1. ヘイト・ユー・ギブ
《ネタバレ》 泣ける映画を探していて行き当たった本作。ただし、泣きながら観る作品というよりも未だ根強く存在する人種問題について考えさせられる作品でした。 原作がヤングアダルト小説ということもあり、深刻な社会問題とそれに起因する悲劇を描いている割には意外にもライト。甘く切ない恋心や白人黒人の区別を問わない友人との軋轢、親子の感情・感覚のすれ違い等々、青春ドラマそのものといった作風になっています。 心に深い傷を負ってしまったヒロインが、感情の波に抗え切れずに社会に向かって声を上げるものの、結局は社会が大きく変わることもなくただ日常が取り戻されていくラストは、甘ったるいようでいて現実的に感じました。 原作未読ですが、出演者の確かな演技もあって若い世代をターゲットに人種問題を取り上げた優れた作品だと思います。ヘイト問題を身近に感じない我が国の若者(自分を含め若者に限らないかも知れませんが)にどこまで沁みるのか、その点については未知数ですが。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-06-18 10:56:34) |
2. 蛇のひと
《ネタバレ》 序盤はテンポよく物語が進み、「上層部からの情報は誤報だろう。部長の自殺と今西の失踪の関連は?本当は何が起きたのか?」とミステリーとして期待感十分に観ていました。 ところが、話がある程度核心に近付きつつある辺りからスピード感が失せてしまい、しかも今西の人物像がレクター博士ばりのマインドコントロールの妙手の如く描かれて来て、微妙な雰囲気に包まれてしまいました。 今西は何を目指して生きて来たのか?これからどう生きて行くのか?そこにあるのは善なのか悪なのか?そして、結果として陽子は今西を救ったのか?それとも結局は操られているだけなのか? 決して面白くないとは言わないのですが、キーマンである今西の生き様というか在り方、そしてヒロイン陽子の在り方に、今ひとつ理解が及ばず観た後にモヤっとした印象だけが残りました。横領事件が結局単純に隠蔽されたのかも含めて。 それにしても何故今西を関西弁キャラにしたのだろう?成功しているようには思えないのですが?-1させていただきます。 [インターネット(邦画)] 5点(2023-09-22 11:58:44) |
3. ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄
《ネタバレ》 1年間行方知れずの愛息を父親が決死の覚悟で取り戻す。良かった良かったというハッピーエンドのような作りですが、たまたま雇われた霊媒師は即お亡くなり。優しく美しい同僚は善意の行為がアダとなって巻き添え死。しかも、遺体の発見が遅れている間に呪われてしまうし。300年の間に連れ去られ続けた子どもたちは、恨みのあまり魔女と化したアニーと闘って恨みを晴らしているかのような状況ですが、だからといって元の世界に帰れる訳じゃない。何だか「ハッピーエンド」<「バッドエンド」に思えて仕方ないです。 とは言え、またしてもB級作品に登場か?!と思っていたニコラスさん、この作品では流石の存在感を放ってました。仮に、良く知らない俳優さんがマイクを演じていたならば、個人的には途端に印象がB級化していたかも。特にホラーとしての目新しさや意外性はなく、オーソドックスと言っても良いような展開。ホラーなのに恐くないというホラーとしては致命的な状況にありながら、適度な尺とも相まってニコラスさんの熱演があるからこそ、結構のめり込んで鑑賞することが出来ました。面白かったです。 ちなみに、エンドロールに差し込まれたワンカット。必要なんでしょうか?続編があるならまだしもそんな話も聞きませんし、必要なのかなぁ? [インターネット(字幕)] 6点(2022-11-06 22:00:58) |
4. ヘレディタリー 継承
《ネタバレ》 悪魔崇拝というある種の文化について、映画の世界ぐらいでしか触れることのない自分にとって、この作品で表現されている事象は、ある程度理解出来るものではありますが、興味や探求心の範囲外であって感情移入し得ないものでした。 何よりこれはホラー映画なんでしょうか?自分なりの定義ではありますが、「オカルト」=「ホラー」ではないと思うのです。グラハム家が経験する出来事は不快極まりないものばかりで、現実として捉えれば相当に恐ろしい出来事の連続ではありますが、スクリーンを観ていても正直なところ「怖さ」には繋がっていかないのです。 敢えて音や映像で観客を驚かせるような直接的な刺激は抑え、陰鬱な演技と不快なビジュアル、サウンドでじっくりと恐怖を積み上げていき、やがては観る者、聴く者の心の奥底に恐怖を芽生えさせるというような監督の思惑なのかもしれませんが、やはりホラーにはホラーなりのストレートな怖さがあっても良いような気がします。一旦そんなイメージで見始めてしまうと、特殊メイクやCGの場面に低予算映画的なチープささえ感じてしまい、余計に怖さが遠退いてしまいました。 確かに張り巡らされた伏線をひとつひとつ回収していく展開は、非常に丁寧で解りやすく作り込まれていて、この作品が長編デビュー作とは思えないような円熟味さえ感じるところですが、その一方では思いのほか意外性には欠けていて、結構先が読めてしまったりもしました。 事前に「凄いホラー」「過去最恐のホラー」みたいな評価をやたらと見聞きしてしまい、期待し過ぎてしまったかもしれません。出演者さんたち(一家四人とも)の熱演・怪演が光るところと、エンドロールで穏やかなテーマに載せて血の色の文字が継承されていくお洒落さへの評価を加味しての6点献上です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-12-11 00:44:40)(良:1票) |
5. 変態小説家
《ネタバレ》 なんとも不思議な作品。大笑いするほど可笑しくはないけれど、決して飽きさせないツボを押さえてるって感じ。 前半、サイモン・ペッグの独り舞台化と思いきや、後半は何ともレトロ感溢れるドタバタコメディ。かなりの低予算? イギリスコメディ映画独特のセンスと雰囲気は、じめじめしていて陰鬱な感じさえするんですが、どこか軽やかなノリがあって後味は悪くないです。 ちょっと引いてしまう邦題には首を捻りますが、ヒロインの可愛らしさと粋な台詞におまけの6点献上です。 [DVD(字幕)] 6点(2015-03-15 23:03:25) |
6. ベストセラー
《ネタバレ》 ホラーテイスト十分に語り始められる本作。しかし、そのままホラーでは終わらず、中盤からサスペンスミステリーの味わいに進路変更。ところが、そのまま最後まで突っ走るかと思いきや、ホラーテイストも捨てることなくクライマックス。なかなか良く出来たストーリーです。 が、いつも韓国映画を観て思うのですが、今ひとつ真実味がない。と言うか、犯行の背景や動機、事後処理などなど、どうも理解に苦しむ。国民性の違いと言ってしまえばそれまでなんでしょうけれどね。 ま、振り返って我が国の2時間ドラマなんかを考えてみれば、飽きもせずに似たようなテイストの作品を送り続けている訳で、その内容にも理解に苦しむものが多々あり、こりゃ国民性というより個人的に受け付けてないのかな?などとも思えたりして。 とは言え、少なくともノンストップで惹きつけれらてしまったことは事実。上手くまとめられた作品です。 [ビデオ(字幕)] 6点(2011-10-10 02:27:41) |