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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2597
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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201.  ボーイズ・オン・ザ・ラン
無様な男と、無様な女、そのありのままの「無様さ」を“綺麗ごと”なんて完全無視して描きつけた“ヘン”な青春映画だった。  主人公は玩具メーカーのうだつが上がらない29歳の営業マン。援交相手の醜女に逆切れされ、憧れの同僚とはいい感じになりつつも、肝心なところで大失態を繰り返し、挙げ句ライバル営業マンに寝取られる始末……。 最初から最後まで汚れまくりで、良いことなんてほとんどない。  実は、自分自身29歳の営業マン。仕事の合間にネクタイを締めたままこの映画を観ていた。 “イタイ”主人公の姿に笑いつつ、キワドいリアリティが突き刺さってきた。  自分がものに出来なかった女の仇を討つため、軟弱な主人公は“ブチ切れ”、鍛え上げ、「タクシードライバー」のトラヴィスと化す。  普通の青春映画であれば、主人公の「達成」をもって爽快感を導き出すのだろうけれど、普通の青春映画ではない今作は、それすらも許さない。 主人公が終始「無様」なまま、この映画は終焉する。  映画を観終わり、再び仕事に戻るため、土砂降りの中を営業車で走った。 けれど、僕の心は何故か晴れ晴れとしていた。 それは、この映画が無様で阿呆でしょうもないけれど、確かな「勇気」に溢れているからだと思う。  主人公は何も達成しない。ただただ己の小さな自分の人生を走る。その様は決して格好良くないし、転びまくる。でもその目を背けたくなる程に痛々しい等身大の姿は、問答無用に胸に迫る。
[DVD(邦画)] 8点(2010-10-11 11:28:46)(良:3票)
202.  PUSH 光と闇の能力者 《ネタバレ》 
様々な超能力を持つエスパーたちが、三つ巴の攻防を繰り広げるという設定は、非常に興味をそそられた。主人公の味方チームがそれぞれの能力を生かして、相手に対抗していく展開も、個人的にツボにはまるものだった。 2005年の「宇宙戦争」以来、久しぶりに出演作品を観たダコタ・ファニングが相変わらず可愛らしく、少し大人の色香も出始めており、良かった。拳銃を両手に持つ様などには、「レオン」のナタリー・ポートマンを一瞬彷彿とさせる魅力が垣間みれた。  が、映画自体はあまり面白くない。  同じ素材でもっと面白くすることは如何様にも出来たのではないかと感じた。 先ず、娯楽映画としての派手さが無さ過ぎる。今の時代、“エスパー映画”が出来たと聞けば、最新の映像技術を駆使したスタイリッシュな映像世界を期待してしまうもの。 それなのに、映し出されるそれは「何年前の映画だ?」と思ってしまう程チープな表現に終始する。  主人公をはじめ登場するキャラクターの「性格」が今ひとつ定まっていないことも致命的だ。キャラクター性が掴めないので、言動に対する理由も終始掴み切れず、説得力に欠ける。  エスパーの能力を絡めて凝ったつもりだろうストーリーは、一定の整合性は保っているけれど、ただいたずらに複雑にした印象が強く、没頭することが出来なかった。  それなりに豪華なキャストを揃えたこの映画は、いろいろと“含み”を持たせてエンディングを迎える。 おそらくはシリーズ化も念頭に置いているのだろうが、たぶん続編は無いだろう。  もっとシンプルに単純な娯楽性を突き詰めていれば、もっと面白い映画になっていたかもしれないという要素は所々あった。久しぶりのダコタ嬢だっただけに、残念。  邦題も意味不明でダサ過ぎる。
[DVD(字幕)] 3点(2010-10-06 23:02:48)
203.  ネバーランド
