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プロフィール
コメント数 3959
性別 男性
年齢 53歳

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1.  ゆすり(1929) 《ネタバレ》 
ヒッチコック初のトーキー作品、ですが、冒頭の警察車両が急行して容疑者を逮捕するシーンや、クライマックスの逃亡~追跡シーンなど、部分的には、いかにもサイレント映画。両方の要素が楽しめます。セリフ無しで盛り上げる手法自体は『知りすぎていた男』なんかでも再現されていますが、その先駆となっているだけではなく、冒頭シーンとクライマックスとが、サイレントという手法を通じて対になっている(一種の「再現部」になっている)のが、構成の面白さ。もちろん、ただ同じことを再現するのではなく、舞台となる大英博物館の異様な雰囲気が目を引きます。特に、巨大な顔面の石像(これ、何?)の前で人間がロープにしがみついている場面、『逃走迷路』『北北西に進路を取れ』などを思い起こさせますが、空間にポツンとぶら下がる人間と、背景に写るその影が、像の巨大さと人間の小ささを際立たせて、異様さの点ではまさに随一。博物館の屋根の場面などでも、人間の小ささが、異様な雰囲気をもたらします。 という風に、多分に実験的な作品になっていて、その後の作品に大きな影響を与えた手法もあれば、たいして影響を与えなかった手法もあると思うのですが(笑)、それらひっくるめて大いに楽しめるのは、ストーリー自体はシンプルにズバリ要点を突いて、90分弱にまとめ、スリリングな娯楽作に仕上げられているから、でしょう。実験的な手法が自己満足に陥らず、作品を彩る「面白さ」に繋がってます。また、ただただスリリングであればよいという訳ではなく、緩急をつけることで後半盛り上げていくのも、お見事。もっとも、映画を倍速で見る(見たことにする)ような人たちなら、間違いなく「緩」の部分は早送りで飛ばされてしまうんでしょうが・・・勿体ない。 後の作品への影響の有無、という事で言うと、「わざわざ見せなくてよいものを見せる」「普通なら見せてしまうところを見せない」という両面があって、この作品、色々とやり過ぎ感があるのが、ご愛敬。だけど、間接的には、様々な影響を与えていそうな、いなさそうな。 ヒロインが男に連れられ、アパートメントの階段を上っていく。その階段にはカメラ側に手すりが無く、要は建築物の巨大な断面図。これだけのシーンを撮るために、こんなセットをわざわざ作るのか、というのがまず驚き。なるほど、街路から空間的に隔てられた危うい世界に足を踏み入れようとしている、という意味あいはあるのかも知れないけれど、それは例えば後のシーンで登場する「窓からはるか下に見える路上の警官の姿」などでも充分に伝わる訳で、一体どこにカネかけてるのよ、と思っちゃう。けれど、確かに印象には残ります。 自分を部屋に連れてきた男との気だるいやり取りのうちに、次第に男の態度が変わってきて、襲い掛かってきた彼をヒロインはナイフで刺殺してしまう。その後、彼女の目には、ネオンサインのシェイカーが、振り下ろされるナイフに見えたり、彼女の耳には、他人の喋る言葉の中の「ナイフ」という言葉だけが強調されて聞こえてきたり。この辺りも、わざわざそれを画面で見せるか、音声で聞かせるか、というシーンではありますが、サイレントの手法、トーキーの技術というものにそれぞれ、正面から向き合ったからこそ、生まれたシーンとも言えそうです。 一方、肝心の殺害シーンは、これは「見せない」方の典型。もみ合う姿は壁にうつる二人の影で示され、さらに現場はカーテンの向こうへ。その後の顛末は、カーテンの隙間から伸びる「手」だけで暗示され、むしろ静かに描かれはするのですが、何と言っても目を引くのが、事件前後で一変する、ヒロインの表情。このこわばった表情が、事件の恐怖を物語り、映画の空気感そのものを一変させます。さらに、現場を立ち去る彼女の後、建物に近づく怪しい影。 もちろん、殺害シーンを見せる方がよいとか、見せない方がよいとか言う話ではなく、例えば見せない手段をとった場合にはどういう表現があり得るか、ということ。ヒロインの凍り付いた表情が、より恐怖を持続させ、また恐喝者が現れて以降の彼女のモジモジした素振りによる「この先、どうなるのか」というサスペンスにも繋がっていきます。 事件の後、彼女が家に帰り、二階に上がると、外から鳥の声が聞こえてくる。こういうアンバランスさが、印象的。 一方で、再三登場する肖像画、それをダイナミックに捉えるカメラが、何やら象徴的。 シンプルだけど、盛り沢山。面白い。
[インターネット(字幕)] 9点(2024-05-04 06:41:18)
2.  夕陽に向って走れ
確かに異彩を放つ映画、には違いないのですが、、、だからと言って映画に引きこまれるかというと、それは別の話。主張が強すぎて、個人的には、ちょっとついていけないかな、と。すみません。 アウトサイダー的な先住民の青年が追い詰められていく姿、彼を追い詰める人々と微妙な距離を保ちながらも、彼と対峙するロバート・レッドフォード。特にクライマックスにかけての対決は、他の映画と一線を画す独特の描写となっています。 でも、独特ではあるけれど、技あり、という感じはしなくって。ちょっと、狙いすぎ? キャサリン・ロスの演技も、手持無沙汰のあまり、無理に行間を埋めようとするかのような、ムダな所作がちらほら。これを自然な動きというのか、演出力不足というのか。 ヘタウマと、単なるヘタとの差異って、どこにあるんでしょうね?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2023-04-01 03:32:43)
3.  U.M.A レイク・プラシッド 《ネタバレ》 
U.M.A.とは言っても、首長竜だの毛むくじゃらの大男だのが出てくる訳でもないし、レイク・プラシッドとは言っても、舞台は冬季オリンピックの開催地レークプラシッドじゃないし。じゃあ一体何なんだ、などと東宝東和に問うてみたところで、意味はなし。 それよりも、舞台となっているのがメイン州、ってのが、気が利いてるじゃないですか。えーと、メイン州ってどこだっけ(たぶんあのアメリカの右上のゴチャゴチャしたあたりだろう、と見当を付けつつ)、と思った時点で、早くも映画に引き込まれてます。 このド田舎感。静かな湖面。何かがいそうな、いや何もいなさそうな、実にイイ雰囲気。我々が子供の頃、旅行でどこかの湖に行って、「ここにもネッシーみたいなヤツがいるかも」と、一生懸命に湖面を凝視するムダな努力をしてた(え、しなかったって?)、アレに繋がるものがあります。 何やら湖に生息するらしい巨大生物に人間が食い殺される大事件が発生したにも関わらず、映画を通じて、ごく少人数のポンコツメンバーがその巨大生物の調査をチマチマとやってて、まるでパニック映画らしさがない点は期待ハズレといえば期待ハズレ何ですけど、独特のノンビリ感と、巨大生物(ワニです、ワニ!)の特撮のクオリティの高さとのギャップは、その不満を補って余り有り、この作品の大きな持ち味になってます。『レプティリア』なんかよりずっと魅力的な作品ですよ、これは。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-11 06:27:54)
4.  湯殿山麓呪い村
およそイヤな予感しか起きない、えらく小粒な印象の密室殺人事件、トリックはというと、例のあの名作ミステリ(自粛)と、例のあの名作ミステリ(こちらも自粛)を組み合わせだけだしなあ。とか言うのは、言いっこなし、かも知れませんが、少なくとも、映画として見せるには、余りに意外性もカタルシスも無くって。 即身仏に纏わる因縁めいた話が現代に繋がる、ってのは悪く無いんだけど、言うほど繋がってない、というか。 一体、この「真相」から、何を汲み取ればいいんですかね。と、ちょっと蚊帳の外に置かれた感。 とは言え、やっぱり、一体何なんでしょうね、この、ミイラというものに対するワクワク感ってのは。
[インターネット(邦画)] 5点(2021-08-21 11:17:10)
5.  ユニバーサル・ソルジャー ザ・リターン
