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どっぐすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 86
性別 男性
自己紹介 日本人なので邦画好き!
淀川先生のように、いつまでも「きれいですね~」「すごいですね~」と映画を楽しみ続けます。
不幸にしてつまらん映画を見た後も、シネマレビュー見ると爆笑ネタになって、HAPPYになります。「いや~、シネマレビューって本当にいいもんですね」あ、コレは水野御大・・・

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1.  ゴジラ(1954) 《ネタバレ》 
何度も劇場やDVDで見ている傑作だが、この度デジタルリマスター上映で鑑賞。 作品の評価は揺ぎないが、このリマスターは映像も音声も少々「やりすぎ」に感じた。 巨大に見えていたゴジラのディティールが鮮明になることで2メートルの着ぐるみの質感やギニョールの仕掛けなどが、生々しく感じられ演出の意図を崩してしまったようにも思う。 ビルの壊れ方、ピアノ線、重そうなゴジラの動き、所々の無理なカットつなぎ、合成の揺れなど、常に絵の外側にいるスタッフを意識してしまう。 しかしその反面、日本で初めて怪獣映画を作るにあたって当時のスタッフがどれほど試行錯誤して汗を流して苦労したか、スタッフが写っていないメイキング映像のようにも感じられるという、穿った見方ではありますが、そういう面白さを感じました。 作品そのものの感想ですが、若い頃見ていた時より、今のほうがよりドラマに説得力を感じました。「戦争」「核」「科学の誤った使い方」この映画の製作当時から半世紀以上を経ても解決されない問題だからだと思います。
[映画館(邦画)] 10点(2014-07-01 16:06:35)
2.  100,000年後の安全 《ネタバレ》 
たぶん、この施設の現場の人達が平然としていられるのは、100000年ではなく、使命感を持ちながらも生きている間の自分の仕事として、自分の部署としての責任で仕事をしているからだと思います。 自分も全く日々、「自分の仕事」をしているだけの存在にすぎません。 実のところ、原発推進派でも、政治家でも、電力会社の人でも、一個の人間としては善良で家族思いで、人類が滅びれば良いという人はいないと思います。 しかし、日本列島が今の形になって3万年ぐらい、10万年以上も民主主義国家の下で安全に管理できる場所などどこにも無いということは、日本の歴史上でも、政治的な歴史、人類の歴史、地学的にも明白なことです。 原発が出来てたった50年で未来永劫に渡る負債を日本は背負ってしまったのです。 まずは原発をやめること。やめなければ未来は無いこと。やめた上で対処を考えること。 廃棄物が持っている放射能は、家族の一人である前に、誰かの友人恋人である前に、某社の社員である前に、某国の国民である前に、一個の人間である前に、人類の一員である前に、地球の生き物であるという高度な認識を持てるかという問題だと思います。 「生き物の生存」よりも「科学の意義」や「政治家の立場」を優先するのが悲しい人間の性でもあります。 この映画は、人間が考えうるギリギリの対処の仕方を極めて冷静に示してくれます。 まずは「やめること」しかありません。それが人間として極めて冷静な判断だと思います。  「科学」を使うなら錬金術の「もんじゅ」よりも廃棄物を宇宙へ放り出す「軌道エレベータ」のほうが100000年単位で考えればよほど有望です。まずは「やめる」ことです。 やめなければ「生き物」にとって未来はありません。
[DVD(字幕)] 10点(2013-03-08 01:17:13)(良:1票)
3.  フラガール 《ネタバレ》 
素直に泣けて、心温まる王道的作品。素直に泣けるが、泣かそうとする監督のテクニックが鼻につかない所が実にいい。 老若男女あれこれ考えずに、いい気分になって映画館を出るという、庶民の娯楽を貫いた作品だ。 山田洋次監督に匹敵するかもしれない才能を感じます。 陰惨な事件が起こるたびに思うのである。道を踏み外す前に、気まぐれでこういう映画を観ていたら、明日もなんとかなるかもしれないと思えたのではないかと。 自分のために泣いている人たちよ、他人のために泣き、笑うこの映画の人物たちの生きる姿を観てほしい。
[DVD(字幕)] 10点(2012-12-03 19:45:45)(良:2票)
4.  機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編
今のオジサン世代は当時、ガンプラ小学生。 どこをとっても名シーンなのは言うまでもないが、あえて挙げると、ギレン暗殺直前のカットは本当に今見ても素晴らしい。 ギレンとその背後に立つキシリアの長回し。 セリフ回しはもちろん素晴らしいのだが、二人の目と些細な動きだけで、二人の関係を表現し、緊張感を盛り上げる演出のうまさ!!地味でありますが、このシーンはアニメ史上屈指の演出だと本気で思ってます。激しい動きでもなく、キメのポーズでもなく、キャラクターに演技をさせるというのは、こういうことだというお手本だと思います。富野監督と安彦アニメーターのコンビでロボット物ではないジャンルをきちんと作らせてあげたら、ジブリ作品を凌駕するものが出来たと思います。今の自分がプロデューサーであれば、「ガンダム」ではない映画監督、富野由悠季作品を世に送り出したいです。この人は「ガンダム」ではなく本当の「映画監督」です。 
[映画館(邦画)] 10点(2012-02-01 21:42:37)
5.  エイリアン2/完全版
久しぶりにブルーレイで鑑賞。本当にジェームズ・キャメロンはうまいと改めて実感。 キャメロンの映画はどれも構成はシンプルだ。シンプルなのに長い。長いが全く長さを感じさせない。この作品も敵地に攻めた。逃げた。籠城して脱出というシンプルな構成である。 娯楽映画とはかくあるべきというツボを完璧に押さえている。さらに前作に敬意を払って前作のツボも見事に再現している。サービス精神とはかくあるべきというツボも完璧に押さえている。 才能ある監督に共通していることだが、特別編になってエピソードが増えても「無駄なカット」がない。 特撮は今見ても素晴らしい。装甲車のミニチュアも、飛行機のミニチュアもかっこいい。全てが計算されたCGでは出せない質感、量感、空気、動きが今となっては懐かしい。 パワーローダーの特撮がずっと疑問だったのだが、メイキングでリプリーの後ろにボディビルダーがパワーローダーに入って動かしていたというカラクリを知って驚いた。 アナログでしかできない中で、工夫する楽しさ。工夫されたゆえに醸しだされる画面の魅力。 キャメロンも、最近の作品ではCGでどんな表現も可能になって、そのビジュアルは素晴らしいものだが、表現したいものと表現できないものの相克が生み出した結晶のような魅力が、この作品にはあふれていると思う。 リドリー・スコットの「エイリアン」と表裏一体の関係で、「エイリアン」はこの2作で完結していると自分は思ってます。3,4は二度と観たくないです。    
[ブルーレイ(字幕)] 10点(2012-02-01 01:22:09)
6.  未知への飛行 《ネタバレ》 
4カ所の密室劇で世界の運命を語る傑作。 映画とはなんでもかんでも見せることではない。観客に想像させることが優れた演出であるのだというお手本のような作品です。 20年ぶりにDVDで鑑賞して、なおこの恐怖はミサイルに限らず,原発でもありうることだと思えます。 若い映像に携わる人たちは、エフェクト満載の編集ソフトや、CGに頼らず,いかに観客に「想像させるか」、いかに「役者の演技で伝えるか」ということを、過去の低予算の傑作から学んで欲しいものです。 虚飾を取り払った表現に、映画の本質があるのだということを、この映画は改めて教えてくれました。 
[DVD(字幕)] 10点(2010-07-12 00:52:06)(良:3票)
7.  おとうと(2009) 《ネタバレ》 
山田洋次監督の前作は後味が悪かったが、「おとうと」は涙をこらえるのに必死であった。一人で家で見ているなら号泣したかった。 本来,映画を見るということはそういうことであったはずなのだ。 ああいう親戚は自分にも確かにいる。 自分は子供の頃によく遊んでもらったので特に嫌悪感を持っていなかったが,何故か親や他の親戚から冷たくあしらわれており、おしゃべりで人を喜ばすのが好きな性格の人なのだが、いまひとつ世間の常識がわからないと思われているようである。そういう自分の経験と重なる部分がこの映画にはありました。 どんな人間にも必ず存在意義があり、居場所があるというのが山田洋次監督の思想のようで、それは共感できるのだが、この作品では何故か医者が悪い意味でのエリートの代名詞のように冷酷な人間に描かれているのは違和感を持ってしまいます。 弱い立場の人間を描く上でそうした描写になったのは、想像できるが、「話す時間もない」「話すことがない」ぐらい追い立てられている人間の悲哀や孤独、それを理解しようとして理解できない妻の姿も描かれていてもよかったのではないかと思う。 あの娘の結婚は単に相性が悪かっただけなのだ。 しかし弟の死に際はどんなにベタだと誰が言おうと自分にとっては衝撃的に胸に迫った。 不謹慎であるが、山田洋次監督がそういうお年頃であるから描けたシーンであったと思う。 姉のいる前で弟にとって赤の他人が「もう楽にしていいのよ」と告げることが、どんなに重みのある献身的な言葉であるか。ダメな人間とは資本主義社会の一面の見方でしかなくて、その人間の存在意義と尊厳を描いていたと思う。現に弟は「世間が俺を認めてくれない」とバカな凶行に走る事もなく,人を恨む事もなく,うまくいかなかっただけである。そんなお人好しで自ら人生を断ってしまった人も自分は知っている。 そんな思い出や共感をダシにした映画だという批判も自分には関係ありません。 自分の経験に重ねて人生考えさせられたことに感謝したいですし、それが映画の醍醐味だと思います。 映画館を出た後も延々とこの臨終のシーンの重さが響いて,思い出すたびに,ただ道を歩いていても涙が出そうになった。自分だったら,このように潔く人生を終われるだろうか、自分の親類だったらこのように送り出せるだろうかと。山田洋次監督,もうしばらくがんばってほしいです。
[映画館(邦画)] 10点(2010-02-22 00:02:10)(良:2票)
8.  ターミネーター2/特別編
公開当時,映画館で5回見た。この特別編はドラマが膨らんでいるので3、4から見た人はこの特別編の方が理解しやすいかもしれない。 今,改めて観ると,すごく印象に残っていたCGが的確かつ最小限に使っていたとよくわかる。 ハイテンポなアクション映画という印象があったけど、実はスローモーションが多用されてて、要所要所でストーリーやアクションを印象深くしていることに、今更ながら気づいた。 また、アクションの中にも,さりげなくユーモアも所々に散りばめられているのも感心する。 例えば病院で柵をすり抜けるT-1000が手に持っている銃がひっかかって立ち止まるショット。 T-1000の特性をわかりやすく、一瞬でユーモアの中に表現している優れた演出だ。 最近のアクション映画はこういうちょっとした、予算がかかるわけでもない優れた演出のアイデアがものすごく欠けている。物理法則に説得力の無い,空虚にハデなビジュアルばかりである。 この映画を改めて観ると,アクションとは物理なのだと思う。 傑作とは技術や予算よりも、こういう優れた演出で成立していたはずなのだ。 何度見ても面白いのは,要所要所の計算された演出の賜物だったのだと今は思う。  
[DVD(字幕)] 10点(2009-08-05 02:23:14)
9.  ブレードランナー/ファイナル・カット
バージョンごとに細部でどこが変更されたか分からない程度のファンでありますが、15年前にディレクターズカットを新宿東急で観た時、この作品を劇場で観る価値を知った。そして今回のDLP上映の美しさ。古さは全く感じられない。映画館で映画を観る喜びをこれほど堪能したのは久しぶりだ。少なくとも、あと25年この作品は古びず、生き残るであろう。しかしそれは過去の作品を超えられない映画界の危機を意味しているかもしれない。
[映画館(字幕)] 10点(2007-11-27 01:21:49)
10.  ヒポクラテスたち
傑作です。年をとってみればみるほど、自分にとってさらに傑作になっていく気がします。 そんな大事なものが入っている映画はなかなか無いです。 古尾谷さん本人も、愛作のように繊細だったのでしょう。残念でなりません。 
10点(2003-08-15 22:04:35)
11.  新聞記者 《ネタバレ》 
昭和の時代って、実際の政治事件を扱った社会派ものから、荒唐無稽なスパイものやら、パニックものまで政治を扱った映画で面白い作品がたくさんあった。 また、昭和の時代はどんな権力者でも批判されてあたりまえであって、多くの映画の題材にもなり、いかにも悪い権力者、理想的な権力者も描かれた。 また、そういう作品を観て政治の世界、権力者のあり方というものを知ったものだ。 過去の映画でも、新聞記者が特ダネを握りつぶされるという描写はよくあるのだが、最近ではそういう描写すら自粛されているのではないかという危惧がある。  最近では犯罪サスペンス映画で本筋とあまり関係ない政治批判的な描写を入れたり、 全く架空の怪獣映画で官邸を風刺してみたり、 領土問題で全く架空の政権を登場させるといった方法でしか、政治を扱う映画が作れないのだろうかと思っていたら、 まさに直球ストレートな作品が登場したことに賛辞を送りたい。  かなりリアリティを感じる新聞社のオフィスに対して、内調の職場風景はやりすぎなぐらい架空なのだが(まるで秘密基地である)、 扱っている内容は現在進行形で起こっているであろうことである。 そしてあの問題の核心が出た時に、この映画の中の政権がいかに危険な考えを持っているか納得した。 (フィクションの中の政権と一応断っておきます)  メディアの報道のされ方、それに対するネットでの反応などで、ここ数年疑問に思ってきたことが、かなりの部分納得させられるものがあった。 最近、自分は政治について発言するのも怖いという感覚があるのだが、極端な話、メディアが統制されていけば隣の北の国のような大本営発表的な報道しかされないようになる。(あくまで極端な仮定です) それは民主主義国家ではないことは、隣の国を見れば明白である。  そんな妄想にまで至りましたが、この「フィクション映画」を観て、多くの人が考えてほしい。
[映画館(邦画)] 9点(2019-07-03 02:52:52)(良:4票)
12.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
1984年「ゴジラ」公開当時にこういう「絵」が見たかった、どうしたらもっと本物に見えるのだろうか、と寝ても覚めても考えていた当時中学生の自分にとっては、庵野・樋口両監督が長い年月をかけて経験を積み、その願いを実践してくれたことにまずは感謝したい。  「シン」の意味は様々あろうが、これが真のゴジラかと言えば、良くも悪くも多くのゴジラの一つのバリエーションであろうと思う。 初代を超えるかどうかという問題は、初代が厳然と存在している以上そのインパクトは誰が作っても超えようがない。  しかし間違いなく3.11を逃げないで踏まえた現代の「ゴジラ」であろうと思う。 自分は最近の表現の過剰な自粛を悲しく思いますし、その中でこういうフィクション性が高いジャンルの映画を傘にして、多くの人が語りにくいことを表現していることがこの作品の最大の収穫だと思います。  非常事態に際して、誰が悪いのか、誰が責任を取るのかという短絡的な指摘ではなく、この国の構造的な問題を客観的に極めてわかりやすく指摘していると思います。(情報が多すぎてわかりにくいという点が逆に役所の本質をわかりやすく表現している)  例えば危機に際して首相が「都民を置いて避難はできない」と啖呵を切るが、その直後の側近の提言でいとも簡単に「わかった」と納得するシーンも実に含みを感じる。こういうやりとりがあったというアリバイがあって避難できるという政治家の腹も読めるのだ。これも避難するための役所の手順にすぎないと自分は感じた。(だからほとんどの政治家に感情移入できないような見せ方になっている) 自衛隊の攻撃はまさに膨大な「手順」の連続である。射撃の意思決定までの手順をこれほど正確に描いた邦画は初であろう。 重大な行動のためには膨大なハードルが用意されているという役所の本質がわかりやすく、非常に勉強になった。  若い人たちには風刺という概念すらないかもしれませんが、こういう切り口で風刺のきいた社会派映画を作る余地はあるのだと感心しました。  ヒロインのカヨコの役作りも自分はOKと思います。上手い下手という以前に、仕事で男性と対等に渡り合える女性はもっと邦画で描かれるべきだと思います。 ゴジラ映画としては多くの方と同じように細かいツッコミはいくらでもしたくなりますが、今回は明らかに怪獣映画という範疇には収まらない内容で、映画のセリフと同じように「日本のクリエーターはまだまだやれる」ことを少し誇りに思います。
[映画館(邦画)] 9点(2016-08-02 02:15:10)(良:4票)
13.  天国と地獄 《ネタバレ》 
もはや文句のつけようがない映画史上に残る名作であるが、今見ると、ひとつだけ文句をつけたい。 警察の捜査によって無関係な麻薬中毒患者を一人犠牲にしていることだ。 当時は誘拐犯の罪が軽かったとはいえ、その非道性を表現するために社会の底辺の人間を警察が殺している点だけは納得出来ない。 犯人の罪は問われても、警察の過失は問われないのだろうか。 麻薬中毒患者を殺すような犯人を殺人犯として逮捕するという展開の中で、麻薬中毒患者など死んでも良いという矛盾した思想が垣間見える。 私利私欲のために人を殺すのは非道であるのは当然だが、公のために良かれと思って人を殺すのは許されるものではない。 人の死に何の差があろうかと思うのだ。 この映画は犯人が確定した時点で逮捕されるべきだったと今は思う。 特急「こだま」のシーンは本当に今見ても素晴らしい。撮影現場で役者の迫真の演技を引き出す状況を作り出す監督は今や絶滅している。 今のテレビドラマで同じようなことをやってもこの迫力は不可能であろう。 このシーンだけでも歴史上に残る映画である。だからこそ、捜査のために犠牲者を出しても仕方がないという矛盾には納得できない。  
[DVD(邦画)] 9点(2013-08-13 23:51:14)
14.  じゃりン子チエ 《ネタバレ》 
ガンダム全盛の小学生の頃は全く見向きもせず、30年以上を経て初めて拝見。 演出も作画も、恐ろしいほど優れたテクニックで良い意味で全く子供向けではない。 例えば猫の動きの表現にも、ごまかしがなく、本当に当時のアニメーターのレベルの高さを感じます。 高畑勲監督の特徴だと思うのですが、ストーリー上はもっとテンポがあった方が見やすいと思えるものを、微妙に「間」を入れることで、人間の営みを一歩引いた感じで考えさせてくれます。 例えばテツの行動は、まともな演出ならギャグそのものですが、何を考えどんな人生を生きてきたんだろうかとふと考えさせられます。 この作品が海外で評価が高いのも納得します。人物に感情移入しすぎて日本人ならわかると省略する部分を丁寧に描いているから、海外の人にも理解しやすいのだと思います。 こんなレベルの高い作品でも、ペコちゃんやゴジラが堂々と出てくるのは、おおらかな時代だったと思います。 こういう遊び、今の時代では見られません。 これを今まで見ていなかった自分も恥ずかしいですが、全く今の時代でも古さを感じないので、老若男女見てほしい作品です。 特に遊園地のシーンは素晴らしい情感で、名シーンだと思います。 遊具のひとつひとつを詳細に研究しているのが想像できて、この監督のこだわりの凄まじさを感じます。 これだけの労力を費やしているからこそ、古さを感じないのでしょう。 ようやく見られるであろう次回作が楽しみです。 
[DVD(邦画)] 9点(2013-06-06 01:52:12)(良:1票)
15.  巨人と玩具 《ネタバレ》 
極度にディフォルメされているとはいえ、高度成長期の日本の空気をすごく表現している作品です。 日本の高度成長期とはプロジェクトXのような美談だけではないのです。 学生の頃、この作品をビデオで見て、資本原理というものを初めて理解しました。 今、改めて見ても、ものすごい情報量に圧倒させられます。 年齢を経て、登場人物の生活背景が想像できるからだと思います。 利益優先のシステムが肥大化して、誰も考える余裕が無い。まさにシステムという「巨人」の中に人間という「玩具」が弄ばれている様が描かれます。 システムが軌道に乗ると、部品である人間は大局的にものを考えなくなる。 この結果がたまに現れる企業の失態であろうし、その最悪の結果が原発事故なのだと思います。 お菓子会社の三つ巴の戦略、ライバル会社の社員同士の恋愛、友情の破綻、5人兄弟の貧乏暮らしの家庭でスターになれば人間どれほど豹変するか、家庭を無視して体を壊してまで出世する人間の悲哀、諦観したカメラマンの存在、脇役の女性テレビディレクターの言葉など、今見ると、あらゆるシーンが風刺的で衝撃的です。 今見ると、なにげない脇の言葉が印象的です。「テレビなんて誰もお金を返せなんて言わないからこの仕事が好きなのよ」 お菓子会社の宣伝部長のセリフも本質的です。「大衆は何も考えない。考えるヒマが無い。そこに繰り返しキャラメルはおいしいと訴えるんです」 お金のある政党の選挙活動そのものです。こういう本質的なセリフが矢継ぎ早に出て圧倒されます。 映画のテクニックとしては、終盤近くのダンスシーンが素晴らしいと思います。 これだけテンポが早くても、突然ストーリーを進めるのに支障がないシーンを延々とじっくり見せて、観客に考えさせる時間を与えているからです。 凡庸な演出ならこんなシーンは野添ひとみが踊っている1カットだけで説明がつきます。こういう演出が天才の仕事であると思います。しかしこの映画はいわゆる告発ものではありません。 今は風刺映画というジャンルがありません。そういう才能はドキュメンタリーに行ってしまっています。 若い人に是非観てもらって、考えて欲しいです。  
[DVD(邦画)] 9点(2013-03-14 01:07:11)(良:2票)
16.  生きものの記録 《ネタバレ》 
この映画の製作当時は原水爆に対する不安があった(今もある)。 しかし黒澤明の訴える恐怖とは、原水爆よりも「核」そのものに対する恐怖である。 この老人の行動を「原発から逃げる」と置き換えれば、全く現代のドラマとして成立する。 「核」が止められないものであれば、根本的な不安を取り除くには、この老人のような極端な行動をとるしかない。こういうテーマで直接的な表現をせず、ドラマによって「核」の恐ろしさを訴える黒澤明の才能はやはり尋常ではない。 この映画の製作当時から半世紀たっても、この恐怖がさらに身近になっていることに、どうしようもない人間の愚かさを感じる。 今こそリメイクする価値があると思うのだが、各方面から絶対阻止されてしまうだろう。 しかし、今だから平成の「生きものの記録」を見たいと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2013-01-06 23:37:05)
17.  機動警察パトレイバー 《ネタバレ》 
公開当時はWindowsもMacも知らず、パソコンを自分の生活と結びつけて考えることもありませんでしたが、今見ると、ロボットの操縦を支援するシステムとしてOSという概念を取り入れ、ウイルスで制御不能にするという発想が卓越しすぎです。 それまでのロボットアニメって、ガンダム以降でもなんとなく優秀なコンピューターが入っているというぐらいの設定しかなかったですから。 公開当時の近未来の風景として、ロボットが闊歩しつつ、昭和の古い風景も残りつつ、湾岸の大開発もありつつ、誰も携帯電話を使っていないというのは今見るとすごくシュールです。現在ではようやくAIBOが走っただけで到底実現できない部分と、インターネットによって情報伝達ではこの近未来を超えている部分があり、パラレルワールド的な世界を今は楽しめます。 監督が生活の苦しい時期に「仕事」としてエンターテイメントを無理に作ったらしいですが、結果的にすごくバランスの良い作品です。自分は才能を持った人が作家性2割、職人性8割ぐらいで仕事をした時に傑作を生み出すと思っています。つまり2割は言いたいことを言わせてもらうが、8割はサービス精神を発揮するというバランスです。監督としては最も苦しい時期だったのかもしれませんが、自分はこの時期がこの監督の頂点だったと思います。アクションのセンスも抜群、笑いもあり、ミステリーの面白さあり、蛋白であるが微妙な恋愛模様あり、反権力、文明批判をちらつかせ、後味は無理やりではあるが爽やか。(爽やかであるから、暗黒の作家性がスパイスとして観客の印象に残るのです) この作品は「ヘッドギア」と呼ばれるメンバーの才能が奇跡的に噛み合った稀有な作品だと思います。 この監督が言いたいことを言っているだけの最近の作品は無残です。 
[ブルーレイ(邦画)] 9点(2012-07-07 23:28:53)
18.   《ネタバレ》 
中学生の頃、黒澤明の先入観なしに初めてテレビ放送で観た感想は「難しそうな映画かと思ったが意外とわかりやすくて面白かった」。 これが黒澤初体験であった自分は、それ以前の黒澤名作群の面白さをビデオや名画座で知ることになるのだが、 全盛期とは作風が違うといった評価は自分にはない。「乱」は比類なき「乱」であると、最近の4Kブルーレイを観て改めて思った。 今、映像の仕事をしていると見るたびにカメラワーク、絵作り、編集のバイブルのように思う。 稽古を重ねて凝縮された名優たちの演技も素晴らしいし、だからこそ誤魔化しの無駄なカット割りも無い。 自分にとって編集は見るたびに参考になり、今見ると無駄なカメラワークを感じさせないために、実はリハーサルを重ねて大変難しいカメラの動きを大勢のスタッフでやっているのが理解できる。 極力カメラや編集の技巧を感じさせないために実は大変な労力を費やしている仕事は美しいと思う。 今の映画の作り方はいかにカメラワークや編集で驚かせるかという真逆の方向が主流と思うが、それを自分は否定しないし、その面白さもあるのだが、この作品のスタッフワークの素晴らしさは公開後30年経った今もいささかも自分の中で風化しない。 「歴史に残る」とはこういう作品なのだと改めて思う。 若いころはセリフが説教臭いと思った部分もあるのだが、「人間は愚かなことを繰り返している」というこの作品が訴えるものは、今の世の中を見ても明白である。 ぜひ、若い人に観てほしいと思う。実際に燃える城、大人数の合戦など、今後日本映画では決して実現できない映像を見ておくだけでもいいと思う。今のテレビドラマではとうていお目にかかれない凝縮された役者たちの演技を見るのもいい。 映像と音楽が一体となった効果(特に落城シーン)も観てほしい。 世間の評価がどうであれ、自分にとっては教科書であり続ける作品です。
[ブルーレイ(邦画)] 9点(2003-10-02 03:12:05)
19.  男はつらいよ 寅次郎紅の花
この作品で、満男と泉ちゃんに決着がついて本当に良かったと思います。寅さんの動きを必要最小限に押さえてるような演出(それでも、元気そうに見える渥美清)リリーの登場、震災後の神戸で終わるラストシーン。 最後のつもりではなかったであろうけど、いろいろ象徴的な感じがしました。
9点(2003-09-07 00:43:33)(良:1票)
20.  ブラック・レイン
最早20年。最近,特典映像付きのDVDを改めて見て,この作品の素晴らしさ,俳優の演技の素晴らしさは尽きないのだと思う。 日本人にとっては微妙にトンチンカンな描写も散見されながら何故,この作品が魅力的に見えるのかと考えてみた。リドリー・スコットならではの映画的誇張によって、我々日本人にも、「日本」の違った角度での魅力と「日本」とは違う異国の風情を醸し出しているということも考えられるし、監督のオーディオコメンタリーを聞いてみると、当時どれほど、スタッフが「日本」を理解しようとしていたのかが感じられる。 日本人の自分がこの作品を魅力に感じるのは,健さん,優作の魅力も言うまでもないが,当時の製作者がいかに日本人を理解しようという気持ちと努力があったからであると20年経った今は思う。 そういう気持ちというのは国境を越えて伝わるものであるし、日本人が不快に感じる作品は、やはり製作者が人種的な偏見を持って作っているのだろうと思う。 作品のテーマが「異国同士の理解」であるからなおさら、製作過程の現場の度重なる危機があっても、そのテーマを反映して乗り越えて完成したと、今は想像できる。 かつて黒澤監督が「トラ!トラ!トラ!」で「異国同士のすれ違いによる悲劇」を描こうとして、同じように異国同士の現場のすれ違いで失敗したのと対照的な感じがする。 そして映画の中で優作を殺さなかったのが、この映画をB級に貶めずに傑作にしている正しい判断であったと思う。 最後の決闘の直後に警察署のドアをバーンと開ける瞬間。これが「映画的瞬間」であり、「ブラックレイン」を傑作足らしめている監督とプロデューサーの判断,編集のうまさだと思う。 当時の松田優作がいかにこのこの作品に賭けていたかはもちろんだが、この編集の判断があったから「ブラックレイン」は傑作となったと今は強烈に思う。
[DVD(字幕)] 9点(2003-09-04 03:38:47)
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