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1.  ワンダーウーマン 1984 《ネタバレ》 
前作は難点もあるけれど、ガル・ガドットが動いて戦うだけで魅力的な映画だった。近年にはない新しい女性ヒーローものとして、主演女優の素材をこれ以上ないほど活かしきった一作でした。そして、監督も俳優陣も続投で期待の続編、結果的には前作の悪かったところが増幅し、ガル・ガドットの魅力すら霞んでしまうような出来だった。前作でも気になったテンポの悪さ、ストーリーテリングのまずさ。最近のヒーローもの(とくにマーベル)は話運びが効率的で上手いものが多いので、パティ・ジェンキンス監督の手腕に大きな疑問符が付いてしまう。アクションシーンも少なめで、だいたい予告編で見た以上のものはでてこない。前作のような暗がりばかりではなくなったものの、CGによるキャラの動きのぎこちなさは、ここ数年で格段に進化・深化したアクション演出と比べるとその鈍重さが際立つ(シャーリーズ・セロンが別格なのかもしれないが、「女性アクションだから」という言い訳はこの作品自体の意義に関わる問題だ)。そして、1980年代描写の中途半端さ。前大統領を思わせるマックスのキャラ設定やスティーヴの着替えシーンくらいでしか物語的には絡んでこない。この点では、ニューオーダーの「Blue Mondey」をフィーチャーした予告編が最高だっただけに、期待外れもいいところだった。もしかしたら、ストーリーやアクションの緩さも含めての80年代モチーフだったのかもとも思いましたが、だとしてもNetflixの『ストレンジャー・シングス』があれだけ面白かったんだから、この作品の不出来を1980年代のせいにするのはアンフェアだ。そして、最悪だと思ったのは、「取り消し」できてしまうという設定。この作品には「責任」という概念はないのか。間違った選択をしてしまっても「取り消し」できない、というのが人生なのに。「真実」も大事だけど「責任」だって大事だよ。核戦争寸前までいったのに「取り消し」たので元の世界にもどりました・・・って夢オチよりも酷いんじゃないか。新作の娯楽大作映画に飢えていた状態だったので、デジタル配信が始まってすぐに見たものの、とにかく残念の一言でした。
[インターネット(字幕)] 3点(2021-03-06 00:27:35)(良:1票)
2.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 
50年代のハリウッド黄金時代に西部劇スターだったリックとそのスタントマンのクリフ。二人のやりとりは、スター二人の圧倒的魅力もあって軽妙で楽しい。そして、マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートのあっけらかんとした明るさ。映画館のシーンは彼女の表情を見ているだけで、こちらも幸福感に包まれる。こんな魅力が満載の映画なのに、どこか不吉な空気が張り詰めている。もちろん、その夢のような時間の儚さは、映画の背景にチャールズ・マンソン事件があるらしいと聞かされた観客みんなが知ってる。幸福感があふれるほど、それがまもなく壊される予感に切ない気持ちでスクリーンを見つめていたはずだ。しかし、タランティーノが用意した物語のラストは、予想していたものと違って、なんとまあ、落ち目のスターとスタントマンが大暴れして、「そのまま」終わってしまった。  悲劇の現実があるからこそ、フィクションのなかでこそ夢を、という考え方は当然あるだろう。ただ、個人的には、「ヒッピーめ」と新しい時代の象徴を嫌悪の目でにらみつけるディカプリオも、「古き良き時代」を葬り去ろうとする力を圧倒的な暴力で返り討ちにするブラピも、結局は新しい時代を拒否して「古き良き時代」の殻に閉じこもるどこかの大統領とそれを支持する人たちの姿にも重なってしまうのだ。とくに、東洋のカンフースターを圧倒するブラピ、襲撃グループの女性の頭を必要以上に何度も打ち付けるブラピの姿に、『ファイトクラブ』の頃のような自省的な像は全く見えてこない。外国人を黙らせ、生意気な女を焼き尽くせと言わんばかりの暴力に、どんな魅力があると言うのだろう(もちろん、カルトを肯定したいのではなく、相手がクレイジーな女だったとしても「絵」として気分がいいものではない、ということだ)。  映画としては、『キル・ビル』の頃と比べると飛躍的に巧くなって、円熟の境地に達したといっていいタランティーノ映画の魅力満載で、ぜひじっくり楽しみたい作品だ。けれど、全体の構図としては、60年代に幅をきかすようになった「あいつら」がアメリカをダメにした、という『フォレストガンプ』と全く同じプロットにも見える。俺の好きなものを奪ったやつらを暴力で返り討ちにするというタランティーノのモチーフが、最悪に近いかたちで具現化されてしまった・・といったほうが正直なところ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2019-12-30 11:46:42)(良:3票)
3.  ワンダーウーマン
それにしてもすごい女優を見つけたものだ。ガル・ガドットありきの「絵」が満載で観てるだけで楽しい。正直、ヒーローものの常であるけれど登場人物の「強さ」のバランスの悪さ、序盤〜中盤の展開のテンポの悪さ、神話世界と人間世界のかみ合わせの悪さ、ストップモーション使いすぎ、城〜ラスト戦闘シーンの薄暗い画面など、娯楽作品としては難点も多い。けれど、ガル・ガドットという女優とダイアナは完全に一体化していて、一つ一つのシーンがとにかく美しくて、楽しい。あと、クリス・パインがとてもいい。「人間であること」の弱さと強さをダイアナに伝える難しい役どころで、ここの説得力がないと物語自体が成立しないところだったけど、ダイアナというスーパー女性を前にしても嫌みにならない彼の「軽妙さ」が、この映画にとっても合っていた(正直、スタートレックより数倍いい)。2人の役者が沈没寸前のDCを救ったとは言えるけど、個人的にはこの魅力的なキャラをDCの微妙なコラボレーションで台無しにしてほしくないとすら思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2017-09-05 17:18:30)(良:3票)
4.  ワイルド・スピード/ICE BREAK 《ネタバレ》 
いつも不満に思いながらも、ついつい見てしまうシリーズ。少なくともドラマ部分や物語の辻褄に対する期待値は低く、スピード感抜群のカーチェイスと大がかりな「絵」が見られればそれでいいやというスタンスなのですが、まさにそのままの出来でした。冒頭のハバナでのチェイスは本シリーズの本領だったし、NY市内の車「ゾンビ」化(『ワールドウォーZ』のゾンビが車になったやつ)あたりは、大がかりすぎて笑うしかない。NYの絵がすごかった分、邦題になってるロシアでの氷上アクションはやや霞んでしまったけど、もうおなかいっぱい、ごちそう様という感じでした。ただ、エレナの扱い、デッカードのファミリーへの加入、そして何よりも物語上の位置づけが宙ぶらりんになってしまったブライアンとミアのことなど、やっぱり辻褄の無茶ぶりは目に余るし、そのあたりの矛盾をアクションで押し切ろうとしてるのも見え見えなので、どうも乗り切れない。加えて、ドミニクが「裏切る」ことの物語上の意味があんまりない。早い段階でドミニクが脅されてることはわかるし、仲間もみんな彼を信じちゃってるんで、サスペンス要素はほとんどない。なのに最後までその構図が続くので、なんかスッキリしたいのにできないモヤモヤもある。細かいことは忘れて乗っちゃえば楽しいよ、っていうのがお約束なシリーズなのはわかっているのだけれど、そのお約束に制作側もちょっと甘えてないか、というのがどうしても気になる8作目でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2017-08-23 18:11:00)(良:1票)
5.  ワールド・ウォー Z 《ネタバレ》 
序盤の事件発生からヘリで脱出までは、家族が一緒だったこともあってサスペンス感高し。また事件の全容が見えないまま、各都市がゾンビで壊滅していく映像も見応えあり。その後のブラピの世界旅行になってからは、家族という枷が外れたこともあって、サスペンス感は減退して安心して眺められる。ここでもゾンビがお互いを踏み台にして壁を越えるという、なかなかインパクトのある映像も見られて満足。そして、終盤の研究所での閉鎖空間でのアクションは、なかなかのハラハラ感。要するに、それなりに楽しんだわけですが、全体としては、ややしまりのない大味な展開が目につく。どんな実績があるのかわからないのにみんなにやたら大切にされる元国連職員のブラピとか(でもブラピだからそれが当然にも思える不思議)、前半活躍したけど後半完全に空気になったヒスパニックの少年とか、飛行機墜落現場から腹になんか刺さったまま歩いて研究所へ行くとか、「WHO Research Facility」というあまりにもアバウトな建物の名前とか、細かい作り込みとは無縁な感じです。「ワールドウォー」という大げさなタイトルも含めて、「そういうもの」として期待せずにみれば、サスペンスやアクションの演出はうまいので、それなりに楽しめる1本だと思います。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2016-07-30 21:59:17)
6.  ワイルド・スピード/SKY MISSION 《ネタバレ》 
なんだかミッション・インポッシブルみたいになった7作目。ただ、あちらのような緻密さは皆無で、アブダビでの車強奪シーンの大味な感じ(とあんまりなその結末)はかえってほほえましい。車が車である必要がないようなアクションの数々は少し残念で、車種や特徴にもこだわりながら、ドライビング・テクニックと改造車の性能で魅せるっていうシリーズ序盤の流れは大事にしてほしかった。あと、ポール・ウォーカーはてっきり今作のなかでも死ぬんだと思って見てたら、ふつうのお別れシーンで終わって、ちょっと肩すかし。もうこの世にいないと思えば、ラストの数シーンにはこみ上げるものはあるけど、自分としては、それは映画そのものの出来とは無関係というスタンスです。まあ、車と水着美女(スローモーション付)と筋肉モリモリな男共というおバカ映画の王道ではあるけど、それを今時のハリウッドで徹底的にやるという部分だけは評価してもいいと思う。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2015-08-19 08:39:33)(良:1票)
7.  ワイルド・スピード/MAX
なんかシリアスなんですけど・・・。しかも、ヴィン・ディーゼルがシリアス演技をしようとしてる・・・。しかもカーアクション不足・・・。せっかく彼が復帰するので、思いっきり車バカのおバカ映画にしてほしかったなあ。ただ、ラストのラストでやっとおバカ解禁になったみたいで、次作にも手を出してしまいそう。ある意味、制作側の思うツボですね。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 4点(2013-08-12 12:35:01)
8.  ワイルド・スピードX2
ヴィン・ディーゼルの退場とともに車バカの対決という前作の設定はどこかへ行ってしまい不安なスタートでしたが、王道B級アクション映画に見事に生まれ変わりました。カーシーンになるとキレて楽しそうなポール・ウォーカー、無駄にセクシーなエヴァ・メンデスは一見の価値あり。デヴォンさんは・・・(以下略)。ただ監督が、ジョン・シングルトン・・・。『ボーイズン・ザ・フッド』に涙した自分としては、なぜか複雑な心境です。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 5点(2013-08-12 12:27:31)
9.  ワールド・トレード・センター 《ネタバレ》 
TVでさんざん見た飛行機がつっこみ、ビルが崩壊する映像。あるいは、ワイドショーでさえも取り上げられたイスラムとアメリカをめぐる国際政治事情。オリバー・ストーンが描く9.11は、俯瞰的な映像を極力廃し、国際政治については一切触れない。その代わりに、あの日ビルの中にいた人の視点から見た崩壊と、その無事を祈る家族の姿を描く。僕には、これがTVやらなにやらであの事件について「わかったつもり」になっている私たちへの挑発に思えた。そして、最後の元海兵隊員の「報復が始まる」という一言。アフガンやイラクでWTC以上に悲惨な状況を作り出したのは、あの日現場にかけつけ命をかけて同胞を助けた敬虔なクリスチャンの青年のような人々なのだ。描いてないようで、細かい部分でちゃんと「政治」も描いてる。反骨の映像作家オリバー・ストーンの健在ぶりを感じました。そういう監督の姿勢には共感するものの、生き埋めになった後の二人の隊員の会話も平板で、全体の構成も冗長な印象を拭えなかったのが残念。とくに救出作業が始まってからのシーンは、もっと別の演出方法があったのではないかと思いました。
[DVD(字幕)] 6点(2009-11-17 13:05:51)(良:1票)
10.  ワンダとダイヤと優しい奴ら
コメディとして、ちゃんとツボを押さえてて、面白かった。爆笑というよりは、ニヤニヤしながら見るタイプのコメディですね。ケビン・クラインの「stupid」な演技も好きだし、「外国語」で火がつくジェイミー・リー・カーティスのコメディエンヌぶりも楽しい。
7点(2004-04-12 10:06:50)
11.  悪い奴ほどよく眠る
社会派サスペンスのお手本のようなスリリングな展開。40年以上前の作品とは思えないリアリティのある脚本、そしてあっけない最後が残す余韻。面白かったと素直にいえる作品でした。ただ、三船敏郎って、この手のホワイトカラー・サスペンスをやらせるには、ガタイがよすぎた気が・・・。スーツが窮屈そうでした。
8点(2004-03-13 23:57:18)
12.  ワンダフルライフ
物語設定のアイデアの勝利ですね。また、古い学校のような建物や、美しい映像も魅力的だし、ARATA君のたどたどしい演技も、ゆったりとしたテンポも、この映画の世界観にはマッチしていました。
8点(2004-03-09 02:51:48)
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