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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  ミッション:8ミニッツ 《ネタバレ》 
この映画は、もしも運命を変えることが出来るなら…という願いも込められた作品なのだろう。 変えようと足掻き続けた者の、それを見守り続けた人々の表情と葛藤。  海岸沿いにそびえる摩天楼、列車、窓にもたれかかり眠りから目覚める男。 相席で話しかける者、胸ポケットから取り出すもの、電車内で蠢く人々、窓に映るもの、鏡、写真、列車内を奔る“風”が無情に告げる別れ。  目覚めた先で見たもの、窓の向こうで動く人々。  繰り返される光景と“8分”、視点変え、“変える”ための行動、登った先にあるもの。 ぶん殴ってでも黙らせたかった、救いたかった。 “戻る”度に刻まれる異変。  挨拶、聞き出す名前、人間観察、荷物、口づけ、中から外への追跡、隣に座った後にぶん殴る。  “出る”…いや“繋がる”ための足掻き。移動、懐中電灯でこじ開けるもの、紙に記る“印”、電話、駆け巡る記憶、焔。  突き付けるもの、扉が閉ざされるならこじ開けるまでよっ!  ポケットの中身、車越しに倒れるもの。  選択、共謀、迫り来る時間、時が止まったように残され完全に切り取られる“一瞬”、箱の中身。
[DVD(字幕)] 9点(2016-12-15 04:16:08)(良:1票)
2.  ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション 《ネタバレ》 
前作「ゴースト・プロトコル」も面白かったが、今作もアイデア満載で楽しませてもらった。 監督のクリストファー・マッカリーは本作を撮る際にバスター・キートン「将軍(大列車追跡)」やハロルド・ロイド「要人無用」、ヒッチコック「汚名」といったアクションの傑作を参考にしたと言う。通りでトム・クルーズが何時にもまして危険極まりないアクションに挑んでいるワケだ。 いやマッカリーだけじゃない。「ミッション:インポッシブル」を最初に監督したブライアン・デ・パルマも、シリーズを引き継いできた制作のJ・J・エイブラムスもトムもそういった古典の色褪せないアクションを見て育ってきた連中だ。それを物語るようなファースト・シーンの素晴らしさ。  いきなり「何かが起こる」ことを静かに予告する原っぱが拡がる場面から始まり、草むらから現れるもの、飛行機を捉える視線、入り口が閉まり、プロペラが回り、発進しようと動き出したところで身を乗り出し標的を見定めるもの、飛行機めがけて突っ込み屋根の上まで走りしがみ付くイーサン・ハント! 一度掴んだら飛び立とうが絶対離さない、仲間がどうにかしてくれるだろうとひたすら耐え続ける信頼、侵入と脱出。  繰り返される上からの視点・机の上での話し合い・再会と別れ、レコードに記録された情報と罠、目の前で見せつけられる殺しと無力さ(アンソニー・マン「T-メン」を思い出すような光景)、記憶に深く刻まれる標的の顔、顔、顔。 拷問一歩手前でめぐり逢う天の助け、出会ったばかりなのに恐ろしく息の合った連携と格闘、一緒に行けぬワケあり。男はそんな女のために何度でも死線を掻い潜り戻って来るのだ。  仕事先に送る招待状、駅で通りすがりに渡す“通信”と“工作”手段、殺し屋だらけのオペラ会場、仕込みライフル、舞台裏での格闘、殺すための武器で命を救う狙撃、靴の受け取り、綱による降下と落ちてくるもの、トランクの行方等々スパイたちによる騙し騙されの暗殺合戦。  プールで泳ぐのは作戦で使えるか調べるため、水着で泳ぐのは彼女の行動力を知らしめるため、口紅に残された情報、作戦会議とイメージトレーニング、パラシュートによる侵入、水の流れる穴への落下…よく落ちること。止まった流れが戻るまでのスリル、激流の中だろうが仲間の道を開くために命を賭して仕事をやり遂げ、それを抱き抱え扉をこじ開けて応える仕事人たちの生き様。  握りしめられた情報、電気ショックを与えるのは蘇生させるため・別れるため、病み上がりで車もまともに乗り越えらない体だろうが関係ねえ、命の恩人追っかけて車とバイクの群が猛然と走りまくるカーチェイスへ!エンジンスタートと同時に後輪で薙ぎ倒しまくり、市街地の階段から路地裏、ハイウェイまで追いかけ続け体当たりでぶつかりぶっ飛ばしぶっ飛ばされまくり、車がお釈迦になろうがバイク見つけりゃソイツにまたがりバイクを弾き飛ばす!!  理不尽な御役御免、ドリルが穴を開けるものの正体、空港での包囲網を崩す雑音と誘拐と消失、会場で待ち受ける銃撃と変装と情報の奪取、カフェで確認する耳、眼、男と女の懐、周囲を蠢く黒服、瞳の向こうで嘲笑うクソ野郎を脅し返す“取引”の顛末。服を抱えて男が去り、男女が隣り合わせで座れば街中を走り回る最終決戦へ!  路上から路地裏・薄暗い建物内まで駆け込み、ガラスをブチ破る取っ組み合い、ナイフを抜き放つ一騎打ち、車から降りた者を誘うための“落下”、たちこめる煙の中に消える手、別れの挨拶。
