1. 父、帰る
《ネタバレ》 ロシア正教では父は神と同等の絶対の存在であるという。 何故、十数年ぶりに父が帰ってきたか、そもそも彼は"父"なのか、最後まで明かされない。 まるで神聖なベール覆われているようだ。 長男は畏れながらも父と信じて慕い、次男も畏れながらも父と信じず反発する。 その微妙に移ろいゆく心理描写は空疎で、雄大で、美しい風景と重なる。 男と共に湖底に沈むパンドラの箱に答えはあるかもしれないが、 兄弟も観客もその聖域という名のマクガフィンに触れることすら許されない。 水平線の見えない湖を眺める兄弟はその旅を通じて、かけがえのない何かを掴んだはずだ。 タルコフスキーを思わせる映像美と繊細で濃厚な心理ドラマの融合。 秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2024-09-21 12:12:07)《更新》 |
2. 母なる証明
《ネタバレ》 奇妙な踊りからポン・ジュノの世界に引き込まれる。 知的障害の息子から目を離せず、薬草どころか自分の手まで刻みそうになる。 その息子の冤罪を晴らそうと奔走していくうちに、そこに"母"という呪縛をかいま見た。 一見ひたむきに見えるが、ある意味で他人の迷惑も顧みない。 貧困だからこそお互い助け合うはずが、自分たちの保身のために平気で蹴落とす現実。 かつて無理心中に巻き込まれて知的障害を患った(かもしれない)息子は、 もしかしたら母を試そうと"演技"していたのではないかと思ってしまう。 衝動的に少女を殺してしまったが、母が自分を見捨てて血の濃い関係から解放されたかったかもしれない。 しかし彼女は助けた。 エゴで完結された世界から抜け出すことができなかった。 そして針で全てを忘れて、息子のもとへ帰るまでひとときの非日常で踊り続けるしかないのだ。 [映画館(字幕)] 8点(2024-09-14 01:05:38) |
3. 隠された記憶
《ネタバレ》 「盗撮テープが送られてくる」という筋書きから引き込まれる。 しかし、ハネケは犯人探しには興味なく、誰にでもある忘れ去りたい"疾しさ"を抉り出したいようだ。 無意識に葬った罪の記憶。それを洗い出す過程で最後まで流れないBGM、 盗撮映像と同化した長回し撮影によって、弛み切った辺りで挿入される中盤の自殺が最大限に発揮され、 焼き付けられる死の瞬間と後悔を刻み付ける。 背景には、かつての宗主国フランスとかつての植民地アルジェリアの関係が大きい。 移民問題で露わになった憎悪が原因か? しかし、ギクシャクした親子関係も影が深く、それを象徴するのがあのラストシーン。 息子同士の共謀なのか第三者による盗撮なのか分からないまま、正体不明の悪意が最後までひた歩く。 観客の心にそっと囁くように…… フランスとアルジェリアの確執を持ち出しても日本にはピンと来ないだろうが、 日本人と在住朝鮮人の関係に置き換えれば、意外と分かりやすい部類かもしれない。 どちらが真実かはこの映画同様、"隠されたソレ"(=Caché)でしかない。 では、あなたの黒歴史は? [DVD(字幕)] 5点(2024-09-01 00:46:29) |
4. 回路
《ネタバレ》 インターネット黎明期だからこそできた映画だろう。 膜に覆われたような不透明感が、ノストラダムスの予言が外れて先の見えない閉塞感が、 大海より広大なインターネット空間とリンクしている。 どこかで誰かと繋がりたい孤独な人たちが次々と開かずの間に吸い寄せられ犠牲になっていく。 だが、霊界は既に死者であふれており、現世で黒い染み=地縛霊として永遠に留まらなければならない絶望が待っている。 そして終盤のポストアポカリプスは、もはやホラーとしてはスケールが大きすぎるが、 ありきたりなホラーからどこまで解体できるか挑戦しているように感じた。 工場からの飛び降り、音で脅かすことに頼らない湿気をまとった不気味な演出は非凡なことは認めるが、 主演男優の棒読みが恐怖を半減させていて、せっかくの題材が勿体ないと感じた。 「行けるところまで行く」。 人として生きていく限り、誰かと繋がりたい。 孤独とコミュニケーションを屈折した角度で撮った視点は『CURE キュア』と一続きなのかもしれない。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-08-31 02:43:23) |
5. ヴェルクマイスター・ハーモニー
《ネタバレ》 DVDが絶版していたため、やっとのことで見れた。 後の『倫敦から来た男』『ニーチェの馬』が"静"なら、本作は"動"と言える。 一貫してモノクロ長回しが主体だが、画のダイナミックさと哀切な音楽が一際目を引く。 その装飾を削ぎ落として、神経を研ぎ澄ませた結果が『ニーチェの馬』になっていくのだろう。 何度も見ないと寓意的意図は掴めないが、海のないハンガリーでは海の生物であるクジラが異形の存在に見える。 扇動する存在かもしれない"プリンス"もまた、不安な21世紀を象徴するカリスマであることも、 本作での先見の明はあったかもしれない。 既存のブロックバスターとは対極で、決して楽しい映画でもなく、退屈だ。 それでも目が離せない衝撃が静かに調律を乱すように伝わってくる。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-08-28 19:45:07) |
6. クイール
《ネタバレ》 遠い昔見たことがあるが、無味無臭で終わった映画。 実話の映画化でありながら犬が主役の映画としては焦点が合わず中途半端さを感じる。 演技する犬の労力やストレスを考えれば仕方ないが、盲導犬の啓発だけならドキュメンタリーで十分だろう。 ファミリー層を中心に盲導犬とはどういうものかを知って貰う意味で、この言い方は野暮かもしれない。 視覚障碍者の目となり、道標として自由を制限された生き方を決められ、老いて役割を終えていく。 長きに渡って連れ添ったパートナーの飼い主からしたら代わりが利かない存在だが最期までいられない。 かつて無償の愛情を受けたパピーウォーカーの元に戻り、看取られながら生涯を終える、 その一生に切なさと儚さを感じてしまう。 雇われ仕事かもしれないが、同年の『血と骨』を撮った監督とは思えない。 [地上波(邦画)] 5点(2024-08-17 23:24:08)(良:1票) |
7. 息もできない
《ネタバレ》 暴力的で不器用でそれでいて繊細。 その暴力には楽しさも快感もない、誰かに苦しみを分かって欲しい叫びである。 貧困と格差の固定によって生み出される負の連鎖の中、 サンフンがヨニと出会わなかったら、ここまで変われなかったのだろう。 上手くいけば足を洗えたかもしれない。 もちろん、映画は彼の境遇をしっかり描いていて根っからのワルではないことは分かるが、 現実は一度根付いたイメージを覆すのはあまりにも困難だ。 誰だって悲惨な現実の中、歯を食いしばって生きているで片づけられるだろう。 結局、サンフンは悲劇的な最期を遂げ、 彼に止めを刺すのが最初は大人しかったヨニの弟なのだから皮肉すぎる。 因果応報だがそれで済ませたらいつまでも問題は解決しない。 それでも自分が被害者だったら… ヨニが母を死なせたのがサンフン一味だと分かったら… いつまでも虚しい。 互いの家族が団欒で焼き肉を食べる温かみのある結末と、 不毛な暴力に突き進むヨニの弟の行く末の対比が余韻を残す。 低予算で荒削りを通り越して、汚さすら感じてしまう部分を補い余るエネルギーで圧倒される。 魂の映画。 [DVD(字幕)] 8点(2024-08-10 10:44:50) |
8. ある子供
