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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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181.  五条霊戦記//GOJOE 《ネタバレ》 
宇宙空間から見た過去の地球の映像というのは、自分の記憶ではNHK大河ドラマ「北条時宗」OPの例があるが、年代的にはこの映画が先かと思われるので、当時としては斬新な発想だったろうと想像する。子午線に沿ったグリッドパターンの都市設計が惑星表面に浮かび上がるのは、理性と意志をもった文明の存在を如実に示しているように思われる。 ただし、地面に降りて見ればあまりに草ぼうぼうで文明の実態が伴っていない。まあ大昔の京都などこんなものかも知れないと自ら納得するにしても、さすがに五条橋がこれほど辺鄙に見える場所かどうかは疑問である。またロケ地がどこかを知ったとたん、そこら中全部が岩手県にしか思えなくなるのはご愛嬌である。  内容としては義経と弁慶の話を大胆に組み替えた娯楽映画になっており、過度に期待せず気楽に見ていればそれなりに面白い。また事件後は普通に知られた歴史の流れになったのだろうから後腐れのないフィクションともいえる。しかし逆にこの事件があってもなくても平家の没落自体は変わらなかっただろうから架空の歴史モノとしては半端な気もするが、そこはまああえて突っ込むほどのことでもない。 また登場人物の背景は別にわからなくても見られるが、DVDのキャラクター解説では「平家の高官に手込めにされ…」といったことを監督本人が書いており、考証的にはどうかわからないが「白河飛礫(つぶて)」という設定は面白い。刀鍛冶の男は歴史上の有名人とは思われないが、最後は失明していた(鬼を見ると目がつぶれる、と自分で言っていた)のを見ると、その後は琵琶法師にでもなったのだろうと想像される。  なお個人的に不快な人物としては巫女(すぐ出なくなった)、水辺で自害しようとしていた男(すぐ死んだ)であり、また遮那王側の僧も途中で斬られるかと思ったのに最後まで生きていたのが残念だが、これは実在の人物だったらしいので仕方ない。ほか京劇風の剣術はどうも好ましいとは思えない。現代風の映像表現や背景音楽は別に構わないが、日本の伝統には敬意を払っていただきたい。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-18 12:23:57)
182.  危険な斜面<TVM>(2000) 《ネタバレ》 
ストーリーは原作をほぼ踏襲しているが、犯人探しの情報提供者がたまたま人事課所属かつ鉄道愛好者という点は少々都合良すぎという感じである。 またこのドラマでは殺した男・殺された女とも、打算で動くだけでなくそれぞれの思いを抱えているという点で、無彩色の印象だった原作よりも少し色付けされているように見える。しかしそれが必ずしもストーリーに生かされているとは思われず、理屈はわかるが心を揺さぶられるまでに至らない。特に殺した男を変に情けなく安っぽい男にしたことで、“タフでしたたかな壮年の男 対 純粋で一途な若者”という対立軸が成り立たなくなり、結果として若い男は単に話を進めるための駒のようでしかなくなっている。この若い男が殺した男を前にして憤ってみせているのも白々しい。  一方で、殺された女が本来の夢だった文房具屋ではなくブティックにしたというのは、業界の実情に照らして新規の開業は無理と会長が判断したということだろうか。最初の方でグループ企業の独立採算の話が出ていたが、愛人に対しても経済的な自立性を付与することで一方的な扶養ではない関係を作ろうとしていたかに見える会長は、ここに出ていた男の中で最もオトナだったということかも知れない。 なおこの女に関しては、とにかく女優が適役でたまらなく魅力的な人物になっており、それで見ている側も少し肩入れしてしまうところがある。ドラマ版で加えられた設定(三角定規の件など)を見ていると、個人的にはこの人のために泣いてやりたくなったのだが、残念ながら最終的にはそうもならなかった。TVドラマならもっとベタに泣かせてもらいたい。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-18 12:20:10)
183.  ひまわり(2000) 《ネタバレ》 
個人的好みの問題でヒロインの大人状態には全く魅力を感じないが、しかし小学校の記憶に出る少女はなるほど初恋の相手っぽい。現実には1980年代初めに伊豆半島で見えた金環食は存在しないようだし、また主人公はどうも妄想癖があるようなので全てが幻だったのではと疑われなくもないが、そうだとしてもファンタジーとしては割と素直に受け取れる。また終盤で同窓会のような雰囲気になってから、現実への回帰に至る過程も好意的に見ることができたので、これだけなら激賞するほどではないが佳作だとは思える。  ただしここのレビューにあるように、実は登場人物のほとんどが冒頭時点で死亡していたことになっていたというのは全く感心できない。そもそも虚実が不分明な展開の上にそういうことをやってしまっては、何を軸にして見ればいいのかわからなくなるだろう。あるいは何度も見返して、全体の意味を転換させる裏ストーリーをじっくり考えろとでもいうことかも知れないが、そんな子どもじみたことにつき合っているヒマはさすがにない。それとも誰も気づかない前提で悪ふざけをしただけ(都市伝説にあるTVの死亡予告のような)というなら、それこそ小学生並みで大人のやることではない。何にせよこれでは真面目に見ること自体が馬鹿らしくなるのであり、そのため好意的に見ているうちは抑えていた苦情までが表面化して、遺族まで巻き込むコメディが不快だとか、靴はともかく傘を持ってないのは自分のせいだろうとか、深夜の草地を照らす光源はどこに設置されていたのかなどといったことを改めて指摘したくなる。  そのようなことで、結果としては独りよがりで付き合ってられない映画、というのが確定評価となった。評点は主に湊弓子役の女優(個人的好み)と、ヒロインの少女役の子に献上しておく。 なお大したことではないが、転覆した船と砂から掘り出した船は船尾の形状が異なっており、別の船と思われる。
[DVD(邦画)] 4点(2015-07-18 12:20:04)
184.  日本以外全部沈没 《ネタバレ》 
原作の短編を大拡張した形だが、それにしてもあまりに間延びした印象がある。ギャグも全般的に面白くないが、一か所だけ爆笑したのは北の独裁者の「今ごろきじゅいたか」だった。諸国民の融和を説く映画だとすればここで笑うのは不謹慎だろうが、逆にいえばそんな高尚な意図はないだろうということである。 劇中では日本人の心が狭いという指摘もあったが、可住地面積が狭ければ起こることはどこの国も同じであって、国民国家が存続したままならこの映画のようになり、無政府状態なら殺し合いになるだろう。日本人夫妻が変に仲睦まじいのに比べ、主人公と外人妻の関係などは永遠に分かり合えないことの象徴のようだった。世界平和が到来したのが最後の一瞬だけというのも皮肉な話であり、結果としてなかなか心に残る物語ではあった。  なお劇中のTVに出ていた賽銭泥棒の「マーヴィン・ウェッブ」は、「ウルトラセブン」第14~15話の諜報員の役名「マービン・ウェッブ」から、もう一人の「ハロルド・コーウェイ」は戦後の東宝特撮映画によく出ていた外人俳優「ハロルド・コンウェイ」から採っており、神社のあった「北川町」も「ウルトラセブン」第8話の「狙われた街」の場所である。また主人公の自宅の壁にかかっていた絵は、「シルバー仮面」第9話のドミノ星人のデザイン画(池谷仙克氏による)である。一般の観客は無視して構わないような小細工だが、制作側としては観客に気づいてもらいたくて出したのだろうから一応付き合ってやることにした。 それから完全にどうでもいいことだが、劇中の首相は映画公開当時の首相よりも東日本大震災当時の首相に似ている。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-29 23:28:38)
185.  日本沈没(2006) 《ネタバレ》 
原作はかなり昔に読んでいるが、現実問題として経済・社会の国際化が進んでいる21世紀に同じテーマを再現しようとするよりも、基本設定を借りながら中身を別物にしたのはかえって妥当と思われる。昭和版の映画でも、原作本来のテーマというより特撮技術を活用した災害描写が印象的だったわけで(少なくとも自分としては)、これを継承した上でその後の阪神淡路大震災も意識しながら、ここで改めて問題意識を提示しようとしたなら理解できる。 この映画で具体的に問われているのは、社会全体が危機に見舞われた際に個人はどう行動すべきかということだろう。結果としては軽薄な自己犠牲のように見えなくもないが、しかし劇中では“みんなを放っておいて自分だけが幸せにはなれない”とか、“愛する者(家族など)のためには必ずしも自分の生命が最優先にはならない”といった個々人の思いを語らせて、これで主人公が内面的な思いを募らせていき、結果として最後の行動に至ったらしいのは自然な展開に思われる。 また特に個人的に心に残ったのは、序盤で首相が危機管理担当大臣を選んだ動機が“あなたには心がある”だったことである。自分としてはこの場面を見て、現実にもそういう人物が為政者であってもらいたいと心から願う思いだった。こんな安易なリメイク映画の綺麗事にしか聞こえない軽薄な台詞に泣かされる自分が馬鹿のように思われるが、先の震災時に実際に起こったことを思えば、意外にこの場面が庶民の思いを素直に代弁したものだったという気がしなくもない。 なお正直に書くと劇中の少女には結構泣かされた。何としても守りたい人物の好例である。
[DVD(邦画)] 5点(2015-06-29 23:28:34)
186.  渋谷怪談2 《ネタバレ》 
関わってしまうと絶対逃げられないのは呪怨のコインロッカー版という感じである。呪われるという噂のほかに、恋の願いをかなえる噂が同時に流れていたのは犠牲者を集める邪悪な企みとも取れるが、あるいはチェーンメールに「不幸の手紙」と「幸福の手紙」の両面があるようなもので面白い。また個別の場面としては、カラオケでの出来事が音響面で少し独創的な感じだった。  今回もストーリー中に複数の都市伝説が含まれていることになっているが、これほど有名な怪談ネタをオチの部分で使うのでは驚きも何もなく、明らかに逆効果になっている。 また前作に続いて登場人物が基本的に好きになれない(主人公の女子高校生は除く)が、特に医師が終始不快な男で同情を呼ぶキャラクターには全くなっていない。すぐ傍で人が死にそうになっているのにわざとらしく10秒くらい置いてからやっと気づくのが苛立たしく、さらに当該人物が死ぬまで黙って見ていて死んでしまってから騒ぎ出すような馬鹿は存在そのものが許せない。早く死ねこのクソバカがと思っていたがなかなか死なず無駄に騒いで回り、死ね死ね死ね死ね死ね死ねと思い続けてラスト近くになってやっと死んだが死ぬのが遅すぎるという気分だった。こういう人物を出す意図はわかるが感情的に全く同調できず、ここは個人的には大失敗に見える。 また高校生の三角関係に関しては、主人公の友人役が好演しても相手の男がこれほど軽薄でバカで知性レベルそのものが疑われるのでは全く共感できない。どうも登場人物の面で全く評価できないシリーズ(1と2)だった。  ところで今回の主人公は、前作では中学生だったのがいつの間にか高校生に昇格していたらしいが、撮影時期は同じだろうから女優は14歳のままである。堀北真希にとってはこれが初主演映画とのことで、今となってはその面での価値が大きいかも知れない。
[DVD(邦画)] 4点(2015-06-08 00:12:40)
187.  渋谷怪談 《ネタバレ》 
劇中に複数の都市伝説を取り入れているのが特徴らしいが、ストーリーと関係なく断片的に使っているため、よくある月並みな怖がらせネタというようにしか見えない。 また問題なのは不快な登場人物が多いことで、死んでもらいたくない人物がいない(女子中学生は除く)ので最初から全員死なせるために出したように見える。特に主要人物の大学生連中はその場その場の感情で騒ぐのがやかましく、都合が悪くなると激昂して叫ぶのでは知性のかけらも感じない。渋谷という場所にはこういう連中しかいないことを表現するのが目的なら別だが、せめてもう少し万人が共感できそうな登場人物であってもらいたい。 全体的にも今作だけで終わらせる気がないのは明らかであり、2の鑑賞を強いられる作りになっているので満足感は全くない。個別の場面で少しよかったのは、交通量の結構ある路上で突然無音になった場面くらいのものだった。  ところで主演女優の水川あさみは最近時々見る人だが、若い頃(2003/6/11のクランクイン時点で20歳直前)にこういうことをしていたのは初めて見た。今でもそうだがカワイイ系の人ではないので、この映画でも見事に可愛気のない女子大生になっている。まあもともとそういう方向性ではないのだろうからどうこう言うようなものでもなく、またその面では家庭教師先の女子中学生が可愛らしい(女優はこの時点で14歳だったようである)ので救われる。 なおDVD特典を見ていると、「サッちゃん」役の人も素顔では屈託ない感じで大変結構だった。変な動きが多くてお疲れさま。
[DVD(邦画)] 3点(2015-06-08 00:12:35)
188.  のんちゃんのり弁 《ネタバレ》 
何をやっているかは大体わかるが、下司な人物や騒々しいドタバタといった感覚的に不快な要素が多くまともに見ていられない。映画とはいえ一応は現実世界を舞台にするのであれば許容できる限度があるだろうし、逆に延々と続く乱闘場面を見ていると、そこまでやるならいっそ殺してしまえという気分にもなる。主人公も突然芝居じみた調子でわめき出したりするのが変人のようで共感を妨げるものがあり、また子役の悪口を言うつもりはないが、主人公の娘の言動までもがいちいち神経を逆撫でする。 そういうことに苛立っているようでは自分もまだ人間ができていないのであって、ここは料理屋の主人の懐の深さを見習わなければならないのだろうと思われる。この人物の人徳には感じ入る。
[DVD(邦画)] 4点(2015-05-25 19:55:24)
189.  南極料理人 《ネタバレ》 
事前知識なしで見たら意外に笑わせる映画だった。こんなふざけた隊員が実際いるかとも思うわけだが、まあ男所帯の中で現実に起こりうる範囲のことであり、非現実的というほど羽目を外した印象はない。基本的にがさつでむさい感じの連中ではあるが、1年ほども一緒にいればまあ愛着もわくだろうという気はする。 隊員の中では主人公の調理担当がなぜか例外的に爽やかで、これは役者の持ち味ということもあるだろうが、多少何があろうと柔らかく受け止める人柄のよさが好印象だった。当初はこの一家の人間関係がよくわからないところもあったが、最終的にはこの男あってこその妻子のあの態度だったのだろうと思わせるものがある。ほかに弄られキャラの若い男もなかなか愛嬌のある奴だった。 劇中の感動ポイントとして用意されているのは主に家族関係であり、最後の「本さん」の顔つきもよかったが、東京との中継で主人公が娘と話したところも何気に泣かせるものがある。そのほかKDDインマルサットオペレーターの清水さんは、出演者としてクレジットされていながら声だけなのかと心配したが、最後にちゃんと顔出ししていたので安心した。 別に誰かの人生を変革するほどのドラマでないのは終盤の「本当に南極になんて行ったのか」という台詞の通りだろうが、帰って来てみての感慨はあったようだし、観客としてもここに出る人々の気持ちを感じ取って共感できればそれでいいのだろうと思われる。  ところで劇中では専門の観測スタッフと、サポート役の医師や通信・車両担当などとの間で気合いの入り方に微妙な差があったようだが(暇の度合いも違っていたようだが)、調理担当に関しては基地の運営を根底から支える点で日々責任重大だったらしい。食というものが単に生存だけでなく、人間としての文化的な生活を維持する機能について、いわば極限状態(というほど厳しくもないが)のもとで描いてみせた映画というように取れる。劇中人物の中では「本さん」の感覚が自分に最も近いわけだが、こういう場所であればやはりそれなりに料理人に感謝する機会も多いだろうとは想像する。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-25 19:55:21)
190.  かもめ食堂 《ネタバレ》 
食い物には関心がないのでその点は評価対象にならないが、海苔がパリッというのは少しよかった。また舞台がフィンランドである必然性も感じられないが、主人公の話すフィンランド語が結構それらしく聞こえていたのは感心する。全編にわたって微妙な可笑しさが醸し出されているのは見ていて意外に楽しく、うち一つだけ書くと、五寸釘おばさんの泣きの場面は笑えて仕方ない。 劇中では登場人物の来歴がほとんど語られず、そのことが互いの人格を尊重し、過度の密着を避けるような雰囲気を出している。またみなそれなりの年齢ということもあって、別々に生きている人間がたまたま同じ時間と場所を共有しているだけのようにも見える。いわゆる自分探し的な観点からすれば、後から流れついた2人がここに居場所を見つけたことが重要なのだろうが、しかし主人公の「ずっと同じではいられない」という台詞には無常観も感じられる。この主人公としては束縛のない自由さをあくまで尊重する姿勢だったようだが、それでもやはりいつかは失われるこの関係をいとおしむ思いがあるのだろうし、逆にそう思えばこそ、今という時間のかけがえのなさを感じるということかも知れない。そのような時間を切り取ってみせた形の映画だったようにも思われる。 なおどうでもいいことだが、原作では五寸釘おばさんに相当する人物に藁人形の話を教えた際、「人を呪わば穴二つ」に相当する内容を同時に教えていたが、映画で知らせなかったのは不親切だ。本来は他人に見られないようにしなければならないわけだが、人口密度が低いので普通にやっても大丈夫なのだろうと思われる。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-25 19:55:17)
191.  録音霊<OV> 《ネタバレ》 
基本的に「キング関口台スタジオ」という建物の地下一階だけで撮影しており、超低予算映画と思われる。普通に新しく清潔感のあるスタジオのため、「女優霊」(1995)と同じように暗く湿った雰囲気を想像していると少し意外である。閉鎖空間の中で物語が展開することもあって、舞台演劇のような印象も受ける。 ジャンルとしては一応ホラーになっているが、どちらかというと登場人物の心理描写に重点が置かれているらしい。この心理劇の部分はもしかするとありきたりかも知れないが、全体として心霊モノの枠組みを作った上で、その中にこういう趣向を入れ込むこと自体は悪くない。ふざけた感じなのは名前だけで、中身は真面目なお話である。 また劇中では、「歌」というものの持つ霊的な作用が重要な要素になっていたらしく、「女優霊」とは少し違った方向から、スタジオに何かが籠る理由を説明しようとしているように思われた。何もいないように見えて、実は昨日死んだはずの人物が映り込んでいる場面があったりするのは細かい作り込みだが、初見ではほとんど誰も気づかないだろう。  ところで劇中で非常に印象的なのがその「歌」であり、微妙に前世紀の匂いがしているが、真面目に聞けば心に響く内容である。これを最後に新人歌手が歌いあげていた場面は感動的といえなくもないが(口パクだろうが)、そのすぐ後のエンディングでまた再度フルコーラスで流すのはやり過ぎである。しかしそのせいでこの歌が耳について離れなくなり、これで全体が印象づけられてしまった気がする。実際に歌の持つ霊力に当てられた気分だった。  なお劇中の新人歌手は台詞で16歳と言っていたので、それではサバ読みしすぎだろうと思ったが、実際に女優の実年齢もまだ16歳程度だったらしく、ずいぶんと大人びて見えている。「デビルマン」(2004)などよりも、これに出ているのを見た方がよほど好印象だった。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-21 19:40:11)
192.  誘拐(2009)〈TVM〉 《ネタバレ》 
文庫で厚さ2cmくらいの原作を2時間弱にまとめてあり、内容は薄くなっているが不自然なところはなく、ストーリー的な面白さもちゃんと再現されている。背景音楽は軽いがTVドラマなので仕方ない。 時代背景としては明らかに第1次安倍内閣の頃を想定しており、謎の辞任で退いたのも実在の首相に似ているが、人物像まで似せようとはしていない。また当然ながら劇中の友好条約も史実にはないが、原作によれば日本側が適当に譲歩して格好だけつける類のものではなく、過去の完全清算を前提としたものだったようで、これが成功すれば確かに画期的だったろうと思われる(その後にまたひっくり返されるかも知れないが)。  ストーリーに関しても原作をほとんど忠実に再現していると思われる。「金で買えないものはない」とかいう表現は簡単すぎないかとか、最後に明らかになる真相が意外性に欠けるとかいった苦情はないではないが、人情に縛られていてはまともな経営はできない、といった風潮への反発に関しては同感であり、原作者の思いは真直ぐに受け止めることができる。 登場人物としては、まずは何物にも代えられない大事な孫娘というのがちゃんとビジュアル化されており、これが政治家の信念を覆すことにも一定の説得力を付与していた。またドラマ独自の趣向として、捜査官役に二枚目俳優を起用したのは個人的にはどうでもいいことだが、主人公の娘を大きく扱っていたのは非常に印象的だった。劇中ではこの娘の存在が主人公の動機を大きく支える形になっており、これは少しドライな感じのする原作を感情面から補完したものになっている。劇中で最も泣かせるのがこの娘のエピソードであり、いわば切ない愛らしさを表現できている点で非常にいいキャスティングだった。 そのほか最大の特徴点はラストが原作と違っていたことである。ここで主人公がけじめをつけると言ったにもかかわらず、その意図がわからないまま終わっていたが、これがかえって最後に余韻を残す形になっていた。この後に彼がどうするのか、制作側が何を想定していたかはわからないが、自分であればこうするだろうという思いはある。
[DVD(邦画)] 6点(2015-05-06 01:28:23)
193.  郡上一揆 《ネタバレ》 
岐阜県のご当地映画であり、「行こまいか」「だちかんで」「あらけない」といった方言の使用が印象的かつ適度である。また美形の若手女優にお歯黒をさせるといったリアリティ重視の姿勢も見える。 お手軽な映画として作ろうとしたのなら、支配者は全て悪人、被支配者は全て善人にして対立構造を明確にするだろうが、この映画では被支配者の内部にまた身分差があり(「水呑は黙ってろ」という台詞もあった)、その上「立ちもん」「寝もん」の対立もあって全く一枚岩ではない。そのような史実を忠実に描写しようとする姿勢には非常に好感が持てる。 ちなみに検見取りの意味に関しては、役人の匙加減が利くという面もあるだろうが、それより終盤で町奉行が「切添田畑これあり…」と言っていたように、これまで農家が苦労して拡大してきた農地を新たに課税対象にすることへの反発が強かったと思われる。  ところで宣伝文句では「歴史は民が動かす」ことを強調していたが、しかし民衆にせよ支配層にせよ、その時々の経済社会動向を背景にしなければどんな動きも成功しないだろうと思われる。この映画の農民が歴史を動かしたというよりも、世の中の流れの先頭を切って動いたことで、それを契機に幕府も動いたというくらいの見方が妥当なのではないか。 それより個人的にこの映画から感じた最大のことは、どんな時代でもどんなところにも“義の心”を持った人がいるということだった。現代なら“義”などというと中高年からは毛嫌いまたは冷笑されるのだろうが、自分を犠牲にしても多くの人のために行動すること自体が否定されていいはずもない。当時の民衆運動では主導者が本当に生命を失う覚悟が必要だったのは現代と明らかに事情が違うのであり、地元でもこの人々を「義民」と表現していたようだが、自分としてもまずはそういった人々を顕彰する映画と捉えたい。 もっとも、主人公の可愛い奥さんの顔など見ていると、何もこの男がそこまでしなくてもという気になって、その立派な志を手放しで賞賛するのもつらくなるというのが正直なところである。  以上、世間ではあまり面白くない映画と取られているようだが、制作に協力した地元の人々への敬意も含め、自分としては最大限の好意的な評価をしておきたい。 なお余談として、劇中で何気にうちの地元の殿様(のご先祖)が出ていたが、特に悪役ではなかったようで幸いだった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-05-05 00:09:19)
194.  村の写真集 《ネタバレ》 
個人的な事情から主人公の姉の登場を心待ちにしていたのだが、なかなか出ない。しかしその間、妹を見ていてなごんだので許すことにする。DVDのメイキング映像を見ると、姉役の女優に対する監督の特別な思い入れと、そこに突っ込む出演俳優のコメントが笑える。  それで本編に関しては、地域住民の描写にいいところが多い。まず主人公の妹が屈託なくて可愛い(ちょっと野性味がある)のだが、若いのに働き者らしく、家族の和に気を使いながら不平も言わず必要な仕事をこなしているのに感心する。近隣の人々とのつき合いも自然で、いわゆる地域の教育力のたまものではないかと思う。ぜひ看護師の仕事をがんばってほしい。 また主人公と喧嘩した青年は、心を世界に開いていながらも家を継がざるを得ず、黙々と家業に精を出していた。寡黙な男のようだが、こういうのが地域社会や農林業を支える力になるのである。 そのほか男ばかりで飲んでいたところへ現れた同級生女子が、暴力的な言動でその場の雰囲気をぶち壊したのは実際にありそうで笑った。それからほんの一瞬だったが、役場職員の奥さんが何ともいえず感じのいい人で、こういう家族はいいなと思った。  ところで主人公は当初、自分の原点はブレッソン(フランスの写真家らしい)と言っていたが、実際に原点となったのは自分の故郷だったわけで、その価値が世界に通用することは、押しかけ外国人や村在住の芸術家夫妻も普通に認めていたようだった。 彼がこれから世界での成功を目指すのは、まずは当然ながら自分のためだが、しかしそれだけでなく、心ならずも故郷に残った人々の思いも背負って、いわば成功してみせる責任が彼にはある。それが彼の原点となった故郷への恩返しだろうと思う。この映画には、故郷を離れた人間へのエールとともに、故郷のことを忘れないでくれという地元側の思いも感じられる。
[DVD(邦画)] 8点(2015-05-04 23:14:14)(良:1票)
195.  しあわせのかおり 《ネタバレ》 
調理の過程を丁寧に扱っているのがこの映画の大きな魅力なのだろうが、もともと食い物に関心がない人間のため、必ずしもそれがプラス評価には直結しない。また残念だったのが食事会の場面で、ここでは料理を食うために動員された人々が演技として美味そうな顔をしていただけのように見えるので、料理の価値そのものが怪しく思えて来る。  それより自分としては、全編を通じて主人公の表情に目を引かれる場面が多かった。この人は、一見しっかりしているようでも顔がどことなく病的で内面の脆弱さを感じさせるのだが、そのためにかえって毎日の定食や早朝の陽光、師匠の心遣いといった暖かいものの一つひとつが心に染みて、癒されていくのが目に見えていたように思われる。終盤の厨房の場面に至れば表情も毅然として動作に迷いが感じられなくなるが、一方で料理が上達する過程は必ずしも映像に出ていなかった気がするので、観客としては本当に大丈夫なのかと一応心配になる。しかし、それを見ている自分の位置が、弟子を見守る師匠の位置と同じと気づくことで、師匠が黙って見ているなら観客も安心していればいいのだと思わされる。追加注文の「トマト卵炒め」を作る場面では、何度見ても主人公の表情に泣かされてしまう。  ところで、最後に出る歌はいかにも唐突で選曲もわざとらしく、また中華料理店で英語というのもミスマッチという感じはするが、ただし文語調の「埴生の宿」より英語そのままの方がまだしも内容を素直に伝えているのは間違いない。劇中ではこの歌声が、良縁に恵まれた両家はもとより「自慢の娘」とその“父親”、さらには児童相談所の役人のところにも届いているのが映されていた。 映画の結末としては、厨房に置かれた右側の写真と主人公の父娘の写真が重なって、さらにその側に新しい肖像が加えられていくことが見通されているのだろう。そのようにして地味に確実に、家族のささやかなしあわせがつながっていくことを期待したくなる映画だった。料理というのは食文化の創造という面で社会的な意義を持ちうるのは当然だが、この映画での料理は何よりまず家族を結ぶもの、という意義づけがなされていたように思われる。
[DVD(邦画)] 8点(2015-05-04 23:14:00)
196.  あしたはきっと… 《ネタバレ》 
最初は葡萄畑だけ見て甲府盆地かと思ったが、実は大阪府羽曳野市のあたりだったらしく、そうして見れば「ブタのケツ」などという言葉も地域性を示しているように感じられる。実際の登場人物は全部大阪言葉(河内弁)でしゃべっているのを、映画では東京言葉に吹き替えたような形になっているのだろう。この「ブタのケツ」の場面では、女の子連中がとにかくやかましくてもう何を言っているのかわからなくなるのが可笑しい。  ところで、この映画を見る上で考慮に入れた方がいいと思うのは、この監督が原田知世のファンだ(と別映画のメイキングで言っていた)ということである。その原点は、ほぼ同世代の男ども(自分を含む)と同じように「時をかける少女」(1983)だっただろうから、この映画はそのリメイクのような感覚で作っていると考えれば、ストーリー中で時間が前後するのもそれほど奇異には感じられない。 ただし話の中身は1983年版とは全く似ていない。劇中では時間の繰返しが二度(範囲は異なる)行われていたが、そこで表現されていたのは自分にとって都合のいい結果のセットなどというのはありえず、現実にはいま自分の持てるもので一つひとつに立ち向かうしかないということなのだろう。ここには否応なしに変化を迫られるこの年代を暖かく見守ろうとする視線が感じられ、1983年版のように趣味的にひん曲げたようなストーリーよりはるかに素直に受け取れる。むしろ2006年アニメ版との類似性が強くなっており、あるいはその元ネタがこの映画だったのではないかとも思われる。時かけファンの立場としては、1983年から2010年に至る時かけ系列映画の関連作としてこの映画も位置づけておきたい気がする。  そのほか登場人物に関しては、主人公は個人的趣味の範囲内ではないが、ピュアでまっすぐな人物像がきれいに映像化されているとは思える。先輩への告白の場面(1)では、話の流れをぶった切って正面攻撃したもののあえなく撃破された(逃げ足も速い)のが印象深かった。また個人的には「葡萄畑の女の子」(役名)が個性的で可愛いと思ったが、これが若いのに何となくばあちゃんぽく見えるのも面白い。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-04 21:52:43)(良:1票)
197.  たとえ世界が終わっても 《ネタバレ》 
人生は長さだけが問題ではないということなら理解できる。また自分が受け継いだものを次の世代に伝えていくといったことも人生の意義にはつながるだろう。 しかし輪廻転生という考え方に関しては、それ自体が大して人生を豊かにするとは思えない。確かに今回だけで終わりではないと考えることで、生きることが楽になる効果があるのは間違いないが、同時に今回を簡単に考えすぎてしまう恐れもなくはない。そもそも死後のことなど誰も検証できないのだから現実味には欠けており、万人向けに一般化できるようなことではないわけだが、加えてこの映画のように、前世と今生(と来世)で人格的な連続性があるとまで想定するのはオカルトにしても常識外である。そのような人生の繰り返しを見つめる人物が存在するという設定を含め、この映画では少々話を作りすぎている印象があった。さらに重要人物らしい訳知り顔の中年男は外見も言動も気に食わず、こんな男に偉そうに説教されてもまともに受け取る気にならないという点で残念な映画である。 それよりも、主人公の故郷での出来事はこれまでの人生全体の収支をプラスに変えて余りあるほどの幸福感に満たされており、この感覚は観客としても十分に共有できる。またラストでアルバムを見るヒロインの表情は輝いており、冒頭で今にも死にそうに見えた人物とのコントラストが鮮やかだった。上記の理屈はともかくとして、生の喜びを映像上に表現できていたことだけは間違いなくこの映画の価値だと思われる。  なお余談になるが、序盤の自殺志願者のうち高校生くらいに見えた“久美”役(熊谷知花)は、「自殺サークル」(2002)に出たアイドルグループのセンターにいた人であり、彼女にとっては2作目の自殺系映画ということになる。これからも前向きに生きていってくださいねと言いたくなるが、そんなことをわざわざ言わなくとも本人は十分その気と思われる。
[DVD(邦画)] 5点(2015-04-30 23:59:26)
198.  自殺サークル 《ネタバレ》 
最初に見たのは公開の数年後だったと思うが、その時は劇中のアイドルグループの印象が強烈だった。今ならともかく当時としてはダンスのスキルと外見的な年齢との間にギャップを感じ、それが何やら正体不明の連中という印象を生んだものと思われる。これに加えて劇中の事件との関連を疑わせるような扱いをされていたために、外見だけは人に見えても実は人の心など持ち合わせていない不気味な新生物のように感じられ、21世紀にはこういうのが世界中に蔓延していく予兆のようで空恐ろしい気がした。  今回新たに見直して思ったのは、終盤で数字や指の形に意味を見出そうとするのが陰謀論的で、かつある種の病気のように見えるということである。劇中ではそれで実際にコンタクトの道が開き、登場人物にとって何らかの結果をもたらしていたようだが、恐らくそれはカルトの世界でしかなく、普通人が入り込めるようなところではない。現実にはこの世界で起きることに客観的な意味などないのであって、逆にそれが世の中の真実だということが何気に表現されている気もしなくはなかった。 以上、映画全体を論理整合的に解釈するどころでないので断片的な印象だけである。再度見直すとまた違うことが見えるのかも知れないが、そう何度も見たいようなものでもなく、どちらかというと嫌いな映画である。  なお劇中の「デザート」の綴りが場面によって違っているが(DESSART/Desert/DESSRET)、ネット上にこれを解説したサイトがあって一応納得した。
[DVD(邦画)] 3点(2015-04-30 23:48:18)
199.  クレーマー case2 《ネタバレ》 
目障りな先輩がいなくなって後輩が横柄な態度になっているのは前作との連続性を感じる。しかしクレーム対応の部分は前回よりさらにどうでもよくなり、代わりに普通の心霊ホラーになっている。「制服サバイガールⅠ」「Ⅱ」のように、第1作の設定を引き継いだままで第2作を全く違う印象の話にするのはこの監督の特徴なのかと思う(2例だけだが)。 ホラーとして見れば、わざわざ危ないところへ出かけて行って怖い目に逢うのは現代ホラーの通例であり、どれだけ緊迫していても電話に出なければならないと思っているのも「呪怨」と同様に見える。終盤で親子が出かけた先が伊豆のペンションだったのは貞子が待っていそうなのでやめてもらいたかったが、しかしクライマックスの逆貞子とフスマ閉めは正直面白かった。また最後のライター点火は放火を暗示しているとも取れるし、冒頭の誕生日の場面につながって円環をなしているようでもあって興味深い(意味不明だが)。 そのほか一つの場面が延々と続くのは切れが悪く、また背景音楽の使い方も古臭く感じられたりするが、それはそれでくどい感じの怪談をわざわざ作り込んだようでもある。こういうのは素晴らしいともいえないが嫌いというわけでもない。  ところで小野真弓という人は美形でも何でもないが笑うと愛嬌があり、出演者インタビューなどでにこやかに話しているのを見るとそれだけで和んでしまう。劇中では地味でくたびれた感じでどうしようもないのだが、子持ちの役は初めてだと本人も言っており、劇中の職場でも責任者の位置付けだったらしいので、あえて実年齢より少し上の人物を演じるよう求められていたということかも知れない。今回は「壁男」(2007)などでの実績を買われての起用だったというように好意的に解釈しておく。
[DVD(邦画)] 4点(2015-04-30 23:38:16)
200.  クレーマー case1 《ネタバレ》 
監督が「制服サバイガールⅠ」「Ⅱ」と同じだが、この映画は意外にまともだったので驚いた。これほど何の衒いもなく生真面目に作ってあるのを見ると、制服Ⅱの時などはよほどの悪条件だったか魔が差したのかと同情せざるを得ない。 ただし中身としてはそれほど面白いものではなく、こんな半端に不快な映画を好んで見ることもなかろうと思わせるものはある。自作自演というのもありきたりだが、ラストのもうひと捻りのせいで一気にわけがわからなくなっているのは非常に問題である。 それでも一応の好意的な解釈をしておくと、まず暗い目の映像が入るところはやはり主人公の犯行(二重人格的な)だったと思うことにする。またそこまで主人公を追い込んだ電話の男は、劇中で疑われていた通り職場の後輩が雇っていたものと考えれば、当初から個人情報が漏れていたことも説明できないではない。ただし最後の殺人まで指示されていたとは思われず、それはたまたまこの男がそういう気質だったということかも知れないが、それにしても警察がこれをどう扱ったのかが不明であり(どう見ても他殺と思うだろうが)、この辺はやはり少々難があるような気はする。 そのほか細かい点として、社長の言動が下司な感じで結構だったのと、何気に真夏竜氏が出演されていること、及びラストの場面からエンドロールに続く音楽の使い方は好印象だった。これを含めて自分としては最大限好意的に評価しておく。
[ビデオ(邦画)] 4点(2015-04-30 23:38:12)
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