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プロフィール
コメント数 3957
性別 男性
年齢 53歳

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1.  新諸国物語 笛吹童子 第三部 満月城の凱歌
泣いても笑っても、いよいよ全三部作の最終作。 いかん。書くことが無くなった(笑)。 普通なら物語の結末を迎えるこの最終作こそ、熱く語るべきところなんでしょうけれど。 白鳥隊とやらが結成され、新兵器たる鉄砲も準備。いよいよ、城を乗っ取った野武士の首領・玄蕃に対する反撃の狼煙が上がる。 終盤の合戦シーンなどの見どころもあるのですが、いかんせん、「相手は所詮、野武士だし、これじゃあ勝つに決まってるよなあ」というのもあってか、不思議なくらいの尻すぼみ感。 やっぱり真の見せ場は、霧の小次郎の生き様とその最期。なのかなあ。これも最後までどこか、トホホ感が付き纏ってます。 三作合わせると二時間半近いのかな。そう思えばそれなりの「大作」ですが、ラストシーンは全く粘りも何もなく、また断ち切るようにスパッと終わっちゃう、その潔さは、ちょっと好感持てます。
[インターネット(邦画)] 5点(2024-10-14 08:58:17)
2.  新諸国物語 笛吹童子 第二部 妖術の闘争 《ネタバレ》 
♪で~てこい、で~てこい、あがってこい ははは。ナメとんのか、と。耳について離れなくなってしまったではないか。  という訳で、意外な展開の下、突然終わった第一部に続く、待ちに待った第二部です。待ってないけど。 そうそう、第二部の冒頭で第一部のあらすじが極めて完結適確に紹介されますので、第一部をボーっとしか見てなくても、あるいは全く見てみてなくても、たぶん問題ありません。しかし、この第二部では物語が完全にアサッテの方向に向かって行きますので、この「置いて行かれた感」を楽しむためにも、やっぱり第一部は見とかなくちゃいけません。 第一部のラストで現れた怪人物、霧の小次郎が第二部で重要な役割を担います。ってか、主人公、と言っちゃってもよいかも。演じるは、大友柳太朗。独特の滑舌の悪さ(?)が、なかなか役にハマってます。大江山に棲む酒呑童子…という訳ではないですが、大江山を根城とする妖術使いです。いろいろとあやしい妖術を使い、だもんで特殊効果もふんだんに使用されます。若い女性を次々にさらってくる極悪人、かと思いきや、それは生き別れの妹を探すためであり、さらってきては、ああ、またも人違いだったか、と。 充分、極悪人ですね。 しかしついに今回、実の妹・胡蝶尼との出会いが待ち受けている。あ、冒頭に書いたのは、胡蝶尼の歌です。彼女は、妖術使いの婆さん以下、数々の妖怪たちとともに黒髪山に棲んでいて。。。 妖怪の中に、やたら高身長の唐傘オバケがいて、これはいくら何でも傘のサイズじゃないでしょ、と。しかも、妖怪どもが妖術で眠らされる場面で、他の連中は横たわるのに、唐傘オバケだけ面倒くさかったのか、直立姿勢のまま失神してます。ってのはどうでもいいけど。 第一部のオハナシはどうなったんだよ、というと、この妖術師・霧の小次郎の物語に、サブ・ストーリーとして絡むくらいの感じですかね。それは言い過ぎか。第一部で敵に捕まってた連中が、今度は妖術婆さんに捕まってたりして。 肝心の笛吹童子はというと、相変わらず大したことしてませんが、どうやら彼の吹く笛の音が、どういう訳か霧の小次郎を苦しめるらしい。人造人間キカイダーみたいですね。という訳で、今回も物語に微妙にかするだけの笛吹童子。 ラストはまた一大事が発生し、これ、普通ならツッコミたくなる展開ですがツッコむ暇もなく、次回へ続く。 という慌ただしい展開、途中(あるいは第一部と第二部の間)、物語の描写不足で「?」な部分もありますが、第三部冒頭でまた端的にあらすじを説明してくれますから、ご安心を。
[インターネット(邦画)] 6点(2024-10-14 08:45:27)
3.  新諸国物語 笛吹童子 第一部 どくろの旗 《ネタバレ》 
冒頭の東映マークが「波ざっぱーん」ではない、古い作品。三部作の第一部、ですが、三部作と言っても1本あたり1時間に満たない、興行の余白を埋めるような添え物的作品です。こういった作品が当時の子供たちを熱狂させたんだな、と思うと興味深いところですが、その興味深い理由というのが、今の我々の目で見ると正直かなりキツ~いものがあるので、ああ当時はこんなのでも楽しめたのか、と。新鮮さ、って大事ですね。 物語の発端が描かれるこの第一部、これだけ見たとて何とも言いようが無く、そもそも肝心の笛吹童子が全く活躍しないんです。いや、全三部にわたって、たいして活躍しない、というか、登場シーン自体が多いとは到底言えないもんで、その点は、文句を言うよりも第1部の段階で慣れておいた方がよろしいかと。まあ、脇役ないしそれ以下です。 笛吹童子・菊丸を演じているのが、若き日、若すぎる日の、中村錦之助。これは一見の価値あり。と言いたいところですが、どうも心許なくって。対話シーンなどでの手持無沙汰感、もうちょっと何とかならんか、と思っちゃう。ただしこの辺りは、演出側の責任、あるいは当時の東映の余裕の無さ、でもありますが。 城を乗っ取った野武士の大将に、月形龍之介。どうもこういう豪快タイプの悪役のイメージとは合わないような気がしつつ、しかししっかりと豪快に演じ、何より、殺陣の腕前はさすが、大したもの。 笛吹童子の兄・萩丸(演じるは東千代之介。イケメン兄弟の設定ですな)は、敵の手に捕らえられた挙句、骸骨マスクを顔につけられ、危機一髪。よくわからんが、このマスクが顔から外れないんです。こういう胡散臭いアヤしさが、いいじゃないですか。 さらには彼らの数少ない味方も敵に捕らえられ、あわや磔の刑に! しかしそこに異変が! というところで、次回に続く。。。紙芝居に夢中になるように、みんな楽しんでたんでしょうね。第一部ではまだ控えめですが随所に特殊効果も使われたりしていて。 第二部、いかなる展開が待ち受けるか?