《ネタバレ》 未成年が親になる。 女なら激痛に耐えて命を分けた子を産んで母になる実感を得るが、 男は父親になる実感が湧かないだろう。 子供に慣れない、あまりに未体験なことばかりで戸惑ってしまう。 特に恵まれない家庭で育った男なら尚更だ。 生きていくためなら金欲しさに平気で子供を人身売買業者にも渡す。 ただ、事の重大さに気付いて、危うく取り返すも妻から絶縁を突き付けられる。 当然の結果である。 世間と上手く渡り合うことばかり顔色を伺い、接し方もぶつかり方も分からなかった。 その想像力の欠如した"子供"が如何にして"父"になるか。 一度は見捨てた仲間の少年のために自首し、妻が面会に来たことから本当のスタートがはじまる。 簡単に道徳心が育つような楽な道のりではないことは確かだが…。 親になることは小さな命を預ける重大な責任を背負うこと。 糾弾することは誰でもできるが、社会が放置したままでは"こども夫婦"が増えるだけだろう。 それがより感じられる映画であった。 [DVD(字幕)] 6点(2024-08-10 01:19:20)(良:1票) |
9. 夏至
実際に行ってみたら失望してしまうんじゃないかと思うくらい、ベトナムの豊潤な湿度を保った映像が美しすぎて心地よい。 冒頭の剥げかかった壁をも美しく捉えるインテリアに、ハロン湾のどっしりとした雄大な自然に心奪われる。 ただ、ストーリーはどうしようもなく陳腐でさして覚えていない。 雰囲気だけを堪能する映画。 [DVD(字幕)] 5点(2024-03-13 21:37:16) |
10. シークレット・サンシャイン
《ネタバレ》 見えるものが全ての人間にとって、信仰は救いになるのか? 息子を殺されたシングルマザーのシネは、自分を如何に大きく見せようと振る舞い、 その誘拐犯に対する赦しも優越感によるものである。 だが、犯人は信仰で既に赦され救われていた。 宗教に失望した彼女にとって、これほどの生き地獄はないだろう。 神はただそこにいるだけで何もしてくれない。 代わりに片思いのジョン・チャンが、壊れていく彼女の傍に何も言わず寄り添う。 神も仏もない不条理の世界において、俗物であろう彼の存在は生きていく上の"密陽"ではないか。 誰も目にも映らない小さな小さな希望。 死ぬことすらできなかったシネは彼の存在にいつ気付くのだろう? たとえ自分自身を赦せなくても、既に誰かから赦されているのに… 残酷な世界に淡く小さい陽光の差すラストカットが秀逸。 [DVD(字幕)] 7点(2023-12-09 22:36:08) |
11. フミ子の告白
後に『ペンギン・ハイウェイ』を手掛ける監督が大学在学中に手掛けた自主制作で、 そのクオリティの高さから当時のアニメーション界を騒がせた。 片想いの男子にフラれたフミ子が帰り道に、ふとしたハプニングから坂を大きく下りまくるだけだが、 一途な想いを代弁させるような圧倒的な疾走感と、それに付随するカバレフスキーの「道化師のギャロップ」が加わり、 実写活劇を思わせるカメラワークとありえないアクシデントが作品の魅力を引き出していく。 作品のほとんどを占めるサービスシーンはお構いなしにとにかく"勢い"が大切で、 若き才能の情熱が炸裂しているかのよう。 わずか2分半の長さながら、青春だなぁと思わせる爽快感が詰まっていた。 監督の他作品でも言えるが、別にカットしても問題がないのに、あえてサービスシーンを貫くあたり、 宮崎駿や細田守に近い性癖を感じる。 ストーリーを組み立てるのが得意ではないことも共通しており、今後のキャリアは脚本次第だろう。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-10-15 22:01:11) |
12. ノーカントリー
《ネタバレ》 老人の住む国などない。 どの時代も「昔は良かった」とか「最近の若者は」と嘆いていただろう。 80年代のアメリカですら、常に理不尽な暴力で満ち溢れていた。 アントン・シガーは、まさに己のルールで遂行するアメリカの影の象徴だ。 目的のためなら道行く人ですら銃を向ける死神である以上、 殺害シーンが次第に省略されていき、ある種の諦めを受け入れさせる。 一方、大金をくすねたカウボーイは主人公のように思えるが、 終盤でいきなり死体で再登場する無情さ。 そして理屈を捏ね繰り回すも何も出来ない老保安官。 徹底的に行間で描かれる諦観と閉塞感がアメリカの病理を浮き彫りにさせる。 二度シャツを買うシーンが出てくるが、 もし少年たちが大怪我したシガーからお金を貰わなければ、 ひたすら物質主義に邁進する現在のアメリカに希望はあったのだろうか? 現代アメリカに警鐘を鳴らした本作の教訓が生かされることなく、 『血と暴力の国』は斜陽に突き進む。 [映画館(字幕)] 7点(2023-10-14 22:56:01) |
13. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 犯人捜しのサスペンスとして期待すると肩透かしを食らう。 どちらかと言えば重厚な人間ドラマ寄りの作りで、その割に緩慢に感じてしまうくらい話の筋が分かり辛い。 それでも、あまりのタイミングの悪さとすれ違いで負のスパイラルに陥ってしまう不条理に苦虫を嚙み潰す。 怒りに赴くまま復讐に走り続ける男、過去から逃げられない苦しみに怯えた男、 ただ傍観するしかない男がもしあの日立場が違っていたらと思い返してももう遅い。 自分の行った"復讐"を妻から肯定された男はひたすら"贖罪"という名の自己満足を続けるだろう。 それはまさに正義を標榜してきたアメリカそのものであり、自己責任と片付ける貧困と格差社会が強くリンクする。 スクリーンで悪人を裁いてきたイーストウッドによる自戒と諦念がそこにあった。 [映画館(字幕)] 6点(2023-10-06 22:04:01) |
14. ハート・ロッカー
《ネタバレ》 当時、作品賞が『アバター』でなかったことに「何で戦争賛美の映画が」「退屈でつまらない」みたいな評価が少なくなかった。 確かに映画は娯楽だし、"反戦"は大衆にとって聞こえの良い言葉なんだから、どれだけ平和ボケだったのか。 泥沼の極限状態にうんざりしながらも、こういう緊張状態でしか今の自分を保てない、居場所がない兵士たちの葛藤は、 集団的自衛権や安全保障で揉めている日本でも他人事ではないだろう。 少年を巡るエピソードは余計に感じて多少ダレるが、 アメリカに帰還した主人公が息子に「大人になるとやることが狭まれて一つか二つしかなくなる」と語りかけるシーンは何だか分かる気がする。 安全地帯で年下の上司にとやかくいびられるより、戦場という非現実でヒーローになった方が生きている実感があるからか。 これから混沌としていく世界情勢において、日本は目を背ける状況ではないし、答えは見つからないだろうな。 [映画館(字幕)] 5点(2023-10-02 19:49:39) |
15. 歩いても 歩いても
《ネタバレ》 帰省するだけの話だが、長男の死が大きく影を落としている。 それが説明的にならず、自然な台詞だけで一枚の地図が出来上がっていく。 生き残った長男の友人に対する僻み、 長男の魂を象徴する蝶を追う母親、 歌謡曲「ブルーライトヨコハマ」の一節、 歩いても、歩いても── 如何なる過去や問題があろうが、距離と瞬間のズレがあろうが、 そうやって日々を積み重ねていくしかない。 お盆が来るたびにこの映画を思いだす。 エンドロールを含め、ゴンチチのスコアが本作と完璧に符合し、印象に残った。 [DVD(邦画)] 8点(2023-09-30 00:06:56) |
16. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
《ネタバレ》 かなりの高評価でテレビアニメの映画化の枠を超えた名作なのは事実で、 ファミリー映画としてのエンタメを確保しつつも芯を持ったメッセージ性を放ち、 その後のクレしん映画の方向性を決めたのは周知のとおり。 だからこそ、クレヨンしんちゃんでなければならない理由があまり感じられず、 今後の作品群に息苦しさを与えた罪な作品だと思っている。 ひろしの回想からしても、'60年代~'70年代を生きていないとなかなか共感しづらい。 (本作が2001年製作で35歳とすると1966年生まれ)。 それにずっと歳を取らないサザエさん時空を生きている野原家にとって、価値観をアップデートしていかないと、 本作のメッセージが20年後30年後の視聴者に響かない可能性もあるし、 元来のギャグアニメのキャラを使っているからこその中途半端さがある。 もっとも当時のスタッフはそこまで考えていなかったと思うが。 "古き良き昭和"については意図的に悪い部分を排除したある種のディストピアとして扱っており、 ここらへんは実写映画版『ALWAYS 三丁目の夕日』よりも誠実だろう。 とは言え、自分にはあまり記憶には残らない、どっちつかずの間口の狭い作品に感じてしまった。 あれから20年以上が経ち、令和の今も閉塞感あふれるトンネルの中を我々は走り続けている。 イエスタデイ・ワンスモアのケンとチャコは令和をどう見ているのだろうか? [地上波(邦画)] 5点(2023-09-16 00:14:21)(良:1票) |
17. インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
《ネタバレ》 脚本のリテイクが難航し、前作から19年掛かりすぎたことが作品に悪い影響を与えている。 作品でも現実時間と同じ時間が流れ、ナチスからソ連に代わり、 宇宙人を捕獲したロズウェル事件、赤狩りが絡んだりと時代の大きな変化を感じるも無理に入れる必要がない。 変にスケール感を強調しようとして、SF要素を加味したインフレーション状態が気になる。 ハリソン・フォードが老体に鞭を打ち、肉体に衰えはあれど安定感のあるアクション。 とは言え、前作3作にある緊張感はほとんどなく、終始家族のドタバタ道中で終わってしまった。 悪女が似合うケイト・ブランシェットは頑張ってはいるものの… 一番盛り上がったのは「待ってました!」と言わんばかりのインディ再登板と、 一作目のヒロイン・マリオンとの再会くらい。 懐かしさに浸るには時代の変化と特殊効果の向上が作品とミスマッチで大きく足を引っ張る。 当初は5部作で構想されていたようだが、どこかで打ち止めできなかったあたり、 堅実に続編で稼ぎたいハリウッドビジネスの本音と限界を感じる。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-08-31 23:39:10) |
18. ALWAYS 三丁目の夕日
ずっと前にテレビで見たっきりのため、あまり覚えていない。 ただ、汚い言い方で申し訳ないがこれだけは言える。 「綺麗ごとばかりで反吐が出る」。 漫画が原作らしいが、実写にまんま置き換えればリアリティのない、嘘臭さ全開の理想郷が提示されるだけで、 こんなのでノスタルジーに浸れるわけもない。 公害や凶悪犯罪だって現在以上に酷く、隠喩すら含まれないのなら尚更。 一番酷かったのは、山崎監督特有の泣けと言わんばかりの病的なまでの過剰演出。 一度だけでもお腹一杯なのに、これだけ執拗にされると怒りすら湧いてくる。 この監督を邦画を引っ張る巨匠のように崇め立てる風潮はやめて欲しい。 [地上波(邦画)] 1点(2023-08-15 14:26:43)(良:3票) |
19. 真夜中の弥次さん喜多さん
原作漫画がかなりぶっ飛んでいるので、未読の人間にはキツい内容。 メタ要素を用いた、ドラッギーでシュールな展開が続くも記憶に残らない。 リアルがどうとか、「あとは勝手にやってください」としか言いようがなく、 原作漫画や脚本家のファンでなければ無理に見なくても良いと感じます。 [DVD(邦画)] 3点(2023-07-29 11:38:18) |
20. エレファント
《ネタバレ》 主観で答えありきの『ボウリング・フォー・コロンバイン』とは違い、 こちらは客観的に高校生のあやふやな精神状態を切り取る。 盲人が象の一部分を蛇や木の幹と表現するように、 答えは人それぞれである意味で答えはない。 時系列を交錯させながら同じシーンが別の視点で映し出され、 平凡なはずの日常に潜むノイズが積み重なる。 だからこそ、移ろいゆく秋の風景が、流れるようなカメラワークが繊細な美しさと儚さを一層醸し出す。 誰もが悩んでいるのに周りを汲み取れない、高校が世界の全てといった視野の狭さが、 惨劇も日常として描かれる不条理を許しているようだ。 [DVD(字幕)] 6点(2023-05-29 21:18:03) |