1. 青春デンデケデケデケ
その時代、その土地の空気が伝わるようで、エレキギターに青春を投じた高校生達の描かれ方がとってもリアル。主役はともかく脇役陣が大変充実しており、中でも大森嘉之の好演が冴え渡っている。岸部一徳の珍妙な踊りもクセになる。青春ものが嫌いな私でも、概ね楽しめる内容だった。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-09-23 00:53:00) |
2. 間奏曲(1936)
よくある不倫話だが、各キャラが誠実で好感が持てる。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-09-22 21:36:41) |
3. 故郷(1972)
《ネタバレ》 淡々と辛い労働の日常を描いた前半。その景色の素晴らしさは、「こんな良いところはない」という松下さん(渥美清)の言葉通り。 なのに生活は苦しくなる家族。とりわけ終盤、燃やされる廃船を眺めながら「“大きなもん”とは、何のことかいの…」という 夫の呟き、そして子供が祖父にしがみつくシーンは胸を打つ。名作。 [ビデオ(邦画)] 8点(2016-09-21 15:29:19) |
4. 奇跡の人(1962)
《ネタバレ》 脱帽の傑作。ドキュメンタリーの如き迫真の演技で命がけの苦闘と深い愛情を教えてくれる。最後には全身が打ち震えるような感銘を覚えた。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2016-09-21 15:14:39) |
5. オネーギンの恋文
《ネタバレ》 緊張と緩和。タチヤーナの頑なな、そして内心穏やかならぬ無表情。これが見事なので、ラストの嗚咽が活きてくる。唯一の友を自らの手で死なせたオネーギンの変貌にも共感を覚えるし、格調高い映像美にも陶酔。静謐に秘めた熱情が胸に迫る傑作。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-09-21 14:20:11) |
6. 情婦
《ネタバレ》 ラストのどんでん返しやディートリヒも良いんだけど、最も感嘆すべきはチャールズ・ロートンの桁外れの演技力、これに尽きる。精巧無比。 [映画館(字幕)] 9点(2016-09-20 23:08:51) |
7. 人間の証明
《ネタバレ》 ストーリーは序盤30分で概ね読めたので、あとはツッコミ入れ放題。やたら偶然が多く、やたら人が死に、やたら犯人を逃すマヌケ刑事たち…。展開も荒唐無稽で笑いどころ満載。特に最後の岡田茉莉子の大演説シーン。あんな爆弾発言したのに客たちは澄まし顔で拍手喝采。何だそりゃ。万事この調子で安っぽい作りだが、キャストだけは無駄に豪華。しかし、めぼしい名演はなく、岩城滉一の大根ぶりが最も輝いている。あと、突然おでん屋に入って都合よく詩について語り合う、秀治と蛾次郎の異色コンビが絵的に珍妙だった。 [ビデオ(邦画)] 4点(2008-02-11 22:41:18) |
8. 花咲ける騎士道(1952)
『隠し砦の三悪人』にも相通ずる興奮を覚えた。極めて痛快で品の良い活劇。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-02-11 20:19:09) |
9. おかしな奴(1963)
《ネタバレ》 小林信彦先生の評価は低かったけど、個人的にはツボにはまりまくった逸品。本作は、終戦直後の爆笑王・先代三遊亭歌笑の、不遇な少年期を経て一躍時代の寵児となり、やがて迎える壮絶な事故死までが描かれている。扮するは後年の喜劇王・渥美清。私は映画の一部やラジオなどで歌笑の落語を聴いたことがあるが、渥美清が真似る口調は驚くほど巧い。また、石山健二郎扮す師匠もモデルの三代目金馬に大変ソックリで、「しゃもじ」なる兄弟子の佐藤慶もずっと一席聴きたくなるほど絶品。劇中での芸名は明かでないが、渾名が「しゃもじ」の三遊亭銀馬という兄弟子は実在している。尤も映画とは異なり、芸も余り評価されなかったらしく、ちゃんと戦後も生き延びている。かくして虚実織り交ぜた話ながら、誇張も映画的な味付けとして実に楽しく、テンポの良さに繋がっている。一方で史実も丁寧な描写が多く層が厚い。あと忘れてならないのは佐藤勝の哀愁に満ちた音楽。これがラストでも功を奏し涙滂沱。まさに心の殿堂に入れておきたい大傑作だった。 [ビデオ(邦画)] 10点(2008-02-11 19:22:33)(良:1票) |
10. 偽りの花園
なんといっても金の為なら夫の死を待つというベティ・デイビスの悪女っぷり。しかも冷酷無比の中にも、ほんの少し良心の呵責を垣間見せる緻密な芝居。娘のアレグザンドラは母に似ず純情だが、父を鑑と仰ぎ、母を反面教師としたのだろう。かなり見応えあった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-02-11 00:44:02) |
11. 世界大戦争