ふと考えると、映画を観ること自体が、“空想をする”“イメージをする”ということだと思う。映画の素晴らしさというのはそういうことで、まさにその真髄を描いたこの作品の感動の深さはシンプルだが、非常に深い。美しい現実と空想の狭間で繰り広げられる、美しい愛の物語。感動作としてなんともこれ見よがしな物語であるが、涙が溢れるのだから批判の余地も無く素晴らしいと言うしか無い。空想の名における永遠の少年ピーター・パンが、深い喪失を抱えた少年から生まれたということに、想像性に対する感慨深さを覚えた。
[映画館(字幕)] 8点(2010-10-06 00:26:50)(良:1票)
204.  パーフェクト・ゲッタウェイ 《ネタバレ》 
「衝撃の結末」を売り文句をうたう映画はとても多い。そして、その売り文句に裏切られることもまたとても多い。あらゆるアイデアとストーリーが出尽くしている中、肥えに肥えた映画ファンの「眼」を超えることは極めて難しいことだと思う。  今作においても、用意されていた顛末に想像を超える程の”衝撃”があったとはとても言い難い。  ハワイの秘境にて遭遇した3組のカップル。その中の一組に殺人犯が紛れ込んでいるという情報が入り、突如としてサスペンスが渦巻く。 美しい南の楽園における疑心暗鬼に満ちた人間の心理劇は、コントラストが際立ち、舞台設定自体には一定の魅力があったと思う。  ただし、映画の展開は巧くなかった。  最大のウィークポイントだったのは、キャストのバランスが悪かったことだと思う。 スター俳優はミラ・ジョヴォヴィッチだけで、当然ながら彼女を中心に映画は展開していく。そして、結局彼女自体がストーリーの”オチ”では、どうしたって驚きは薄まる。(かといってジョヴォヴィッチの存在感が強いかというとそうでもない……) それぞれのキャストのレベルがフラットでなければ、この手の群像ミステリーは巧く機能しないと思う。  脚本自体には、確かに衝撃とそれに伴う深みがあったように感じる。けれども、それを映画として表現仕切れていない。 演出や映像感覚にもっと“巧さ”があれば、「衝撃」の確立と共に、映画として深化したと思う。 脚本家出身の監督だからこそ生じた、「脚本」と「映画」の間の“溝”を感じた。  終始ドキドキするしハラハラもする。しかし、その“方法”は粗く強引で、決してフェアではなかったと思う。
[DVD(字幕)] 5点(2010-10-04 22:35:36)
205.  プリンセスと魔法のキス
史上初の長編アニメーション映画である「白雪姫」から始まり、“お姫様映画”は、長いディズニー映画史の“王道”であり、“伝統”だろう。 久しぶりにCGを駆使しない伝統的なこのディズニー映画には、全く新しさが無い反面、子供の頃から長年親しんだテイストに対する安心感を覚えた。  ストーリーテリングに新しさはないけれど、プリンセスもプリンスもその姿が終始”カエル”のままで繰り広げられる展開はユニークだったと思う。 登場するキャラクターたちにも、決して深みはないのだけれど、問答無用に応援したくなるような愛着があった。  アニメーションにおいてもCG全盛の現在において、たまにはこういうオールディーなアニメも楽しいし、「伝統」はしっかりと引き継いでいってほしいと思う。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2010-10-04 17:09:29)
206.  チャーリーとチョコレート工場
工場を巡る途中、主人公の少年が言う「チョコレートの美味しさは理屈じゃない」というセリフが、そのままこの映画全体を表現している。と、思う。 奇想天外なチョコレート工場と工場主、その世界の愉快さの前に理屈など意味を持たない。ただ単に“楽しい!”というほか何もないのだ。 そして、こういう映画におけるティム・バートンの支配力はもう尋常じゃない。完璧以上に完璧にその世界観を作り上げる。更にそこに、ジョニー・デップが加わった時、もう言葉などが入り込む余地は何処にもないのだ。もう“ひたすらに楽しい!”そう言う以外に何が必要か。 板チョコを手に映画館に入れば、尚更に楽しいと思う。