冒頭からいきなり水上バイクでのチェイスが始まって、おっ、と思わせるけれど、これはあまりストーリーには関係なく、ただこのシーンからわかるのは、ユニソルの世界でも早くも(早すぎるが)世代交代、ヴァンダムもユニソルから普通の人間になって、そろそろ引退ですかねえ、と。 ではいっそ、ホワイトカラーになるのか、その後、会議の場らしいところにヴァンダムが同席しているのですが、まーこれが実に似合わないこと。もっともらしい顔をして座っているけれど、チンプンカンプンです、というのがヴァンダムの顔に現れていて、いやこれは表情というより元々こういう顔をいているんだからしょうがないけれど、とにかくこのヒトには会議は似合わない。誰か眠気スッキリガムでも差し上げておくれ。 で、人工知能がユニソルどもを率いて反乱を起こし、ヴァンダムがそれに立ち向かう、ってな趣向なんですが、こういう映画になると何だか、人工知能までが「脳ミソまで筋肉でできてるんじゃないか」と思えてきて、正直、どっちもどっち。かくして、大雑把な戦いが繰り広げられます。 当然のように当然のごとく、主人公像への掘り下げなど望むべくもなく、はたまたSFとしての面白味も乏しく、そうなると、自ずと見どころは少なくなる訳ですが(汗)、単なる筋肉男のシバキ合いと割り切って意外に派手なアクションをぶちまけてるのは、ちょっとした潔さ、ではあります。 それにしても、「ユニソル」などという中途半端な略称、こんなの使うのは日本人くらいかと思いきや、英語圏でも使うんですねえ。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-08-09 16:22:43)
6.  誘拐犯(2000)
最初の誘拐のシーン、銃を突きつけられていても全く表情を変えないボディガード2人組が、やたらいい味出してます。この時点で、この作品は普通の映画じゃないな、普通の展開にはならないな、と。 誘拐は明らかに失敗、なのに、結局、成功してしまう。やっぱり普通の映画じゃない。 この辺りも、銃撃戦の音だけを延々と聞かせたり、銃撃戦を演じる人物を画面に出したり引っ込めたり。「画面の中と外」を使った演出の遊び心が、ちょっと意表をついていて楽しかったりします。 映画中盤は多少、まったりモードになりますが、登場人物たちそれぞれに思惑があって、事態はいささか面倒なことにもなってきます。主人公が二人組なら、ボディガードも二人組。さらにその対決に絡んでくるベテラン仕事人、ジェームズ・カーンとジェフリー・ルイスも二人組。それ以外にもいくつか、影の二人組の組み合わせ(?)が・・・。 という、それぞれの二人組の思惑が錯綜して、クライマックスに突入する。ここで描かれる銃撃戦は、もはやサバイバル。意地悪にばらまかれたガラスの破片までにも苦しめられつつ、撃って撃たれて、激しい戦いが繰り広げられます。 ジェフリー&ジュリエットのルイス父娘の競演、にしてはこの二人の接点が妙に乏しいのが、ちょっと微笑ましくも。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2021-01-24 09:12:29)
7.  夕陽の用心棒
ジュリアーノ・ジェンマが何本のマカロニに出演しているのかも知らずに途轍もなく無責任なコト言うのですけれども、これはもしかして彼のマカロニ最高傑作ではなかろうか、と。所詮、ジェンマ的な最高傑作、という枠組みですけれども。 邦題のテキトーさも、作品によく似合っています。レオーネ作品の邦題の繋ぎ合わせ。 銀行強盗の一味が人質をとって立てこもり、そこで動員されるのが、牢屋に放り込まれていた凄腕ガンマン、ジェンマ。強盗一味がまるでお遊びのようにいちいちムダに無辜の人々を殺しまくる残虐な連中なら、ジェンマもまた、絡んできたチンピラ連中をまるでお遊びのように殺しまくって牢に放り込まれている。どっちもどっち、人の命を屁とも思っていないようなところがあって、後ろめたさを伴う小気味よさ、みたいなものを感じてしまうのですが。で、悪党どものあまりに悪辣な暴虐ぶりに、少年が目をそらし涙すると、軽薄極まりないジェンマがこの時ばかりはマジメな顔になって、泣いている場合じゃないだろう、みたいなコトをささやいて見せる。この主人公、ケーハクの極みみたいに見えても実は何か暗い過去を持ち心に傷を負ってるのか。それとも本当にケーハクなだけなのか。だってジェンマだもんね。 という、無責任型潜入捜査官みたいな主人公の活躍を描いていて、さらには人質となった銀行の頭取(?)と犯人一味の女性とがラブラブになる無責任な展開もあったりして、実にスバラシイ無責任さが展開されつつ、でもやっぱりこの主人公には何かが「ある」のではないかと、ホンの少しだけ感じさせるのが、ジェンマ作品のジェンマ作品たる所以、と言えましょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-02-29 02:40:44)
8.  ユリシーズ(1954)
オデュッセウス(ユリシーズ)の英雄譚を映画化した、イタリア製ファンタジー超大作(?)。製作者として、ディノ・デ・ラウレンティスとカルロ・ポンティが名を連ねてます。と聞けば、何となくスゴそう。 だけどどこかチープに見えてしまうのは、どうしてなんでしょうねえ。 エピソードのつまみ食いみたいな展開で、ふと気がついたら次のエピソードに移っており、え、もう別の話題なの、とか思っているうちに大団円。そんなに長い作品でもないしね。 一つ目巨人が登場するのですが、こういうのをストップモーションアニメではなく、特殊メークしたおっちゃんが演じていて(ちゃんと一つ目が少し動いたりしてる?)、なんだかおっちゃん臭いのです。その分、何となく愛嬌がありますが。 いかにも何も考えていなさそうなカーク・ダグラスの暑苦しい顔も、こういう世界観にマッチしているように思われます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2020-01-26 11:04:39)
9.  ユージュアル・ネイバー
冒頭の少年野球での事故のシーンから、家に閉じこもっている病弱な車いすの少年のエピソード、馴染みのない土地で祖父母と暮らすことになった少女のエピソードへと、断片的に提示されて、開始早々から油断ならない独特の雰囲気。やがて少女は、たまたま訪れた家の部屋の中にいた病弱少年と知り合うのですが、観てるコチラも身構えているもんで、ああ、きっと、「これらの登場人物たちの誰かは、実在しないのでした、幽霊なのでした」とかいうパターンだったりするんじゃないのー、とか、適当なことを考えるのですが、さにあらず。それよりもずっとおぞましい真実が、やがて明らかになっていくのでした。 少女を毛嫌いするかのごとく、少年から遠ざけようとする、彼の母親。訪問することを禁止された以上は、禁止を破るのが散文の散文たる所以ですから、そこにサスペンスが生まれる訳ですが、やがて意外な事実が明らかとなり、サスペンスの度合いも急上昇。さらに、その「意外な真相」が二重底になっていることに気づかされ、感心しつつもサスペンスは最高潮。なかなか心憎い構成になっています。 原題はThe Harvest。庭のトウモロコシに関係するのかと思いきや・・・。 それにしてもピーター・フォンダ。年老いてなお、カタギには見えませんな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-07-27 07:52:03)
10.  遊星からの物体X 《ネタバレ》 
これ初めて観た時って、エイリアン以上に覚悟しながら観て、エイリアン以上にコワかったなあ。人間だったはずのモノが、人間ではなくなり、異形の生物へと変化していくグロテスクさ。何が起こるかわからない、いつどんな形で襲われるかわからない、ありとあらゆることが起こり得る恐怖。 閉塞状況の南極基地の中で、一体誰がすでに人間ではない「何か」となっているのか。みんなアヤシイのよね~。何しろ、どいつもこいつも、みんな妙に顔色悪いもんで。あはは。 で、この作品、さらにコワくて不気味でイヤラシイのが、何かが潜んでそうな「空間」を描いているところ。誰もいない基地内がボンヤリ描かれて、何かがいそうで、実際、例のあやしい犬がうろついていたりする。あるいは、人物の背後で、ボンヤリと開いたドア。 そういう不安をさそいつつ、モンスターの描写はしっかりとグロに徹する。バカバカしいまでにグロテスク、だけどそこには、こんなのどうやって撮影したんだろう、という驚きもあって(ここでCG使うと驚きが無くなってバカバカしさしか残らない、という例が『~ファーストコンタクト』)。 なのに、最後にあんなハリボテのボスキャラ出すから一気にコワくなくなっちゃったよ、という声もありますが、うん、まあ、そうなんでしょう。否定はしません、ハイ。 ところでラストシーンで、「吐く息が白くない人物がいて、アヤシイ。実は体を乗っ取られているのでは」という話が昔からありますけれども、一説によると、南極というところは空気が大変に澄んでいるため、もともとあんまり吐く息が白くならない、という話もあります(行ったことないのでホントかどうか知りませんが)。だとするなら、このラストシーンでやみくもに白い息を吐いているヤツ(オマエだよオマエ)こそが、アヤシイのだ、ということになりますが・・・。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2018-10-14 16:59:07)
11.  夕陽の群盗
お世話になった家を、ケンカでムチャクチャにしてしまう後ろめたさ。 一歩間違うと「死」が待ち受ける際どさ。 若者らしい無軌道さと、守るべき一線、みたいなものが、少し規格から外れたようなリーダー格のジェフ・ブリッジスとのやり取りの中で浮き彫りになってきます。ただしそれはあくまで相対的に、ですが。そしてその揺らぎに、時にニヤリとしたり、ハラハラさせられたり。 物語の顛末は、アリガチと言えばアリガチですが、後味がいいですね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-08-08 21:09:05)
12.  郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946)
原作の魅力を支えているのは、粗暴・粗野・素朴で、教養があるとは言えない主人公の一人称の語り(巧みな文章というよりも、ストレートで、であるが故にハードボイルドな語り)にあるのでしょうが、本作、どういう魅力をここで表現しようとしているのやら。多少のアレンジがなされているとは言え、一通りストーリーをなぞってみただけ、という印象。ついでにタイトルにも強引に意味を持たせてみて、その努力、涙ぐましくはあるけれど。 暴力性も感じさせず、虚無感も乏しく、総じて、張り合いのないくらいにおとなしい映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-10-24 14:37:31)
13.  ユーズド・カー
休日の早朝、DVDなり録画分なりの映画を観ていると、子供たちも起き出してきて一緒に観てるんですが、中でもよく食いついてくるのが、こういう作品だったりします。何しろバカバカしいもんねえ。 カート・ラッセルが中古車屋の従業員で、インチキしまくりのトンでもないヤツ。店の向かいには、店長の弟がやはり中古車屋をやってて、何かと折り合いが悪い。という訳で、両者の間に、世にも情けない争いが繰り広げられる、という、いかにも子供の喜びそうな、お父ちゃんも喜びそうな、無責任この上ないオハナシなんですね。ああ面白い。 クライマックスはオンボロ中古車大集合。ラストのオチもバカバカしく、まさに尻尾の先まで無責任が詰まっています。 そうそう、塩をこぼしたり、梯子の下をくぐたったり、屋内で傘を開いたりする場面が、子供たちには不思議だったようで、欧米では縁起悪いことなんだと、大変勉強にもなる映画だったのでした。
[DVD(字幕)] 8点(2016-08-21 08:58:29)
14.  夕陽に立つ保安官
これぞまさにパロディらしいパロディ映画。ギャグ映画というのとはちょっと違うので、単純に大笑いしたい、という方には、あるいはご不満が残るかも知れませんが。この映画、表面的にはあくまで正統派西部劇を踏襲していて、ゴールドラッシュに沸く西部の町にやってきた流れ者のヒーローが華麗なガン捌きで悪党どもを懲らしめる、というオハナシ。クライマックスの決闘シーンまで、基本的な西部劇の流れがちゃんと楽しめますが、その一方で、肝心なところがデタラメ。墓穴から黄金が見つかって大騒動となる幕開けから、派手な割にオフビートな決闘シーンまで(さらにはお話の顛末まで)、いちいちズレてます。飄々とするにも程がある主人公に、冴えないにも程がある相棒。悪役たちも何だか憎めないい。ヒロインは手に負えない。これであと、もうちょっと丁寧に撮られていたら良かったんですが、パロディを楽しむには最適な一本でしょう。逆に、間違っても「西部劇を観るのは本作が初めて」なんて事だけは、無いように…。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-07-13 08:34:50)
15.  遊星からの物体X ファーストコンタクト 《ネタバレ》 
本作、例の作品の“前日談”という触れ込みになっておりますが……いいんですかねぇ。ソレ、本作の設定じゃなくて、まさしくオチ、じゃないですかね。ネタバレ以外の何物でもない。だってコレ、観てりゃ誰だって「リメイクだな」と思いますからね、そこにあのラストで、カーペンター版のファンをニヤリとさせる仕掛けだと思われるのですが(それとてややストレートで安直な仕掛けではありますが、カーペンターのファンに心の狭い人はいないハズ、付き合いででもニヤリとしてくれるハズ)。残念ながら先に“前日談”だなんて吹き込まれた上で観てたら、ニヤリとしようも無く、ゲンナリ。ま、どうせそこはオマケみたいな部分なので、目くじら立てなくてもいいのかも知れませんが、そうなるとますます判らなくなるのが、何でまたこんな映画を作ったのか(じゃ、オマエは何でまたこの映画を観たのかって? とりあえず気になるからです、ハイ)。『遊星からの物体X』や『エイリアン』といった“SFホラー”って、「何が起こるかわからない」「どんなハチャメチャなことでも起こり得る」コワさがあって、これはオカルト系ホラーには無い魅力でした(オバケの行動の方がむしろ予測できます)。特に『遊星からの物体X』のもつ破天荒さの魅力。誰が乗り移られてるのか、どんな形で襲ってくるのか、観ている我々は常にその“疑い”に冷や汗をかきながら観ることになるのですが、一方このリメイク作。主人公のお姉さんが何から何まで解説してくれて、まるで「疑うポイントはここですよ」と我々を誘導してくれているみたい。ホントは、登場人物のもつ“疑い”よりも我々の“疑い”が常に先行していてこそ(いわば、我々には登場人物が無防備に思える時こそ)コワさがありサスペンスがあるんですけどねえ。今やそういうのはハヤラないんですかねえ。本作、あまり特徴も出せないまま、そもそも『遊星よりの物体X』のリメイクのようでもありながらやっぱり『遊星からの物体X』であって、『エイリアン』みたいに解剖したり『エイリアン2』みたいに隙間に落っこちたりしながら、結局クライマックスは『リバイアサン』かよ、と。でもモンスターの造形を見てると、一番近いのは『メン・イン・ブラック』のような気もしてきてしまって、トホホなのでした。 ←私も、何をどこまで書けば何のネタバレになるやら、よくわからなくなってきました、すみません。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-04-14 00:49:07)
16.  夕陽の挽歌
親子ほど歳の離れた二人の男。彼らが銀行強盗を働き保安官に追われる物語かと思いきやさにあらず、という訳ではなくて一応、銀行強盗したり追われたりはするんだけど、そういうオイシイ部分は殆ど描かなくて、この作品、普通はあまり描かないところを丹念に描いてます。野性の馬を捕まえるシーンなんかもう、入魂モノ(笑)。ポーカーの勝負からの一連の流れも見逃せない。という訳で、銀行強盗ってのは物語の背景に過ぎず、二人の旅路を追ったロードムービー的な作品です。というか、半分は古き良き西部劇、半分はニューシネマ。その分裂ぶりが、ゴールドスミス御大の音楽にも、よく表れています。ラストは、西部劇というものそのものに対する鎮魂歌のようでもあります。しっかしブレイク・エドワーズ、これだけの作品を作っておきながら、結局はピンクパンサーに帰っていくんだよなぁ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-08-20 23:52:41)
17.  雪之丞変化(1963)
こういうコトも本当は「言わない約束」なんでしょうけど、例によって例のごとく“実験的過ぎるとかえって「前衛」にはなりえない”という感じ。ああ、はいはい、市川監督一生懸命ヤッテますね、とむしろ納得しちゃう自分がいる。どっちかというと「皆で一生懸命、長谷川一夫オジサンをヨイショしている光景」自体が、最もアヴァンギャルドを感じちゃったりして、ちょっと気が重くなる(笑)。しかしラストの鴈治郎との対決は結構盛り上がりますね。雪之丞の影は、コッポラの『ドラキュラ』あるいはカゲマンにおけるシャドーマンのように、実像と乖離し、雪之丞の恨みを代弁する、その不気味さ。一方の鴈治郎の影は、実像に背後からにじり寄り、彼が壁に追いつめられたことを強調する、その不気味さ。なかなかゾクリとするものがありました。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2010-05-24 23:14:31)
18.  遊星よりの物体X 《ネタバレ》 
カーペンター版もコチラも、ともに絶対に落とせないスバラシイ作品。両者が完璧に別作品として楽しめるのがまた嬉しいところ(脱線しちゃったのは、コチラの作品の方でしょうけど)。コチラはまあ、時代的にも予算的にも多少キビしい面はありますけどね。それでも、ホントに極寒の地でロケしてることで、寒々とした感じがよく出てますね(実際に寒いんだから当然か)。謎の火星人の姿をあまり出さず、その分を登場人物の会話等でつなぐのは、時代を感じさせるところで、まあ、今の「何でも見せちゃう」CG全盛の時代には、一種許されざる演出(笑)かもしれませんけど、この映画、さすがハワード・ホークスが脚本を書いたからか、それともたまたまなのか、この会話部分が見逃せない。やたらたくさん出てくる登場人物たちが、緊密で見事な掛け合いを見せ、まるで火星人も攻撃するタイミングがつかめずに困っているかのような(笑)。何とか乱入してきた火星人との死闘(見ごたえあり)の末、最後は、火星人たった一匹やっつけて「人類の勝利!」とか大げさに自慢してるしなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-12-23 17:56:52)(良:2票)
19.  勇気ある追跡
父を殺された娘の復讐譚、とは言え、何とも言えぬおおらかさに満ちた作品、であります。確かに凶悪犯は出てくる、死人も出る、でも、悲惨さは感じられず、ユーモアが勝っており、登場人物みんな何だかいいヒトたちに思えてくる。ジョン・ウェイン演じる保安官も、“ヒーロー”という雰囲気ではなく、ひと癖もふた癖もある、やや屈折した役柄、それでも屈折しすぎてないところがミソ。確かに、この辺でオスカーあげておかないと、もうチャンスが無いかもしれない(ははは)。彼を始めとする、血はつながってないけど親子3代、みたいな凸凹3人組の珍道中、これが映画後半、雄大な大自然の中に(ときに小さく、小さく)ゆったりと描かれています。ラストで、蛇の穴とかなんとか無理に盛り上げてるのが、とってつけたようで、まあこれも娯楽作の宿命というか、ご愛敬、なんですけども。ロバート・デュバルはこの頃から、アタマが涼しげ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2008-09-06 16:37:33)
20.  夕陽のギャングたち
いわゆる3部作のうち、『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』が背景不明の劇画的ヒーローものだったのに対し、『続・夕陽のガンマン~』では、南北戦争という社会背景が、曲がりなりにも登場。本作はこの“社会背景”というものの位置付けがもっと絶対的なものになり、「社会体制」「革命」という究極の“社会背景”と個人との対立が描かれて、それによって“友情”というテーマが強調されています。/戦争は一応、「敵に勝つ」という目的に対し「敵を殺す/傷つける」ということはあくまで手段であり、「100万人殺せば英雄だが~」という例の批判も成立するかもしれない。/しかし、「体制」は時に「殺す」ことそのものが目的となる。粛清により、旧ソ連で、カンボジアで、どれだけの人命が奪われたか。/そこには、英雄すら生み出されることはない。/本作においても、執拗なまでに虐殺シーンが描かれ、それに対抗する個人の情熱や友情が、これでもかと、ほとんどワケワカランような破壊的なレベルで描かれています。そして最後のシーンでは、周りの喧騒から切り離されたような、主人公2人だけの世界が、突然現れ、印象に残ります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-02-03 09:27:20)
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