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プロフィール
コメント数 3957
性別 男性
年齢 53歳

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1.  ペンギン・ハイウェイ
作品中に生駒市北部の景色が登場するらしい。というのを、作品を見てもいない自分がなぜ知っているのかがよくわからず。最近こういうコト多いんですよね、困ったもんです。たぶん、だいぶ以前にDVD借りて見た家族から聞いたのと(私が見る間もなく返却されてしまった…)、ちょうどその頃に原作者のインタビュー記事を新聞で見かけたのと、その辺が記憶に残ってたらしく。 このアニメ作品、実際見てみると、あまり奈良っぽくない光景も多いし、むしろ架空の地域が舞台に設定されているようですが、それでも、駅の自動改札はいかにも近鉄だし、走っているのはどう見ても近鉄けいはんな線、行先表示もコスモスクエア行。気になって後で調べてみたら、バスターミナルのあるあの駅は、学研北生駒駅なんだそうな。 「あまり奈良っぽくない」のは、意識的にそう描かれている部分もあるのでしょうが、そもそもここは、西から北にかけて生駒山地、南は矢田丘陵があり、奈良盆地とはまた異なる光景が広がっています。神武東征にナガスネヒコが立ち向かった、「古都・奈良」よりもさらに古い神話の舞台でもあって。 しかしいずれにしても、ペンギンだけはこんな場所におらんでしょう。という場所には違いなく、それでもそこにペンギンを登場させ、歩かせる。かなりぶっとんだ発想の作品です。作中でなんやかんや仮説が披露されるけど、実際のところはこんな場所にペンギンがなぜ現れたかなんて、ほぼ不明。ほぼ無意味。って言っちゃダメですね、「謎」です。あくまで「謎」。 作品終盤にむけ、ますまず訳のわからなさは加速し、でもそれを敢えてわからせようとはせずに、ナンセンスの極みのような映像をアニメとして展開し続ける。この野心というか我慢強さというか。頭が下がります。 一体この一連の現象は何なのか。その原因と思しきお姉さんは一体何者なのか。ほぼ謎のままなんですが、いやだって、少年の目から見りゃそもそも、「キレイなお姉さん」ってモノ自体が、謎なんです。永遠の謎。いや少年の目どころか、男性一般にとって、謎なんです。謎なんだから男性は皆、女性をわかった気になっては、いけないんです。 謎なんだから、映画は謎のまま終わる。んだけど、少年は成長するし、成長すれば、出会いもあれば別れもある。思春期の混沌、別れの切なさをそのまんま描けば、例えばこういう作品になるんじゃないか。という気もいたします。少年は成長し、新たな謎に立ち向かう。だけど「おっぱい」を研究するのはやめた方がいいと思う。趣味と仕事は、できれば分けた方が。 最近、アニメの技術が上がるとともに、尋常じゃないほど手の込んだ作品も作られるようになり、そういう作品に比べてしまうとこの作品などは、ちょっと動きが乏しいかな、と思えてしまう部分もあったりするのですが、あくまでそれは比較であって、決して物足りないという程ではありません。CGでうまく補っている部分もあり、また、一つ一つの動作についてはちょっとした反動みたいなものも描きこむ芸の細かさがあったりして、「絵が動く贅沢さ」というものを充分に堪能できます。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2024-11-02 10:00:03)
2.  ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄
何がハッピーハロウィンやねん、ハロウィンなんて興味無いわい。 とか言ってたら、もうジジイの証拠なんですかね。すみません。つい言ってしまいます。 ハロウィンの夜に、雑踏の中で息子が行方不明になる。これ、コワいですよ、本当に。子育て経験のある人なら誰しも、外出先で子供の姿を見失って震え上がった経験があるのでは。そうでもない? で、行方不明から一年、この事件をきっかけに夫婦の仲も冷め切っていたけれど、また訪れるパロウィンの夜が近づくにつれ、行方不明の息子の「気配」をたびたび感じるようになる。なぜかハロウィンの夜に子供の行方不明が多発する謎。