Menu
 > レビュワー
 > 鱗歌 さんの口コミ一覧。2ページ目
鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234
投稿日付順1234
変更日付順1234
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  ワイアット・アープ(1994)
ワイアット・アープを題材にした映画はこの作品で打ち止めにしてやろう、とでも言わんばかりに、彼の人生をとことん描き切った3時間強。たぶん、史実に忠実たることが優先されているのでしょう、エピソードの組み上げ方がさほどうまくできているとは言えず、やや羅列気味。OK牧場の決闘なども、実際の事件はあっという間に終わったんだそうですが、本作でも、まあ、あっという間です、ハイ。もうちょっとサービスしてくれてもよろしいかと・・・。 とは言え、小規模ながらも随所にガンファイトを織り交ぜて盛り上りを作り、それに付随して雰囲気もよく出ています。この雰囲気を味わうだけでも、充分お腹いっぱいに。 それに、こんなに長い作品にしなくてもいいだろう、とは思いつつも、その長さを利用して、この主人公のいい面も悪い面、すべてを作品に注ぎ込んでる。その結果、主人公に特徴が無くなっちゃった、って? いや、この役だからこそ、特徴のないスター、ケビン・コスナーの出番。 こういう「器用でない映画」も、たまにはよろしいのでは。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-15 12:56:42)
22.  わが命つきるとも
信念を貫いた挙句にとうとう処刑されちゃう人よりも、あとでこっそり「それでも地球は回ってるのだ」とつぶやく人の方が、何となく親近感が湧くのですが、それはともかく。 本作、重厚と言えば重厚、配置される登場人物たちになんとも動きが乏しくって・・・何だかまるで絵画でも見ているかのような。ただそこには、ある時は風が吹き荒れていたり、ある時は窓の外に雪が降り続けていたり、という移ろいがあって。 いついかなる時でも信念の人。うむ。信念が揺らいでこそドラマも生じようというもんですが、最後まで信念を貫いてしまい、その信念は処刑すらも様式化させる。いささかストイックに過ぎる、信念の映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-22 20:03:09)
23.  わらの犬(1971)
すみません、コレ、好きなんです。ヘンな映画ですけどね。バイオレンスを片田舎のフツーの家庭の日常に持ち込んだ、画期的(?)な作品。 何しろ、ヤな奴ばっかり登場する、この不安感。主人公ですら、そんなに好感もてるヤツじゃない。妻が村の男に暴行されるも、彼女の自業自得みたいな面がある上、その事実を主人公がまるで知らないってのがスゴイ。普通なら、クライマックスで展開される暴力は、この事件に対する復讐として描きそうなものですが、本作ではそうは描かない。暴行事件自体はこれでもかと我々の前で描きながら、一方、知らぬは亭主ばかりなり、あくまで哀れでマヌケな小心者として描かれる。そして、クライマックスの一軒家での攻防戦は、まったく別の事件をきっかけに巻き起こり、ここに至って主人公はブチ切れる。「ここは自分の家だ」という、ただその理由で迫りくる敵と戦い、言う事を聞かない妻に対しても暴力を辞さない(この点からしても、本作は「復讐譚」の真逆を行ってます)。もうここからは、ホラーかオカルトの世界。暗闇の中で周囲から隔絶された一軒家、ここではBGMも用いられず、霧笛だか何だか知らんけど不気味な低音が断続的に聞こえてくるだけ。無軌道な破壊が繰り返され、そして鮮烈な銃声が響き渡る。 外から迫りくる敵の狂気に対し、ダスティン・ホフマン演じる主人公も、完全にイッちゃってます。いったん暴力に踏み出せば、もう引き返すことはできない。ラストのセリフにもそれが表れていて、虚無感に満ちた余韻が残ります。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2016-12-30 09:17:29)
