201. U-571
船の出来がいいのは認めるけど、これを評価したら「金とスタッフを注ぎ込んだ作品はみな名作」という事になりそうな気がして…点数あげられません。『眼下の敵』も『Uボート』も『深く静かに潜行せよ』も『レッドオクトーバー』も、潜水艦乗りとしての人間ドラマがちゃんとあった。潜水艦モノはなぜか他の戦争映画と違って、敵との人間臭い駆け引きが描かれるのが多い。この映画と『クリムゾン・タイド』にはそれがない…真の敵、好敵手の登場しない戦争映画。華やかな「アメリカ一人勝ち時代」の、勘違い作品と見ておきたいです。 1点(2004-05-04 08:51:37) |
202. デアデビル
思ったより悪くなかった(良くもなかった)。コリン『大当たり』ファレルの存在感が圧倒的だったが、ラストで炸裂するマイケル『王針』ダンカンのボスっぷりがすんばらしくて息を飲む。でもそんだけ。主人公とヒロインには点をつける気にならん…。 3点(2004-05-04 08:44:56) |
203. バニラ・スカイ
《ネタバレ》 最初1/4は『市民ケーン』の現代版かと思った。次の1/4は『他人の顔』かと思った。だが見ているうちに『四谷怪談』になった。そしていつの間にか『マトリックス』を経て『トータル・リコール』に…『オープン・ユア・アイズ』を見てないから比較はできないが、このぶっ壊れ方は最高! 気持ちは10点。トム・クルーズの映画だから-1点てとこかな。俳優使ったスタジオ撮りの映画なんて所詮虚構なんだから、これくらい物語を壊してくれなきゃ面白くないよ。久々に最初から最後まで食い入るように見つめてしまった2時間16分でした。ラストに訪れる極北の愛に、癒し系環境音楽がまた出口のなさを現していてゾクリとする。『映画を見る』という行為そのものを揶揄した自己否定的な映画、という見方で宜しいかな?(追記:冷静に見直してみて精神科医のカート・ラッセルで減点。演技云々と言うよりキャスティングが凡。オイラがキャスティング担当だったら、モンティパイソンのジョン・クリーズを充てたと思う。『マルコビッチの穴』で一種特別なアクターになったジョン・マルコビッチもいいかも。要するに議論のシーンで余裕をかました演技ができて、かつ何か現実の破れ目を感じさせるキャスティングじゃなきゃダメなのだ。だから最後のラッセルのセリフ「オレの名は…オレの名は…」以降が、いかにも締まらない口調になってしまった。あのセリフを活かすのは、本作には絶対必要だ) 7点(2004-05-04 01:40:45)(良:1票) |
204. A.I.
《ネタバレ》 onomichiさんのレビューに刺激されてちょっと投稿。オイラが思い浮かべたのは「デヴィッド=アトム」ではなく「ナレーション=私は真悟」でした。字幕は(DVDの吹き替えもそうだけど)だ・である調になってますが、これをですます調に変えると、モロに真悟の世界になります。オープニングは、未来の人類を遥か過去の歴史のように語ってるんだけど、いったいこれは誰がナレーションしてるのか? 冒頭からいきなりその疑問に捕らえられてしまって、なかなか物語りに集中できない。やがてジョーが「世界はいずれメカのものになる」と語るくだりで、もしやという予感が生まれ、やがて2000年の月日をすっ飛ばして物語はナレーターのいるリアルタイムな世界へ…。ナレから言えば、ラストまでのあの展開は必須です。遥か未来のナレーターが語り継げるような、デヴィッドが世界に記憶されるほどの神話になるためには、あの展開しかない。そうとも、わかっていたはずじゃないか? 冒頭のナレーションの時点から…語りの異様なスタンスと遊離しがちなストーリーで『私は真悟』と共に記憶されていい映画でした。奇怪な物語展開をトリッキーに包み込んだ怪作SF。 7点(2004-05-03 15:07:02)(良:1票) |
205. フレディVSジェイソン
去年、世間がマトリックス完結編に大騒ぎだった頃、一人で「この秋の最大の話題作はコレだね!」と本作に多大な期待を寄せていたバカでございます。結局どっちも観れずに秋は過ぎて行きましたが…。で、DVDが出たので早速購入。噂通りのバカっぷりにニヤニヤしながら観終わりました。オイラは基本的にフレディ派なんで、エルム街っぽさが基本になった展開は嬉しい限りっす。『リアル・ナイトメア』で映画の製作スタッフや役者までも襲いまくる、メタフィクションの方向に足を踏み出したフレディすから、ジェイソンと戦う展開はもう『エルム街の悪夢』の正当な後継と言っていいね。次作へのハードルはメチャクチャ高くなったと思うけど…まあ出ても10年後だろうから、期待せずに待ってますわい。 6点(2004-04-03 21:44:36)(笑:1票) |
206. ローラーボール(2001)
ここまで徹底して評価が低いと、8点(2004/3/14 7点に変更)つけるのも勇気がいるなあ…好きですよ、ええ。旧作の煮え切らないラストを、無理は承知で勧善懲悪してくれたぶっ飛び方、そのソウルに脱帽します。オリジナルにはない埃っぽさと荒っぽさ、「所詮駄作なんだから」という開き直り方。みんなひっくるめて好きですね。消化不良だった旧作に怒りを覚えた人にしかわかってもらえないのは承知ですが。ただひとつ、注文をつけるとすれば、前作みたいに東京ツアーもしてほしかった…。 7点(2004-03-15 00:58:49) |