我らがニコラス・ケイジは、無事に息子を見つけ出すことができるのか? そうでした。これもニコラスケイジ映画の一本。もちろん大作ではございません。日の当たらない作品に、ニコラス・ケイジが出演することで、良くも悪くも、少しだけ日が当たる。それでいいではないですか。できればこの世の低予算映画の全てに、彼は出演して欲しい。彼ならできる。 この作品、ハロウィンがテーマということで、仮装中に事件が発生。だもんで一見、ユーモラスに見えたりもするのですが、なにせ子供が行方不明、事件は深刻。映画の基調もシリアスです。ハロウィンの夜が終われば、翌日には街から仮装姿も消える訳ですが、それとともに「仮装姿の息子」もどこかに搔き消えて、行方は杳として知れない。もう、どうしてよいのやら。 一年経って、息子の姿を求め続ける主人公とその妻の周りで、さまざまな怪異が発生するようになる。この辺りが、「ホラー」というよりは「オカルト映画」と呼びたくなるテイスト。ちょっと懐かしい感じがあります。 クライマックスで息子を救いに異世界へと足を踏み入れる主人公、その入り口が吊り橋みたいになっているのが、お伽噺っぽい感覚で、こういうのもどこか、懐かしい雰囲気があります。セットも安上がり、だとすれば一石二鳥。 映画のところどころで、凶兆を示すようにハゲワシみたいなのが登場して、別に何をする訳でもないけれど、こういうのも同じく、雰囲気出してます。 正直、そんなに盛り上がる映画ではないんですが、意外に正攻法で、作品としてもまとまっているのではないかと。
[インターネット(字幕)] 6点(2024-10-27 08:42:57)
3.  ベイビーわるきゅーれ
出演しているラバーガールのお二人が、いかにもコントじみた喋り方をしていて、なるほどコントでここぞというセリフが聞き取れなかったら命取りなので聞き取りやすく喋るのは大事なことなんだろう、と思いつつ、映画でこの喋り方というのは、違和感があるのも事実。ただしこの作品の場合、主人公の女性二人がモゴモゴという喋り方なもんで、うまく好対照になっています。もともと、ショートコント集みたいなところのある作品でもあるし、これもきっと意図的な演出なんでしょう。もっとも、モゴモゴ喋りの方は、字幕でも付けていただけると助かります・・・。 で、本当は、その対照が作品のメインなのではなくって、イマドキ女性のモゴモゴ喋りとキレのあるアクション、その不釣り合いな同居こそが、見どころ。冒頭のコンビニを舞台としたスピーディな立ち回りから、アクションも残酷描写も全開。いやあ、こういうお嬢さん、素敵ですね、ホレてしまうではないですか。 男性陣も負けてはいなくって、本宮泰風の極道芸がこれまたお見事。極道コントの一つの到達点とでも言えそうな。 ナンセンスもここまで徹底して本気でやってると、気持ちいいですね。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-05-06 18:47:24)
4.  ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
昨今、日本では、マスコミならぬ「マスゴミ」なんて言われたりして、ジャーナリズムというものに対してどこか軽く見る風潮があるけれど(単に興味が無いだけかもしれない。興味が無いものを軽んずる悪いクセが出ているだけかもしれない)、ジャーナリズムとマスコミとは、いったん分けて考えた方がいいんでしょうなあ。 この作品見てると、アメリカではまだ、マスコミというものに信頼、期待が持たれているんでしょうか。そしてそういう信頼、期待にちゃんと応えているんでしょうか。羨ましい気もするし、少し面倒臭い気もしてしまう。いかん、めっきりスポイルされてしまっているらしい。 いわば、マスコミと国との対決が描かれていて、正直、たいして大きな事件は起きません。いや、たぶん大事件なんですけど、危機一髪みたいな展開はありません。スピルバーグがなぜ殊更にこの題材を選んだのか? 反・トランプ大統領がキッカケであるように言われているし、実際そうなのかもしれない。しかし、かつて「マスコミ」は国家権力を相対化させてきたとは言え、今やソーシャルメディアの普及により、「マスコミ」自身が相対化されてしまった訳で。権力自身も(そしてその対抗勢力も)ソーシャルメディアを活用し、それはトランプ氏の専売特許でも何でもなく、いまや怪しい情報が錯綜しまくって。今のウクライナ情勢などに至っては、もはや何を信じてよいのかわからない・・・。 この映画の物語は、今となっては一種のお伽噺なのかもしれないけれど、それでも歴史の1ページ。スピルバーグ版の『大統領の陰謀』。派手に煽ることなく、物語は着々と進められていく。そういう作品の中で、メリル・ストリープの派手な演技、ってのは、ちょっと際どいものもあります。際どいんですが、何とか踏みとどまったかな、と。映画は彼女色に染まることなく、我々に歴史を突きつけます。 でもあのラスト近くの、新聞社のシーン。いかにも、「我々はこの印刷機で、戦ってます」といった感じの、秘密基地のような描写。やっぱり何か、ロマンを感じている、いや、感じたい、んでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-01-28 18:51:28)
5.  ベン・ハー(2016) 《ネタバレ》 
過去に超大作が2本作られているこのネタで、また映画を作ろうってんだから、余程のコトを思いついたんじゃないのか、と勝手に期待をすると(いやホントに勝手なんだけど)、結構フツーに「今どき映画」らしくカメラを揺らしたりなんかして、特に目新しさも無く。 目玉とも言うべきチャリオットの競争シーンはさすがに、いくらか派手な味付けはされていましたけれど、アノ2本に対して驚く程の新しさも無く、やはり相手が悪かった、とでもいいますか。 2時間ほどの作品ですから、当然ワイラー版よりコンパクト。ただし、展開がスピーディというよりは、端折った印象。 どうも、メッサラのワルさが足りない。この点は、今作の狙いでもあるのでしょうが(モーガン・フリーマンがベン・ハーをケシカけるのが逆の伏線になっている)、、、ウチの子供が幼稚園の頃、発表会でやる劇は、どんなお話であろうと最後は必ず悪役が「ゴメンね」と言って主人公が「いいよ」と返して終わるのが定番でしたが、あれを思い出しました・・・。
[インターネット(字幕)] 6点(2022-01-23 22:23:22)
6.  ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金
ムキムキ男たちが身代金目当ての誘拐を企む。と言われても、ムキムキと誘拐という2つのキーワードが、普通の人のアタマの中ではなかなか結びつかずピンと来ないのですが、何せ実話だってんだから、仕方ありません。 最初は、大男たちが集まって一体何をしょうもないことやってるんだ、と思ってたら、だんだんやることがエゲツなくなってきて、ブラックユーモアがドス黒くなってきます。 死体解体の為に買ってきた電動ノコギリが思うように使えずに怒る場面、字幕では「国産じゃない!」となってるけど、セリフは明らかに「made in china」と言っていて。じゃあメイドインUSAがそんなにご立派なのかと言うと、そもそもこのどうしようも無いムキムキ男こそが、まさにメイドインUSAそのもの。ムキムキ以外にも何かとデブを登場させるのがまた皮肉ですが、さらに念を押すがごとく、裁判所とかジムとか警察署の壁には、デカデカと星条旗が掲げられている。 そもそも、セミナーに参加した主人公にアメリカンドリームを説いて、ある意味キッカケを作ったのが誰かと言えば、これが中国人だったりするんだから、もう、何が何だか。 という、メチャクチャな現代アメリカをメチャクチャに描いて見せた、でも実話なんだから恨まないでよね、ってな作品でした。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-16 23:11:21)
7.  BEST GUY
『トップガン』のパクリ映画を作るだなんて、誰が聞いたって無謀そのものなんですが、岡田茂社長時代の東映だからこそ通ってしまった企画、なのかどうなのか。もはや、トップガンとはなるべく距離を置こうなどという意思も感じられず、諦めムードすら漂っており、まあ間違いなく「怪作」のたぐいでしょう。いっそ「壊作」とでも呼びますか。 あちらがトニー・スコットなら、こちらはアクションならこの人、村川透。なんか妙に納得しつつ、ちょっと違うような気もして。トニスコには遊戯シリーズは撮れんだろうし、村川監督だってトップガンは難しいだろう・・・。 ドラマ部分の演出は決して負けてないと思うんですけどね。あまり中身が無いのはお互い様。米国海軍に対抗してこちらは航空自衛隊の協力のもと、貴重かつ迫力ある映像の数々が登場します(一種の機能美ですな)。戦争とは無縁だと思ってる今の日本にも、こういう世界がある、ということ。ただ、映像が合成になったとたん、迫力が数段低下してしまうのは、これは元映画との比較が避けられないパクリ映画の宿命ですね。で、あちらがトムクルーズならこちらは織田裕二とくる。まあ、これも納得か。ケリー・マクギリスには財前直見。これは、何と言ってよいやら。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-08-22 06:54:37)
8.  ヘイトフル・エイト
毒殺モノで、タイトルが「ヘイトフル・エイト」。日本語に直すと、「八つ墓村」、ですかね。なんでやねん。 雪に閉ざされた一軒家に集うは、一癖も二癖も、いや何癖もありそうな連中。だけどそこに至るまでに、まず雪道を行く馬車に登場人物たちの一部が集まってくるところから描かれて、「リンカーンの手紙」なんていうギミックがここで提示されたりもするけれど、それより何より、登場人物たちのいかがわしさと荒々しさ、そして一帯の雪深さが、強く印象づけられます。 寒さ、ってのは、屋内シーンに入ってからも、吐く息の白さから伺うことができます。 一軒家で繰り広げられる不穏なやりとり。登場人物に当てられる照明も、何だかアヤしくって。 結局、見ていくと、これはやっぱり八つ墓村じゃないのか、という気もしてくるのだけど(どこが?というのは書かないことにしますが)、それはともかく、章立ての構成の利点も活かしてストーリーを不用意に複雑にすることを避けつつ、容赦ない殺し合いを展開させて、我々を唖然とさせつつ、最後のアッサリ感がなかなかシャレてるな、とも思わせて。さらに唖然ともしますけれども。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-04-25 15:37:26)
9.  ベイビー・ドライバー
主人公が音楽を聴いてるだけで、実際には歌わない、口パクだけのミュージカル。その音楽に乗って、カーアクションがテンポよく繰り広げられます。主人公は銀行強盗をクルマに乗せて逃がすだけの仕事なので、強盗シーンなども描写が省略され、とにかくテンポよく進みます。コインランドリーの洗濯物たちも、映画の中で踊ってる。 ただ、次に狙う郵便局へ下見に行くシーンでは、沢山の監視カメラが映されたりするものの、主人公と一緒に下見に行った少年に瞬時に状況を把握させることで、下見シーンを大幅に省略してしまう。確かにテンポはいいけれど、さすがにちょっと、味気ない。映画でちゃんと描写されない警備なんて、あって無いようなもの。観てて、どうでもよくなってきちゃう。 おそらくは、後半、主人公の彼女が事件に巻き込まれてしまうのか・・・という部分を中心に描かんがために、他の部分を省略しているのかも知れないけれど、それにしては、ここに至ってなお、もうひとつハラハラさせてくれないのは、どうしたもんだか。 あと、アクションを音楽とシンクロさせるのはいいけれど、銃撃戦の銃声まで音楽に乗せると、ここまでシラけるものか、というのは、ちょっとした発見でした。銃撃戦が台無し、といっても過言ではないですな。思えば、チャイコフスキーが「1812年」においてラ・マルセイエーズとともに大砲を鳴らす場面で、4拍子の音楽に3拍ごとの砲声を重ねたのは、さすがというべきか。
[地上波(吹替)] 6点(2020-10-04 15:16:11)
10.  ベスト・キッド2 《ネタバレ》 
ご存知スローモーションカラテ映画の第2作。どうしてこんなカラテで勝てるのか。というより、どうしてこんなカラテに負けるのか。 それはともかく、曖昧な記憶で申し訳ないけど、第3作の公開時にラルフ・マッチオがこの第2作のことを「ハートが無かった」とか何とか否定的な風に言ってた記憶があって、まあ、だからどうしたということは無いんですけどね。 それはともかく。 今回はミヤギさんの故郷の沖縄が舞台。何でダニエルがついてくるのかワカランけれど、チンピラに絡まれてタコ殴りにされるのがこの人の役回りだから、彼が沖縄についてこないと話が始まらない。 ただ、前回の敵役が、某大学のアメフト部みたいに(その話はもうやめなさいっての)比較的硬派だったのに比べると、どうも今回は(風貌だけはヤクザを連想させるけれど)少々粘着質にミヤギさんとダニエルにつきまとうところがあって、何だかストーカーみたい。特に、ダニエルにチョッカイをかけ続けるチンピラは、実はダニエルに気があってわざとイヤガラセしているんではないか、と。 ここでふと、今回久しぶりに観てて、「なぜ、K-1のリングにチェ・ホンマンが現れた時に既視感があったのか」のナゾが解けた気がしました、もしかして自分は、この敵役の俳優さんを思いだしていたんではなかろうか。 それはともかく。 アメリカ映画に登場する「日本人女性」の多くが、我々日本人から見て「え、もうちょっとキレイな人いなかったの?」と言いたくなるケースが多い中で(失礼)、本作では、ヒロイン役のタムリン・トミタが美しく撮られていて、好感が持てます。お茶をたてるシーンのしっとり感。こんな映画にもったいない(笑)。 クライマックスの決闘。デンデン太鼓の動きで敵を打ち負かす! うーむ、もはや何の動きを参考にしても勝てそうな気がするなあ。 最後に一言、前作で相当なアブク銭を稼いだハズなんだから、台風のシーンはもう少し頑張ってスペクタクル感を出して欲しかった。
[地上波(吹替)] 5点(2019-04-13 12:19:50)
11.  ベスト・キッド(1984)
皆さまご存知、元祖DIYカラテ。 故・岡八郎師匠の「空手もやってるねんぞ~通信教育やけどな~」というギャグと、思想的には近いものがあります。 「そもそも、こんなクソガキがこの程度の練習でトーナメントを勝ち上がれるワケがないだろ~」とツッこむ以前に、「そもそも、エリザベス・シューがラルフ・マッチオなんかに一目ぼれするワケがないだろ~」と言いたくなるワケで、そこに目をつぶることができれば、大抵のことは見逃してしんぜよう、という気持ちにもなってきますが、そういう受け止め方で、いいんですかねえ。ちなみにエリザベス・シューの出演作における相手役は、ラルフ・マッチオ⇒チンパンジー⇒トム・クルーズ⇒マイケル・J・フォックスと、この後、だんだんレベルが上がっていきます。 『ロッキー』のジョン・G・アビルドセン監督が再び取り組んだスポコンものですが、ほとんどスポーツも無ければ根性もない作品に仕上げていて、二番煎じにしていないところはアッパレ。最後は口数が少なくなり少々神がかり的になってしまった一作目のロッキーとは異なり、こちらの作品では「等身大過ぎる」主人公を設定して、最初から最後まで、どうしようもない「のび太君」でいてくれる。いてくれてうれしいかどうかはともかくとして。 で、コブラ会所属のジャイアンに要らぬチョッカイを出して、「ギタギタのメタメタ(©ジャイアン)」にされかかったところを、ドラえもんならぬ(似てるけど)ミヤギさんに救われる。そういや当時、雑誌のインタビューにパット・モリタが「カラテ経験なしで撮影に取り組んだ」とか答えていた記憶があるけれど、実際、見るからにそんな感じの所作ですな。まさに通信教育レベル。だけどそれに目をつぶると(←またか!)、この人、「東洋の神秘」みたいなものはよく出していると思います。日本人の我々が見たって、謎めいてますからね。でも一方で、生身の人間の弱さも感じさせるエピソードが挿入されたりもする(ただ挿入されただけ、という印象もありますが)。 実はジャイアンもそんな悪いヤツじゃなかったり、のび太は基本的にまったく反省しなかったり、ドラえもんはのび太を甘やかし過ぎたり、と、ロッキーから距離をおいた結果、「ドラえもん」にえらく接近した作品になっちゃってて、まあ、そこが、シリーズ化されるほどの人気を博した理由、なのか、どうなのか・・・。
[地上波(吹替)] 4点(2019-04-07 09:56:37)
12.  ベン・ハー(1959)
あきれる程の超大作。ではありますが、この作品の魅力はやはり、「折り目正しい文芸大作」らしからぬ残酷描写にあると思います。ハイ。 そりゃまあ、史劇と言えばスペクタクル、スペクタクルと言えば物量投入のド派手な演出、もともとがバカ映画と表裏一体の部分があるっちゃあ、あるんですけど、それにしても、あの戦車の競争シーンのエゲツなさ。かなりデスレース魂が入っちゃってます。ただでも4頭立ての馬がひしめき合って駆け回る迫力満点のシーンなんですが、レース中、これでもかと人が戦車に跳ね飛ばされ、馬に踏みつけられる、まーー残酷なこと。メッサラの乗るギリシャ式戦車のスーパー超合金ドリル(?)がガリガリと迫ってくる描写もギミック感バツグンで、ライバルたちの馬の脚を次々に粉砕し血祭りにあげていく、とまではさすがにエスカレートしないけれど、でも、ヒヤヒヤさせられます。 ガレー船のくだりも生々しくて結構、残酷なテイストに仕上がっており、太鼓の合図に乗って船を漕がされる奴隷たちの痛々しい姿などもドエラく執拗に描かれていて、結構、観ててクセになります。海戦シーン自体はミニチュア撮影で、1925年版に比べるとスケールダウンの印象がありますが(でもよく出来てると思う)、浸水する船底での奴隷たちの阿鼻叫喚の痛々しい姿も、かなりのインパクトです。これらの描写を経た後、九死に一生を得たアリウスとベン・ハーが救出される。提供された飲み水の最初の一口を、ひと呼吸おいてまずベン・ハーに差し出すアリウス。って、まあここだけ見りゃ、かなりクサいシーンですが、そう感じさせないのは、ここまでの執拗な描写、残酷な描写があってこそ。 というワケでこの映画、結構、「不良」してるよなあ、ってな所が好きなんですけどね。ただ、ラストが近づくにつれ、バカっぽさが無くなるというか、おとなしくなるというか、とにかくラストの雷雨のシーンが弱い気がしちゃうんですけど、どうでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-01-28 22:26:44)
13.  ヘルレイザー3
ヘルレイザーと言えば何と言っても、顔中に焼き鳥の串を刺したあのピンヘッド氏ですが、本作の前半は、ヘンなオブジェの中から顔だけ出して、頼りなくも情けないお姿に。そんな姿で、いくらオドロオドロしいことを言ってもみせても、ねえ。 しかし元の姿に戻ってからは大暴れ、まさに殺戮の嵐、と言いたいところですが、CDが飛んできて顔に刺さるとか、かなりトホホな殺戮でして、ええ、もちろんこういうの、大好きですよ。さらには街中でのちょっとした破壊活動にまで発展。 ピンヘッド氏の仲間の魔導士も、これまではただ顔が面白いだけで無害そうな連中でしたが、今回は妙にメカニックで強そうな連中が登場。 一作目のボヤボヤっとした田舎じみた感じの因縁話も良かったですけど、こういうバカバカしいスペクタクルも、良いですなあ(変に技巧ぶった映像が、これまたアホらしくて良い)。 ただ、どうしてこうも最期があっけないのか・・・
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-09-08 12:41:13)
14.  ヘルレイザー2
前作は、「監督・脚本クライヴ・バーカー」でしたが、2作目からは製作総指揮に引っ込んで、監督はと言うと・・・誰ですかこれは。 1作目には、日常と魔界が隣り合わせ、みたいな感覚があってそれなりにいい味出してたのですが、1作目のクライマックスから始まる2作目ではもはや日常色が引っ込まざるを得ず、普通にグロテスクなだけの世界観になっちゃいました。 皮膚のないヌメヌメとした全身血濡れメーキャップは、頑張ってるんですけどね。 それに、あの昔懐かしいギクシャクとしたコマ撮り映像、こういうのもちょっと嬉しくなってきます。 ただ、あのヘンな立体パズルみたいなのには、別段思い入れも感じなければ神秘性も感じないので、いつまでこんなコトやってんのかね~とも思いますが。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-08-10 16:18:20)
15.  ヘル・レイザー 《ネタバレ》 
入手したルービックキューブもどきのパズルがうまく解けずに憤死(?)したオジサンが、死んで朽ち果ててるんだけど生きている。そういう、何かよくわからんヤツが何かよくわからん形で生きてます、ってのが、クライヴ・バーカーの好みなんですかね。ミッドナイトミートトレインに出てくるやみくろ(じゃないけど)なんかもその一種でしょう。自分の家のどこかに、そういうミョーなヤツが住んでいる、というイヤラシさ。狭い我が家ではとても考えられません。家が広いっていいよなあ。よくないけど。 で、肉体はボロボロになっているけど生きてるそのオジサン、人間の生血を吸収しては徐々に体を蘇生させていく、というハムナプトラ方式。だけどこちらはCGではないホンモノのヌメヌメ感があって、イイんですね。いや、イヤラシイんですね。 で、復活して何をしようかっていうと、生前のごとく、弟の嫁さんとの浮気を続けようってんだから、どうしようもない。なんか魔道士とか何とかいう変な妖怪みたいな連中に狙われてるのにねえ。 それにしても例のピンヘッド氏。黙ってるとイイ感じなんですが、しゃべるとまるで迫力がない。なんとも素朴。ま、こんな感じで、異界の連中がフツーに存在してフツーにしゃべってる、ってのがクライヴ・バーカーの好みなんでしょう。 むしろ、オジサンの弟氏が「知らぬは亭主ばかりなり」にもほどがあるマヌケぶりで、見てる我々もイライラするくらいなんですが、最後にオジサンに皮膚を奪われ、オジサンの顔がマヌケ弟の顔となり、マヌケ顔のまま、恍惚としながらギタギタにされる、ってのが、本作の最大のインパクト。 監督・脚本クライヴ・バーカー。(いくら非現実世界の物語とは言え)登場人物のセリフや挙動に違和感ありまくりだったり(特に娘。でも可愛いから許す)、せっかく作ったクリーチャーとばかりに画面に登場させ過ぎてかえってインパクトを薄れさせたり、音楽が重厚過ぎてマッチしてなかったり、と、いろいろヘンなところはあるのですが、彼のイマジネーションが自由に炸裂したユニークな作品となっております。 ところで弟の嫁さん、ちょっと老けすぎだろー、と思うのですが、うん、これもきっと、クライヴ・バーカーの好みなんでしょう。ほんまかいな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-06-02 16:18:24)
16.  ヘラクレス(2014)
ヘラクラスが本当は人間なんだとか、プロレスラーだって生身の人間なんだとか、それ「だけ」が言いたいんだったら、もうどうでもいい訳で。 それを踏まえた上で、その先に何があるのか、あるいは何もない、ありきたりな陰謀劇しかないのか。 肉体美以外にたいして魅力の無いヘラクレスに、これまた魅力の無い仲間たち。 大勢の軍隊をそれなりにロングショットで捉えるのは、それなりにスペクタル感を出そうとしているのだろうけれど、いざ戦闘が始まれば、これまたありきたりなゴチャゴチャした乱闘シーンが、判で押したように繰り返される。 退屈でした。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2017-11-04 14:10:55)
17.  ベスト・キッド(2010)
「んなアホな」というこの世界観に、耐えられるか否か。耐えられないというアナタは、たぶん、損してます(たぶん、ね)。 スポコンあるあるネタ満載のこの作品(ここに「根性」があるかどうかはともかく)、しかしリメイク作である以上、本家本元の作品があった訳で、そういう作品が「あるある」の歴史を作ってきたんですな。我々も「んなアホな」という気持ちを抑えてそれを楽しんできたし、我々の世代なら、あのミヤギさんの、パット・モリタではなくあの久米明の、「ワックスを塗って、拭き取る」の声が、耳の奥にこびり付いて離れない、という人は多いはず(たぶん、ね)。 本作はそういう荒唐無稽さをちゃんと引き継ぎつつも(だからといってタイトルまでThe Karate Kidとは・・・)、子役たちにハイレベルな格闘シーンを演じさせ、相応の「進化形」を見せつけてくれる。ウィル・スミスの息子も、クソ生意気な態度から驚くべき身体能力まで、まさにラルフ・マッチオよりは役者が一枚も二枚も上だぜ、ってなところを披露して、くそーこの二世タレントめ、もうちょっとどこかで苦労してこい!ってな気持ちにさせてくれる(←褒めてるのか?いやまあ、そのくらいスゴイってこと)。 中国人少女とイチャイチャしているヒマがあったらトレーニングしろ!と思いつつも、影絵のシーンなんて、何ともいい味出してるし(ウチの子供なんぞ、早々にこのオチを予期してソワソワしながら観てるし)。物語に、ジャッキー・チェン演じるハンさんの人生を絡めることで、ジャッキーにも見せ場を準備してくれているのもうれしいところ。主人公の少年に「ブルース・リー服」を渡すジャッキー・チェン、というあたりに、ああ、このヒトこそ、まさに、カンフー映画の歴史の生き証人なんだよなあ、と。
[地上波(吹替)] 7点(2017-07-16 09:26:31)
18.  ペーパー・ムーン
このロードムービーで、ともに旅をするのがオッサンと少女。とくると、なんだかイカガワシイ感じもするのだけど、なにせ演じているのが実の父娘だもんだから、とやかく言う筋合いのもんでもない訳で。でもまあ、何となく不思議な空間。その後とかく問題の多かったお二人だから、さらに妙な感じもしてくるけれど、それはさすがにこの映画とは関係ない話。なのかな。 テイタム・オニールが最年少オスカー受賞、という点でも注目される本作ですが、さてそんなに彼女の演技が際立ってスバラシイのかというとよくわからなくって、ただ、この映画のこの雰囲気に、見事にマッチしてる、ってコトは言えるでしょう。映画に恵まれた、ってのは、あると思います。彼女のしかめっ面は、横でライアン氏がセッカチでコミカルな演技をしていることで、何やら貫録を感じさせるし、本作でしばしば用いられるパンフォーカスの画面、その奥行きを背景に、これまた彼女の顔が妙な迫力を持ってたりする。一体、何でしょうね、この存在感は。 このお二人さん、かなり困ったヒトたちなんですけれども、憎めない。ってのはウソで、ちょっと憎たらしいんだけど、何だか危うくて、だから目を離せない。不器用でいて、実は何だかチャッカリもしていて、とにかく自然体でいい味出してます。自然体なのに、この貫録・・・。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-03-15 22:31:31)
19.  ベイマックス
子供たちと一緒に楽しませていただきました。本作におけるベイマックスってのは、疑似的な人間としてのロボットではなく、あくまで“モノ”なんですね。人を癒す道具として、“モノ”としてのベイマックス。人間の痛みに対する理解は、あくまで十段階のデジタル方式。人の感情の捉え方は、体内分泌物の量としての生理学的な分析。決して感情と呼べるものを持ち合わせている訳じゃない。そもそも顔なんて、大半のシーンでは表情らしきものはまるで無い、記号のような顔だち(「鈴」を元にしたらしいけど)。体は風船、ケガしても空気が漏れるだけ、とにかく滑稽な存在だけど、人間に手を加えられりゃ、なすすべも無く「戦闘マシーン」にもされてしまう。という、“モノ”に過ぎないベイマックスだけど、人間に尽くす愛すべき愚直さがあって、時には機械的であるが故に鋭い人間に対する反問があって、そして何よりも、その“モノ”であるベイマックスに投影された兄の想い、また兄に対する弟の想いがある。ベイマックス自体は“モノ”に過ぎなくとも、それは人間の想いを具現化した、かげがえのない“モノ”であり、観ている我々もまたいつのまにか、ベイマックスから離れられなくなっている……。最後の方では、ベイマックスが自らにプログラムされたルーチンから自由となるような含みも見せたりしますけれど、あくまで“モノ”であり、まあそれ故に製作者も最後は堂々と、人を食ったような厚かましい(?)ラストを準備している訳で、この終わり方、どうなんでしょうね???
[映画館(吹替)] 8点(2015-01-04 20:57:56)
20.  弁天小僧
弁天小僧の雷蔵に、遠山の金さんの勝新。ふたり揃っていれずみブラザーズってのがまず楽しい。そんでもって、弁天小僧は、義賊って訳でもなく、どうしようもないチンピラで、女性を助けたのかと思いきやいきなり手籠にしようとするとんでもない奴。しかしあれこれ悪事を働こうとしても結局は「弱きを助け強きを挫く」ってな感じで、人助けの方向に走ってしまう。浜松屋恐喝のくだりを歌舞伎舞台として描くのも、サービスという面もあるだかも知れないけれど、ひとつには弁天小僧の悪事あまり生々しく描かず、オブラートで包んで憎めないものにしようという演出上の工夫にも思われます。クライマックスは、弁天小僧の出自の物語と、弁天小僧が愛する女性との物語が重なり、さらにそこに、夜の町を駆け巡る無数の御用提灯が畳み掛けてくる。これほど盛り上がる映画もなかなかあるもんじゃありません。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2014-10-14 13:26:32)
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