21. 男はつらいよ 寅次郎紙風船
《ネタバレ》 テキヤ仲間の死が中心にあり、結構しんみりした作品になっている。今回は寅さん就職しようとするし、結構ホンキだったのかな?歴代マドンナの中でも屈指の苦労人でヤクザ者の素性を理解しているという点では、寅さんの相手としてはもっとも相応しい設定ではないだろうか?ラストの柴又駅前でのすれ違いはシリーズの中でもかなり見ていてヤキモキするシーンだ。ココまで来て何で逃げるのかなあ。自分もヤクザ者だから同じ苦労をかけたくないという優しさなのだろうか?まあ逃げなかったらシリーズが終わっちゃうんだけどさ。最後で就職決まったら、考え直して所帯を持とうとしたのかな???という余韻も残る。 <追記>14年ぶりに再見。ラストの柴又駅前でのすれ違いはかなりの名シーンであると再認識。寅さんがホンキなのは間違いないが、マドンナの気持ちがハッキリしないのが何とも言えない。もうヤクザ者の妻はコリゴリなのか、他の同業者とは異なるタイプの寅さんだったらやりなおしてみたいと思っていたのか。そういう迷える気持ちが演技によく表れていた。尚、マドンナの喫煙シーンだがこれはキャラ設定としてアリだと思うし、最後の呼び込みシーンも手馴れた感じでよかった。その呼び込み姿を満男がいつまでも見つめているのが印象的。こういう女性は中々いないというのが少年にもわかったのだろう。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-08-27 04:33:17)(良:1票) |
22. 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌
《ネタバレ》 この映画のポイントは何と言ってもセブンイレブンじゃないでしょうか?ちょうど80年頃、家の近所にもセブンイレブンが出来て、小学生ながら便利な世の中になったもんだなあと思ったものです。コンビニの登場・隆盛により日本人の生活は一変します。奥尻のイカ工場から都会のコンビニで働くというギャップ。これからバブル経済がスタートしようとする時代の変化と、日本の古き良きモノを愛する寅さん(コンビニでは買い物しなさそう・・・)が段々住みにくくなる時代がやってくる事を暗示しているようにも感じます。 <追記>14年ぶりに再見。詩の朗読で学生たちが感動しているのに居眠りしている寅さん。ある意味労働の美化をあざ笑っているとも言えるこの対比的シーンは非常に印象的。今回は父親代わりとして恋愛要素はなかったようにも思えるが、「朝帰り」に怒って出て行ってしまうのはやはり「フラれた」と解釈可能であり、惚れていたと言えるのではないだろうか。願書を出したのも学びなおしというよりは、マドンナと一緒に居たいという気持ちの表れと考えるのが自然であるような気がする。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-08-14 18:39:41)(良:1票) |
23. 男はつらいよ 寅次郎春の夢
《ネタバレ》 これは日米合作の脚本ですが、なかなかよくできていると思います。思った事を何でも口に出してしまうアメリカ人と、雰囲気を察知して黙って行動する日本人との違い。博は無口な日本人の典型として描かれ、寅さんは思った事は口にするおしゃべりな男だが、恋愛に関しては相手の気持ちを察し、ぐっと自分の感情を抑え、好きになった相手を困らせたりしない潔い男として描かれる。米国人との対比によって、寅さんのそういうストイックさが際立つ作品です。最初は敵対心のあった寅さんですが、同業の行商のつらさや、振られた男の辛さという他人の辛さを理解し、最後は優しく接する寅さん。まさに「男はつらいよ」で日米親善を行います。 <追記>14年ぶりに再見。所謂「日本的」なるものは肯定的にも否定的にも評価される。欧米的なものも同じであろう。したがってか各国の文化に優劣はなく、あるのは「違い」だけである。そういう文化相対主義をテーマとしているのであれば、これはこれで先進的であるとも言える。寅さんの存在はグローバルスタンダードの対極に位置しており、昨今では分が悪いようにも思えるが、だからこそ価値があるとも言えるし、寅さんのような異質な存在こそが相対主義を克服するひとつのヒントになりえるのではないかと思った次第。 [ビデオ(邦画)] 7点(2006-04-16 01:53:25) |
24. 男はつらいよ 噂の寅次郎
《ネタバレ》 まだ全作見たわけではないが、私は大原麗子がマドンナNo1だと思っている。寅さんの明るさ、優しさ、潔さと、大原麗子のどことなく薄幸なところと上手く噛み合って、しっくりくるのである。こういう人こそ寅さんに何とかして欲しいという気になる。 <追記>14年ぶりに再見。その後に全作見たが、大原麗子がマドンナNo1であるとの評価は変わらない。ただし、本作は作品としては色々と評価が難しい所がある。寅さんが離婚を喜んでいるのはあまりにもヒドイし、離婚の傷心につけ込んだわけではないだろうが、結果的にはそうなっているわけで少々アンフェアではある。とはいえ、最後は譲る形で寅さんは逃げた格好になっており、ここもちょっと唐突で釈然としないというか、ライバルは従兄弟であるという点も問題を厄介にしているとは思う。そもそも、博パパとの交流に時間を割きすぎてマドンナの登場が遅すぎるので、全体的に恋愛パートの描き方が急ぎ足になってしまい物足りなさが残る。もうちょっとじっくり描いてほしかった。 印象的なのは好きになれない相手と離婚できたのにスッキリせずに嗚咽するシーン。自身の情けなさや過ち等々への後悔からだろうか。ここは考えさせられるシーンであった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2006-04-10 16:34:42) |
25. 男はつらいよ 柴又慕情
《ネタバレ》 「一日中バラの世話をしていればいい」という相手に対して嫌悪感を抱くマドンナ。「私は振られたんだ」と言うマドンナに対して、「その気持ちわかるわ」とさくら。この辺の2人のやりとりに山田監督の結婚観が表れているように感じます。全体的には悪くないのですが、寅さんの気持ちにまったく気がつかない、あまりにも無神経なマドンナにちょっと腹が立ち、こじゃあ寅さんがまったくのピエロでしかなく不満感が残ります。もうちょっと振られる「見せ場」というものが欲しいところ。 <追記>15年ぶりに再見。本作だけ満男が代役になっている事に初めて気がついた。これは結構驚き。で、内容の方だが、さくらが結構クールというか兄を心配するというよりも呆れている印象で全体的にドライな作品になっているように思える。正直言って吉永小百合より倍賞千恵子の方が全然美人だし、相変わらずマドンナには不満が残るものの「とらや」でのファミリーコントは総じてデキがよい。同じ「とらや」を訪問しても茶の間に上げてもらえす縁側で団子を食べる友達2人とマドンナとの扱いの違いはあまりにも露骨には思えたが。ラストの「あんな雲になりてえんだよ」は寅次郎の生き様を表すシリーズ屈指の名シーンと言えるだろう。 [ビデオ(邦画)] 7点(2006-04-03 00:53:12) |
26. 男はつらいよ 寅次郎相合い傘
はっきり言うけど、寅さんとリリーは友達としてはいいのかもしれないけど、夫婦として一緒になっても上手くいかないと思う。似たもの同士ってのは概して上手くいかないもの。それは本人達が一番わかっていて「冗談だろ?」になるんだと思います。これをみてつくづく思ったんだが、寅さんが結婚できない(しない?)のは「さくら」が原因なのでは?と。あんな自分思いの妹がいれば、誰かと一緒になって幸せになるという事が想像できないのでは?現状に甘んじているわけではないだろうが、夢や希望に邁進するガメツさがあるわけでもなく、誰かと一緒になって幸せになるという事に対しての遠慮や恐怖が、寅さんのシャイな所や潔さとなり、その結果としてマドンナに対する詰めの甘さ・態度に表れているんだと思う。まあその辺のじれったさと清清しさが前人未踏のシリーズとなるわけだが。<追記>10年ぶりに再見。無駄が無く完成度は高いが、関係性だけを描いているので物語性がない。名シーンのオンパレードなのだが、各場面の繋がりが悪いし、全体的には盛り上がりに欠ける。マドンナ再登場は前作鑑賞済みが前提で関係構築過程が不要になるので、こうなってしまうのは仕方ないのだが。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-03-05 01:45:43) |
27. 男はつらいよ 寅次郎恋歌
3人の女性が登場。ヒロシの母、さくら、マドンナ。皆が非日常に憧れながらも現実生活を送っている。りんどう話で、フーテンから脱して、所帯をもって日常生活を送ろうとする寅さんとのギャップの描写が素晴らしい。あくまでも憧れの(生活の)対象として寅さんを見て、所帯を持つ相手とは見ないマドンナ。借金や家賃の支払いに追われるマドンナの日常生活を目の当たりにして違和感を感じて静に立ち去る寅さん。そして肉親さくらは、単なる憧れの(生活の)対象として寅さんを見るのではなく、愛する兄として常に心配し続ける。終わり方が綺麗すぎます。 <追記>14年ぶりに再見。自由を求めつつも家庭生活に縛られる女性達。見方によっては地に足の着いてる地味な暮らしで安定しているとも言えなくはない。では、それが幸せなのか否か。果たして女性も自由であるべきなのか?という山田洋次ならではのジェンダー的な問いをテーマにしているとも受け取れる。この時代は「自由か安定か」という問いに性別が関係していたのだろうが、もはやそういう時代でもなくなって、性別に関係のない普遍的な問いになっている。本シリーズはこの「自由か安定か」というテーマを一貫して問い続けてきたとも言えるわけで、それが色濃く反映された作品であると思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-05 00:30:06) |
28. 男はつらいよ 寅次郎と殿様
《ネタバレ》 ラストの寅さんとさくらの別れのシーンが、別れのシーンの映像ではなく、さくらの語りの形式で締めくくっているのが印象的。寅さんにしては珍しく未練がましいセリフなので、さくらに語らせる形式て嫌味をなくしたのだろうか? <追記>15年ぶりに再見。人間が死ぬ間際に最も後悔するのは、諍いのあった親族と和解できずに死ぬ事らしい。という意味においては人生の重要問題がテーマとなっており、見方によっては中々重い作品でもある。他方、殿様を揶揄する事により封建主義と民主主義をコント的に対比する上手さも感じられる。難点はアラカンに存在感がありすぎて、マドンナの存在感がやや薄く恋愛要素が少なくなってしまった事か。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-12-13 19:51:23) |
29. オーシャンズ11
登場人物多ければ、各々が希薄になるのは当たり前じゃん。そんなのは見る前からわかってるはず。娯楽作品としては上出来。 [ビデオ(吹替)] 7点(2005-04-04 04:12:04) |
30. 俺たちは天使じゃない(1989)
自分の言葉を通訳してもらっている最中にも、オーバーアクションで演技するデニーロがとてもいい。 7点(2004-04-12 22:09:14) |
31. オデッサ・ファイル
《ネタバレ》 内容的には結構楽しめるのですが、J・ボイドがジャーナリストでスパイ活動をするというのが、どうも似合わないなあと終始思っていたのですが(但し、「ちゃんとスパイできんのかなあ」と心配になって、それはそれでハラハラするのですが)、最後で「父の仇」という人情モノだったという事で彼でもよかったのかなあと。逆にストーリーが最後になって、驚きと共になんか拍子抜けしてしまった感が無きにしも非ず。 作中、J・ボイドが老け顔に変装するのですが、これが結構上手く出来ていて、今のJ・ボイドの顔を見慣れているせいか、なーんの違和感もないのが驚きです。(体格がちょっと違うけど) 7点(2004-03-29 16:15:55) |
32. 黄金の七人
サスペンスというよりはコメディーっぽいですね。教授が持ち逃げしなかったのは、金が目的ではなく、泥棒が目的だから? 7点(2004-03-14 19:49:57) |
33. 男はつらいよ 寅次郎真実一路
《ネタバレ》 寅さんと証券会社のモーレツサラリーマン。対極にある2つのギャップが面白い。牛久から通勤するサラリーマン家庭というのは設定にリアルさを感じる。大原麗子はシリーズ中でも強力なマドンナだと思う。人妻に惚れる寅さんだが、失踪したダンナを見つけて奥さんを喜ばしたいという気持ちと、ダンナが見つからなければ自分が奥さんと一緒になれるという気持ちの間で葛藤する。秀作です。 <追記>16年ぶりに再見。失踪モノとしては『寅次郎相合い傘』があるが、こっちの方が深刻。しかもよくよく考えてみれば、失踪してしまったのは寅さんと出会ってしまったからと言えなくもない。それだけ人は自由に憧れるという事だろう。ただし、いくら寅さんが自由人だといっても不倫を平気でするような分別のない人間ではない(でも、無銭飲食するのはどうなのかと・・・)。という意味では、相手にもその気はないし寅さんもフラレル事もないし、展開的にはあまり盛り上がる事もなく予定調和ではあるのだが、最強マドンナ大原麗子だからこその危うさだけで成立している作品であるとも言える。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2004-03-02 01:41:59) |
34. 黄金のパートナー
名作ドラマ「プロハンター」(の深夜再放送)で藤竜也のファンになった中学時代。TV放映で観た。本作は三浦友和とのコンビ。なかなかおしゃれで痛快な作品に仕上がっていると当時は感じた。紺野美沙子も出ています。 7点(2004-02-19 05:40:20) |
35. 男はつらいよ 寅次郎の青春
《ネタバレ》 寅さんの登場シーン(風吹ジュンとの出会いのシーン)がいつになくカッコイイ。本シリーズのひとつの見せ場である寅さんの「とらや帰宅シーン」が中々出てこなくてイライラするのだが、後半になって拍手で迎えられるといういつもと違うかなり異質なパターン。新幹線の別れのシーンでは、泉ちゃんが何と言っているのか何度見ても判らない。最後の柴又駅での見送りシーンだが、満男が構内まで入らないのが不満だ。 <追記>17年ぶりに再見。御前様ラスト出演という事もあって、様々な「別れ」を感じさせる作品。東京駅の別れは名シーンだし、柴又駅の別れも今見ると寅さんがロングショットで颯爽と去っていく感じはこれはこれでよかったように思える。総じて満男シリーズの中では秀作だと思う。満男には成長を感じるもののまだ未熟さがあるが、これが若さというものだろう。そして、ラストの台詞である「何年先かわかんないけど、オレが大人になって、もう一度泉ちゃんに出合った時、新しい物語がまた始まるんだ」というのは最新作につながるのかと思うと感慨深い。それにしてもまだケータイもメールもない時代だからこそ成立する物語に懐かしさと時代の変化をあらためて痛感する。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2004-02-17 02:09:12)(良:1票) |
36. 追いつめられて(1987)
「えー!そうなの!?」というかなり強引なオチで楽しめました。 7点(2004-01-26 23:39:04) |
37. 男はつらいよ ぼくの伯父さん
寅さんのセリフ「私は甥を褒めてやりたい!」にシビレマシタ。俺も言われたい。 <12年ぶりに再見>あらためて見ると、世代交代があきらかで、この作品から満男が主役になっていく。マドンナもゴクミになってしまって、明らかな路線変更が感じられる。ラストの電話シーンも最終回のようで切ない。題名も「ぼくの伯父さん」であって、「俺の甥っ子」ではないんだよな。 <追記>5年ぶりに再見。渥美清の体調問題もあって本作から「世代交代」になるわけだが、本シリーズのテーマが「家族の物語」と考えれば、例え不本意ながらの「路線変更」であったとしても、それはそれである意味シリーズとして「昇華」したとも解釈できる。寅さんもいつまでも若いわけでもないし、寅さんなりに年を重ねていく事は、長年シリーズを見続けて一緒に年を重ねたファンにも共鳴するものがあったのだろうし、自分もようやくそういう事が理解できるようになったのかなと思う。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2004-01-09 03:08:22) |
38. 踊る大捜査線 THE MOVIE
名台詞にあるようにこの映画は警察を舞台に組織論をテーマにした映画だと思う。権限を一括集中にするのか?現場に権限委譲するのか?一見自己判断で自由に動くようなキャラクターの青島があくまでも指示を仰ぎ、会議室にいる室井の指示で行動するところは、重要なシーン。組織には指示命令系統がある。ただし、権力だけでなく信頼が必要であるという事を教えてくれる。 7点(2004-01-03 13:53:49) |
39. お葬式
山崎務の存在感は言うまでも無いが、火葬場の小林薫が面白かった。 7点(2004-01-01 04:23:37) |
40. オルカ
ちょっと哀愁漂うパニック映画という意味では異色の作品。シャチを理性的な動物として扱い、感情を持たせて復讐劇にしたところがこの作品のキモなんだろうが、そこに賛否があるのかもしれない。良くも悪くも「ショー」で見慣れた動物なので、飼いならされているイメージもあるが、他方ドキュメンタリー等々では狂暴な印象もあるので、実際に襲われたらどうなんだろうという気にはなる。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2023-08-04 14:06:21) |