81. フェノミナ
《ネタバレ》 やや非現実的なホラー。 かと思いきや、中盤あたりから少しずつミステリーが入り始めます。 最後は完全にホラー。しかもわりと万人受けしそうなわかりやすいホラー演出の連続。 とにかくキャラ設定が良いです。 虫女VS殺人鬼親子。 パスタのように電話機のコードを巻くシーンで、刑事の叫び声だけが2度聞こえるシーンが個人的に最も恐怖感煽られました。 あとはやはり水中ですかね。 きそうなのはわかっていたんですが・・・ くるな、くるなよぉ~。 とは思っていたんですが、やっぱりきちゃいましたね。 フィニッシュがまさかのあいつっていうのも、素晴らしかった。 最後の最後まで手を抜いていない上質のホラーでした。 ちなみに蛆虫や蝿くんたちをこんなに応援する気持ちになれたのは生まれて初めてです。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-29 12:45:51)(良:1票) |
82. フラッシュバック(1990)
《ネタバレ》 ヒッピー。・・・ヒッピー?そもそもヒッピーとはなんぞや? 調べてみました。 どうやら、『文明や既成の価値観に縛られない人達』 『自然や愛や平和や自由を愛する人達』 『1960年代のアメリカで、反戦運動の中心になった人達』 といった人達の総称のようですね。 ヒッピーの犯罪者(と言っても冤罪でしたが)と、頭かっちかちの若手FBI捜査官の逃亡ロードムービー。なるほど!正反対の二人!これは面白い! きっと、その情報を知ってから見たほうが面白いかもです。 ただ、僕は知らないまま見ましたが、娯楽作品として笑いあり、緊張感ありで十分楽しめました。まさに万人向けのエンターテイメントです。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 12:23:12) |
83. プロジェクト・イーグル
ジャッキー映画のアクションは、たとえ序盤であっても、ひとつひとつのシーンに全力を投じて出し惜しみしない姿勢が好きです。 こちらも前半のカーチェイスからかなりのクオリティのアクションを楽しめます。 そのアクションのレベルの高さにおごることなく、ストーリや音楽、演出は軽めのコメディタッチなので、気楽に、楽しく鑑賞できるのがまた良いですね。 登場シーンではそれぞれ個性のあった女性3人組みが、ストーリーが進むに連れてだんだん個性がなくなっていったのはちょっと残念。みんな似たりよったりになっちゃいましたね。エイダとエルザはもうちょっとしっかり者キャラでいっても良かったんじゃないかな。 [DVD(字幕)] 7点(2012-05-18 12:05:17)(良:1票) |
84. フライトナイト
《ネタバレ》 隣人が吸血鬼だということを、みんなが気づくまでが面白いです。気づいてからは普通のパワーゲームになっちゃいます。 十字架、杭(とがった木材であればなんでもOK)、聖水、太陽の光と、弱点ばかりの吸血鬼。むしろ一般人より弱いかもしれない。 よって怖くはないので安心して鑑賞できますが、「ホラー映画」という認識で見てしまうと刺激はまったくないので注意が必要です。 本作ではらはらしようと思ったら、吸血鬼側の視点で見ると良いかもしれません。 「あぶない!十字架だ!」「ああ、時間だ。日が昇る!朝日だ!やめろ、壁を壊すな!」もうはらはらしっぱなしです。(たぶん・・・) この映画を見て、吸血鬼として生きていくのがどれだけ大変かよくわかりました。みんなでいたわってあげないといけないですね。 [DVD(字幕)] 7点(2012-04-12 16:25:53) |
85. ブロードキャスト・ニュース
《ネタバレ》 普通に考えれば、ジェーンとアーロンが一番合っているとは思いますが、全く二人とタイプの違うトムにジェーンが惹かれてしまうのが逆にリアルです。 アーロンの「君が二人いれば良いのに。親友の君と、ボクがほれている君。いや、忘れてくれ。」は個人的に名台詞でしたね。しかしトムのことが好きだと打ち明けるジェーンに、結局アーロンは腹を立ててしまう。ああ、なんかすごくわかります。追い詰められれば、格好つけられなくなるものです。 映画としては、思っていたより恋愛要素が中盤からがんがん入ってきて、もう少し前半の緊迫感あるニュース作りを見たかったという気持ちが強いです。でもこれは好みの問題です。全体のバランスは最高に良い映画だと思います。 7年後のラストシーンも、やたら現実感にあふれていて、なんか切なくて、良かったですね。 [DVD(字幕)] 7点(2012-02-12 13:45:14) |
86. ブロンコ・ビリー
《ネタバレ》 「潮風のいたずら」を思い出します。こちらが先ですね。 べたな展開とハッピーエンドが好きなので楽しめました。 テンポがてきぱきしているのも良いです。 まあ、多少のあらはありますが、コメディですから。あまりつっこまずに見るのが良いのでしょう。それでもあえてつっこむとすれば、悪徳警官がそのままなのはすっきりしませんね。列車強盗も驚きです。まったく相手にされなくて良かったです。もしかしてそこで笑いをとりたかったのでしょうか。「お父さん、カウボーイだよ」「そうだね~」のシーンは確かに笑えます。でも今まで良い人達だと思っていた一座のイメージが崩されちゃいます。だから個人的には、列車強盗の流れはいらないです。 それにしても、30年前以上の映画なのに、あまり古さを感じないものですね。良い映画だということでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2011-11-16 04:49:43) |
87. プロメテウス
《ネタバレ》 エリザベス・ショウとチャーリーはエンジニアに会いたい。 社長は長生きしたい。 他の人はお金欲しい。友達は要らない。 社長の娘は何考えているかわからん。 ロボットも何考えているかわからん。 人類の祖先も何考えているかわからん。 なんとも感情移入しづらい作品です。 もちろん、何も考えずにただモンスターパニックを楽しめばいいんでしょうけどね。 その肝心のモンスターが、冒頭1時間くらい出てこんのですわ。オタクな会話を延々と聞かされ続ける前半。思っていた以上にマニア向けの仕上がりになっちゃってます。後半はそれなりに手に汗握り楽しめましたが・・・ 早い段階で、イケメン担当のチャーリー・ホロウェイやられちゃって・・・てっきり主役なのかと・・・ そっからはエリザベス・ショウが四面楚歌状態で孤軍奮闘。なんだかもうバッド・エンドへ一直線って感じが痛々しくて・・・。 どうにもこの映画、自分が見たかったものとは違うような・・・。 『力を合わせてエイリアンを倒そう』とか、『何とかしてこの惑星から脱出しよう』とか、単純明快なものを求めていた自分が悪いんでしょうねぇ。 チャーリーに、エイリアンの幼生らしきものをカクテルに混ぜて飲ませちゃうロボット。なにゆえそんなことをしたのか・・・。 そんな事実があるとはつゆ知らず、言われるがままにロボットを助けちゃうエリザベス・ショウ。私たちにも、ロボットが何を考えていたのかは教えてもらえぬまま・・・。見終わっても、何だか心はもやもやしたまま・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2023-06-05 01:26:29)(良:2票) |
88. プレーンズ2/ファイアー&レスキュー
《ネタバレ》 1作目に比べると、ダスティがやや困ったちゃんな2作目。致命的なトラブルが2つ。どちらもダスティの身勝手さが招いたもの。なのでどーにも気分的に盛り上がりづらいのです。 まあ、1つ目のトラブルは、レースに出られないっていう現実を認めたくない気持ちから生じたものですから、同情の余地はありますが・・・。2つめのトラブルは許せないですね。 火災現場で上司の指示を聞いていない。そのうえ上司の命令を悉く無視して勝手な行動ばかりとる。消防の現場どころか、どの現場においても許されない行為です。その結果、どちらも取り返しのつかない惨事を招いてしまって・・・。 この映画の冒頭で、『消防士たちにこの映画を捧げる』みたいなテロップが出るんですが、消防士がこの映画見たら怒るんじゃないかなぁ。 今回はライバルのような存在もいませんので、そっち方面の盛りあがりにも欠けます。 唯一の悪役の所長が、とんでもないやつすぎて、アニメなのにイライラしちゃいます。 やりたい放題やって、大勢が所長のせいで危険な目に遭ったのに、『クビになりました』の一言で終わり。いやいや、それじゃ溜飲は下がりませんぜ。 アニメーションは抜群のクオリティ。特に終盤の火災大パニックの救助アクションは圧巻。それだけでも見る価値がありました。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2023-06-01 14:49:24) |
