1. みなに幸あれ
《ネタバレ》 「上っ面」と言ってしまうと非常に聞こえは悪いのですが、私も決して表層的・物理的には出来の悪い映画ではないかな…と思いながら実際に観てたと思いますし、かつ全く内容が無い様な映画でもなかった⇒だからその意味でも少なくとも悪い映画とまでは言えないかな…とは思うのですね。ただし、その「内容」が悪くなかったコトとゆーのは、私の率直な意見としては「ホラーとして」では(また)決してなくて、あくまで「風刺劇・ブラックコメディとして」てコトなのですよね。端的に、私の個人的な感覚としては、本作って全く微塵も怖くはなかったのでして(多少なり怖かったとしたらソレはも~ド初っ端のみですね)、ソレは何故かと言ったら作中に「現実世界と地続きな部分」が一箇所たりとも存在していないからだ、と思うのですよ。 まずその、メタファーを効かせた奇妙な話・寓話としても、例えば昨今のジョーダン・ピールの諸作品とかと比べると、逆にその舞台が「日本のフツーのありふれた田舎」とゆーのが、我々日本人にとっては却って効果的でなかった部分もあるかな…と思ったりもします(⇒この感覚は、少し言語化が難しい・ややこしいのですケド、私の場合は「好い様で悪い様で⇒でも好い様でやっぱ悪い」みたいな感じで観てる間ずっと頭にモヤモヤこびりついてました)。んで重ねて、私としてはハッキリ、今作はホラーとしては「質が低い」と言いたいのですケド、そう思う最たる理由は結局、どだいホラーに為り得ないモノを⇒案の定終盤で「無理に」ホラーに仕立てて来たな…と思っちゃったってコトなのですよね。まずはあの薪割りのシーンが顕著で、アレは流石に私も「ホラーをやりたいんだったら好い加減ここらでスプラッタぶち込むしか無いんじゃね?」てコトにしか見えてませんでしたし、あとはその先の婆ちゃんの妊娠・出産(らしきモノ)の辺りも、コレはもしかしたら此処にも何らか比喩的な意味が込められている…のかも知れないのですケド、にしてもコレも私にはどーにも「グロい・エグい描写を唯々入れて置けば勝手にホラーになる」くらいの安易な選択にしか思えなかったのですよね。その辺りの軽薄さが(=その様に軽く見えてしまったコトが)私にはちょっと受け容れられるモノではなかった(=諸々と悪くはない作品だとは思えど、少なくともホラーとしては受け容れ難かった)というコトなのですよね。 ※余談:もう一つ、私は別に、ホラーにおいてソレが重要な評価軸になるとは(実は)ほぼほぼ思って居ないのですケド、今作に関しては何となくその「テーマ」というトコロにも、率直にあんまり共感ができなかったのでこの評価に為っているワケです。ヒトの幸福は「奪うモノ」であって、だから「奪われる」のが怖いんだ(或いは「奪わなければいけない」のが怖いんだ)てなコトを言いたいって話なのかと思うのですケド、ソレってホントにそーなのですかね??そリャ、世の中って部分的にャアそー見えるトコロがあるってのは私も承知はしますケド、本質的には私は、ヒトの幸福とは「与えてそして共有するモノ」である、と最近は信じて已まないのですからね(⇒だから正直、ソコにも全然ピンと来てなかった=だから尚更怖くも何ともなかった、としか言えねーのですよね)。 [映画館(邦画)] 5点(2024-01-25 00:28:07) |
2. ミス・マルクス
《ネタバレ》 カール・マルクスの末娘エリノアが、父の死後その志を継いで政治活動に邁進し業績を残すも、後に43歳の若さで非業の死を遂げた…なんてコトを知ってるハズもなくって、だから伝記映画としては(その時点で)そこそこ興味深く観るコトが出来たとも思いますし+シンプルに政治運動的にはごく非常に立派な女性だったのだな…とゆーのも全然しっかり伝わってくるトコロかとも思いました。しかし、またシンプルに映画としてはあまり面白く観れなかったとゆーか、ちょっと???となってしまう様な箇所も大いに散見されたとゆーか………何よりもまず、他でも散々に言い尽くされているコトだとは思いますが、オーラスのこの描き方(解釈)てのは、流石にちょっと無理があり過ぎる…という気が第一にはしてしまいますかね。彼女は社会主義的な政治活動家であると同時に、主に周りの男どもが(親父も含めて)ドクズだらけであったというコトが原因ともなって、本作ってたぶん政治ものとゆーよりはフェミニズム映画の方により近くなってると思うのですよね(⇒製作の根本的なモチベーションも、たぶんソッチの方に在ったのではねーかな~とさえ)。だから尚更、この非業の結末をこ~んな感じでポジティブなモノに唯々見せかけようとする…てのは、個人的にはやっぱ無理筋としか言えないかな~と。。 他、シンプルにあと説明が足りてるか足りてないか(=観てるダケで何が起こってるか全部分かるか)と問われたらソレも無理!と言うしか無い様な予習前提みたいな感じでもあり、んでその原因の一つだとも思えてるのが所ドコロにドエラくスローモーな無音無言の芝居のシーンがちょこちょこ入ってくる…コトに依る(部分的に)ちょっとマロ過ぎるテンポ、ですかね(⇒とゆーか、中々こんなん観たコト無かったカモ?とでも言いたくなる様な、ある種「異様な」リズム感を擁する映画だったかな…とすら思えてますね)。お決まりのインターナショナル高歌放吟!がやっぱチラホラ挿入されんのと、最初と最後はフツーに思い切りロックンロール絶唱!だったりだとかも含め、何やら演出の一つのキモとして「歌」を活用したったろう!て映画だったぽいのでソコの効果を狙ってのコト……だったのかどーかは、私にはやや確信持てないトコロではあります。 [DVD(字幕)] 4点(2024-01-20 16:18:08) |
3. ミンナのウタ
《ネタバレ》 毎度のコト、全く事前情報を入れて行かなかったのですが、要はアイドル女優さんでホラー撮ったろう!の男性グループ版!なのですよね。個人的にはまず、男女を問わずそーいうのは一定の需要が有る=喜ぶ人が居るからやってるコトだと思うので、少なくとも「意味」はチャンと在るのだろーからその時点では何も思うコトはありません(あくまでその意味が私には伝わり切らないかも知れない…というダケで)。 で、肝心の内容はとゆーとコレがクラシック・Jホラー・ダイジェストとでもゆーか、誰でもちょっと観ればスグに分かる様な『リング』『呪怨』『着信アリ』なんかのごった煮…的なヤツなのですね(当然、賞味期限的にはかなり微妙…)しかし、中盤~ラス前にかけてはその培ったノウハウを全開にしてるとゆーか、確かに観たコトある描写ではあれどショックシーンがそこそこ怖くなくもない…みたいな感じでまあまあ盛り上がったりもするのです。布団の中とかシャワー中とか、あと少し走ってきて死角に入って⇒でお化けと入れ替わる、とか、古典的ではありますが(だから)いつやっても怖いモンは怖いので。加えて、肝心の男のコ達ってのも(全く経験が無いとかってナメたコトでもないよーで)それなりに演技が観れなくもないかな…とも思いましたですね。個人的な結論としては、この手のとしては寧ろごく出来の好い方かも…と思いましたかね。 ただし、痛恨なる一点が…ラストとゆーかホラー的なクライマックスであるあの家でのシーンは、ココだけはちょっとあまりにも支離滅裂・訳ワカメでしたすね。。基本、全編通してオマージュという名の丸パクリではあるのですが、だとしてもせめてラストぐらいはもう少しアイデアを出せなかったのかね?と流石に少しガッカリしてしまいました。最終結論、かなり悩みに悩んだ末に、低めに寄せたこの評価としておきます。無念… [映画館(邦画)] 4点(2023-08-11 17:38:00) |
4. ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
《ネタバレ》 このシリーズって、監督がこの人になってからは見事に「右肩上り」を遂げていると思ってましたが、今作もまた確実に向上が見て取れたかな…とゆーのは最初に申し上げておきたいトコロですね。でも一方で、テーマ(=ナニをどーするコトで世界を救うのかって部分)からすると意外なマデに「アナログ」な質感のアクションが揃ってた印象も在るのですが、コッチはトム・クルーズ自身の「ポリシー」てなコトでして、私自身もコッチの方が好みなのでソレもまた好かったです。でまた、今風で時流的な「ラスボス」を配しているコトに比してもメインのミッションはコレも実にアナログに「(物理的な意味での)鍵の奪い合い」という内容的にはもはや古典的なアクション・スリラーだったとも思いますが、いちおう、映画として今作が超・長尺なコトに対しては⇒比較的にも敵味方がかなり複雑に入り乱れて⇒誰がナニを企んでいるかの部分に多少「仕掛け」みたいなモノが在るという構造なので⇒アクションが高品質なコトも踏まえると十分に楽しく最後まで観切れるクオリティではあったかな~と思います。PART1ではありますが、しっかり盛り上がって+しっかり区切りがついて(+次ナニをやればいいのかもしっかり明示した上で)終わっているので、その意味でも観切った感は十分に在って好かったかな、とも。個人的にもう一つ、女優さん連中がかなりゴージャス・ハイクオリティだったのもまたシンプルに高ポイントですね。結論、全然オススメ出来る作品です(映画館で是非)。 [映画館(字幕)] 7点(2023-07-30 21:26:46) |
5. ミュジコフィリア
《ネタバレ》 原作未読。ですが、端的には若き芸術家を主人公に置いたアート系青春もので、かつその手としても一番よくある方の音楽分野のお話です。ただし、今作はその中で「現代音楽」にフォーカスした内容になっていて、その方面の考え方・理論とか、あるいは音楽シーン自体もそーいう系統のものがふんだんに含まれてくるコト自体は、ワリと面白く・興味深く・新鮮にも感じながら観てゆけたのですよね。しかし、後半は(現代音楽というコトで)いわゆる「未聴感」が一つのテーマとなってゆくのですけれど、一方で物語の方は終始(特に主人公の境遇や動機付け、あるいは他登場人物のキャラなんかも含め)極めて高度に「既視感」の強いものになってしまっていて、個人的にはソコには実に強力なチグハグ感を覚えずには居られませんでした。あともう一つ、人物関係の中でも特に幾筋かの恋愛感情の部分はハッキリと説明不足に感じられていまして、ソコは原作未読者にはちょっと不親切…というレベルだったかと思いますね(=分るには分るケドも、入り込める・感情移入できるとは言い難い)。 チグハグ感で言えばもう一つ、チョイチョイ入る松本穂香ちゃんの歌も、個人的には+少なくともこの作品に関しては明らかなミスマッチだったかな…と思いましたよね。音楽映画だから歌が入っても(本来的に)悪くないだろうし+穂香ちゃん自体も結構歌上手いし+曲も(ポップ・ミュージックとしては)全然悪くないし…とは思いますケドも、作品のテーマとは全然(全っ然)合ってないですよね…としか。。 [DVD(邦画)] 4点(2023-07-14 16:30:26) |
6. M3GAN ミーガン