207. タイムマシン(2002)
ま、監督は実写デビュー作の上に、余計なプレッシャーがかかってるのは間違いないんで、1点割増してますが。ウェルズの『タイムマシン』であるからには、冒頭のタイムパラドックス的アガキは不要。後半も30分ほど足りない。それを差し引いてもなお、モーロックの口を借りて語られる「現代批評」には価値がある。中核スタッフはこの作品をどう撮るべきかわかっていたと思うんだけど、マネジメントや実力が不足していたという印象が拭えない。でも映画と同じくこの監督には未来があるから「あと2回までは失敗を許そう」思ったオイラ。時間旅行の大らかなムードは、パル版を彷彿とさせて素晴らしいが、あと4~5分は欲しかった。ヘルツォークばりに荒ぶる自然の中の時間旅行シーンを延々と映してくれたら、文句なしで10点あげたんだけどね…金がなかったんだろうな…。 7点(2004-03-15 00:58:03) |
208. キャッツ&ドッグス
病んでるよ…病んだ映画だよ…犬と猫が戦ってるという設定はまあいいとしても、話を世界規模にしなくてもいいだろ…誇大妄想寸前だよ…オイラが映倫なら、絶対R指定にします。子供にあんな妙なもん見せちゃイカンですよ。 2点(2004-03-07 22:51:25) |
209. ジェヴォーダンの獣
この点数をつけるのは、手堅くまとまったはずのシナリオを奔放に壊しまくった、その「着くずし方」がユニークで他に類を見ないタイプだから。この映画には、観客に一歩先んじて「判ってやってる」事の強みがある。全体の複線の張り方から考えても、編集の巧さからいっても確実にマトモな歴史映画となる準備が出来ていたと思う。それをコテンパンにしたラストの対決シーンの豪快さ! 映画に夢や感動を求めなくなった、すれっからしに向けて語られるスペクタクル駄作(もち誉め言葉)。 8点(2004-03-07 21:31:49) |
210. RED SHADOW 赤影
どうしても好きな作品は世間の評価が低いなあ…。麻生久美子がポニーテールで黒装束! うんうんいいじゃん、って感じ。オリジナルみたく巨獣が出てくれればよかったんだけどなあ…チャチい合成で(笑)。この、寒いギャグ満載で観客無視、わが道を進んじゃう(しかも方向性は絶対間違ってる(^^;)投げやり度は好きです。ただ、あまりに低予算で横山光輝に申し訳ないので三点減点。 7点(2004-02-17 19:46:32)(笑:1票) |
211. スターリングラード(2001)
点数低め。あの「飢餓で人をも食った」と言われるスターリングラード攻防戦の話なのに、みんななんて栄養状態がいいんだ! 背景と俳優のギャップがありすぎだよ~…というのが始終頭の中をよぎってストーリーに集中できませんでした。報道屋のダニロフは話の邪魔。いろんなモノを背負って、最後の死に様にそれを集約させるキャラだってのはわかるけど、それにしちゃ役造りが大人しすぎやしまいか。ジュード・ロウは田舎兵士っぽさが出てなくていつものジュード・ロウだった。レイチェル・ワイズは好きなや女優なんだけどなー。この話でヒロインやらせるにはちょっとなー。というわけで背景とモブシーンに4点。 4点(2004-02-12 02:50:03) |
212. マイノリティ・リポート
《ネタバレ》 芸術性とかヒューマニティとか言う以前のレベルで辛口レビュー。正直、スピルバーグとトム・クルーズ外してチョイ低予算で作れば面白かったような気がします(ボールドウィン兄弟の誰かにやってほしいぞ~)。あんな未来イメージも悪いとは言わないけど、映像操作シーンのクルーズはいかにも「練習してきました!」って感じで固すぎますね。あと、こぉれだけはどうしても言いたいっっっ! あの状況下でどう段取りしたら、プリゴグに「アンダートン刑事が殺人を犯す」と予測させられるんだあっ! 自分の犯罪を予知されたから後半ああいう展開になったワケで、因果逆転、完全にパラドックスですよもう。SFとして許せてもミステリとしては許す以前のミスだね。シナリオくんはあと1年くらい練り直して来なさい。その間にクルーズ君も2050年代の手袋マウス操作法を練習しておくように。ダメならボールドウィンに代わってもらうよ。 3点(2004-02-11 21:51:28)(良:1票) |
213. 少林サッカー
いま見終わったばかりっす。とうとう見たぜ噂の少林サッカー!(^o^;…自分のベクトルに完全にマッチ。オープニングで既に呑み込まれてましたね。気持ち的には10点上げたいけど、でも9点。サンライズのスポ魂ロボアニメ『疾風!アイアンリーガー』と内容的に変わるトコロがなかったから(後発である以上、アレを越えてもらわんと…)。饅頭屋の姐ちゃんが泣きながら饅頭を作ると味がしょっぱくなってクビになっちゃう…というくだりは、ギャグとか非現実とかを超越して、ほとんどガルシア・マルケスの魔術的リアリズムの域に来てますなあ(あの場面、即座にマルケスの『エレンディラ』を連想しましたわ)。この監督、今後も外野の雑音を気にせずこの路線を突き進んでくれると「東洋のお笑いケン・ラッセル」みたいな感じになって面白そう。いや是非そうなって欲しいぞ。勇気を持ってあと3,4歩進めば、このベクトルでも芸術映画が撮れるよ(きっと)! 香港よ、迷わずおバカ道を極めてくれい! 9点(2003-06-08 03:04:21) |