1. 地獄でなぜ悪い
《ネタバレ》 <超ネタバレ注意>映画のラスト。平田は道を走り続け、そして画面の左に見切れます。 そして「カット」とという声が響きます。 その後もカメラは、しばらくそのまま道を映し続けました。 これは「カット」があっても、まだ物語が続くことを示しているように思えます。 また、映画というフィクションを超えて、「それ以上撮り続けてなぜ悪い?」と監督に問いかけられているようでした。 この物語ではほぼ全ての登場人物が死に至ります。 それだけだとものすごく悲惨な物語に思えますが、実際に映画を観たときの後味は爽快感に溢れています?(疑問形) なぜかといえば、全員が「映画を撮れたのだから(目的を達成できたから)死んでもいい!」という目的に溢れているからだと思います。 大三は娘の晴れ姿を撮れたのだから! 池上は大ファンであるミツコと共演できたのだから! ミツコはしっかり「女優」としての姿をスクリーンに残せたのだから! 公次は愛しきミツコに寄り添い、彼女のために戦うことができたのだから! そして平田らファッ〇ボンバーズは、「伝説に残る一本」を撮ることができたのだから! このことが達成されたのは、登場人物がみんなどこかで、互いに影響を与えていたからのことでした。 ここまでできたら悔いはない!死んでもいいぞ!というパワーを感じるのです。 [映画館(邦画)] 9点(2013-12-18 23:17:05) |
2. 人類資金
《ネタバレ》 本作では異常なまでPDAが大プッシュされています。 なぜPDAなのかという説明が素っ頓狂で、耳を疑いました。 「スマートフォンの時代にあえてPDA。あのような場所では、スマートフォンだと砂や塵で簡単に壊れてしまうのですよ。まあ、機能を詰め込みすぎて少々デバイスは大きくなってしまいましたがね」 どこからツッコめばいいんだ。 スマートフォンとPDAの違いって通話機能のあるかなしかくらいなもんだろ? その通話機能は防塵機能とは全く無関係だろ? 機能を多くした→大きくなっちゃったって今の技術ナメてんじゃねえぞ! なにが最悪って、PDAを選んでいることが、事前の森山未來の主張と矛盾していることです。 それは「世界の人口の7割が電話をかけたこともないのを知っていますか。電話を持たない者がたった1000円のために体を売ることもあるんです」という、弱者=電話を持たない者が搾取されていることへの批判でした。 で、実際に発展途上国の人に持たせたいと提示されたのが通話機能のないPDAなのです。ふざけろよ。 だいたい貧困の地域に必要なのは、経済的な援助、または食料の供給や教育体制の確立なのではないでしょうか? PDAや携帯電話よりも、先に提供するべきものがたくさんあるはずでしょうに・・・ あと村のみんなが国連で演説をする森山未來のために写真を送っているということは、wi-fiも完備されているってことですよね。あはは。 [映画館(邦画)] 2点(2013-12-18 23:12:18) |
3. ジャックと天空の巨人
本作は超有名な童話「ジャックと豆の木」を元とした作品であることは明確ですが、実はもうひとつ民話である「巨人退治のジャック」がミックスされた映画になっています。 原題が童話の「Jack and the Beanstalk」でなく、「Jack the Giant Slayer」になっているのもそのためなのです。 さらにもともとの原題は「Jack the Giant Killer」でした。 「巨人殺し」というタイトルであった時点で、あまり和やかな雰囲気でないことは予想できるでしょう。 この映画、ファミリー映画とは思えないほど人も巨人もバンバン死んでいくのです。 もちろん血は一滴も出ませんし、直接的なグロ描写はほとんどありません。 しかしこの映画を小さい子どもに見せると、怖くて泣き出してしまうんじゃないでしょうか。 子どもに見せてはいけないというほどの残酷描写はないとはいえども、へたすれば子どもにトラウマを残してしまうでしょう。 でも個人的には、子どもにこういう「怖い映画」を見せるのは悪いことではないと思います。 自分も「劇場版ドラえもん」のホラー描写はとても印象に残っていますし、そういう恐怖が後の成長にも役立つように思えるのです。 ついでにかわいいマスコットキャラもいませんし、巨人の見た目もきちゃないです。 そんな「あんまり子ども向けじゃない気がするけど、ちょっと子どもに観せたい(どっちやねん)」な映画だと思います。 子どもに楽しい映画を観せたい親御さんは、素直に「ドラえもん」「シュガーラッシュ」「プリキュア」「劇場版ミッフィー」あたりをチョイスしてください [映画館(邦画)] 6点(2013-03-28 19:53:13)(良:1票) |
4. シュガー・ラッシュ
べらぼうに面白い! 本作で描かれているのは、ゲームセンターの中のゲームの中の世界、そしてそのキャラクターの大冒険です。 ゲームセンターのお客が帰ったあとに、ゲームのキャラクターが「みんな!もう自由に動いてもいいわよ!」と言うのは、さながら子どもたちが寝ているあいだに動き出すおもちゃを描いた「トイ・ストーリー」のようです。 最近のこうしたアニメ作品には大人向けのメッセージが込められていることが多いのですが、本作はその点もぬかりはありません。 シュガー・ラッシュで示される大人向けのメッセージとは「仕事」のことでしょう。 主人公・ラルフはゲームの悪役で、「この仕事は好きじゃない」と言ったり、悪役の会で「悪役を辞めたい」と言ったり、さらに人間関係や住まいに不満を抱えています。 これが仕事に悩む大人そのものの姿に思えるのです。 そして映画では、こうした仕事に悩む大人たちを励ましてくれます。 それだけでこの作品が大好きになってしまうのです。 もうひとつテーマにあるのは「友情」という普遍的なもの。これには大人も子どもも感動できるでしょう。 個人的にはヒロイン2人の魅力にやられました。「ヴァネロペ」はちっちゃくも活発、そして毒舌家で寂しがり屋な女の子。 「カルホーン軍曹」は悲しい過去のトラウマを、ゲームの敵「サイ・バグ」への復讐心に変えた女性。どちらも最高にキュートです。 エンドロールや、併映の「紙ひこうき」に至るまで幸せな時間を過ごさせていただきました。 ただゲームファンにとって、ゲームキャラがほとんど活躍しなかったことだけは残念。せめて「ザンギエフ」くらいはスクリューパイルドライバーとかダブルラリアットをしたらいいのに! なお作中のオリジナルゲーム「Fix-It Felix」は公式ページで実際に遊ぶことができますよ。 [映画館(吹替)] 8点(2013-03-28 19:51:12) |
5. 人生、ブラボー!
すげえ面白かった。 本作はうだつのあがらないダメ中年男性の成長物語にして人間賛歌の物語、そして笑って泣けるハートフルコメディです。 主人公は金のために幾度もの精子提供を過去に行っており、その結果生まれていた子どもたちに会いに行き、彼らの生活と人生を知ることになります。 そのエピソード全てが面白く仕上がっており、同時にダメ主人公のあたたかい人間性を知れるという内容になっています。 しかし主人公は訴訟を起こされているので、簡単に彼らに正体を打ち明けるわけにはいけません。 しかも借金もちなので、「金」の問題も大きく苦悩としてのしかかってきます。 その苦悩を打ち破る主人公の決断、そして「家族」の行動は、きっと感動を呼ぶはずです。 よくこんな突飛な発想のストーリーができたなあ・・・と感心しきりだったのですが、精子提供を扱った映画には「キッズ・オールライト」「カレには言えない私のケイカク」といったものがありますし、けっこう普遍的な題材なのかもしれません。惜しくらむは上映館が限られていること。 しかし徐々に上映する地域は増えていっていますし、ここまで完成度が高いのであれば、「最強のふたり」のようなロングランも期待できると思います。 G(全年齢)指定ですが、性的な話題も出てくるのでそこだけは要注意(どぎついものではないです)。 カップルでも親子でもひとりでも、間違いのない1本です! [映画館(字幕)] 8点(2013-02-17 15:02:20)(良:2票) |
6. 神秘の法
《ネタバレ》 つまんねえ。この映画のことが心底どうでもいい。 内容は主人公瞑想→宗教的なお話→また瞑想→宗教話→宇宙人との遭遇→主人公処刑される→神々のご加護で復活→最後はマジカルステッキを掲げて演説したら、滅亡までのカウントダウンをしていたはずの大量破壊兵器のことも全解決という頭がお花畑な映画でした。 公式ページで「この映画を観たらリウマチが治った!」という香ばしい意見が述べられていましたが、自分の口内炎は治りませんでした。 [映画館(邦画)] 1点(2012-10-20 08:02:51)(笑:3票) |
7. 白雪姫と鏡の女王
これはものすごく楽しめました! この映画で面白いのは、すさまじいまでの「ひねくれ」具合です。 展開はとことん原作をおちょくってます。 女王の滑稽さは突き抜けているし、 「鏡」のキャラも全く違うし、 王子は全然格好良くないし、 「七人の小人」は可愛くないし、 毒りんごというアイテムは出てくるものの展開はまるで違うし、 脚本家の好き勝手さが出まくっていて素敵です。 変人だらけのキャラは魅力的だし、伏線も効果的に使われているし、テンポもいいので退屈しませんし、白雪姫をはじめとした登場人物の行動にも(一部を除き)説得力があります。 ひねくれはしていても、最後まで本筋から脱線せずに楽しませてくれるのは、本作の長所でしょう。石岡瑛子による衣装も映像も魅力のひとつ(石岡さんは今年の1月に急逝し、この映画が遺作となりました)。 女王の衣装はシーンごとに違うし、多種多様な衣装の美しさはそれだけで楽しめます。 ターセム監督とのタッグがもう見れないのは寂しいのですが、こうして作品の重要な役割を担ったことは、日本人の誇りであると思います。 個人的には今年に公開された「スノーホワイト」よりもはるかに面白かったです。 エンドロールまできっちり楽しませてくれるのもすっごく嬉しい! 多少の好き嫌いはあるでしょうが、ひねくれた&ブラックな笑いに満ちたおとぎ話を期待する人は、是非劇場へ。 [映画館(字幕)] 8点(2012-09-18 13:14:03)(良:3票) |
8. 少女たちの羅針盤
自分は好きだなあ、この映画。 確かにサスペンスとしては2点くらいの内容なんですが、出てくる女の子がすこぶる可愛いです。 成海璃子はウザいくらいに猪突猛進なキャラにはまっていますし、 森田彩華のボーイッシュさには惚れそうになれましたし(特に中盤のアレは反則)、 草刈麻有も「内に秘めた」演技がうまい、 忽那汐里は死ぬほど萌えます。 書いてて自分が気持ち悪く思えてきたのでそろそろ止めますが、彼女たちをほとんど知らない自分がこんなに魅力的に思えたのです。 これ以上なくアイドルを自然体で、かつ魅力的に表現しています。 観てて恥ずかしいくらいのザ・青春なシーンもいい。劇中劇の内容も面白い。 台詞は女子高生らしい「くだけかた」ですし、体当たりで演技をしてくれるので楽しいのです。 それはミステリー部分の安っぽさ(失礼)を補ってもあまるほどでした。 なのでファンは女房を質に入れてでも観るように。 [映画館(邦画)] 8点(2011-05-20 20:47:01) |
9. シュレック フォーエバー
《ネタバレ》 いやーよかったよかった大満足です。 舞台は「パラレルワールド」 1作目と同様、今作でも大人にこそ観てほしいテーマを内包しています。 具体的なターゲットは倦怠期になった夫婦orカップルです。 シュッレクが一度は望んだ独身時代の生活。しかし彼がいない、フィオナ姫を助け出さなかった世界でキャラクターの人生が変化しています。 フィオナが言った「あなたは愛する妻も居て、三人の子どもに囲まれて幸せでいる、どうしてそれがわからないの」というセリフを後半、彼は同じようにつぶやきます。 いやいやながらの結婚生活も、実はかけがえのないものだった。それを気づかせてくれます。 しかし長靴をはいた猫のかわいさはシリーズ最高!大満足でこのシリーズを見終えることができました。 [映画館(吹替)] 8点(2010-12-19 14:17:32)(良:1票) |
10. 十三人の刺客(2010)
《ネタバレ》 すごく面白い。 娯楽性の高い時代劇にして紛うことなき三池監督作品でした。だって十分格調高い映画にできそうなのに下品なおふざけを入れるのだから。特に中盤の伊勢谷友介と岸部一徳のアノシーン。本作はPG12指定ですが小中学生にどんな助言指導をしたらいいんだか・・・三池監督のクセを知らない人はどんびき必死。 でも自分は大好き。悪趣味な自分は稲垣吾郎の残虐っぷりをもっと観たいと思ったくらいで、監督らしさを観てニヤニヤできるのはファンとして嬉しいし、これからもこうあってほしいと思いました。 自分はこの映画を観る前に気になっていたことが二つあって、ひとつは「クライマックスの50分の戦闘シーン」が大きな宣伝文句になっていたこと。 「クライマックスどころか普通の映画の半分の時間じゃん、長げーよ、絶対飽きるって」って思ってましたが、あくまで「戦闘が始まってから映画が終わるまでが50分」であって実際乱闘が続くのは30分くらいのもの。血みどろで戦う姿に圧倒され、それほど長くは感じませんでした。むしろ映画自体2時間以上もあったの?と思うくらい時間を感じさせません。 ふたつめはタイトルにあるとおり刺客が13人もいること。 しかし実際にキャラ立てさせてあるのは13人中7人くらいで、それほど登場人物が多くて理解が大変というほどではありません。敵側も手下一人に焦点を当て、余計なドラマを極力排除したのも成功していると思います。 前半はほとんどがその登場人物たちによる会話シーンなのですが、これも役者たちの演技が素晴らしく飽きさせません。 マイナス点は最後の決着が個人的にあまり盛り上がらなかったこと、役名を画面に出すのなら顔のアップのときにして欲しかったことくらい。残虐描写が苦手な方以外に強く推薦できる作品です。 [映画館(邦画)] 8点(2010-10-01 18:45:25) |
11. シャーロック・ホームズ(2009)
《ネタバレ》 びっくりするくらい面白くない。まともな推理シーンと思えるのはなんと事件が解決したあと。しかもその内容もいまさらで「ふーん」としか思えない程度です。ミステリーよりアクションを重視するねらいもわかるのですが、それで満足できるほどではない。ちょっと「ソウ」シリーズっぽくヒロインがピンチになるシーンがよかったくらいか。 ガイ・リッチー監督にはやっぱり「ロック&ストック~」くらいの痛快さを求めてしまいます。次回作に期待。 [映画館(字幕)] 3点(2010-09-21 18:36:37) |
12. シン・シティ
キルビルと同系統で好き嫌いの分かれる映画ですが、個人的には愛している勢い。 この映画で素晴らしいのは男たちのモノローグの格好良さと、愛する者たちのために行動するストーリーです。 女性が弱い存在でないのもいい。女も好きな男たちのために戦うのです。 近頃の男は~女は~と文句垂れるよりも、この映画で、あるべき男と女の世界はこうなんだ、と思えたほうがいいんじゃないかと。 そうそう、この映画は日本語吹き替えがまたかっけーのでおすすめです。2が早く観たい! [DVD(吹替)] 9点(2010-09-12 19:46:31) |
13. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 一番好きな映画。アラを探そうとすれば、年月を感じさせる描写が少ないだとか、レッドがハーモニカを吹くシーンが欲しかったなどいろいろあるのですが、全体をみれば言うのは野暮なこと。ゆるぎない完成度の高さを誇っています。囚人たちのエピソードの面白さ、名シーンの数々、これ以外は考えられない素晴らしいキャストを思えば満点以外に考えられません。 印象に残っているのは主人公が「ついていないな、不幸がこんなにも恐ろしいとは」とレッドにつぶやくシーン。自分は不幸だと感じる人は世の中にごまんといて、その全ての人が共感できる台詞です。だからでこそ、希望を捨てなかった彼の行動に勇気づけられるのです。 「午前十時の映画祭」で、ラストの青い海をスクリーンで観れて幸せでした。最高! [映画館(字幕)] 10点(2010-07-16 19:58:21) |
14. 少林少女
《ネタバレ》 コメディ映画なのに笑えるシーンが皆無なのはひどすぎる。全てが嫌いな映画なんで0点なんですが、他の0点とは違うニュアンスで最低だということを主張したい。◆とりあえず一番つっこみたいのは道場が放火されるシーン。そこでメラメラと燃える炎を見ながら道場の思い出をいきなり語り出すのです。消防車呼べよ。 [CS・衛星(邦画)] 0点(2010-07-16 19:50:50) |
15. 死霊の盆踊り
是非レンタルビデオ屋に行ったら、ジャケットの裏を読んでほしい。この解説を書いた方もさらさらこの映画をほめる気はなかったらしく、デカデカと見出しに(うろおぼえですが)「史上最低の映画!」と書かれ、文章は内容をコケにしまくり、でも〆は「愛すべき最低映画なのだ」として若干の救いも用意する。この解説はものすごい映画愛に満ちていたので大好きです。映画自体は観なくていいです。 [DVD(字幕)] 0点(2010-07-11 17:47:23)(笑:8票) |