1. 映画と恋とウディ・アレン
自分がアレンファンであることを差し引いても、よくできたドキュメンタリーだったと思う。アレン作品を未鑑賞の人にもオススメ出来る内容。 [映画館(字幕)] 8点(2012-12-31 22:07:11) |
2. 映画 けいおん!
《ネタバレ》 漫画・アニメともに一切未見の状態で鑑賞。ちゃんと最後まで観られるか心配だったが、登場人物の会話が思ったよりも面白く、何となく最後まで観られた。いわゆる「空気系」に分類される話で、ストーリーなどほぼ無に等しいのだが、理想化された女子高生たちの罪のない会話が延々と続くのは、普段こういったものを観ない僕としては新鮮で興味深かった。物語から徹底的に「不快に感じられるかもしれない部分」を取り去っていくと、最終的にこういうものが精製されるんだな。今更なのかもしれないが、映像作品を作り出す方法論としてその手があったか!と感心する体験だった。 さて、ストーリーは女子高の軽音楽部に所属する高校生達がイギリスに卒業旅行に行きました。以上。という起承転結がはっきりしない展開なのだが、彼女らの性格は上手にまとめられている。5人が5人とも個性的だったし、この台詞は彼女が言うだろうと予測できることが心地よい。思うに、このしっかりしたある意味で一面的なキャラ設定がこの作品の肝なのだろう。この作品にはまる理由は、登場人物が予想外の台詞を言ったり、予想外の行動に決して出ないことではないか。確かに彼女達となら安心してコミュニケーションが取れる。勝手に脳内で彼女らと会話できそうである。現代がストレス社会なのかどうか分からないが、全くストレスフリーに観られるこの作品は究極の癒し系作品である。特に、感情を持ち、反応が不確実な他人とコミュニケーションを取ることにストレスを感じる人にとっては、この作品の中の世界は理想郷だろう。 そしてもう一つのポイントは登場人物が「無邪気」である点。最初、一瞬彼女らは中学生では?と思えてしまった(その後そういえば大学受験だったっけと思い出した)ほど、彼女達の会話には女性的な香りがしない。ほとんど中性的と言っても良いほどである。一方で、やたらと彼女らの脚は映すので、完全に性的な部分を除去しようともしていないらしいと気づき、なんだか複雑な心境になった。彼女達を性的な対象として観るファンもいるのだろうか?よく分からない世界である。 残念ながら、この映画をきっかけにもっとアニメにはまろうという試みは失敗に終わったが、「心地よいコミュニケーションのあり方」については学べたような気がする。果たして会社生活で活かせるかは検討を要するが…。 [映画館(邦画)] 6点(2011-12-18 19:54:40) |
3. エンディングノート
自分の父親がガンを患って亡くなるまでを追って監督が撮ったドキュメンタリー。これが砂田監督のデビュー作だが、よく出来ていたと思う。徒に観客を泣かせようとする演出ではないが、やはり人が亡くなる瞬間というのは哀しいものでぼろぼろ泣いてしまった。小さい頃から、監督は家族を相手にカメラを回すことが多かったらしく、家族皆が非常に自然に振舞っているのは良かったと思う。中でも、死を控えたお父さんの態度はなかなか立派で、簡単に真似できるものではないが、自分もその時には淡々とその事実を受け入れたいものだと感じた。生き方だけではなく、自分で死に方も決められる大人でありたいものだ。 また、本人は死を受け入れるものの、家族の受け止めは様々であった。特にこれから二人の老後を楽しもうと考えていた奥さんの悲嘆はさもありなんと観ていて本当に気の毒だった。遠隔地に住む長男も仕事が忙しい時期なのに、よく時間を作って帰ってきてえらいと思った。自分も、その時にはなるべく親のそばに付き添ってやるようにしたい。特に捻りがあるわけではないストレートなドキュメンタリーであるため、監督の力量は測りにくいが、色々と考えさせられた。 それにしても監督がまだ中高生の頃の両親の夫婦喧嘩の映像なんかもちらっと出てきたりして、三つ子の魂百までとはよく言ったものだと感心した。 [映画館(邦画)] 6点(2011-12-05 20:39:29) |
4. X-MEN:ファースト・ジェネレーション
《ネタバレ》 このサイトでかなり高評価のため、このシリーズは未見にもかかわらず、劇場に足を運びました。日ごろアメコミものは敬遠しがちなのですが、期待に違わぬ重厚なつくりの作品で、素直に面白いと感じられました。とにかく予備知識が全く無く、予告編を観て、プロフェッサーXとマグニートーというキャラクターが犬猿の仲になる前の話ということ情報のみをインプットして鑑賞に臨みましたが、全く問題はありませんでした。ただし、ケヴィン・ベーコン演じる悪役ショウ博士の存在感が大きいだけに、予告編で全く取り上げられないのには少し違和感が残ります。 さて、ストーリーは米ソ間に戦争を起こして、それをきっかけに世界征服を企むショウ博士軍団(ヘルファイヤクラブ)に人類を守るべくプロフェッサーX軍団が挑むという内容です。後でXの宿敵になるらしいマグニートーもまだプロフェッサーX側です。果たして人間は守るべき存在なのか?という問いかけ自体はアメコミに多く観られるパターンであり、若干陳腐ですが、若いミュータントたちが真剣に悩み、決断し、それぞれの信じる道に足を踏み出すシーンは美しさを感じました。自分も若者の若さに感動できるようになってしまったかと思うとちょっぴり複雑な気持ちですが。 「キック・アス」でも感じましたが、マシュー・ヴォーン監督はかっこいい映像を撮ることにかけてセンスがあります。CGは全般的にあまりできが良くなかったのですが、その分を十分補える「いい絵」が撮れている映画だなと感じました。最後に。ビースト役の男優は「アバウト・ア・ボーイ」のマーカス君だそうで、月日の移り変わりが身に沁みました。まとめると自分の「老い」を自覚させられる映画だったということになりましょうか。 [映画館(字幕)] 7点(2011-07-22 21:28:40) |
5. エンジェル ウォーズ
考えなくていい映画は苦手だ。この映画も、観ながらずーっと何が現実で何が非現実なのかを考えてしまい、あまり爽快感が得られなかった。結果的に、これは考えなくていい映画だったんだと気づいたときには、時既に遅しだった。頭を空っぽにして観ると気持ちが良いだろうと思う。 大筋としては女の子はセクシーで悪役はいやらしくて最高。オスカー・アイザック演じるブルー・ジョーンズが特に良かった。加えてアクションシーンでは、ドイツ軍やらドラゴンやら巨大武士やらロボット兵やらも出てきて終始ハイテンションなまま、ストーリーが突っ走っていく。ほんとスナイダー監督は好き勝手やったんだろうな。楽しかったろうな。 映画の最後のメッセージで、何が現実なのかも含め、観客に丸投げされた(と思う)ので、僕はこの映画を全部非現実と断定させていただくことにしました。だって受け取り方によっては無茶苦茶悲惨な話よ、これ。 [映画館(吹替)] 6点(2011-04-17 20:14:57) |
6. 英国王のスピーチ
吃音の英国王と言語専門家の心の交流という目の付け所は素晴らしく、アカデミー作品賞も受賞したため、期待にあふれて鑑賞したが、そこまでの感動は得られなかった。もっと面白く出来たはずの作品。当時のイギリス史をざっと理解していないと、ヨーク公と兄との確執などはちょっと唐突感があってわかりにくいかもしれない。王室という下手にいじれない題材のせいでちょっとつくりが保守的に過ぎる嫌いもある。 ただし、コリン・ファースとジェフリー・ラッシュそれにヘレナ・ボナム=カーターの競演はさすがで、主演男優賞は文句なしと思う。逆にあとの二人が受賞を逃したことが驚きだ。 会話の矯正というとどうしても「マイ・フェア・レディ」を思い出すが、やはりあの作品には及ばないと感じた。まあ、あれは主演がオードリーだから贔屓目もずいぶん入るのだけど。 [映画館(字幕)] 7点(2011-03-13 19:32:33) |
7. L.A.コンフィデンシャル