《ネタバレ》 何とも漠然としたタイトルで、大規模なテーマゆえ作りも大味になっているだろうと、観る前は懸念があった。が、展開が進むにつれ目頭が熱くなる自分がいた。ささやかな市井の幸福が瓦解する恐怖感といったら凄絶の極み。逃げまどう大混乱の国民、閑散とした街に居残る田村家、そして冴子と高野のモールス信号に胸打つ。また、円谷英二の特撮にも感嘆。現今のCGよりも明らかに技術レベルは低いはずだが、本作の特撮の方がずっと緊迫感、悲愴感が伝わるからフシギだ。これは作り手の切実たる熱意の賜物なのだろうか。そして洋上の貨物船・笠置丸。東京の最後を見守った高野や船長(東野英治郎)たちが、東京へ戻るのを決意するという厳粛なシーン。そこへひょっこりコック長(笠智衆)が現れ、「船長、コーヒーを入れて参りました」。このセリフには思わずのけぞった。悲愴な空気の中、いつも通り淡々とした笠さん。しかもコーヒーどうぞときたもんだ。これは却ってリアルな虚脱を痛感する。そして脳裏をよぎる子供達の「お正月」合唱。 ♪もう~い~くつ寝~る~と~お正月~…この歌がこれほど悲しく聞こえたことはない。最強の核戦争映画である。 [地上波(邦画)] 9点(2008-02-11 00:16:48) |
12. 風の谷のナウシカ
過去3度も観てるけど、なぜか一度も楽しめたことがない。『ラピュタ』は大好きなのに。作りはきめ細やかでサスガなんだけど、いかにも優等生っぽいナウシカがチト苦手かな。それと、あのダンゴ虫の親分みたいのが気色悪いので。 [映画館(邦画)] 5点(2008-02-10 21:22:21) |
13. 戦艦ポチョムキン
いかにもプロパガンダって感じだが、不朽の名作と謳われるのも大いに頷ける。ただ、ちょっと汚いので食事しながら観るのは辞めた方が良い。私はそれで失敗した。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-02-10 21:04:53) |
14. ゲット・ア・チャンス!
川に落とすシーンは『どっきりカメラ』ぽくて良かった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-02-10 20:59:09) |
15. 黒の盗賊
荒唐無稽で登場人物も無駄に多いが、後半になると俄然ストーリーは弾んでくる。大友柳太朗の悪役も新鮮だし、家康の金子信雄もハマリ役。 また、二代目服部半蔵が藤山寛美ってのも奇抜なキャスティングで面白い。美しき北条きく子の出番が少なかったのは、チト残念。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-02-10 20:47:21) |
16. 竹山ひとり旅
凡作。まず竹山役に林隆三はミスキャスト。顔が似てないのは詮ないが、力んでいるだけで竹山の心の機微が出し切れていない。泥棒役で出ていた川谷拓三の方が適役に思う。あと、やたら母の乙羽信子が出すぎ。夫君たる監督の身びいきとは思いたくないが、余りにも頻出するので、ひとり旅の孤独感を薄らげてしまっている。そして、みんな芝居がオーバー気味なのに作風はドキュメンタリーチックなので、かなり不協和音を覚えた。 [ビデオ(邦画)] 4点(2008-02-10 20:37:47) |
17. ルパン三世 バビロンの黄金伝説
作画も粗雑に見えるし無駄なシーンも多い。序盤の追っかけっこは無意味の極み。ストーリーにも脇役にも魅力がない。マルチアーノの声は何の因果かカルーセル麻紀だが、これが聴くに耐えないほど下手。嫌々引き受けた仕事なのか、やる気さえ感じられない。河合奈保子も下手だったが、一応やる気はあっただろう。まぁ、主題歌はマヌケだけど。 [ビデオ(邦画)] 4点(2008-02-10 20:27:08) |
18. 波(1952)
ボリューム感に満ちた傑作。冒頭、見並と昂子が語り合う浜辺シーンの美しさ。そこから回想される波瀾の半生は、落ち着いたトーンの中に見並の愛と葛藤を深々と描いている。それを演ずる佐分利信も最高。彼の出演作の中でも屈指の名演に挙げたい。一方、可憐な桂木洋子の憂い顔も忘れがたい。昨年彼女の訃が小さく報じられた際、スポーツ紙の見出しは専ら本名の黛住恵(亡夫は勿論黛敏郎)で載っていたが、引退しても映画史の重要なスターなのだから、そこは桂木洋子として載せて欲しかった。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-02-10 20:14:36) |
19. 孤独な場所で
卓越した心理描写。短気な主役に辟易させられるが、ボガート独特の魅力が下品たらしめていない。重厚な味わいを持つ佳作。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-09-30 21:01:55) |
20. 一番美しく
退屈。女子工員らの言動は、美しいと云うよりも、洗脳の深刻さを痛感させる。 [ビデオ(邦画)] 4点(2007-09-30 20:27:26) |