24.  ワイルド・スピード/SKY MISSION
カーチェイスをお腹いっぱい、本当にありがとう。と言いたいところなのですが(カーチェイス大好きなので本当にそう言いたいのですが)、うーん、ちょっと残念なところも。アゼルバイジャンの山中での断崖や斜面におけるアクション、お次はアブダビの高層ビルにおける、『ブラックライダー』的なアクション、さらにはアメリカに舞い戻っての、街ごと破壊する勢いのアクション。そのいずれもが、前作以上に、「カーチェイス=2次元の戦い」にとどまらない3次元的な動きを見せ、各セクションはそれぞれ間違いなく「スゴイ!」のですが―――セクションごとに物語が完全に分離してしまっていて、次第に否応なく高まる盛り上がりというようなものがあまり感じられません。凄まじいアクションを次から次に一通り見せてはもらったけれども、映画全体を貫く緊張感という意味では今一つ。さらに問題なのが、アクションの最中に、登場人物たちの間に、「指示」という形での解説調のセリフを交わさせること。確かにワカリヤスサには貢献するけれど、これも緊張感を削ぐ一因。ちょっと4作目『MAX』の停滞感を思い出したりもするので、今回、監督がジェームズ・ワンに交代したことが原因とは限らないとも思うのですが。まあいずれにしても、サービス精神に満ち溢れた、呆れるばかりのド迫力アクションであることは間違いない訳で、やっぱりその点に関しては、ありがとう、と言っておきましょう。ポール・ウォーカーの死後完成され公開された、いわゆる「遺作」という形になった作品で、最後は「ポールに捧ぐ」」というクレジットで締められるのですが、彼のために捧げられたラストシーンは、たとえそのために作品がいびつなものになろうとも、7作続いたシリーズの掉尾を飾るものとして、ふさわしいものとも言えましょう。ただ、まだシリーズを続けそうな含みがあるのがちょっと心配(笑)。ついでに一言、カート・ラッセルの役どころはよくわからん。ベルギービールのうまさもよくわからん。
[映画館(吹替)] 6点(2015-05-03 08:24:41)(良:1票)
25.  ワイルド・ギース
囚われの身となっているアフリカの要人の救出に向かう、傭兵部隊の活躍。まずは冒頭、無謀な計画が事務的に淡々と語られていく感じが、イイんですね。で、傭兵たちが集められるんだけど、これがまたイイ歳こいた冴えないオッサンの集まりで、精鋭と呼ぶには程遠い。オッサンたちの集団が、訓練受けてても、出撃しても、ホノボノしていて、なーんだかピクニックみたいなんですな。いよいよ開始された救出作戦の方もやたら順調に進み、これじゃ映画の尺がだいぶ余っちゃうね、と思いきや、後半、雇い主に裏切られた彼らの艱難辛苦が始まる。ここで、前半のホノボノムードの中で描かれた各キャラが生きてきます。冷静なリチャード・ハリスに、少しトボけたクールさのロジャー・ムーア。その他忘れ難きポンコツメンバーたちを、次々に危機が襲い、容赦なく命を奪っていく。全体的に、実際の傭兵がアドバイザーとして参加したとは思えないヘンテコな戦闘シーンが多いようにも思えますが(兵士が散開せず団子状に突撃してはバタバタ撃ち倒される、ってのはカメラアングルを優先した結果か。銃を持ってるのにナタを振りかざして襲ってくるのは、これはナゼ?)、それでも、無数に襲ってくる敵とオッサンたちとの戦いは大いに盛り上がり、いい味出しまくりの出色の戦争映画だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-03-01 09:45:35)(良:1票)
26.  鷲と鷹(1969)