[インターネット(邦画)] 5点(2024-10-14 07:56:13)
4.  昭和残侠伝 破れ傘 《ネタバレ》 
シリーズ掉尾を飾るということもあって、何となく出演者が豪華な気がする第9作(いや、いつもこんなもんか)。 高倉&池部コンビに加え、鶴田浩二がいる、安藤昇がいる、北島サブちゃんまでいる。山本麟一はふてぶてしくもしっかりニラミを利かせ、待田京介に至っては、死んで初めて「ああ、そういやあなたもいたのね」と気づくぐらい。そう、これぞ一話完結の強み、豪華出演陣が気持ちよいほどにジャンジャン死んでいって、静かに積もり積もった怒りと恨みが、ラストの殴り込みに繋がっていく。ほぼ様式美、ですね。 北島サブちゃんの熱演にご注目。テキトーながらも一本気な若者を、鼻の穴も目一杯広げて演じ切っています。セリフ棒読みの新人・檀ふみも少しは見習って欲しい。いや、これはこれでいいんですけど。とにかく、熱演のサブちゃんですが、冒頭出てきたきり、しばらく出てこない間にも、映画は色々と出会いを描き、色々と事件が起こるもんで、ようやく再登場する頃には、そういやあなたもいたっけね、と。そんなのばっかしですが、要はそのくらい、盛り沢山。 そんな中で光るのが、星由里子。と言っても、慌ただしい物語の中、最終的にはこのヒトも唐突に死んでしまいますが、ともかく、二役での登場が、印象的。別にそういう設定にしなくともオハナシは成立するんですが、「かつての恋人によく似た女郎」とのやりとりが、健さんのハニカミ演技で絶妙の味わいを出し、星由里子もこの設定に見事に応えています。檀ふみもちょっとは見習って欲しい。いやあれはあれでいいんだっけ。 今回の物語は、池部良側の組が真っ当で、高倉健側の組が、ちと問題アリ、という設定。作品ごとに微妙な差はあれど、やっぱりマンネリの良さ、というヤツでしょうか。あるいは、同じものの中にある微妙な差を楽しむ。そういや、「名曲をいろいろな演奏家の演奏で聴いてみたい」という気持ちには、演奏ごとに異なる表情を見せる音楽の、その差を聴きたい、というのもあるし、単に、お馴染みの曲をまた聴くにあたって「いやこれは別の演奏だから」と自分への言い訳が欲しい、ってのも実はあったりして、それに近い感覚かも・・・。 雪の降る中、死地へ赴く二人の姿。もはや生きては戻らぬ、という決意が静かに漲る橋の上のシーンが、カッコいい。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-08-04 08:16:36)
5.  65 シックスティ・ファイブ
白亜紀末期、巨大隕石の落下を目前にした地球に不時着した宇宙船の乗務員の男と、乗客の少女とのサバイバル。 登場人物が極端に絞られている上に、二人の言語が異なるため殆ど会話が通じないという設定。何やら親切な装置が状況をわざわざ解説してくれたりはするものの、基本的にはセリフも抑え気味となって、そこは良かったかな、と。 徐々に主人公の過去が明らかとなって行き、クライマックスにおける感情の高まりに繋がっていくのも、悪くない。 だけど、大自然の中のサバイバルが、「時たま恐竜が襲ってきます」程度で、いいのかなあ、とも。 例えば、雨が降ったり風が吹いたり、とか、夕闇が迫ってきて「ああ、また不気味な夜が来るなあ」とか、そういう味付けがもうちょっとあってもよかったのでは。なんか淡々と、昼と夜とが繰り返されてるだけ、の印象。 と思ってたら一応、最後は夜明けが描かれて、ああ、これがやりたかったのね。 アダム・ドライバーは、スターウォーズ出演したのは失敗かと思ったけど、スターウォーズが微妙にハズレてくれたお陰で型に嵌ることもなく、しっかりと曲者俳優の道を歩んでいるようで。本作品でも確かな存在感を示していると思います。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-06-30 12:08:22)
6.  新・座頭市物語 《ネタバレ》 
剣もバクチも無類の強さを誇りながら、普段は朴訥とした佇まいで周囲をケムに巻いている、この座頭市というヒト。こういうのが一番の悪人だろう、とか思っちゃうのですが、この第3作はあまりそういうイメージではなく、どうも本気で女性に惚れ、本気でカタギになろうとしているらしい。どう転んだって、勝新が誠実であるようには見えないんですが、それはさておき、そういうオハナシ。 しかし、いろいろと過去の因縁を抱えているもんで、簡単にはカタギになれない。それでもなろうとすれば、結果的には誰かが犠牲となる。こういうヒトは宿命として、決してカタギにはなれないんですね。 割と座頭市の個人的な部分にスポットが当たっていて、かつての師匠なんてのも登場します。まあ、これがロクな師匠じゃなくって。昭和残侠伝シリーズの池部良が親分に恵まれてないようなもんですかね。 この作品ではどちらかと言うと、普段の朴訥とした雰囲気が素の座頭市で、止む無く戦いに臨まざるを得なくなる、という展開。ある意味、まとまりの良い作品になってます。ニヒルさは座頭市よりも、彼をつけ狙う男(須賀不二男)の方に漂っていて、悪役顔が見事にキマってます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-04-21 09:28:02)
