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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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21.  少年メリケンサック
微妙。でも宮崎あおいのぶりっこ演技はとってもキュート。そのヒロインがおっさんバンドのメンバーらと悲喜交々のドラマを見せてゆくのだが、そういったお話の定番的展開としてある男女の恋愛関係へと発展する匂いを全く感じさせないのも良い。それどころか乙女チックな宮崎を下品な渦に放り込む。佐藤浩市は「ちんこデカイのか」を連呼する。映される対象が変わっても小さく「ちんこデカイのか」が入ってるのには笑った。宮崎の「ゆれませんが!」にも笑った。ということでそれなりに楽しませてもらったわけだけれどもこの過激な会話はそこに乙女チックな宮崎がいるから過激になるのであって、そこに笑いも生まれるしテンポもよくなる。でも宮崎不在だといきなりトーンダウン。兄弟のいざこざとか全然つまらない。ガンガンいくかと思ったら急につまづく。ノリノリだと思わせて全然のれない。ということで冒頭の言葉に戻る。微妙。
[DVD(字幕)] 4点(2011-02-24 17:50:34)(良:1票)
22.  死への逃避行
めずらしく(?)狂乱しない美しきイザベル・アジャーニがただ息をするかのように人を殺してゆく。そこに狂気は見えない。狂気を見せるのはむしろアジャーニを追う探偵。ところどころちぐはぐとした物語はもしかしたら探偵の妄想・・。そうであるかのようにどこか悪夢めいている。その悪夢の住人としてあまりにはまるアジャーニ。あまりにきまるコスプレ。美しさがはかなさを助長する。切なさを増幅させる。ああ、再見したいがどこにも置いてない(涙)。ちなみに盲目の建築家だったか、彼に話した女の過去に登場する父親はムルナウ『最後の人』そのまんまだ。(『最後の人』のハッピーエンドは後から付け足されたもの)
[ビデオ(字幕)] 7点(2010-12-24 16:09:05)
23.  シルビアのいる街で
カフェの一見リアルな喧騒は、でもしかし主人公の視点と思われるカメラ、つまり我々の側をじっと見つめる女といういくつかのカットによってどこか虚構じみたものに変貌してゆく。音が格別に印象付けられた中で迷路のような街をさまよい歩くシーンもまた然り。カフェの女たちが街にもいることで決定的となる夢の世界。電車の窓がスクリーンと化すのはここが虚構の世界であることを強調しているのだろうか。ユーカラさんが書いておられるように演出が見えすぎているところが確かにあるんだけど、これもまた作られた世界、虚構性を明確にするためではなかろうか。なにせここに映っている風は大袈裟に自己主張していて、こんな風、現実の世界には絶対にないのだから。『シルビアのいる街で』は物語を膨らませなくとも演出でいくらでも映画が豊かになることを証明している。
[映画館(字幕)] 7点(2010-11-09 11:26:21)
24.  昭和おんな博徒
江波杏子があまり好きではなかったのだが映画が始まってすぐの雨の中の佇まいにいきなり惚れた。まあ映し方もうまいんだろう。雨は笠で江波を隠すために降っているのだろう。で、その顔が映されるときに一種の高揚が得られるようになっている。ついでというわけではないが、天知茂の病床の女房役の松平純子って人は全然知らなかったんだけど、惚れた。病床なのにあの艶っぽさといったら! 私が惚れっぽいわけじゃない。本作と同じく蒸気機関車を超間近ローアングルでとらえた画を持つ『花と龍 青雲篇・愛憎篇・怒濤篇』ではやはりそれまで意識することもなかった香山美子に惚れ、『車夫遊侠伝 喧嘩辰』では怒った顔のアップばかりの桜町弘子に惚れたわけだから、たぶん加藤泰の仕業である。そんな凛とした江波に惚れるのは私ばかりではない。江波の一途で仁義に熱い生き様に惚れたことを証明する天知が発する「姐さん」という呼び方にゾクーーっとした。最後の一人に落とし前をつけるその場所に登場するシーンにゾクゾクーーっとした。そのかっこいい女が生まれるためには前半のみ出演の松方弘樹がどこまでもかっこいい男でなきゃいけないわけだが、そこは流石、風格が漂ってます。