川を挟んで睨み合う、リー・ヴァン・クリーフとウォーレン・オーツ。まさにマカロニ世界とペキンパー世界の邂逅だ。ってのは大げさですが、それでもやっぱりシビレますな。リー・ヴァン・クリーフは一匹狼的な渡し船の船頭さん。そこにウォーレン・オーツ率いるならず者軍団がやってきて、川を挟んでの対決に。前半、何が何やら説明もないまま、銃撃戦が長々と展開される活きの良さ、だもんで、映画中盤の川を挟んだ対立は(ちと距離があるもんで)まー正直あまり大きな事件は起こらないんですけれども、前半の緊張感が持続してるもんで、ワクワクする対立となってます。ただ、このまんまだと映画終わらんやんか、という心配が、ジワジワと湧いてはくるのですが(人質事件などを絡めつつも、中盤から終盤にかかってなお、膠着状態)。最後はやや性急に映画を終わらせてしまった感じですが(主人公と人妻とのエピソードの単発ぶり、いったい何だったんですかね)、川の両岸という限定された舞台でとことん繰り広げられる男と男の対決、やっぱりシビれる作品です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-02-28 10:28:39)
27.  ワイルド・ビル(1995)
90年代のウォルター・ヒルにこんな作品があったんですね、知りませんでした。しかしこれは。シブいというか、娯楽色が薄いというか、いやそれ以前に、だいぶ、イッちゃってますね。冒頭、ビル・ヒコックの葬儀の場面に始まり、そこから遡って要するに彼の死までが描かれるという訳で、カラミティ・ジェーンとの交流などが描かれるんですけれども、まとまったストーリーもなく、ひたすら断片的。イザコザが発生しては、彼が誰かを射殺するエピソードが、ジョン・ハートのナレーションによって淡々と「紹介」されてゆきますが、銃撃の場面はさすがにウォルター・ヒル、いかにも「相手を撃ち倒す」というハードな描写になっています。で、大勢を殺してきたビル・ヒコックも、緑内障を患い、はたまたアヘンにはまり(彼の見る幻覚の描写が、また映画をイッちゃったものにしています)、どんどん浮世離れしていく。この映画のヒコックは、もはやほとんど妖怪みたいな存在ですね。だから、彼を付け狙う青年が登場するけれど、この青年もなかなか彼に手出しができない。規格外の男が生きながら伝説と化してく姿を、ウォルター・ヒルがまあ正直よくワカラン思い入れをもって描いた、不思議な作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2015-02-07 10:16:21)
28.  ワイルド・スピード/MEGA MAX
シリーズにこれまで登場してきた、自由に走りまくるクルマ。そこにとんでもなく不自由なオモリぶら下げて、カーチェイスの新しい力学を切り開いてみせた、この点だけでも本作、実にスバラシイと思います。何が何やら、とにかく破壊、とにかくハチャメチャ。中盤、あれこれと現金強奪計画の準備が描かれる割には、実際のクライマックスではとんでもない力技に走り、とんでもなくアタマ悪いと見せかけて、最終的には中盤の描写にもそれなりに意味がありそれなりにアタマ悪くない、という結末。でもやっぱり、これだったら、中盤をもう少し削ぎ落してもよかったんじゃないの、とも思いますけれども。ま、とにかく、カーチェイス、ごちそうさまでした。
[地上波(吹替)] 8点(2014-09-07 16:36:40)
29.  ワールド・ウォー Z
ブラピ演じる主人公、かつて様々な修羅場をくぐってきたらしい。医者ではないけれどいざという時には慣れた手つきで応急処置をこなす。女性兵士が手を“Z”(←って、の際もう堂々とゾンビって呼べばいいやんか)に噛まれた時、即座に手を切断し、治療を施す。一方、女性兵士の方も、自分の手が切断されたという現実を冷静に受け止める。これは2人それぞれの強さ、なんでしょうけれど……本作、こういう「強いヒトたちのサバイバル」に終始してて、いいんだろうか、とも思います。手の切断という極めてショッキングであるはずの事態を、描写を抑え、感情面でも抑え、まるで普通のエピソードのように挿入しておく。他のシーンも押し並べてそんな感じで、いささか淡白過ぎはしないでしょうか。ただ単なる「タフ」で無色透明、それがこの作品の登場人物たちの印象。主人公の悩みや葛藤などはお飾り程度で、彼の目を通じて描かれる人類の破滅を、スペクタクルとして楽しめればOK,ってな映画ですな(だんだん『バイオインフェルノ』みたいに小粒になっていきますけれども)。実際、アリンコのように襲ってくる“Z”の群れは、まさに「大自然の脅威」。一応“Z”はゾンビではなく病人なんでしょうけれど、ロメロが『ゾンビ』で露悪的にやってみせた殺戮(ゾンビという名の鈍重な人間どもを殺しまくる)を思うと、本作では実にアッケラカンと殺しまくり退治しまくる。どっちかっていうと動物パニックのノリですかねえ。もちろん、嫌いではありませんよ。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-04-13 12:48:09)
30.  ワイルド・スピード/EURO MISSION
ストーリーはと言うと、「良い者チームと悪者チームがカーチェイスで戦います」というだけ。両者の間で多少の交換トレード(?)らしきものはあるけれど、ヒネリという程のヒネリは無く、いたってシンプル。ややこしい点があるとしたら、ハゲとムキムキが多いので、誰がどちらのチームだったっけ、と混乱する方もいるかも知れませんが。でも、こんなシンプルなオハナシになっているのは、アクションの凄さに対する自信の裏返しかも知れません。やり過ぎ、走り過ぎ、壊し過ぎ。地面を這いまわる2次元的なカーチェイスが、ここではまるで3次元の空中戦のような。それどころか、もはや、カーアクションは重力を超越し、3次元の立体世界での戦いに向っています。とりあえず、お腹いっぱい。ありがとう。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-03-02 20:38:06)(笑:1票)
31.  渡り鳥北へ帰る
小林旭が流れ者・滝伸次を演じる渡り鳥シリーズは、一応、本作が最終作ということになるのでしょうか。最終作なので、シリーズ原点たる函館に戻ってきたのかと思いきや、時系列で言うと実は本作が第1作の前に来るのかしらん? 滝伸次がなぜギターを手にするようになったのか、の謎が明かされます。って、どうでもいいけど。この滝伸次という主人公、何を考えているかわからない(というより何も考えてなさそうな)ニヒルな感じが良かったのですが、本作では珍しく心情を吐露し、怒りを露わにするのが、異色。ただしそんなのは一部のシーンだけで、基本的には何も考えていなさそうなので、御心配なく。目の前で射殺された友人の遺骨を持って函館にやってきた滝伸次が、友人の実家の造船所を乗っ取ろうとする悪党どもと戦うオハナシなのですが。途中、彼の乗った車がハネそうになった子供(自ら倒れたようにしか見えないが、一応、交通事故でケガをしたという設定らしい)の母親が、実は亡き友人の妻であったり(ってことは、その子供は友人の息子なのか? という極めて単純な点が曖昧なのはどうしてなのか)、造船所乗っ取りの一味と戦ううちに亡き友人の仇である“ハジキの政”への復讐もできちゃったり、何かとチャッカリした脚本になっております。交通事故の子供や、その母親が入院する病院、作中で重要な舞台なのですが、院内のセットが異常に投げやりな気がするのですが、何とかならなかったのでしょうか。また、今回も残念ながら、宍戸錠は出ていません。代わりを務めるは、前作に引き続き、弟・郷鍈治。イイ味出してます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-02-04 22:02:07)
32.  渡り鳥いつまた帰る
渡り鳥シリーズ第3作。今回、主人公・滝信次が現れるのは、佐渡島。日本各地に忙しく出没し、御苦労さまです(3か月に一本のペースで製作されていたようです)。どこに現れようとやることは同じ、「宍戸錠とライバル関係を保ちつつ、浅丘ルリ子を助けるために不届きな連中をやっつける」ですが、今回は特に、潜入捜査官的な役どころ。金子信雄演じる榊原一味が狙うのは、会社の乗っ取りなのか、それとも廃坑の中に何か秘密があるのか? という訳で、その謎を探りつつ、小林旭が例によって胸のすく大活躍を見せてくれるのですが。実際、今回も自ら体を張ってのアクションを見せてくれます。