7.  ジョン・ウィック:パラベラム
いやもうホント、これ、戦い過ぎでしょ(笑)。 内容的には、「戦い」というものに純化されてきているというか、だいぶ抽象化されてきていて、そこは良し悪し。好きな人にはタマランだろうし、そうでない人はちょっとついていけないかも(そんな人はそもそも、見てないか)。 ストーリーなんて、前作の続きと言えば続きだけど、要する前作のオマケに限りなく近くって、ただただ、ジョン・ウィックが命を狙われる。狙われまくって、これじゃあ、大好きなラーメンをお忍びで食べに行くのもままならない・・・。こういうのって普通、続編作るたびに「今回こそ最強の敵」みたいな好敵手をでっち上げるもんでしょ、と思うのですが、そういうのもいなくって・・・いや、マーク・ダカスコスが一応、その役どころなんですね、失礼しました。しかし、その対立軸が物語の中心という訳でもなく。 この作品が抽象的なのは、ジョン・ウィックがプロの殺し屋であり、殺人装置であり、死神であるから。これも普通の作品なら、戦いの前の緊張感、戦いに至る過程、といったものをどう描くかが重要になってくるのでしょうが、そのせいで、プロの殺し屋の筈であるヤツがムダな能書き垂れまくった挙句に相手の逆襲をくらったりする。我々はそれを楽しむ(笑)。ジョン・ウィックはそんなことはしない。躊躇なく相手を斃す。戦いは突然始まり、タメも何もなく機械的に戦いまくり、唐突に戦いが終わる。長回しで演出されるその戦いは、際限なく続き、そのアクションが繰り返しとなって単調になることすらも辞さない。流れる動き、死の舞踏。 一つのシーンでは、ある種の繰り返し(ジョン・ウィックがひたすらガラスに叩き続けられる)が行われることで、その執拗さが浮かび上がり、それが魅力にもなっているのですが、シーンが変われば別の趣向が展開されたりもして、例えばナイフの投げ合いなんて、これ、要は手裏剣ですよね。ニンジャアクションです。果ては、馬上ならぬバイク上のチャンバラ風アクションも。 常に夜の雰囲気、闇の雰囲気をまとった死神たるジョン・ウィックが、砂漠の陽光の中を彷徨うシーン。印象的でした。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-03-31 07:41:52)
8.  ジーパーズ・クリーパーズ 《ネタバレ》 
まあ確かに売り込み方としては、「コッポラ総指揮」としか言いようが無かったんでしょう、と、心中お察しする次第ではあるのですが、いや何、そこまで気を遣わなくても(というかむしろ、無駄にハードル上げてしまっているのでは)。 薄汚い謎のトラックにつけ狙われる、「激突!」チックな前半。舞台は何もない一本道で、周囲はどこまで行っても変わりばえのしない光景が続き、単にロケ撮影の手抜きではないのかとの疑いが心に兆しつつも、この孤立感は映画を引っ張るに充分。 やがて物語は「激突!」路線から離れ、道端の教会に停められた例のトラックと、そこで行われている謎の作業、その教会を探ってみると・・・という、シリアルキラー的な路線に移り、さらにはその正体たるモンスターとの戦いへ。もはや、前半のトラックでの襲撃に何の意味があったのやらさっぱりわからないのですが、一応、「相手を怖がらせることに意味があった」という苦し紛れの説明がなされていて、もう、どうでもよくなってくる。 とにかくこの三段構えが、いいではないですか。 通りすがりに見える、停められたトラックと、その脇で何かをする謎の人物の姿に、「おや?」と思わせられる一つ目の転調。謎の人物と対決し、クルマで轢き殺そうと必死になっていると、その人物の背中にピョコリと羽が生えて、また「おや?」と思わせられる二つ目の転調。その前から、コイツはきっと人間じゃないよな、とは思っているのですが、さすがにハネが生えてくりゃ、これはもう決定的。見ちゃいかんものを見てしまった、という感覚。 登場人物は皆、多かれ少なかれ妙な連中ばかりで、あのネコ屋敷の婆さんなんかも相当なもんですが、それより何より、主人公の姉弟のポンコツぶりが、実に充実しております。そんなこと絶対やめとけよ、ということを平気でする、というより、それをすることに異常に固執する。そう、映画の登場人物ってのは、我々が「普通に」期待するようには動いてくれないもんです。 だからこそ、物語が、動くのです。 ちょっと、やり過ぎ、かもしれないけれど。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-11-26 17:28:33)