[DVD(字幕)] 9点(2016-11-15 14:09:42)
3.  ミスティック・リバー 《ネタバレ》 
ラスト30分の畳み掛けを見るだけでもこの“復讐”の物語は傑作だという確信しか俺は持てないのです。  「チェンジリング」の母親の赤い唇、「ミスティック・リバー」の男に情報を提供する謎の女の赤い唇。  町、家々、男二人の談笑、路上でホッケー、セメントに刻まれる名前・・・楽しく遊んでいた子供たちを引き裂く謎の男。  子供たちに立ち退くように言い、屋根を叩き、乗るように強制する。後ろに座っている男が座席の少年に不気味な笑みを送る。 友人二人は見守るしかなかった。何も出来なかった悔しさ。セメントに刻まれた名前だけが真実として残る。それを成長した“子供”が再び目撃し、思い出す。このファースト・シーン。 漆黒の闇、密室、森、不協和音、逃げる子供、文字が刻まれたまま固まるセメント、時間経過。  時を超えて同じベランダで語り合う2人。 煙草に火をつけようとした時、話しかけられて火をつけ損なう。椅子に腰かけ、男二人で語らい合い、心情を打ち明け、静かに泣く。 大の男が度々泣くのだ。そこには人間の弱さ、脆さも刻まれている。  車に女が入ってきた瞬間に不意に手が、イタズラをする彼氏、それがあんな事になるなんて・・・。  バーのカウンターの上で踊りだす女 洗礼と事件の対比、受け入れたくない娘との“再会”。  いきなり負傷して帰ってくる夫は女に泣きつく。女はそれを優しく迎え入れる。 いやいや怪我してんのに情事に入ろうとするなwww旦那を殺す気かwww その夫が、後に泣く妻を優しく抱き留める。  地道な聞き取り調査、現場に踏み入ろうとする人々、父親のどうしようもない嘆き。  電話の向こうにいる赤い唇の女。その次は“影”で、観客だけにその存在が予告される。  残された写真の数々、雨が降る外、暗い部屋の中で激しく移動、亡き者の前で苦悩し、服を捧げ“仇討”を誓う。それが取り返しのつかない“過ち”だったとしても。家族を思うが故の狂気、暴走の悲劇。  バーの酒。既に注がれたグラスが幾つもあるのは男を酔い“潰す”事が決まっているから。4人目が来てから空気が変わる。  このラスト30分の加速の素晴らしさ。 少年たちの方も決着がつく。屋根に隠されたもの、少年たちを待伏せる者、ドアがいつ開いて他者が入ってくるのかという緊張。 闇の中で炸裂する暴力の恐怖、ナイフの切っ先の鈍い光。 二つの現場が交錯し、カットが徐々に短くなっていき、複数の視点が一つに収束していく事でより緊張を高める。 拳銃の閃光が曇り空の朝へと移る・・・過ちを犯してしまった男の心は晴れない。髪を乱してうなだれる。 再び現れる赤い唇の女は何を語るのだろう。  友人とはいえ、事情はどうあれ、それを黙って見過ごすしかない男のやり切れなさも何ともいえない。  すべてが終わった後の情事、海、パレード・・・「俺は忘れないからな」と指の“銃”で男を指す者の視線の冷たさ。それを甘んじて受け入れる男の表情。 後の「グラン・トリノ」では、その指の“銃”がすべての決着を付ける引き金になる。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-07 15:41:36)
4.  港の女 《ネタバレ》 
まずは、本作品のページ作成に御協力して下さいました総ての人に感謝してもしきれません。誠にありがとうございます!! 「港の女」は最初晴れた空から始まる。そこから雨季に入り雨が延々と降り始める。神父とサディ・トンプソンの“闘い”のゴングを打ち鳴らすように。 外は雨が降り始め、ホテルの中はトンプソンたちの乱痴気騒ぎ。最初12分はトンプソンたちの狂乱で笑わせてくれる。そして12分が過ぎ、いよいよ神父とミス・トンプソン最初の“闘い”が始まる。 熱烈な信仰者である神父は、自堕落で他人の迷惑も考えないトンプソンを放っておけない。彼は悪魔的に騒ぐトンプソンの心が病んでいると思ったのだろう。今にも二人の怒声が聞こえんばかりの迫力。 そんな神父を殴りつけるのはトンプソンを愛するオハラ軍曹。 粋な登場をしたオハラだが、この作品も粋な場面がいっぱいある。 煙草で“キス”する場面とか、雨が降りしきる中でトンプソンとオハラが会話するやり取りとか、オハラがトンプソンをおぶって走る場面とかユーモアもたっぷり。これらのシーンは「雨」でも描かれていた。 特に雨どい?でウォルシュと会話を交わすスワンソンの表情が色っぽくて可愛いのなんのって。 しかしあのアルバム写真はなんなんだよ。首の取って付けた感じが酷い(笑)…その直後にオハラの元に届く“手紙”との温度差。 オハラが中々トンプソンの元に来れなくなると、今度はデヴィッドソン神父がちょくちょく来るようになる。神父はトンプソンを“善人”にしようと彼女に働きかけ続ける。 しかしどんな手もトンプソンには通じない。物凄い剣幕で神父を罵るシーンの凄味といったら! しかし神父も“奥の手”を使ってくる。コレには流石のトンプソンもタジタジ。さっきまであれだけ喰ってかかっていた彼女の狼狽振り。 トンプソンは厚化粧を止め、髪もおろして“おしとよかな”女性に変貌。デヴィッドソン神父もまた、そんな彼女の生まれ変わった姿を見てすっかり彼女に“惚れてしまった”ような素振りを見せる。 そして、自分の役目が終わった事も悟っただろう。彼はトンプソンと“最期”の会話を交わす…。 どうやらこの部分のフィルムは失われてしまっているようだ。フィルムはスチール写真と字幕のみで語られていく。終盤の大部分のフィルムも失われてしまっているのか。うーむ、ラストのフィルムが残っていないのが惜しまれる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2015-01-28 05:40:11)
