2241. 恋におちたシェイクスピア
《ネタバレ》 シェイクスピアをネタにしたコメディ、という印象でした。いかにして彼の作品が生み出されていったかを、結構テキトーな解釈で面白おかしく描き、一方でみんなが困難を乗り越えながら、一つの舞台を作ってゆく群像劇でもあり、よく出来たファンタジーだなぁ、って。黄門様のような、貫禄たっぷりの女王ジュディ・デンチの登場でケリが付くまで、たっぷり映画の面白さを堪能できました。新しい地をぐんぐん進んでゆくグウィネスの姿を見ながら「ああ、創作とはかくも雄弁にして豊潤なり」と満足(大ゲサ)。でも、ちょっと三谷幸喜臭を感じたのは私だけかなぁ。 [映画館(邦画)] 8点(2003-12-03 13:43:35)(良:1票) |
2242. 幻魔大戦
『クラッシャー・ジョウ』と同日公開で、『ジョウ』を徹夜で並んで未明に見た後、そのまま早朝上映に駆け込むという、今だったら途中で倒れてそうな強行っぷりで見ました。新宿プラザの大きなスクリーンに映写された状態を今でもハッキリ覚えています。映画は前半のテンポゆったり取り過ぎ感が、後半に巨大なしわ寄せとなって襲いかかる感じでした。状況描写が欠落し過ぎていて、ちっとも大ゴトに見えないのは致命的。せっかく劇場用新作なのに、映像の使い回しを頻繁にやっちゃうのは「999」の時からの、りんたろう監督の悪いクセですし(それで目立たなければまだマシなんですけどねぇ)。それでも、主題歌は好き。音楽も好き(青木望パートも含めて)。ところで「絶対零度ぉぉぉ!!」って必殺技なの?つーか、サイオニクス戦士って、そういう存在(戦隊モノみたいな)なの? ああ、そうだそうだ、『ジョウ』の徹夜で知り合った女の子と『幻魔』も一緒に見て、その後お茶して、でも楽しいひととき、とは行かず、さすがに倒れそうだわぁ、ってなった事を久しぶりに思い出しました。彼女、とってもお喋りなコだったなぁ。 [映画館(邦画)] 6点(2003-12-03 13:19:26) |
2243. ゲット・ショーティ
予告編見た時点では、カッコよくキメてる映画風、だったんですけど、実際の映画は、なんだかゴチャゴチャした話でした。つまりはマフィア界と映画界の底辺の人達が、なんやかんやでひと山アテようぜ、って話なんですけど、センスの爆発もなければ、業界の悲喜を楽しませてくれるでもなく、しょーもない人達が右往左往するのを眺めるばかり。匂ってきそうな程クセのある役者ばかり集めたワリには、大人しくまとまっちゃったなぁ、って感じでした。まー、私にとっては、ソネンフェルド映画って、地雷だし。 5点(2003-12-03 13:08:33) |
2244. ゲーム(1997)
《ネタバレ》 オチを予想しつつも、れれ?おや?んん?と予想からハズれてゆく不安感。その観客側の心理をよく突いてる映画ですね。でも、テンポ悪くて、ネタ映画なんだから、もっとサクサクっと進行して欲しかったなぁ、という印象がありました。こうも勿体つけられるとねぇ。つーか、フィンチャー映画って、いつもテンポ悪い気がして。それに、強引過ぎだし。綿密に計算し尽くしたってムリでしょ、あの展開は。マイケルの行動全てを100パーセント全部予測できなくっちゃ。神様じゃないんだから。 6点(2003-12-03 12:54:14) |
2245. クロコダイル・ダンディー2
この映画を見に行った時、映画館で結構大きな地震に遭遇して、今となっては、その事が記憶の殆どを占めてたりします。野生児が都会に出てきてカルチャーギャップ!だった前作の逆パターンで、今回は野性の中のサスペンス物語になるのですが、そうなっちゃうとフツー。ホームグラウンドじゃ強いの当たり前じゃん、って。コメディ要素がぐぐっと少なくなって、前作のほんわかした雰囲気が感じられず、前作でウケた部分が「オーストラリアの野性的な男って魅力的」だと間違えちゃったんじゃないの?と思っちゃうような映画でした。前作って別にオーストラリアこそが絶対的な魅力の要素ってワケじゃなかったですからねぇ。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-03 12:31:18) |
2246. 黒い家(1999)
多分、フツーの人が実は恐い、っていう映画だと思うんですけど、全然フツーの人じゃない(暴走演技全開の大竹しのぶと西村雅彦じゃあねぇ)ので、そりゃそうでしょうよ、と納得してしまったり。無名のおばさんが演じた方が恐くなったんじゃないかなぁ。森田監督の作りモノめいた感じが、かなりハズレ気味だと思いました。それでも、「模倣犯」よりは数段マシですが。 [試写会(字幕)] 4点(2003-12-03 12:22:50)(笑:1票) |