9.  15時17分、パリ行き 《ネタバレ》 
映画を撮るたびに何かとホメられるイーストウッド。そんなにオレの事をホメるんなら、今回のコレはどうだっ。 と言う訳でもないんでしょうが(いや、わからんが)、さすがにちと、面食らいます。なぜ、こういう作品を、こういう風に作ったのか。謎です。 実際に起きた事件に取材した作品で、演じてるのも役者としては素人の本人。事件から間もなくと言ってよいタイミングで作られてて、ほとんど単なる思い付きと勢いで作っちゃったんじゃ?と思ってしまうけど、確かに、本人が演じるんなら、あまり事件から年月が経ってから製作する訳にもいかず、まあ、そういうもんかな、と。 で、本人が演じると何か良いことがあるのか?と思ってしまうけど、まあ、本人が演じてるんだから、ウソは無いんでしょ、きっと。←いや、これはあまりアテにならんけど、映画なんだから、どうだっていいことかも知れぬ。 それにしてもワカランのが、あのお馴染みの「This is not a drill. (これは訓練ではない)」という館内放送、結局、一種の誤報だったのか、それともやっぱり実は訓練だったのか。いや、それが一番どうでもいいことか。でも気になるなあ。 主人公たちの幼少期からが描かれて、どうやら少々変わり種のヒトたちみたいで、↑上記の騒ぎでも上官の指示を聞かずにスタンドプレーに走り、このまま何も危難に遭わなければ単なる困ったヒトでしかなかったかもしれないけれど、人生、色んなことが起こる訳で、この跳ねっ返り精神が英雄的行為へと繋がり、さらには大統領から表彰されたり、天下のイーストウッド映画に出演したり。 何なら、この「本人役で映画主演」までの物語を、映画にしてもよかったんじゃない?  何だかサラッと撮ってる感じで、うーむ、これもまたイーストウッド映画なのか、と戸惑いつつ、その一方、主人公たちが旅行先でオネーチャンをナンパ(?)して仲良くなっちゃうと、ちゃんとカメラがオネーチャンの表情を追いかけて美人に撮ってたりすると、ああこれはきっとエロ親父の指示による撮り方なんだろう、などとも想像したり。 だから何なんだ。いいけどさ。 で、いよいよ事件に遭遇、日常がここで一変する訳ですが、映画の前半に予告的にこの事件のくだりを挿入したのが、正解だったかどうか。変な既視感(いや実際に一度見せられてるんだけど)があって、いささか妙な印象を受けました。 もちろんここが作品のハイライトになるところ、見せ場。しかしあまりタメと言ったものが無いせいか、どこか淡々とした感じもあり、しかしこれが実際の事件、ということなのか。。。 不思議な映画、ですかねえ。これ。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-10-07 04:27:21)
10.  新・網走番外地 嵐呼ぶダンプ仁義
『新~』も含めての、網走番外地シリーズ最終作。思えば、刑務所シーンで敵対する相手も、かつては、いかにも粗暴そうな悪役顔の安部徹だったのが、いまや狡猾そうな経済ヤクザ風の風格を見せる小池朝雄へ。隔世の感があり・・・という程でもないでかすね。『新~』になってやや製作ペースが落ちたとは言え、シリーズ開始からまだ7年ほど。そもそも主演の健さんが、見た目、大して変わってない。いや、最後まで変わらなかったのが健さんという人、という気もしますが。 最終作、と言う訳で、それなりにマンネリ感もあり、勿論シリーズものですから、マンネリ上等!ではあるのですが、一方で「健さんしばり」「網走番外地しばり」というものも感じてしまうのは、タイトルを見てもわかるように、『トラック野郎』まであと一歩、のところまで来てるんですよね。ダンプトラックのカーチェイスはあるし、モナリザお京みたいなキャラまで登場するし。 しかし主演は健さん、監督は降旗康男。やっぱり菅原文太&鈴木則文とは、描く世界が違いますわな。違うんだけど、でも、トラックチェイスをクライマックスに持ってくりゃいいものを、やっぱり、殴り込みをかけてドスを振り回す展開に持ち込んでしまう、任侠映画しばり。 網走番外地は比較的、テキトーで自由度が高いシリーズだったはず、なんですけどねえ。冒頭の刑務所シーンで健さん自身が『昭和残侠伝 死んで貰います』(だと思う。間違ってたらごめん)を見ている、なんていう悪ノリには、その片鱗が。だけど本作、全体的にはマンネリ感が悪い方に出て、悪ノリかどうかはともかく、もう一つノレない印象。ちょっとダメかなあ、と思っていたら、マンネリ感の積み重ねでやっぱり最後は盛り上がってしまう。ダイナマイトでの襲撃といった派手なアクションも見どころ。丹波哲郎の温存も、ありがちと言えばありがちだけど、それでも、待ってました!と言いたくなる。 やっぱり、マンネリ上等、なんですよね。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-09-23 05:40:31)