89. BLACK & WHITE/ブラック&ホワイト(2012)
《ネタバレ》 軽いノリのライトアクションコメディ。1980年代から1990年代にかけて流行った刑事バディもののノリ。今作の2人の主人公はCIAの特殊捜査官ですが、たとえ刑事でも全く同じ内容の映画になりそうです。 一応悪いやつもいるにはいますが出番はオープニングでほぼ終わり。物語の9割はラブコメなので、この悪役の影は限りなく薄い。 だめじゃないけど、サスペンスアクションにもう少し力を入れてもらったほうが、よりコメディの部分が活きる気もします。激ヤバな状況を軽口を叩きながら乗り切っちゃうような、そーゆーのが好きです。 今作はサスペンス色もアクションもほとんど力を入れていないので、とにかくユルユル。コメディ全開。でもちょっとだけ犯罪組織の動きを匂わすもんだから、どーしても刺激や緊張感が欲しくなってしまいます。 ラブコメのほうはなかなかの出来だと思いますよ。特にコメディ部分ですが。卓越したCIA捜査官のスキル。科学力。組織力。それらを総動員してやることが、一般女性のストーキング。こーゆーのは大げさにやればやるほど面白いので、そーいった意味ではよくできています。特にそれぞれのチームのメンバーが大真面目にローレンス(リース・ウィザースプーン)の身辺調査をしているのが面白い。途中まではチームのメンバーも『ハインリッヒと何の関係が?』と尋ねていたのに、いつの間にかもう何となく事情を察して尋ねなくなっているのがちょっと面白い。挙句の果てにはお互いのチームをちょっとライバル視している節もあったりして。 どうせ最後は二人ともフラれるんだろうと思っていたのですが、なるほどそうきましたか。これは後味の良い終わり方ですね。 映画のラストをケンカと笑いで〆たのも好印象です。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2022-07-08 14:33:19)(良:1票) |
90. ブリッツ
《ネタバレ》 ジェイソン・ステイサムの映画は一通り見るようにしています。まあ、いつものジェイソン・ステイサムですね。 スティーヴン・セガール、ジェイソン・ステイサム、水戸黄門はいつも同じで、それが良い。 ストーリー?悪くはないですがもう一声なんかほしかった。 ヤク中の女刑事。その女刑事を慕うギャングの少年。奥さんを亡くしたベテラン刑事。ドラマとして面白くなりそうな要素をいくつか用意した割に、ドラマパートが一様に盛り上がらない。もう少しそういった要素が映画の面白さに貢献できなかったものでしょうか。 例えば女刑事のほうでも良いですが、幸せな家庭を築いている刑事を用意してそれを惨殺させたほうが復讐のカタルシスを得られると思います。 次々と自分を捕まえたことのある警官を処刑していくワイス。逆恨みもいいとこですが、そのイカれ具合は悪くない。 ただ、ワイス演じるエイダン・ギレンの拭いきれない小者感。ジェイソン・ステイサムを相手にするにはちょーっと役不足でしたかね。せめて警察組織を逆恨みするサイコパス集団による組織的な犯行であれば、もう少し見ごたえもあったかもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2022-04-18 00:53:25) |
91. ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ
《ネタバレ》 ホラー映画の世界に迷い込んでしまうっていう、なんかあったような気がしたけど、いや、意外とこーゆーのなかったな、という映画。映画の世界に入ってしまうっていうのはあったと思います。映画のキャラクターが現実世界に出てくるってのもあったと思います。でもホラー映画の世界に迷い込んでしまうってのは実は新しい試みなのか? アイデア勝負に頼りきることなく、わりと設定やら詳細やらB級にしては丁寧に作られている感じが好感が持てます。何度も同じところをぐるぐるループしたり。ファイナル・ガールは一人にならないと強くならなかったり。 更には回想シーンにまで入り込んでしまうのが凄い。ご丁寧に白黒にチェンジまでして。 アイデアを支える映像が何気に面白い。タイトルやらエンドロールまでもがタイトルの中に入ってくるのがとても楽しい。 見せ場はしっかりスローモーションに。映画で使われる手法が映画に入り込んだ自分たちにも影響を及ぼすっていう演出が面白いです。 とはいえ、映画そのものが面白かったかと問われると、何とも言えないのが正直なところ。人に勧めるかと尋ねられればおそらく勧めないでしょうし。挑戦的だし目のつけどころは良い映画だと思いますけどね。ホラーにもコメディにもヒューマンドラマにもなりきれなかった中途半端さを感じます。 主演女優が個人的にかなり好みのタイプだったので最後まで楽しく見られましたが、そうでなかったらもう少し評価が下がったかもしれません。 [DVD(字幕)] 6点(2022-01-23 18:02:33) |
92. プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂
《ネタバレ》 こーゆーアイテムが出てきた時点で覚悟はしていたのですが、やっぱり今までのことを無かったことにされちゃいました。 もともとこーゆー『タイム・リープ』&『リセット』のコンビはそれまで見てきた時間を無駄にされちゃったような気分になるので好きではないです。ただこの作品ではあのタイミングで序盤に戻るのはもはや必然だし、結果ハッピーエンドなので、気にはなっても気分を害するほどではなかったです。善良な兄弟や父王、黒人ハンターの死もなかったことになるので、それはそれで良かったかと思います。 それにしてもなかなか都合の良いところまで巻き戻りましたね。 タミーナ王女も当然すべての記憶が失われているわけですが、タミーナ王女だけはなぜかすべて覚えているという設定でも面白かったかもしれません。 映像的な面白さも2010年の作品だけあってなかなか良かったです。特に時間が巻き戻るときの映像は結構好きです。 それにしてもやたら叔父のニザム(ベン・キングズレー)をダスタンは信頼していたようですが、どう見ても悪人にしか見えないです。こんな顔した人間が良いやつなわけないじゃん。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-08-15 02:47:24) |
93. プレデターズ(2010)
《ネタバレ》 プレデターが正体不明だった1作目は、やはり超えられませんね。すでにネタがわかっているという制約のなか、適度な緊張感とキャラの豊富さで、水準以上の作品にはなっていると思います。 プレデターシリーズでなければ7点以上をつけるところです。どうしても『プレデター』と冠したものは期待値が上がってしまうものですが、その期待を超える作品とはなかなか出会えません。 いきなり落下傘からのスタートというのは斬新でスリリング。目が覚めたらスカイダイビング中なんて、考えただけでも恐ろしい。つかみはばっちりでしょう。惹きこまれます。 各地の戦場から、その道のプロや猛者を選別して拉致ってきたって設定もぶっとんでいますが、その中に殺人鬼や囚人やヤクザが混じっているのが凄い。 ただ、キャラが豊富でも、その強さの描き方が足りません。それぞれの肩書きを言葉で紹介するだけ。だから本当はもっと強い集団のはずなんだろーけど、それが伝わってこない。『プレデターに狩られる者達』という域を出ていないのです。これじゃあ企画倒れ。 モーフィアスには悪いけど、ノーランドのエピソードなんてまるまるカットして、1人1人のキャラが地球にいたときどれだけぶっとんだ存在だったかを描いたほうが良かったように思います。 ラストはハッピーエンドとは程遠く、新たな戦いが始まるところで終わります。2人が宇宙船で脱出しながら、パラシュート部隊をそらから眺めるという終わり方だったら、私好みの余韻に浸れたんじゃないだろーかと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2021-06-08 02:45:32) |
