Menu
 > レビュワー
 > S&S さんの口コミ一覧。2ページ目
S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2392
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  オー!ラッキーマン 《ネタバレ》 
脚本家はルソーの『カンディード』をイメージしてストーリーを書いたみたいですが、どちらかと言えばディケンズやフィールディングのピカレスク・ロマンに近いテイストがあります。10分先はどういう展開になっているか全く予測不能な物語ですけど、節々で挿入される元アニマルズのアラン・プライスの曲と演奏風景が絶妙なアクセントになっています。 ほとんどの出演俳優たちが、マルコム・マクダウェルを含めて二役か三役をこなす演出は戸惑いを感じますが、「世界には自分と瓜二つの人間が三人はいる」という都市伝説があるぐらいですから、まあいいんじゃないですか(笑)。後半マルコム・マクダウェルが刑務所を出所してから妙に信心深い好青年に変貌しちゃうんですが、なんせ『時計仕掛けのオレンジ』のアレックスを知っているだけになんかウラがあるんじゃないかと最後まで落ち着きませんでした(笑)。 最後はリンゼイ・アンダーソンが本人役で出てきてメタな展開、そしてカーテン・コールよろしく出演者一同が踊り狂って終わります(なぜかその中にラルフ・リチャードソンの姿はありませんでしたが)。こうやって振り返ると三時間という尺もほとんど気にならず、個人的には『if もしも…』よりもずっと面白かったと感じました。 やっぱマルコム・マクダウェルはリンゼイ・アンダーソンと組んでこそ輝きます。
[ビデオ(字幕)] 8点(2016-10-11 20:48:40)
22.  男の顔は履歴書 《ネタバレ》 
もと本職の安藤昇がやくざ以外の役柄で出演している映画は初めて見るような気がします、もっとも医者役といっても安藤昇そのまんまんで実にどすの効いたお医者さんですけどね(笑)。いちおう松竹配給の映画だったみたいですけど、まるで東映の実録やくざ映画を先取りしたようなお話です。というか、特筆すべきなのは超豪華な出演陣で、アラカンや香山美子まで出てくるというきらびやかさ、香山は特別出演となっていますけどなんでこの映画に出る気になったのか不思議。これも監督である加藤泰の人徳だったんでしょうか。 ストーリーは安藤の体験をもとにしたような終戦直後の三国人と闇市マーケットの抗争なんですが、もうまるっきり任侠映画と思っていれば間違いなしです。でも脚本の切り口がなかなか鋭くて、時系列をシャッフルさせた語り口はその手の映画としてはかなり斬新だと思います。また脇を固めている助演陣がツボにはまっているのも嬉しいところです。朝鮮人チンピラの菅原文太がかなりの存在感があったし、なんといっても参ったのは三国人のボス役の内田良平で、あのなぜか眉毛がない顔はスッゲッー怖かったです。 ラストは瀕死の重傷を負った因縁の中谷一郎の命を助けるべく成功率の低い手術を始めるところで終わるんですが、このストップモーションがかっこいいんです。これはなかなかの掘り出し物だったと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-09-27 23:30:04)
23.   《ネタバレ》 
このスタッフとキャストを見てください。ショーン・コネリー以下バリバリの英国くせ者俳優を揃えた純粋な英国映画なんですけど、なぜか監督は若き日のシドニー・ルメットなんです。これは米国人が監督するとしたらジョゼフ・ロージーなんかがやりそうな題材だと思います、しかし傑作『未知への飛行』を撮った直後だけあってルメットの演出手腕は冴えわたっています。まったく劇中で音楽を使わないのは『未知への飛行』と共通していますし、とくに後半になってからの対話劇的な展開とその緊張感は『未知への飛行』ほどじゃないにしてもかなり来てます。 第二次大戦中の北アフリカが舞台設定ですけど、きほんこの映画は戦争映画じゃなくて刑務所ものです。英国陸軍刑務所という特異な舞台がなかなか興味深いです。受刑者たちは民間とは違って懲役囚として作業するわけではなく、昼間はただひたすら体操したり行進したりとふつうの訓練と変わらない感じもします。きっとこれは、出所後はまた兵隊として再利用するからでしょうね。でもこの刑務所には人工の丘(というか砂丘みたいなものです)があって、懲罰として延々と丘の登り降りをやらされます。所内は古参の特務曹長が仕切っていて、将校である所長は街の娼家に入り浸りでたまにやってくるだけ。さすが民主国家の軍刑務所だけあって、日ごろ凄まじい虐待をしていても受刑者が死亡すれば大問題になるみたいで、そこは同時期の日本やドイツそしてソ連とはえらい違いです。もとは舞台劇の映像化らしいんですが、この受刑者たちや看守と所長の描かれ方は良く考えると階級社会である大英帝国のカリカチュアになっているような気がします。 演技陣ではやはり特筆すべきは特務曹長のハリー・アンドリュースです。受刑者たちが暴動を起こしかけたときに彼らをヒートダウンさせる特務曹長の気合いの入った演説は、憎たらしいキャラでは有るけど観る者を納得させる迫力に満ちていました。コネリーも007全盛期にこんな地味な映画に出演するとは、やはりこの人はただ者じゃ有りません。他の同房の受刑者たちもそれぞれキャラ分けがきっちりしており、中でもやはりくせ者ロイ・キニアが目立ってましたね。まっ平らな砂漠の中の刑務所ですが、クレーン撮影を縦横に駆使して見せるカメラは熟練の技を感じさせられましたし、人物のアップ映像の多用も明暗がくっきりしているので効果的です。 後味の悪い結末でしたが、さすがシドニー・ルメット、と言っておきたい佳作です。
[DVD(字幕)] 8点(2016-06-03 22:03:01)
24.  オブリビオン(2013) 《ネタバレ》 
トム・クルーズが乗る空中バイク(?)や球形ドローンなど、ガジェット好きには堪らない完成度でしたね。もちろんCG使ってますけどこれらのガジェットの飛翔感がまた良く出来ていて、スタッフにも飛行機操縦の経験者がいることがうかがえます。「前に観た映画の寄せ集め」みたいな意見ももっともだとは思いますけど、自分としては元ネタにされた映画よりもこっちの方が良く出来ていると感じました。映像もとっても綺麗でしたしね。でもトム・クルーズが主演のSF作品はなんか最近多いですし、トムが出てるだけでデジャブ感が溢れてきてしまうのもたしかなんですよね。 モーガン・フリーマンが登場してからはありきたりな抵抗モノになるかとテンション下がりましたが、その後も意外と捻った展開で何とか持ちこたえた感があります。でもラスト・シーンは余計というかアホとしか言いようがありませんでした。ということは、あの女は外見がトム・クルーズなら誰でもいいんかい!残りの1,000人のトムが押し寄せてきたら、どうするつもりじゃ(笑)
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-01-19 22:26:16)(笑:1票)
25.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
ループ! ループ! ループ! 果たしてトム・クルーズはこの映画の中で何回タイムループしたんでしょうか?誰か数えた人いませんかね。言ってみればセーブできないRPGを何回もリプレイしている様なもんで、劇中のトムさんの身になったらこりゃ堪りませんよね。輸血されるとループ能力が失われるとのことですが、リタが強制的にリセット(つまりトムさんを殺すということ)しようとしてケイジ少佐が「待ってくれ、もうループ出来ないんだ!」と焦るシーンは、なんか可笑しくて堪りませんでした。最後のループからラストまでのシーンも、最初はちょっと理解できなかったけど良く考えられた結末ですね。 まあこれは究極の「主人公キャラが劇中で成長する」パターンの映画なわけで、やはりトム・クルーズぐらいのスターじゃないとこの映画の主役は務まりません。だいたい冒頭だけとは言え、ケイジ少佐のような腰ぬけキャラを彼が演じること自体が珍しいことですが、今後こういうダメキャラをもっと演じてみればトム・クルーズの新しい魅力が開拓できるかもしれません。 日本のライトノヴェルが原作なんだそうですが、良くここまで再構成したものです、ハリウッドの脚本家の能力はほんと侮り難いです。こういう題材を見つけてくる目利き力には感服ですけど、この宝の山に全然気がつかないというか無関心な日本映画界のダメさ加減にも呆れてしまいます。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-02 19:36:06)(良:1票)
26.  襲う巨大怪鳥/空の大怪獣Q 《ネタバレ》 
ラリー・コーエンという人は『フォーン・ブース』の脚本家でもあり、脚本を書かせたらちゃんと出来る人なのになぜか監督すると脱力系になってしまうという困ったお方です(そう言えば日本の橋本忍に似てますね)。監督作はほとんど自分で脚本も書いているのですが、悲しいかな演出力が無いので駄作になってしまうというパターンですけど、本作に関してはどう考えても脚本もヘボ過ぎです。まあ低予算なんで怪鳥の造形や特撮には元から期待なんかしてないのであまり苦になりませんが、だいたい大怪鳥Qとアステカの儀式はどんな関係があるんじゃ!と突っ込みたくなります。NYのクライスラー・ビルの先端に巣を作って飛びまわっているのに誰もその姿が見えないとはどういうこっちゃ!「それはQはいつも太陽を背にして飛ぶからです」なんて解説されても、誰が納得するかい! 宝石泥棒の一味の男が主人公みたいなものですけど、冒頭で宝石が入ったスーツケースを落として紛失しちゃうというのは、いかにもラリー・コーエンらしくてユニークな展開です。でもどうも気になるのですが、宝石泥棒と怪物の組み合わせというとどうしても『宇宙大怪獣ドゴラ』を思い出しちゃうんです。もしラリー・コーエンに会うことがあったら、「あんた『ドゴラ』をパクったろ」と詰問してみたいです(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2015-11-04 23:14:45)
27.  おませなツインキー 《ネタバレ》 
40歳近い中年作家が16歳の女子学生とエッチして結婚しちゃう、ハイ、これは立派な淫行ですね(笑)。こんなお話しをチャールズ・ブロンソンとスーザン・ジョージの組み合わせで撮っちゃうというのがこれまた凄いです。なんせ小悪魔スーザン・ジョージですからねえ、当時20歳にはなっていたはずですけど16歳の女子高生でも無理はあまり感じられないコケティッシュさです。それを迎え撃つブロンソンは、髭の無いツルンとした風貌ですけどとても小説家には見えないというのは痛いです。でもおそらくブロンソンが主演したラブコメなんてこれだけでしょうから、貴重です。ふつうに撮ったらドロドロした感じになるプロットをライトなコメディに仕上げたのは、監督リチャード・ドナーの力量でしょうか。 物語の前半はロンドンで後半はNYが舞台になりますが、撮影監督が『ジョアンナ』も撮っているウォルター・ラサリーですからスゥインギング・ロンドンの雰囲気が良く出ています、とくに冒頭の女子高生たちが自転車で走るシーンは良かったですね。結末はちょっと予想外のビター・エンドだったんですけど、なんか爽やかな後味が残りました。
[DVD(字幕)] 6点(2015-10-18 22:24:03)
28.  黄金の眼 《ネタバレ》 