5.  ミニミニ大作戦(2003) 《ネタバレ》 
ピーター・コリンソンの「The Italian Job」も洒落た逸品だったが、俺はF・ゲイリー・グレイの「Italian Job」の方が好きだ。  冒頭の金塊を奪うまでのシークエンス。階の違う得物をピンポイントで奪い去る緊張、裏切り、犠牲。ヴェネチアでの水上チェイス! 冒頭から穴という穴に得物を追い込んでいく。  その後に出会う凄腕の“娘”。小さくて可愛いミニ・クーパーSやアストンマーチン・V12ヴァンキッシュといった車が市街や地下鉄、下水道を縦横無尽に駆け巡るカーチェイス。 「マネーボール」やクリストファー・ノーランの傑作群の撮影を担当したウォーリー・フィスターのカメラワークを見よ!  小さな穴という穴を飛び越えるような楽しさ。それを追跡するバイクやヘリとのおにごっこ。 得物を狙うチームの絆も魅力的。ドイツもコイツも楽しそうな顔でマシンを走らせやがる。流石「交渉人」の監督だぜ。
[DVD(字幕)] 9点(2015-01-15 16:56:14)
6.  Mr.インクレディブル 《ネタバレ》 
後の「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」にも繋がる豊かなガジェットとスリリングなアクション描いたブラッド・バードの最高傑作。 製作にジョン・ラセターなど面白くならないワケがない。 CGとは思えない服や髪、筋肉のうねり、うねり、うねり。それを二次元の世界で無限に広がるようなパワーで描く。 主人公たちの八面六臂の大活躍ぶりは現実離れした奇想天外なものだが、家族問題や悪党の散り様は妙に現実的。 とにかく人間の死傷率がディズニーにあるまじきレベル(褒めてる)。 前はヒーローで大活躍、今は法律でヒーローが“縛られる”。 その理由も、マントが引き起こした“悲劇”が重なり命の恩人を“守る”ためだったのだろう。だが、それが結果的に彼等を殺す結果に繋がる悲劇。 「バッドマン」ですら法律だろうが知ったこっちゃねえという状況だったのに、まるで軍隊か警察のようにヒーローという偶像が描かれるのだ。 戦場が日常だった者にとって、一般社会の“日常”は非日常の牢獄。子供にまで抑圧されたストレスは伝播。家の中でも家が壊れるから能力は厳禁。こりゃ子供達も引っ込み思案になるわ。正義感は燻らなくとも肉体は火が入れば燻製にでもなりそうなブヨブヨ。 たまりかねたストレスで上司がふっ飛んで落ちれば、お父さんも再びヒーローとして飛んだかと思うと落ちる。 奥さんも長男も長女も赤ちゃんもお父さんの親友も入り乱れて暴れまくり。 捌け口を求めていたエネルギーのほとばしり、それと同時に心も体も開いて前進する家族たち。 ありがとうシンドローム。おかげで家族は変われた。お礼にバードストライクをプレゼント。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:04:38)
7.  水の中のナイフ 《ネタバレ》 
「ポランスキーの映画=血生臭い」というイメージがあると思うが、ポランスキーのデビューを飾った本作は鮮血を描かない。  プロットとしてはルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」に共通しているが、本作のサスペンスは一味違うのだ。    冒頭、車を飛ばす夫婦から映画は始まる。  車上で交わされる他愛の無い会話、そこに飛び込んでくる若者。  中年のエリート気取り、インテリぶった人妻(メガネ取ったら超美人)、背伸びする若者。  三人は世間話でしばらく時間を潰し、男が若者を船上に誘い込む。    若者の前で見栄を張ろうとする男、大人を演じようとする女、負けてたまるかと反抗的な青年。    ストーリーは至極単純、テンポものんびりしているが、独特の空気が中々退屈させてくれない。 “ナイフ”で指の間を刺す瞬間の緊張。  三人のやり取りが面白い(そして奥さんが無駄にエロイ。ちょっとズンドーだけど美人だから問題無し)。 もうこの頃からロマン・ポルノスキーの気が(ry   湖上でのやり取り、そこで起きる「事件」。    湖面に消える者、情事にふける者、岸辺に戻ってしまった者・・・彼は何者だったのだろう。 そして最終的にナイフと船じゃなくても別に問題無かったという。  あるいわ本当に幽霊だったのかも・・・そんな映画。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-16 22:09:14)
8.  乱れる 《ネタバレ》 
この映画は「君と別れて」を思い出す。あの映画の水窪澄子のような眼差し、表情をする高峰秀子。二人の男女の距離と目的地への距離を縮めながら進む列車、それを支え道となる橋。 特に終盤、列車で徐々に距離を縮めていくシークエンスはドキドキさせられる。列車は絶えず動き続けるし、止まる駅でも乗客の乗り降りで運動は続く。 最初は他の客がいて弟が立ち続け、次第に背中越しに、やがて向かい合う。姉の横で転寝中のオジサンにヤキモチめいた気持ちを覗かせるのが面白い。 物語は軽トラックがスーパーの宣伝を高らかにする場面から始まる。新しい時代を象徴するスーパーの波、戦後のバラックから店を守り過去の亡霊に魂を繋がれたかのような人間たち。特に義姉のヒロインを演じる高峰秀子は。 義弟の加山雄三も出前のソバを食べても帰れば姉の手料理を食べたくなる。本当に食べたいもの、欲しいものはそれなのだから。 この頃からパチンコや麻雀だけで生計たてちゃう奴がいるのね。それすら出来なくなった人間は家族を残して簡単に首をくくってしまう。 冒頭で何かを心配そうに見つめていた義姉は、そんな義弟が無事に帰って来るのを毎日待ち続けているのだ。ちょっとくたびれた表情も見せる義姉。 義弟はそんな彼女を尻目に毎晩遊んだり警察の世話になっている。 後の若大将も劇中では筋金入りのニートな馬鹿大将。そんな男が、いつしか愛する義姉のため自分なりに働き始める。義弟を動かすのは家族を想う愛だけでなく、元々血の繋がらない“異性”に対する愛も強い。義姉も弟としてでなく、いつしか異性の“男”として心を許すべきかと悩みはじめる。前の夫の面影が、そんな彼女に中々ふんぎりを付けさせてくれない。 わざわざ寺に呼んでおいて「明日」などと言って焦らす。それを言うためだけに待ちつ待たせての寺での会話。 あれだけ焦らしておいて二人きりの旅館では「ああやっぱり」的な。霧の中を走る列車から、あえて時間のかかるバスや宿での宿泊を選んでおいてだ。 でも、その理由は弟が姉の本名ではなく最後まで“姉さん”と呼び続けたからでもあるのだろう。もし弟が姉を名前で呼び、彼女を本当に“女”として受け入れていたのなら・・・そんな事も考えてしまう。 諦める心、最後の電話、失って初めて“愛していた”と思い知らされる後悔。女はようやく愛しはじめた男を探しに駆けていく。身も心も、髪も乱して。
[DVD(邦画)] 9点(2014-10-11 01:52:11)
9.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 
前半は「鉄腕ジム」や「ロッキー」みたいなサクセスストーリーだが、終盤は今までの総てを破壊されるような、そんな哀しき決断が待ち構えている。 フランキーもエディも最初マギーの依頼を断るが、先に彼女に声をかけたのはフランキーが育てるボクサーのウィリーだった。 ウィリーが去ったのは自分の夢のためでもあるし、マギーをフランキーに育てさせようとしたのかもな。 しかし30代は男でも諦めるレベルだ。 フランキーは夢破れた者を余りに“見すぎた”。 エディの事があってやや過保護にもなっていた。だが、フランキーは勝負に出る。 ウィリーが出て行って吹っ切れたのか、あるいわ焦りでか。 フランキーは冷静な姿勢でマギーにボクシングを叩き込んでいく。 焦らず、氷を削るように確実に。二人は限界まで挑み続ける。 フランキーのアドバイスもあって勝って勝って勝ちまくる。苦戦はほとんどなく本当に「鉄腕ジム」を見ているような気分だった。 しかし、本物のボクサーと殴りあった彼女のファイトはリアリティがあり見応え充分。 強すぎて試合にならない、八百長ではなく「金払ってやるから試合しやがれ馬鹿野郎」料を払って戦う日々が続く。だからって挑発しすぎだフランキー。 それにしたってマギーの母親がクソBBAすぎる。 「いい男を見つけてまともにお暮らし」 「でも負けたんだろ? 残っているものを守らなきゃ」 言ってる事は正しい。でもうぜえええっ 傷ついた娘を見て一応は優しい言葉をかける両親。「娘を酷い目に遭わせて」とさぞかしフランキーを恨んだ事だろう。 フランキーもエディに当り散らすなど人のせいにしてしまいたいくらい自分を責める。 ラストは賛否があると思うが、俺はハッキリとマギーが「やって」と言ったのを覚えている。 体は動かなくとも心はまだ一人の人間、ボクサーだった。彼女は最後まで立派なファイターだったよ。 フランキーは、マギーの“遺言”を受け取り去っていく。 「カッコーの巣の上で」を思い出すようなラストだった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 18:15:19)
10.  ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 《ネタバレ》 