94. 武士道シックスティーン
《ネタバレ》 ごくごく普通の青春部活動ストーリー。 『剣道をする美少女達』というテイストのみでおしきる2時間弱。 ぱっと見どんくさい女の子、西荻(北乃きい)が実は剣道の才覚があるっていうのはマンガチックで好き。 そんな西荻にまさかの敗北を喫した全中チャンピオンが、西荻の高校に入学してくるっていう展開もマンガチックで好き。 メインの2人以外にも、村山主将のような強キャラがいる人物配置も好き。 ただ、キャラの配置、状況設定、役者の演技も悪くないのに、いまいち盛り上がりに欠けるのはなぜでしょう。 ああ、そうか、ライバル校がいないからか。共通の宿敵の不在。立ちはだかる高い壁を、いがみ合っていたチームメイトが協力して倒す。そんな少年漫画あるあるの王道ストーリーではなく、終始メインの2人の人間関係と心の成長だけを追っていく。それだけで2時間弱だから、要らないシーンも増えるし、間延びもする。西荻の父親や岡君のような中途半端なキャラも出てくる。どうりで見ていて中だるみしたわけだ。 北乃きいはかわいい。成海璃子演じる磯山のキャラが面白い。そして剣道の練習や試合での気迫のこもった声出しが良い。だから最後までなんとなく見ていられるのですが、映画としての面白みは大分薄味かもしれないですね。 [DVD(邦画)] 6点(2021-02-25 14:46:06) |
95. ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない
《ネタバレ》 ブラック会社勤務経験者です。 今現在働いているところも、周囲から言わせればなかなかのブラックらしいのですが、それまでのとこに比べれば数段マシなので天国のように感じています。 まずブラックなところは、働いている人間にブラックと気付かせないからブラックなんですよね。ブラックだと気付けば手のうちようもあるし、自分の責任だとは思わないから問題ないんです。ブラックな会社は、まず『会社の責任』ではなく『本人に問題がある』と思わせます。これ大事。 そして、藤田さんみたいな人が一人もいないからブラックなんです。藤田さんみたいな人が一人でもいれば孤独ではなくなります。孤独か孤独でないか。この意味はもの凄く大きい。 確かにリーダー、井出、経理。この辺りは人間的に問題はあるかもしれません。ですがぬるい。自分達が手をぬき、新人に仕事を押し付け、それでいて悪いのは新人のほうだと洗脳する。こーゆー人間がわんさかいるのがブラック。品川リーダーはうるさいだけで怖くないし、井出は論外。領収書を握りつぶす経理だけがやっかいかもしれないですね。 映画用にデフォルメされたキャラではあるんでしょうけど、そもそもここまであからさまに仕事を押し付け、暴言を吐けば、タダではすまないのは加害者側です。コメディとはいえ、現実感に欠け過ぎると、やはり虚構の話なんだと白けてしまいます。 で、結局この映画は『ブラック会社で働くとこーなる!』みたいな警告をするつもりはないのでしょう。 入り口はそうだったのかもしんないけど、出口は真逆。 『働くってことは、生きるってことはこーゆーことなんだ。甘ったれるな。』ってことになっています。 職場の人間と力を合わせて苦難を乗り切り、一大プロジェクトを成功させる。そこに描かれるのは主人公の成長。立派な社会人となった主人公は笑顔で尊敬する先輩を送り出す。 ぱっと見はブラック。ですが実際は『こーゆー会社が人を成長させ日本社会を支えている』という至極肯定的な内容になっています。それで良いと思います。 本当のブラック会社を見せてやりたい。こんなもんじゃないから。 [DVD(邦画)] 6点(2020-06-30 11:05:06)(良:2票) |
96. 42~世界を変えた男~
《ネタバレ》 実話を元にした映画っていうのは、事実を捻じ曲げることができません。 ですので、映画として、どうアレンジし、味付けしていくのかが大切だと思います。 そういった意味ではこの作品、やや薄味すぎるのではないかなと。 ジャッキー・ロビンソンという偉大なメジャーリーガーの伝記としては価値ある作品。 ただ映画の内容は、史上初の黒人メジャーリーガが成功していった事実を淡々と述べただけのものに収まっています。 劇中の障害は差別のみ。描かれる差別は『トイレ』『シャワー』『宿泊拒否』『飛行機』といったオーソドックスなもので、そのひとつひとつが表面的な描写のみです。あとはひたすら『ヤジ』ですね。 ロビンソンを強く差別していたチームメイトはトレード。リッキー会長という最も強力な権力者は味方だし、チームメイトも一部を除いて良い人ばかり。野球だって順調に活躍し、挫折なんてしません。 いや、サクセスストーリーは好きなんですよ。ですがさすがにここまで山場がないと、カタルシスを感じることもないわけです。 かといって事実にない事件を起こすわけにもいかないでしょうし。好きなジャンルではあるんですが、実話ものの限界を感じます。 音楽はすごく良かったです。 『全選手が42のユニフォームを着る日』や『42は全球団において永久欠番』のエピソードは感動しました。それを知ることができただけでも、この映画を見た価値があります。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-25 02:37:47)(良:1票) |
97. ブラインドネス
《ネタバレ》 パニックもの。いや、シチュエーションスリラー。いや、やっぱパニック。 序盤と終盤のパニックムービーはかなり好み。ただメインがどうも中盤のシチュエーションスリラーっぽい。心理サスペンスみたいな感じのやつ。 閉鎖空間。好転しない状況。この状況からどうオチをつけるのかと思ったら、放火⇒脱出というオチの弱さ。 中盤はフラストレーションがたまるエピソードがてんこ盛り。不衛生な映像が不快感を更に増す。見ているほうも忍耐が必要な時間。なのにその結果がこれじゃあ、ある種の満足感、あるいはカタルシスを感じるには弱すぎます。 映画としては、この中盤の部分がダラダラしていて冗長なイメージ。もう少しコンパクトにまとめられないものか。 また、いくら『感染者』とはいえ、『目が見えない』以外は『普通の人』と変わらない人たちに対する人権無視の扱いがありえなさすぎてついていけません。看護師や医師もつけないとは。しかもフェンスに近づいただけで射殺?警告もなしに射殺?もしこの人たちの目が治ったら大問題ですよ。 『慰めあい』と『独裁政治』の繰り返し。悪い意味で息がつまります。 パニックものとしては合格点だと思います。特に終盤、『みんな目が見えなくなると世界はこーなる』ってのが疑似体験できるのが興味深い。そして希望の見える終わり方。良いと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-05-03 17:22:20) |
98. プラネット・テラー in グラインドハウス
《ネタバレ》 映像に昔のフィルムっぽい味を出していますが、内容が内容だけにそんなものはどーでもよくなってしまいます。 よくあるゾンビパニック。ペースは速い。次々と出る犠牲者。お気に入りは病院のシーン。最初の感染者を診るシーンから始まり、徐々に増える救急患者。誰を見ても顔に膿が出来ているカットのチラ見せ。こーゆーの好きです。広がるパニックはゾンビものの最大の見所です。エル・レイが病院に着くころには、感染者が病院スタッフを襲い始めていて、個人的には最もアツいシークエンスです。 で、この辺まではゾンビパニックとして、私としてはかなりの高評価です。 こっから先は悪ノリがヒートアップ。もう作り手側がふざけているとしか思えない演出、ストーリー、キャラクター。嫌いではないですが、前半のノリのほうが好き。フィルムが消失。お詫びのテロップ。再開したら話が随分とんでいます。『ああ、これはもうまじめに映画を作り気は最初からなかったんだな』と思っちゃうと、急に気持ちが冷めちゃいます。 エル・レイは病院でのアクションがやたらめったらかっこよく、射撃の腕前もずば抜けていたのに、あの最期は何なんでしょう。兄弟のしんみりする最期とか、ヒロインのエル・レイへの最後の涙とか、後半のノリからすると随分浮いちゃっていて、どーゆー気持ちで見れば良いのか正直わからんかったです。 まあ、デス・プルーフよりかは面白かったですね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-02-02 15:03:46) |
99. ブライダル・ウォーズ
《ネタバレ》 大好きなケイト・ハドソンとアン・ハサウェイの共演。これは見なければ。ということで、二人を見たくて鑑賞。あれれ?ケイト・ハドソンってこんな太かったっけ?このときまだ30歳くらいのはず。それにしてはちょっと劣化が・・・。そしてアン・ハサウェイ。こちらは安定の可愛さですが、なにしろ『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイが尋常じゃないくらい可愛かったので、本作ではそこまでの魅力は引き出せていないように感じます。こーゆー作品は主演をいかに可愛く撮るかも大事だと思います。 ストーリーはザ・ラブコメでテンポも良い。ただストーリーの核となる部分は異議あり。『6月にプラザで式を挙げる』『お互いの介添人になる』というのが二人の夢。で、6月6日に二人の挙式が重なっちゃって喧嘩になるわけですが、その喧嘩の過程で二人はそれぞれ別の介添人を見つけます。で、当日二人は同じ式場で式を挙げることができています。あれ?じゃあ喧嘩する必要なくない?二人がお互いの足を引っ張り合うほどのあの諍いはいったい何だったんだ。 で、もう一つのストーリーが、2組のカップルの対比。その結果エマとフレッチは破局させる。そういった展開は嫌いではないですが、この映画には蛇足だったんじゃないでしょうか。ストレートに2組ともめでたしめでたしで良かったんじゃないかな。エマは最後に新しい恋人ができて良かったですが、それは結果論。それに、リヴだけが全ての願いをかなえちゃったような気もして、なんか不公平。フレッチにいたっては可哀想過ぎます。決して悪い人じゃないのに。結婚して、お互いの嫌な面がわかって、でも長い時間を共にすることでそういったことも許容できるようになるのが結婚生活。リヴが二人の破局を招くきっかけを作ったのは間違いないのに、なんかハッピーエンドみたいなしめくくりでいまいちスッキリしませんでした。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2019-03-17 17:17:36)(良:1票) |
100. PLANET OF THE APES/猿の惑星
《ネタバレ》 オリジナルとは切り離して見るつもりだったのですが、いつの間にか比べちゃいますね。 『現地の人が普通にしゃべっている。』『ここは地球ではないのか。』などなど。 それにしても、主人公や猿、現地の人、誰も彼もが一歩引いた演技に見えるのは気のせいでしょうか。 何となく舞台劇っぽく見えてしまいます。 そしてフィールドに広がりを感じなかったのも、やや物足りないです。 現実世界が映画の舞台であれば、映像には映らない世界の広がりや奥行きを、私達は自然と認識できます。 ですが、SFではそうはいきません。目に見える世界以外のことは、意識してはじめて、想像することができます。 SFって、どうしても世界がこじんまりと感じがちです。 そう考えると、舞台がオールフィクションでありながら、あの世界の広がりを感じられる『スター・ウォーズ』シリーズは、確かにSFにおける傑作かもしれません。 ストーリーに関しては、はっきり言って中途半端な印象です。 脱出劇なのか。アクションなのか。 脱出劇にしては緊張感に欠け、アクションにしてはカタルシスに欠けます。 『主人公達の脱出を手伝うアリ。』『セード将軍を裏切る部下ゴリラ。』 その動機に説得力はありません。整合性もありません。 ビジュアルだけが凄く良かったですね。 ストーリー3、ビジュアル9、間をとって6点といったところでしょうか。 正直ラスト、さっぱりわかりませんでした。 あるサイトで、かなり説得力のある意見を目にしましたが、この映画を見ただけでそこまで理解するのは、普通の人には無理でしょう。 『猿の惑星』シリーズとのファーストコンタクトがこの作品であれば、一本の映画としてはまあまあ面白いと思われます。 B級の域は出ないと思いますが。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-07-16 14:11:12) |