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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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1.  夢売るふたり 《ネタバレ》 
言葉にしにくい感情を表現しているという意味で、ケータイ小説や少女マンガとは別次元の恋愛ものでした。なんか、トリュフォーの映画でも観ている感じで、色んな感情が渦巻いて見応えありました。 中盤で亭主が妻に対して「(俺の)浮気と、生活に余裕のある女たちへの復讐だろう」と指摘します。私もその通りだと思いました。妻も自覚していたはずです。でも、妻は徐々に心の均衡を失って行きます。亭主がカモである独身女性たちに同情的だからです。その同情に対して、妻は嫉妬しているのでした。ここ、すごく微妙な感情の起伏が演出されます。自分がやらせている行為なので、妻は亭主に止めろと言えません。まして、彼女たちに同情するなとは言えません。人柄は鎖に繋げないからです。亭主が金儲けに体を使っている間、自分で慰める妻。生理用ショーツは、受精せずに流されて行く子供の暗喩でしょうか。強靭に見えて、実は脆くてデリケートな妻の心情です。 対する亭主も繊細なんだけど、そんな妻の心情を100%は解せない。これがマンガやドラマなら(笑)、ハッとして妻の内面に気付くシーンが用意されるけど、本作は最後まで転げ落ちます。そこまで追い詰めて、何が見えてくるかを追いかけた作品でした。確かに詐欺は「夢を売る」と形容できると思います。本作の結婚詐欺もそのひとつだけど、この夫婦は結果として自分たちの夢まで売ってしまった。だから、タイトルは半分皮肉です。 本作から何らかのメッセージを得るのは難しかったです。敢えて言葉にすると、男女のデリケートは質が違うってことでしょうか。男のデリケートは外に向かって発揮され、女のデリケートは内に籠って行く。思い切って言うなら、女の方が残酷で怖い。そんな印象です。そして、「ゆれる」と同様に、エンディングの解釈を鑑賞側へ投げてくれます。妻の顔は「もう、放っておいて」と言ってます。あのシチュエーションの相手は亭主以外には考えられない。出所した亭主をにこやかに迎える気になれないのです。自分の心情を汲んでくれなかった恨みが尾を引いているのでしょう。夫婦は共有していた夢を売り尽くした状態から、再スタートが切れるのか? それが監督からの問いかけのような気もします。妻の不機嫌はツンデレの一種、と私は考えたいです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-11-10 21:26:34)(良:2票)
2.  遊星からの物体X ファーストコンタクト 《ネタバレ》 
カーペンター版の前日譚ということで、始まりと終わりの帳尻はしっかり合わせてあります。でも、これはどうなんだろう。前日譚にしては、カーペンター版を観ているようなデジャブーを随所に感じました。舞台とモンスターが同じなので、ある程度は同じ情景に見えるのは仕方が無いとしても、肝心の時に故障する火炎放射器には疑問符を付けます。カーペンター版のまんまですやん。「主人公が女性」「無機物は複製できない」「宇宙船の中に入る」。この3つが新しい部分だったと思いますが、こんなアレンジ部分がもう少し欲しかったです。 それにしても、カーペンター版から30年です。アレが変態して行くシーンの見応えは30年前とあまり変わりません。本作のVFXに現代的な工夫が貧困だったと言うより、30年前の作品がもの凄く優れていたことを再確認させられました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-22 03:33:17)(良:1票)
3.  EUREKA ユリイカ
「何で殺しちゃいけないんだ」って、ダメに決まってんだろ、そんなもん。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2013-05-31 01:17:45)
4.  U・ボート 《ネタバレ》 
