Menu
 > レビュワー
 > S&S さんの口コミ一覧
S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2399
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1
投稿日付順1
変更日付順1
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  ブリキの太鼓 《ネタバレ》 
この映画は、ダンツィヒ(現在はポーランド領グダニスク)という都市と20世紀初頭からのドイツとポーランドの関係について多少なりとも知識がないと見通すのが大変かもしれません。そしてブリキの太鼓・スカートの中・オスカルの超能力・小さい人々、など様々な何かを暗喩しているアイテムが散りばめられており、予備知識があればそれらの意味を推測する手がかりとなるのかもしれません。 思うにオスカルの母親アグネスこそが、ドイツ人のアルフレート、ポーランド人のヤン、ユダヤ人のマルクスに愛され、彼女こそがダンツィヒという都市を体現しているんじゃないかと思います。そのアグネスが産んだオスカルが実はヤンの子だということは、ドイツとポーランドの間で帰属が揺れ動いたダンツィヒの歴史の擬人化なんだと思います。今の眼で見ればさほど刺激は感じませんけど、なんか癖の強いエロティシズムが当時は衝撃的だったのは理解できます。オスカル役のダーヴィッド・ベネントがまた映画史に残る怪演子役で、とくにアンナとの絡みは北米で児童ポルノ認定されたってのも判らなくもないです。オスカルがサーカス団に加わって戦場慰問でフランスへ行くシークエンスには独特の味があり、そこで出会う団長べブラが私にとってはこの映画でもっとも印象深いキャラでした。彼こそが肉体的成長を止めたオスカルの完成形なのかもしれません。 二時間四十分のDC版での鑑賞でしたが、観終わってみて私の大好きなエミール・クストリッツァの『アンダーグラウンド』に似ている感じがしてなりませんでした。ユーゴスラヴィアという国家とダンツィヒという都市の違いはもちろんですけど、一つの共同体の崩壊というのは共通のテーマです。でもこの映画には『アンダーグラウンド』でクストリッツァが訴えた哀愁とノスタルジーは微塵もなく、時代に流されて消えてゆく人間像が前面に出ていたように感じます。これは監督シュレンドルフというか原作者ギュンター・グラスの個性なんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-11-22 23:07:12)
2.  プロフェシー/恐怖の予言 《ネタバレ》 
どうしてこうなっちゃったのかねえ・・・ジョン・フランケンハイマーは御贔屓の監督なんですけどねえ。 まあ一応は環境問題を裏テーマにしているけど、結局はモンスター映画にしたかったんだなってのは理解できます。でもこの二つの要素の繋がりがぎこちなくて、そこに先住民問題までぶっこんでいるからストーリーラインがもうグダグダ。誰が書いた脚本なの?って良く見るとそれはデヴィッド・セルツァー、『オーメン』のオリジナル・ストーリーを考えた人ってことでちょっと有名ですけど、『嵐の中で輝いて』でしっかりラジー監督賞と脚本賞も頂いたちょっと酸っぱい人です。タリア・シャイアの妊娠、怪しい雰囲気の先住民の長老、ランボーのような存在かと思いきや大して活躍もせずに死んじゃうアーマンド・アサンテ、これらは伏線となるのが普通の映画ですけど、そもそも伏線を張る気もないのでとうぜん回収もされずに投げやりとしか受け取れない雑なストーリーテリングです。水俣病まで持ち出して来てメチル水銀中毒の恐ろしさを強調しますが、いくら妊婦でも一回汚染された鮭を食したぐらいで胎児に異常が出るわけはないでしょ。そして“カターディン”とかいうらしいドロドロのクマちゃん、ほんと単なる血まみれのクマにしか見えずセンス・オブ・ワンダーにかけること甚だしい、これじゃあ盛り上がりませんよ。 フランケンハイマーはこの後にも『D.N.A./ドクター・モローの島』で自らのキャリアに泥を塗りたくる大失敗をしでかすのですが、SF・モンスター系は彼には鬼門だったと言えるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2021-06-24 22:52:29)