イタリアの人気コミックの実写化らしいんですけど、それをイタリアン・ジャーロの巨匠マリオ・バーヴァに撮らせるところが渋いです。それにしてもこの人、頼まれればなんでも監督しちゃうんですね、さすが職人です。 怪盗ディアボリックの盗みとそれを捜査するジンコ警部との追っかけっこというプロットは『ルパン三世』を彷彿されますが、どちらかというとフランスの『ファントマ』シリーズに近いテイストです。もっともこの怪盗は、仕事のときには眼の周りだけあいたウエットスーツになるだけで別に変装が見せ場というわけではないんです。コメディタッチとは言うものの警察の小者なんかはバッタバッタと殺しちゃうし、けっこう無情な奴です。でもコンビを組んでる金髪美人にはもうメロメロで、彼女が敵ボスに捕まっちゃうと命がけで救出に赴くというなんか純情な面も有ります。 バーヴァにしては予算が多かったみたいで、ディアボリックの秘密基地やガジェットなんかけっこう造りこまれています。また随所にバーヴァらしいキッチュな映像も散りばめられており、笑えます。エンニモ・モリコーネの音楽がこれまた絶妙で、テーマ音楽が妙に印象深く頭から消えなくなって困ってます(笑) まあ『黄金の七人』の洒落っ気には及びませんけど、それなりに頑張ってると思いますよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-10-13 20:43:52)
29.  おとなのけんか 《ネタバレ》 
金物屋の店主、いわゆる“意識が高い”系のその妻、シニカルなエリート弁護士、投資コンサルタントをしているその妻、といういかにもニューヨーカーといった風情の登場人物たち、数いる芸達者の中からそれぞれにピッタリの俳優たちをキャスティング出来たのが大成功でしょう。プロットを見ただけでお話しの展開はだいたい読めるわけですけど、劇中の彼らの“人生最悪の時間”と上映時間をピッタリとシンクロさせているのも舞台劇の映像化としてはシンプルですが効果的、もっともこのケンカを見せられる方としてはこの上映時間が正直限界でしょう。ケイト・ウィンスレットのゲロ吐きとスコッチの酒盛りがストーリー展開上のターニング・ポイントになっていますが、四人が夫婦関係を離れてバラバラの口論になってゆくのは良く練られた演出ですね。面白いのは、ジョン・C・ライリー以外の三人が大事にしているもの(スマホ・画集・バッグ)がそれぞれ非常事態に陥るところで、そこで彼女らの人間的本性がむき出しになってしまいます。でもライリーだけにはそんな執着するモノがなく、逆に秘蔵のスコッチやら葉巻を皆に分け与えるところが面白い。まあもっとも、それによってさらに事態が悪化しちゃうんですけどね。ラストでカメラが屋外に出ると、地面では死んだと思われていたハムスターが動き回り、遠景では息子たちが仲直りしているというのは実にシャレてました。 昔の淫行事件のせいで逮捕されちゃうので合衆国に入国できないポランスキーがNYが舞台の映画を撮るとは予想外でいたけど、なるほどこういう小品なら十分可能なわけですね、わずかな屋外シーンだけはカメラマンを派遣して撮影すればよいわけですし。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-11 23:51:46)(良:1票)
30.  おかしなおかしなおかしな世界 《ネタバレ》 
だいたい、タイトルに“おかしな”がついている映画が可笑しかったためしがない、という経験則は見事に的中でした。スタンリー・クレイマーが大真面目にドタバタ・コメディを撮ったら大惨事になったという感じで、黒澤明がスラプスティック・コメディ映画を撮っても多分同じ様に笑えない超大作になったんでしょうね。要はコメディはこの監督の守備範囲じゃないってことです。 しかしこんなドリフのコントのようなベタなドタバタをシネラマで観客に見せるというのは、ある意味もの凄い快挙ですよ。ジョナサン・ウィンタースが大暴れしてガソリン・スタンドを崩壊させちゃうシークエンスなぞ、やってることはまるっきり『全員集合』なんだけどあれだけ大掛かりだとなんか崇高なものを拝めたような錯覚すら覚えてしまいます。出演しているのはスペンサー・トレーシー以外は曲者コメディアン大集合といった趣ですが、撮影当時の基準からでもちょっとロートルばっかりですよね。現代の感覚からするとトレーシーがお宝を横取りしてニンマリという終わり方でしょうけど、“悪は滅びなければいかん”というのがハリウッドの不文律だった時代ですから、ああいうラストは致しかたないんでしょうね。それにしてもバナナの皮でスッテンころりんとはねぇ、劇中あのおばさんのズロース姿を何度見せられたことか…
