2081. 新幹線大爆破
30年も前にこれほどまでスリリングで迫力のあるパニック大作が日本で作られていたことに驚かざるを得ない。昨今の日本の大作映画といえばことごとく陳腐なものばかり。なぜ30年前に作れて今作れないのだ。今作に限らず、大作映画についていえば、現在よりも数十年前に作られた作品の方がよっぽどパワフルな場合が多い。まさに大手映画会社の大盛期ということだろう。復活はあるのか?どうにも怪しい…。 加えてこの時代の娯楽映画のセンスには頭が下がる。例えば、ラストの射殺シーン、展開は読めつつも緊迫感を高めるあの演出は、最近の日本映画ではなかなか見ることができない。 8点(2004-04-17 14:36:55) |
2082. 名探偵コナン 迷宮の十字路
映画版コナンは異様にアクション性が高くなってしまうので、もともとストーリーには期待していないのだが、今作はさらにアニメーションの陳腐さが際立ち、限りなく程度の低い映画になってしまっていると思う。何度もなぞったようなありきたりなストーリー展開にも落胆する。まあそれほどクオリティを求めても仕方ないのかもしれないけど、相当な数の子供たちを観客動員として集めている以上、ある程度の質は必要だと思う。 2点(2004-04-17 00:53:29) |
2083. リリイ・シュシュのすべて
まず一言、「凄まじい」。正直言ってこれほど居心地が悪い映画はほかに無い。あまりに痛々しい劇中の中学生たちの姿を正視できなかった。何度も席を立とうと思ったほどである。個人的に岩井俊二作品のファンであった私であるが、今作の異色さ異様さには拒否感を覚えずにはいられなかった。しかしその苦しいほどの心の痛さこそ、今作で岩井俊二が狙ったことであり、この映画の本質を物語るものだと感じる。再度見たくなるような映画ではないが、一度観たらなかなか抜けないトゲが心に刺さる。それこそ天才岩井俊二が試みた挑戦だったのだ。傑作。 9点(2004-04-10 01:35:41) |
2084. 殺人の追憶
《ネタバレ》 メディア、雑誌等で評価の高い今作に対する危惧、それはやはり今作が実際の未解決猟奇殺人事件を描いた映画であるということだった。つまり猟奇殺人を描いたサスペンス映画でありながら、観る前から観客は「犯人は見出せない」ということを覚悟しなければならない。これはこのジャンルの映画としては多大なハンデである。しかし、この映画は評価に違わぬ明らかな傑作としてその全貌を脳裏に焼き付けることに成功したと思う。この映画世界に流れる空気感こそ、犯罪ドラマにおけるリアリティに他ならない。ソン・ガンホ、キム・サンギョン演じる刑事たちの怒り、焦り、絶望…あらゆる感情が生々しく迫ってくる。今尚、まさに息づく犯罪を描いた今作は、事件に翻弄された刑事の複雑に絡まる感情がにじむ表情をスクリーンいっぱいに映し出して終幕する。事実に対し、勇敢で、潔く、説得力に溢れた映画のエネルギーに圧倒される。 9点(2004-03-30 20:23:30)(良:2票) |
2085. 金(キム)の戦争<TVM>
世に言う金嬉老事件を描いたドキュメントドラマ。社会を恨み、日本に対抗した金嬉老の生き様をビートたけしが色濃く演じる。彼の哀愁と怒りが痛々しく伝わってくる。 6点(2004-03-28 12:34:57) |
2086. 柳生一族の陰謀
時代の流れの中で度々生まれる悪意に満ちた陰謀、将軍家継承における柳生但馬守のそれを壮大に描く。素晴らしいのは、明らかな悪意をメインに描きつけた潔さである。劇中、陥れられた西郷輝彦演じる家光の実弟忠長の「善か悪か誰が決められよう」という台詞が印象深い。そう、善と悪が入り乱れ、あらゆる思惑と陰謀が渦巻く時代の流れの中で、どちらが善悪かなど認識することは不可能であり、無意味だったのだと思う。生き残った者が、そして綴られる歴史がすべてだったのだ。存在感溢れる俳優が揃い、深作欣二が大いなるパワーをもってまとめあげた大河に圧倒された。 10点(2004-03-24 15:55:56) |
