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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2598
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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21.  ハンコック
地球を救うヒーロー役において、ウィル・スミスほど「経験豊富」な俳優は居まい。「ID4」「MIB」「アイ,ロボット」……と軽妙なノリと独特の好感度を携えたキャラクターで、様々なヒーローを演じてきた彼に、嫌われまくりの荒くれヒーローを当てた時点で、ある程度面白味のある娯楽映画に仕上がることは、約束されていたと思う。  スーパーヒーローの快活な活躍を描くのではなくて、ヒーローの裏側と隠された真相を描いたストーリー展開は、ユーモアを先行しながらも驚きや悲哀もあり起伏に富んでいた。 けれど同時に、面白い要素をそこかしこに散らばらしてはみたものの、今ひとつまとまっていないというか、真に迫ってこずに最終的な部分でカタルシスを得られなかった。  ミソとなるのは、一見端役を何故かシャーリーズ・セロンが演じている点で、見所も彼女が絡み始めるくだりだが、彼女とウィル・スミスの関係性の描き方が結果的に不充分だったことも、映画の完成度を低くさせた原因だと思う。  ウィル・スミスをキャスティングした時点で安心してしまい、ストーリーの作り込みを抜いてしまっている印象を受けた。あとほんの少し、ストーリーに整合性と説得力があれば、ヒーロー映画としてかなり傑作の部類になっていたのではと思う。 でも、既存のアメコミヒーロー映画が旺盛する中で、オリジナルキャラクターを生み出した試み自体は、評価したい。
[インターネット(字幕)] 6点(2008-09-16 23:38:51)
22.  犯人に告ぐ
かつての誘拐事件で心に傷を負った敏腕刑事が、新たに巻き起こった連続児童殺人事件を、テレビを通じて犯人と対峙する「劇場型捜査」として挑む。  原作は未読だったので、色眼鏡なく展開するストーリーに入り込むことができ、トータル的にはまずまずよく出来た映画だという印象に落ち着いた。 主人公を演じた豊川悦司は、キャラクターによく合い安定した演技を見せたと思う。笹野高史をはじめとして、脇を固める俳優陣は地味めながらも実力者揃いで味のある存在感をもって作品を支えていた。  想像するに、原作をうまくまとめて決して破綻することなく映像化しているのだと思う。ただその体裁の良さが、同時に映画作品としてやや「味が薄い」という印象に繋がっているとも思う。 「劇場型捜査」というセンセーショナルな要素を核心に据えてはいるが、このストリーのミステリー性はそれほど練り込まれたものではなく、むしろベタと言える程シンプルだ。 原作を読んでいないので想像の範疇を出ないが、この物語の本質は、真犯人特定のプロセスではなく、主人公を中心とした「劇場型捜査」に絡む群像のドラマ性にあるのではないかと思う。 そういう意味では、もう少し主人公以外の登場人物たちの人間性を深く掘り起こして欲しかったと思う。そうすれば、もう少しアクの強い映画に仕上がったのではないか。
[DVD(邦画)] 7点(2008-03-22 03:12:43)(良:1票)
23.  バンテージ・ポイント 《ネタバレ》 
白昼、大衆の面前で起こった“大統領暗殺”。 その場に居合わせた9人の視点から、導き出される”コトの真相”を描く。  正味数十分間の出来事を、9つの視点から描き出すことによって文字通り多面的に描き出した趣向は、緊迫感に溢れ、辿り着くべき"真相”に向かって非常にスリリングだったと思う。 同じ時間軸を繰り返す描くという一つ間違えば単調になってしまうストリー展開を、卓越したカメラワークで、飽きさせずにテンポ良く映像化しているとも思う。  娯楽映画として滞り無く観れる映画であることは間違いない。 ただ、あと一歩二歩ストーリーに深みと説得力がない。 9人にキャラクターの描写がそれぞれ微妙に軽薄なのことが、その最たる要因ではないかと思う。 デニス・クエイド演じる主人公のシークレットサービスは、心に抱える傷の本質が見えてこないまま、終盤はほとんどアクションヒーロー化してしまう。 