トム・クルーズが立ち上げたこのシリーズは今までブライアン・デ・パルマ、 ジョン・ウー、 J・J・エイブラムスと名立たる監督が手掛けてきた。  特にこのブラッド・バードが手掛けた4作目は最高傑作になるのではないだろうか。  ブラッド・バードとエイブラムスが組んだ「ゴースト・プロトコル」は、トム・クルーズにとっても最高の1本!  「Mr.インクレディブル」を初めとする数々の傑作アニメーションを手掛けたバードの演出が冴え渡る! とりわけバードのアニメーションを意識した演出は、「カリオストロの城」といった縦横無尽なアクションとパワーを感じさせるほどだ。  ビルを上から上に登ったかと思えば、下から下へとガラスの壁を這うように動くトム・クルーズ。 ロック・クライミングなら岩を掴めば済むし、ハロルド・ロイドの「要心無用」も窓の手すりを掴めば一安心。だが、全面ガラス張りの窓を割れば速攻で水の泡。 片手でぶら下がるシーンの絶望感、そんな場面なのにトムがいるだけで何故か物凄く安心してしまう不思議。 初代の「M:I」にあったシリアスな空気は何処に消えてしまっただろうか(良い意味で)。  トムが車ごと落下するシーンにしたって、起爆装置だけを奪い合う殴り合いにしたって、まったく余りに馬鹿馬鹿しくて逆に超清清しかったぜチクショウ! この映画は落ちるシーンが多いね本当。  偽の映像で見張りを突破するコミカルなシーンや、 駐車場でのアクション、 女性陣の殴り合い、 砂嵐が迫る場面の緊張とスペクタクル等々「スパイ映画の無駄なスケールのデカさ」はどうしてこうも楽しいのだろうか。  ラストで「さあ次は何処へ行こうかと」意気揚々に次の戦場へと赴く表情、そして愛する者のために何処か孤独に戦う哀愁も感じさせる後姿が良い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-23 22:39:41)(良:2票)
11.  ミッション:インポッシブル 《ネタバレ》 
「スパイ大作戦」をスクリーンに復活させた世紀末スパイ・アクション映画。  スリリングな諜報活動から始まる冒頭、 次々に消される仲間たち、 それでもイーサンは諦めない。 レストランで素敵な「プレゼント」を渡して全力疾走で逃げるイーサン!殺られたら、殺り返す。  戻ってきた“仲間”は敵か味方か。 CIAの情報部に潜入して命がけの情報集め。  危険極まる作戦を終え、列車で祝勝パーティー・・・かと思ったらまさかまさかの裏切り発覚!  余りに後付すぎる設定&無理やり感が尋常じゃない。 最初見たときは「台無しだよ!ふざけんなバーカ!」とdisりまくったものだ。しかしよくよく考えてみると、どの道イーサンは「ぼっち」になるんだよな。  そう考えるとイーサンが可哀想になってきた。 あらましを知った、今だからこそイーサンに同情を感じるのかも知れない。  クレアびっちすぎバロス。 ミッション?NO“ビッチ”です。  ところで今作のジャン・レノは本当にあのジャン・レノさん? 「レオン」でロリコンして爆散して生まれ変わった結果なんでしょうかね。
[DVD(字幕)] 9点(2014-08-01 22:32:13)
12.  未完成交響楽(1933) 《ネタバレ》 
音楽伝記映画の傑作の一つ。まさかこんなに楽しく面白い映画だったとは。 実在の音楽家シューベルトが、貧しい生活の中で文字通り音楽を“楽しんで”いる様子が伝わってくる。三度の飯より音楽が好きだけど、やっぱり生きるためには食い物で腹を満たさなきゃいけない。生活のためにバイオリン?を質に入れ“金に換えざる負えない”姿は切実で胸に染みる場面だ。バイオリンを「今までありがとうな」と言わんばかりに手でなでる。それがファースト・シーンなんだから面白い。悪ガキ共もあれだけ歌が上手かったら文句は言えないね。 ヒロインとは結ばれるかと思いきや・・・あれだけ親しくなれた女性も忘れてしまうほど音楽に没頭するシューベルト。音楽馬鹿って感じが良く出ているが、やはり切ない。音楽を心から楽しみたい人、「アマデウス」のような音楽伝記ものが好きだという人にオススメな作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-18 19:23:26)
13.  ミルドレッド・ピアース 《ネタバレ》 
「深夜の銃声」または「偽りの結婚」の題でも知られるフィルム・ノワールロマンス。 カーティスの最高傑作は「カサブランカ」なんて退屈なメロドラマじゃない。 高密度でフルスピードの本作こそ、そしてジョーン・クロフォードにとっても最高の1本! これが本当にあの臭い映画を監督した人間が撮った映画なのだろうか。信じられないくらい面白いのである。何故こんな傑作が日本ではVHSどころかDVDもまともな形でリリースされていないのだ!これほど頭にくる事はないぞ!  まず波と共に現れ波にさらわれていくオープニングクレジットからして面白い。  この映画は鏡の映画だ。 年頃の娘が見つめる鏡、下から女の表情を鏡のように映すもの、弾痕が刻まれる鏡、遊んだ後に結ばれた髪をほどく女を映す鏡。   摩天楼、銃撃からはじまるファースト・シーンの衝撃!