[DVD(字幕)] 4点(2015-05-23 23:36:38)
31.  男が血を見た時(1960) 《ネタバレ》 
CSで放送されたものを鑑賞したのですが、いくら新東宝のレアものとはいえあまりの画像の劣悪さには往生しました。気になるのはフィルムの痛みもさることながら、ブチブチとカットが飛んでいるところです。たぶん全篇で5分は切れているんじゃないかと思いますが、70分少々の上映時間ですからこれは影響は大ですよ。内容はまあ新東宝お得意の電気紙芝居みたいなものですが、どうせ新東宝の珍品を流すなら『九十九本目の生娘』や『地平線がぎらぎらっ』あたりにしてほしいなあ。 主演は松原録郎で、たぶんこの人は新東宝二枚目男優の中でもっとも影が薄かった存在だと思います。彼の代表作と言うと、やはり伝説のカルトTVドラマ『恐怖のミイラ』ということになりますかな。このドラマは新東宝の倒産直後ということもあり、三条魔子とか若杉嘉津子そして三原葉子といった旧新東宝のメンバーが大挙ご出演されているそうです。この映画ではオートバイのカミナリ族に入ってくるブルジョワのボンボン息子で、カミナリ族とは今で言う暴走族の元祖みたいなもんです。自分はバイクには詳しくないのですが、登場するバイクはどうもモトグッチあたりの外国製が多かったみたいです。カネがない新東宝のことですからバイクの走りなどスクリーン・プロセスも使わずただ映すだけですが、カメラが並走して撮っているのでかえって迫力がある画になっているのは怪我の功名ですかね。 ラストは新東宝お得意の女を賭けての対決、もちろんバイクのスピード競争です。明らかに『理由なき反抗』あたりを意識してはいますが、中身も取り柄もない映画でした。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2014-07-18 23:27:47)
32.  愚か者の船 《ネタバレ》 
批評家からの評価も高く群像劇としての完成度は高いけど、なんか小ぢんまりと纏めましたという感じがする作品です。舞台が英米仏の豪華客船でなくて、いかにも二流感が溢れるドイツの客船としたところはうらぶれたムードが出ていて良かったです。 登場人物はみな善人かせこい悪人というわけですが、この連中は“fools”と呼んでしまうにはあまりにも普通の人間すぎる気がします。誰が「君たちは愚か者だ」と言っているのかというとそれは神様で、映画の冒頭とラストで観客に語りかける“神の子”マイケル・ダンが天上の代弁者ということなんでしょう。 この映画のいちばんの悪人は反ユダヤ主義に凝り固まったオーストリア人のホセ・ファラーになるんでしょうけど、彼の演技が魅力的なんで誰も憎む気にはなれないでしょう。シモーヌ・シニョレとオスカー・ウェルナーの悲恋がストーリー展開のメインではありますが、出番は少ないながらもヴィヴィアン・リーのエピソードにはすっかり喰われてしまったみたいです。リー・マーヴィンとのからみとその前後の狂おしいまでの演技、やっぱこの人は凄い女優だったんですよね。
[DVD(字幕)] 6点(2013-12-15 20:08:51)
33.  俺は都会の山男 《ネタバレ》 