2087. バトル・ロワイアルⅡ 鎮魂歌
「絶対面白くない」と確信しながらもついに観てしまったので、あえてこの映画の堕落っぷりは追求しないでいようと思う。そんなもん観た人すべてが嫌でも感じることだから。で、「面白くない」と思いつつ僕がどうしても観ずにいられなかった原因は、一つしかない。そう、竹内力である。予告編での彼のキレっぷりを見て、好奇心が大いにぐらついた。そして観た本編のRIKI先生は想像以上だった。あの目つき、あの口調、そしてあの死に様もといトライ…、バイオレンスと笑いを超越した彼のキャラクターは圧巻である。深作欣二の遺作にふさわしいとは言えず、極めて醜悪な映画であることは明らかだが、確固たる見応えがあったことは事実だ。竹内力、万歳。 1点(2004-03-24 03:25:47) |
2088. ペイチェック 消された記憶
ストーリーの流れ、特に終盤部分については、フィリップ・K・ディックらしいと言える展開に楽しみつつも何度か観たことがあるようなものだったと思うが、ここぞとばかりに活躍する20個のガラクタという要素は小気味よくスリリングであった。ヒッチコック風のサスペンスという触れ込みにふさわしく、グレーのクラシカルスーツに身を包んで追っ手を掻い潜る主人公の姿は、「北北西に進路をとれ!」を思い起こされる。ただ、映画自体は出来の良い作品だと思うが、これをジョン・ウーが撮る必要があったのかと言えば疑問が残る。「M:I-2」以降、「方向性見失ってんな~」という彼に対する懸念はいまだ拭えない。 7点(2004-03-23 18:44:37) |
2089. 仁義なき戦い
この映画を観たほとんどの人が感じることであろうが、とにかく、菅原文太が凄い。その物腰、啖呵、存在感に圧倒されっぱなしである。日本映画において仁侠映画というジャンルの存在はとても大きいところであるが、その原点であり頂点であるのがこの「仁義なき戦い」であることを認識せずにはいられない。「エネルギーに溢れた~」などという常套句では足りない、まさに血と肉に形作られた生々しいパワーがこの映画のすべてである。クエンティン・タランティーノ、ジョン・ウーが崇めるわけだ。 10点(2004-03-03 16:10:20) |
2090. 私は貝になりたい(1994)<TVM>
フランキー堺主演のオリジナル版は見た事ないけど、今作は数年前にテレビ放映されたのを見た。フランキー堺もかなり名演をしてそうだが、今作の所ジョージの演技者っぷりも見事なものだったと思う。気が弱く、戦争によるねじれた運命に翻弄される理髪店主を印象深く演じていた。「貝になりたい」と言い残して最期を迎えるラストシーンには濃厚な感慨深さが残る。 8点(2004-03-02 02:06:57) |
2091. アダプテーション
チャーリー・カウフマンという脚本家、まさに天才である。脚本の創造に思い悩む脚本家のとめどなく乱雑した世界を混沌と並べ立て、限りなく破綻に近いところで展開させる例を見ないその構成力に唖然とする。実在の蘭収集家と架空の自分の双子を混在させどこまでも独特な世界観に観客は現実との境界線を見失いそうになる。シュールで哲学的で、何よりもユニークな傑作だ。 9点(2004-02-29 04:01:50) |
2092. “アイデンティティー”
