1. 昼下りの決斗
《ネタバレ》 自ら法と秩序と契約に縛られる不自由な男であるジャッド。 彼は見えない物に縛られる事で、西部劇の主人公たる権利も奪われ、その象徴である銃を使う事も許されない。(ライフルは整備が行き届かず発射出来ない) そんな彼の傍らで一人の女性を巡り、何に縛られるでもなく、自由奔放に動き回るハモンド兄弟を代表する若者たち。 自由な若者達と最後に束の間の自由(ラストシーンで始めてジャッドの手で銃が機能する)を手にする不自由な老兵達との対決。 その場面がとてつもなく美しいのは、それが若者達の恋路を老兵が命をかけて守り祝福する事でも、若者と老兵が融和する事でも、自由への渇望を表現しているのでもなく、ジャッドが不自由を受容し、現金を届けるという契約=不自由をウェストラムが受け継いだからこそではないか。 そしてあらゆる物に縛られ西部劇的な存在からは程遠い不自由なジャッドを西部劇の象徴たる牧場と聳え立つ崖、山が後ろから支え受け入れたからではないか。 [DVD(字幕)] 8点(2017-03-10 21:22:11) |
2. ヒメアノ~ル
《ネタバレ》 今の日本に起こりうる、フィルムノワール。 ファム・ファタール的な存在である、ユカも今の日本ではありふれているリアルな女性像。恋愛経験が乏しく、人生に傷ついた男性が、幻想を抱きそうな女性。 しかしその実は強かで、ごく普通な女の子であり、勝手な妄想を抱く男達(安藤、森田)の世界への微かな望みを打ち砕く存在でもある。 その現実との地続き感が故に、この物語が生々しく、辛い。 安藤が踏み留まった線を越えてしまった森田。その対比も痛々しい。 いじめという過去が原因と決めつけるには、あまりにも短絡的に思えてしまうほどの、逃れられない負の連鎖、日本社会の閉塞感を感じる。 物語中盤におこる思わぬ視点移行は、そのまま話しに推進力を与え、ジャンルの横断にも繋がる。そして世界が持つ多面性、無常感を痛烈に提示する。 計算されたカメラアングル、カット割りによる生理的に不快な殺人描写も洗練されている。 登場人物への容赦ない追い込みは、そのまま強制的に自分の人生をも振り返らされる辛さも備えていた。 [映画館(邦画)] 8点(2016-06-15 00:28:30)(良:2票) |
3. 百円の恋
《ネタバレ》 現代の日本における女性版ロッキー。主人公は凄く魅力的に見えたし、狩野に振られてからのトレーニングシーンはBGMと映像と気持ちの高ぶりがシンクロし、とても観ていて気持ちがよかった。間の取り方やカットのタイミングなども全編を通して凄くテンポがよく心地がよかった。 ただ主人公を取り巻く周りの環境、人物描写が極端すぎる部分もあって少し記号的に見えてしまった。 [DVD(邦画)] 6点(2015-12-28 17:03:29)(良:1票) |
4. ヒーローショー
子供の頃はみんなヒーローに憧れていた。いつからヒーローが非現実的で滑稽な存在だと見えるようになったか。現実の社会ではちょっと悪役の方がモテるし、かっこよく見えたりする。 それでも自分は辛くてシビアな問題ばかりの現実社会でダサくても惨めでもヒーローのようにあろうとするリストラされた独身の夢見るおじさんを馬鹿にするような人間にはなりたくない。 [DVD(邦画)] 6点(2014-03-13 21:23:02) |
5. 緋文字
《ネタバレ》 信仰や宗教は本来何の為にあるのか?自分の中ではそれは心の救いの為にあり、何かを信じる事によって生きる力を得る事が出来るから、あるのだと思っています。しかしへスター・プリンとディムスデールという人物はその信仰のおかげで苦しめ追い詰められた。二人の姦通という行為の善し悪しは抜きにしても、その結果は信仰の本来あるべき姿からは程遠いものであったように思えました。信仰の自由を求めてやってきた地で、自由を奪われ、自由を求めてまた違う土地に旅立つ。そこには本当の自由はあるのでしょうか。寒々とした町と風景がとても心に残った映画でした。 [DVD(字幕)] 5点(2008-03-20 20:16:37) |
6. ビートルジュース
笑えたか、そうでないか、この独特の薄気味悪い世界感が好きか嫌いかで大きく評価が分かれそうな作品でした。自分は、ビートルジュース=バットマンという事実が一番笑えてしまったので..ただ、ビジュアル的には作り物くささが出てるセットや死人の方々が結構好みでした。 [DVD(字幕)] 4点(2008-01-30 01:08:14) |
7. 評決
《ネタバレ》 単純に弁護士の腕だけならギャルビンはコンキャノンより劣っていたような気がするし、私生活も堕落していた。その辺に、ギャルビンのヒーローではなく一人のありのままの人間である姿を見ることでき、好感をもてました。ただ、判事がケイトリンの発言は考慮しないように、と言ったのにも関わらずあの評決に至ったのは陪審員の感情によるものなのでしょうか。もしそうだとしたら、そこに危なさと怖さを感じてしまいました。 [ビデオ(字幕)] 5点(2008-01-23 18:55:52)(良:1票) |