ハリウッド制作のヒトラーものは何作かありますが、ドイツ人の視線から二次大戦を振り返っている映画は多くないと思います。少なくとも、私はあまり記憶に有りません。反戦を安易に台詞にするような映画とは違い、映画全体から漂ってくる絶望感に押し潰されるような作品です。暗い、狭い、汚い、男臭い。カメラはほとんど船外には出ず、潜水艦の中を這いずり回る。水圧に潰される恐怖も、駆逐艦に追われる恐怖も、音と船員の表情で演出する。この圧迫感がハンパない。危機を回避するたびに訪れるか細い希望は、次の絶望への序曲に過ぎない。それまでに観たどの戦争映画よりも陰惨で容赦の無い作品でした。 学生時代に「映画は監督で観るもの」という認識を持った初期に「ただ者じゃない」と思わせた監督の一人がこの方でした。そう思わせたのは、まさしく本作の語り口です。徹底的に暗い。爽快感皆無。それを1本の映画として完遂させるには、よほど監督の中に徹底した方向性が無いと出来ない芸当だと思いました。大事なのは「暗い」ことではなく「徹底した方向性」の方です。つまり、演出とはコンセプチュアルなものであるはずだから。本作には、観客に迎合するような表現には断固として安住しない意志を感じます。 でも、その姿勢が最も顕著なのはこのデビュー作でしょう。ハリウッド進出後の作品は、本作ほど際立っていません。この監督をして、そうさせるのがハリウッドのダイナミズムなのかとも思います。
[映画館(字幕)] 9点(2013-02-04 01:00:20)
5.  夢(1990)
劇場で観た時から違和感があったんだけど、再見してなんとなくその正体が見えた気がした。それは、どうしてこんな企画が成立したのかということ。周囲と監督自身が、そのキャリアを骨董品のように扱っている気がして仕方がない。映像には力があるが、メッセージを台詞でダラダラと喋るあたりはダイレクト過ぎて陳腐に思える。カットを積み重ねてストーリーを表現することを諦めてしまったかのような姿勢を感じる。もう映画作家というより、映像作家という感じ。個人的には、周囲、特にマスコミが黒澤氏を巨匠扱いし過ぎたんじゃないかと思っている。60年代までの作品には、その評価に見合う傑作も何作かあるが、それらは基本的にストーリーが面白く、それに見合う映像の迫力があって得られた評価だと思っている。
[映画館(邦画)] 4点(2013-01-27 01:01:24)
6.  許されざる者(1960) 《ネタバレ》 
白人が先住民の部落を襲撃した際に、殺さずに連れてきた赤ん坊が美しく成長してヘプバーンになる。ヘプバーンの実兄が彼女を取り戻しに来て撃ち合いになり、先住民は皆殺し。話し合いでの解決を拒否したのは白人側。先住民を皆殺しにして、空を見上げて微笑む一家。そんな映画です。 制作当時、本作は家族の絆を描こうとした映画だったのだと思う。でも半世紀を経た現在では民族差別を描いた映画に見える。演出のトーンと感じることの齟齬に違和感を覚え、不快が残る。この映画における「許されざる者」は誰なのか? たぶんヘプバーンの一家だ。でも、これは仕方のないことなんだと胸を張って言い訳をしているように感じる。 ヘプバーンが先住民の娘だと分かった途端に毛嫌いする周囲の人達。そこに一切の迷いが無いので、当時(1960年)の先住民は単に悪者という記号だったのだと思う。悪者は皆殺しにされても仕方ないよね、が基本姿勢。 こういう映画は、例えば「先住民」という字幕を「日本人」に置き換えて読むと差別を実感しやすい。なんでそこまで言われるのかって気分になる。現在では「許されざる映画」が正しい邦題。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-01-26 02:23:20)
7.  遊星からの物体X 《ネタバレ》 
久しぶりに観たけど、すでに30年近く経っていると思えないほど新鮮だった。これ、公開時に観て興奮しました。割れた腹が口になって腕を噛みちぎる! 首がもげてカニのように歩き出す! 次はどんな形態になるのだろうと、その興味が先行して実はあまり恐くは無かったんだけど、アレの変態のアイデアと<特撮>でそれを実現したクリエイティビティを賞賛します。ジョン・カーペンターも特殊メイクのロブ・ボーティンも、この頃が最も脂がのっていた。本作以降、映像に驚き興奮したのは約10年後の「ジュラシック・パーク」だったと思う。そういう意味では10年にひとつ、という傑作です。
[映画館(字幕)] 8点(2011-08-08 01:43:48)(良:1票)
8.  ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション 《ネタバレ》 
TV版を除くシリーズ3作を続けて観ました。3作とも違う作品でした。そして、本作が最も見応えがありました。いくつか視点がありますが、まずタイトルの「リジェネレーション」はヴァン・ダム世代に終止符を打つ意図の表れと感じました。総合格闘家のアルロフスキーが演じた新世代ユニソルの方が明らかに強い。ストーリー上はヴァン・ダムが勝ちましたが、あれは花道ですね。そのアルロフスキーの戦いは見応えがありました。総合格闘技の迫力が初めて映画で取り上げられたという意見です。ナイフでとどめを刺す前に、これでもかとばかりに殴り続ける執拗さがリアルでした。そして、ヴァン・ダムとラングレン。初作で対決した二人の再戦はキレがあるという類いではなく泥仕合。かませ犬同士が取っ組み合っている様相。