公開されたのが新東宝倒産の半年前ということもあってか、タイトルクレジットには大蔵貢の名前が消えています。この映画は“山”や“登山”とはいっさい関係がなく、吉田輝雄の演じる乱暴男のキャラが“山男”と言うわけです。 この男、就職面接で居眠りをした挙句人事部長をぶん殴ってとうぜん就活は失敗、チンピラと組んで“喧嘩商会”なる商売を始めます。要は腕っ節の強さを活かして喧嘩の仲裁(というか助っ人)でカネを稼ごうというわけですが、この“山男”が超硬派なのに女には滅茶苦茶モテて若いのから熟女まで七人もの女が金魚のフンみたいにまとわりついてきます。まあそこは“ハンサム・タワーズ”の吉田輝雄ですから納得しましょう。彼は菅原文太や宇津井健と違ってアクション演技にキレがあってボクサー役でも務まりそうな身のこなしです。 本作は新東宝には珍しいドライでC調なギャグが連発され、ひょっとして東宝の喜劇シリーズより可笑しいんじゃないかと思わせるところもあります。豪華と言うか、コロムビア・トップ・ライトや江戸家猫八といった当時のお笑いのスターたちがワン・シーンずつ登場する構成なのが新東宝にしては珍しく、中でも由利徹の裁判官と南利明の書記のギャグには笑ってしまいました。警察を徹底的にバカにしたり当時の池田政権の政策を名指しでおちょくったりするアナーキーなところもプログラム・ピクチャーとしては珍しいところです。 さて実はこの映画には奇妙な部分があります。留置場の担当警官というホントのチョイ役なんですけど、制帽をま深に被っていてアップショットもないので判りにくいのですがどうも丹波哲朗みたいなんです。その警官にむかって「お前最近トップ屋なんかして稼ぎやがって」なんて言う楽屋落ちなセリフがあったのでこれは丹波だと確信しちゃいました(彼は当時TVドラマ『トップ屋』で活躍してました)。とすれば、そのころは大蔵貢と喧嘩して丹波は新東宝をクビになってたはずで、大蔵貢に無断でノン・クレジット出演させたってことでしょうか。なんか新東宝末期の混乱が透けて見える様な気がします。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-11-29 20:40:17)
34.  女の防波堤 《ネタバレ》 
新東宝の映画の中では、『九十九本目の生娘』ほどではないけどかなりカルト的な存在なんだそうです、この映画。 太平洋戦争終戦直後、空襲で家族を失い焼け出された小畑絹子と親友の荒川さつきは、進駐軍相手の慰安所である特殊慰安施設協会(RAA)に採用されて慰安婦になります。同僚には戦争未亡人もいましたがほとんどはもともとその道のプロの女ばかりで、米兵相手に慰安所は大賑わいです。小畑絹子はNO.1の売れっ子になりますが上司の課長の愛人になったおかげで福生の進駐軍クラブの歌手になり、これはちょっと楽な仕事でした。ここで空軍将校と知り合いめでたく結婚、ところがここから波乱万丈の転落人生に拍車がかかってゆくのです。 お約束通り夫は生後間もない娘を残して戦死、次はギャングの情婦になってヤク中になり、中毒を治療するために入院したら主治医に惚れられて結婚、慰安婦の過去がばれて離婚され自棄になって有楽町のガード下にたむろする街娼にまで落ちぶれる、映画の後半40分はもうジェット・コースター状態です。 小畑絹子は新東宝にはもったいないほどの美人なんですが、裏社会でぐれているときの演技と時折おとずれる平穏な生活の時の淑女ぶりとの落差があまりに大きくて、笑ってしまいました。この映画の呼び物は三原葉子がリンチされる『肉体の門』に出てくるようなシーンだと思いますが、別にヌードを見せるわけじゃないけどなかなか迫力がある肢体です。もっとびっくりしたのは荒川さつきが脳梅毒で文字通り狂死するシーンで、あのリアルな死にざまは子供が観たらトラウマになること間違いなしです。あと特筆すべきはあの古賀政男が音楽を担当していることで、劇中流れるギターのメロディーも古賀政男がつま弾いています。 製作年代はちょうど売春防止法が施行された頃で、こういったことは大きな社会問題だった時代だったことを考えると、新東宝らしい題材であることは確かです。正統派の監督が取り組めばとてつもなく重くなりそうなテーマなのに、新東宝らしくエロを強調したおかげで単なるジェット・コースター・メロドラマに仕上がったという感じでしょうか。 ラストで「もう二度と戦争をしてはいけない」という小畑絹子のセリフがあるんですが、とってつけた様な白々しさが漂い偽善の極みでした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-11-11 21:30:03)