11.  地獄の謝肉祭 《ネタバレ》 
原題がApocalypse domaniってんだから、Apocalypse now(『地獄の黙示録』)のパロディな訳ですな。内容的には『ゾンビ』の後続作品(百貨店めいたところを舞台にしたり、暴走族めいたヤツをそこに登場させたり、わざわざ似せてないか?)ですが、ロメロ3部作がnight, dawn, dayと時系列を進んだように、こちらもnow→domani(明日)と来たもんだ。なかなかよく考えている、のか、全然考えてないのか。 という訳で、地獄の黙示録の次の段階、というのはつまり、ベトナム帰還兵のオハナシ。その点では『ランボー』の後続作品、と言いたいところですが残念ながら(?)、こちらの方が先に作られていたのでした。 ベトナムで捕虜になった兵士が、人を食い殺したくなる謎の伝染病にかかって、噛まれた人にもそれが感染していく。その後、彼らが復員したアメリカの片田舎の町で、騒ぎが広がっていく、という趣向。戦争の後遺症を比喩的に表現した、と言って言えなくもないけれど、だとすればいささか不謹慎な気もするし、他者に感染していくというのもピンとこない。ま、きっと、ゾンビ映画の流行に乗っかってみました、という以上の意味は無いんでしょう。ただしこちらは死体ではなく、あくまで病気に感染した生身の人間。言動に異常なところはあれど、普通にしゃべるし、撃たれりゃ普通に死にます。主人公もこの病気にかかっており、人に噛みつきたくなってしまう自分自身との葛藤がある。しかし、隣の若いオネーチャンとイチャイチャしたのを、例の噛みつきたくなる症状が出たんだ、と言うのは、それは言い訳にならんでしょ(笑)。それは普通に、浮気です。はい。 それはともかく、終盤は、感染した4人が地下の下水道を逃げるサバイバルとなります。これが大してオモシロくない。彼らを追い詰める側は、なぜか火炎放射器を持ってたりして(んなアホな)、ネズミがうごめく下水道において戦場が再現され、元兵士たちが追い詰められていく。けれど、もともと劇中でほぼモンスター扱いの彼らには、何ら同情を引く要素があるでなし、何を考えているのか、どこまで正常な思考が保てているのかもよくわからず(これは主人公も同様)、追跡劇が盛り上がりません。むしろ、撮影でネズミが本当に焼き殺されているんじゃないか、ってなことの方が気になっちゃう。正確に言うと、撮影でネズミが本当に殺されてるんじゃないかと気になる人がいるんじゃないか、ということが気になってしまう・・・。 血塗れ残酷シーンは、さすがイタリアだけあって、なかなか盛大にやってくれてますが、これも例によって、残酷というよりは何だかバッチイなあ、という印象。 そんでもって、あと、音楽がいかにも不釣り合いで、気が抜けます。ゾンビ映画たるもの、ノリのいい音楽使わないといけない、みたいな思い込みでもあるんですかねえ。ノリさえよければどんな音楽でもいい訳ではないと思うのですが。 総合すると、珍品度がそれなりに高く、希少価値はあると思いました。いやあ、希少価値って、便利な言葉ですねえ。
[インターネット(字幕)] 3点(2023-09-17 10:02:06)
12.  ジャンパー 《ネタバレ》 
テレポーテーション能力を身につけた若者が、何者かに命を狙われる。もうホントに、それだけ、の映画でして、その割り切りには好感が持てます。もちろん、登場人物が沢山出てきて、エピソードが複雑に絡みあって・・・という映画も大歓迎ですが、そういうのを作れもしないのに無理に作ろうとするくらいなら(失礼)、いっそこうやって、ただただテレポーテーションしまくる事に徹するのも、悪くないです。 この主人公、特殊能力を持ってはいるものの、それをロクなことに使っていない。この能力をどう使うか、という方向にも話は膨らまないし、膨らませない。 生き別れた母親も登場するけれど、かつストーリー上、それなりに重要なキャラのような気もするけれど、やたら印象薄くって。涙の再会なんぞどこ吹く風、サバサバしてます。 ついでに言うと、主人公がガールフレンドの母親と再会する場面もありますが、このシーンなんて、まともにこの母親の表情を映しもしない。もう、どうでもいいんですね。いかにして、物語を膨らませないか、脱線させないか。88分という短い尺を、ひたすら走り抜ける。 ひたすら繰り返す、空間移動。