181. 歓びを歌にのせて
《ネタバレ》 指揮者の動機がどうみても下心にしか見えないというのがまずい。実際結ばれてしまうという流れも気に入らない。描いてきた全てを台無しにされた感じがする。幼少期に過ごした村という設定もいまひとつ生きていないし、ラストも象徴的ではあってもやや強引。感動作と聞いて観たが、自分の感性には響くものがあまりなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2007-09-29 22:42:16) |
182. アマデウス ディレクターズカット
オリジナル版に20分あまりの未公開シーンを追加したDC版。二つの大きな追加の他はちょこちょことした付けたし。サリエリの述懐が増量されたのは好印象。追加されたシーンによって、ややオリジナルとは意味合いが変化してしまっているところもある。尺が伸びるDC版の宿命、オリジナルよりもテンポは落ちた。しかしそれを補うだけの良さもあり、プラマイゼロ。オリジナルは素晴らしいが、こちらも勿論素晴らしい。巨大な才能の輝きに、自らの輝きを相殺され埋もれていく才能の悲哀を描いた傑作。 [DVD(字幕)] 10点(2007-09-29 22:20:29) |
183. アマデウス
モーツァルトという巨大な才能の前に凡人の一人として埋もれていく人間の悲哀がこれでもかというほどに伝わってくる。神父が告白を聞くという設定がこれを描くのには実に秀逸だった。楽曲の選択も素晴らしく、シーンとの融合性が抜群で単にモーツァルトの楽曲の良さを伝えるだけに終わっていない。既に20年以上前の映画だが、年を経るごとに評価が高まるのではないかとすら思える。よく出来た映画です。 [DVD(字幕)] 10点(2007-09-29 22:05:37) |
184. 硫黄島からの手紙
《ネタバレ》 「父親たち~」と違って、こちらはそのもの硫黄島の戦いがメイン。しかしかなり中途半端な出来。第一、日本兵が日本人らしくない。二宮やらの兵隊たちなど、まんまアメリカ兵のコピー。行動も会話もありえないほどの違和感がある。どこかから聞きかじったかのような強圧的だったり何かと死にたがる典型的な上官はしっかり描かれているのに、何故そこだけコピーになるんだろう。結局アメリカ人に日本人を描くのは無理があったということか。相当粘りに粘って戦ったはずが、この映画を観ると粘っている感じが殆ど伝わってこない。そこが肝ではないのか。何しろ直ぐ死にたがる。玉砕だぁ玉砕だぁとやかましい。こんな奴らを使って本当にそんな驚異的な粘り腰を利かせられたのかと不思議になる。こんな内容ならば何も硫黄島じゃなくてもいいんじゃないのか。「父親たち~」で手榴弾を使って自害した日本兵の遺体をリアルに描いていたが、こちらではその自害シーンを描いている。どうもねぇこういう特殊なところだけを好んで描いている感じがして嫌だ。戦いの悲惨さが描かれない中でこういうことをされても、それは残酷シーンを描いてるだけにしか見えないんですな。米兵が捕虜を虐殺してしまうシーンが唯一米軍の悪逆を描いたもので評価に値はするが、実際もっと酷いことやってるわけで、物足りないのも事実。そういえば回想シーンで日本とアメリカが戦争になったらどうなさるの?などというわざとらしい間抜けな会話は普通にいらんなぁと思う。 [DVD(字幕)] 4点(2007-09-29 21:18:48) |
185. 父親たちの星条旗
《ネタバレ》 「硫黄島から~」のことを考えなくても、知らなかった事実も多く興味深く、これはこれでそこそこ楽しめはする。ただ、硫黄島の戦いを日米両面から描いた二部作なんだろうと勝手に思っていたために、戦いについては殆どそっちのけで虚構の英雄の話に終始する内容は正直肩透かしだった。その点でいうとあまり目新しい所はなく、感傷にばかり浸る感じがどうも違和感がある。それでいて「ずっと気に掛けていた」仲間らしき人影を何十年ぶりに見かけたのにそのまま家路を急ぐというのはどういうことか。それは大して気に掛けていなかったということだろう。こういう言い訳臭い嘘が嫌だ。 [DVD(字幕)] 5点(2007-09-29 20:30:33)(良:1票) |
186. アイリス(米英合作映画)
《ネタバレ》 とても淡々としてはいるが、大仰な感動の押し付けのないシンプルな作りは好感が持てる。短い間隔で回想を交えての構成も上々。どこまでも愛し合う姿がメインなものの、夫の感情の爆発も描いたり、ただの奇麗な話だけでは終わらせない点も良い。誰かを深く愛することの複雑さが感じられる内容。入院してから死亡までの間がバッサリないが、これはこれで正解だろう。書く事が自分の存在そのものとして生きてきた人間が文字の識別すら困難になっていくという現実は想像するだけで辛く、悲しかった。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-09-29 20:05:46) |
187. EAST MEETS WEST
《ネタバレ》 意外に地味で痛快さに欠ける。もう少し拳銃対刀の対決が見たかった。外国の役者さんの質も低いし、物語りもどんどん散漫になっていく。見知らぬ男と遺された子供の親子のような情愛など定番要素もあるが、これも作りが上手くない。仕方ないとはいえ子供が剣術を習うが妙に上達が早いのも嫌だ。数日間でそれはなかろう。日本の剣術をなめてもらっては困る。竹中直人のおどけっぷりは過剰で、空回りしているようにしか見えません。竹中直人が投獄され、同じく捕まっていたインディアンの女と脈絡無く情愛を交わし良い仲になるというのは馬鹿馬鹿しすぎです。ある意味インディアンを馬鹿にしている気もする。その他でもインディアンの扱い方は20世紀末に作られたとは思えないような程度の低さですねぇ。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2007-09-25 23:48:58) |
188. あの頃ペニー・レインと
《ネタバレ》 少年のひと夏の経験みたいな映画。あんな風に童貞も喪失したりして、良い夏ですわなぁ。主人公とバンドのリーダーとの交流が温かみがあって良い。リーダー、ちょっと人が良すぎるけど。二流、三流感のあるバンドも良い感じ。しかしペニー・レインは魅力いまいち。まあ主人公が惚れるのは理解できるのでOKだ。他のグルーピーとは違うバンド・エイドだって、こういう口上をする奴が一番間抜け。自分は他とは違うって、違わねぇって。どうして愛されないのって、現実の中に生きてないからだよ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-09-25 23:35:24)(良:2票) |
189. 王と鳥
意外とストーリーはちゃちゃく、それほどまとまりもなし。個々のアイディアやイマジネーションは当時としては斬新だったのでしょうが、メッセージ性含めて、今となってはどれも新鮮味もなく、特別感じるものはありません。結局、歴史的な原点を観るということの価値しか感じられない。例えば「カリオストロの城」や「未来少年コナン」を彷彿とさせる要素を作中に見つけて「あー、なるほどねぇ」と言うような、アイディアの源流探しの楽しさの方が、映画の楽しさに遥かに勝ってしまうんですな。 [DVD(字幕)] 5点(2007-09-25 23:17:10) |
190. オレゴン魂
《ネタバレ》 ジョン・ウェインとキャサリン・ヘプバーンの競演。そのためなのかとにかく二人が良く喋る。この辺を楽しむ映画であって、それ以外のことにとやかく言ってはいけなさそうな雰囲気。ニトロの扱いがかなりぞんざい過ぎるし、撃ち合いも拳銃やライフルというよりガトリング砲でバリバリ撃つのでなんか違う。ゆったりのんびり、やっぱり二人の会話を楽しむ映画なのだ。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-09-25 22:39:36) |
191. 勇気ある追跡
《ネタバレ》 父を失った娘のしっかり者という域を超えたがっちり振りが、世間はそんなに甘くないだろうという気がするがこれはコミカル部分なので良いとしよう。やたら弁護士の名前を盾にするのは面白かった。映像的にも広がりのある画が美しくて良い。知名度ほどの面白味は感じられなかったがそこそこに楽しめる。西部劇好きの人ならきっと満足出来る内容なんじゃなかろうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-09-25 22:30:52) |
192. 赤い風車
《ネタバレ》 ロートレックは知っていても身障者だったとは知らなかったので、それと判るシーンはそれまでの軽妙なシーンからの転換のギャップもあり、結構な衝撃を受けた。マリー役の女性の演技が鼻についたり、ロートレックの神経質な面が随分強く出すぎな感じもするが、全体にバランスはうまく取れていて出来は良い。氏の創作タイプを感じさせるものがさり気ない部分に描かれていたりするのも好印象。伝記ものとしては優秀な部類の映画。ただ古い映画とあってかなりフィルムが劣化してしまっている様子で、色彩の良さを感じることが出来なかったのは残念だった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-09-25 22:19:48) |
193. ガン・ホー
《ネタバレ》 勘違い日本満載で有名な映画ということを見始めてから思い出した。監督がロン・ハワードというだけで借りてしまったが、これは迂闊。観てみると噂にたがわぬ勘違い振り。でもこれは無知による勘違いというより、明らかに故意による勘違いですね。「圧惨自動車」って会社のネーミングからして、分かってなければ付けられない。この社名は面白かったけど、それ以外は・・・。話の内容も適当でみるべきものは無く、予定調和以外の何物でもないストーリー展開で、和解すること自体が根拠に薄い。映画が主張するメッセージも疑問符だらけで説得力ないし、これじゃぁアメリカ人の憂さ晴らしと言われても仕方が無いですわな。ネタとして観る以外、価値はなさそうな映画。 [DVD(字幕)] 0点(2007-09-18 21:46:34) |
194. スナイパー/狙撃者<TVM>
《ネタバレ》 確かにマット・デイモン版とは全然違う。しかし意外と普通のサスペンスアクション。進むに従い、思いのほか勧善懲悪的な判り易い話になっていくんですな。TV映画、そしてちょっと古めとあって、迫力もいまひとつ。自分がもっと若い頃に見たならばもう少しのめり込むことが出来たかもしれない。主人公が殺し屋というイメージからはかけ離れていることもあって、映像で見るよりも本で読んだ方が面白かったような感じも。うーん、期待しすぎました。 [DVD(字幕)] 5点(2007-09-18 21:01:16) |
195. 日本の悲劇(1953)
《ネタバレ》 まさに悲劇。主人公は子供を想い、懸命に働いているのに、馬鹿な子供達は感謝もしない。寧ろ母親を恥のように考え蔑んでいる。生きることの厳しさも知らない馬鹿な子供達にはほとほと腹が立つし呆れるしで、イライラし通し。主人公はお人よしで善人。善人過ぎて尚更悲しい。冒頭に語られる予想通り、程度の差はあれ、どんどんこんな身勝手な子供達が増え続けている現代を考えるとまた悲しい。これだけ後味の悪い映画もない。なのに評価せざるを得ない映画もない。主演の望月優子さんがはまり役で本当に素晴らしかった。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-09-18 20:47:19) |
196. ニューヨーク・ニューヨーク
《ネタバレ》 デニーロのしつこいことしつこいこと。本当に鬱陶しい。人物的にも懐の浅い、ちっちゃい男で好きになれない。あんな時に別れを告げるとはね。最後のミュージカルシーンなど、別にそこまでしなくてもという気はするが、それなりに見られるミュージカルシーンではある。最後にどちらも成功しているというのは出来すぎな感じがするが、ラスト周りは良かった。しかしとにもかくにも長い。これだけのことに3時間弱はきついです。もう少し短くまとめてくれればもう少し楽しめただろう。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-09-18 20:36:25) |
197. 天使のたまご(1985)
単純に退屈。内容は分からなくもないけれど、分かると言うとどうも嘘っぽくなる。もともと分かるようには作られていないんだからそれが当たり前。この分かった気になるという感覚がどうも邪魔臭い。推測、邪推も楽しいものだけど、それは提示される題材が面白ければこそ。こう退屈では、その裏をあれこれ考えるのも面倒だ。天野さんの絵がそれと判るレベルで動いていたのは良かったので+1点。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2007-09-18 20:24:29) |
198. ダイナソー
《ネタバレ》 人間を恐竜に置き換えてるだけなんですな。出来れば全編会話なしというストイックな映画だったら良かった。映像は綺麗で、巨大な隕石が落ちてくる映像にはかなり心惹かれるものがありました。ストーリー自体は捻りはなし。普通です。ただリーダーの死に際など、感動を誘うような最後の会話がありそうなところでも、全く会話なしに既に死んでいるという潔さ。これは良かった。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2007-09-18 20:02:40) |
199. ローズ家の戦争
大げさでド派手な夫婦喧嘩物映画だと思っていたが、観てみたらド派手というより陰湿な夫婦喧嘩。相手を殺そうとしてるようにしか見えない行動多数。ブラックジョークなんでしょうが笑えません。初対面の男の前で足をおっぴろげて逆立ちする女も頭がおかしい。下品で汚い映画。笑えないブラックジョークほど苦痛なものはない。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2007-09-17 19:03:44) |
200. ラルジャン
まるであらすじをそのまま映像にしたような世界。実に淡々と進んでいく。妙に殺風景なセットに妙に光量の多い画がなんだかコントチック。前半はもろにあらすじのまんまだが、テンポが良い分それなりに楽しめる。後半は翻弄された男に話が絞られていき、普通な感じになって逆につまらない。そして展開も。目的とその方向を間違いすぎている。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2007-09-17 18:56:59) |