女の名前を一言もらす最期、鏡に刻まれた弾痕。 走り去る車、波止場、橋の上を歩く女の悲しき表情、ミンクのコートは遠出を予定している証。  手すりを叩く音、窓を叩いて女を呼び止める男。   机の下に放置される男、乾杯、男のコップを叩き落として口づけをことわる、、螺旋階段、ドアを閉めて男を密室に閉じ込め“擦り付ける”、倒れた電燈によって発見される遺体、自ら電話線すら絶ってしまう。    実に鮮やかな、見事なスタートダッシュから始まった12分間。  そこから警察署でめぐりあう知り合い、取り調べ、焦り 新たな男の登場と動揺。    20分を境に始まるミルドレッドの回想。  初っ端から険悪な雰囲気、子供たちとのやり取り、写真、引き出しにしまわれた凶器。  肉欲を求める野蛮な訪問者、ローブの紐をやらしい手つきで触ったり引っ張る素振り。女はそれを嫌そうな表情で払いのける。口づけ、肩を撫で回す。    二階には幼い娘と年頃の娘が二人、娘の尻を優しく叩く時の愛情とは大違い。     娘たちのために仕事につく母親の姿、着替える仕草、胸元がちょっとはだけているだけなのにあんなにも色っぽい。クロフォードの素晴らしい演技。  「風と共に去りぬ」やジョージ・キューカーの「ザ・ウィメン」でも見たことのあるような黒人の女中(バタフライ・マックイーン(Butterfly Mcqueen)の方。ハティ・マクダニエルじゃなくて)。   スカートで膝を隠す一瞬、何度も交わされる口づけ、家族がいない間の情事、水着で他の男と泳ぐ、謎の音、男が見てしまった女の帰り際。  浮気の時に起こった悲劇、メーターが物語る命が消える瞬間。  女は悲しみを忘れるために前にも増して働く、プレゼントをゴミ箱に捨ててしまう野蛮人、注文で敷き詰められた回転からメモがなくなりお開き、見てしまったカウンターでの口づけ、何度も叩き落とされるグラス。   30分後には再び現代に戻ってくる。 また語られる過去、車、娘もどんどん破滅へと向かって歩みを加速させる、狂っていく娘の活き活きとした表情よ!  黒衣、女が破り捨てれば娘が頬をひっぱたく、亀裂の入る瞬間、列車、舞台の上で踊る目を疑う光景。  幼い娘の写真、一時の安息、誕生パーティーの裏で行われる蠢く黒い影、電話と決意・裏切りへの銃撃。家族を救うための身代わり、受話器の前でのやり取り・・・何もかも素晴らしい。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2014-05-13 22:42:13)(良:1票)
14.  蜜の味 《ネタバレ》 
思いがけず妊娠した彼女。男はそれを知り一度は逃げ出す・・・だが、男は膨れたお腹を見て覚悟を決める。「ああ、俺なんかが父親になっちまっていいのかな」的な。 普通こういう映画は陰惨とするものだが、トニー・リチャードソンはとても暖かい映画にしてしまった。ありがとう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 22:02:48)
15.  宮本武蔵 一乗寺の決斗
この「武蔵」だけは稲垣浩に譲れない。 内田吐夢の「宮本武蔵」は眼が血走るような殺気と色合いに満ちている。  たった1人で吉岡一門総勢73人と戦う状況に追い込まれる武蔵。  でしゃばる小次郎など引っかかる演出も多いが、武蔵の凄まじい殺陣を見ればそんなものはどうでも良くなる。   一人、また一人吉岡一門を斬っていき、やがてラストの壮絶な決闘へと戦いはエスカレートしていく。  万全の体制を期す一門だが、既に武蔵は山ので待ち伏せ、一門打倒の策を練り上げる。  策といっても、武蔵も生きるか死ぬかの命懸けの策。 武蔵の策は常に死中に活あるのみ・・・!  名乗り挙げるやいなや猛スピードで一門に斬りかかる迫力! 戦に卑怯もクソもあるか、戦場にいるなら問答無用で斬り捨てるのみ!  泥まみれの死闘は圧巻だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-04-02 00:46:14)
16.  ミツバチのささやき 《ネタバレ》 
再見。 ルイス・ブニュエル「ビリディアナ」のようにフランコ政権を批判しただとか、そんなことは俺にとってどうでもいい。  ただありのままに友達たちと映画に興奮し、怖がったり、悲しくなったり、家族と触れ合う暖かい様子を拝めているだけで幸せな気分になってしまう。 とにかくアナが可愛いのですべてがどうでもよくなりそう。  分裂した家族が紆余曲折を経て希望に照らされるまでを描くこの映画は、移動映画がアナたちの通う学校に来る場面から始まる。  ジェームズ・ホエール「フランケンシュタイン」を見る子供たち。 笑みを浮かべたり、驚いたり、怖さに両手で顔を覆ったり、じっと凝視し続けたり、みんな好奇心に満ちた表情で食い入るように見る。俺も子供の頃は純粋に物事を楽しんでいたのを思い出す。あの頃の自分に戻りたい。  アナはフランケンシュタインの行動に疑問を持ちイザベルに尋ねる。ませたイザベルは「これは作り物だから大丈夫よ」とシビアに返す。