1. 透明人間(1992)
《ネタバレ》 えっこんなのがあったんですか、どうして見逃していたんだろう…と首を傾げつつCSを見る。 カーペンター映画なら、たとえ実際に見ていなくても、知識くらいあるはずなのに? 彼の透明人間ものなら、さぞ面白かろう…どうして知らなかったんだろう。 あ、そうか。そういうことね。このころは、きっと困っていたのでしょう。 「監督」だけ、ですから。雇われ監督を引き受けるくらいだから、相当困っていたんでしょう。 確かにナミの監督が撮ったB級SFよりはマシかなあと思う。…思いたい。彼らしいユーモアも挿入されている…ような気もする。気がしないでもない。 でもまあしょうがないっかあ。「雇われ」は辛いものですね。見ても見なくてもいい作品です(でもどんな子供が生まれたのかだけは気になる)。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-28 19:45:35) |
2. トリコロール/白の愛
《ネタバレ》 そもそもの前提がまちがっているというか、離婚の法廷で性的不能を公言されたからといって、人格を全否定されたことにはならないのではないだろうか。 そういうふうに感じてしまうカロルのほうに問題があるのだと思います。 男性はそんなに性的能力にこだわるのはやめたほうがよくて、「セックスをしてくれない男だから嫌だ」というより「カロルが嫌だ」なので、女は追い払いたいからそう言うのです。 なので私はカロルの絶望は「勘違い」とか「考えすぎ」であるということにします。確かに、放火犯にまでしようとするドミニクはかなりひどいですが、そうでもしなければカロルを追い払えないからでしょう。 すると、その後のカロルのしたことは全部無駄な努力です。そして、ところどころで、ドミニクへの復讐を忘れて楽しく生きるチャンスがあるのになあ…というふうに感じられてとてもバカバカしいですね。 たとえば、ミコワイに空砲を撃ってやって彼の人生を救った時点。彼は他人のためになることができるのです。ここで方向転換したらいいのに。 出発の朝。ちょっとヌケている人のいい兄貴がチェリーのジャムを持たせてくれたとき。家族はありがたいじゃないですか。死んだふりなんかやめたらいいのに。 この話に徹底して欠けているのは「母」的なものです。カロルの母はたぶん死んでいるから出てこないし、ドミニクの母も出てこないし、二人の間に子供もいないから当然ドミニクに母性もない。 乙女の胸像を崇めるカロルは、たぶん結婚相手を偶像化し、セックスできなくなるのです。なおかつ私は、この話のどこにも存在しない「母なるもの」をも、妻に求めていたのだと思う。なおさらセックスなんてできません。 さて、首尾よくドミニクを罠にはめ、「これでイーブンになった(から愛し合える?)」と思っているカロルはドミニクに愛してもらえるのか。根本の原因を反省していない彼はまた追い払われると私は思いますが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-12-27 16:12:05)(笑:1票) |
3. トリコロール/青の愛
《ネタバレ》 「白」を見て気がついたのですが、「白」に出てくる「妻子の束縛から逃れたい殺されたい願望の男」ミコワイは、まさに「青」のパトリスのことを言っているのですね。 そう思って考えると、当時のパトリスがにっちもさっちもいかない身動きの取れない状況に居たということがよくわかります。 気が強くて仕事に手を出し口を出すセレブ気取りの妻からは逃げられず(作曲を手伝ってもらっているうえそれを世間には秘密にしているし)、気晴らしに愛人を作ったら相手が本気になって妊娠してしまい(パトリスが知らなかったというのはあやしい)、離婚しようにも妻との間の娘はまだ小さいし、欧州統合の象徴曲を作ってくれというプレッシャーはかかるし、これは「きわめて内気な人物」であるパトリスが「ミコワイ」になるのに充分すぎる状況ではないでしょうか。 パトリスはミコワイなのです。誰かを雇ってブレーキオイルを抜かせたかどうかはあまり重要ではない。パトリスはミコワイ的な状況にあって、あの事故のタイミングは作り手のクッシー的には「偶然」ということではないのですたぶん。 そして、ビノシュというたくましい女優を使うことによって、ジュリーという女性が本当は夫を束縛しまくっていて、パトリスは死ぬことによってしかジュリーから解放される方法はなかったことが描かれます。 だからこの「青」はまずは「パトリスの得た自由」なのだと思う。そしてつぎに、夫と子供から解放されたジュリー、セレブ妻であることに満足して自分の才能を夫の手柄にしていた不自由、本当はあまり子供が好きじゃないのにいい母親ぶる努力をしていたという不自由、からの解放であるのです。 クッシーの作品世界では、人々の間に「話し合い」が通用しなくなったところから物事が始まっていて、そのため登場人物はいきなりガラスを割ったり爆弾を仕掛けたりします。クッシーの中では「もう話し合いでどうにかなる段階ではない」のです。 けれども、ビノシュのようなたくましい女優がそれをやると、とんでもねー怖いねえちゃんに見えてしまうのも事実です。いつ見ても相変わらず嫌な感じのビノシュでした。 しかし三部作にするほどの内容かなあ、という疑問の残った青。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-27 15:09:55) |
4. 12モンキーズ
《ネタバレ》 ずっと前に一度見たけど、「地味な作品」とか思ってその後失念。 今回見直して見たら、なかなかよくできた映画であった。 この作品の核は、私にとってはなんといってもブルース・ウィリス。 ガタイがよくて不器用な男のピュアな感じ、彼はこの分野では傑出した俳優さんと思う。(その意味では「ジャッカル」の役に無理があるのはあたりまえか) 「ストーリー・オブ・ラブ」でも思ったけどこの「ガタイがよくて不器用でピュア」、天然じゃなくてこれを表現するのはさぞ難しかろう。(「ストーリー・オブ・ラブ」はこのブルースの良さを描ききっている。「俺は子供じゃないぞ!」と叫ぶときのアホでピュアな感じといったら) その難しさはウド鈴木などのバレバレ感を見ると明らかである。 「ちょっと知能が足りない」と「知能は人並みだがピュアで口下手」の境界線はぎりぎりのところにあるが、この作品ではその際どいところをよく表現したと思う。 マデリーン・ストウについては個人的には不満だ。この作品の彼女を見ていても、「知的で、適度な年齢で、整った美人」という以外の意味が見出せないじゃないか。それじゃあ、役どころそのまんまでしかない。しかも知的なはずなのにプロ意識に欠けている。ラスト近くで急速にジェイムスに心を寄せて、ラブラブになるのが不自然だ。まあ脚本に問題があるかもしれないが、「役割(精神科医)」をすっとびこして「個人(一人の女)」へ移行するまでがかなり無理がある。1917年の写真に信じられないものを発見しようが、まだその時点では彼女は十分に精神科医。精神科医(しかも女性として苦労のうえつかんだ地位のはず)としての自分のキャリアをかなぐり捨てるプロセスに、観客を説得するものが足りない。→製作者の女性に対する観察眼、認識が甘い。 ところで、2035年、レイリー博士(Railyは「ライリー」じゃないと思う。「レイリー」もしくは「レアリー」のほうが近い)は70歳くらいになっているでしょうか。果たして彼女は生き延びて地下で暮らしていたのでしょうか?生きていたなら、ジェイムスを探したのではないでしょうか?そこのところが気になります。(やっぱりウィルスで死んだのかな) [DVD(字幕)] 8点(2006-07-17 12:08:05)(良:1票) |
5. トレインスポッティング
《ネタバレ》 やっぱ「レクイエムフォードリーム」が出た後ではこの作品の位置は下降気味であろう。 個人的にも「レクイエム」を推す。「トレイン」では、ボイル得意の「アイルランドの愁い」がウザかった。なんとなーく「アイルランド」の「愁い」はわかってきたけれど、「こんなとこに生まれて最悪」っていう「セリフ」で思いっきり表現されちゃうと、しらけてしまうんだよな。そんなもんじゃないですか。「お里」的な「愁い」ってさ。ユアンが部屋に閉じ込められて、ヤク断ちさせられるところに、私のS心がかなり刺激されました。(「28DAYS」とかもそうでした) [DVD(字幕)] 7点(2006-01-03 23:39:21) |
6. 永遠に美しく・・・
《ネタバレ》 なかなか面白い。イザベラロッセリーニはあんなくずれた体型でなんであんなにタカビーになれるのか。ナンセンスの快。ラストがシュールでよし。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-20 20:52:20) |
7. トータル・リコール(1990)
《ネタバレ》 ストーリーよし。もちろんシャロンよし。女優さんは、容貌ですな。(ダイアンキートンは別) 面白く作ってあるし、空港の特殊効果もはずしてないし、とにかくよいです。このころシャロンはまだ売り出し中で、これの次が「微笑」でブレイク。この作品のためにフィジカルなトレーニングももちろん積んだという。ブレイク直前のシャロンの良さが光る作品。シャロンのことばかりですが。 [DVD(字幕)] 8点(2005-11-20 17:53:35) |