《ネタバレ》 実際に前半半分に関しては殆どホラー的な描写が無いコトも含めて(後半~最終盤はそこそこ派手なアクションホラーになってはゆくものの)全体としては極めてSF的な雰囲気の強いホラー作品だ、とは思うのですよね。その意味では、内容は先の『チャイルド・プレイ』最新作なんかにもかなり似通っているとも思うのですが、ソレでもコッチはまたやっぱ「時流」に乗り捲ったとゆーか、2022末からのChatGPTの隆盛+その技術的なキモである高度な学習機能、なんかにも物語上のキー要素もろもろがズバリと重なってくるが故に、多くの人々が何とな~くそーいうモノに対してそこはかとない不安・恐怖を抱いているコトも含めて、ホラーとしてもSFとしてもごく非常にタイムリーな質感を面白く感じて観てゆけた…という作品だとは思うのです(少なくとも、今今にコレを観たのであれば)。 ただ、個人的には、そのメインディッシュたるSF部分に関しては若干ながら「雑だよな…」と思ってしまったトコロもありまして、ソレは例えば主人公が(大した苦労も工夫も無いのに)ごく唐突にこ~んな突出してハイスペックなAIロボットを完成させてしまって、しかしあろうことか(実世界ではコレだけ皆で「AIの倫理」についても議論に議論を重ねている…という状況にも関わらず)恐らくシンプルにチューンナップが好い加減なロボットを子供に預けた所為で(案の定)悲惨な結果を招く…という、この月並みなプロットにすらも説得力とか納得感がちょっと不足しちゃってると思うのですよね⇒正直、あの主人公ってこんなんつくれるタマのエンジニアじゃねーだろ!と思っちゃうのですよ。どだい、軍事用AIってならともかく子供のオモチャをつくろうとしてて⇒でナンでこんなコトになんねんな!と(アホかと)。コレも正直こんなんならまだ「ブードゥーの秘術」とか「偶然の落雷の所為」とか言われた方が(筋書きとしては)しっくり来る…てなモンなのですよね。あと一つ、コレもごくシンプルにこの主人公って、姪っ子への態度ダケを見てても人として全く共感できないのですよ(頭も好くて美人で金持ちなのかも知れませんケド、ちょっと関わり合いにはなりたくない…というレベルで)。 とは言いつつ、まずはその主人公のキャラといった部分についてはある種の「伏線回収」がラストで為されていたとも思いますし、ホラーとしては比較的マイルドな質感ながら映像の出来なんかも結構気合が入ってたと思うのですよね(⇒そもそも、ホラー的主役のミーガンちゃんは、アレってCGなのか実写なのか中々好く出来た質感の映像でしたよね)。加えてやはり、とにかく時流に乗った話であるが故にホラーとしてもSFとしてもかなり「奥行きの在る」物語になっていたのもまた確かだと思うのです(重ね重ね、今現在にコレを観たならば)。結論、ココは観終わった時点の満足感に素直に従うコトにして、いったんこの評価としておきます(オススメできますね)。 [映画館(字幕)] 7点(2023-06-28 23:58:05)(良:1票) |
7. 耳をすませば(2022)
《ネタバレ》 かなり評判が宜しくない様なのですが、個人的には別にそんなに悪くはなかったかな、と思います(まァ、好くもねーケド)。ただ、鑑賞後にそこら辺の「批判」の内容を確認する分には、ソレはソレでワリと「尤もな」コトではあるかな、とも思いましたですね。私の理解としては、とにかく今作の最大のコンセプトは唯々あの名作の「続編」というコト(あの二人の「その後」を描いちゃうよ!というコト)に尽きるのでして、それ以上の価値(=お話の内容)とゆーのは率直に然程のモノは無かったと思いましたし、また結局のトコロは成る様にしか成っていかないお話でもありましたし、そもそも種々の側面においてほぼほぼ前作と「同じ」お話だった、とすら思いました(主人公二人にしても、キャラクターの根幹部分とゆーのは全く変わっていない≒そんなに成長もしていない…?的な)。まあ重ねて、ソレはソレ自体が「狙い」だったのだ、とも思うのですよね。だから(コレもそもそも)そーいう根幹の部分がピンと来ないという人だと、どーしたって面白くは観れないのかな…とも思いますかね(で結局、そーいう人が結構多かったのかな、と)。 