《ネタバレ》 憎らしいほど良くできている。原作は未読だが、長編でかつ複雑と言われる原作を見事に纏め上げている。脚本は練り上げられている上に、シーンの構成にも無駄がない。2時間を超える大作だが長さを全然感じさせない。 俳優陣の演技も凄い。ラッセル・クロウの出世作だが、ケヴィン・スペイシーとガイ・ピアースもしっかりとキャラクターを打ち出していた。全員がはまり役で非の打ち所がない。個人的にはガイ・ピアース演じるエドに最も共感した。こういうタイプってもてないんだよなあ。 公開時は確かまだ中学生か高校生で恋愛とかよく分かっていない時期(今も分からないが)だったので、リンのキャラクターがよくつかめていなかったのだが、今観なおすと強くてはかなくてとても魅力的な女性だということが分かった。アカデミー助演女優賞を取るほどの演技だったとは思えないが、円熟した魅力プンプンで最高だった。 細部にまでこだわった演出も見事で、エドは実は2度目の突入の際にも、メガネを忘れているんですよね。でもそれを吹っ切って突入する際の表情に惚れた!いや、女にはもてないんだけど、そこにもまた共感する。一般的にはノワール映画の持つ魅力や興奮を存分に堪能できる素晴らしい映画なんですが、僕にとってはやっぱりエドの映画だ。 いずれ原作も読んでみよう。 [DVD(字幕)] 9点(2010-12-05 18:26:57)(良:1票) |
8. エグザイル/絆
《ネタバレ》 どうしても「ワイルドバンチ」の次にこれを観てしまうと、評価は上がらない。面白くないわけではないのだが、あの凄まじいギラギラ感を見せ付けられた後では、どうしても「軽く」感じてしまう。 序盤でいきなり死闘を演じておいてその後すぐに仲直りって言う時点でちょっとしらけたなあ。ラストの証明写真に代表される劇画チックな演出は好みが分かれるところだと思うけど、僕にとってはちょっと余計かも。だから、香港映画はあんまり合わないんだろう。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-21 18:09:50) |
9. エイリアン3
1や2と比べて、良い意味でも悪い意味でも普通のSF映画になったなあという印象。それほど癖のあるつくりにもなっていないかわり、特に面白いわけでもない。ストーリーもあいまいなままで作り始められたらしく、フィンチャー作品の割には、確かに大して新味がない。どんでん返しというほどのこともない。 でも、エイリアンのもともとの造形が秀逸すぎるので、本作の犬型エイリアンもなかなか楽しめた。通路を天井も床もなく走って追いかけてくるのは、なかなか怖くて手に汗握った。話の規模が小さくなってしまっているし、1や2の完成度を求めるマニアの人には物足りないかもしれないが、普通のSFホラーと思って観れば、悪くない作品だと思った。 [DVD(字幕)] 6点(2010-10-10 19:55:08) |
10. エイリアン2/完全版
《ネタバレ》 前作の内容を忠実に受け継いだ設定だが、前作が「エイリアンの不気味さ」を前面に押し出したつくりになっていたのに対して、本作は「派手なアクション+強い女」というキャメロン節がモロに炸裂しているのが観ていて微笑ましい。 「母子の愛」というメインテーマがしっかり据えてあるから、安定感のあるアクション大作に仕上がっている。最終的にニュートを助けに行くのも、お約束といえばお約束だが、なかなか感動的である。ラストの「母対母」のシーンも壮絶で見応えがある。キャメロン監督の嗜好と「エイリアン」という素材がビシッとはまった気持ちの良い作品だった。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-09 11:36:25) |
11. エイリアン/ディレクターズ・カット
《ネタバレ》 ど派手なアクションや露骨なこわがらせシーンはないのだが、宇宙船の薄暗い船内が持つ恐怖感が効果的に利用されていて、見ている間中どきどきしていた。船内の大量の配管やスイッチ、噴き出す蒸気等の小道具の使い方も上手。SFもホラーも苦手なのだが、さすが名作といわれるだけあって、この映画は無事最後まで観られた。 逆に終盤にはちょっとエイリアンのことを好きになっていたり。丸くなって救命船に隠れている様は可愛かった。また「2」で会いましょう! [DVD(字幕)] 7点(2010-09-25 22:01:23) |
12. エデンの東(1955)
《ネタバレ》 聖書のカインとアベルの挿話を基にしたスタインベック作品の映画化。親子・兄弟・男女関係が深く掘り下げられたシリアスドラマ。 個人的にはアブラが自分の父親の葛藤をキャルに話すシーンが印象的だった。父親と後妻の結婚に反抗した彼女は大切な指輪を川に投げ捨て、父親に怒られる。父親の気を引こうとしての行為だったが、結局その後も特に父親は優しくならなかったと彼女は言う。しかし、それから彼らは「普通の親子関係」になることができたのだとも言う。親からの愛情が足りないと感じる子供は親の気を引きたいがために更に問題を引き起こす。そして、それをきっかけに状況は好転することもあれば暗転することもある。 この映画はこの「暗転」を題材にしたわけだが、最後に一抹の希望を描くあたりがうまく作られている。はまり役であるジェームス・ディーンの名演と相俟って味わい深い作品になっている。 [映画館(字幕)] 7点(2010-08-01 23:55:37) |
13. エターナル・サンシャイン
《ネタバレ》 アイディアは面白いんだけど、残念ながら、話についていくのが精一杯で感動している余裕がなかった。クレメンタインの魅力も、残念ながらあまり理解できず。クレメンタインの髪の毛の色で、時期が区別できると気づいた時は「なるほど!」と思ったが、「愛」については何が言いたいのかよく分からなかった。 [DVD(字幕)] 6点(2010-06-05 23:14:52) |
14. エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?
《ネタバレ》 こういうドキュメンタリー映画にありがちな一面的な描写が鼻を衝く部分もあるが、印象的なキーワードを配して、全体としてはうまくまとまっている。エンロンという化け物企業が誕生して没落するまでが実に面白くて観ていて飽きない。怪物的な創業者であるケン・レイや異様なまでに精力的なCEOジェフ・スキリングなど役者が揃っている。実際、下手な役者を観ているより面白い。 だが、この映画から学べたことはあまり多くなかったような気がする。つまり「身の丈に合わないことはやらない」とか「法律を守ろう」とかその程度で、「んなこと言われなくても分かってるよ!」と言いたくなる。興味深いのは、なぜ才能と知力に溢れた大企業のお偉いさんたちがこんなことをやってしまったのか?ということなのだ。その原因について、この映画が出している答えは彼らの「強欲さ」(greediness)だが、本当にそれだけなのだろうか?僅か十数年でエンロンを巨大企業に成長させた男たちがそれだけで動いていたとは考えにくい。確かに最後に自社株を売り抜けたのはかっこ悪いが、彼らには彼らなりのビジョンがあったのだろうし、そこを批判的にだけ見るのではなく、もっと分かり易く丁寧に映してほしかった。意外と勉強になるかもしれないし。 翻って、一般的な日本の企業に足りないのは、この攻撃性ではないかと思う。日本の企業風土として仕方が無いのかもしれないが、石橋を叩いて叩いて叩き壊すような動きの鈍い企業と比べれば、このエンロンの身軽さは羨ましい。凄まじいまでに実力主義でトップダウンのこの会社はさながら翼の生えた獅子だ。ちょっと道を誤ると奈落の底だが、なかなかスリリング。こんな会社に入っても面白いかも。映画の意図とは裏腹にそんなことを感じた。 [DVD(字幕)] 7点(2009-07-29 23:51:05) |
15. エリザベス:ゴールデン・エイジ
もっと濃密なドラマを期待したが、それほどでもなかった。アルマダ海戦のくだりはCGの出来がひどく、特にやる価値はないと思う。もっと人々の心の動きに焦点を当てて欲しかった。 [DVD(字幕)] 4点(2009-02-14 14:21:23) |
16. エド・ウッド
史上最低の映画監督を面白く撮ろうなんてほうが土台無理な話。確かに変人たちがむちゃくちゃやってんのは面白いんだけど、少しだれるのも事実。でも、ベラ・ルゴシ役のマーティン・ランドーはすごくよかった。そして、彼の遺作をぐちゃぐちゃにしてしまうエド・ウッド。ほんとサイテーだ。愛があれば許されるのか?きっと、バートン監督はそう思ってる。エド・ウッドは幸せだ。 [DVD(字幕)] 5点(2008-02-13 23:13:17) |