[映画館(邦画)] 7点(2010-10-27 17:06:16)(良:1票)
25.  地獄の逃避行
5年後の『天国の日々』で伝説の監督になっちゃって、さらに20年沈黙後『シン・レッド・ライン』を作るんだけど、その『シン・レッド・ライン』は結局のところこのデビュー作『地獄の逃避行』とやってることは同じだったんだとコレ見て思った。狂気を狂気っぽく描かない。殺人の背景とか心の闇だとか一切描かない。殺人のシーンはそれぞれが衝撃的であるが、何が衝撃かっていうとあまりに簡単にその行為が成されているってことに尽きる。映画は男が何を思い何を考えているかを映そうとはしない。それは映らないから。映せるのは行動だけ。それが映画なのだ。そしてテレンス・マリックはその行為が成された場所を映す。そこでどんな異常なことが行われていようと地球はそんなことに関わりなく美しくそこに存在し続ける。というか、どんな狂気をもちっぽけなものにしちゃう。何やったって釈迦の手の中でしかない、みたいな。その美しい景色たちが『シン・レッド・ライン』ほどに雄弁でないところがまたいい。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-29 15:44:52)(良:2票)
26.  ジャンパー
なぜにこれほど酷評されるのかわからない。けして絶賛するつもりもないんだけど。感情移入できないとか共感できないとかという意見の多さにも驚いてる。特別な力をどう使うか。その力を世界中の人々に還元するスーパーマンやスパイダーマンよりもずっと共感できるような気がするんだけど。こういう身勝手さに共感しちゃうほうがおかしいのだろうか。『インビジブル』で透明の体を手に入れた男の悪行に比べりゃかわいいもんだ。のび太だってドラえもんがいなけりゃけっこう「悪いこと」に道具、使ってるぞ。『ジャンパー』にはドラえもんがいないのだ。それよりもこの映画の醍醐味、バン!と瞬間移動するその映像を楽しもう。と言ってもいざってときに使うんじゃなくてバンバンバンバン使っちゃうもんだから段々飽きてくるんだなこれが。バンバンバンバン使いまくるところのスピード感を楽しむものなのかもしれないし、たしかにそれを堪能できたところも確実にあるんだけど、うーんイマイチ盛り上がらん。
[映画館(字幕)] 6点(2010-07-26 17:34:29)(良:2票)
27.  仁義
夜明け前、このあたりの時間帯がやたらと多かったような印象がある。ゆえに薄暗いシーンが多いが独特の青みがかった、カラーとモノクロの中間のような映像が美しい。大スター共演とは思えない地味な内容も大スター共演だからこそのエンターテイメント性と生々しい緊張感を共存させる。「仁義」などという男の美学をくさくさせずにリアルに見せてしまうことの凄さよ。間違いなく沈黙の演出が効いている。男前はしゃべる必要がない。メルヴィルの映画にアラン・ドロンは最高に映える。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-07-13 14:27:42)(良:1票)
28.  新学期 操行ゼロ 《ネタバレ》 
絵が突如動き出すことの斬新さ、あるいはそのユニークさ、あるいはそれらを含めた驚き。ここしかないというところで使われる有効的且つ必殺のスローモーション。先生の後に続く子供たちの列のお見事な、そして笑うこと必至の自由奔放。前衛的でありながら瑞々しく活き活きとした描写の数々。子供たちが大人たちに仕掛ける本気のクーデター。最後はほとんど戦争映画だ。子供たちの堂々とした背中で終わらせるというとんでもないエンディングに度肝を抜かれた。
[映画館(字幕)] 8点(2010-06-18 15:11:41)(笑:1票) (良:1票)
29.  シャッター アイランド