35.  俺たちは天使じゃない(1955) 《ネタバレ》 
だってクリスマス映画ですもん、ゆる~くたっていいじゃないですか。でも緩いながらも、ボギー、ピーター・ユスチノフ、アルド・レイ、この三人の曲者を観てるだけでなんか幸せな気分になっちゃいます。三人の中でもいちばん良く喋るのがやはり我らがボギーで、彼は寡黙なヒーローよりもこういう肩の力を抜いたしゃべくり芝居の方が似合っている感じがします。 展開は原作の舞台をそんまんま映像化しちゃった様な撮り方なので視覚的な面白さはないですね。後半の殺人劇(?)も、英国のイーリング・コメディの様なブラックな笑いにつながってないのが残念と言えるでしょう。この分野のコメディは、やはり英国映画の方が上手いですね。でもラストは蛇のアドルフくんにも天使の輪っかがついたので、一点プラスさせていただきます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-13 23:01:55)
36.  女と命をかけてブッ飛ばせ 《ネタバレ》 
新東宝時代の宇津井健と言うと『スーパージャイアンツ』の恥ずかしいコスチューム姿が有名ですが、他の出演作にしてもどれもけっこう変なキャラばかり演じている様な気がします。良く観察してみると、この人演技中ほとんどまばたきしないんです。つまり彼は顔の表情でする演技が得意じゃなかったみたいで、そのためどの映画でも、単純で陽気だけど心の奥底では何を考えているのか窺い知れないアンバランスな人物という感じなんですよね。 さて本作では、新聞社のオートバイ便からスピードボートの操縦に商売替えしたスピード狂というあいかわらず普遍性が欠落したキャラなんですが、結論から言うと“またかよ”と言うのが正直なところです。このスピードボートがどこからみても競艇で使われているヤツで、このボートの開発がまるでトヨタや日産の新車開発みたいなノリで新聞が報道するという不思議な世界のお話しです。そんなにボートを題材にしたいんならふつうに競艇界を舞台にした映画にすればよいのにと首をひねるばかりです。 と言うわけでお話しと言うか世界観は相変わらず新東宝らしくぶっ飛んでます。女優陣はなかなかのレベルですが、気になったのは三条魔子がいつの間にかキャバレーのホステスになっちゃってるところでしょうか。この様に、登場人物で境遇が何の説明もなく変わってしまう(ひどい時にはいなくなっちゃう)のが一人か二人かならずいるのが、新東宝プログラム・ピクチャーの脚本上のお約束なんです。思うに映画会社が大部屋俳優を大量に抱えていた時代ですから、“使わなきゃ損”という根性で無理矢理押し込んで収拾がつかなくなっちゃったということなんでしょうね。まあこんなことは東宝など他の映画会社ではあり得ない、新東宝ならではの珍現象なんですけど。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2013-06-26 20:33:04)
37.  俺たちに明日はない
A・ペンが手掛けただけあってまるで絵に描いた様なニュー・シネマ、ニュー・シネマのお手本の様な映画です。銀行強盗の映像にコミカルなマウンテン・ミュージックを被せるところは、その後の色んな作品で模倣されて今やスタンダードな表現になっています。とにかくこの映画の凄いところは、F・ダナウェイと言う天才女優を世に出したことに尽きます。ラストにマシンガンでハチの巣にされる“死のダンス”は今観直しても全然色あせない衝撃度を保っています。続く70年代のハリウッドはまさに彼女の天下だったんですが最近はちっともお姿を見かけません、もう引退しちゃったのかな?