2247. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!栄光のヤキニクロード
《ネタバレ》 家族でヤキニク!っていう動機だけで一本の映画を動かしてゆくには、ちょっと無理があったようで、話を貫く核が弱いので絵空事(そりゃアニメだから当然、かもしれないけど・・・)が刹那的に流れてゆく虚しさを感じました。結構子供の笑いを取っていたのはいいんですけどね。でも、だったら徹底してギャグを暴走させればいいのに、唐突に敵役のドラマを語り出されたりしちゃうと「ええ~?」って。それまでにドラマが全くないのに、いきなりシリアスになられたところで、感動なんてする訳もなく。それにしても、場内が静まりかえる事となる、クライマックス部分の異様なサムさは、どうなってるんでしょ? あそこで映画全体が取り返しのつかない状態になっちゃった気がするんですが。ロールプレイングゲームの最終ボスじゃないんだから、クライマックスに突如出てきてもねぇ・・・。 [映画館(字幕)] 4点(2003-12-03 11:20:46) |
2248. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
《ネタバレ》 『クレヨンしんちゃん』というと元々は青年誌の連載、子供視点から大人の世界をシニカルに捉えた大人向けなマンガだった訳ですが、テレビアニメ化の際に思いっきり子供向けにされてしまったという経緯があって、ヘンなファンタジー路線の初期はひたすら違和感との戦いでした(『クレしん』も『あたしンち』も安易に『ドラえもん』理論で作られてしまったような)。原監督になってからは全くの子供向けからの軌道修正が図られたようで、大人も楽しめる『クレしん』路線は原作に対する回帰を感じさせました。さて、本作は廉ちゃんとおマタのおじさんの美しくて悲しい物語。しんちゃんは脇役気味だし、ひまわりなんか、もう「いたっけ?」くらいに目立たなかったけれど、しんちゃんがいたからこそ、廉ちゃんとおマタのおじさんの物語が輝いた訳で。子供で、今の時代に生きるしんちゃんの、正直な発言が、廉ちゃんの心を開き、おマタのおじさんの本音を引き出してゆくのですから。アニメ、しかも『クレしん』の世界で描かれた、真っ直ぐな「男と女」の物語は、日本映画史に刻まれるべき名画でした。でも、大人も楽しめる路線は結局この作品が極で、その後は原監督が降りて迷走気味、遂にはまた完全子供向けに戻ってしまって、原監督が『タマタマ』から『戦国』まで重ねた努力を無にするつもりか?みたいな感じがしておりますが。 [映画館(邦画)] 10点(2003-12-03 11:10:56)(良:1票) |
2249. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
《ネタバレ》 あの匂い(あ、靴じゃなくて、懐かしい方ね)を実際に記憶の中からストレートに感じられる私にとって、この映画は懐かしくも切なくツラい映画でした。モーレツな高度成長時代に生まれ育った私には、万博も、『白い色は恋人の色』も、あの街並もタメゴローも、みんな直球ど真ん中状態で、こんなに懐かしい気持ちにさせてくれるとは~、って感動してるそばから、「で、それでいいワケ?」とパンチを浴びせられて。そりゃそうだ、いくら懐かしがったところで、過去にゃ戻れませんからね。ケン&チャコの、自己完結しようとする姿は、世代的にもっと上、団塊の世代の学園紛争時代の匂いを感じましたけど、ずるいオトナにならないで生きてみようと思う私でした。常に大人はその時代と未来に責任背負ってるワケですからね。 [映画館(邦画)] 9点(2003-12-03 10:45:12) |
2250. グレムリン2/新・種・誕・生
《ネタバレ》 前作のパロディ状態おバカ映画と化した続編は、前作よりずっと楽しめました。悪ノリ全開ではありますが。アニメで始まり、映画は途中でグレムリンによって中断され(劇場版とビデオ版とじゃ展開が違うという、どーでもいい凝りよう)、フィービーのクリスマスの悲劇ネタも「あー、はいはい」状態ですっ飛ばされ、痴漢グレムリンやインテリグレムリン、お色気グレムリンが登場し、エンドクレジットで「ヒマ人、早く帰れ」なんて言われる世界に、私のおバカセンサーが反応しないワケにはいきません。しょーもない映画なのですが、そのしょーもなさに愛着を覚える私でした。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-03 10:19:47)(笑:1票) |
