1. 鴛鴦歌合戦
ハリウッドで「風と共に去りぬ」や「オズの魔法使い」が作られていた頃、日本でもこういうミュージカルがあったのだと改めて驚く。そもそも時代劇でミュージカル、戦後の美空ひばりは知っていたけど太平洋戦争前の映画だとは・・・。若いディック・ミネにも驚くけど、何と志村喬までが歌っているとは天と地がひっくり返るような驚きだ。またストーリーも結構おもしろいしすばらしい。永遠に残しておきたい貴重なフィルムだと思う。DVDが出たので即購入。 [DVD(邦画)] 10点(2012-12-16 09:13:11)(良:2票) |
2. 男はつらいよ 寅次郎相合い傘
《ネタバレ》 例によって始まる冒頭の寅次郎の夢だけど、今回は夢じゃなく映画館。それで、寅さんは居眠りして見ていないのだけど、映画館から出るとき「おばちゃん、良かったよ」と言う。海賊船と奴隷船のエピソードなのだが、何かこれから始まる本編もまたすばらしいのではないかという予感がする。そして大当たり、まちがいなく寅さんシリーズの最高傑作、全作品見たわけではないけど、私が自信持って薦められる1本である。 浅丘さん演じるリリーは、旅芸人の苦労がにじみ出ている。そして似たもの同士で心情を心得ている彼女はどこからどう見ても寅さんにぴったりで、めでたしめでたしになるはずだったと思う。それが最終回になるのは寅さんファンが許さなかったのではと感じるくらいだ。 船越さんのパパさんも良かったし、引き立て役十分。 [映画館(邦画)] 10点(2012-10-14 23:02:17) |
3. 俺たちは天使じゃない(1955)
3人の極悪な囚人たちが善良な雑貨商の家族と接しているうち、何かしてやらなければとまで思う温かさ。軽妙で歯切れの良い展開のなかに随所にくすっと笑ってしまうおもしろさ、まさに舞台劇の真骨頂である。それまでニヒルで格好ばかりつける嫌な奴と思っていたハンフリー・ボガートがとても良い味を出しているし他の2人もとっても良い。芝居好きの私には大満足の映画で満点をあげてもいいのだけど、勝手に死んでいったとはいえ蛇を使った犯罪?にちょっとだけひっかかってマイナス1点。 [DVD(字幕)] 9点(2015-02-03 08:28:50) |
4. 王将(1948)
《ネタバレ》 昔三国連太郎主演の「王将」を見ていたので、ストーリーはよく覚えていたし名作だとは知っていた。しかし念願の阪東妻三郎版を見てみると、単なる名作どころか大感動作である。夫の勝利を祈る「南無妙法蓮華経」が、 映画のラストでは危篤の妻へ回復を祈る願いとなる。そして握りしめられた王将の駒、これ以上に私の心を動かすものはなかった。 [DVD(邦画)] 9点(2014-02-17 07:55:12)(良:1票) |
5. 黄金(1948)
人間の欲や猜疑心をよく表した名作だと思う。黄金は人間を変えてしまうとはよく言ったもの、そうした男をハンフリー・ボガートが巧みに演じている。それにまたストーリー(脚本)が良く、ラストは鮮やか。一見老年のショーン・コネリーかと見間違うほどのウォルター・ヒューストンがまた良い。助演賞文句なし。この映画はヒューストン親子で賞を取った作品だが、息子の映画に親父が出演、親孝行というか息子思いというか感動である。 [DVD(字幕)] 9点(2013-05-10 06:10:15) |
6. 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
柴又慕情あたりからずっと映画館で見続けていた「男はつらいよ」だったが、この映画でとぎれてしまう。理由はただひとつ太地喜和子さんが苦手だったこと。今思えば大不覚だったのだが、DVDで初めて見て、シリーズでもトップクラスの名作だと言われる所以を思い知る。太地喜和子さんも、明るく奔放な面を見せたかと思うと大金をだまし取られた薄幸の女性を演じ、その幅がダイナミックでさすが。そして何と言っても宇野重吉の画伯、その味のある演技は人気が出てきたばかりの息子とは比べようもない。そして送られてきた絵を売って金の工面にあてるのではなく、宝として飾るところが何とも言えない。 [DVD(邦画)] 9点(2013-02-04 22:07:24)(良:1票) |