意味も無く東京にまで飛んできて、東京ロケを敢行したり。その他その他、いったい一本の映画に、どれだけの光景を詰めこもうというのやら。 と言うわけで、いや何かこの映画オモロイなあ、と思いながら見てはいたのですが。しかし、アクションシーンが雑なのか何なのか、イマイチわかりづらい。そこにさらに空間移動が重なって、正直、何が何やら、画面に集中し切れず。こういうハチャメチャな映画を作ろうという意気込みには頭が下がりますが、映像で惹きつけようという映画のその映像が、「見にくい」というのは、ちと痛い。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-09-10 17:15:26)(良:1票)
13.  新・網走番外地 さいはての流れ者
映画冒頭の出演者クレジットを見ていると、おっ、と思う。「下沢広之」と出てきて、要するに子役時代の真田サンなんですね。子役時代にこうやって何度か健さんと共演して、ハリウッドスターの今がある、と思うと感慨深いものがあります(モンスター・イン・ザ・クローゼットに出てるポール・ウォーカーを見た時ぐらい感慨深い)。健さん演じる主人公の息子(血は繋がらないけど)ということで、出番もセリフも比較的多い、重要な役。今の面影があるかというと、「そういわれてみれば」ぐらいではありますが、時々、確かにこれは真田サンだわい、と思わせる美少年ぶりが垣間見えます。 というのが、正直、作品の最大のインパクトでして、もうひとつはじけていない印象の作品です。監督は佐伯清で、本シリーズではこの一本のみ。真面目過ぎるんですかね。いや、荒海を舞台にしたアクションもあるし、息子その他を人質にとられて危機一髪なんていう場面もあるし、もちろんラストはしっかり殴り込みで締めてくれるし、硬派なアクション映画にはなっているのですが、真っ当なだけに、この何でもアリなシリーズの中では、あまり目立たない作品になってるように思えます。 馬ゾリレースが前半のハイライトで、ここでも色々と作品を盛り上げようとはしているのですが、いかんせん、もともとスピード感の無いレースなもんで、地味な印象は拭えず。 谷隼人はどうあがいても作品に活かせそうにない役どころですが、せめて山本麟一は物語上、もう少し活かせなかったものかと。単細胞っぽいところは持ち味ではありますが、最後まで雑魚キャラっぽいままだったのが残念。
[インターネット(邦画)] 5点(2023-08-11 06:40:27)
14.  シェラマドレの決斗
いかにも「映像にこだわりました」という作品。レオーネ風(?)に顔面どアップを繰り出したかと思えば、会話シーンで手前の人物の後ろ姿を画面の中心に据えるなど、画面ナメまくり、視点歪ませまくり。 こういうのは、ふとしたシーンで目を引くからこそ効果的なんであって、こんなに乱発しても、目障りなだけ。 思えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」なんていう映画は、他愛ないっちゃあ他愛ないのかも知れませんが、それでも「このシーンをどう撮影してどのように見せれば、物語が面白く動いていくか」という点へのこだわりに関しては、本当に素晴らしい作品だったと思います。頭が下がります。それぞれのシーンが事件を孕んで物語の進行を促し、面白いシーンの積み重ねが面白い映画を作る。 たいして面白くないオハナシを、「その代わり映像にはこだわりました」というシーンがいちいち停滞させてちゃ、やっぱりダメでしょ、と思っちゃうのですが、こういうのも一種の、流行りすたり、でしょうか。一風変わった、西部劇。 サソリがデカくてなかなか見栄えがしてたのは、そこは良かったですかね。ああいう腕相撲はしたくないよね、というのはよく伝わりました。まあ、そんなもんでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2023-07-16 06:34:11)
15.  新・網走番外地 流人岬の血斗
冒頭に由利徹の前口上みたいなのがあって、健さんが素で笑ってるっぽく、なんだか楽しそう。と思いきやそのまま物語に突入し、決して楽しくはないここは塀の中。 今回のタイトルは「流人岬の血斗」で、どんなとんでもない場所かと思ったらこれが、看板に偽り大いにあり。網走から健さんが移送された先の刑務所は、囚人たちを信用して開放的な環境で更生を図ろうという、ヒューマニズム溢れる環境。それを支えるヒューマニズム親父が、志村喬。いい人、かつ信念の人。要するにちょっと面倒くさい人(?)。 で、監督が、降旗康男。と聞けば、映画がこういう路線になっているのも何となく、納得。火災をきっかけに知り合った母子との交流が描かれたりして。 舞台は海辺、とくれば、夕日を取り入れたシーンが印象的だったり。 そういう抒情性だけではなく、アクションも気合いが入っていて、トラックが横転炎上、なんていうシーンはちょっとしたスペクタクル。クライマックスのキャバレーへの殴り込みでは、階段も使った立体的なアクション。 正直、中盤やや妙な展開に感じる部分もあるのですが、見どころは多い作品です。
[インターネット(邦画)] 6点(2023-06-10 08:58:02)
16.  新・網走番外地 吹雪のはぐれ狼 《ネタバレ》 
網走番外地シリーズの懐の深さというか、デタラメさがよく表れた一本です。もはや完全にコメディ路線。だけどラストだけは突然、任侠指数がまさに指数関数的にハネ上がる、という謎の構成。よくもまあ、こんな企画が通ったもんです。網走番外地だからこそギリギリ可能なのであって、昭和残侠伝ではこんなこと、できません。 冒頭、刑務所内でイザコザがあり、あわや命を奪われそうになった健さん、それをすんでのところ岡田真澄神父が救う。というところまではいいのだけど、晴れて出所した健さん、何をどうトチ狂ったか、この神父こそ我が親分、と言う訳で親子の盃を交わし、教会での神のしもべとしての生活を始めることに。 この勘違いぶりだけでも充分、寅さん級の暴走なんですが、さらに教会のシスターに一目ぼれしてしまうに至っては、いやこれも寅さん路線ですけれども、後の東映で言えば、いかにも菅原文太向けの役どころ。それを健さんが演ってる、というのが、見てて可笑しくもあり、気恥ずかしくもあり。 シリーズの持つ暴力指向みたいなものは、この作品では比較的健全な路線に置き換えられ、ボクシングを通じて表現されます。教会に対し敵対するグループも登場しますが、教会の運営するボクシングジムの若者(谷隼人)に目をつけたり、彼に八百長を強要したり、まあ、そんなところです。 一体この作品のどこが「吹雪のはぐれ狼」なんだよ、という訳ですが、ここでの健さんは「迷える子羊」ではなく「迷える狼」、ではあるかもしれません。はぐれてはいない気もしますが・・・。そして「吹雪」。実際、いくつかのシーンではひどく吹雪いています。別に物語の上では、わざわざ吹雪の中で撮影する必要はなかったかもしれませんが、でもこういうシーンがあると雰囲気が出て、いいではないですか。 ここぞというシーンで長回しを用いているのも印象的。健さんと谷隼人がリングで向かい合うシーンでは3分近くを一気に見せ、それを見守る岡田真澄とのやり取りのカットを挿入した後、また長回し。 ボクシングのシーンで本格的なファイトを期待するのはさすがに無理がありますが、谷隼人の搾り上げられた肉体もあり、違和感の無い、迫真のシーンになっています。 終盤、いきなりとってつけたような悲劇が彼らを襲い、殴り込みを決意する健さんの姿をまた長回しで捉えた後、いよいよ敵の本拠地に乗り込むと、そこに待ち受けるのは若山富三郎。ひとりストーブにあたりながら餅を焼いてるその姿が、哀愁があって良いんですよねー。 こういう、作品のあちこちに突然現れる「良さ」が、また本作を珍作たらしめているような気もしますが。
[インターネット(邦画)] 7点(2023-05-06 05:53:36)
17.  人生劇場 飛車角
いや素晴らしい。この映画に減点要素があるとしたら、鶴田浩二の髪型が何となく変、ってことくらいじゃないでしょうか。 任侠映画の嚆矢とも言われる作品ですが、東映時代劇路線からの橋渡しのような作品でもあり、趣きがあります。暗めの映像、雨や雪、岩に砕ける波。そして随所で用いられるクレーン撮影、画面がビシっとキマります。 さらには何と言っても印象的な、鶴田浩二の横顔。やっぱり髪型が何となく変。ってのはどうでもよくって、耐える男の横顔が、いい。 健さんが若い。後の作品のような寡黙な役どころではなく、一本気の若者を熱演して、健さんらしからぬあんなことまで・・・。 月形龍之介がまた、いいんです。元・侠客の吉良常。定年後のサラリーマンみたいですが。飛車角の漢気に惚れる彼もまた、充分に惚れられる存在となっています。 ラストの坂は、任侠映画屈指の名シーンでもあり、任侠映画の型がまだなかった初期作品ならでは、とも言えそうです。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-02-12 10:13:59)
18.  地獄の警備員