2251. グレムリン
「E.T.」大ヒットの余波に乗った売り込みに騙された人がヒキまくり、という映画でした。隣りに座ったカップルが、ギズモに『可愛い~』なんて言ってたのに、ミキサーや電子レンジのシーンで『気持ち悪りーな、これ』と、明らかに反応悪くなっちゃってて、スピルバーグ&ワーナーも罪深い事するなぁ、って。場内の空気が徐々に冷えてゆくのがよーく判る映画でした(「キル・ビル」もそうだったなぁ・・・)。ファンタジーですよ、って言いながらホラー見せちゃってるワケですからねぇ。まあアップショットでの巨大ギズモも十分に不気味ですが。ジョー・ダンテのB級趣味が爆発しまくりで、ジョー・ダンテファンにとってはご馳走のような映画ですが、個人的には好きなセンスではなくて、白い街が美しいオープニング部分だけが印象に残る映画でした。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-03 10:05:58) |
2252. クレオパトラ(1963)
20世紀フォックスを経営の危機に陥らせてまでこの映画が目指したもの、というのが見えないのがツラいです。巨大なセットや凄い数のエキストラ、でも、そんな事がクレオパトラの生涯を描くのに重要な要素には思えず、そもそもエリザベス・テイラーの存在感はあっても、そこからクレオパトラという女性の魅力、というのにも繋がってゆかず・・・。この女性が大きな時代を作り歴史を作っていった、そこに製作者なりの視点が見られず、無理にスペクタクルな要素を盛り込みましたみたいな感じで、製作当時としても、話題先行の空疎な大作って感じだったんじゃないかなぁ、なんて思いました。リバイバルでテアトル東京のシネラマで見られた事だけは大切な思い出となりましたが(中学校の映画教室でテアトル東京の2階席貸切ってのも、今考えたらすっごい贅沢・・・)。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-03 09:51:58) |
2253. グレイストーク/類人猿の王者ターザンの伝説
《ネタバレ》 70ミリスクリーンに広がる雄大な自然、重厚な物語。主人公はおサル状態ですが。母が病死、父もおサルに殺される冒頭から、自分の家を捨て、大自然に帰るラストまで、一貫して描かれるのは、自然と文明との戦いと、その間に立ち、選択を迫られる主人公。結局のところ、主人公は文明と相容れなかった、と言うより、文明が自然との共存を拒否したというところでしょうか。この物語の時代の後、一気に近代科学によって人は地球を支配し自然を侵蝕してゆく・・・。安易に環境保護を叫ぶ映画!ってワケではないんですけど、見ていて人と自然の関わりについて考えさせてくれる映画でした。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-03 09:44:00) |
2254. グリンチ(2000)
お正月に見てしまったので激しく時期ハズレ感が。たった一週間ほどの違いなのにね。さて、これは、昔に見たような感じのするオーソドックスなクリスマス映画。良く言えばクリスマスに定番化しそうな、悪く言えば特撮以外に目新しいところは何もない、って感じの。これを、そこそこ大名ロン・ハワードが撮る、というのも判らないでもありませんが、ジョン・ヒューズ作品です、クリス・コロンバス作品です、と言われても納得しちゃうよーな感じ。グリンチは、グリンチという生き物以外の何者にも見えず、その点じゃ大成功なんでしょうけれど、激しい顔芸も見せて欲しかったな、なんて思ったりもして。クリスマス・イブになんとなくテレビ放映で見る、というのがいちばん似合ってそうな映画でした。 5点(2003-12-02 22:47:12) |
2255. クリムゾン・タイド
トニー・スコット映画の毎度のアゴ切れどアップと暗くツブれちゃう逆光はカンベンして欲しいところですが、これは彼の監督作品の中ではまあまあ楽しめる映画でした。艦長と副艦長の対立の構図は、単なる意見の相違だけじゃなくって、その背景にお互いの立場や人種や経験、そして人間性の対立があって、それは潜水艦という小さな閉ざされた世界で起こる戦争。いかにして戦争は回避されるのか。結末は最初から約束されたかのように判っていても、そこに至る展開には絶えず緊張感が持続されます。ハックマンのそれまでの芸歴が、そのまま役柄に反映されているかのような、ひとクセもふたクセもあるギラギラ感が光る(そりゃもうねっとりと)映画でした。 [映画館(字幕)] 7点(2003-12-02 22:33:25) |
2256. グリマーマン
えーと、この頃はセガール殺法の魅力に目覚めておりませんでした。なので、なんだかフツーな刑事ドラマ、程度にしか感じませんでした。メイン二人はコンビものの定石通りという感じで、目新しさは全然。背景となる事件もちょっとぐちゃぐちゃと入り組み過ぎ。シンプルに正義対悪の対決、ってスタイルに持って行った方が気持ちいいのに、事件の裏に実は・・・ってパターンで隠されちゃってる分だけ悪が目立たず、相対的に正義も目立たず、と。第一、セガール強すぎじゃないの~?って思ったワケです、この時は。後に、ヘンにセガールワールドの魅力に目覚めてしまい、しかし、それはまた別の話(「沈黙の断崖」のレビューをご参照下さいまし)。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-02 22:11:07) |
2257. クリフハンガー
レニー・ハーリンの雑な映画作りがモロに出た映画だと思います。山の位置関係が、もう全然判らず。とりあえずてっぺんの方は吊り橋で繋がってて、で、絶壁と緩やかめな斜面、小屋、小さな湖、それに洞窟がどこにどういう風に・・・???何がどういう構造になってるのやら。要は見せ場さえ作れば、そんな細かいコトはどうでもいい、っていうんでしょうけど、その位置関係がちゃんとしてなきゃサスペンスは生まれないと思うんですけど。追う者と追われる者、それぞれがどこにいて、どれだけの距離があって、どういう道を辿ってどちらに形勢が傾いてゆくか、そういう部分に神経を使ってこそのサスペンスだと思うんですけどねぇ。この映画は見せ場がその場限りのお団子状態で繋がってるばかり。点ではなく線で繋いで一本芯を通す、っていうのは重要な事なんじゃないかなぁ。 [映画館(字幕)] 4点(2003-12-02 21:58:26)(良:1票) |
2258. クリスティーン
《ネタバレ》 キング原作ものとしては、まあまあの方、じゃないかな、と思います(カーペンター映画としても、って言いたいところですが、ファンの人に「お前は彼の良さが判ってない!」って怒られるかも)。赤い、魅力的なボディのクリスティーン。でも、彼女の執念は・・・って、なんだか「危険な情事」みたいな映画です。クルマだけど。できれば、ラストは原作通りの展開を見たかったですね。キングものの映画化って、アンハッピー→ハッピーエンドに変更されちゃう事が結構あって。ところで、むかしむかし、アメリカのドラマで、クルマにお母さんの霊が乗り移っちゃうコメディがあったんですけど、元ネタってそれかなぁ(あんまり昔過ぎて、タイトルも覚えてませんが、クルマが喋るの)。 6点(2003-12-02 21:49:59) |
2259. クリスティーナの好きなコト
セルマ・ブレア大好き~、とか言いながら見に行って「うわわわ~!」って。喜んだらいいのか、嘆いたらいいのか、超ビミョ~、みたいな~(激しく死語)。パンツいっちょで「いて~よ~」ってマタさすってる彼女見て、ファンとしちゃどんなリアクション取ったらいいの?って。クライマックスじゃ、あんな状態だし。さて映画は、女優の皆さん、よくやるわって感じで、ハメを外しまくっておりますねぇ。非常に品のない、おバカ映画です。いちいちパンツ丸出しという、小学生レベルのネタが暴走しております。場内ヒキまくっているのが、しっかり伝わってきます。知的水準が、かな~り低めな映画であります。でも私はこの映画、かな~り好きです。 [映画館(字幕)] 8点(2003-12-02 17:01:59)(笑:1票) (良:1票) |
2260. グリーン・デスティニー
《ネタバレ》 この映画の世界を、そういうものだ、って割り切れないとツラいでしょうねぇ。ピーターパンみたいなモノ、って思うのが案外いい感じな見方なんじゃないかな。実は武侠版『いつか晴れた日に』なこの映画、ミシェル・ヨーとチャン・ツィイーの関係は、エマ・トンプソンとケイト・ウィンスレットの関係によく似ていて、あー、アン・リー作品だなぁ、って。女優二人の魅力に、ちょっとチョウ・ユンファはワリを喰った印象もありますが、ミシェル・ヨーとのお互いに自分を抑えた大人の関係に魅了されます。ラストにイェンが何を願ったのか、そして彼女の願いは叶ったのか、彼女は救われたのか、それは語られませんが、きっと奇跡を起したのだろう、と信じている私でした。 [映画館(字幕)] 8点(2003-12-02 16:40:51)(良:1票) |