1. 天空の城ラピュタ
アニメでは最も好きな作品。ナウシカも良いが教義的な匂いが強くやや押し付けがましいのがちょっと・・・。 ラピュタはメッセージ性はあるがそれをうまくオブラートで包み込んでいる。それを感じ取ろうとすれば感じるし、そういうものを意識しないで見ても楽しい。 僕の考える良く出来た映画ってのはこの辺のバランスの良い映画。もっと歳を取ればバランスも変ってくるだろうけどね。 しかし四捨五入すれば40にもなろうというオッサンが素敵な気持ちになれるんだから、それだけで凄いと思う。 [DVD(字幕)] 10点(2005-06-10 22:33:54)(良:1票) |
2. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 怪物たちの造形と効果音。画面から臭ってきそうな生っぽい肉塊。ドロドロ流れる粘液、蜘蛛みたいな脚、絡みつく触手。 人間が何をもって気持ち悪いと思うか、何をもって不快感を感じるかを完璧に理解しているに違いない。どうやったらこんなの考えつくのか?凄すぎる。 ノリスの腹がパックリ開いて両手を噛み千切られるまで一瞬の間の演出はすごい。多分1秒あるかないかだけど歯の生えた腹がパカーッと空いた瞬間、カァ~~~~っという不気味な呼気のような音を伴って見るものを一瞬考えさせる間がある。ハァ?って。だって普通こんなの予想しないよね。その予想も出来ない事態を見るものに認識させるための間、かつ次を予想する時間までは与えない。この間があってこそ次からの怒涛の変体がいっそう怖さが増すのだ。 続いてノリスの首が伸びてちぎれるシーン。皮がブチュブチュッとちぎれミドリ色の血管だか何だかわかんないグチャグチャしたものが伸びる伸びる。伸びながらその血管みたいなのがちぎれてブチューッと気味の悪い液体が飛び出す。これも一瞬だけどウッヒャ~という感じ。 こういうディティールの充実がマニア受けするのでしょう。 これ考えた奴も嬉々としてやったに違いない。単なるプロ意識とか義務感じゃ無理ですコレ。 [DVD(字幕)] 10点(2003-09-10 21:17:27)(良:1票) |
3. レ・ミゼラブル(1982)
ジャン・バルジャン役のリノ・バンチュラは、原作を読んだときに思い描いた姿に良く似ており、その意味でかなり感情移入できました。 後半、マリウスが参加する革命運動の描写にかなり時間をとってますが、やや冗長すぎた感があります。 ここまではテンポ良く描けていました。 原作は大作ですから3時間ほどの時間に収めるのは大変だったと思いますが、大胆な省略法を使いつつも、雑な印象はなく、メリハリが効いています。 総じて丁寧に作られた良い映画だと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2008-10-05 22:57:50) |
4. タンポポ
大金持ちから浮浪者まで、それぞれの生き方にそれぞれの食ありですね。 山崎努というと『天国と地獄』の卑劣な犯罪者役とか『八墓村』の32人殺しの多治見要蔵役とか、シリアス系の役者という印象があったので意外。目尻のシワが可愛い。 伊丹作品の中では一番好き。宮本信子をはじめ出演者全員が輝いて見える。 [DVD(字幕)] 9点(2005-05-20 01:42:21) |
5. 影武者
信玄の影武者を演ずるうちに信玄になりきり、信玄亡き後城を追われてもなお、去ることが出来ない悲しさ。信玄の息子をも実子のように愛し、物陰から見つめる姿が切ない。 信長との最後の合戦で一人狂ったように立ち向かっていく姿は悲壮感と悲哀に満ちている。 現代においても会社という組織を主人として影武者のように働き捨てられていく人々、うまく言えないがそういったものに通じるように感じました。この映画が作られた当時はまだモーレツ社員なんて言葉も多分生きてただろうし、その方々が見たらなんて思うんだろうと考えたら悲しくなってしまいました。 [DVD(字幕)] 9点(2005-05-05 14:44:13) |
6. ドライビング Miss デイジー
辛気臭い役柄の目立つモーガン・フリーマンだけどこれははまり役です。陽気な中でふとした瞬間にちょっとシリアスな一面が見え隠れする奥の深い役柄をこなしているあたり、この人ありきで成立している映画だなと思いました。ちょっと他の俳優は思いつかないな・・・。 所々にちりばめられた人種差別系のエピソードはあまり効果的とは思えず違和感があった。 この時代の南部系の黒人問題やユダヤ人に対する偏見という背景を説明しておきたかったのかもしれないがあまりにも説明的過ぎて。まあ文句付けるハナシでもないんだけど。 長い年月のなかで信頼関係を深めていく二人を時系列で淡々とエピソードを連ねて描いている、ただそれだけの映画なんだけど何が良いのかよくわかんないのに全体としてすごく良いのはなぜなんだろうね。 [DVD(字幕)] 9点(2005-01-14 02:25:02) |
7. 存在の耐えられない軽さ
大学生のころに見たんだけど妙に気に入ってしまって2本立て続けに見たりしてました。映画館で見ただけで5回は見に行った。 男女の関係を描いた映画は苦手なんだけどこれは例外。 なぜイイのか説明できないけど、とにかく好きな映画。 [映画館(字幕)] 9点(2004-01-31 13:59:57) |
8. アラビアのロレンス 完全版
アラブ人になりきれず、英国軍人にも戻れなかった一人の男の悲哀。その悲喜こもごもを丁寧に描いていると思いました。 ロレンスに限らず人物の描き方が総じて丁寧ですね。 特にファイサル王子の英国軍に力を借りなければならないが侵略はされたくないという警戒感と、その英国軍人でありながらアラブ人に限りなく近づいたロレンスへの感情の複雑さの描写と演技は巧みです。 英国も老獪ですが、結局は帝国主義的侵略が許されなくなりつつある世界の趨勢を読んで立ち回ったファイサル王子が一枚上手だったように感じました。その間で弄ばれたのがロレンス。 比較的パンの少ないカメラワークながら、絵画的ともいえる緻密な構図で動感を表している点は見事です。ワイド、ロング共に映像美をたっぷり味わえました。 現代の忙しくシーンの切り替わるカメラワークに慣れた目には却って新鮮に映りましたね。 ピーター・オトゥール(ロレンス)の演技にはややぎこちなさを感じますが、この映画の場合は却ってそれが効果的だったかもしれません。 アリ役のオマー・シャリフはエジプト出身だけあって風景に馴染んでいるし、アンソニー・クインは中東とはまったく縁の無い出身ながらその無骨さと荒々しさは現地人並に見えました。名優ですね。 [DVD(字幕)] 8点(2008-10-26 23:12:40)(良:2票) |
9. となりのトトロ
巧みに郷愁をついてくるシーンの作りこみは見事。 子供の頃に住んだ場所に似てるのでなおさら見入ってしまう。 道端のお地蔵さん、鎮守の森、メイが迷子になるシーンで段々日が傾いてくるにつれ空の色が変わっていく様子、虫の声。細かいところでは冒頭のオート三輪での登場シーンでカーブの途中で水溜りでバシャッとなる部分。ちょうど神社の鳥居の前。そういうところって人が通るからか水溜りになるんですよね。 見方によってはあざといともいえるが、ボクにはそう思えない。 1時間半に満たない短い映画ですがタイムスリップして子供の気分に戻れる貴重な映画だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2005-07-30 23:46:56) |
10. マルサの女
タンポポに次ぐ傑作と思います。 サラリーマンには税務署なんて馴染みはないので気楽に楽しめました。 山崎努はやはりうまい。こういう癖のある悪役をやらせたら天下一品ですね。 [DVD(字幕)] 8点(2005-06-14 10:30:02) |
11. ミッション
《ネタバレ》 滝の上の楽園と下界の俗世間を隔てる滝という舞台装置を極めて象徴的・効果的に扱っている。 命がけで担ぎ上げた山のような荷物をインディオに川に投げ捨てられ、身を震わせて泣くメンドーサ。 ガブリエル神父が駆け寄り抱きしめる。 これは何を意味するのか。 神父の一行と共に川を遡る間も頑なに心を閉ざしつづけた彼が、心を見せたことへの祝福? 下界から担ぎ上げた荷物を失うということが、俗世間からの決別であることを象徴的に描いて見せた? 解釈は一つではないかもしれないが、前半の最大の見せ場だろう。 僧として無言の抗議の末に死んでいくガブリエル。僧の立場を捨て武器を取って闘い、銃弾に倒れるメンドーサ。 どちらが正しいのか。闘いの直前、祝福をもとめるメンドーサにガブリエルは、祝福はできないが君の行いが正しければ神が祝福するだろうと告げる。 そこからは2人が倒れるまで、2人の行動と表情がパラレルに描かれる。 先に倒れたメンドーサが死に行くまでのあいだ懸命に身を起こし、銃弾の飛び交う中をインディオと共に行進しついに倒れるガブリエルを見つづける。 どちらの行為が神の意に沿ったのか答えを求めたかったのだろうか。 現代にも通じる、正義のために闘うということの是非を問い掛けるシーンだ。 敢えて両極を対比させて問題提起を明確にしているが、映画としては答えを示してはいない。 ここは監督としての態度を明らかにしてもよかったのではないか。新聞のような媒体ならともかく作家の個性を示すことが公然と許される映画ならではの態度表明をしてほしかった。 多分おいそれとは答えは出せないこととは思うが、判断は任せますといった態度はやや陳腐さが匂う。 最後に生き残った子供達が小船に乗って川に漕ぎ出すシーン。 無限の可能性を秘めた子供に希望を託すというも象徴的な描き方だがややあたりまえすぎるキライがある。 しかし、映像の美しさと音楽でそれを充分に補ってしまった。 考えて見ればこの手のテーマはキリスト教を信仰する人々には永遠のテーマなのだろう。 普通に描いてしまうと陳腐さだけになってしまうところを、象徴化という手法を多用して生臭さを消し、美しい音楽で彩どったことが新鮮だったのかもしれない。 しかしキリスト教徒の目にはどう映るのだろうか。無味無臭の環境音楽みたいには写らないのだろうか・・。 [DVD(字幕)] 8点(2005-04-23 01:23:16) |
12. 夜叉
田中裕子の妖しい魅力にぞっこん。 初見は高校生ながら惚れたぜって思いました。 声がいいんだよね。宮崎アニメの「もののけ姫」でエボシ御前の声優を務めてますがセクシーです。 健さんが大阪に旅立つ朝、ヤクザ時代の服を取り出すシーン、いい絵です。 海をバックにバス停で佇む健さん、かっこよさにのた打ち回った記憶が。 トゥーツ・シールマンスのハーモニカも哀愁をかきたててますが、ややそぐわない感じ。 8点(2005-01-16 12:24:02) |
13. 乱
仲代達也のメイクが濃すぎてゲンナリするが、それは置いておいて、素直に面白いといえる作品です。 原作も学校で習ったはずだけど覚えてない。だから白紙の状態で見たわけですが、十分理解できるわかりやすいお話。 戦国時代についてもよく知らないけどこれでいいと思いますよ。時代考証的にどうかなんてこの映画には意味ないと思います。 でも日本人ってホントに名優ってのが少ないと思います。要は演技が下手。仲代クラスの俳優なんてハリウッド映画の端役クラスでもゴロゴロいるし。 この映画だけに対する批判ではないんですが、演技の下手さのせいで感情移入しきれないってのが残念。 ちょっと言い過ぎたかも。現代人が戦国武将を演じるってことそのものが困難なんだからある程度は目をつぶらなくてはいけないのかもね。 8点(2005-01-15 22:25:36) |
14. 風の谷のナウシカ
ストーリーや描かれる世界観は魅力的なのだが、『自然を大切にしよう』という教義的な要素が鼻につくのがちょっと・・・。 メッセージ性が強いというより教育用のビデオを見ているかのように感じる部分も多い。 だけど嫌いじゃない。評価は難しいが8点。 8点(2003-11-27 01:11:09) |
15. 大逆転(1983)
『ブルース・ブラザーズ』のジョン・ランディスですからアホ映画の王道行ってます。 アホですが執事、優しい売春婦などの脇役が押さえるとこ押さえててバランスとっています。 [DVD(字幕)] 7点(2005-06-28 22:42:04) |
16. 海峡
吉永小百合若い・・・。 健さんと何かありそうで何も無いもどかしさでムズムズしてしまった。 健さんにはやっぱり荒波が似合う。 冒頭いきなりドド~ンと荒波。来たァ~~~~と高まる期待!!!! と思ったら、何かプラモの船みたいなのが波に呑み込まれる。 ???洞爺丸沈没シーン??? 見た瞬間模型だとわかるチンケさに愕然。しかも2度もそのシーン使いやがったな。 いきなりテンションブチ下げてどうする。 ここだけは許さぬ。 [DVD(字幕)] 7点(2005-05-21 02:51:48) |
17. キリング・フィールド
かなり背筋が寒くなる映画。 前半はシャンバーグとプランと仲間たちの厳しいながらもどこか明るい世界。後半は自分以外は誰も信用できずたった一つの判断ミスで殺されかねない歯軋りが出そうな孤独で陰湿な世界。 この前半あっての後半の恐怖感か。 また我々と同じアジア人による虐殺というのも身近なだけにかえって怖い。 でも一番怖いのは西欧人たる我々が一人のアジア人ごときの救出に尽力しちゃったんだぜっていう感覚。 [DVD(字幕)] 7点(2005-02-09 02:48:41) |
18. トップガン
10年ぶりに見ました。 昔はマーベリックの生意気さが鼻について好きじゃなかったけど今ならほほえましいと感じる。年のせいかな・・・。 軽薄な映画ではあるけど、娯楽映画ってこんなもんだと思って見れば許せるレベル。 7点(2003-11-22 02:29:29) |
19. 遥かなる山の呼び声
高倉健といえば『北海道』・『後ろ暗い男』というイメージですが、この映画でもそのまんまでした。 山田洋次流の別の高倉健を見せて欲しかったです。 ラストで民子が田島に渡したハンカチが黄色かったのは、やはりアレなんでしょうか (笑) [DVD(邦画)] 6点(2008-11-11 15:43:44) |
20. AKIRA(1988)
この作品を映画と思ってはいけないと思います。 『ビジュアルアーツ』の世界でしょう。 ストーリーは重要ではなく、あるのは世界観と卓越した映像美。 それを楽しむための「映画」ですね。 [DVD(邦画)] 6点(2008-10-03 18:22:01) |