[映画館(字幕)] 7点(2013-06-16 21:45:09)
38.  黄線地帯 《ネタバレ》 
天知茂と三原葉子、この新東宝を代表する二大スター(?)を奇才石井輝男のイマジネーションの世界に投げ込んでトロットロッになるまで煮込んだという感じ、でもちゃんとハードボイルドしてます。前半の100円札を使った伝言ゲームの様なストーリー・テリングもなかなか面白く、テンポの良さもあって楽しめました。 そして何故か神戸にカスバがある!でもそこは本当のカスバを超越した異次元ワールドみたいなところだと思って間違いはない。路地を歩くまさに無国籍としか言いようのない怪しげな連中、雨に打たれて彷徨う吟遊詩人、なぜか着物を着ている墨を塗った様に黒い顔の白人女、うーんこんな日本なんて観たことがない、まるで『ブレードランナー』のLAみたいです。あの若杉嘉津子までもがダサい格好した怪しげなマダムになっちゃうんだから、恐ろしい。 天知茂の殺し屋も、蛇のようにクールなのかと思えば、卵の値段から己の不運な半生を嘆いたりする妙な屈折があるキャラです。対する三原葉子は、ライン・シリーズとしては唯一のカラー作品と言うこともあり、靴やドレスの鮮やかな赤が印象に残ります。彼女のちょっとずれたリアクション演技やひょうきんな表情がまた良くて、この役こそが彼女のフィルモグラフィ中のベストキャラだと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-06-05 01:06:51)
39.  狼たちの午後 《ネタバレ》 
今でこそこういうプロットの犯罪映画は珍しくないけど、製作当時としては実話を元にしているとはいえ奇想天外な新しいタイプの作品だったと言えます。犯人と警察とマスコミ&野次馬が三すくみ状態でにらみ合うプロットは今観ても面白い。A・パチーノもこの頃が役者としての絶頂期だったんでしょうね。 S・ルメットが監督だから序盤からの警察の包囲作戦がドキュメンタリー調できびきびと撮られていてお見事です。この頃はまだ交渉人みたいな職務は警察にはなかったみたいですが、それにしてもあまりに統制がとれていないNYPDのだらしなさは眼を覆うばかりです。この映画が本当に面白くなるのはパチーノの“女房”が登場してからでして、“女房”と電話で話すあたりのパチーノの演技は彼の長い俳優歴中でも屈指の演技です。でもこの“女房”C・サランドンがオスカーにノミネートされたのに、サル役のJ・カザールは無視されたというのはどうも納得がいきません。そう言えば、サルを射殺するFBI捜査官は若き日のL・ヘンリクセンでした。
[映画館(字幕)] 8点(2013-02-13 22:50:29)
40.  女吸血鬼 《ネタバレ》 
吸血鬼+狼男+天草四郎伝説のごった煮を作ったらこんなのが出来ちゃいました!ってな感じでしょうか。ちなみに本作は、『女(の血しか吸わない)吸血鬼』が正しい題名でした。話の掴みはけっこうホラーらしい雰囲気なんです。失踪した妻が20年ぶりに帰ってきたら、タイムスリップしてきたみたいにそのまんまの容姿だったなんて話だけ聞けば面白そうでしょ。でもほとんどギャグとしか見えない娘たちの反応で、後はもう訳が判らない新東宝ワールドの御開帳というわけです。 天地茂の吸血鬼もちょっとイイ感じだなと思っていたら、突然狼男みたいに月の光を浴びて変身(顔だけ)しちゃうのでただ唖然でした。最後に監督が中川信夫だと知ってまたびっくり、彼もよっぽど体調悪かったのでしょうね(単にやる気がなかっただけかも)。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2013-01-19 22:51:14)(良:1票)
030.13%
1110.46%
2351.46%
31285.35%
42048.53%
535915.01%
644218.48%
761525.71%
842817.89%
91375.73%
10301.25%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS