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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2256
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
僅か100分足らずの尺ながら、物語は充実しています。かといって忙しない印象もありません。動を際立たせる静。緊張を和らげる粋な笑い。その脚本、演出の巧みさには舌を巻きます。登場人物も魅力的。脇役も際立っていますが、やはり主演の三船に尽きます。身分は素浪人。名は椿三十郎。偽名です。“ヒーローは名を名乗らない(名乗ってはいけない)”という大前提が、きちんと守られています。『月光仮面』と同じ。それは見返りを求めないという宣言です。「義を見てせざるは勇なきなり」よりも「君子危うきに近寄らず」が主流な昨今、やはりヒーローはこうでなくては!と思います。おまけに頭もキレます。しかし欠点もある。粗野な振る舞い、独断専行。奥方には「抜き身」と評されます。彼の人物像を見事に言い表している。そんな主人公が、奥方の人柄にほだされたのが本作の肝。奥方は世間知らずです。でも計算がない。飾り無い無垢な言葉だから、世俗にまみれた主人公の心に響いたのでしょう。「人を殺してはいけません。」「本当によい刀は鞘に納まっているものです。」しかし事態は甘くありません。殺生は避けたいが避けられない。奥方の言葉と現実との間で、主人公の心は揺れ動きます。その葛藤は言葉と態度に表れます。だから彼に深く感情移入できる。最後の決闘。もはや何の益もありません。でも武士であるが故に立ち会わざるを得ない。勝利の余韻よりも虚しさが勝ります。「お見事!」と言われて一喝する椿の姿が心に残ります。紛うことなき娯楽時代劇の傑作。思い入れの要素を差し引いても、10点は動きません。
[DVD(邦画)] 10点(2007-08-01 18:06:03)(良:3票)
2.  用心棒 《ネタバレ》 
「これもアンタが考えた筋書きか?」「半分はな。もう半分はあの野郎が書き換えやがった」めしやの親父と三十郎の会話。本作の面白さはまさしくコレ。次々と書き換えられていく筋書きに、次はどうなるのかと興味津々。主人公の三十郎ではなく、善良なる一般人の象徴、めしやの親父(東野英治郎が上手い)に視点を重ねて物語の成り行きを見守りました。雨戸の隙間からこっそりと。もっとも、物語の終着点は最初から見えている。主人公が当初に描いた絵のとおり、2つのヤクザが食い合って共倒れになれば終わり。この結末は動かない。其処に至る過程がお楽しみです。如何に三十郎が二人の親分の間を立ち回って、二虎競食の計を完成させるか。三十郎が投げ込んだ火種がどんな形で大火事になるのか。彼は策士ではありません。裏の裏まで読んだり、二の手、三の手まで用意したりしていない。仕掛けは単純。後は流れにおまかせです。どう転ぶか三十郎本人にも分からない。だから物見気分。そのいい加減さが大物の証です。それに主人公は剣の達人。確かに頭は切れるが、刀のほうはもっと切れる。三十郎VS卯之助の一戦には唸りました。卯之助にすれば、セーフティな距離を確保しつつギリギリまで近づきたいところ。三十郎の秘策を知っている観客も、間合いの勝負と考えている。ところがその予想を三十郎は軽やかに裏切ります。あんなに“不用意に”詰めてくるとは。それにあの笑顔!機先を制する者が勝負を制する。お見事です。場馴れしている三十郎の完勝でした。本作ではチャンチャンバラバラの斬り合いは一切ありません。三十郎が一息で、しかも一方的に相手を始末するパターンが都合3回のみ。だのにこの迫力と充実感は何なのでしょう。「凄い」とか「面白い」という言葉しか出てこない自分がもどかしい。
[DVD(邦画)] 9点(2009-08-12 19:06:53)(良:1票)
3.  空飛ぶゆうれい船 《ネタバレ》 
宮崎駿氏の源流のひとつとして本作の存在は認識していましたが、この度某インターネット定額サービスを利用し、初鑑賞しました。まず気になるのは、基本設定に対する説明が甚だ不足していること。ただこれは、近年の作品が設定や世界観を丁寧に説明していることの裏返しとも言えます。それだけ現代は、何にでも「説明責任」を求める社会になったと言えるかもしれません(それが良いか悪いかは別として)。細かな説明を省いている分、全体的に大雑把な印象は拭えませんが、整合性やリアリティといった“足枷”のない自由さが、娯楽作品としての力強さに直結していると考えます。それでいて、堂々と社会風刺を入れ込んでくる骨太な一面もあり、流石だなあと。メインとなる「幽霊船」の秀逸なビジュアルといい、物語終盤の“滅びの美学”といい、後世の作品に与えた影響は計り知れないでしょう。こと完成度という観点では難ありかもしれませんが、今や失われてしまった感のある『正しい冒険活劇』に低い点数はつけられません。欲を言えば『未来少年コナン』に心奪われていた、子供の頃に観たかったです。
[インターネット(邦画)] 8点(2020-04-30 18:19:17)(良:1票)
4.  太陽の王子 ホルスの大冒険 《ネタバレ》 
小学生の頃、初めて通販を利用して手に入れた本が『宮崎駿・大塚康生の世界』でした。そこで本作の存在を知ったワケです。何せ生まれる前の映画。当時レンタルビデオなど無く、セルビデオは高級品。動くホルスを目にすることなく、実に30年以上の歳月が過ぎ去りました。この度、W●W●Wのおかげで積年の夢を叶えられたのですが、観賞前は期待よりも不安の方が勝っていました。想像の傑作に太刀打ち出来るものかと。しかしそんな心配は無用だったようです。何と言っても、アニメーションの質の高さに驚かされました。45年前の作品が近年製作のアニメに全く見劣りしていません。本作の技術が最高水準である証。ご指摘のレビュワー様もおられるように、中でもヒルダの表情の表現が絶品でした。グルンワルドを倒した後のこと。呪縛から解き放たれた少女の心象を表す作画の繊細さ(特に眉の動き)に、胸を打たれました。このワンシーンだけで、本作を傑作認定したいほどです。アクションシーンで多用された“止め画”の手法は、経費削減の為かもしれませんが(参考文献:藤井青銅著『愛と青春のサンバイマン』笑)、世界観が完璧ゆえ、芸術的な演出のひとつと捉える事ができます。作画・動画・背景といった基本的なアニメ制作技術は10点満点です。ただし、演出については少しばかり不満が残ります。太陽の剣を鍛え上げる過程、グルンワルドを倒した瞬間。カタルシスを得られるはずのクライマックスが些か物足りないのです。子供向けの“冒険活劇”を謳うならば、子供が観たいと願う決定的な場面を真正面から表現して欲しいと感じました。本作を子供の頃に観られた人は幸せだと思います。でも私の場合、きっと縄付きの斧を振り回すガキになっていたと思うので、これで良かったのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-12-21 00:29:47)
5.  盲獣 《ネタバレ》 
キャストは3人だけですが、みな見事に乱歩ワールドの住人を演じてくれました。船越のねっとりとした真正のマザコンぶりには寒気がしたし、千石規子のキチ母像にも説得力がありました。そして何より緑魔子。正気を失っていく演技もさることながら、脱ぎっぷりがお見事でした。役になりきる演劇人の姿。裸の出し惜しみをしている人気女優のみなさんは、彼女の爪の垢でも煎じて飲むといいでしょう。緑魔子の妖艶な肢体なくして、本作は成立しなかったと思います。素晴らしかった。エログロ描写のさじ加減も絶妙でした。過ぎては一部の好事家向けになってしまうし、手ぬるいアプローチでは乱歩の毒は伝わらない。強いアングラ色を発しながらも、大衆性を失わなかった事を賞賛したいです。例えば四肢の切断シーン。スプラッター映画なら、大量の血しぶきと共に捥がれた腕を見せたでしょう。でも提示してしまったらそれ以上でも以下でもなくなる。直接的な残虐描写が幅を利かせている昨今、観客の想像力を利用した演出の優位性を再認識しました。乱歩の世界観を味わう映画としては、ほぼ満点の出来。洗練されていない美術セットや褪せたフィルムの色味も含めて、映画の味だと感じます。もしかしたら公開当時より30年経った今の方が、より鮮烈な印象を与えてくれる映画かもしれません。
[DVD(邦画)] 8点(2010-05-13 21:08:41)(良:1票)
6.  三匹荒野を行く
本物の動物が主役となる映画はあまり得意ではありません。今まで観たのは『ベイブ』くらい。動物たちの動きを勝手に人間側が解釈する行為がナンセンスに思えるから。所詮人間の一人よがりではないかと恥ずかしくなる。でも本作を観て考えを改めました。それにこだわることの方がナンセンス。ありのままを楽しめばいい。そう思わせてくれる“何か”が本作にはありました。まず素晴らしかったのが、動物たちの動き。役を理解しているとしか思えない見事な演技には、素直に拍手を送りたい。また動物たちが喋らず、ナレーション主体であったことも違和感を無くすことに一役かっています。日本語ナレーターは、あの久米明。彼ほどの適任者は他にいません。食の問題から逃げなかったのも好印象。犬も猫も肉食。だから野生動物を狩って食べる。当たり前の事です。でも残酷という理由で、その現実から逃げている作品がいかに多いことか。(飼いならされた彼らに捕食能力があるかどうかは別にしても、)当たり前の事実を当たり前に描く姿勢は、やはり気持ちがいいです。もうすぐ2歳になる娘と一緒に本作を鑑賞しました。当然娘は物語を理解していないでしょう。(たぶん。)でも満面の笑顔でした。きっと“何か”の答えはその笑顔の中にあるのでしょう。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2007-08-09 18:14:32)
7.  何がジェーンに起ったか? 《ネタバレ》 
姉への嫌がらせというレベルから、殺人にまで事態はエスカレートします。ジェーン破滅への道が本作のストーリー。2時間超という長尺が上手く活かされています。展開が緩やかなので、状況の正確な見極めが難しい。泥沼に沈むかの如く、気付いたら最悪の局面を迎えています。展開は巧みです。そして最も秀逸なのがタイトル。“ジェーンは何を起こしたか”ではなく、“ジェーンに何が起こったか”。最後にタイトルの真意が明かされます。本作の要所は現在進行形の事件にあるのではなく、数十年前の自動車事故にあった。いやベイビー・ジェーンと呼ばれていた少女時代にまで遡るのかもしれません。殺人事件の元凶はどこにあるのか。自動車事故の真実、幼い頃の家庭環境。加害者と思われたジェーンが被害者に変わります。これはサスペンスから悲劇への転換も意味します。もちろんジェーンの責任は間逃れない。しかし彼女を取り巻いた人達、ベイビー・ジェーンを作り上げた人達にも等しくその罪が問われるはずです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-02-22 18:15:23)
8.  馬鹿が戦車(タンク)でやって来る 《ネタバレ》 
サブはいわゆる社会的弱者。金は無いし、頭も良くない。そんなサブ一家を村人達は、嘲笑の対象とします。冒頭、船頭の口からも語られるように、何か村に問題が起これば、あの一家のせい。あの一家に比べれば我が家はマシ。そう考えることで、村人は平穏を手に入れています。村社会における、一種のスケープゴート。村人に対して強い怒りを覚えます。と同時に落ち着かない気持ちにもなる。それは、自分も村人の一員であるから。もちろんあそこまで酷くはないと思う。でも多かれ少なかれ同じような心理があるのは確か。地域のコミュニティが廃れた今、その局面が学校なり職場なりに残っただけのことです。ストレスのはけ口として弱者が利用される。サブが去った村では、また新たなスケープゴートが選ばれるのでしょう。もちろんそれは村人の中から。今やイジメは社会問題。しかし何時の世にもあったことです。“俺の若い頃はそんなに陰湿じゃなかった”は、ただの言い訳。イジメはその時代の倫理観・価値観に左右されるものだから。イジメを無くすため、多くの有識者や専門家が様々な提言を行っています。どれもごもっとも。でも心に響きません。自分には本作の方がずっと心に響きます。要は、馬鹿になって暴れりゃいい。イジメられたら仕返しすればいい。単純なことです。後先考えずに、とりあえず殴れ。そして逃げろ。結局最後に勝つのは上手く立ち回れる小利口ではなく、馬鹿であって欲しいと願います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-01-26 18:26:07)(良:1票)
9.  馬鹿まるだし 《ネタバレ》 
寅さんのパイロット版のような雰囲気です。笑えてホロリの人情喜劇。ただし控えめです。大笑いという感じではありません。まだ、笑わせ泣かせの手法が確立されていないような気がしました。本作と比べると『男はつらいよ』の洗練具合、完成度の高さがよく分かります。ハナ肇(自分たちの世代では銅像でお馴染み)も演技が上手いとは言い難い。でも自分は本作を好きになりました。親分は確かに馬鹿まるだし。御新造さんに対する気持ちも、おだてに乗りやい性格も全部バレバレ。故に周りに都合よく使われ、貧乏くじを引かされるハメに。でも本人は全然そんなことに気付かない。一所懸命が空回りするタイプ。ホント単純です。でも自分は親分さんに憧れてしまいました。冗談ではなく真面目に。自分には無いものを沢山持っているから。損得勘定なく動けること。表裏が無いこと。馬鹿を隠すことに苦労するより、馬鹿まるだしのほうが清々しい“いい生き方”に思えました。手紙で知らされた親分の最期には、不覚にも涙。「池にはまって溺死」。ちょっと笑える“らしい”死に方。植木等は言います。「大人物を亡くした」と。ふざけ半分なのは確か。でも半分は本当に尊敬していたのだと思います。それにしても命を助けられた娘さんが、親分さんを忘れていたのは切ないですね。でもそれも含めて“らしい”のかも。出来ないけれどあんな風に正直に生きてみたい。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-01-15 18:08:02)(良:2票)
10.  タイム・マシン/80万年後の世界へ 《ネタバレ》 
主人公が見たかったのは“人類の行き着く先“。そこにあるのは純粋な探究心。そして争いを繰りかえす現代人に対する”あきらめ“でした。未来には希望がある。技術の進歩、社会の成熟が世界を平和にすると。だから彼は未来を目指します。しかし80万年後の世界、人類の行き着いた先は、彼の期待したものではありませんでした。モーロックとイーロイたち未来人の世界。見た目は違っても元は同じ人間。人間が人間を支配する。人間が人間を一方的に食う世界は、まさしく地獄です。現代人よりもはるかに性質が悪い。感情を捨て、自らの存在意義を捨てたイーロイ。野獣と化したモーロック。人類は”進化“ではなく”退化“した。未来人は人間であることを棄てたのです。未来人を再び”人間“に戻すために、主人公は80万年後の世界に戻ります。3冊の本を手にして。本は主人公の言葉を借りれば”何千年もの努力の結晶“。人類の営みの記録です。知識を後世に伝える”タイムマシン“とも言えます。人の一生は短い。1人の人間が経験できることはほんの僅かです。しかし本を介せば、莫大な量の経験や知識を得ることが出来ます。それが人間の知恵。知恵を放棄した未来人が人間でなくなるのは当然です。知恵はより良く生きるためのもの。それさえ捨てなければ、きっと人間は理想の世界を築ける、そんなメッセージが本作には込められているのだと思います。
[DVD(吹替)] 8点(2006-12-05 18:03:29)(良:1票)
11.  暗くなるまで待って 《ネタバレ》 
“夫以外の男性に惹かれるなんて初めて。でも私は人妻。いけないわ。でもこの気持ちはもう止められないの…”で「暗くなるまで待って」な話だとずっと思い込んでいました(笑)。全然違いましたね。アパートの一室で展開されるサスペンス。主人公が盲目という設定が上手く生かされていて、見ごたえがありました。2度目の電話のベルには思わず唸り、電灯をすべて壊してまわるあたりでは鳥肌が立ちました。暗闇での対決は名シーンだと思います。(見えないけど)。ただ最後にきて展開に“もたつき”や生々しさを感じたため、もう少しスッキリと終わっていても良かったかなと思います。それでも、尻上がりに面白くなる作品でした。タイトルで勝手な思い込みをしてはいけませんね(自戒します)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-08-18 18:07:17)(良:2票)
12.  メリー・ポピンズ
この時代だからこそできた作品という気がします。2時間20分近い上映時間。緩やかに物語は展開します。このテンポがいいんです。義足を扱ったジョークにしてもそう。今なら各種団体からお叱りを受けそうな表現です(悪意がないことは作品を観れば一目瞭然ですが)。当時の特撮技術も作品の雰囲気にマッチしていて、いい味になっています。今リメイクすればCGを使ってもっと夢のような世界を描けるでしょうが、この作品の持つ味を上回ることはできないと思いました。化学調味料を使った料理も確かに美味しいですが、お袋の味には勝てないのと同じように(あっ、お袋も化学調味料使ってたっけ)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2006-06-26 18:59:40)
13.  真夜中のカーボーイ
未知だから、若いからできる事がある。大人から見れば、それは無謀なこと。悪いことは言わないからやめておけ。だが若者には夢がある。だから旅立つ。それがあまりにも甘く世間知らずな夢だったとしても。本作の主人公の夢は、ジゴロとして生活すること。田舎では無理でも都会ならそれが叶うと信じていた。しかし待っていた現実は…。あまりにも苦く、切ない若者の生き方を愛情にも似た「男の友情」と共に描きます。物語冒頭の未知な主人公の笑顔と、エンディングで人生の苦さ、又素晴らしさを知った主人公の表情の違いを見て欲しい、心に残る作品です。
[DVD(字幕)] 8点(2006-04-19 18:25:44)(良:1票)
14.  怪談(1964) 《ネタバレ》 
映画のジャンル分けで一般的に使用される『ホラー』とは異なる『怪異の物語』。不可思議ではあっても、不合理でも不条理でもなく、人間の業を味わうドラマとして楽しむことが出来ます。『物語=読み聞かせ相手に想像させるもの』とすれば、本作を象徴する特徴的な書割も観客のイマジネーションを掻き立てる意味で有効だったと思います。3時間は流石に長尺でしたが、オムニバスで目先が変わるため、体感はそれほどではありません。豪華キャストはお得感満載。たまにはゆったりと日本の詫び錆びを堪能するのも一興かと思います。
[インターネット(邦画)] 7点(2020-11-30 18:57:34)(良:1票)
15.  荒野の用心棒 《ネタバレ》 
(黒澤『用心棒』の内容に触れますので、未見の方はご注意ください)黒澤版の脚本を忠実に擦っている本作。ソックリと言うより、まんまです。だのに満足度に大分差がある。何故か。それは“余白の有無”だと思いました。オリジナルには程よい遊びがあった。例えば丑寅の存在。親分の弟で腕っ節は強いが少々足りない憎めない男。彼のおかげで随分なごめました。主人公のキャラクターもそう。三十郎の魅力は「凄腕」と「頭の切れ」だけではありません。豪胆さの中に垣間見える茶目っ気を忘れてはいけない。こっちが心配になってしまう程のいい加減さ。その余裕が観客に安心感を与えています。リラックスした「緩」があってこそ、シビれる銃撃戦の「急」が際立つのだと思います。そういう意味で、本作は真面目過ぎたと思いました。酒場の親父と主人公の繋がりは物語のキモ。どうして親父は拷問を受けてなお、主人公の居所を喋らなかったのか。その想いが観客に届かなければ、主人公の最後の戦いの意味がぼやけてしまいます。オリジナルに在った“親父の満面の笑み”を描かないのは解せません。真似るなら、徹底して良い所を取り入れればいいと思います。以上、少々厳しい言い方をしましたが、本作がダメな訳ではありません。本作は本作で及第点以上の作品。ラストの対決の緊張感たるや素晴らしかった。主人公の計画は単純です。でも鋭い観察力と判断力、そして勇気なくしては成立しなかった。“奴は心臓以外を狙わない”という伏線の張り方など、丁寧な仕事ぶりが光ります。オリジナルに沿っていない部分の方がむしろ出来がいいです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-15 19:49:23)(良:1票)
16.  皆殺しの天使 《ネタバレ》 
何故ブルジョワだけが、神の仕掛けた罠に絡め取られたのでしょう。危機を察知して、屋敷から逃げ出した使用人たちとの違いは何か。ブルジョワたちは、いろんなモノを身につけ過ぎたのだと思いました。地位、名誉、金、プライド…。装飾が足枷となり、本来動物が持っている危機感知力を鈍らせた気がします。理性を失い罵りあう人々。足枷が外れたから、彼らは助かったのだと思いました。もっともそれは一時的なもの。一度服を着た人間はもう裸に戻れない。だからあの結末なのだと思います。不条理映画ではありますが、体裁はサバイバルサスペンス。『CUBE』や『SAW』と同じソリッドシチュエーションスリラーとも言えます。そういう意味でこの状況設定は秀逸です。物理的な拘束より心理的な抑圧の方がずっと強固な監禁状態だと思えました。お見事。謎の多い映画なので、鑑賞後にあれやこれやと自分なりの解釈をして楽しむのがお勧めです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-26 18:53:16)
17.  白い巨塔 《ネタバレ》 
2003年フジテレビのドラマ版が面白くて、遅ればせながら映画版を鑑賞することに。本作は原作正編の完全映画化。財前の医療過誤訴訟の1審結審までを描いています。続編を含めたテレビドラマを観ている身としては、いささか物足りなさはあるものの、よくぞこの長編を2時間半に収めたなと感心します。モノクロ映画ならではの強みか、オペのシーンがリアルに描かれていたことにも驚きました。
[DVD(邦画)] 7点(2008-02-17 19:14:26)
18.  長靴をはいた猫(1969) 《ネタバレ》 
ストーリーとしては原作の方が洗練されていると思います。でも良かったのは、ピエールが自らの身分を姫に明かした件。最後までウソを突き通して幸せを掴むオリジナルよりも気持ちがいいです。キャラクターデザインの素晴らしさは、言うまでもありません。ペロがその後、東映マンガ祭りのキャラに選ばれたのも頷ける。動きも実に滑らか。あるべき子供向けアニメ映画の魅力が本作には詰まっています。
[DVD(邦画)] 7点(2007-12-24 18:09:32)(良:1票)
19.  他人の顔 《ネタバレ》 
医師と顔を無くした男のやり取りが主軸となって物語は進行します。そこで語り合われる事柄が、そのまま本作のテーマ。文学的アプローチが本作の魅力です。しかし2人の口数が不自然なほど多く、説明過多だと思いました。思想に被れた学生同士の会話のよう。それゆえ、せっかく深いテーマなのに、浅く感じてしまいました。頭でっかちでリアリティを欠いた印象です。でも映像は斬新。演出にも独自の色があります。キャストも皆上手い。作品の持つ鮮烈な輝きは、制作後数十年経った今でも全く色褪せていないです。凄い作品なのは間違いない。ただ自分の嗜好からは少し外れたようです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-03-24 19:59:41)
20.  運が良けりゃ 《ネタバレ》 
舞台となるのは、江戸時代のとある貧乏長屋。店子は揃いも揃って銭無しです(ばあさん1人を除く)。暮らし向きはお世辞にも良いとは言えません。ただ、みんなイキイキとしています。それは生きる姿勢が前向きだからです。良い意味での開き直り。だから時にはハメを外し過ぎてしまうのです。これもひとつの正しい生き方の見本。“運が良けりゃ明日がくるさ”くらいの心持ちで、気軽に生きるのも悪くないと思いました(もっとも彼らにそれ以外の選択肢があった訳では無く、貧乏自体が良いとは思いませんけども)。ベースが古典落語であるため、どのエピソードも洒落ていて面白く、当時の風俗をみるのも楽しいです。基本はハナ肇の『馬鹿』3部作のノリながら、キャストに倍賞千恵子、渥美清を配するなど、後の『男はつらいよ』への流れも感じられ、興味深い作品でした。それにしても渥美は別格です。終盤ほんのわずかな出番ながら、その存在感は他を圧倒していました。主役級であれば問題ありませんが、端役での出演は作品のバランスを壊しかねません。『男はつらいよ』のキャスティングの所以も、本作から感じ取れます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-02-05 17:53:44)
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