そもそもユニソルは死体を生き返らせた兵士で、戦うこと以外に意義を持たない存在。それはヴァン・ダムが精神のリハビリを断念して戦いに赴くことで念押しされる。衰えた肉体に鞭打って戦う両者とユニソルの宿命が絶妙にオーバーラップして、アクションシーンなのに寂寥感が募りました。「その男ヴァン・ダム」で感じた寂寥感も無意識に重ねていたのだと思う。ラングレンの最後なんて、悲しい存在以外のなにものでも無かったです。終始無表情で台詞の少ないヴァン・ダムは、3作目にして初めてユニソルの設定を正面から演じました。戦いの場から走り去る後姿が印象に残ります。ストーリーはシンプルというより陳腐に近い趣きですが、哀愁を感じさせるアクション映画として評価したいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-24 01:30:41)
9.  ユニバーサル・ソルジャー ザ・リターン 《ネタバレ》 
シリーズ1作目から続けて観たんだけど、オープニングにアップで映ったヴァン・ダムの老け顔にびっくり。蓋を開けたら、その老け顔のまま老けたアクションしか出来ない人になっていた。動きが鈍く、武道をやっている人に見えない。1作目に引き続きヒロインに魅力なし。撮影も編集も下手くそで、蹴りを入れて間を置いてから吹っ飛ぶようなシーンが何カットかありましたよ。ダメのほとんどはスタッフの責任でヴァン・ダムが気の毒。そんな気になるのも「その男ヴァン・ダム」を観たからかな。次回作では「無かった事」にされた本作。同じスタッフでない限り、こんな駄作の続きを作りたい奴はいない。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2011-06-24 01:29:25)
10.  ユニバーサル・ソルジャー 《ネタバレ》 
当時としてはハイテク部隊的な見せ方にしたかったのでしょうが、全く普通の兵士にしか見えないところが鑑賞時期を逸したツケでした。でも、80年代末に「攻殻機動隊」の原作が描かれていることを考えると、決して先進的な描写だったとも思えない。表情を出さずにダイニングで飯を頬張るヴァン・ダムの微妙な可愛さが笑いどころなのでしょうが、自分は狙ってやっているところが鼻に付きました。ヒロインの魅力の無さも痛いところ。部隊員や関係者を次々に殺し、要冷蔵で血清が必要なヴァン・ダムをひとり生き残らせて放り出す。この無責任な終わらせ方にエメリッヒの個性が良く出ています。特筆すべきはドルフ・ラングレンさん。この迫力は凄いですね。ご本人はとても頭の良い人らしいけど、そんなことをちっとも感じさせないおバカな悪役ぶりに痺れます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2011-06-18 22:45:04)
11.  ゆれる
法事で久しぶりに帰省した弟に、密かに恋慕していた女を軽々と攫われる兄。そのことを感付きつつも、まだ内側に秘めていた兄の憤りが、吊り橋で兄を拒絶した女の態度によって噴出する。そこに殺意があったかどうかは、自分には大きな問題では無かったです。あの状況に至る兄、弟、女の関係性だけでお腹いっぱいでした。真面目によく働くがモテないオーラを出しまくって女性に縁のない実家暮らしの兄。実家を顧みずにカタカナ商売で都会に暮らし、遊び人のオーラを出しまくる女好きな弟。そして、実家を出て一人で暮らしながらも地元を離れず、土地柄と日常への倦怠と抱える女。見かけは幼馴染みとしてバランスを取っていた関係性が、弟と女のセックスによって崩れる。具体的には、弟とセックスしたことで、兄への嫌悪感が表面化した女の態度の変化で崩れる。都会と地方、継いだ仕事と獲得した仕事、個性と能力、優越と劣等など、様々な格差が引き起こした崩壊とも言える。それを映像で暴いたこの監督の構成力に感心しました。その後の裁判は、兄弟の心情の検証でした。タイトルの「ゆれる」は肉親に対して抱く心情の幅を指した言葉です。幼少時は信愛だけで成立していた兄弟の関係が月日とともに薄れて行く現実。昔の映像を観て当時を思い出しても、崩壊した関係が元の鞘に収まるとは自分には思えなかった。しかし、兄がバスに乗るシーンを見せなかったのは「ゆれる」心が希望を掴む解釈もアリとする監督の優しさのような気がします。兄役の香川照之が発する緊迫感から目が離せなかった。過去に観た彼の出演作の中では、これがイチバンです。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2011-05-17 22:41:42)(良:3票)
12.  許されざる者(1992) 《ネタバレ》 