しかし結局のところ、廃坑の秘密というのが、榊原自身が昔埋めたお宝、そりゃアンタ、深く埋め過ぎやろ。それに、もうちょっとこっそり掘ればいいものを、部下どもの品行の悪さもたたって、とにかく目立ち過ぎ。さらに、巻き込む必要もない小林旭や変人宍戸錠、彼らを巻き込んだがゆえに、事態をムダに大きくしてしまってるのですが、これは娯楽作品、事態は大きいに越したことは無い(笑)。なぜか殺し屋まで登場しクライマックスは銃撃戦へ。日本海の荒波を背景に繰り広げられる数々のアクションを堪能すべし。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-12-07 09:09:51)
33.  ワーロック(1959)
この作品からは強い怒りが感じられます。何しろ登場人物たちを片っ端から対決させて、ほとんどみんな殺してしまうんじゃないか、と心配になっちゃうような展開、ですから。ゴロツキどもに悩まされているワーロックの町。人々は、ヘンリー・フォンダ演じる保安官を雇って、これに対抗しようとする。やってきた彼は、なかなかにアクの強い男。いつも堂々とし、どんな危機にも臆することなく立ち向かい、しかしその一方では周囲に溶け込もうとすることなく我が道を行く男。すなわち、ヒーロー。彼は言う、今は皆に必要とされている自分も、やがて疎ましがられるようになるだろう、と。実際、彼の予言通り、彼はやがて邪魔者扱いされるようになっていくのたけれど、このあたり、当初の、人々の彼に対する卑屈なまでの期待と、後半の掌を返したような冷たい態度との対比が、露骨なまでに強調されていて、「良心的大衆」のもつ無責任さを厳しく糾弾しています。さてさてしかし、忘れちゃいけないのが、本作の主人公、リチャード・ウィドマーク。実際、冒頭で最初にクレジットされているのも彼。しかし本作の彼は、持ち前のアクの強さはH・フォンダとその相棒A・クインに譲り(この二人の示す同性愛的な関係も、世俗を超えたヒーローが伴うファンタジーの変形をみることもできるかもしれない)、ここではあくまでフツーの人であり、何とも頼りないチンケな小男の役。不器用な男。しかし彼は、大衆的な良心ではなく、自分の良心に従って行動する。ヒーローたるH・フォンダの「行動」に比べりゃ、普通人たる彼のそれはずっとスケールの小さい「行動」かも知れないし、実際、彼は何もできなんですけれども、彼がチンケであればあるほど、彼が何もできなければできないほど、彼の、まず行動を起こそうとする「勇気」が印象づけられます。そして彼を目立たぬながら物語の中心に据えたことによって、本作は、単なる「ヒーローいじめ」の物語ではなく、「ヒーローが存在できなくなった時代において、ヒーローが、ヒーローらしく退場する」という独特の物語、重層的な物語になりえたのかな、と思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-07-07 08:20:25)
34.  若親分千両肌
池広一夫監督の眠狂四郎最終作も何だか陰気でしたが、若親分最後を飾る本作も、映像的にはちと陰気なところがあります。でも内容は楽しくまとまっておりまして。雷蔵の若親分が、もはや若旦那か若番頭にしか見えないのは、これはもうとやかく言わないことにして、本作の楽しさはやっぱり、長門勇演ずる座長さん、というか、アヤシゲなカラテの達人ですね。そして物語も、任侠モノの枠に収まらず、これはもはや、エスピオナージュと言っちゃってもいいんじゃないですかね。盗まれた軍の機密書類。陰謀劇。そして炸裂する若親分の怒りと、長門カンフー(↑さっきカラテと書いたっけ)。まさにこれぞ、スパイアクション映画。で、何でタイトルが「千両肌」なんだろうね。私は「若親分は二度死ぬ」でよいと思います。そして、ショーン・コネリーとは違い、雷蔵若親分はもう帰ってこない。ラストの「た~~け~し~~」という謎のテーマソング(?)を耳に残して。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-01-14 13:15:09)
35.  私はゾンビと歩いた!