アナにとって天使か悪魔のささやきか。  アナとイザベルは仲の良い姉妹だが、イザベルは騙されやすいアナをからかって愉しんでもいる。  夢見る少女が好きだからこそ、からかいたくなる現実的なイザベル。そんなイザベルに憧れに似た気持ちを持ちつつ、見守るというより少し距離を取ったりもしてしまうアナ。それでも彼女は“夢”に出会いたいと諦めない。  イザベルが次に何をするか楽しかったりちょっと怖かったりするのが面白い。 自分の血で化粧をするように唇を染め、早く大人になりたそうな、何かに目覚めたような視線、床にブッ倒れてみたり、黒猫の首をギュッと締めてみたり(すぐに離しはするものの)、火遊びだってやっちゃったり。スリルを味わいたいお年頃。  姉妹のドタバタを耳でこっそり聞くお母さんの姿も微笑ましい。 養蜂家の父は、アナとイザベルをミツバチのように大切に育ててきた。 彼が日記を付ける様子に、アナたちとミツバチの姿が交互に映される。家の扉まで蜂の巣の模様。でも奥さんとの仲は微妙なところ。奥さんは車内から覗く若い異性をマジマジと見ちゃったり、何処か影のある様子も。影絵、ピアノ、古いアルバム。  ミツバチが籠の中で這いずり回り時々外を飛び交うように、アナとイザベラもじっとしたり遊んだり、小高い丘から競争するように駆け出し、広い原っぱに飛び出していく!  線路に耳を当てて接近するものの振動を感じ、黒い煙をもうもうと吐き出して徐々に近づく物体にドキドキし、間近で自分たちの横を通過する列車を見届ける。  そこにはビクトル・エリセが好きなジョン・フォードを初めとするアメリカの広大な西部劇を思い出すような光景が拡がっている。 何処か懐かしい、怖いけどワクワクするような気持になってしまう夢が詰まった大地。だだっ広い空間を無邪気に突っ走るだけで心が躍るではないか。  探検した一軒家の廃墟が新たな出会いを生むとは思わなんだ。  運命的な出会い、アナにとっての「フランケンシュタイン」が電車から飛び降りてくる。どうやら男は命を狙われているらしい。ドアから恐る恐る入り、壁の影に隠れ、穴から覗いてみたり、徐々に距離を詰めていく。 映画でフランケンシュタインに接近した少女への憧れと恐れ、差し出したリンゴが縮めるもの。 アナの心の中に芽生える初めての感情…しかし、彼女の淡い想いは闇夜の閃光によって掻き消される。止まった時計と、岩に残った血痕が顛末を知らせる。  アナが家出した森で見る幻想。  父に言われていたキノコはアナが会いたがっていたのか、あるいわ会いたくなかった者の姿をアナに見せる。水面に映るアナの顔は、フラケンシュタインのように映る。  アナにとってのフランケンシュタインは去ってしまったが、その代わりアナの家族は希望に満ちた朝を迎える。  アナもまた、イザベルに言われたように最後まで精霊に呼びかけ続けるのかも知れない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-19 21:30:37)
17.  ミクロの決死圏 《ネタバレ》 
リチャード・フライシャーの代表的な傑作の一つ。 スパイ・SF・ファンタジー等あらゆる要素が盛り沢山。 レーザー縫合や人体に縮小した人間を送り込んで治療するというアイデアも先見性が高い。 ミクロ技術はまだまだ研究段階だが、近い将来可能になるとしたら凄い事だ。アイデアも豊富だし、とにかく面白い。 人体を本当に巨大な「迷路」にして冒険しようだなんて誰が想像つく? 患者の治療を「軍事作戦」として行う展開、そして“裏切り者”が誰か疑心暗鬼が繰り広げられる二重構成。 ストーリー構成と技術の見事さ。これCGじゃ無いんだぜ?スゲエよ(でも流石に船はゴツゴツしすぎのような気が(ry)。 最後までスリリングで面白かった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-12 15:59:19)(良:4票)
18.  みかへりの塔 《ネタバレ》 
凄い映画だった。 ストーリーは問題を起こした“子供”なら小学生だろうと大人だろうと送られ集団生活をさせられる学園の話。 浮浪や盗み、怠け者など問題児を一緒に生活させて更生していこうというものだ。 映画は1941年と戦争も近い筈だが、非国民がどうとか戦争のプロパガンダとかそんな要素は微塵も感じられない。 集団で社会的な学習をさせ、子供たちに自分の長所や短所を見極めさせるなど興味深い。 つうか「寝ショウベンの統計」って(笑) 教員も擬似的な父親・母親となって家族のように教えていく。 仕事が忙しいので託児所の代わりにする親も入れば、自分の不始末を人任せにしようという無責任な親も出てくる。 育児放棄も同じだ。 今の我が子に過剰に愛を注ぐ「モンスターペアレント」とこの映画の親たち。一体どっちが酷い親だろうか。 どんな事情があれ、俺は両方ともクソだと思うよ。てめえの不始末他人に押し付けるような親はな。  まあ俺も最初こそ「悪い刷り込み」を感じた。 塔に入ったばかりのお嬢ちゃん育ちの女の子と一緒の気持ちだった。 だがそんな考えは次第に薄れる。 子供たちはみんな活き活きしているし、厳しいけど個性を尊重する辺りなどある程度のびのびした感じだ。 また、卒院しても社会に打ちのめされ戻っていくる生徒の様子も良かった。 塔を見る世の中の冷たい現実、そんな現実にまた戻り挑み直そうとする場面。  笠智衆の先生の言葉も良い。 「世間に負けないように強くなれ。ここで培ったことを忘れるな」逆境に負けるなという教えが感じられる。 水を引いていく力強い場面はキング・ヴィダーの「麦秋」を思い出す。 言葉には言葉、拳骨には拳骨で応える。 拳骨の後に抱きかかえて励ます姿勢がグッド。これが本当の愛のある拳骨や。  「蛍の光」は思わずうるっと来てしまう。 鐘の音はちょっと拍子抜けしたが、去っていく生徒たちの希望と不安を感じさせるシーン。 横を走る汽車も、この数年後には戦地に行く兵士たちを乗せて走っていくのだろう。 戦争を知る前と知った後じゃ印象が違うラストだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-06 14:37:56)
19.  皆殺しの天使 《ネタバレ》 
「皆殺しの天使」・・・いやー聞いただけで「それ何てヴァイオレンスアクション?」と想像してしまうねー。  ま実質タイトル詐欺です。  中身があるんだか無いんだかよく解らない、何を考えているのか、いや何も考えていないかも知れないブニュエルらしい映画。  音、悪夢、手、そしてセクハラ・・・ブニュエルと言えばこの内3つは確実に映画の何処かに入れてくる(セクハラはほぼ100%)。   ストーリーはパーティーに招かれた様々な富豪たちを密室に閉じ込めてしまうというもの。  密室というか、パーティーに招いておいて給仕が大量に辞めたり、何故か居座り続ける富豪たち。  何処までも変な作品だ。  解ったから早く出ろよ・・・。   ウィリアム・ゴールディングの「蝿の王」って本があるな。  あれは逃げ場のない孤島で人々が殺し合うが、こっちは別に鉄格子で閉じ込められるとかそんな話じゃない。  出ようと思えばいつでも出られた。  だが「どうしてここに居続けるのか解らない」という映画だ。  「じゃあ出ればいいじゃん」と言っても誰も出て行かない。  そう、出るのは簡単だ。  だが誰も出ようとしない。  死体遺棄がバレるから?  それとも下らない意地の張り合い(サウナの我慢大会みたいな)?  まるでボンドを追い詰めておいていつでも殺せるのに、何故か引き金を引けない悪党みたいな連中ばっかり。  かといってボンドみたいに秘密兵器で「テレッテレー♪」してくれる人間も出てこない。  延々と屋敷に篭って我慢大会だ。  屋敷の外で見守る連中も何故か誰も入ろうとしない。  なにこの暗黙のルール。  外から入ったら時限爆弾でも爆発すんのか?どうなんだよ?さっぱり解らん。  水が欲しい?  じゃあ壁を崩して水道から飲もう!  腹が減った?  それなら山羊を食いつくそう!  死体が出た?  悪夢にうなされる?  バカッぷるが乳繰り合ってる?   い い か ら 外 に 出 ろ (怒)  いい加減にしろよてめえら!  何の我慢大会だよ!?  つうかいつになったら「皆殺し」が始まんだー!!(期待するところがおかしい)  てっきり食べた食事に毒があって一人だけ生き残る・・・ソイツが“天使”だった!・・・的なオチを期待した俺が間違いだった ・・・だが何故か飽きない。 解ったから早く出ろよ・・・
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:45:36)(良:1票)
20.  三つ数えろ
フィルム・ノワールの傑作。ボガート&バコールの黄金コンビ。 「脱出」ほどじゃないが、二人の息の合ったコンビはやはり見もの。  私立探偵フィリップ・マーロウが複雑怪奇な事件の真相を探る話だが、正直言ってワケが解らない部分も多い。  「あの男」の死因やチャイナ・ドレスに身を包んだ女性と次々にファム・ファタールに化ける女性たち、二転三転する下手人・・・つうかどんだけ女性出てくんだよ(オマケに全員別嬪という)。  だがサクサクテンポ良く進むストーリー、マーロウと美人揃いな女性陣とのウィットに富んだトーク、ボガートの書店での見事な“演技”と飽きがまったく来ない。  ドラマだけでグイグイ魅せてくれる面白さ。  受話器のやり取りなんか「どっちがかけたんだよ」と腹を抱えて笑ってしまう。頼むからこれ以上ややこしくしないでくれ(笑)。   真相に近づくマーロウだが、マフィアとの銃撃戦も見事。  ボガートのスピーディーなアクションが炸裂する!   特に終盤の銃撃戦の二段構え。  三つどころか二十秒の緊張、ファム・ファタールとの見事な「だまし討ち」、屋敷における駆け引き・・・うーむ130分という長さをまったく感じなかった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-20 13:21:30)
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