「観客の衝撃」を求め続けて映画史の長い時間の中で作られてきたサスペンス映画だが、数ある名作サスペンス映画が生み出され、人々を驚愕させ、それでもなお今作のように新たな衝撃を観客に与えることを可能にする人間の思考の想像力に感嘆せずにはいられない。「アイデンティティ」というシンプルでストレートなタイトルに今作の強かさと自信を感じる。脚本、映像、展開力、キャスティングが合致した極めて秀逸な心理サスペンス映画の誕生だ。 9点(2004-02-29 03:58:34)(良:1票) |
2093. 刑事物語5 やまびこの詩
ご存知片山刑事の奮闘ぶりを描いた人情&アクション&コメディ刑事物語第5弾。まさに地で演じる武田鉄矢のキャラクターが楽しい。何とも味わい深い展開と小気味良いアクションは娯楽映画としてのクオリティを保っている。デビュー間もない鈴木保奈美が初々しい。 6点(2004-02-27 17:05:12) |
2094. 刑事物語3 潮騒の詩
ほんと大した映画じゃあないんだけど、なんだか見ていると引きつけられて最後まで楽しんで観てしまう。武田鉄矢演じる片山刑事のキャラクターのみで押し切ってしまうそのパワーに脱帽だ。加えて女子高生役の若き沢口靖子が初々しく魅力的だ。 6点(2004-02-26 17:56:54) |
2095. 座頭市血煙り街道
初めて勝新太郎の座頭市シリーズを観たのだけれど、その存在感は流石という感じがした。飄々とユーモラスな風貌の中に見せる一瞬の殺気は、やはり一時代を気付いた勝新太郎という大俳優にしか醸し出すことのできないものだと思う。独特の間をもって爆発するようなその殺陣に圧倒される。 8点(2004-02-26 11:41:58) |
2096. DEAD OR ALIVE 2 逃亡者
その衝撃性でカルト的なファンを誕生させた前作であったが、そのノリを一切無視した続編を作るあたりが実に三池崇史監督らしい。前作の破天荒さを期待した者にとってはやはり面白くないが。 1点(2004-02-17 11:29:43) |
2097. お引越し
このタイトルゆえにこの映画があまり知られていないということは多分にあると思う。なぜこんなタイトルにしてしまったのかは不明だが、映画自体はとてもよく出来た家族ドラマだった。何と言っても子役として主演している田畑智子の演技が素晴らしい。子供らしいエネルギーと複雑な心理状況を見事に演じていた。相米監督ならではの淡々としたカメラワークと映像美も印象深い秀作である。 8点(2004-02-17 00:42:27)(良:1票) |
2098. 忍者ハットリくん ニンニン忍法絵巻日記の巻
四コマ漫画的な小話を連ねたようなつくりだったと思う。シシマルのダイエット話など個人的には印象が強い。「にょにょ~!、蒲焼の臭いだワン!」とか言う。 5点(2004-02-13 20:48:21) |
2099. アマデウス
モーツアルトという圧倒的な天才を前に苦しむ音楽家サリエリ、そしてその絶対的な才能をコントロールできないモーツアルト。「才能」に苦しむ二人の音楽家の運命を濃密に描いた傑作だった。完成度の高い映像世界と高揚感みなぎる音楽、そして二人の男の生き様に圧倒される。 9点(2004-02-11 14:15:56) |
2100. スポーン
いや参った。これほどショボい映画だとは予想していなかった。アメコミヒーロー映画は結構好きなので、悪のヒーローというテイストに期待して観たのだけれど、散々な出来栄えに笑ってしまう。怪しく赤黒い巨大なマントをひるがえすビジュアルやジョン・レグイザモのキモすぎる悪役など引きつける素材はあるにはあるのだけれど、何と言っても主人公のビジュアルがよろしくない。一応ヒーローなのだから、終始マスクを装着して闘ってほしかった。焼け爛れた顔で右往左往されては憧れは抱けない。あれならばペプシマンの方がよっぽどカッコイイ。 1点(2004-02-06 20:22:52) |