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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1.  遥かなる大地へ
かしこまったタイトルに騙されてはいけません。軽妙さと重厚さが絶妙なバランスで組み合わされた、実にフットワークのよい映画なのです。私が今まで見てきた中でもっとも清々しい映画でした。同じようなお話の「タイタニック」よりも5~6倍は面白かったです。とにかくトム・クルーズとニコール・キッドマンのカップルが実によく、2人の姿はいくらでも見ていたいほどです。好きなのにケンカばかりっていう2人の仲は本当にマンガなんですけど、マンガよりもきれいな2人がやるので違和感なしなのです。「トム、付き合っちゃいなよ」と、中学生感覚でお節介を焼きそうになったほどです。そしてあのラストも本当にマンガ。でも大好きです。私まですんごい幸せな気分になってしまいました。「THE END」の文字が出た後も、「2人とも、幸せに暮らすんだぞ」「仲良くケンカしろよ」などと、老婆心ながらいろいろとお節介を焼いてしまうのです。こんなにいい映画、しかも恐ろしく豪華な布陣であるにも関わらず、えらい冷遇ぶりなのがビックリです。「ダンス・ウィズ・ウルブス」だとか「許されざる者」だとか当時はリアル志向の西部劇がブームだったので、それに乗っかって宣伝を間違えたのでしょうか?ビデオやDVDのジャケットを見ても、えらい重厚な大河ロマンとして売られてるし。でもこれは、男性よりも女性が喜ぶ映画だと思うんですけど。
10点(2004-08-28 16:16:06)
2.  パルプ・フィクション 《ネタバレ》 
リアルタイムでの衝撃に加えて後世に与えた影響も大きく、もはや語り尽くされた感もある本作を今更レビューすることはなかなか難しいのですが、私が感じた素直なところを書きます。 まず本作が型破りなのが、登場人物達が本筋とほぼ無関係な会話を延々と繰り広げており、話の流れが遅いどころか、流れが完全に止まっている時間すらあるということ。タランティーノはキャラクターを作った後にその人物が喋りそうなことを延々と書き連ねていったのかもしれませんが、本筋に対してキャラクターが従属するという通常の関係性を逆転させ、まずキャラクターありきで彼らを自由に動かし、本筋を二の次にしたという辺りが斬新でした。 だからと言ってキャラクター劇に終始しているわけではなく、一見すると無関係なエピソードを並べることで「これらがどんな終わり方をするのか」という強い関心を観客に抱かせつつ、時間軸の解体という荒業によってこれらをもっとも効果的な形で見せており、本筋は本筋で十分に凝った作りになっている点も見事なものでした。特に驚いたのは、主人公であるビンセント・ベガが上映時間の半ばでアッサリと死亡するということ。彼はトイレから出てきた不意を突かれ、見せ場もセリフもないまま死亡しますが、通常の映画では主人公がこんなタイミングでこんな死に方をすることなんてまずありえないので、観客もまた不意を突かれるわけです。しかも彼の死がその後の展開に何らの影響を与えることもないのですが、こんな話の動かし方はかつてなかったと思います。 また、これだけ高度なことをやりながらも、まったく肩ひじの張ったところのない雰囲気が独特な魅力に繋がっています。例えば前述したベガの末路などは、直前に方向転換したジュールスとの対比で如何様にも深い意義を与えることができたのですが、タランティーノはあえてそれをやっていません。一応考える素材はあるので、その死から意義を感じ取りたい観客には深く考える余地は与えられているものの、映画に教訓なんて求めないと思っている観客にはそこを素通りする自由も与えられている。こんなスタイルの作品には滅多にお目にかかれません。 最後に、キャスティング面にも楽曲選びにもセンスが感じられることが、本作が愛される大きな要素となっています。大スター・ブルース・ウィリスやオスカー俳優・クリストファー・ウォーケン、当時伸び盛りだったティム・ロスら当然主役に選ばれるべき人達を差し置いて、10年ほど表舞台から姿を消していたジョン・トラボルタを選んだという意表を突いたキャスティングや、これまた数十年ほど忘れ去られていたミザルーの曲調を作品のメインテーマに据えた点など、陳腐化してダサくなって一旦廃れたものを一周回ってかっこよく見せるというリメイクの技術が極めて洗練されているのです。【ひのと】さんもレビューしておられますが、この映画を作った人のセンスを自分も理解できるんだと言いたくなるような雰囲気が本作には確かにあって、その後のタランティーノ作品と比較しても本作が唯一無二の存在だと言えるのは、この部分が突出しているためだと言えます。 公開当時から斬新で、しかもその方向性の作品でいまだにこれを超えるものはないと言えるほどの完成度の異常さや、直接的・間接的に影響された作品が膨大な数に及ぶということを考慮しても、映画史上の最重要作の一本であることは間違いのない作品だと思います。
[インターネット(吹替)] 9点(2018-05-28 19:37:29)(良:1票)
3.  バットマン リターンズ
これは究極のクリスマス映画ですよ。正義のバットマンVS悪人のペンギンだと思って見るとつまらない映画なんですけど、バットマンという仮面を被ってしか暴力衝動を解放できないブルース・ウェインと、容姿のコンプレックスから社会に姿を現せなかったコブルポットの、街での人気をかけた戦いだと思ってみれば、これほど切ない話はありません。両者に共通するのは社会への不適応性です。ブルース・ウェインは己の本質をバットマンという匿名のヒーローに託し、普段は大富豪という仮面を心に被ることで、なんとか社会に適応しています。一方コブルポッドは、両親に捨てられるほどの醜い姿を人目にさらすことを嫌い、サーカスギャング団を率いて街へのシャレにならないイタズラばかりを行ってきました。両者とも普通の人達に憧れ、その仲間に入りたいと思いつつも、結果的には自分を暴力という形でしか解放できないのです。しかしコブルポットは決心し、自作自演で赤ちゃんの救出劇を行って街に姿を現します。思惑通り英雄として迎えられ、またその生い立ちに街の同情が集まり、一躍人気者となるコブルポット。市長選への出馬まで決定し、念願かなってついに普通の人達に受け入れられたのです。しかし街で唯一ブルース・ウェインだけは根拠もなく彼を疑い(嫉妬しているようにも見える)、ここにバットマンとペンギンの醜い戦いが始まります。お互いに相手の信用を貶める妨害工作を行い、クリスマスを前にして普通の人達からの信頼を失う両者。人並みの幸せなクリスマスに憧れたペンギンの夢ははかなく消え去り、またキャットウーマンという同類に出会うことで心の安堵を得るかに見えたバットマンも、クリスマスを前にして恋人と再び敵対しあうこととなります。2人にとってはバットマンとキャットウーマンこそがアイデンティティの基本なので、恋人のためでもそれは裏切れないんです。そして、孤独なのに寄り添いあうことのできない3者が死闘を繰り広げるクライマックスは、もう切なさの嵐ですね。さみしいクリスマスを迎える人は、ぜひこの映画を見るべきです。
8点(2004-12-25 16:00:39)(笑:1票) (良:4票)
4.  バッファロー'66 《ネタバレ》 
女性に縁のなかった30男の前に、勝手に自分を好きになってくれる女性が現れる男のファンタジー。…と普通ならありえない話なので、脚本や撮影にデフォルメ化の工夫が凝らされています。ビリーの登場からして独特で、なんとおしっこのエピソードで彼の人となりが紹介されます。「このトイレは使うな」と言われれば素直に従い、清掃中の公衆トイレに無理矢理入ったりもせず、限界に近いのに立ちションもしないという律儀な性格。ようやく入ったトイレで「俺のもん見ただろ」とブチ切れますが、幼い子供はち○こが大きいことにコンプレックスを抱き、大人になると小さいことにコンプレックスを抱くと言われており、立派なものを持っているのにこれを見られることを極端に嫌うビリーは、歳だけとっていても中身は子供なのです。ビリーが大きな子供である原因、それは両親にありました。ふたりとも100%の悪人ではなく、息子の奥さんを快く受け入れたり、お節介を焼きたがる面もあるのに、一方で息子のアレルギー体質のことも覚えておらず、ビリーやレイラがバレバレのウソをついても詮索しない。息子に対する関心が極度に欠けており、ビリーは30歳をすぎた今もこの両親を振り向かせるために必死です。人生ではじめて自分を無条件に愛してくれるのは両親なのですが、この愛情を受けられなかったビリーは自分が人から愛されるということをなかなか理解できません。そんな彼を辛抱強く待つレイラはまさに天使ですが、レイラはなぜビリーを好きになったのか?そのとっつき憎さから、多くの人はビリーの良さに気付く前に距離を置こうとします。しかし誘拐というシチュエーションにより、レイラはイヤでも彼を近くから観察することになります。またレイラ自身も変わり者で、ダンス教室でもみんながダンス用のウェアを着ている中、彼女だけは私服で踊っています。ふくよかな体型に何かを間違えたメイクと華やかな人生を送っていないことは察しがつきますが、ビリーはそんな彼女を捕まえて「奥さんになれ」と言い、また乱暴な態度の彼がレイラの見た目や性格について文句を言うことは一度もありません。これはビリーが一方的に愛情を受ける話ではなく、レイラにとってもビリーは人生で欠けていたものを補ってくれる存在であり、孤独に生きていた人生に突然現れた天使なのです。
[DVD(吹替)] 7点(2009-06-18 14:54:53)(良:7票)
5.  パーフェクト・ワールド
ゆったりしすぎて時に作品の足を引っ張るイーストウッドの演出がこの映画には実に合っています。時代をベトナム戦争前に設定したのも古き良きゆったり感を出したかったためだと思いますがその効果は抜群で、ほのぼの感のある追跡劇が独特で楽しいです。ブッチは脱獄したものの本気で逃げるという意識は薄いようで、自由人だからとりあえず監獄から出てみましたという「暴力脱獄」のルークや「大脱走」のヒルツに近いキャラクター。大スターが演じてきたこの種の役をケビン・コスナーが期待以上に演じているのはさすがで、当時世界最高のスターだった彼でなければ出せない味を見せています。また人質となる子役も実に巧く、子役らしいイヤミっぽさが少ないのが良かったです。子役といえばわざとらしいほど天真爛漫で、相手が悪い人でも明るい笑顔を振りまいて人間性が芽生えるきっかけを作るというのが定石ですが、フィリップはとにかくしゃべらないし、ブッチから何か聞かれても優柔不断にうつむいて首を動かすだけ。本当の子供は初対面の大人相手にハキハキしゃべったり、大人との会話をリードするなんてことはないので、この描き方はなかなか良かったと思います。この子の心を開いていく過程でブッチの人間性はよく伝わるし、ブッチと過ごした数日間でフィリップが成長していく様子がクライマックスの感動へつながっており、通常とは逆のアプローチが功を奏しています。一方でレッドのキャラが中途半端だったのは残念です。ブッチとフィリップが仮想の親子関係を築くという話がメインにある一方で、その裏事情として少年時代のブッチを監獄に入れたのはレッドで、レッドは彼なりにブッチのためを思って監獄行きに手を回したという因果なエピソードがあるのに、こちらの掘り下げは不完全でした。ブッチに対してレッドは相当複雑な思いがあるはずです。少年時代の彼を監獄送りにしたために人生を歪めたのではないかという贖罪意識があるでしょうし、またその一方でいい歳してなんでまだ犯罪者やってんだという怒りもあるだろうし、人生を見出せないまま悪い道にいる彼を心配する気持ちもあるでしょう。にも関わらずブッチに対する思いがほとんど描かれておらず、大変おいしいところを完全にスルーしてしまっています。他の要素はよくできており、これをきちんと描いていれば大傑作になったかもしれないだけに残念です。
[DVD(吹替)] 7点(2006-11-13 03:02:01)(良:2票)
6.  ハーレーダビッドソン&マルボロマン
なんてこった。この映画がこんなにも評価されてるとは!実は私も好きなんです。「2010年」とか「ジョーズ2」みたいに、意外と面白いんだけど、あんまり声を大にしておすすめできない映画ですよね。いい歳してフーテンやってるハーレーダビッドソンとマルボロマン(←ふざけたニックネーム!)が、行き当たりばったりの強盗でドジ踏む話なんですけど、主演2人がとにかくかっこいい!それだけで十分です。
7点(2004-08-06 12:33:08)
7.  ハード・ターゲット
ウーイズム炸裂の銃撃戦には血がたぎりました。ただし、それだけの映画なんですけどね。お呼ばれ感覚でヴァンダム企画に参加したと思われるジョン・ウーの、銃撃戦以外にはまったく力の入らない演出を考えれば、そんな評価が正しいと思われます。小泉訪朝のような評価ですみません。
7点(2004-08-05 16:25:32)
8.  バーブ・ワイヤー/ブロンド美女戦記
パメラ・アンダーソンが期待以上にハマってるのがいいですね。まぁ、彼女はもともと顔も体も人造っぽいので、その時点でこの役にはうってつけなんですけど。で、アクションの質がエライ高いのにもビックリ。正直、ぜんぜん期待してなかったので、ここまでクォリティーの高いものが見られるとは思ってませんでした。映像のかっこよさには本当に驚きます。願わくば、もっと話が面白ければ・・・。
7点(2004-07-08 18:06:17)
9.  バード・オン・ワイヤー
良くも悪くも80年代の映画の空気を丸ごと引き継いだ映画です。軽いノリで楽しいんだけど、見終わった後にはな~んにも残らないんです。テレビの洋画劇場で何気なく見るのに最適な映画ですね。メルギブとG・ホーンのコンビはかなりよかったような気がします。
6点(2004-09-01 16:39:03)
10.  ハートブルー 《ネタバレ》 
キャスリン・ビグローによる演出は素晴らしいの一言。ハイライトであるサーフィンの美しさのみならず、強盗シーンの臨場感やチェイスシーンの疾走感も素晴らしく、もし彼女が多作の監督であれば、今頃はリドリー・スコットやデビッド・フィンチャーのポジションに居たのではないかとすら感じさせられました。ただし、脚本がボロボロなので映画としてはイマイチです。とりわけ、潜入捜査官とサーファー強盗団が互いの素性を認識して以降の展開は酷いものでした。FBIにマークされていることが分かったのだから強盗団はさっさと海外逃亡すればいいものを、キアヌ捜査官を誘ってスカイダイビング&最後の銀行強盗とはちょいと悠長すぎるでしょう。キアヌもキアヌで、女を人質にとられているとはいえ、言われるがままに銀行強盗のお手伝いまでしてしまうのは頭悪すぎ。逮捕して尋問した方が手っ取り早いと思えてしまうのは、脚本の工夫が足りない証拠です。最悪だったのは、後半の展開でパトリック・スウェイジ演じるボーディを完全な悪人にしてしまったことで、このために捜査官と犯罪者との間に生まれる友情物語という基本的な構図が崩れてしまっています。彼は、盗みこそするが決して人は傷つけない義賊に留めておくべきだったのです。
[DVD(字幕)] 5点(2012-10-30 01:09:38)
11.  ハード・トゥ・キル
セガール2作目にして、初めて全米1位を獲った作品。今ではVシネマ俳優と化し、一体誰が見ているのか分からない作品を濫造しているセガールですが、この頃は少ない制作費で堅実に稼ぐ、優秀なマネーメイキングスターだったのです。。。 前作『刑事ニコ/法の死角』は後のセガール映画の基礎を確立した作品でしたが、一方で本作は、セガールにとっては異例尽しの内容となっています。ケツを揉み、乳を頬張るという激しいラブシーンを演じた後に、不意を突かれて凶弾に倒れるセガール。セガールも人の子、ベッドでは無防備だったのかという、いろんな意味で衝撃的な展開を迎えるのです。また、ベッドシーンでは、明らかに緊張しているセガールの顔を拝むことができます。さらに、肉体を晒すことに消極的なセガールが、本作では上半身裸を見せているという点でも、妙なお得感があります(ホモじゃないよ)。ステロイド漬けのムキムキが基本だった当時において、ノンステロイドの肉体はどこか味気ないのですが(ホモじゃないよ)、その一方で、見せるために筋肉をつけているわけではないという武道家としての飾り気のなさがかっこよくもあります。。。 内容の方は、それなりにしっかりしています。とにかく適当だった当時のアクション映画の中では、よく作りこまれている部類に入るのではないでしょうか。とはいえ、セガール作品としては微妙。セガール作品を見る者は、セガール無双を見に来ていると言っても過言ではないのですが、本作では「セガールやられる→鍛え直してパワーを取り戻す→仇に復讐」という3部構成を90分強という短時間に詰め込んでいるため、セガール無双の時間がとても短いのです。また、セガールに惚れたヒロインが強力な保護者兼支援者となるという作品の要の部分が、「んなわけねぇだろ」とツッコミを入れたくなるほど説得力がないという点も、思わぬ弱点でした。なんせ、彼女が惚れたセガールは、ヒゲ伸び放題で仙人状態ですからね。こんなのに惚れるだなんて、この人の感性はどうかしちゃってるでしょ。セガールに意識がないのを良いことに、ち○こをチラ見して「ひゃっはー」ってテンション上がってるし、セガールの枕元に子猫を置くし、完全にイっちゃってますね。これを演じたケリー・ルブロックさんは本作での共演を機にセガールと結婚したそうですが、セガールの意外なバカップルぶりにもガッカリさせられました。
[地上波(吹替)] 4点(2014-03-07 23:32:10)
12.  8mm 《ネタバレ》 
1999年は映画史的に重要な年で、一般の観客には馴染まないとされてきた難解なSF映画『マトリックス』が大ヒットしたり、暴力をテーマにした問題作『ファイト・クラブ』に大スター・ブラッド・ピットが主演したりと、映画界の常識を打ち破る映画が続々と登場した年でした。そんな中でも、本作『8mm』の異色ぶりは際立っていました。『セブン』以降は他人の脚本のリライトばかりを務めてきたアンドリュー・ケビン・ウォーカーの4年ぶりの新作にして、テーマはポルノ。これをメジャースタジオであるソニーピクチャーズが直接製作し、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったニコラス・ケイジを主演させたのですから、どんなものが出来上がるのか誰も想像出来なかったのです。。。 かくして、大きな注目を浴びる中で完成した本作ですが、内容は実に中途半端でした。テーマがテーマだけにスタジオ側も相当な覚悟をもって製作したのかと思いきや、どこまでやるべきかの迷いがはっきりと見て取れるのです。アングラの世界はステレオタイプで面白みに欠けるし、主人公が暴力に飲まれていく様には深みがありません。この企画で観客が期待したものは、我々が住む社会のすぐ隣に存在するであろうユニークでグロテスクな世界だったはずなのに、そういったものを徹底的に見せてやろうという気概がまったく感じられません。事の発端となるスナッフフィルムの内容や、怒り狂ったニコラス・ケイジがジェームズ・ガンドルフィーニを殴り殺す場面など、作品の要とも言える描写を編集で誤魔化している辺りの腰の引け具合には失望してしまいました。極めつけは、取ってつけたようなハッピーエンド。このラストで、重苦しい作品は完全にぶち壊しにされてしまいました。。。 オリジナルの脚本はもっと凄かったようなのですが、内容に恐れをなしたスタジオが勝手に書き換えてしまい、最終的にはアンドリュー・ケビン・ウォーカーが「あれは自分の作品ではない」と言い出すほどに形を歪められてしまったのだとか。前述の成功作が作家性を信じて振り切った結果として歴史に名を刻んだのとは対照的に、本作は商業的打算の末に、興行的にも批評的にも記録を残せなかったようです。唯一の救いは、メジャースタジオがノウハウを投入した作品だけあって、探偵ものとしてはそれなりに面白く出来ていたということです。残酷描写の大半はカットされているので、安心して楽しむことができます。
[DVD(吹替)] 4点(2013-04-16 01:50:24)(良:1票)
13.  パトリオット・ゲーム
序盤は素晴らしかったんですよ。余計な説明をテキパキと片付け、一気に襲撃へと持って行くテンポの良さ。主演がアレック・ボールドウィンからハリソン・フォードにグレードアップしたことで画面に華が出たし、初の大作に抜擢されたショーン・ビーンも、登場した瞬間に悪のカリスマとしての魅力をムンムンに漂わせます。しかし、本筋に入ると物語は一気に失速し、最後までダメダメなままでした。最大の問題は、テロリストの行動や警察の対応の描写があまりに雑だったことです。ロイヤル・ファミリーの一員を狙い、殺す寸前までいった重要犯罪人がいとも簡単に脱走してしまうわ、楽々と国外へ脱出し、平然とアメリカに入国できてしまうわというお手軽さ。そして、元CIAにして海軍兵学校の教官にして、ロイヤルファミリーを救った英雄として新聞の一面を飾った重要人物であるライアンに難なく接近してしまえる身の軽さ。ジャック・ライアンシリーズに求められることは知的さの延長にあるアクションなのですが、肝心の論理の部分があまりに雑すぎます。原作を有する作品においては、生身の役者に演じさせ、時間軸などがより立体的に伝わる媒体にシフトした結果として、本で読む分には感じなかった不自然さや論理の不整合性などが往々にして生じるものです。それをうまく料理するのが脚本家や監督の仕事なのですが、本作はそうした映画向けの補強作業を怠っているため、ご都合主義が横行する雑なアクション映画に終わっています。それに加えて見せ場の作り方もイマイチで、ホームパーティーを襲われるラストのアクションなどは、見づらいし、つまらないし、無駄に長いしと良いとこなしでした。一方、中盤において特殊部隊が砂漠のアジトに襲撃をかけるシーンこそがジャック・ライアンに期待される見せ場だったのですが、こういうものに限ってほとんど盛り上げずにスルーしてしまうという選択のまずさ。これは完全に失敗作です。不思議なことは、当時無名だったフィリップ・ノイスが、ヒット作「レッド・オクトーバーを追え」の続編をなぜ任されることになったのか?そして本作を失敗させたにも関わらず、なぜ「今そこにある危機」で続投できたのか?トム・クランシーは「せっかくの原作をB級アクションにしやがった」と嫌っているようですが。
[DVD(字幕)] 3点(2010-02-06 21:29:49)
14.  パラサイト・イヴ
脱ぐなら脱ぐ!脱がないなら脱がない!
2点(2004-08-30 16:07:05)(笑:4票)
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