アカデミー賞俳優フォレスト・ウィッテカー演じる黒人の観光客は、家族と離れていることに苦悩を感じているのだろうが、それがどれほど深いものなのかイマイチ伝わってこないまま、なんとなく解決してしまう。 ウィリアム・ハート演じる大統領は、思慮深い人格者を醸し出しているが、そもそも彼が行った政策というものが曖昧なので、なぜ彼が賞賛と報復を受けるのかも曖昧なままに終始する。 暗殺の実行犯グループについても、それぞれ人格と目的についてのディティールが弱いので、言動に真実味が出てこない。 テレビクルーのディレクターを演じたシガニー・ウィーバーは、モニターの前で衝撃と疑問を受けたまま放っておかれてしまい、結局報道車から出ることすら許されない始末。  全体的に興味深げな体裁は整えられているのだが、結局のところそこまで勿体ぶる必要はないのではないかという「真相」に辿り着いてしまう。 決して面白くないということはないのだけれど、仰々しいわりには残るものはあまりないということは否めない。
[映画館(字幕)] 5点(2008-03-12 00:14:59)(良:1票)
24.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 
内戦渦のスペイン、残酷で悲痛な運命の中に放り込まれた一人の少女、彼女が迷い込んだ幻想的な「迷宮」は、現実か妄想か。  まず自分の想像以上に、痛々しく悲劇的展開が衝撃的だった。 悲劇的な運命の中で主人公の少女がファンタジーの世界に入り込み光を見出していくという展開を想像していただが、決してそんな生易しいものではなかった。 どこまでも暗い闇の中で、少女が自分に対する唯一の救いどころとして見出していくもの、それが「幻想」だった。  物語が始まった時点で、少女の精神は崩壊していたのかもしれない。 少女が迷い込んだのは、光に溢れたファンタジー世界ではなく、闇の中の限界の淵で辿り着いた、幻想世界だったのだろう。  戦渦の薄暗い山村とその中で見え隠れする妖しい幻想世界を、独特のビジュアルで描き出した映像美が素晴らしい。 時に痛々し過ぎるほどの描写も、確固たるビジュアルセンスによって作品の中で違和感なく溶け込んでいる。  基本的に「悲劇」は苦手で、出来ることなら見たくない。 だが、残酷な運命に対する少女の人間としてのひたむきさ、そして魅惑的な少女の幻想世界にどんどん引き込まれていった。
[映画館(字幕)] 7点(2007-12-02 21:55:21)
25.  バイオハザードIII 《ネタバレ》 
ゲームの「バイオハザード」を知らないので、実際のところこの作品のシリーズ性に整合性があるのかどうかは不明だが、個人的な“結論”としてはやはり「もういいね……」というところだろう。  パート1は、ゲーム的な要素を存分に盛り込んだホラー性とスタイリッシュなアクション性、そしてスーパーヒロインの地位を確立したミラ・ジョヴォヴィッチの魅力が見事に融合した秀作だった。 パート2ではさらに“進化”したヒロインの超絶ぶりに対して、ホラー性は衰退したが、アクション映画としては充分なパワーを含んだ作品に仕上がっていたと思う。 そんなわけで、今回のパート3に対しても、ここ数年の駄作揃いの“スーパーヒロイン映画”の醜態を踏まえても、「期待」の方が大きかったと言える。  しかし、ものの見事に「脱線」してしまったようだ。  まず、「エイリアン」シリーズなどでも戸惑う部分ではあるが、前作で必死に守り抜こうとしたものを、のっけから「消失」させてしまうのはやめてほしい。 あれほどまで地球規模で「滅亡」してしまっていては、一体前作までの苦労はなんだったのだ?そもそも首謀者の思惑自体もはやどこかにいってしまっているのではないか? そういうストーリー自体の不合理性によって、「マトリックス」のネオ並みに益々進化するヒロインと反比例するかのように、映画はどんどん退化していってしまった印象を受ける。  予定調和たっぷりのアクション映画に眠気が耐えられたのは、短い前髪が可愛い主演女優の麗しさという唯一の売りがあったからだろうか。 
[映画館(字幕)] 5点(2007-11-04 18:17:24)(良:1票)
26.  パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