けっこう期待して観に行った。精神を病んだ犯罪者を収容する施設から一人の女が消える。それを追う捜査官。古き良き(?)ハードボイルドが拝めそうだ。ましてや『ディパーテッド』で豪華な大作路線から初期のインディペンデントとまではいかずとも本来の小回りのきく作品に回帰したスコセッシだ。その期待に応えるようにまずティム・バートンよりもずっと魅力的な灰色の世界で幕を開ける。舞台は誰が撮っても絵になりそうなニューヨークの雑踏ではなく閑散とした孤島。しかしこの孤島が雨によってなんとも怪しく光りだす。結果として上出来だった。上出来すぎるぐらいに。偽の回想であることを示しているのだろう、横移動するカメラに合わせてドイツ兵を虐殺してゆくシーンの残酷なファンタジックさや灰になる女のCGの素晴らしさ、あるいはその女が登場するシーンの色鮮やかさはこれまでのスコセッシ像を大きく上方修正するものだった。それでもやっぱり『ディパーテッド』同様に欲求をじゅうぶんには満たしてくれなかった。今さらロボトミーって・・てのもあるけど、一つ目のオチ、つまり灯台シーン、このオチってはっきりいってここまで引っぱるようなオチでもなんでもない。それにしてはそこにたどり着くまでが長すぎる。その間ずっとディカプリオの険しい表情を見続けなくちゃならんのだからこの長さはたまらん。もうちょっと遊びがほしい。硬いよ。
[映画館(字幕)] 6点(2010-05-25 15:18:07)
30.  シャレード(2002)
ジョナサン・デミ作品には同業の監督を俳優として出演させていることがよくあって、おそらくはヌーヴェルヴァーグ諸作品の影響だろうと思っていたのですが、フランス・パリを舞台とするこの作品はそのことを証明するかのようにヌーヴェルヴァーグの足跡をそこかしこに記してゆきます。劇中、『ピアニストを撃て』に言及するシーンがあってシャルル・アズナールの歌が流れます。するとアズナール本人が歌っている姿が映し出される。『サムシング・ワイルド』のシスター・キャロルと同じパターンです。ここは思わず嬉しくなっちゃうシーンでしょう。ミュージカル映画のような非現実的なダンスパートナー交代シーンや演者が観客に向かって笑顔を振りまいたりするのも、手持ちカメラ(?)風で見せるパリの街並みもいかにもヌーヴェルヴァーグだし、アニエス・ヴァルダやアンナ・カリーナの登場も嬉しい。ヌーヴェルヴァーグなんて知らないよと言われればそれまでなんですが、個人的にはけっこう好きです、これ。ああ、あんたも好きね。って感じでしょうか。オリジナルの『シャレード』は見てなくてもいいですが、ヌーヴェルヴァーグ諸作品はいくつか見ておいたほうが確実に楽しめます。 多国籍感溢れる面子はデミならでは。
[DVD(字幕)] 7点(2010-04-16 17:48:55)
31.  ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 2 ルージュ編
反体制の風潮が後押しし、悪事に悪事を重ねるメスリーヌが徐々に時代の流れから外れてゆく。というか、そもそも世間とメスリーヌのあいだには端からズレがあって、そのズレがどんどんとあからさまになってゆく。ただたんに自分勝手で残忍な犯罪者にすぎない男が世間にまんまとのせられただけ。くどくどと語らずにそんな時代背景が見え隠れする構成でじっくりと見せてくれる。あいかわらず俳優頼みの演出だが。ようやく魅力的な女が登場するも、サニエの女優としての力がそうさせているにすぎない。結末は先に映されているので、そこに行くまでをいかに堪能させるかがこの作品のポイントとなるはずなのだが、その肝心のクライマックスとなるべきシーンの演出に呆れた。あの分割映像になんの意味があるんだ?分割にするなら別のアングルで別のもんを映そうよ。隠れている捜査官のびくつきをセリフでしか表現できない情けなさ。えらく長引かせたわりにドキドキしないサイテーなクライマックス。ここはどう考えてももうちょっと面白くできるだろ。
[映画館(字幕)] 5点(2010-02-17 14:09:56)
32.  ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編
うーん、微妙。アルジェリア戦争のくだりとか父との葛藤とかを手短に見せてるところなんかは良かったんだけど、だからといってそのぶん犯罪の世界が重厚に語られるわけでもない。だいたい主人公のメスリーヌがやたらと軽いノリなので、例えば妻よりも仲間のほうを選ぶシーンにも「家族よりファミリーを選んだマイケル・コルレオーネの孤独」みたいなのは出てこないわけで、じゃあ、このメスリーヌというフランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男をどう描くかというと、チンピラが軽犯罪を軽いノリで犯すように大犯罪を犯しちゃうこの男の軽快さを見せてゆくしかないわけだ。それは大方成功はしてるんだろうけど、軽快さの裏には重いものがあるもんだ。それが全く無いもんだから、例えば彼に関わった女たちがせっかく重要な役どころとして配置されているにもかかわらずメスリーヌの人生に深く関わっているように見えない。というか多くの登場人物たちのうちの一人としてしか描けていない。主人公以外で唯一存在感を示したジェラール・ドパルデューにしたって俳優ドパルデューその人の力でなんとか格好をつけたようなもの。また、刑務所襲撃がお話的には最も盛り上がるところなのだが、肝心の銃撃戦がしょぼい。カメラが何を撮りたいのかさっぱりわからん。その前の脱走シーンにしたってなんであんなにも緊迫感の無いものになっちゃうんだろう。この作品はとにかくメスリーヌというフランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男がなぜにフランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男となったのかを分りやすく示してみせただけの映画である。
[映画館(字幕)] 5点(2010-02-16 16:25:19)
33.  ジェシー・ジェームズの暗殺 《ネタバレ》 
西部開拓時代を再現した美しい情景がいい。なかでも黄金に輝く麦畑は美しいだけではなくアメリカの広大さを見せつけていて印象深い。ストーリーは「暗殺」という響きから想像した所謂ギャングものとはほど遠く、盗賊たちの内なる声を小さなエピソードの積み重ねとそれぞれの表情によって丁寧に紡いでゆくといった感じの映画で正直退屈。ところが終盤に訪れるその「暗殺」のシーンで襟を正す。それまで寝転んで見ていたことを後悔する。3人の立ち位置とそれを映し出すカット、そしてその永遠とも思える緊張と裏腹のあっけない死の瞬間。さらに面白いのがその死のあっけなさとはまた裏腹の何度と繰り返される死の瞬間の上演と歌がエピローグ的に登場するところ(エピローグではないけど)。前半はすでに英雄視されたジェシーの虚像と実像のギャップがドラマを作ってきたが、肉体の死と共に実像は消え去り虚像だけが成長してゆくという終盤の展開のほうが面白かったりする。暗殺者・ロバートの悲運と並べてみるとずいぶんと皮肉めいて、どこか滑稽でさえあることが面白さを倍増させる。ここに行き着くまでに必要な退屈な前半ではあるんだけども、もうちょっと魅せるか切るかしてほしい。長い。 ちなみに銀行強盗の日(ジェシーが世界初の銀行強盗を行った日)にレビューしようと今までレビューせずにいたのにけっきょく2日遅れになってしまった。
[DVD(字幕)] 6点(2010-02-15 14:28:43)
34.  17歳のカルテ 《ネタバレ》 
特別異常とも思えない若く美しい女が半ば強制的に精神病院に送り込まれる。妻子ある男との不倫と自殺未遂のシーンがフラッシュバックで映される。女は精神的ショックと薬物による一時的な情緒不安定状態なだけで病気ではないのではないかとまず思わせているように思う。そして時代が60年代であることを告示する。60年代であることにどんな意味があるのかは知らないが、とにかく「今」ではなく「昔」の話であることが告示されたわけである。当然、『カッコーの巣の上で』を想起する人は多いだろう。私もその一人で、この映画は過去にこんな人権侵害甚だしい病院があったのだという告発映画、もしくはそんな酷い病院と戦った患者たちの感動話、あるいは・・・どちらにしろ「病院は敵」という構図の映画かと思ったのだ。今なら、名前も教えてもらえない薬を毎晩飲まされるシーンなんてアンジーが虐げられた『チェンジリング』を想起するはずでいっそうこの構図は明確なものになるはずだ。しかし終わってみれば病院は敵どころかむしろ味方に近い。確信犯的ミスリードだと思うのだが、けして意外な展開を楽しむ作品などではなく、ミスリードすることによって得るものより損失のほうが大きいように思う。主人公の回復と成長というメインのドラマが丁寧にされているぶん、とくにそう思う。確信犯じゃなかったら単なる私の早とちりなのだが・・。 昨年末に若くして急逝したブリタニー・マーフィーに謹んで哀悼の意を表します。
[DVD(字幕)] 5点(2010-02-05 16:05:58)
35.  女優マルキーズ
ヨーロッパ絶対王政時代の性に対する価値観にはいつも呆気にとられるのだが、この作品のいいところはまずそのことを隠していないこと。そのうえで今の価値観を差し込んでいないところ。つまり夫以外の男と寝ることについて相手がためらったり自身が葛藤したりといったことがなく、実に普通のこととして描かれているということ。もちろんそれは意図的にされていて、時代考証にはそれなりに気を使っているように思った。いきなりストーリーとは関係の無いご婦人たちの排尿シーンがあったり、意味も無く太陽王の排便方法がなにげに映されたりするのも時代考証をちゃんとしてますよということなんだと思う。マルキーズがどう見てもつり合わない太った旦那を心底愛しているという描写が現代の観客に安心感を与えている。性に対する価値観と異なり愛に対する価値観は普遍ということでしょうか。ストーリーは伝記ものにありがちな大雑把なあらすじの連なりでしかないのだが、話題豊富なルイ14世の時代におけるアレコレを完全封印し、あくまでマルキーズ周辺の出来事に徹しているだけでも良しとしたい。ソフィー・マルソーも女優として最も輝いていた時期だったんじゃないだろうか。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-12-04 15:48:23)
36.  女優霊(1996)
一部のコアな映画ファンに支持される『ラストシーン』が全くダメだったので同じ劇中劇ならぬ映画中映画の『女優霊』もさほど期待せずに見たのだが、意外に楽しめてしまったのはこれがホラー映画だからだろうか。だって見えるはずのないものが見えたとき、それを感動ではなく恐怖へと昇華させるほうがずっと簡単そうだもん。いや、全くの素人意見ですけど・・。で、この映画はその見えるはずのないもの、つまり幽霊の出し惜しみがうまいと思う。心霊写真のようなあやふやさを醸しながら、遠めでしかも一瞬、でもはっきりと確実に見せている。いるだけで何も起こらないのかもと思わせて何かが起こったときには幽霊は映されない。女性スタッフの「誰かが抱きついているのを見た」というセリフでその恐ろしいシーンを想像させてしまうのは幽霊が映されていないからだ。急展開のラストは、それまで恐怖の対象が幽霊が出るかもしれない「撮影所」だったものが一気に幽霊そのものに変わってしまい、当然ながら恐怖の質も大きく変わってしまうのだが、このバカバカしいまでのストレートな決着にこそ後にハリウッド進出を果たした中田監督の特徴が現れているのかもしれない。
[ビデオ(邦画)] 6点(2009-12-02 17:27:18)
37.  シビル・アクション 《ネタバレ》 