んで、そーいうのはそーいうのとして受け入れられる私としても、2点ダケは多少しっくり来なかった…とゆーのが、まずは主役の二人 or 彼女らを演じる俳優さんの「年齢」ですかね。いちおう、前作で約束した「十年」とゆーのがあるので、今作の二人も20代中盤…なのだと思うのですが、ソレを演じる清野菜名さんは26,7歳、松坂桃李さんは34,5歳で、だから実際にもちょっと年上に見えるのですね。特に、松坂桃李さんはより明確に年上に=必要以上に落ち着いた「大人」に見える、とゆーコトで、ソコは私としても(少しダケ)違和感としては感じられました。 もう一つは、何と言っても『カントリーロード』ですよね。後の監督インタビューを読むに、コレは演出上の意図だった…とのコトらしいのです。確かに、歌詞の内容としては『翼をください』の方が話には合っている、てのはまあまあ合点もゆくコトですし、シンプルに曲としても『翼をください』だって全然悪くはない(なかった)とも思います。しかし、前述どおり「あの名作の続編」とゆーのが第一な&高度なコンセプトだったら、そんな小手先の「小細工」を弄するよりは、素直に『カントリーロード』を流しとけば好かったジャン!とだって(確実に)そう思ってしまうのですね(だから、何となく「大人の事情」の方を勘ぐってしまう…てのがまた本音なのでありまして)。 [ブルーレイ(邦画)] 6点(2023-04-24 21:12:54) |
8. 水を抱く女
《ネタバレ》 主人公の女性の名前そのまんまに、ヨーロッパに於ける普遍的な神話的概念「水の精(ウンディーネ)」をモチーフにした現代ファンタジー、という感じの作品。オペラだったら例えばドヴォルザークの『ルサルカ』なんて作品も存在するが、ウンディーネは総じて悲恋の物語の主人公となる、その部分を投影した現代版で、ただしウンディーネの伝承の細かい設定までを忠実に反映・再現しているモノでもないし、そもそも映画としてその真相が隅々まで明示されて終わる、という訳でもない。端的に言えばごく不可思議なおはなし(部分的には少しだけ不可解)として観るべき様なモノだ、と言ってまた好いであろうと思う。 その意味では、多分に雰囲気映画の類いとも言って好いかも知れない。そしてその雰囲気の面については、出来はまたかなり上質というレベルだったかと思います。まずはまたバッハの音楽が抜群にハマってましたね(協奏曲ニ短調)。なんとゆーか、水って実は哀しいモノなのかなあ、と感じさせられたとでもゆーか。水が奥底に秘める静けさ・暗さ・冷たさそのものこそ、ウンディーネの悲劇的な運命のある種の根源・理由なのではないか、と(その部分のイメージとゆーのは比較的温暖なアジア=東洋とそーではない西洋との文化的差異、とでも言って好いものなのかも…とも)。 前述どおりやや曖昧な雰囲気映画とは言え、ラスト付近はごく手堅いまずまずの分かり易さで、また小物も使ってお洒落に演出されるので結構気持ち好く観終われたと思います。また、ギリ90分という尺も(この内容でこれ以上の長さは確実に冗長になる、という意味で)非常に適切だったかと。偶には気楽に小品でも観るか~て観たのがこれホドのクオリティだと、なんとゆーかお得感がハンパ無いですね!実はかなりオススメです。 [DVD(字幕)] 7点(2021-11-01 21:31:29) |
9. Mr.ノーバディ
《ネタバレ》 よくある「隠れ」スーパーマンが躍動するアクションスリラーで、お話の中身・キャラ設定・実際のキャラの出来映え等についても、さほど特筆するレベルなモンでもないかと思います。ボブ・オデンカークって、もっと全然年寄りなイメージだったんすけど(現実も還暦近いし)、今作では40代くらいの設定でしょうかね。だとしても若々しさやパワフルさといったものは(見た目的にも)あまり強くは感じられませんし、個人的にはジェイソン・ステイサムとかデンゼル・ワシントンとかキアヌ・リーヴス、とかの方がこーいうのとして好みではあります。 ただ、その肝心のアクションの爽快感とゆーのは率直にかなり素晴らしかったですね。例えば、音楽の使い方が実に好いです。ジャズ風の曲が多かった気もしますが(サッチモとか)ノリは好いしレトロな聴き心地もリラクサブルで、結構凄惨なアクションシーンなのですけど(主人公側もチョコチョコダメージ喰らってますし)実に心地好く眺めてゆけるのですね。その意味では、スピード感重視の(内容薄めな)展開運びも空気感を味わう上では適切だったかと。 全体的に非常にシンプルで軽~く観れるという映画です。暇潰しには確実に有用な作品でしょう。 [映画館(字幕)] 7点(2021-07-22 12:41:54) |
10. みをつくし料理帖
《ネタバレ》 ドラマの内容としては(ほんの一部にシリアスな場面も孕みつつも)ごくほのぼのとしたヒューマン系、しかもややダイジェスト的、というか、好いトコロ寄せ集め!という感じでもあるケド、その纏め方自体はかなり手堅く、そしてこれも緩やかな全体の間の取り方もあって実にノンビリとホッコリと観てゆけるという作品だと思う。 そしてその間の取り方とゆーのが、個人的に非常に心地好かったですね。時代劇ならでは、と言いつつ、最近は時代劇も(昔に比べれば)実に忙しなくなってるなあ、というのを逆に実感しました。そもそも現代劇では中々こーいう間の取り方はこれも逆に難しいかも知れない、とも思います。今作、役者さんの演技がこれまたその間にズバリとマッチしてるというか、どれも非常に味の有る優れたものばかりでしたね。一番好きなのは終盤の澪と小松原のシーンです。これも時代劇的、というか、何とも奥ゆかしい日本的な好さのある素晴らしいシーンだったかと。確実に良作以上で、かなりオススメな方でゴザイマス。 [DVD(邦画)] 8点(2021-06-18 23:55:06)(良:1票) |
11. ミッドナイトスワン
《ネタバレ》 映画全体の質の高さに比して、演技面はやや微妙、というか、正直言って若干しっくりこない。草彅クンは特に前半、感情をイマイチ演技に乗せ切れておらず、キレが無い(ただ中盤以降の比較的早くから彼は大分落ち着いた役柄に変わってゆくので、前半であまり感情をむき出しにしない様にしていたのはあくまでバランスを考えて、ということにも思える)。もう一人の主役たる服部樹咲ちゃんも、演技未経験というだけあってその素朴なお芝居は「今できることを精一杯やる」という感じだし、その他含む全体としてもさほど演技のクオリティで何とかしよう、という感じでもなかった様に思う(主演ふたりの出来に対する、これもバランスなのかも知れないと感じる)。 ただ、草彅クンは見た目・雰囲気の面では、その部分のリアリティとここぞの場面で醸す哀愁が絶品であり、キャラクター自体の出来は素晴らしかったと思う。樹咲ちゃんも、とにかくバレエ場面が上手い&綺麗でこれも素晴らしかった。演技だけが役者の仕事ではないのだし、私は今作をこの2人でつくったのは成功だったと思う。 お話の内容の方は、率直によく出来ていた。LGBTを題材とした映画としてもかなり壮絶に悲劇的だが、それもこの題材のひとつのリアルな側面なのは間違いないだろう。叶わぬ願いを追い続けるよう宿命づけられた凪沙がただ自分自身で在り続けようとする様には、人間の気高さを思うのだし、そして凪沙と寄り添い生きた一果が夢を叶えて生きてゆく人生の中にきっと凪沙も生き続けるのだろうこと、それはある意味「母」と子の絆であり、凪沙が確かにこの世に残したもの、だったのだろうと思いたい。 [映画館(邦画)] 8点(2020-10-05 18:59:05) |