1. 天と地
『プラトーン』『7月4日に生まれて』に続くオリバー・ストーンのベトナム戦争3部作完結編・・・って、こういう時に使われる「3部作」なんて言葉は信用できない。最初から企画していたわけでもあるまいし。そもそも『プラトーン』自体『サルバドル/遙かなる日々』の成功がなければ映画化されていなかったのだろうから。そう考えていくと、本作は『プラトーン』で成功を収めたストーンがベトナム戦争ネタで何か作れないかと考えあぐねた上でひねりだした企画と思えてくる。つまり、散々消費した後の出涸らしを無理くり成立させたもので、ここにはストーンが主張したいことなどもう何もない。それが本作のテンションの低さにつながってしまっている。 3点(2004-01-05 14:17:46)(良:2票) |
2. 天国の口、終りの楽園。
《ネタバレ》 理性よりも本能が勝ってしまう下半身中心の青春時代。偶然出会った美女との出会いにより二人は一歩大人の階段を上っていく。まとめるとありがちなプロットだが、下半身が人格を持つ様を徹底して描くことにより、甘さ・ほろ苦さよりも嫌悪感を強調させる手法はある程度成功している。しかし、それゆえ、観ていて彼らに感情移入ができないのが欠陥ともなっている。終盤のガンも定石だが、結果、着地点が後味悪いものとなってしまった。人間の愚かさを描くことに成功はしたが、そこから生の悦びを浮かび上がらせることには残念ながら失敗しているように思える。 4点(2004-01-05 14:03:59) |
3. 転校生(1982)
男女が入れ替わるというSF的ファンタジーと尾道を舞台とした日本的ノスタルジー。一見ミスマッチと思われるこの組み合わせを思いついた大林宣彦監督の発想を高く評価したい。主役コンビに美男美女を配さなかったことも本作がより多くの観客に感情移入させる大きなポイントとなっている。もちろん、その大林監督の期待に応えた尾美としのり・小林聡美の好演も素晴らしい。未見のかた、是非観てください。こんなに笑えて、それでいて胸が張り裂けそうなほど切なくなる青春映画はそうそうないですよ。 9点(2004-01-05 13:52:40) |
4. テルマ&ルイーズ
《ネタバレ》 女性版アメリカンニューシネマといったコンセプトだろうが、本作には大いに異論がある。女性が強くなるというのは、男性と同じことをするということなのだろうか? 肉体的にも精神的にも女性と男性には大きな違い(差ではない)がある。女性の特徴を活かした女性の自立というものを模索すべきだと思うのだが。ラストには、女性だってアメリカンニューシネマぐらいできるといった誤ったフェミニズムを感じずにはいられない。 2点(2003-12-14 03:46:07) |
5. デリカテッセン
う~ん・・・評価に苦しむ映画。今となってはストーリーもうろ覚えだし、劇場で観た時もストーリーにのめりこんだ記憶はない。しかし、10年以上経っているというのに、いまだに悪夢のような映像が頭にこびりついていて離れない。ジュネ作品にはT・バートン同様に独特の構築美があり、ローバジェットの本作にこそその特徴が顕著である。全体の完成度を考えればもっと低い評価にしなければならないのだろうが、この世界観に7点をつけておく。 7点(2003-12-14 03:36:11) |
6. デモリションマン
《ネタバレ》 『クリフハンガー』で復活したスタローンが、今度はSFに挑戦! といってもいつものスタローンアクションと大きな違いはないが、コメディを経験したことで、ゆとりを感じる。作品全体としてもSFのパロディ的な仕上がりとなっており、楽しめる。本作の3つの疑問。★貝殻はどう使うのか? ★スナイプスのオーバーオールは本人も納得していたのか? ★「俺が見つけた新しい才能」(スタローン談)M・ブランビヤ監督は今いずこ?! 7点(2003-12-14 03:20:48) |
7. デビル(1997)
個人的にあまり好きではない二人。こんな俺だからつまらないと感じたのかと思ったが、そういう人が多かったんだね。皆と評価点にズレの多い俺にしては珍しい(笑)。撮影時本当に二人の仲が悪かったかなんて関係ない。本作の敗因は、スター二人を並び立たせるために見せ場を均等にしようとしたことだろう。ハリソンに焦点を絞り、観客にも徐々にブラピの痛みが伝わるようにするべきだった。 ★ブンさん、ごめんなさい(笑)。 3点(2003-12-14 03:11:36) |
8. ファイヤーボール(1978)
無類のカーキチであるクローネンバーグが撮った念願のカーレース企画。といっても、全くスピード感がなく、描かれる人物達も今ひとつ活き活きとしていない。平凡なレース青春映画の域を全くはみだしていないため、クローネンバーグ好きとしては肩すかしをくらう。後に『トップガン』の監督をオファーされたらしいが、制作者は本作を観ているのだろうか? T・スコットに決まってよかったと心から思う。 2点(2003-12-14 02:42:54) |
9. デビッド・クローネンバーグのシーバース
クローネンバーグ版ゾンビだが、非常にチープな映像。にも関わらず、画面に恐怖が漂っている。それは、クローネンバーグが人間の本質を描いているからだろう。そのため、口から口へと寄生していくものが男性器を連想させる造型となっているのだが・・・。 『裸のランチ』でも性器そのもののクリーチャーを出しているが、ここがクローネンバーグが巨匠になりきれない原因か?! 俺は好きなんだけどね(笑)。 6点(2003-12-14 02:36:21) |
10. デッドマン・ウォーキング