ポルシェだったか。ブイーンとすっ飛ばしすぎの画の後にスピード違反のキップきられてる画。さっさと金にならない仕事を断って次の仕事に移りたい。そんな心境を皮肉とユーモアを交えて見せる。さっさと断っての帰り道にブイーンとすっ飛ばして捕まるという全く同じ展開が映し出される。繰り返しの妙によるさらなる笑いを提供する。と同時にこのシーンをストーリーが動き出す転機にまでしてみせる。なかなか巧いではないか。金になると判断した金満弁護士は端から原告のことなど考えておらず、和解金をせしめるという目論みは最初から原告の「謝罪と環境改善」という訴えを無視している。しかしある証言を切欠に原告の思いを代弁する真の弁護士となってゆき、この第二の転機から大きく物語が動き出すのである。ところが丁寧に作られたストーリーの中で唯一この第二の転機となる描写が弱い。たしかに子供が親の願いも叶わず目の前で息を引き取るという世にも悲しい出来事は人を変えるにじゅうぶんな出来事かもしれない。しかしチームの誰もが変わらない中でこの金満弁護士だけが唐突に変わる理由としてはあまりに説得力に欠ける。このあたりを丁寧に掘り下げて描いてくれればその後の無謀な独り相撲により悲壮感を出せただろうし、ラストの笑顔により感動できたような気がする。娯楽映画としての詰めがちょい甘かった。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-11-12 13:40:57)
38.  60セカンズ
オリジナルの『バニシングIN60”』のレビューでも触れてるんだけど、今の映画はどうでも「ストーリー」にしなきゃ収まらんようだ。どうでも車を盗まなきゃならない理由が必要で、そのために出来の悪い弟が必要で、息子思いの母親が必要で、血も涙もない依頼人が必要となる。こういう堅苦しい辻褄併せに翻弄しなきゃならない映画環境を嘆く。『60セカンズ』は精一杯につまらないセッティングをしながらもなんとか楽しませようと頑張ってる。凄腕の車泥棒だった過去のシーンを映さないだけまだ良心的だとも言えよう。実際、車を盗むシーンも派手なカーアクションもそれなりに洗練されていて楽しい。ただしオリジナルとコレを見比べるまでもなく、見た目の派手さと観てるこちらの感情の起伏は比例しない。相変わらずクールでセクシーなちょいワルがすこぶる似合うアンジェリーナ・ジョリーが映画に華を添えているのは悪くない。
[DVD(字幕)] 5点(2009-10-30 13:03:15)
39.  処刑遊戯
松田優作じゃないと成り立たないハードボイルド・アクション。と言いたいが松田優作をもってしてもこれはやり過ぎ。よくもまあ、あんなくさい台詞を次から次と並べられたもんだ。台詞以上にくさいのが演技。優作が女を見る目つきとか痛みに耐えている表情とかいちいちオーバー。頭殴られて気絶するシーンも「がくっ」という音が聞こえてきそうだ。せっかくの長回しも緊迫感に欠ける。でもこれで丸山昇一が出てきたんだから当時はこのコミカルに逃げないハードボイルド一直線がそれなりに衝撃だったということなのかもしれない。少なくともこれで優作の商品価値は高まったと思う。丸山×優作だったら工藤栄一監督『ヨコハマBJブルース』を推す。
[DVD(邦画)] 4点(2009-10-06 16:52:06)
40.  しんぼる
悪くない。映画じゃない映画がはびこる昨今にあって少なくともこれは立派に映画だ。言葉不要の笑いは映画だけが持ちうる特権なのだ。松本人志は映画を知っている。スイッチが天使のおちんちんというのは、常人とは違う何かを持つ者の発想なのだろう。大まかなストーリーは実に幼稚なような気もするが、言い換えれば素直さといったものが作品に溢れているようにも思う。元々、常識人の見識でしゃべる人ではなく、まるで幼児のような馬鹿げた想像力を武器にしている人。けして何かのパロディではなく、おそらく純粋な創作なのだと思う(もちろん無意識に土台となったものはあるでしょう)。根底に流れる子供っぽさはやはり同じくSFという括りに入る『大日本人』以上に表出している。だからオナニー映画などと批判もされるのだろうが、オナニー映画の何が悪い。人が満足するものを模索する人は商売人。自分の満足するものを人に提供するのがアーチスト。松本は明らかに後者。この道を進み続けてほしい。
[映画館(邦画)] 6点(2009-09-25 15:07:38)
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