3.  ブラニガン 《ネタバレ》 
『マックQ』の続編かと思いきや、主演が刑事でジョン・ウェインということ以外は共通点はなく、役名もジェームズ・ブラニガン(あとアイルランド系であるという設定はお約束です)。勤務地もシアトルからシカゴになっていますけど、二作とも当時の刑事もの映画で定番だったNYを舞台にしていないのは、ジョン・ウェインのNY嫌いが反映しているのかな? 『マックQ』の翌年の製作なのに、ジョン・ウェインはやけに老けて衰えた感じは濃厚でした。この映画は『ブラック・レイン』や『レッド・ブル』などの刑事バディ+異文化衝突パターンの元祖みたいなものです。ロンドンでブラニガンとはからずもコンビみたいな関係になるのがリチャード・アッテンボローで、チビの世襲貴族の警視と大男のシカゴ刑事の凸凹コンビはいい味出していました。軽いコメディタッチのストーリー・テリングも軽快で、ジョン・ウェインも刑事役二作目で肩の力が抜けてきた印象です。監督はというと、英国ノワールの快作『電撃脱獄・地獄のターゲット』のダグラス・ヒコックスじゃないですか、どおりでブラニガンを狙う殺し屋がモーゼル・ミリタリーを使ってたわけです、この監督はほんとモーゼル・マニアですね。刑事ものは悪役に魅力があるかが評価のポイントの一つだと思いますが、悪徳弁護士を演じたメル・ファーラーが実にいい味を出していました、さすが名優です。 ジョン・ウェインの人生はこの後5年足らずで、ほとんど遺作に近い本作で刑事役は終わりました。もし彼の刑事役挑戦が10年いや5年でも早かったら面白い刑事ドラマの連作が残せたかもしれません。この映画の様に一作ごとに勤務地や役名を変え、ジョン・ウェインのキャラがアイルランド系大男の刑事という設定にしていたら面白かったでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-29 23:22:09)
4.  ファントム・オブ・パラダイス 《ネタバレ》 
今回観直してみてつくづく実感したのは、その後のどのデ・パルマ作品にも本作と似た作風がないということです。彼はもちろんミュージカルをその後撮っていないわけですが、これほど見事なロック・オペラを撮れた人なのにそれは不思議ですらあります。ストーリーテリングがまた自由奔放の限りで、デ・パルマ印のヒッチコック・オマージュも『サイコ』のシャワー・シーンのパロディがあるぐらいなのがかえってウザくなくて好感が持てます。ストーリーは『オペラ座の怪人』+『ファウスト』+『フランケンシュタイン』というところですが、思った以上に『ロッキー・ホラー・ショー』の影響を感じました。映画製作は『ファントム』の方が早いけど、『ロッキー』の舞台版は『ファントム』の前年には上演されているので、デ・パルマはきっと観ていたに違いないと思います。ビーフのキャラを見てると、『ロッキー』のティム・カリーにそっくりだし、舞台版でも第一幕で“Science Fiction/Double Feature”が歌われる場面に仮面をつけたファントムが登場するそうです。昔名画座で『ファントム』と『ロッキー』の二本立てプログラムが流行ったのは、けっこう的を射ていたわけです。そういえば『Tommy』や『ジーザス・クライスト・スーパースター』もあったし、70年代はロック・ミュージカル映画の黄金期だったんですね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-09-21 22:54:52)
5.  ファンタズム(1979) 《ネタバレ》 
底抜け超大作ホラーが目白押しだった70年代、その掉尾を飾ったのがこの自主製作カルト・ホラー。監督のドン・コスカレリはこのときまだ22歳、本作を観た限りで言えることは、彼こそはまさに“才能はかなり劣るけど、頭の中はデヴィッド・リンチそのもの”と呼ぶに相応しい人、というか“ドン・コスカレリを天才にしたらデヴィッド・リンチになる”と言った方が正しいかも。ストーリーは冒頭から徹頭徹尾おかしいし、途中からソフトボール大のパチンコ玉が高速で飛んできて人を殺すしで、もう浅草花やしきのお化け屋敷状態です。挙句の果てには夢落ちですけど、これほど夢落ちが納得できた映画には初めて出会った気がします。どおりで13歳のガキがバイクやムスタングを運転できるわけだ。でもデヴィッド・リンチが割と好きな自分としては結構愉しめたかと思います。『エルム街の悪夢』の原点と言えるかもしれません。よく考えるとこの映画にはヒロインがいないんです、そんなホラー映画もちょっと珍しいかも。そのうえ主人公の少年が女の子かと思うほどの美少年、その兄と兄の親友の三人の関係がなんかヘンでBLっぽい雰囲気もあり腐女子には受けるかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-06-27 22:37:07)
6.  フレンジー 《ネタバレ》 
70年代になって本作でヒッチコックは復活したと評されていますが、「ヒッチコックは本作でついに本性を現した」と言った方が正しいんじゃないでしょうか。お話しは濡れ衣を着せられた主人公が刑務所から犯人のもとへ乗り込むという閉め方なんかからして『ダイヤルMを廻せ!』のサイコ・キラー版だとも言えます。主人公のろくでなしのバーテンダーは元空軍少佐という設定、そういや『ダイヤルMを廻せ!』の暗殺者チャールズ・スワンも空軍の退役将校だったですね。本作ではジョン・フィンチが演じる主人公が最後までだらしない男のままで終わってしまうのが作品のイメージを悪くしがちですけど、これはヒッチコックの計算通りなんです。彼が見せたかったのは生々しい殺人シーン(もっともまともに見せたのは一人だけでしたが)で、べろーんと舌を出した絞殺死体は今の眼でも衝撃で、私は古今東西の映画の殺人シーンで三本の指に入ると思っています。ヒッチコックは『サイコ』の有名なシャワー・シーンもこういう生々しい撮り方をほんとはしたかったけど、さすがにそれは無理だったということでしょう。あれだけ大量の殺人ミステリーを撮った巨匠ですが、ほんとに撮りたかったのは殺人シーンだったんじゃないでしょうか。あとヒッチコック映画でついに女性の裸体が映しだされたというのも、画期的ですがこれは時代の流れだったとしか言いようがないですね。でもカット割りから見てバーバラ・リー=ハントとアンナ・マッセイに関しては、ボディ・ダブルだと思って間違いないでしょう。面白いのは犠牲者がテムズ川に浮かんだ娼婦を含めてみんな金髪だったことで、ここにもヒッチコックの金髪コンプレックスがうかがえます。 不味いフランス料理ばかり作る警部の奥さん(でも実は名探偵)や死体の拳からタイピンを回収しようとする犯人の悪戦苦闘など、ヒッチコックお得意のユーモアは確かにあるんですけどかなりブラック風味が強くて、この作品の不思議な味付けになっています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-01-05 22:57:50)
7.  復讐するは我にあり 《ネタバレ》 
緒形拳が演じた榎津巌は、まさに日本映画史に残る魅力的というかふてぶてしい殺人犯。はっきり言ってなんでこの男が人殺しをするのかは観客にはさっぱり理解できませんが、緒形の演技があまりにも堂に入っているのでそんなことはすっかり忘れてしまいます。後半にある緒形と清川虹子の息詰まるようなやり取りはただ息を呑むばかりでした。そして倍賞美津子や野川由美子との絡みがまたドロッドロッとしていて今村昌平らしくて良かったです。 原作は佐木隆三の直木賞を受賞したベストセラーですけど、これは事実をもとにしたフィクションという形式で、時代設定は昭和38年ということになっています。そしてロケが多いので街並みが当然映されるわけですが、走っている車は普通に昭和50年代の風景です。まあこれは予算に限りがある中で映画を完成させるためにロケ映像をそのまま使っているだけで、今村昌平という人はあまり細部にこだわらないタイプの映画監督だったのかもしれません。ところが劇中で緒形と倍賞が映画館にいるシーンでは、ニュース映画ではケネディ暗殺を伝えているのは良いとしても次に上映されるのが昭和46年製作の『ヨーロッパの解放』なんです。これはひどいミスなのかとも思いましたが、あれだけ堂々とオープニング題字を見せられるとなんか変な感じがします。これも今村昌平の演出意図なんでしょうか、そうだとしても自分には全く理解不能ですけど…
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-08-02 22:59:06)
8.  フリービーとビーン/大乱戦 《ネタバレ》 
数ある刑事もの映画でも脚本のはっちゃけ具合は屈指です。まあこの映画は刑事もの映画じゃなくて純粋なバディ・ムーヴィーとして愉しむのが正しい観方なのかもしれません。ジェームズ・カーンとアラン・アーキン、この二人の刑事コンビは仲が良いんだか悪いんだか判断に苦しむところですが、現実でどんな職場でも仕事上のコンビというものは大なり小なりこんなものでしょう。この映画はたぶんサンフランシスコが舞台だと思いますけど、この二人の暴れっぷりはご当地の名物刑事ハリー・キャラハンどころではありません。無意味に車を壊し過ぎというのはちょっと気になりましたけど、それがコメディ要素にあまりつながっていないところは個人的には不満でした。フリービーがユダヤ系でビーンがメキシコ系というというキャラ分けも、それが単に二人の喧嘩のタネになっているだけでストーリーにあまり関係が無いというのもどうですかね。実はわたし若いころのアラン・アーキンのコメディ演技がどうも苦手でして、この人抜群に演技が達者だけど笑えないんです。キレた演技をさせるともう最高なんですがね、この人。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-12-16 22:28:57)
9.  フォクシー・ブラウン 《ネタバレ》 
『コフィー』のヒットを受けて製作された監督ジャック・ヒル主演パム・グリアーのセクシー・ブラック・スプロイテーション第二弾です。恋人の麻薬捜査官を組織に殺されたフォクシ―・ブラウンが復讐のために売春組織に潜入するという『コフィー』と大差ないプロットですが、まあこの手の映画ですからストーリーはどうでもイイわけです。でも気のせいかな、『コフィー』と比べるとパムの脱ぎっぷりが悪くなっている様な気がするんですけど… この主人公であるフォクシ―、職業は私立探偵という解説記事もありましたが、どう見てもそんな描写はなくてなにが本業なのかは皆目不明です。まあパム・グリアーの事ですから「職業、ナイス・バディ」てなことで通用しちゃいそうですけど(笑)。彼女の暴れっぷりに関しては『コフィー』よりかなりスケール・アップしてるのは確かで、悪役のナニを切り取って瓶詰めにするわ雑魚キャラはセスナ機のプロペラでぶった切るは、アクション自体はヘナチョコなんだけどやることはえげつない。ん、これってどっかで観たことある様な気がする、そうロバート・ロドリゲスの『プラネット・テラー』のグロネタと一緒じゃないですか。タランティーノとかロドリゲスって、ほんとパム姐さんが好きなんですねえ。 とにかくこの映画に出てくる俳優たちは、パムも含めてみんな演技が壮絶にド下手なのには呆れます。パム姐さんが近年復活を遂げなければ、忘れられる運命だったクズ映画かもしれません。でも音楽だけは無駄にカッコいい(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2014-08-25 18:29:21)
10.  フェイズIV/戦慄!昆虫パニック 《ネタバレ》 
この知る人ぞ知るカルト映画が遂にDVD化され気楽に観ることが出来るようになりました。良い時代です。 「蟻を調教して演技させた」というウソ臭いエピソードは聞いていましたけど、観終わってひとこと、「これはホントに演技しているとしか言いようがない…」。生き残った蟻が死んだ蟻を並べてゆくシーンがあるのですが、まさかこんなシュールな映像を見せてくれる映画があったとはただただ驚嘆するばかりです。またどアップで映し出される蟻の姿がもう凄い迫力で、まるでエイリアン・モンスターみたいです。そう言われれば女王エイリアンを中心にしてコロニーを造る生態は、モロに蟻の世界のメタファーなんですね。ですから、昆虫アレルギーというか虫嫌いの方はこの映画を避けた方が無難でしょう。 監督はタイトルデザインの巨匠、ソウル・バスです。意外ですが、長編はこの映画だけですが短編映画は何本も監督していて、オスカーの短編映画賞も受賞しているんですね。でも本作ではパラマウントには受けが悪くてラスト10分をカットされてしまったそうです。それはマイケル・マーフィとリン・フレデリックが蟻に管理されて人類が異質なものに進化してゆくところが描かれていたそうで、「なんでカットしちゃったの!」と悲鳴を上げたくなるような気分です。
[DVD(字幕)] 8点(2014-07-05 20:55:17)
11.  フレンチ・コネクション2 《ネタバレ》 
この当時としては、珍しく成功した続編もの映画と言えるかも、でもオリジナルを超える出来ではないことも確かです。こういう傑作の二番煎じの様な仕事を引き受けるのも、J・フランケンハイマーが職人監督ならではのことでしょう。シャブを打たれてボロボロになったポパイ刑事の治療とその禁断症状に苦しむさまやヘロインを缶詰に仕込む過程を丁寧に見せるなど、ディティールを追求する映像に拘るフランケンハイマーらしい作風です。銃撃戦などのアクションはリアリティには欠けるけどオリジナルよりパワーアップしてるのは確かです。でもトロリー・バスに乗り込んだシャルニエ(このシーン自体がオリジナルの地下鉄シークエンスへのオマージュです)をポパイ刑事がひたすら走って追いかけて最後に射殺するまでを一気に見せてくれるところなんか、さすがフランケンハイマーと褒めてあげたくなります。 息を切らせながらもひたすら走るJ・ハックマンを観てると、この路線を選んでB・ウィリスやL・二―ソンの様なタイプのアクション・スターとして活躍する道も彼にはあったんじゃないかと思いました(笑)。
[映画館(字幕)] 8点(2013-06-01 15:49:14)(良:1票)
12.  ブラック・サンデー 《ネタバレ》 
プロットやドキュメンタリー調の映像を使っているところなど、『ジャッカルの日』に雰囲気が似ているなと感じました。『ジャッカルの日』ではターゲットはひとりなのと対照的に狙いは8万人の観衆を皆殺しとグレードアップさせていますが、クライマックスが大群衆の集まる場所で、そこに向けてサスペンスを盛り上げるというあたりはそっくりです。まあT・ハリスの原作自体がF・フォーサイスの『ジャッカルの日』をパクった様なものなので、こうなるのは当然と言えば当然でしょう。 でも映画の出来自体は、F・ジンネマンの『ジャッカルの日』には到底及ばなかったと言えるでしょう。まずスーパーボウルの会場をねらってテロを企む動機が良く理解できない。現在のアル・カイダじゃないんだから、アラブゲリラがイスラエルではなくアメリカ国内であんな大規模な無差別テロを計画するなんてちょっと不自然です。そのテロ自体にしても、しょせんは飛行船なんだからヘリから船体に銃撃されればあっという間に撃墜ですよ。でもなぜか誰も撃たない。この映画の脚本にはこの種のサスペンスに不可欠な緻密さが欠けていて、ちょっと荒っぽすぎます。ラストで飛行船が爆発するシーンも、あまりにチープな映像だったのはがっかりでした。 余談ですが、M・ケラーが看護婦に化けてR・ショーの病室に入りこもうとするシーン、思わずニヤリとさせられました。『キル・ビル』でD・ハンナがアイパッチを付けた看護婦コスプレをするシーンとしてタランティーノが見事にこれを再現しているからです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-05-11 20:59:36)
13.  ブルックリン物語 《ネタバレ》 
映画が二本立て構成になっていてフェイク・トレーラーつきと言うと、タランティーノ&ロドリゲスの『グラインド・ハウス』の元ネタなんですね、この映画は。まあ、雰囲気はまったく違いますけど。ジョージ・C・スコット、レッド・バトンズ、イーライ・ウォーラック、アート・カーニーという渋い芸達者が揃った男優陣は観てるだけで楽しくなっちゃうんですけど、女優陣がちょっと地味すぎたかな。第二話の“バクスター・レビュー1933”がいちおう“四十二番街”をモチーフにしたミュージカル仕立てなんでが、思えばこれが名匠スタンリー・ドーネンが撮ったラスト・ミュージカルになるんですよね。ミュージカル映画というジャンルが絶滅寸前だった70年代だったからしょうがないかもしれませんが、『雨に唄えば』を撮ったドーネンですから、ちょっと寂しいものがあります。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-03-21 22:46:55)
14.  ファール・プレイ 《ネタバレ》 
公開当時、何度も見る機会があったのに見逃して、ようやく近年観させていただきました。全盛期ゴールディ・ホーンのキュートな魅力とバリー・マニロウが唄う名曲“Ready to Take a Chance Again”がとても心地よいのですが、サスペンスなのかコメディなのかどっちつかずの脚本はちょっと冗長過ぎる感じがします。ギャグにしても、バージェス・メレディスとレイチェル・ロバーツのカンフー対決なんて苦笑するしかありません。 でも判るんですよ、このサイトで評価が高いのは、この映画は映画館のスクリーンで観なくちゃいけないんですよ。私も経験したんですが、70年代のゴールディ・ホーンはスクリーンで観るとそのキュートな魅力に心が鷲掴みされちゃうのは間違いなしです。この彼女の魅力は空前絶後で、90年代のメグ・ライアンでも足元に及ばず、もし70年代にラブ・コメというジャンルが流行ってたら彼女の独壇場だったのは間違いなしです。もうこんな女優は出てこないんじゃないかとも思うけど、さすがにDNAを受け継いでいるケイト・ハドソンにはその片鱗がうかがえます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2012-03-18 01:02:00)
15.  フレンチ・コネクション 《ネタバレ》 
我が“オールタイムベスト刑事アクション”はもう文句なしに『フレンチ・コネクション』です! この映画たしか公開時期は『ダーティ・ハリー』と思いっきりかぶっていた記憶がありますが、ハリー・キャラハンがマグナム.44なのにポパイはS&Wチーフ・スペシャル、しかも足首にくくりつけられるほど小型というのが対照的で面白いところです。 このポパイ刑事の行動、もはや人間ではありません、もう“犬”です。家族はいない、本能(ホシに喰らいついて離さない)のままに行動するだけ、ロマンスのかけらもなく性欲が要求すれば素人ねえちゃんをひっかける、激しい人種差別感情、アメリカ映画が生んだ最初のアンチ・ヒーローにふさわしいダメっぷりです。これも“映画を撮る狂人”フリードキンだから創れたわけで、あの迫真のカーチェイスの息を呑む迫力には狂気さえ感じるほどです。そしてまるで不条理、無常観がただようラストシーンとテロップがこの映画の本質をよく表しています。 フランケンハイマーが続編を撮りましたが、あまりに雰囲気が違い過ぎて私の中では本作とは無関係なスピンアウトという認識です。
[映画館(字幕)] 10点(2011-06-24 00:40:54)(良:1票)
16.  フレンズ/ポールとミシェル 《ネタバレ》 
悲しいことに、アニセー・アルヴィナはもうこの世にはいません(2006年ガンで死去)。『小さな恋のメロディ』のトレーシー・ハイドほどではないにしろこの後作品には恵まれなかった彼女ですが、『フレンズ』のミシェルとしてその超絶的な美しさをフィルムに永遠に残せたのだから、幸福な女優だったと言えるのではないでしょうか。同じティーンエイジャーの恋を描いた『小さな恋のメロディ』と比べて本作はリアルでシリアスな作劇ですが、ポールとミシェルのままごとのような生活がアルル地方のため息が出るほど美しい自然(ここは、アルベール・ラモリスの『白い馬』と同じロケ地ですね)の中で展開されるのでどこか寓話のような味わいが出ています。海辺を駆ける野生の白馬、繰り返し映される美しい落陽、そして麦畑の真ん中でハグするポールとミシェル、この映画は素晴らしい映像に溢れています。そして名曲中の名曲『フレンズ』を始めとするエルトン・ジョンのスコアも忘れてはなりません。ほんとこの頃のエルトン・ジョンは良かったですねー。 心に残る不朽の名作だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-11-20 18:20:15)(良:1票)
17.  ブラジルから来た少年 《ネタバレ》 
タイムトラベルもののテーマに、タイムマシンで過去へ行き歴史上の人物を殺したら歴史はどう変わるかというネタがありますが、本作のプロットはそれを逆手にとって未来に歴史上の人物を出現させる陰謀という発想なのが面白い。だけども、ヒトラーのクローンを作ると言っても、赤ん坊として再びこの世に生れてからヒトラーに育て上げるというのはあまりに遠大かつバカバカしい計画ではないでしょうか。そのために実際のヒトラーの両親と同じ歳の差がある夫婦を世界中から見つけてきてクローンの赤ん坊を養子縁組させ、ネオナチ組織はヒトラーの父親が死んだ65歳になったら養父を殺すなどという涙ぐましい努力をすることになります。いくらクローンと言っても、人間はそもそも育つ環境によって個性が形成されるわけで、いくら成功率が5%と言っても(この場合の『成功』とはそもそも何を意味するのか、それは一国の独裁者になることなのでしょうか)かつてヒトラーが台頭した様な歴史的状況がなければ意味がないと思いますけど。なんか冷静に分析したらとてつもないアホな陰謀ですが、ヒトラー・クローン君の少年がけっこう不気味な雰囲気ですし、決して上手いとは思えませんがG・ペックの熱演もありスリラーとしてはまあまあの出来かなとは思います。ラストはペックつながりで『オーメン』の様な展開になるかと思ったら、見事に肩すかしをくらわされましたけど…。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2010-07-11 01:35:10)(良:2票)
18.  フォロー・ミー
名匠キャロル・リードの遺作となった珠玉の一品です。自分はミア・ファローが苦手なのですが、この映画の彼女だけは別人の様です。トポルと言う俳優も優しい眼と表情が素晴らしくて、とぼけたいい味出してます。そしてなんと言ってもテーマ・ソングの素晴らしいこと!イルカの名曲“Follow Me”は、絶対この映画にインスパイアされて出来たと思います。
[映画館(字幕)] 9点(2010-02-06 01:57:05)
19.  ブレージングサドル 《ネタバレ》 
おバカ映画なのに、この力が入った主題歌はなんなんだ!フランキー・レインが歌っているのですよ。確かにお得意の下品ネタや差別ネタは炸裂してますが、メル・ブルックスの最高傑作コメディですね。ラスト20分のドタバタは、30年以上前の作品とは思えない破天荒ぶりです。この映画、全米映画協会かなんかが選出したアメリカ喜劇映画ベスト100でなんと第6位にランクされているのですよ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-06-03 01:20:01)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS