれ目にするはずです。残念ながら。おそらく先生の「誰でもよかった」「人の目が怖かった」は真実でしょう。ただし蛮行に至った原因を“幼少期のトラウマ”に求めるのは誤りです。“辛い経験をした者は犯罪に走る”なんて失礼な理論が通用するものですか。トラウマの仕業にすれば自我が守られるから。自分を善人と思い込みたいから。それだけです。それに彼は歯向かう山羊に業を煮やして、本気で殺そうと(!)しました。これは挫折を知らぬ完璧主義者の思考。クラス運営の試行錯誤なく、赴任当初から生贄を選んでいる点からも、彼に情状酌量の余地は無いと考えます。教師主導で生贄政策を取られた場合、被害者が抗うのはほぼ不可能です。さらにあの年頃では、親の問題介入を拒むもの。狭い了見と閉じた世界で、全てが完結してしまう恐ろしさが在りました。そんなマサオの大ピンチを救ったのが“アオ”と名乗る少女。正体は亡くなった姉。幽霊か、少年の心が作り出した幻か。いずれにしても彼は、孤独から逃れました。今回はお姉ちゃんが助けてくれましたが、次回はありません。窮地に陥った時助けを請う人を確保しておくのは、人生の重要課題のひとつ。もし、両親がアテにならないのなら、他に頼れる人を探しておかなくはいけません。結末について。初めは生温い決着に憤りました。社会的に抹殺してやれと。しかし、マサオがイジメの被害を立証するのは意外と困難です。それに追い込むと暴発する輩なのは実証済み。心理的に優位に立った今、あえて奴に逃げ道を与えたのは賢明だったかもしれません。修羅場を潜り抜け、少年は自信を得たでしょう。全てが好転した様子。ただし今回は相手が愚かでした。ツキもありました。ですから決して大人を驕ることなかれ。一人で問題を解決する事が自立ではありません。狡猾な悪人は掃いて捨てるほどいますから。
[DVD(邦画)] 7点(2014-08-21 18:58:07)(良:1票)
11.  11:46 《ネタバレ》 
邦題からも推測できるように、ヒット作(?)『0:34』と同じく地下鉄構内を舞台としたホラーサスペンス。有名作品あやかり系ゆえ、正直期待値は低かったのですが、それが幸いしたのか予想外に楽しめました。脅かしや無闇な血飛沫等、恐怖演出自体は平凡ですが、“狂集団から逃れて地下鉄構内から脱出しろ!”という目的が単純明快なので感情移入し易い。体裁としては『ゾンビ』と変わりませんが、敵がカルト教団というところがミソ。信者の中には年端のいかない子供も多く、敵の主な武器は短剣。殺傷能力は高くない。「危険だから戦いたくない」というより、「殺したくないから戦いたくない」という心理が働きます。このあたりの微妙な差異が、物語に綾を生みます。本作では比較的アッサリ処理されている部分ですが、もっと膨らませても面白かったと思いました。すわ予言は真実だったのか?!というラストですが、これは見事なミスリード。詳しくは↓【いぬきよ】さんが丁寧に解説して下さっていますので割愛しますが、初見だと真相に気づかないかもしれない。なかなか手が込んでいます。個人的には『0:34』より本作の方が面白かった。掘り出しものでした。
[DVD(吹替)] 7点(2011-03-27 20:20:29)
12.  シャッフル(2007) 《ネタバレ》 
「何故シャッフルが起きたのか?」という疑問については、サンドラとの会話の中で神父が答えてくれています。「この世には不思議な事がある。それは神の力だ」と。神様はサンドラに猶予を与えた。大切なものに気づくための1週間の時間。“失う前に気づけ“ということです。結果、彼女は夫の気持ちを取り戻す事が出来ました。ただ残念なことに、神様は悲しい結末までは変えてくれなかった。しかしこれは仕方がないこと。覆水は盆に返らないのだから。それは解る。けれど、事故の間際は奇跡を信じて止みませんでした。辛かった。死ぬ前に夫の愛を取り戻しただけで、感謝しなくてはならないのでしょう。夫も十分なお金を残してくれました。そう、シャッフルを経験したのは、サンドラだけではなかったのかもしれない…。そもそも、主人公の不思議な体験は、現実に起きたことでしょうか。実は判断ができないと思う。デジャブや夢、妄想の可能性も多分に在る。でも、そこが本作の長所です。重要なのは「気づく」こと。別に奇妙な経験をしなくても、その気になれば誰だって、大切なものに気づけるのです。この映画を観た人はそのキッカケを掴んだはず。それが本作の隠された希望であり、メッセージだと感じました。運命の最終日の緊張感は上々だったものの、それ以外は意外なほど淡白に過ぎていきます。彼女の身になってみれば納得できますし、「何も出来ない」事自体に意味があるものの、観ている方のテンションは上がり難い。それが本作の評価が芳しくない一因かと。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-14 19:14:22)
13.  守護天使 《ネタバレ》 
寺島しのぶ、佐々木蔵之介、柄本佑は出色の出来ばえ。文句なしの見事な人物造形でした。俳優が本職でない日村や主演の竹山も持ち味を発揮してくれました。本作に見応えを感じられるのは、役者の頑張りがあったればこそ。これで脚本がスマートだったら傑作に化けたのではないかと。作品の体裁は、ラブサスペンスコメディ。ハラハラ、ゲラゲラ、最後にキュンがお約束。ところが、どうにもお話の波に乗れません。最初のつまづきは、竹山の恋に説得力が無いことです。“たまたま電車で見かけた気になる女子高生が、自分にも親切にしてくれた”だけでは、動機としては物足りない。現実逃避の恋愛だとしても、観客が彼を応援したくなる仕掛けが欲しい。サスペンス要素もイマイチです。連続女子バラバラ殺人なんて、コメディには荷が重い。汐里ちゃんが暴漢に拉致されてから居所を発見するまでの時間は長過ぎました。結果的に無事ならOKという話ではありません。手をこまねいていた時間は、自らの無力さを知らされる時間。辛いです。新聞配達員を捜索に使うアイデアは良いのですから、繋ぎの努力を主人公にさせて欲しかった。クライマックスは竹山がヒーローだと判明する場面。胸のケイタイはカラータイマー、被ったポリ袋はウルトラマンのボディの見立てでしょう。でも、ちょっと判り辛い。やはり芸人の正装は素っ裸。白ブリーフ一丁で勝負して欲しかった。そもそも何故竹山はウルトラマンが好きなのか説明が欲しい。自分の採点基準では4~5点相当が妥当。でも最後の最後で、うっちゃられました。「あの人は私の初恋の人です」。嫁の告白に涙しました。現実にはこんなクサイ台詞を吐く人などいない。でも物語的には、この台詞以外考えられない。難病の子供の守護者は汐里ちゃんで、汐里ちゃんの守護者は竹山で、そして竹山の守護者は嫁さんだった。みんな誰かに、護り護られ、恋し恋され、生きている。グッときました。終わり良ければ全てよしってことで。まあ結局は、寺島しのぶがオイシイところを全部持っていっちゃったワケなんですが。
[DVD(邦画)] 7点(2010-07-09 21:21:38)
14.  少林サッカー 《ネタバレ》 
ここまで徹底してバカをやられると清々しいです。ドリフ風ベタなコントの数々や、悪ノリギャグには結構笑いました。賞賛したい気持ちはあります。満点をつけておられるレビュワー様が多いのにも頷けます。ただ、手放しで受け入れられない気持ちもある。それは主役2人の恋物語について。ヒロインのニキビ顔は、一般的には美しいとは言い難いもの。でも主人公は彼女を美人だと言う。お世辞でも何でもなく、心からそう思っているのが分かります。さえない兄弟弟子達や、ボロボロのシューズからも“見た目は関係ない”というメッセージが受け取れます。でも、決勝戦に駆けつけたヒロインからは、キレイさっぱりニキビが消えている。これはどういうこと?画的にニキビ顔は辛かったのでしょうか。いずれにしろ、彼女からニキビを取るのは失礼だと思う。あのニキビも含めて彼女は彼女。主人公の言うとおり魅力的です。ここで彼女の容姿を気にするくらいなら、最初からニキビ顔の設定は必要なかったと思います。ボロボロシューズのヒーローに、ニキビ顔のヒロインで十分素敵。なんか理屈っぽくてすいません。
[DVD(字幕)] 7点(2008-03-21 18:40:14)(良:1票)
15.  しゃべれども しゃべれども 《ネタバレ》 
キャストが素晴らしい。伊東四郎に国分太一。本物の噺家のような見事な落語に聞き惚れました。役者も歌手も噺家と同じ芸事の道。落語家の雰囲気の纏いぶりがお見事でした。素人弟子トリオにも味がある。中でも香理奈。モデル出身と侮る無かれ。今後の活躍を大いに期待できる女優さんだと思いました。脚本も淀みない。劇的なエピソードこそ無いものの、ちゃんと各人の心に小波を立てています。テーマ「想いを伝えることの難しさと喜び」が感じ取れました。とても観易かった。取り立てて不満はありませんが、気になった点を一つ挙げます。一門独演会が大きな山場。ここで太一の成長ぶりを見せる必要があります。人に教えることは、自分を成長させることでもある。でも分かり難い。確かに熱演ではあるけれど、どこが以前と違うのか、どこが「太一ならではの火焔太鼓」なのか、素人目には判断がつきません。ポイントを絞った、メリハリのある表現をして欲しいと感じました。どうやら4人とも、自分の想いを伝える第1歩を踏み出すことが出来ました。でもまだまだ序の口。いや前座。これから精進して、それぞれの道で真打を目指します。今回の件で、一番大きなものを手に入れたのはやっぱり太一でしょうか。香理奈ゲットは妬けますな。
[DVD(邦画)] 7点(2008-02-24 19:12:15)
16.  ジャケット 《ネタバレ》 
この作品、好きです。本当は銃で頭を撃たれた時に死んでいたはずの主人公。しかし神様は彼にロスタイムと未来に行くすべを与えた。自分の死については抗わず、あくまで愛する人の未来のために残された時間を使う主人公に心動かされます。しかし設定、描写ともに粗い。よくいえば観客の想像に委ねているということですが…単純に説明不足の気がします。料理でいえば、素材(キャスト)もよく、調理方法(アイデア)もよいのに、味付け(演出)が薄いという感じ。ほんの一つまみの塩(必要な描写と理由付け)があれば絶品に仕上がっていたと思います(ただ、2度3度観るとその“塩分”を感じるかもしれません)。また個人的には、悲劇を回避する手段にひと工夫が欲しいと思いました(お母さんが本当に素直。他人の話を信じすぎ)。逆に、エンディングで、警官を撃った犯人について、さらりと流す程度の描写は大好きです(物語の中で明確な罰を与えたくなるのにそれをせず、かといってあなたの行いは忘れていませんよという描写は品良く上手い)。バタフライエフェクトと似ており、またバタの方がよく出来ているとも思いますが、個人的には本作のほうが好みです。ラストでは切なさよりも安心立命感が勝りました。もう一度観たい作品です。
[映画館(字幕)] 7点(2006-05-22 17:41:05)(良:1票)
17.  湿地 《ネタバレ》 
作品登録の際に知ったのですが、原作小説は「このミステリーが凄い」選出だそう。なるほど言われてみればそんな感じ。濃い人間模様あり。社会派の一面もあり。一筋縄ではいかない構成のトリッキーさも勿論あります。ほどほどに胸糞なところも、らしいなあと。ただし、観終えてみればストーリーは明快で、消化不良はありません。日本人にとっては、馴染みがない人名を覚えるのが一番厄介かもしれません。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-15 21:21:17)
18.  G.I.ジョー(2009)
中身ゼロ。子供向け。だが、それが素晴らしい。アメリカのブロックバスターはこうあるべし。パリ市内、エッフェル塔へ向かうカーチェイスの見応えは抜群でした。このシークエンスだけでも本作を観る価値があるというもの。劇場の大スクリーンで観られた方は勝ち組ですね。これだけ製作費をかけた“映像のご馳走”を頂戴出来ることがどんなに幸せなことか。映画ライフが豊かになります。有難うございます。
[地上波(吹替)] 6点(2013-06-19 21:43:18)
19.  シェルター 《ネタバレ》 
(いきなりネタバレあります。ご注意ください。)  『シェルターさんが「あなたは神を信じますか?」と訊ねてきたなら、「私は神の僕です」と答えなければならない。もし無神論者だと告げようものなら、背中を斬られ、口から泥を吐き、7日以内に魂を吸い取られてしまうだろう。シェルターさんは若い男。又は少女とする説もある。』物語を都市伝説風に言うならこんな感じ。牧師は婆さんに操られているだけなので、主人公が呪術主の婆さんに救いを求めた方向性は正しいです。でも婆さんがすんなり術を解くはずもありません。そんなタマじゃない。ここで婆さんを殺していたらどうだったでしょうか。術が解除されれば勿論OKだし、死後も呪いが継続するようなら、もう打つ手はありません。ここが娘救出のラストチャンスだったと考えます。牧師から娘へデビッドの魂の移動が確認された今、主人公の対応は大変難しいものとなりました。呪いは解除されたのか?娘の魂は残っているのか?この後味の悪さは、悪くありません。
[DVD(字幕)] 6点(2011-12-24 23:41:30)(良:1票)
20.  呪怨 白い老女 《ネタバレ》 
驚きに感情が付帯するメカニズムを考えた場合、「笑い」と「恐怖」は実は近い関係にあることが分かります。ご指摘のレビュワー様もおられるように、物語の体裁はギャグ・コメディと酷似しています。例えば老女が手にするアイテムが“包丁”“蝋燭”“日本人形”であれば、判り易く「恐怖」サイドに寄りますし、“へちま”“カツ丼”“週刊大衆”ならば「笑い」で問題ないでしょう。匙加減一つで、ホラーにもコメディにも化ける。そういう意味では、“バスケットボール”を選択したセンスは悪く無いと感じました。とりあえず観客は戸惑います。純粋に意図が分からない。いわゆる、不条理です。『呪怨』は、この不条理を恐怖に転化することを基本様式とした作品だったと考えます。第1エピソード、「は~い。今手が放せないの。すぐ行きますから」は、条理が次第に不条理へと変化していくパターン。上手いし、怖い。ただし不条理描写に特化した結果、奥行きの無い恐怖しか生まなくなったのが『呪怨』の弱点でもありました。本作では“白い老女”の役割についてあまり考慮されていないのが難点です。単なる驚かし要員に見えてしまう。本当は違うのに。老女は孫を気に掛けていました。一度ロリコン男から少女を救っています。その思いをちゃんと観客に届けられれば、老女の登場場面に付加価値が出ます。痴呆による徘徊と見紛うのは、あまりに不憫な話。バスケットボールにしても、ロリコン男の所有物、切断した頭部のメタファー以外に、もう一つ観客の心動かす意味づけが欲しいところ。ワンランク上のホラー目指すなら、物語で観客を魅了する必要があると考えます。
[DVD(邦画)] 6点(2011-11-27 19:25:02)(良:3票)
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