ヴァル・リュートン製作の怪奇映画シリーズ。これが意外に秀逸。まず冒頭の、二人の人物が歩く海岸の風景。まあタイトルからして、二人のうち一方が人間で一方がゾンビなんでしょう、とかいうことはどうでもよくって、すでにこの光景からして超自然的な印象を受けます。独白で進められていく物語は、雪の都会の一室から、南の島へ。そこでは非日常的な世界が主人公を待ち受けている訳ですが。そうそう、本作、S・ブロンテの『ジェーン・エア』を下敷きにしている、みたいに言われたりもしますけど、いやいやむしろ、この雰囲気はE・A・ポーの『アッシャー家の崩壊』の世界ではないでしょうか。本作におけるゾンビってのは、例の人間を襲ってバリボリ食うヤツじゃなくて、“熱病によって何もわからなくなり夢遊病状態の人”なんですね。だから必ずしもモンスターじゃない(いや、ちょっとコワい顔のゾンビも登場しますが)。ゾンビ自体はモンスターじゃないけれど、物語の背景はとっても呪術的、そして宿命的な要素があり、まあ要するに「よくわからん不気味さ」ってのが横溢しているのですね。やはり怪奇映画たるもの、こうでなくては。そのアッシャー家的は宿命の物語を裏打ちするのは、「音」による不気味さ。森から響く太鼓の音であったり、塔に響くすすり泣きであったり。また「風」なども気持ち悪い雰囲気を出すのに効果を上げてますね。短い作品ではありますが、怪奇映画らしい雰囲気を楽しめる作品です。
[DVD(字幕)] 8点(2012-08-28 22:47:14)
36.  ワイルド・スピード/MAX
ここまでの3作、結構楽しませてもらったのですが・・・ここに至って失速しましたかね。冒頭のスタントに期待が高まったものの、すぐに「もう全面的にCGに頼っちゃいまーす」という割り切りが見えてきて。ラストの方ではちょっとマッドマックスごっこみたいなところがあってニヤリとさせるも、やっぱり映像はCGへ。第1作の二人を出演させてみるも、もはや二人の関係には、緊張感も面白みも無いし。あと、中盤の路上レースのシーンで、カーナビ画面を使ってシチュエーションを“解説”しちゃったのは・・・この手法、確かにわかりやすいんですけどね。でもお手軽過ぎ、ですよね。
[地上波(吹替)] 5点(2012-01-07 09:58:08)
37.  ワーキング・ガール
社会風刺を交えたコメディとして単純に楽しめばよいのでしょうけど・・・ウーマンリブの流れから80年に『9時から5時まで』だったアメリカが、90年にはなぜ『プリティ・ウーマン』になってしまったのか、というと、その間にあったのが例えばこの作品なのかな、と。無能な男性が出世する一方で、女性というだけで社会的に下の立場に追いやられれているという思い。男女間の差別なく公平な競争を望む夢。しかし実際に女性の社会進出が進んでみると、そこに待っていたのは「競争って、大変よね」という現実、いやむしろ、そもそも公正な競争など最初から存在しないということ、いわば“勝ち組の論理”だった、ということだった訳で。いくら「あんな無能でも男性であるが故に出世できるなんて許せない」といくら噛みついてみたところで、それは「有能な女性なら誰でも出世できること」とは別次元の話だということ。で結局、自称プリティ・ウーマンたちの一部は“競争”ではなく“白馬の王子様”を夢見ることになるのだろうけれど、本作ではまだ、ワーキング・ガールたちの“競争”に対する夢が残っている。ここでは、蹴落とすべき無能上司は、もはや男性ではなく、主人公と同じく女性。一発アイデアで成功しちゃうという単純な図式のサクセス・ストーリーではあり、ファンタジーなんだけど、そこに「成功のためには主人公の女性は様々なルール逸脱を行わざるを得ない」という現実的側面と、「素敵な男性が無条件に現れてサポートしてくれる」というプリティ・ウーマン的側面とが入り混じっている点、皮肉な感じもいたします。あとこの映画、脇をハリソン・フォードとシガニー・ウィーバーという2人で固めたのも嫌味を感じさせず、うまいキャスティングですね(この2人、あまり深く役柄を考えず「俳優はどう映ればいいかだけを気にすりゃいいのさ」という事に徹する職人、という点で共通した、貴重な役者だと思います)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-12-24 09:23:50)(良:2票)
38.  若親分兇状旅
シリーズを追うごとに、「任侠モノ」「海軍魂」とかいうテイストが薄れ(いやもともと薄かったけど、もはや完全に形骸化)、単なる“いいひと”になってしまっていた若親分。今作では、ヤクザ者らしい一面を見せたり、海軍時代のシゴキにまつわる暗い過去が明かされたりと、一応、原点回帰(別に原点なんて無いケド)を見せておりますが・・・そのおかげで作品に深みが加わったかと言えば、やはりまあ、こういう尺の短いアクション映画では、消化不良は否めません。中身が無かった前作までに比べると、どうも野暮ったい印象、なんですよね。海軍時代の友人の自殺の謎を追う若親分、って言えば面白そうですが、真相なんて呼ぶほどの真相も無し(見え透いてて、およそ予想する余地も無い)。こういう作品を、ここではとりあえず無難に「意欲作」と呼んでおきます。  それにしても、都はるみ、キツイなあ。ブサイクすぎて気の毒になってきちゃう。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-05-18 23:19:55)
39.  わが谷は緑なりき
ウェールズ地方の炭鉱の町を舞台に、ええと、要するに、一家離散のオハナシですね(←その安っぽい言い方やめなさいっての)。一家の様子、町の人々の様子、さまざまな事件が、一家の末っ子の少年の目を通して描かれていくのですが、その見事な繊細さ。内容的には全然関係ないけど、中勘助の『銀の匙』をどこか思い出させるものがあります。炭鉱の町らしい、煙を吐く煙突群の幾何学的な面白さと、炭鉱の中の厳しさ。自然の美しさと冬の寒さの厳しさ。人々の交流と反目。これらが何ともノスタルジックに描かれ、どこまでも引き込まれていきます。上記のように、結局は一家がバラバラになっていってしまうのですが、そこに浮かび上がってくるのはむしろ、人と人との「絆」。映画が、悲しさよりもむしろ懐かしさをもって描かれていくのが、かえって感動を呼びます。神々しくすらある映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-04-28 21:57:22)(良:1票)
40.  若親分を消せ
すばらしいほどにワカリヤスイ内容の、この若親分シリーズ第6作。タイトル前にいきなり発生する殺人事件。その敵討ちを誓った若親分、何を思ったかとある料亭の板前となり(これが妙に似合う)、下手人を探し求める。芸者として身をやつしている、元上官の娘との出会いなど、様々なエピソードが都合よく絡み合い、都合よく物語を推し進めていくあたりは、気持ちいいほどスカスカ感があって、観ててスカッとします。正体を明かせない若親分、あくまで自分は板場に立つ身、と、常に一歩引き、理不尽に対してもぐっと耐えているつもりらしい。が、そこはそれ、脚本家のサービス精神によって、何かといらぬ一言を発したりするもんだから、案の定正体がばれ、「イヨッ待ってました、さすが若親分」的な展開となって、観ている我々は気持ちよく何度も何度も溜飲を下げられるという趣向。いやあ何ともポテチン(←?)ですな。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-03-26 18:02:49)
030.08%
1190.49%
2411.06%
3731.89%
41614.16%
53619.33%
663116.30%
7122131.55%
888522.87%
93749.66%
101012.61%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS