21. エイプリルフールズ
《ネタバレ》 決してつまらない訳ではなかった、長所と言えばそれくらいでしょうかねぇ。 ポスターの絵柄にモロに表れているように、『ラブ・アクチュアリー』とか『ニューイヤーズ・イブ』とか『バレンタインデー』の邦画版をやりたかったんでしょうね。幾つものドラマが同時進行で描かれ、それぞれが繋がってゆく、っていう。 だけどこの映画には、構成や繋がり方にそれらの映画ほどの感心させる技巧は感じられません。元々の基本となる各ドラマに無理があるために、繋がりもまた無理を重ねているだけのように思えて。 タイトルを挙げた映画達と違って、この映画は最初に現実的ではないバカ映画ノリ、どちらかと言えば『ハングオーバー!』だとか『メリーに首ったけ』だとかに近い感覚のドタバタ演技、エピソードを重ねてゆきます。そこからシリアスなドラマを生み出そうとしているのがおかしな気がして。登場人物の誰もが「お笑い用に作られたキャラ」に見え、言動に全く説得力が無いので、そこで感情移入して泣いて下さいと言われても、心を重ねてゆける部分がなかなか見当たらないという。 それでも散らばったエピソードをどんどん畳み掛けてサッと〆てみせれば、面白いモノを見たって感覚も生まれたかもしれません。ところがこの映画、大体のエピソードの繋がりが見えてからが長い長い。実質的にはエピローグな部分に延々30分くらい。何度も何度もクドクドと各エピソードの行く末を念押ししまくって、ここで映画の流れが崩壊してしまいます。感動させよう、盛り上げようとタメまくって無駄なカットと時間を重ねて映画の価値を下げるという、日本映画の悪いクセがここで存分に発揮されちゃっててゲンナリ。10分以内で描きましょうよ。 あと、水商売、風俗を差別的に、人間の中でも下位のものとして描いているのが気になりました。そこで働く人々にも心はあるのです。 次々繰り出されるバカな小ネタを楽しむ映画としての価値はあったので、下手に感動ノリに走らない方が良かったんじゃないかと思います。大体、ここで描かれる感動ネタそのものはどれも古典的過ぎちゃってて。 大勢のスターが演じるバカキャラ、この映画の価値はそこにだけあったんじゃないかと。つーか、この映画、みんなそんなに嘘ついてなくない? [映画館(邦画)] 5点(2015-04-07 22:53:14) |
22. エリジウム
《ネタバレ》 予想外の凡庸さ。 こういう貧富が二極の世界で描かれるSFって定番じゃないですか。最近でも『TIME』『トータルリコール』『アップサイド・ダウン』なんかがあって。 で、この映画からそれらを越える独自の魅力が感じられたか?っていうと全然。むしろダサいというか下手というか。 なんでこの程度の表現力で定番に手を出しちゃったかなぁ? デザインがモロに『HALO』を思わせるのはこの監督での映画化がポシャったゆえかもしれませんが、にしてもイコール既視感バリバリ、あのリング状世界のビジュアルは既知のものとして驚きが無いわけで。 更に悲惨な地上はこってり描いても、エリジウムの人々の描写はスカスカなので対比構造が成立していない感じがしますし。 そもそもエリジウムがサイズ小さすぎであれでは社会が機能しないんじゃないかと思いますが。(脳天気な)ラストの医療システム、あんな小さな空間から飛び立ったあれが世界全体をフォローできるわけはありませんよねぇ。 あの医療システム自体が都合のいい、魔法のような存在であるがゆえに、お話しがファンタジー化しちゃってる感じもあります。 もう少しエリジウムが成立している背景や、その均衡が崩れてゆくさまを見せて欲しかったのですが、映画の興味はアクションシーンにあるようで、バイオレンスたっぷりのアクションシーンが連続、だけどそれも既視感たっぷり。 でも何と言っても残念なのはジョディ・フォスターの勿体ない使い方。彼女が抱えたもの、その人物を形作った背景、そんなのが全くすっ飛ばされているので、基本誰が演じてもいい役。演じた人なりの雰囲気が出るだけ。 結局『第九地区』で引き出しの全てを晒して、新作と言ったところでそれ以外は特にありませんといった印象でした。 [映画館(字幕)] 5点(2013-09-22 21:39:09) |
23. エクスペンダブルズ
《ネタバレ》 出オチ映画。うわーい、ヤツが出てきたー!ってトコを楽しんだら、あと、なーんにもないという。映画として独自の面白さを見せようって気はさらさらないようで。だからクライマックスなんか、別に『ランボー』や『コマンドー』や『ホットショット2』のフィルムから流用しとけばそれでいいんじゃね?って程度のもので。それらより劣ってますもんねぇ、アップ過ぎたり、カメラ振り回し過ぎたり、カット割り細か過ぎたりで。位置関係や物語の推移はおろか、誰が誰と闘ってるのかさえ、ちゃんと描けてないのはねぇ。機内の描写の次に、もういきなり要塞に潜入しちゃってる状態は省略し過ぎですし。80年代B級アクション映画を、懐古主義的にただ再現するだけ(殺戮シーンは『プライベート・ライアン』以降のそれですが)じゃなくて、今の時代を映して、かつアクション映画としてもキチンと丁寧に仕上げて欲しかったですねぇ。 [映画館(字幕)] 5点(2010-10-18 16:10:53)(良:2票) |
24. 映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館
《ネタバレ》 去年の『クレしん』と同じ状況になってます。ひたすら状況説明が続くばかりで物語が全く動いてゆかない状態。 ほぼ博物館だけを舞台に展開する内容で、『ドラえもん』世界でお馴染みの道具については色々と語られてゆきます。エンドクレジット部分を含め、カタログ的な価値としてはとても大きいと言えます。 でも、物語はクライマックスでの展開を除くと殆ど台詞によって説明されてゆくばかり。博物館という閉鎖空間で動的な展開をさっさと諦めひたすら点による情報の羅列に終始している感じ。 大体、のび太とドラえもんが物語を殆ど動かしていないのですよね。ゲストキャラクター達の暴走と自己完結を見守る狂言回し的な存在でしかなく、ただ盗まれた鈴にまつわるエピソードのみが辛うじて脆弱な芯として存在しているようで。 キャラクターの個性を生かす事もなく、明確な教訓を残す訳でもなく(またやらかすぞという繰り返しの日常へと戻ります)、ひみつ道具の存在に依存した一編、『クレしん』と共に原作者亡き今、シンエイ動画はドラマを構成する力に問題を抱えてはいませんか? [映画館(邦画)] 4点(2013-03-14 19:51:23) |
25. エアベンダー
《ネタバレ》 「これまでのあらすじ」を延々と見せられて、さあ、やっとここからが本編です、って監督の名前が出てきたと思ったら、それがエンドクレジットだった、って感じの映画。これまで贔屓にしていたシャマラン監督ですが、今回は擁護無理。っていうか、東洋テイストだから、ってそれだけのような、シャマランらしきテイストがまるで感じられない映画。とにかく展開早くてブツ切れで、 それをモノローグと大量の説明的セリフでフォローするという、映画的情緒ゼロなダイジェスト版状態ゆえ、ドラマを楽しませようって気はまるでなし。北の水の国のお姫様なんか、唐突に出てきて思い入れもなく退場、みたいな状態だし。火の国の追放された王子だって、もっとドラマティックなキャラな筈でしょ? せめてボウズの大活躍が見られると思っていたら、いちいち微妙な活躍、クライマックスでは壁作って終了・・・。『ライラの冒険』とか『エラゴン』みたいなダメ系ファンタジーの仲間になるとは。シャマランならもう少しなんとかしてくれると思ったんですけどねぇ。東洋趣味だけで娯楽として成立させようとしておりますが、東洋の人間には無効だしね・・・。せめてせめて、役者の顔が印象に残るって程度の事はして欲しかったです。見終わって印象薄いの。いつものシャマランの「やっちゃった!(笑)」じゃなくて、これは「やっちゃった・・・」でしたなぁ。 [映画館(吹替)] 4点(2010-07-23 16:36:16)(良:1票) |
26. エルム街の悪夢(2010)
《ネタバレ》 ご贔屓のジャッキー・アール・ヘイリーがフレディを演じるというので見に行きましたが、彼には向いていないキャラでしたねぇ。『エルム街の悪夢』って、ユーモラスな面があるからこそ面白いのだと思っているのですが、このリメイク版は何を勘違いしたか、シリアスなホラーにしちゃってまして。ずっと真顔なフレディってのも困ったもので。オリジナルは夢と現実とが曖昧なままな映画で、ゆえにダークファンタジーとしての側面も持ち合わせていたのですけれど、これはもっとずっと理屈っぽくなって、それが逆にホラーとして「正体が判らない者の恐怖」をスポイルしてしまっていて。その上、魅力の薄い、冴えないキャストからは緊迫したドラマも伝わってきません。最終的にヒーローポジションになる兄ちゃんなんか、フレディ云々以前に、もう最初からボヤ~ンと眠そうな顔だったりして。前作を上回る部分なんて何もなくて、オリジナルだってなかなか見られない映画って訳じゃなく、リメイクする意味が一体どこにあるんだろう?って感じではありました。どこか褒めるところがあるとしたら、ほんの数カット、シネスコにキレイにハマった構図の画があった事くらいですかねぇ。 [映画館(字幕)] 4点(2010-07-02 15:46:12)(良:1票) |
27. 映画 ひみつのアッコちゃん(2012)
《ネタバレ》 なんで『アッコちゃん』で『ビッグ』からの明らかなパクリ設定(子供が大人になるってところから安直にね)を元にしたドロドロとした企業内内紛話を延々と見せられなくちゃならないの・・・。ハッキリ言って内紛話、全く面白くありません。類型的で予定調和的なプロットと優等生的な教訓が描かれるばかり。アッコは能動的に大人になれる設定なのだから、そこを活かしたプロットが書けると思うのですが、肝心なところでアッコは変身しないんですよね。あくまで優等生的に素のアッコ(しかしそもそも大人に変身した状態のアッコだけど)で物事を解決しようとする、それはテーマに縛られているから、でも、それは『ひみつのアッコちゃん』という作品のアイデンティティの否定にすら繋がる・・・。下手にモコや大将、少将、チカコ等のオリジナルメンバーを出して原作を知る人達に色目を使いながら、実際には映画が対象としている人は大きく異なっている印象。綾瀬はるかがヒロインなテレビドラマ的映画が見たい人向け、という感じでしょうか。その点、確かに綾瀬はるかのキャラは立ちまくっておりましたし(テレビドラマと大きく異なる部分と言えば、綾瀬はるかはシネスコフレームに映えるって事ですか)『プリンセス トヨトミ』とカブっておりつつも岡田将生とのコンビも良い雰囲気で(『アントキノイノチ』に続いて岡田くんは観覧車キャラ)。でもせっかくの素材を随分ともったいない使い方しちゃったもんだなぁって。あくまで『ひみつのアッコちゃん』が見たかったのにこのコレジャナイ感をどうしてくれよう。あと、鹿賀丈史はマトモに喋れていないのですが、一体どうしちゃったの? [映画館(邦画)] 3点(2012-09-04 18:08:40) |