7. 女の園
《ネタバレ》 私も同年の「二十四の瞳」より断然すばらしいと思う。確かに「二十四の瞳」は万人に愛され親しまれる名作である。それに比べると決して万人向けだとは思わない「女の園」は、新しいものを求める者、旧来のものを打ち砕こうとする意志のある者には、強く胸に響く。 私は古き伝統を守ろうとすることは決して間違っているとは思わない。しかし時代は常に新しく変わっていかなければならない。伝統を守ろうする者と新しきを求めようとする者は必ず大なり小なりぶつかり合い対立をするのが常だ。 戦前女性は男性より低く見られたり、従う者とされていた。戦前はほとんどなかった女子の高等教育(大学)の道が開かれても、そこに横たわる思想はなかなか変わろうとしなかった。 映画は一人の女子学生の自殺という悲劇を生むが、誰のせいだったのだろう。一言で言えば時代のせいだったのだろうか。 繰り返し何度も聞かされる女子学生の歌は非常に印象的で忘れられない。 [DVD(邦画)] 9点(2012-06-26 22:52:34)(良:1票) |
8. オアシス
これが多くの映画賞を獲得したという映画か、なるほどと納得。主役の二人、特にムン・ソリの演技は神かがりというべきだろう。 この映画を見ると何が健常者で、何が常識かを考えさせられる。それほど強烈な映画だ。好き嫌いは人によっていろいろだろうが、名作というのは間違いないだろう。 [DVD(字幕)] 9点(2011-08-16 17:17:20) |
9. 男はつらいよ
この第一作があったればこそ、日本映画史上に輝く寅さんシリーズ「男はつらいよ」があったのだと思う。亡き渥美清と日本の人情映画第一人者の山田洋次監督に敬意を表したい。 当初は通俗な娯楽映画と決めつけ敬遠していた私だったが、柴又慕情、寅次郎夢枕あたりから再々見ることになった。 この第一作はしばらく経ってビデオで見たのだが、さすがに映画のできが良く、登場人物すべてが良い人間だということがわかる。結婚式での志村喬の演技は特に印象深かった。 [ビデオ(邦画)] 9点(2011-04-13 14:38:23) |
10. 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌
いつものマドンナに恋する寅のと違って親代わりに徹する寅さんもなかなか良い。定時制高校の先生も味があるし、学校の雰囲気も心地よい。こういった作品はすがすがしく好きだなあ。、 [DVD(邦画)] 8点(2018-01-30 19:28:50) |
11. おかあさん(1952)
特別奇抜なこともなく淡々と進むのだが、そこに描かれているのは長男と夫の死そして手放すことになった末娘、普通に考えると辛い苦しいことばかりだ。生活だって楽ではないはずなのに決して弱音を吐かない、母親とはこういうものなのろうか。家族の愛がすばらしいし香川京子が光り輝いて見える。 [DVD(邦画)] 8点(2015-01-12 19:39:37) |
12. 女はそれを我慢できない
「女はそれを我慢できない」の「それ」って何?と思いつつ見ていたが、途中からそんなこと忘れておもしろさ満載、好きだなあ。もちろんジェーン・マンスフィールドの魅力たっぷり、でっかい胸の膨らみに目のやり場に困るけど・・・。音痴とばかりに思っていた彼女の歌に思わずびっくり、エドモンド・オブライエンもなかなかやるう! [DVD(字幕)] 8点(2014-03-09 09:27:48) |
13. オレンジと太陽
当事国の英国でも知られてなかった驚くべき事実を、マーガレット・ハンフリーズという女性が明らかにする。監督は名匠ケン・ローチの息子ジム・ローチ、堂々のデビュー作だ。エミリー・ワトソンが決して女傑ではない、悩みながらも立ち向かう女性を好演している。 [DVD(字幕)] 8点(2013-06-03 19:45:45) |
14. 大いなる遺産(1946)
1998年版のカラーの「大いなる遺産」と比べ本国英国の映画だけあって、すっきりくるし白黒の映像美も良い。デ・ニーロやアンバンクロフトなど大物スターはいないが、構成がしっかりしていてリアリスティックで物語的にもおもしろい。若いエステラのジーン・シモンズが少々目立ちすぎだと思うが・・・(少女より大人っぽい) ただ、見てから随分経っているので記憶が曖昧、DVDがほしい。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-14 00:03:29) |
15. 大いなる遺産(1998)
デヴィッド・リーン監督のモノクロの「大いなる遺産」も良かったけど、米国に舞台を替えたこの映画も大変好きだ。好きなのは主役のイーサン・ホークやグウィネス・パルトローではなく、ロバート・デ・ニーロ。この大物俳優を単なる脱獄囚で処刑されてしまっては話にならない。やはり後半きちんと出てきて彼らしいアクションになるのも良い。この映画を最初見たとき、すべてが彼の差し金とわかってジーンと来た。(何か浦島太郎の亀みたいだったけど) [DVD(字幕)] 8点(2013-04-13 22:56:56) |
16. お日柄もよく ご愁傷さま
結婚式にお葬式、出産から浮気、おまけに転職とそういうものが同時に起こることだって不思議じゃない。かくいう私だって結婚式からお葬式へ直行した経験だってあるのだ。この悲喜こもごもの世界が実に鮮やかで、実にほのぼのとかつ人情深く描かれる。時におかしくなって笑ったり、時には胸が熱くなったり、映画っていいな、さすがは山田監督が選んだだけはある。 [地上波(邦画)] 8点(2013-03-14 20:41:10) |
17. オズの魔法使
何度も見た心に残る映画でなつかしい。「風と共に去りぬ」と同年の作で、戦後ようやく総天然色映画として登場した日本と違って、カラー映画の技術の差も感じる。映画のすばらしさはいうことないが、初めて見た頃の感動はなかなか思い出せない。(初めて見たときに感想を書くべき)しかし最初見た頃はかかしやブリキ男、ライオン、魔女が現実の人物と同じ人たちだとは気づいていなかった。そしてテレビもカラーではなかったような・・・ (白黒テレビ) [地上波(字幕)] 8点(2013-01-06 10:23:41) |
18. 女と女と女たち
《ネタバレ》 パリ風のエレガントなお洒落とユーモア、イタリア風なコメディ、そして演じるのはシャーリー・マクレーン! 葬式の列を歩む悲しみの未亡人から始まり、浮気現場に出くわした妻、二人の男に迫られる女性、夫の書く小説の主人公に変身する妻、パリ社交界の花型でライバルと競う女性、雪の中を若い男に付けられる女性、全部で7人を女を彼女が演じる。まさに七変化なのだが、コスチュームはそれ以上になってしまう。単に目の保養だけでなく、シャーリー・マクレーンの魅力たっぷりの映画だ。このさい共演している男性の活躍は眼中になし。 [映画館(字幕)] 8点(2012-08-23 23:18:11) |
19. ALWAYS 三丁目の夕日‘64
《ネタバレ》 前作、前々作を上回っているとは言わないが、決して劣ってはいない。東京タワーが建設とともに始まった物語が、1964年東京五輪の年になる。小学生だった一平君や淳之介君も高校生になった。(ちょうど私と同世代、私も当時高校生) いろいろなエピソードに情感が漂うのも前と同じで、当時の流行も巧みに取り入れられている。鈴木オートのカラーテレビは画期的、さぞ高かっただろう。 物語は若い世代へと移り継がれる形で終わるが、ほほえましくもあり、良いと思う。 [映画館(邦画)] 8点(2012-01-23 17:46:46)(良:1票) |
20. オリバー!
《ネタバレ》 アカデミー賞の作品賞や監督賞その他たくさんの賞に輝く映画だけあってさすがにすばらしい。この映画の良いところは、原作のディケンズの名作をそこなうことなく、それでいてミュージカルの楽しさをふんだんに取り入れたことである。 難点といえば、主役のマーク・レスターがミュージカル向きでないところだが、かわいさでカバーしていると言っても良いだろう。役としては、フェイギンとドジャーが実に良く、ラストのそれでもスリはやめられないというのが最高。原作とは違うがこのエンディング私はとても好き。 [映画館(字幕)] 8点(2012-01-17 09:20:39)(良:1票) |