もうこういう娯楽大作シリーズというものは、「好きな人はとことん面白い」、「嫌いな人はとことん面白くない」という二通りしかなく、どちらにしてもそれ以上のことは求められない。 クセっけたっぷりの海賊をジョニー・デップが心底に揚々と演じ、これでもかというほどに製作費をつぎ込んでつくり上げた「海賊世界」に没頭できるかそうでないか、詰まるところそれが全てだ。 そして、個人的には充分に“没頭できた”。それはとても幸福なことだろう。  前作はトリロジーの“つなぎ”的な性格もあったので、今ひとつ盛り上がりきれない部分もあったが、完結編である今作はもう本当に遠慮がなく仰々しすぎるほどにパワフルに創り上げられ……。  ……ああ、やはりこういう映画はもう言葉で評する意味などナンセンスだ。 3時間という時間を何も考えずに楽しむことができた。ほんとうにただそれだけのことだ。 
[映画館(字幕)] 8点(2007-05-27 18:15:31)
27.  パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
ジョニー・デップは昔から大好きだし、なんだかんだ言ってもエンターテイメント大作は嫌いではない。加えて、ディズニーランドで一番好きなアトラクションは「カリブの海賊」だし、パート1も凄く面白かったと思う。 なのに、このパート2はなんだかなかなか観る気になれなくて、結局パート3を観る直前にやっと観ることになった。  まあ結局のところ“面白かった”とは思う。 特にストーリー性は無いし、前作にも増した映画全体の“ドタバタ感”(特にジョニデのそれ)は、やややり過ぎな印象を受けなくもなく、長い尺も手伝って間延びする感覚は否めない。が、それでも娯楽映画としてまとめ上げているところは、映画として一定の“質”を保っているからだと思う。  個人的には、娯楽映画シリーズ特有の「次作への余韻」に弱いので、ラストシーンでジェフリー・ラッシュが登場した時点で一気にパート3への期待は高まってしまった。  「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」などに代表されることだが、もうこういう映画の場合、その世界自体が好きな人は問答無用に「OK」だろうし、別に何の愛着もない人にとっては圧倒的に「NG」になり得ると思う。
[DVD(字幕)] 7点(2007-05-26 11:58:07)(良:1票)
28.  パビリオン山椒魚
パリ万博で公開されたサンショウウオの“キンジロー”と、それをめぐる天才レントゲン技師と財団令嬢をはじめとする奇天烈なキャラクターたちの「奇妙」な物語。 予告などから醸し出される作品の“味わい”は、とてもユニークで興味をぐいぐい引き付けた。 が、少々、暴走し過ぎてしまった映画だと思う。  主演のオダギリジョーは、この1~2年ですっかり「開花」してしまった“ハジけっぷり”がますます好調で、特異なキャラクター像を表現しているが、ストーリーの展開自体がハジけ過ぎてしまって、すべてにおいて基本的な説得力が無い。 その他のキャラクターや奇妙な環境設定も、ストーリーの整合性さえあればすんなりと“可笑しさ”に繋がるのだろうが、それが無いためただただ「意味不明」な印象ばかりが残ってしまう。  “大財団の礎となるサンショウウオ”という設定だけでそもそも「奇抜」なわけだから、繰り広げられる“流れ”の大筋と顛末はもっと“真っ当”で良かったと思う。 上質なコメディサスペンスを期待していたのだが、みるみるうちに混沌としていく“幻想映画”に陥ってしまったのは残念だ。 まあ、百歩引いて良く言えば、「鈴木清順の“混沌”を髣髴とさせる若い映画監督の革新的な映画」とも言えなくもないが、面白くないものは面白くない。
[DVD(邦画)] 1点(2007-05-05 17:47:12)
29.  バベル
「言葉」をバラバラにされた不器用で愚かな人間の生む「混乱」。それはすなわち、この“世界”自体のそれに直結する。 鬱積する空気の中で、登場人物たちは、ひたすらにもがき苦しむ。一体、その先に見えるものは何なのだろうか。 この作品が顛末で伝えるものは、「光」なのか「闇」なのか。その答えは、きっと誰にも不確定で揺れ動くものだろう。  それにしても、映画として外国人が外国人を描き出すことは、やはり難しいものなのだろうということを、改めて実感した。 日本人なので、どうしても日本のシーンが気になるのは否めない。この監督の独特の毒々しさというものも多分に影響しているのだろうが、「混沌」ぶりがあまりに常軌を逸している印象を受けた。アカデミー賞にノミネートされた菊池凛子は確かにモノスゴイ演技をしていたと思うが、女子高生役というのは無理があった気がする。体を張った演技が必要だっただけに尚更にそう思ってしまった。(まあ外国人には日本人は総じて幼く見えるらしいから問題なかったのだろうが)  グローバルな人間の本質を描き出すテーマ性は、濃厚だったと思う。 が、全体的に毒々しすぎるというか、“おぞましさ”みたいなものを必要以上に感じさせる映画だったとも思う。 それこそこの映画で監督が伝え描きたかった部分なのだろうが、観客にとっての“不快感”に達するかどうかは微妙なラインだろう。
