3. 炎のランナー
《ネタバレ》 初見は公開時の日比谷の映画館。予備校生時代の鬱屈した精神を、この映画に出てくる同世代の若者たちの信念の強さや、高貴な意識に打ちのめされた想い出がある。 ある一時期、五輪に向かう日本の選手達が流行語の様に「楽しんできます」「遊んできます」との発言を連呼していた。マスコミに対しても必要以上に不機嫌な表情を露骨に見せていた。。。彼らのアスリートとしての実力は尊敬に値するが、五輪に挑む覚悟や、強靭な信念はそこに感じられなかった。 国民の期待やプレッシャーや、煽り立てるマスコミが、彼らの思考をネガティブにさせていた事実は否めないが、この映画に描かれた若者達には、もっと崇高でもっと歓喜に満ちた五輪への思いがあったように感じられた。 その時のパリ五輪での事実をありのままに伝えようとした映像は、結果として時代を超越して見事な光線美と溢れる格調の高さをスクリーンにもたらしている。心にしみる傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2012-08-02 07:59:47)(良:1票) |