まず何が良いと言って、タイトルが良いではありませんか。「悪魔の~」も悪くはないけれど、「地獄の~」の方がより汎用性が高く、その分、得体が知れない。そこが良い。ちなみのこのサイトでタイトル検索したら、本日段階で「悪魔の」が100件、「地獄の」が76件。意外に健闘してるのでは。で、しかもそれが「警備員」、ってんだから、訳がわからなくって、何だかワクワクします。 その地獄の警備員を演じるのが、いまや「孤独のグルメ」で押しも押されもせぬ国民的大スター(?)となった、松重豊さん。片や殺人、片や食事と、やってることは大きく違えど、観てるとどこか共通点を感じてしまうのは、一体何なんでしょうかね。 氏が演じる謎めいた警備員は、元力士、なんだそうで。しかし、上背は確かにあるものの、ヒョロッとした体形で、いくら廃業したとは言えここまで痩せるもんだか。これがすでに、不条理世界への入り口。 筒井康隆氏の短編でも力士(現役)が襲ってくる「走る取的」というのがありましたが、やはり日本人は、力士という人たちに何らかの神秘性みたいなものを感じているんでしょうかね。その頂点に君臨するのが、デーモン小暮閣下、ということで(・・・悪魔か)。 で、この元力士の警備員が、理由もなく殺戮を繰り返す。警備員だから、制服を着ている訳で、この制服姿での殺人というのが、また不気味。この辺りは『マニアック・コップ』からの影響もありそうな。ちなみに日曜洋画劇場での放送時のタイトルはもちろん、『地獄のマッドコップ』! しかし松重警備員の殺人には、マニアック・コップよりもさらに動機が無く、それ故さらに純化され、さらに不条理に徹しています。ホラー映画には「恐怖」があればよいのであって、それをわざわざ中和するような「真相」なんて、要らないでしょ、と。 終盤、主人公たちが閉鎖空間に閉じ込められるのも、いや、いくら何でもどっかに逃げ道が無いわけないやんか、という場面ではあるのですが、そういうのを理屈で補おうとすればするほど、大抵ボロが出る。ので、ここでは細かい理屈は無視して、シチュエーションだけを映画にぶつけてくる。バカバカしさと紙一重の、恐怖。 ホラー映画では常套手段として、前触れなく突然襲われるような(実際は何でもなかったというカマシを含めて)我々をビックリさせるシーンがしばしば登場しますが、この作品では「驚きと恐怖とは別物でしょ」と言わんばかりに、あくまでジワジワ系の恐怖で勝負。 で結局、この作品が途轍もなく怖い作品に仕上がっているかというと、さすがにそこまででは無いですが、シンプルさの周囲をとりまく不条理、不条理ゆえのユーモア、ユーモアゆえの不気味さ、要は、わけのわからなさ。そういった魅力ですね。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-11-20 08:58:47)(良:1票)
19.  昭和残侠伝 吼えろ唐獅子
冒頭のクレジット見て、主役は当然健さんだわな、準主役に松方弘樹か、そしてこれまた当然の池部良。そんでもって、鶴田浩二まで! とか思ってても、映画見てるうちにそういうのは念頭から消えてしまうので、後で本当に鶴田浩二が出てくると、やっぱり驚いてしまう(笑)。 この作品でも、昭和残侠伝のフォーマットは守られていて。いつも通りっちゃあいつも通りなんですが、今回は、任侠映画であると同時に、剣豪映画のようにも見えてくる。剣の達人同士、互いに通じ合うものがある、高倉健と鶴田浩二。剣の道を絶ち、今は一介の市井人として暮らす池部良。若侍・松方弘樹の運命を狂わせるのは、ヤクザ渡世の仁義というよりも、もはや、封建社会の理不尽さと言うべきか。 健さんもまた、結果的にその理不尽さに加担せざるを得ない、やるせなさ。静かな怒りが頂点に達したとき、その先にあるのは「革命」・・・とまでは言わないけれど、旧秩序を、束縛を蹴散らす、カタルシス。「その後」が描かれることが無い、映画ならではの大団円です。 一部、撮影に荒さを感じる部分もあったけど、そういうのも作品の迫力の一つ。 いや~オモシロかった! けど、そもそも親分に嫌われてるのなら、どうして、松方弘樹はムショ行きを免除されたんだろうか??
[CS・衛星(邦画)] 8点(2022-09-19 09:10:16)
20.  地獄の門
最初の方の“早すぎた埋葬”のくだりがナイスでして、異変に気づきそうでなかなか気づかないあのニブさ、しつこさ。そんでもって、あの、雑過ぎる救出劇。 こういう作品にまず、ハズレは無いもんです。 と言いたいところなのですが、その後、どんどんワケがわからなくなる。残酷シーンが充実さてるので、ワケがわからなくてもついつい見てしまうのですが、こういうのを残酷というのか、ただただバッチいというのか。 そうこうしているうちに、クライマックスではゾンビども(?)がほうぼうで火に包まれて、ちょっとお祭りの雰囲気。 いいんじゃないの、なかなか。ワケわかんないけど。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-08-01 22:32:13)
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