映画の世界では、悪人は簡単に人を殺す。そしてヒーローも簡単に悪人を殺す。2時間で終わる映画にその後があったなら、登場人物たちはそのままの人生を送れるのだろうか? 本作は彼らのその後を描いた、言わば娯楽映画の裏側を見せるような作品でした。それぞれに過去がある登場人物たち。昔の栄光にすがっている賞金稼ぎ。正義という大義に依存してやりたい放題を続ける保安官。そして、過去の悪行が呵責となっている元極悪人。彼らはそれぞれに「許されざる者」だったと思う。だた、元極悪人のイーストウッドを「許されざる者」と呼ぶとき、それは断罪しているのではなく、悔恨を背負った状態を指した言葉でした。死んだ奥さんとの生活が自分を更生させたと、まじないを信じるように言いすがる。「俺は変わったんだ」。そのしつこさにガンマンのカッコ良さは微塵もなく、自身の肯定や自己憐憫は哀れでさえある。しかし少なくとも、悪に対して粛清意識が暴走する保安官よりは共感できる。イーストウッドが過去に演じたガンマンを普通の人にしてその後を覗いたら、地味でも深い物語が姿を現した。監督としてのイーストウッドの作風が変化して行く出発点が本作だったと思います。主人公像の変化を俯瞰した時、「荒野の用心棒」と本作、そして「グラントリノ」は一直線に並ぶ作品という印象です。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-23 00:35:22)(良:2票)
13.  夕陽のガンマン
あのメロディを口笛で吹こうとしたら、鳴らない。えぇ~っ! 考えてみれば、口笛なんて何年も吹いていなかった。口の形が変わったのか、唇の型を忘れたのか、原因ははっきりしないが口笛が吹けなくなっている自分にショックを受ける。現在、口笛特訓中。そんなことに躍起になるくらい、このテーマ曲は名曲ですね。いちど聴いたら忘れない。久々の鑑賞だったけど、冒頭であのメロディーが流れるだけで気分が乗ってくる。マカロニ・ウエスタンのすべてを表現しているような気がします。「荒野の用心棒」でも同じようなことを書いたけど、楽曲としての味わいがさらに増した感じです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-04-11 02:03:03)
14.  U-571 《ネタバレ》 
ドイツ軍の暗号機奪取を描いた戦争サスペンスと同時に「船長」の資質を問う作品でもあった訳だけど、ストーリー的に成功しているかというと、まあまあという程度でした。「船長」の資質に関しては、結果としてそれらしく見えたけれど、マシュー・マコノヒーが船長らしくないこともあって無理矢理な印象が拭えない。でも、全体としてはそこそこ観られたのは舞台が潜水艦だからだろう。話は逸れるが、潜水艦映画に駄作は無い、と言われる。その理由を考えてみた。艦外が見えないことで神経が搾られるような緊張感が容易に演出できるから。狭い場所に人が密集することで人間関係の起伏が作り易いから。動感に乏しく閉塞的な艦内描写と開放的な海上描写のバランスが良いから。人が根源的に持ってる閉鎖環境への恐れなども関係しているような気がする…。こんなところでしょうか。今作はその「潜水艦」に助けられた映画って感じでした。
[ビデオ(字幕)] 6点(2010-02-03 02:42:13)
15.  ユナイテッド93 《ネタバレ》 
恐ろしい映画だった。自分が乗った飛行機が墜落することを想像したことはある。どうしようもなくなった最後の瞬間に自分は何を思うのだろう、というような…。この映画は9.11でハイジャックされた機体の中で、唯一目的地へ到達しなかった93便の機内状況の再現として、その最後の瞬間を見せた。墜落の瞬間のブラックアウトが脳裏から離れない。最悪の結果が変わらないことは最初から分かっていたけれど、あの反抗が成功しないかと無言の声援を送っている自分がいた。だからこそ感じてしまう墜落後の虚しさと無力感は、同時多発テロに対するそれと同じだ。ここで描かれていた乗客たちは、国家間のテロに抗ったのでは無く、自分の命を守ろうとしただけだ。テロリストたちも乗客たちと同じくパーソナルなスタンスで描写される。焦りや苛立ちや緊張が、彼らも同じ人間であることを意識させる。映画は演出されるものだから、その見え方も当然この監督の演出なのだけど、出来る限り政治色を出さずに現場を描こうとしていることに好感を持った。この映画からは、平坦な視線で物事を見ることが、今現在に出来る最も大切なことであるという積極的な意思を感じます。他人に薦める類いの映画ではないけれど、多くの人に観てほしい映画ではあります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-12-10 23:28:00)(良:1票)
16.  遊星よりの物体X 《ネタバレ》 
えっ、これで終わりなの。呆気ない。視点の置き所が定まらない感じ。遥か宇宙の彼方からやって来たにしては、この植物怪人は頭悪そう。それを「完璧で純粋な生命体」とか言ってましたね。アッシュが「エイリアン」をそう形容していたけど、もしかしてこれのパクリだったの? 見応えという意味では、カーペンターのリメイクの方が3倍くらい面白い。たぶんSFホラーの古典的作品なのでしょうが、敬意を表す義理もないので点数はこんなことろ。それにしても、この映画に出てくる科学者は傲慢で腹が立った。科学の探求以前に考えるべきことが何も思い付かないバカでした。普通は傲慢な軍人に腹を立てるんだけど、反対の映画って珍しいかも。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2009-08-19 23:33:47)
17.  雪の断章 情熱
基本的にこの監督は好きじゃない。が、二十数年前に観たこの映画は良かった記憶があって久しぶりに見直したのだが、映画の内容より、なぜこの監督が好きじゃないのかを確認してしまった。ちょっと脱線ですが好きじゃない理由から。 結論から言うと、この方の映画は映画である必然を感じない。映像を演出するというより、舞台の芝居を演出して、それをフレームに収めているような作り方です。引きの客観視点からの長まわしは、多用されると登場人物の心情が遠くへ行ってしまいます。この方の最も特徴的な文法ですが、しっくり来たことは無かった。撮り方だけではなく、芝居の付け方も舞台っぽいと思います。役者がいきなり歌ったりパントマイムっぽいことをやったり。この映画でいうと、やたらと水に浸るシーンなどです。誰かに見られている、ということを前提にしたような芝居って映画らしくないし、オーバーに演じて丁度いい舞台芝居を見せられているようです。そして一番よろしくないと思うのが、ここぞという場面で常識的にはやらないアクションをさせたがること。リアリティからの逸脱ですね。この方の美意識の中での象徴表現なのでしょうが、自分には鼻に付くことが多かった。これはあくまで自分の主観ですので、ファンの方は気になさらずに。 この映画に関してはデビューしたての斉藤由貴の瑞々しさに尽きると思います。健気な元気さと繊細さとちょっと調子がズレてる彼女の個性が早くも発揮されてます。でも、今観るとかなり無理矢理な設定でした。二十数年前の自分は8点くらい付けていたと思いますが、見直してしまったためにこの点数。
[映画館(邦画)] 5点(2008-12-31 02:36:59)(良:1票)
18.  勇気ある追跡 《ネタバレ》 
結構自分勝手で多少悪いこともしている初老の保安官補を演じるジョン・ウェインが、少女の敵討ちを手伝う映画です。敵役もギンギンに悪い奴には見えず、返り討ちに遭うような恐れも感じず、たくさんの人が死ぬ割にはほのぼのと安心して観ていられる西部劇でした。ジョン・ウェインは無理なく個性的で、それでいてジョン・ウェインらしい役柄を完璧にこなしてます。というより、ジョン・ウェインをイメージしながら脚本を書いたのでしょう。これが彼の代表作とは思いませんが、アカデミーを獲ったのは彼にしか演じられない個性を功労的に評価したのではないかと思います。唐突ですが、アメリカ映画と西部劇とジョン・ウェインの関係って、日本映画と時代劇と三船敏郎の関係に似ている気がします。ちなみに、4人を相手に銃撃戦を挑むところはさすがに無謀に見えましたが、あれが「TRUE GRIT」ですか? ただ恐怖に対する神経が麻痺している人って感じなんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2008-12-15 16:01:59)
19.  夕凪の街 桜の国 《ネタバレ》 
ドキッとした台詞があった。麻生久美子がトラウマを吐露するシーン。「自分は誰かに死ねばいいと思われた、それなのにこうして生きのびとる」。彼女が原爆から感じたものは純粋で強烈な殺意だった。それは国家間の戦争と云う大勢の流れから感じるものとはおそらく質が違う。核兵器の投下はもはや戦争ではないのだ。またそれは被爆が戦災という言葉で括れないこととも同義であり、現代まで尾を引いていることを思い出させてくれた。後半は世代をまたいだ平成編であるが、そのお気楽な感じが現代の現実である。もしかすると戦中派には歯がゆい映画かもしれないが、戦後生まれにも還暦を過ぎた人がいる時代。反戦・反核というテーマを大上段に構えた映画は作りづらい時勢になったのだと思う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-11-25 03:57:53)
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432315.19%
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