監督デビュー作『ボブ★ロバーツ』では、アルトマンの影響を感じさせる演出手腕を見せたロビンス。本作では、より真っ正面から題材に向かい合っている。死刑制度の是非という難しい問題に対して、ロビンスは中立でいようとしている。O・ストーンのように主張を押しつけるのではなく、観る者にその答えを委ねている。映画は演説でも論文でもない。それを心得ているのだから、ロビンス夫妻よ、オスカー授賞式でも演説はやめなさい! 8点(2003-12-14 02:27:05)(良:2票) |
11. デッドゾーン
《ネタバレ》 キング×クローネンバーグ。この夢の組み合わせの割に地味な仕上がりで、どちらも苦手の方にもすすめられる一本。超能力を授かった故に孤独な戦いを強いられる主人公をウォーケンが好演している。カナダの寒々しい光景も本作の哀愁を深める役割を果たしていてよい。個人的に気に入ったのはヒロインのチョイス。とびっきりの美人ではないB・アダムスの起用で、主人公が心からヒロインを愛していることが痛切に伝わってくる。 9点(2003-12-13 23:09:10) |
12. DEAD OR ALIVE FINAL
《ネタバレ》 シリーズ3作の中ではもっとも出来の悪いプロット。『ブレードランナー』的な世界を狙ったアンドロイドという設定もあまりしっくりこない。しかし、開き直ってシリーズ前作を強引に結びつけるオチや、エンドクレジットで流れる人をくったようなおじさんの唄。やっぱり三池崇史は狂っている。本作は三池のアウトロー描写の巧みさは観られなかったが、これだけ弾けていれば本シリーズの締めくくりとしては上出来だろう。 7点(2003-12-13 23:01:26) |
13. 鉄男 TETSUO
事実上自主制作映画である本作。よって、稚拙な特殊効果も見受けられるにもかかわらず、メタリックな容貌に変化していく田口トモロヲの情けなさ、そして、パワーに画面から目を離せなくなる。弱くなった男の復権をクローネンバーグ的手法で描きつつも、ただの模倣になっておらず、塚本の原点がしっかりと刻み込まれている。日本では今ひとつ認知されていない塚本だが、北野以上に世界で認められているのも、本作を観れば納得できる。 8点(2003-12-13 22:53:48) |
14. デスペラード
自主制作映画『エル・マリアッチ』が好評を得て、大幅予算アップでパワーアップしたR・ロドリゲス、メジャー進出作。主演にバンデラスを迎え、大喜びでメガホン握っている姿が想像でき、思わず祝福してあげたくなるのだが・・・、出来は決してよくない。派手にすればいいもんじゃないんだよな。とはいえ、バンデラスのかっこよさ、なによりもロドリゲスへの祝福の意を込め、甘めに採点。 6点(2003-12-12 22:20:29) |
15. テキーラ・サンライズ
愛する女のために友情で結ばれた男達の関係は少しずつ狂っていき・・・。熱き男を描いた作品を期待してみたのがいけなかったのか、一本筋が通っていないプロットにイライラさせられっぱなし。脚本・監督がR・タウンであることを考えれば、演出がまごついてしまっただけかもしれないが。いずれにせよ、タウンの脳内にあったスタイッリシュなサスペンスラブストーリーがフィルムにやきつけられなかったことは確かである。 3点(2003-12-11 21:29:12) |
16. テイラー・オブ・パナマ
ジョン・ル・カレの原作は未読ながら、カレ作品の映画化にP・ブロスナンという組み合わせにひかれ鑑賞。ただのでまかせがどんどん膨らんでいってしまう様に今ひとつカタルシスが感じられないのは、J・ラッシュの重い芝居ゆえか。J・プアマンはもう少し軽妙な演出を心がけていくべきだったかもしれない。とはいえ、ブロスナンのボンドとはひと味違うスパイぶりはユーモアと哀愁が入り交じっていて秀逸。 5点(2003-12-11 20:14:30) |
17. デーヴ
《ネタバレ》 影武者が善行をするというのはハリウッドコメディの定石中の定石。しかし、本作がお約束の域をうまく乗り越えられたのは、政界を舞台にしつつもファーストレディとの夫婦愛を加えたため。このアイデアによって、ともすると嘘くさく、しかも説教くさくなりがちな本作が、心地よいヒューマンコメディへと変貌した。クレジットにあるゲイリー・ロスがオスカーノミネートされたのも納得の一本。 9点(2003-12-11 19:54:24) |
18. ディック・トレイシー
原色こてこての映像でアメコミの世界を再現。それもW・ベイティを筆頭に、ホフマン・パチーノ・カーン・マドンナ・・・夢のオールスターキャスト。このテイストは何かに似てると思い考えた結果、わかった。これって、俺の大好きなかくし芸大会のパロディドラマのノリなんじゃないか! と思っていたら、段々にベイティが井上順にしか見えなくなってきて、劇場を出るときには幸せな気分だった。(よって採点はかな~り甘い) 7点(2003-12-11 19:40:17) |
19. ディスクロージャー
本作を演出したのはバリー・レビンソンなんだよなぁ。『スフィア』もあわせ、迷走しているのが残念。この時期、自分の資質にあう作品かどうかの選択ができないほど追い込まれていたのかもしれない。追い込まれたといえば・・・マイケル・ダグラスが女の誘いを断る?! いやいや、ダグラスだったら喜んでお相手するだろうに・・・。 4点(2003-12-11 19:33:12) |
20. デイズ・オブ・サンダー
ハンサムガイ、トム・クルーズ最高!・・・という方にはおすすめの一本。そうでない方には一つ追加質問。空が緑色や黄色に変色された映像はスタイリッシュだと思えますか? Yesの方は本作はもちろん、トニー・スコットという名前をよぉ~く覚えておきましょう。どちらもNoの俺のような人は・・・さぁ、ビデオレンタル店で勢いよくパッケージの前をスルーしましょう! 3点(2003-12-11 19:28:46) |