[映画館(字幕)] 5点(2007-04-30 01:28:57)(良:1票)
30.  パプリカ(2006)
極彩色(いや、もうこれは極楽色とでも言うべきか)に溢れる映像美、“可愛らしさ”と“気色悪さ”が絶妙のバランスで同居するそのビジュアルワールドは、「夢」を表現するにはふさわしく、映像美だけでグイグイと引き込む。 益々進化し続けるジャパニメーションのクオリティには、もはや感嘆するしかないだろう。 が、相変わらずというか、なんというか、やはりストーリーそのものに物足りなさを感じる。 複雑に難解に物語を入り込ませ、そのくせ核心となるテーマ性は中途半端で、チープさすら感じてしまう。 目まぐるしいまでに疾走するビジュアルに、ストーリーが追いついていないような。そういう印象を近年のアニメ映画に、よく感じてしまう。 今作の場合、「夢」という普遍的でありながら複雑怪奇な素材を展開しているわけだから、ストーリーの展開自体はもっとシンプルでも良かったかもしれない。 それにしても、この「夢の世界」を原作者・筒井康隆はどう文体化しているのだろう。とても気になるところだ。  まあそれはそれとして、繰り返しになるが、ビジュアルのクオリティの高さは物凄い。めくるめく“混沌”の世界にただ包み込まれることは、それはそれで一興だろう。
[映画館(邦画)] 6点(2007-02-24 14:53:26)
31.  ハチミツとクローバー
うーむ。やはり「人気漫画の映画化」はものすごく困難がつきまとうもの、ということか。 ただその中でも幾分やりやすい部類かと思っていた。少女漫画の映画化ならではの、原作キャラクターと実写俳優のイメージのギャップによる拒否感というものはどうやったって生じるだろう。が、美大を舞台にした青春ロマンスというストーリー性自体は、実写映画として構築しやすいと思った。 が……結果としてはものの見事に「失敗」してしまっている。 単行本数巻に渡って長い月日を描く原作を、2時間弱の尺で映画化するわけだから、ストーリー展開が原作といくらか変わってしまうことは、結果が良い悪いは別として仕方がない。 でもね。キャラクターの性格まで変えてしまっては、どうしようもなくなる。原作のある漫画の映画化である以上、それをしてしまっては映画として「破綻」していると言わざるを得ない。 少し踏み込んで指摘すると、竹本は“逃げ出す”ために走り出したわけではないし、森田はあんなにドライではないし、真山はあれほどヒクツな行動はしないし、山田はもっと芯がしっかりしている……etc。 そもそも叙情的なイメージを保つ原作なのだから、もっと忠実に映像化することができれば、それだけでそこそこ優れた映画になったように思う。 詰まるところは、やはり冒頭の言葉に尽きるわけで。「仕方ないな」という言葉に終始する。 やはり「漫画の映画化」の中でも「少女漫画」の場合、男キャラの“かわいくなさ”または“美しくなさ”に批判は集中するようだ。今回の場合はビジュアル的にはそれほど悪くなかったが、内面的なギャップの激しさが痛かった。 唯一にして評価点のすべての要因は、蒼井優のかわいさ。もうそれっきゃない。 個人的にはそこだけで映画館で観た甲斐はあった。と、思う。 
[映画館(字幕)] 3点(2006-08-09 13:47:00)(良:2票)
32.  初恋(2006)
この「共犯者」たちが、得たかったものは何だったのだろう。そして、得たものは何だったのだろう。僕は、この映画が描く時代に生きていないから、彼らのその「荒み」の根源を理解することはできない。だからこんなことを言うことは無責任なのかもしれないけど、もっと「楽しく」生きてゆけたんじゃないのか。そこまで沈み込まなければならないのか。 ラストのくだりを見て、そういうことを感じた。
[映画館(字幕)] 6点(2006-06-14 19:21:50)
33.  花よりもなほ
「時代劇」は数多く観てきたが、これほどに“おもしろい”時代劇はなかなか無いと思う。貧乏長屋を舞台にした人情劇。そこに住む人々の、何気なくもあらゆる意味で“雑多”な生き様が、笑えて、泣ける。 「仇討ち」が賞賛された時代、しかしそれは同時に、「武士」という生き方自体に“疑問”が生まれ始め、見直され始めた時代だったのだと思う。そんな中において、「仇討ち」という行為の是非をある面では滑稽に、そしてある面では真摯に描き上げたユーモラスかつドラマ性に溢れた“新しい時代劇”の姿がここにあると思う。 武士道の美談として語られる「赤穂浪士」にしたって、実情がどうだったかなんて本当は誰も分かるハズはない。もしかしたらこの映画は、「武士」という時代そのものの人間性をリアルに切り取ったドキュメンタリーなのかもしれない。そう考えると、是枝監督初のストーリー映画である今作も、実に彼らしい映画だと思えてくる。
[映画館(字幕)] 10点(2006-06-07 17:33:53)
34.  ハサミ男
確かに、映画をある程度見慣れている人ならば、この映画が抱える“要素”は容易に感づく事ができ、その点においてはこの種類の映画としては、あまり巧いとは言えない。全体的に画づくりが稚拙なのも頂けない部分ではある。 ただやはり、このストーリーが持つ元々の面白さというものに、随分助けられていると思う。散々描かれつくされてきた感もあるサイコサスペンスというジャンルにおいて、しっかりとこの物語独自のオリジナリティは携えており、その部分において見応えは確実にある。原作は未読だが、このストーリーをどう文章で構築し描いているのか、とても興味深い。 展開としては、クライマックスの顛末まで良かったのだけれど、最後のエピローグが若干しつこくて間延びしてしまった。あそこまでクドクドと語らなくても、そこまでの流れで充分に“真意”は伝わったと思う。ラストを簡潔にまとめ余韻を残す勇気がほしかった。そういう部分においても、物語の秀逸さの反面、映画としての未熟さが垣間見えることが惜しい。
[DVD(字幕)] 7点(2006-03-12 03:10:57)
35.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版
サスペンス映画で、これほど切なく、涙がじわりと溢れたことは初めてだと思う。 ストーリーの完成度が物凄く高い。主人公の能力についてのアイデア自体も斬新だが、それもよりも、物語としての整合性と全編通してのバランスが素晴らしい。「何が起きているか分からない」緊迫的な“恐怖感”溢れる導入部から紡ぎ出し、テンポのよい“緊張感”と“謎”を展開しながら、“切なさ”溢れるラストへと結びつける。作品のテンションにふさわしい、秀逸に練られたストーリーテリングだった。 日本公開され、DVDがレンタルされるようになってから少し経つが、今の今まで観ていなかったこと自体が悔やまれる“傑作”だと思う。 
[DVD(字幕)] 10点(2005-12-27 22:18:03)
36.  バッド・エデュケーション(2004)
ペドロ・アルモドバル監督自らの深層心理を、丁寧に大胆に切り開いていくようなそんな映画。描かれるテーマはまさに「禁断」。だけれど、いわゆる“そっち系”の映画の多くにあるような“居心地の悪さ”が、この作品には無い。それは、表現者であるアルモドバル監督を含めた“主人公”たちが、それぞれどこまでも情熱的だからだ。ある意味において、純粋で無垢なその情熱には、薄っぺらな価値観などは入り込む余地はなく、ただただ観る者を包み込む。 主演男優二人の表現も素晴らしく、相変わらずビビットな映像感覚も印象的で、とても質の高い映画だと思う。ただしかし、他のアルモドバル監督作品と比べると、もう少しラストに踏み込んでも良かったのではないかとも思う。意外とあっさりとした余韻が残った。
[DVD(字幕)] 7点(2005-12-07 01:06:39)
37.  バッドサンタ
12月に入るのを待って満を持して手持ちのDVDを観た。「ゴースト・ワールド」のテリー・ツワイゴフ×コーエン兄弟×ビリー・ボブ・ソーントン、この組み合わせだからこそ成立するブラックなクリスマス映画☆☆☆どこまでも下品で、どもまでも破滅的なのに、しっかりと「心温まる」映画なのが、スゴイ。 やはり、僕はビリー・ボブ・ソーントンを推したい。とことんまでグダグダでクタクタの文字通りの“バッドサンタ”を見事に体現し、そのくせ、たまらなくセクシー。彼のその希有な存在感がなければ、この映画はこれほどまでの完成度を見なかったであろう。
[DVD(字幕)] 8点(2005-12-03 03:05:27)
38.  バットマン ビギンズ
“バットマン”がその他のアメコミヒーローに対し明らかに異質であることが一つある。そうそれは、バットマンは“超人”ではないということだ。極限まで鍛錬はしているのだろうが、ヒーローとしての活躍はありとあらゆるアイテムによるところが大きい。そうなってくると益々重要になってくるのが、彼が超が付くほどの大富豪であるということである。そのキャラクター性のおかげで明らかに高級そうな様々なアイテムに不自由しないのもうなずけるというものだ。ではなぜ、そんな大富豪が夜な夜な闇に紛れ、己の身を呈してまでヒーローに徹する必要があるのか?しかもご丁寧にコウモリのコスプレまでして…。 と、つらつらと考えていくと、いくらダークヒーローだと言っても、これほどまでにその“出生”と“理由”自体が闇に紛れてきたヒーローはいない。近年のヒーロー映画ブームの流れの中で製作された作品であることは間違いないが、この“誕生秘話物語”はまさに描かれるべきして生み出されたと思う。 これまでのシリーズ作品とは一線を画し、ひたすらにダークに、ひたすらにブルース・ウェインの精神の底へ底へと掘り進んでいく映画世界、ストーリーが素晴らしい。その反面、バットマンという稀代のヒーローが持つ類まれな“高揚感”もしっかりと表現され、ストーリーの深さ同様、奥深い娯楽性を携えたヒーロー映画が完成した。
[映画館(字幕)] 8点(2005-06-19 02:07:34)(良:1票)
39.  ハウルの動く城
エンドロールが流れ始めた瞬間、すべての思考が止まってしまった。  これが、あの宮崎映画なのか…。  渦巻く困惑と落胆。脳裏を振り絞って、映画を振り返り、納得のいく“感想”を導き出そうとしたけれど、結局何処にも辿り着けない。 「まさか、そんなことが…」と疑いを消し去れないが、一個人の結論とするならば、“この映画は成立していない”。  はっきり言って、支離滅裂も甚だしい。 圧倒的なビジュアル、美しくファンタジックな空気感、しかし、あるのはただそれだけだ。  それらしい雰囲気とイメージを幾重にも折り重ねただけに終始する。 一見魅力的なキャラクターは、躍動的に動き発言する。 しかし、その言動のあちこちで“根拠”と“理由”が欠如し、人格そのものが最終的に軽薄になってくる。つまりは、物語になっていないのである。  木村拓哉が声優をやることの是非、倍賞千恵子が少女の声を演じることの違和感、どうにも内容が伝わってこない予告編、公開前の不安要素はいろいろあった。  しかし本当の問題はそんなことではなかった。  「千と千尋の神隠し」で抱いた一寸の不審がいよいよ増幅する。 “もう宮崎駿に想像性に溢れた「物語」を紡ぎ構築する創造力は無いのではないか?””テーマ性のみをただ広げる「内容」を展開するだけで精一杯なのではないか?”  ………………いや信じない。 なぜなら、宮崎映画によって映画を観るということの“快感”を育んだと言って過言でない者にとって、それ以上の悲劇は無いからだ。
[映画館(邦画)] 1点(2004-11-21 02:42:44)(良:2票)
40.  半落ち
当たり前のことだが、人の価値観は様々で、その思惑や行動はその人によって違う。それなのに、それらすべてを社会というたったひとつの価値観で裁かなければならないという現実は、どうしようもないことだけれど非常に愚かなことなのかもしれない。行き着く先を見出せない真実に対する“こたえ”が登場人物らの脳裏を静かに渦巻く。と、物語のテーマ性自体は濃厚であるけど、映画としてはどこか稚拙だ。テーマに対してストレートに描き出そうとする試みは分かるが、工夫のない演出と映画つくりをするには俳優陣の力がやや不足していたように思う。特に誰が悪いというわけではないが、一言で言えば全体的に華がないということになるだろうか。ベストセラーの原作は読んでいないが、おそらくは原作以上のものはこの映画にはないのだろう。感動はするが、その感動が後には残らず次第に薄れていく。
[DVD(邦画)] 4点(2004-09-27 03:22:00)
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