[映画館(字幕)] 9点(2010-10-03 09:11:04)(良:1票)
207.  ライフ・アクアティック
新進の映画作家が生み出す奇妙で愛らしい世界観と人物像に魅了される。ストーリーは極めて破綻気味で、定石など端から期待してはいけない。そんなものはこの映画にはナンセンスそのものだ。 ハチャメチャなストーリーなのに、この映画が破綻せず、しっかりと成り立っているのは、この監督の確かな創造性と、ビル・マーレーをはじめする集結した俳優たちの高い能力との融合故であろう。 可笑しく、感動的な、大人のためのアドベンチャー映画だ。素晴らしい。 
[DVD(字幕)] 8点(2010-10-03 08:16:32)
208.  パンドラの匣
月末の多忙さから逃避するかの如く、平日の深夜、偏頭痛を片手で押さえながら、この映画を観始めた。  この映画は、「違和感」に埋め尽くされている。 まず、明らかに作為的なアフレコの演出に大いなる違和感を感じ、戸惑った。 主人公のモノローグと映像と微妙にズレた台詞が交じり合い、違和感は更に深まり、冒頭からどこか奇妙な世界に放り込まれたような感覚に陥る。  そして、「やっとるか」「やっとるぞ」「がんばれよ」「よーしきた」と、まるで“記号”か“暗号”のように繰り返される言葉に対して、軽薄さを感じる反面、妙な居心地の良さを感じ始めた時、鑑賞前の偏頭痛はどこかに消え失せた。  太宰治の原作は未読だが、独特の繊細な心理描写を根底に敷き、彼ならではの“根暗”で、だけれども不思議な“陽気”さを携えた青春小説を、見事に映像化しているのではないかと感じた。  そもそもは、仲里依紗目当てで食指が動いた映画だった。ただ、拭いされない大いなる危惧もあった。 それは、監督が冨永昌敬という人だったからだ。彼は「パビリオン山椒魚」という映画で、結婚前のオダギリージョー&香椎由宇を主演に配し、あまりに倒錯的な酷い映画世界を見せつけてくれた監督である。  今作も、ある部分では倒錯的で、間違いなく“変てこ”な映画である。 ただし、今回はその倒錯ぶりが、太宰治の文体と絶妙に交じり合って印象的な世界観が生まれていると思う。非凡な映像センスと、独特の編集力が、純文学という創造性の中で見事に融合している。  明日はまた朝から仕事だけれど、深まる秋の夜長、こんな夜更かしも悪くはない。 そう思わせてくれる意外な秀作だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-10-01 01:33:14)
209.  男たちの大和 YAMATO
あえて言うが、この映画には、映画表現としての語り口の巧さだとか、映像的な巧みさ、小気味いい展開の妙など、表現としての工夫は何も無い。冒頭から繰り広げれるあまりに無骨な映画世界に一瞬“嫌な”予感がしたことは正直否めない。そして、その無骨さは、全編通して一貫される(戦艦大和上での圧倒的な戦闘シーンは別にして)。 しかし、涙が溢れ、止まらない。もはやあまりに普遍的な描写に、問答無用で涙がこみ上げる。そうして、次第に、「ああ、この映画には、表現としての工夫なんて必要ないんだ」ということを考える。 もちろん、ここに、映画的な巧さが加われば、それこそ物凄い映画になるのかもしれない。でもおそらく、この映画に携わった人々は、あえてそういうことに目を向けなかったのだと思う。それよりも、たとえくどかろうと、“事実”を明確に伝えることに力を注いだのではないか。 正直なところ、この映画の題材を聞いた時、時代に対して「古い」という印象がよぎった。戦後60年という時代を迎え、多くの人の中で、この国が経験した「戦争」という事実が確実に風化してきている。この映画は、そういう人たち、そういう時代に対する警鐘なのだ。 そして、この映画は無骨で語り口は非常に古臭いけど、描かれるテーマは今まで多くの戦争映画で描かれてきたものとは、確実に一線を画す。この作品は、日本が経験した「戦争」とそこに生き死んだ人たちを、美化も卑下もしていない。事実としての戦争を指してひとつの価値観で描くことはとても傲慢なことだ。この映画は、ただただ真摯に“そこ”で生きて死んでいった人たちを描き、生き続けることの意味、語り続けることの意義を、どこまでもまっすぐに訴える。
[映画館(字幕)] 8点(2010-09-30 00:28:18)
210.  チーム★アメリカ ワールドポリス
去年公開されるや否や、報道番組でも取り上げられる程に、ダイレクトで遠慮がない国際情勢批判(=アメリカ批判)や実在実名の国家、俳優を名指しで中傷したことが話題になった“人形劇映画”。  どんなものかと思ったが、スゴイ。本当に「限度」というものを、この映画のつくり手達は知らないのだろう。  とにかく、これでもかと繰り広げられる、自国批判、国際情勢批判、人権侵害を無視したブラックジョーク、人形にヤラセ放題の下ネタ・お下劣ネタのオンパレード。 それを、物凄くクオリティの高いパペット操作と精巧なミニチュアで完璧に描き出すのだから、尚更に(当事者にとっては)始末が悪い。  よくもまあ、これほどまでにあらゆる種類の人々を、あからさまに敵にまわすような映画が作れるなと、その大胆すぎる姿勢に感心してしまう。  そして、この完全なる「問題作」を公然と製作し、わりと(実際は知らないが)弊害なく、世界へと公開させてしまう、アメリカという国は、その“病的”な部分も含めて、やはり「強大である」と言わざるを得ないのではないか?  それにしても。こんなにも何もかもが可笑しくて滑稽極まりないのに、これほどまでに「笑えない」映画も初めてだ。 (実際は、終始笑いっぱなしなのだけれど……)
[DVD(字幕)] 8点(2010-09-30 00:22:43)
211.  ZOO(2004)
 オムニバス映画は大概評価が難しい。特に今作のように(同原作と言っても)話がそれぞれバラバラで、作り手も本職がバラバラなクリエーターたちとなると、尚更だ。少しずつでもそれぞれの物語がリンクしていれば、作品として一貫性も出てくるのだが…。なので、各話それぞれの評価をしようと思う。  「カザリとヨーコ」……題材は悪くない。“恐怖”という点では良い意味で趣味の悪さに溢れているし、映像化する意味もあったと思う。しかし結果として、ストーリーにまとまりがないまま終わってしまった気もする。<6点>  「SEVEN ROOMS」……明らかに「CUBE」の類似品。不条理な恐怖を描いたのは分かるが、やはり最終的にもう少し「理由」を描かなければ、物語としての完成度の低さは拭えない。全体的に“汚すぎる”点も個人的にはNG。<4点>  「So-far そ・ふぁー」……これは良かった。斬新なストーリーとして最終的にきっちりと「結末」が描かれていてまとまりがあった。映像的な感覚、小物の使い方(赤いソファー、緑のジュースなど)にもセンスを感じた。あとやはり、しっかりとした役者が揃っていたのが完成度を高めた要因だと思う。<7点>  「陽だまりの詩」……アニメーションであるこの作品が実は一番素晴らしかった。非常に繊細なアニメーションで、とても切なく温かい未来世界が繰り広げられる。「短編」という要素を最も巧く反映したのもこの作品であろう。Good Job!<8点>  「ZOO」……精神的な世界の恐怖を描いているので、中途半端なストーリーを指して一概には否定できない。雰囲気も悪くは無く、アリと言えばアリなのだけれど、正直腑に落ちない部分も大いにある。原作でも表題になっているほどなので、文体ではどう描かれているのか、そういう興味は生まれた。<6点>  という感じで平均をとると6.2点なのだけれど、出来不出来の幅が大きいので結局評価が難しい。
[DVD(字幕)] 6点(2010-09-30 00:15:50)
212.  べクシル 2077 日本鎖国
「アップルシード」の時も感じたことだが、このタイプのCGアニメーションは特異なビジュアルに戸惑いつつ、なぜか感情移入していってしまう。 まあこれは好き好きの問題なのだろうが、明らかに作られた造形が逆に生々しい存在感を生む。 それは、人形浄瑠璃とかマリオネットとか、そういう古典的な人形創作劇の魅力に通じる部分のような気がする。 明らかな造形物に、魂を吹き込む。そういう古くから人間に与えられた“才”。その確かな存在を、この新感覚のアニメーションに感じるのだ。  映画のストーリーとしては、「超ハイテクによって鎖国状態に入った日本」という設定は物凄く興味をそそられ、10年間の鎖国状態から明かされる日本の実態の解明という流れで更に興味は膨らんでいく。 と、そこまでは非常に秀逸な大風呂敷を広げてくれるのだが、日本に入った途端に物語は収縮していってしまった。 舞台自体も強制的に閉鎖的になってしまいストーリーがイマイチ広がっていかない。 とんでもないことが起こっているのに、コトの真相が極めてパーソナル過ぎる。 相当に大規模な設定をしているのだから、いかようにも展開を広げていくことは出来たはずだと思う。  気が遠くなる程に作り込まれたアニメーションと、キャラクターたちの不思議な生々しさを携えた息づかいを前に、勿体なさを感じてしまったことは否めない。 
[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2010-09-29 12:57:22)(良:1票)
213.  リトル・ミス・サンシャイン
ひとクセもふたクセもあるバラバラの家族が、美少女コンテストに出場が決まった娘のために、一路カリフォルニアまで“オンボロワゴン”で走り出す。 様々なトラブルが次々起こる“家族旅行”を通じて、崩壊寸前の家族の「再生」を、時にユニークに、時にシニカルに、そしてハートフルに描き出したスバラシイ映画だった。  崩壊寸前の家族像を描きながら、この映画は冒頭から愛らしさに溢れ、心をくすぐってくる。 それは、この家族が決して悲劇的にバラバラな状態ではないということに他ならない。それぞれの思いの中で、微妙な“すれ違い”は生じているが、根本的にはそれぞれが自身の家族を愛し、必要としている。そういうことが、鮮やかに映し出される映像美とキャストのさりげない表現力によって、映画の全編を通して伝わってくるのだ。  この映画は6人の家族そのものが主人公だと思うが、それを演じたキャスト陣がそれぞれとても素晴らしかった。 今作の強烈なおじいちゃん役でアカデミー助演男優賞を獲った名優アラン・アーキンや、父親役のグレッグ・ギニアの存在感は申し分なかったが、やはり印象的だったのは、ミスコンを目指す幼児体型の眼鏡少女をこの上なくチャーミングに演じて見せた小さな女優アビゲイル・ブレスリンだ。バラバラの家族を繋ぎとめる唯一の“かすがい”として天真爛漫さを振りまくオリーブ役を見事に演じきっていたと思う。  トラブル続きの“家族旅行”を終えた時、彼らをとりまく様々な物事は決してすべてがうまくいったわけではない。むしろ、客観的に見れば色々なものを失ったと言える。でも、彼らはみんな出発前にはなかった心からの笑顔に溢れている。 この家族が得たものは何にも代えがたく、その価値はこの映画そのものの価値だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2010-09-29 12:44:41)(良:4票)
214.  トランスフォーマー/リベンジ
冒頭からいきなり繰り広げられる“トランスフォーマー”たちの怒濤の攻防。 人類の軍隊も加わって、もうどれが味方でどれが敵方なのか訳が分からなくなる程、爆発的で目まぐるしいCGシーンに興奮を通り越して、笑ってしまう。 その時点で、この映画の目的は達成されていると言っていい。  だから、その後に展開されるストーリーがどんなに稚拙だろうが、登場人物たちの安いドラマがちょくちょく挟み込まれようが、さらなる続編のための強引な伏線を見せられようが、非難するべきではない。 そういった容易に想像できるマイナス要素を安直に非難することこそ、浅はかだとさえ思う。  大の大人たちが、子供時代の「想像」を莫大な資金をもってして大真面目に具現化したこの"勢い”だけの映画を、その瞬間だけ単純に楽しめるかどうかで、人生の充実は変わってくると思ったり、思わなかったり。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2010-09-26 20:29:04)(良:1票)
215.  ハート・ロッカー
イラクの戦場、日々尽きることの無い爆弾処理の最前線を描いた今作が、アカデミー賞を勝ち取ったことに対して、個人的には若干穿った見方をしていた。 果たして、本当にアカデミー賞にふさわしい映画なのかどうかと。  その理由は、この数年のアカデミー賞作品賞受賞作品には、手放しで賞賛を贈れる映画があまりに少ないということ。そして、9.11以降、アメリカという国の価値観は、人間の混迷や混沌を描いた映画を安直に崇拝する傾向が強すぎる気がしてならないからだ。  もちろん、世の中の数多の「不安」に対して、それを批判したり、影響を受けた映画が作られることは必要だろう。が、それがイコール「良い映画」であるかどうかは、当然別問題だ。  なので、元夫婦対決を制し、「アバター」をかわして、キャスリン・ビグローが女性監督として史上初のアカデミー賞受賞を果たしたこの戦争映画にも、素直に期待出来ないものがあった。  映画は、最前線の爆弾処理チームの3人を中心に、仰々しい展開を廃し、ドキュメンタリータッチに淡々と展開していく。端役でレイフ・ファインズやガイ・ピアースが登場するものの、主要キャストは無名俳優ばかりで安易な盛り上がりは一切無い。  少々疲れ気味の休前日の深夜の鑑賞で、さて眠気が耐えられるかどうか。という危惧は一瞬生まれた。が、そんな危惧は即座に消え失せた。  盛り上がりも、娯楽性もほとんど無い。あるのは、あくまで淡々と過ぎていく戦場の気持ちが悪くなるほどの緊張感だった。  その緊張感は、単に“いつ死ぬか分からない”というものだけではなく、「戦争」という日常に身を置く兵士たちが、静かに静かに精神が蝕まれていくことに対する“あやうさ”のように思えた。  決して、面白味に溢れた映画ではないと思うし、観る人によっては誤解を受けやすい映画であるようにも思う。 それはこの映画が、今この瞬間の「戦争」の表面的な狂気や悲劇を描いているのではなく、まだその実態さえも検証されていないリアルタイムの“混沌”を表現しているからに他ならない。  観終わってみて、「映画」として面白かったのは断然「アバター」なので、アカデミー賞の受賞はやっぱりジェームズ・キャメロンがふさわしかったと思わなくはない。 ただし、この濃厚すぎる程の戦争映画を撮り切った女性監督の“力量”は、間違いなく半端ない。
[DVD(字幕)] 8点(2010-09-23 15:53:10)(良:1票)
216.  96時間 《ネタバレ》 
元CIAの父親が、人身売買組織にさらわれた愛娘を救出するために、死闘を繰り広げるというストーリー。 ストーリー設定にそれ以上の膨らみはなく、設定だけをみれば何ともチープな映画である。 リーアム・ニーソンが体を張って繰り広げるアクションシーンは、それなりにスタイリッシュに表現されているが、アクション映画として特筆するほどのものではない。  9割以上の要素は、はっきり言って「凡庸」に尽きる。 ただし、残りの1割の要素が、この映画のオリジナリティをある意味”強引”に高めている。  それは即ち、「娘を溺愛する父親の容赦なさ」だ。  娘をさらった悪党に対して、電話口できっぱり「処刑宣告」をしたかと思えば、カリフォルニアから海を越え数時間後には事件が発生したパリへ。 単身で悪の組織本体に乗り込み、暴れまわり、ほぼ壊滅状態に追い込む。 更には、古い友人らしいフランス当局の幹部の自宅に“お邪魔”し、実は悪と通じていたその友人の妻の腕を問答無用に撃ち抜き、情報提供を強制する始末。  とにかく娘の救出に対して「障害」となるものは、何であろうと蹴散らし、悪党は容赦なく残虐なまでに皆殺しにしていく。  映画の冒頭、主人公は別れた妻から、その神経質な性格に対して「異常だ」と苦言を呈される。 その時は主人公に対して同情が生まれたが、映画が展開していくにつれ、「ああ、確かにこの父親は異常だ」と納得させれるほどに、主人公の行動力は常軌を逸している。  主人公のその尋常でない怒りっぷりは、“唖然”を通り越し、感じたことのない爽快感に繋がっていく。 その尋常でなさが、絶体絶命の愛娘のピンチを非常識に救っていく。  決して物語としてクオリティの高い映画ではないが、この“容赦なさ”は評価に値する。劇中何度も「親父怖え~」と呟いてしまった。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-09-22 22:31:39)(良:2票)
217.  カンフーハッスル
“カンフーは香港映画のモノだ!”という強烈な意志に打ちのめされる(中国映画ですが敢えて“香港”と言わせてもらいます)。  ワイヤーアクション、CGの蔓延によりカンフーアクションはハリウッドをはじめ世界中の映画の中で見られるようになった。 キアヌ・リーブスのソレも、ユマ・サーマンのソレも確かに格好は良い。 でも改めて香港人によるカンフー映画を観た時、「ああ、やはり香港のカンフーは面白い」と安堵を伴った高揚感を覚えた(よれよれのおっさんがアクションをして画になる国が他にあるだろうか!)。  そう重要なのは、ビジュアル的な完成度や格好良さではなく、リアリティを超越したエンターテイメント性だ。  圧倒されるほどに娯楽的なキャラクター、遠慮を知らないCGとワイヤーアクション。 香港の伝統的な娯楽性を何の抵抗も無く増大させて魅せた、チャウ・シンチーの勇気に敬意を表する。  巷では、“ドラゴンボールのパクり”などという言葉を聞くが、それは正しくない。 なぜなら、ドラゴンボール自体が“カンフー映画”をモチーフに作られているのだから。  他国の様々な媒体と最新技術を経て、ついにカンフー映画は故郷に帰ってきたのだ。
[映画館(字幕)] 7点(2010-09-21 23:40:45)(良:2票)
218.  ハウルの動く城
エンドロールが流れ始めた瞬間、すべての思考が止まってしまった。  これが、あの宮崎映画なのか…。  渦巻く困惑と落胆。脳裏を振り絞って、映画を振り返り、納得のいく“感想”を導き出そうとしたけれど、結局何処にも辿り着けない。 「まさか、そんなことが…」と疑いを消し去れないが、一個人の結論とするならば、“この映画は成立していない”。  はっきり言って、支離滅裂も甚だしい。 圧倒的なビジュアル、美しくファンタジックな空気感、しかし、あるのはただそれだけだ。  それらしい雰囲気とイメージを幾重にも折り重ねただけに終始する。 一見魅力的なキャラクターは、躍動的に動き発言する。 しかし、その言動のあちこちで“根拠”と“理由”が欠如し、人格そのものが最終的に軽薄になってくる。つまりは、物語になっていないのである。  木村拓哉が声優をやることの是非、倍賞千恵子が少女の声を演じることの違和感、どうにも内容が伝わってこない予告編、公開前の不安要素はいろいろあった。  しかし本当の問題はそんなことではなかった。  「千と千尋の神隠し」で抱いた一寸の不審がいよいよ増幅する。 “もう宮崎駿に想像性に溢れた「物語」を紡ぎ構築する創造力は無いのではないか?””テーマ性のみをただ広げる「内容」を展開するだけで精一杯なのではないか?”  ………………いや信じない。 なぜなら、宮崎映画によって映画を観るということの“快感”を育んだと言って過言でない者にとって、それ以上の悲劇は無いからだ。
[映画館(邦画)] 1点(2010-09-21 23:39:32)(良:2票)
219.  母なる証明 《ネタバレ》 
 休日の深夜、この映画を観て就寝した。 すると、この映画に満ち溢れる「不安」を如実に反映した夢を見て、非常に目覚めの悪いウィークデーの始まりの朝を迎えてしまった。今も、どこか気怠く、眠い。  韓国映画には、その善し悪しは別として、ねっとりとまとわりつくような「不安」に溢れた作品が多い。それは映画のジャンルに関わらず、ドラマ、アクション、サスペンス、ラブストーリー、更にはコメディにまで至り、映画を生み出すそもそもの“根底”に備わっている要素のように思える。 何本もの韓国映画を観ていると、時にその“厭な雰囲気”に対して、嫌悪感を抱いてしまうことも多々ある。 しかし、もはやそれは韓国という国が発する文化性であり、外国の映画を鑑賞する以上、否定できないことだとも思う。 そして、その“厭な雰囲気”を包み隠さずぶつけてくるエネルギーがこの国の映画にはあり、それこそが韓国映画の魅力だと思う。  そのエネルギッシュな韓国映画界において、トップランナーであり続けているのが、今作のポン・ジュノ監督だろう。 力強く、美しい映像世界の中に、人間の滑稽さと愚かさを上質な情感をもって表現する術に秀でた彼の最新作は、“母親”が息子を愛する揺るぎない「本質」を生々しく、辛辣に描いた問題作だった。  殺人の容疑がかけられた息子を救い出すために、母親は雨の中昼夜を問わず奔走する。 そうして辿り着く真相、真相に対する母親と息子の言動……。  泥々としたミステリアスな展開の中で、ストーリーは二転三転する。 意外な展開に対してその都度息を呑むが、これがポン・ジュノの映画である以上、安直なカタルシスは得られない。  映画は、母親が無表情で踊り狂う様で、始まり終わる。  その様を、どういう心境で見られるか?この映画は、“厭な雰囲気”の中で、問答無用に問いかけてくる。
[DVD(字幕)] 8点(2010-09-21 11:22:58)
220.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝
「ハムナプトラ」シリーズは、好きなアクション娯楽映画で、7年ぶりの続編は本来なら映画館で観ようと思っていたのだけれど、理由があり躊躇してしまった。  躊躇した理由は、二つある。  一つは、監督がスティーブン・ソマーズからロブ・コーエンに変わってしまったこと。  製作資金さえ豊富ならアクション映画の監督なんて誰がやっても大差ないなんて思われがちだが、娯楽センスというものは確実にあって、作り手の性質によって作品の出来不出来は大きく左右される。 今作のロブ・コーエン監督がそれほど悪いとは思わない。そこそこバランスのとれた娯楽性を展開してくれたと思うが、やはりこのシリーズではスティーブン・ソマーズ監督の大胆さと小気味良さが見たかったと思う。  二つ目は、過去二作でヒロインを演じたレイチェル・ワイズが出演しなかったこと。  もはや彼女も大女優の一人なので、出演交渉は簡単ではなかっただろう。 が、個人的にはこのシリーズの出演からレイチェル・ワイズという女優を知り、その後の出演映画を見てファンになった経緯があるので、是非今作にも出てほしかったものだ。 彼女が出演していれば、映画としての質が格段に上がっていたことは間違いないと思う。  という二つの大きなマイナス要素はあるものの、それなりに楽しめた映画ではあった。 これはこのシリーズ自体が持つ独特の娯楽性の高さと、ブレンダン・フレイザーの良い意味で「大味」な存在感がマッチしているからだろう。  「インディ・ジョーンズ」シリーズと比べたりすると怒られるかもしれないが、どこまでお金をかけても“B級映画”的なノリが抜けないこの「ハムナプトラ」シリーズの方が、個人的には好きだったりする。
[DVD(字幕)] 6点(2010-09-21 11:13:37)(良:2票)
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