2301. 人情紙風船
人情紙風船、いや、人生紙風船。無常。作品自体は時代劇で長屋モノなんだけど・・・中身は何と、これはまさしく“現在”ではないか! 永遠にうち続く無常。永遠の現在。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2011-05-28 17:09:22) |
2302. ナイル殺人事件(1978)
監督はジョン・ギラーミン、スペクタクルならオイラにお任せ。クリスティ『ナイルに死す』の映画化とくりゃあ、これはもうゼヒとも、あの雄大な遺跡群を豪快に撮り上げてやるぜ。いや実際、ピラミッドを登るシーンなんて、どうやって撮ったんでしょうねえ。しかし・・・ごめん。実はあんまし楽しめなかったのよ。大味過ぎて。原作は確かに長いけど、それでもこの映画はチト長過ぎないかしらん。エジプトの光景を映画に織り込んで盛り上げてくれているのでしょうが、あまりメリハリが無く、意外に気分が乗りませんでしたスミマセン。ポアロが誰かを疑い問い詰めるたびにいちいち“犯行再現ダミー映像”が流れるのも食傷気味(これ、やり過ぎると、ラストの真相解明シーンまでもが並列的になり、どうでもよくなってくる)。ま、原作はクリスティ自身がお気に入りの一本だったものでもあり、プロット自体は楽しめるものに違いないんですけど・・・。ところで、前半の「落石事件」って、映画の中で“きちんと正式に”解明されてたっけか?(こういうのも、“犯行再現ダミー映像”の副作用ですよねえ)。もしかして、○○○の役を、あまりイメージに合わない△△△なんていう役者にやらせるから、この辺りの収拾がつけられなくなっちゃったの? [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-05-28 16:56:39) |
2303. 金環蝕(1975)
古き良き、密室談合政治の時代。それなりに大らかで余裕のある時代だったから、こうういうのも裏で成立してたワケでして、“政権交代”とはつまり、社会から余裕が失われた証でもあったり。そりゃま、この映画で繰り広げられているのは、今の視点からだって当然、「醜悪さ」そのものであることは間違いないんですけど。ただ、奇妙な暢気さを伴う“切羽詰まった感”が漂う昨今、こういう映画にはどこかノスタルジーを感じてしまうのも事実であります。まあしかしこの映画。とにかく、ワルそうなヒト同士が集まり、ワルそうな会話を交わす、というシーンのひたすら繰り返し。会話、あるいは電話。事件ではなく、会話のやり取りが描かれ続け、ここまで徹底していると、いやスゴイ。後半、1時間を切るあたりから少し動きが加わってきて、「スーさん大いに吠える」あたりはなかなかに盛り上がったりもしますが。この映画、醜悪さのオンパレードの中で、巨悪との戦い―――これを「善と悪の対決」と呼ぶにはすべてがあまりにダーティなんですけれども―――があって、でもその本当の対決は直接は映画に描かれずに封印されている感じがします。周辺の小競り合いの数々を描きながら、巨悪のイメージを浮かび上がらせる。金環食において我々が目にするものとは、それは太陽の輪郭なのか、それとも月の陰なのか。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-28 00:24:27) |
2304. インサイド・マン
《ネタバレ》 「第二次大戦時のナチスによるユダヤ人弾圧」の痕跡(=指輪)を、時を隔てて現代、アメリカの「黒人」刑事2人が発見する、軽口をたたき合いながら。このシーンだけでもなかなか気のきいた作品だとは思いましたが。ただ、手放しで喜ぶには、社会問題(人種問題=変な目で見られるアジア系、さらに直接的差別を受けるアラブ系)などを絡め過ぎてて、少々、鬱陶しい気がしないでもなく。それに、ミステリ作品、サスペンス作品として本作をまず観るならば、確かになかなか意表をつく内容ではあるのですが、まあああああ、ちと物足りないですわなあ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-05-25 21:55:26) |
2305. ブルー・マックス
実際に複葉機をバカスカ飛ばして空中戦を繰り広げる。あの『つばさ』に挑戦するかのような。いや実際、宙に漂う煙を縫って飛び交うパイロット視線の映像の、その臨場感たるや、まさに圧巻。ただ、主人公の野心を描くストーリーの方が、映像のスゴさに見合わず、ちょっとセコイ印象。ジョージ・ペパード演じる主人公、もっと野望に燃えて悪どくギラついていてもいいと思うんだけど、単なるチンピラみたいな感じに見えちゃうのが残念。 [DVD(字幕)] 7点(2011-05-25 21:41:36) |
2306. イーオン・フラックス(2005)
映画の世界観そのものより、その世界観にそぐわない、映像の“ほのぼの感”が印象的。妙に明るい。アクションも妙ちきりんで、まあ一種の様式美というやつですか(←そればっかし)。ジャッキー・チェンの映画なら喜んで観るウチの子供たちは、本作のアクションシーンには興味を示さなかったが、その反応は正しいと思う(あ、そう言えば、あのクラゲみたいな飛行船みたいなヤツには1歳児が若干興奮していましたが。これも正しい反応)。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2011-05-25 02:33:30) |
2307. はやぶさ奉行
冒頭、次々に起こる殺人事件! ⇒でもそれは、ストーリ上はどうでもいいことであって。とりあえず、潜入捜査官・遠山の金さんの活躍が始まる訳ですが。で、例によって例のごとく、悪者どもの悪だくみを暴く、というオハナシ(まあ、当然だけど)。しかしその“悪だくみ”ってのが、普通の発想を遥かに超えた、ムダに大掛かりな作戦で、なかなかに笑撃的。金さんと彼をサポートする“ねずみ”の前に現れる、危機また危機。だけどすべてサラッと流されるので、あんまり盛り上がらない。金さんが崖に追いつめられる絶体絶命のシーン、これも見事にサラッと流され、「今のは何だったんだ」と唖然。金さんを演じるは、和製ジャン・ギャバンこと(?)片岡千恵蔵。セリフにはいちいち気合いがみなぎり、正直、何を言っているのか聴き取りづらいほど。まあ一種の様式美ってヤツですかな。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-05-25 02:19:34) |
2308. ムーンウォーカー
率直に言います、“マイケル・ジャクソン”って、かなりキツイと思う。その思いの受け皿になってくれる作品がコレ。相応にキツく仕上がっております。しかしまあ、音楽ビジネスの最先端にいた彼が、映画のジャンルではこうやって最後端に陣取っていた、という守備範囲の広さには、ある意味驚かされますが(笑)。前半のコマ撮りなど、特撮は結構楽しいです。リチャード・エドランドを彷彿とさせる「80年代特撮」の味わいが、懐かしい雰囲気。 ・・・それにしてもマイケル・ジャクソンのコスチュームは、タケチャンマンに似ている。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-05-22 02:15:05) |
2309. 若親分兇状旅
シリーズを追うごとに、「任侠モノ」「海軍魂」とかいうテイストが薄れ(いやもともと薄かったけど、もはや完全に形骸化)、単なる“いいひと”になってしまっていた若親分。今作では、ヤクザ者らしい一面を見せたり、海軍時代のシゴキにまつわる暗い過去が明かされたりと、一応、原点回帰(別に原点なんて無いケド)を見せておりますが・・・そのおかげで作品に深みが加わったかと言えば、やはりまあ、こういう尺の短いアクション映画では、消化不良は否めません。中身が無かった前作までに比べると、どうも野暮ったい印象、なんですよね。海軍時代の友人の自殺の謎を追う若親分、って言えば面白そうですが、真相なんて呼ぶほどの真相も無し(見え透いてて、およそ予想する余地も無い)。こういう作品を、ここではとりあえず無難に「意欲作」と呼んでおきます。 それにしても、都はるみ、キツイなあ。ブサイクすぎて気の毒になってきちゃう。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-05-18 23:18:45) |
2310. プレデターズ(2010)
別に“ゲームの映画化”じゃないんだけど、ノリは完全にゲーム。どういう事態でどういうルールなのか、別に訊いてもいないのにエイドリアン・ブロディが一生懸命、断定的に説明してくれる。という、そのあまりの「含みの無さ」に、白けてきちゃう一方。ブッ飛んでいるように見せかけて、実は全く飛距離が出せていない映画でありました。いや実際、何もかも茶番臭くて、“プレデター”が、強いとか怖いとかいう風に感じられないのです・・・って、昔っからそうだけど。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2011-05-13 22:54:24) |
2311. ヤング・マスター/師弟出馬
物語なんぞそっちのけ、映画という世界の中でひたすら暴れまわるジャッキー。いや、「映画を駆使して暴れまわる」とでも言うべきですかね、いやホントに、実にデタラメで、それでいて丁寧で(どっちやねん)、映画の持つ自由さというものを満喫できる作品です。漫然と屋外での格闘シーンが続くもんで、まあかなり手っ取り早く撮影はしたんでしょうが、それでもカットによって天候が変わってしまうのは御愛嬌。で雑な作りなのかと言えば、しっかり計算された切り返しも見せてくれたり。で、中身は無し。だいたいあの中盤の水浴のシーンなんて、ジャッキーの露出狂ぶり(?)(実際、映画でよく脱ぐよね)が発揮されただけで、ストーリーも何もあったもんじゃないんですけど、わざわざこんなシーンを入れる。狭い個室でのドタバタ、どっちかって撮影も面倒だろうに(壁を取っ払って切り返したり)、でもあえてこんなシーンを入れる。ストーリー展開なんて無視して、ひたすら飛び跳ね暴れ回る、しかしそれは、まさに「映画をというものを駆使して」暴れまわっているのですね。勿論、肉体を徹底的に駆使することもまた、本作ではすさまじいばかり。ラストの一騎打ちのすごいこと、そしてしつこいこと。そして、そもそも何故、これほどまでボロボロになりながら戦い続けなければならないのか、ほとんど必然性が無いこと。身内を殺されたとか何とか、この壮絶さに見合うだけの「戦う理由」がここには無いのです。無いのに戦い続け、メッタ打ちにされ続ける。はっきりした理由の無い、しかし壮絶極まり無い死闘。純粋にその“凄まじさ”そのものが、観るものを惹きつけて、もうこうなると、いつ果てるとも知れぬ戦いを観ながら、笑いそして泣くしかないのです。これぞアクション映画。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2011-05-13 01:01:10)(良:1票) |
2312. カクテル
《ネタバレ》 トム・クルーズ演じる主人公がニューヨークで様々な企業の面接を受けると、面接担当者の後ろの壁には大抵、絵画が飾ってあって、しかもその多くが抽象画だったりする。大学で経営学を学んでもこれまた抽象的な内容ばかり。そこでまあ、やっぱり何と言っても実践第一でしょう、と、バーテンのバイトに精を出し、たちまち大成功。という、この「何の努力もせずいきなり激戦区ニューヨークで名バーテンダーになっちゃう」ってのがすでにもう、実に抽象的。金銭をとるか、自分らしい生き方をとるか、がテーマとなれば、いともたやすく“金持ち女性”が現れて逆玉の輿、という、明瞭極まりない図式。たまたま知り合ったオネーチャンまでが、実はお金持ちの箱入り娘でしたとさ、というオチには、もはや唖然とするしかない(そりゃまあ、エリザベス・シューと言えば、ハーバード卒、かつて「全米・息子の嫁にしたいナンバー1」にも輝いたとか何とか)。予想以上にトンチンカンでアンポンタンな世界に、かえって、よくぞここまで「予想通りに」期待を裏切ってくれました、と感心した次第。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-05-08 15:22:11) |
2313. トゥルー・クライム(1999)
今夜死刑を執行されようとしている囚人が、実は無罪なのではないか、と、ジジイなのにプレイボーイで敏腕のイーストウッド記者が奔走するオハナシ。たった半日で真相に辿り着けるのか、というサスペンスなんですが、とは言えイーストウッドが当の囚人に面会するのは映画のほぼ半分くらいのところ。そこは敏腕記者なので(というか亡きオネーチャン記者がすでに手がかりを掴んでいるので)残り半分でも簡単に解決!と思いきや、映画の残りのさらに半分で、手がかりを失い、さらにはこれまでの悪行がたたって妻からも三行半、どうしようもなくなってしまう。そう、やっぱりイーストウッド記者は「遅れてきた」のです。浮気に励み、気ままに取材にのめり込み、家族をないがしろにし、映画の前半をムダに費やして、それらの挙句に、この囚人が無実だという感触を持ちながらもはや手遅れ、という次第。「過去」の犯行の様相が異なる映像で繰り返し描かれ、徐々に明らかになっていきながら、「現在」はモヤモヤと膠着状態に。処刑まではもう時間がない・・・そしてここからがサスペンスの見せどころ。イーストウッドの男気の魅せどころ。「魔のカーブ」や「知り合いの変な浮浪者」など、映画前半の素材を織り込んでみせるのも、なかなかシャレたサービス。アクションは抑え気味ですが、充実感はしっかり味わうことができました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-05-07 14:27:51)(良:1票) |
2314. 狼の死刑宣告
息子を殺害したチンピラに父親が復讐したことで、ギャングとの全面抗争になってしまうというオハナシ。良識あるブルジョア家庭の親父を演じるのは曲者ケビン・ベーコン。と言う訳で、もともとあんまり良識があるようには見えないのです。後半の暴走は保証済み。演出の方も、復讐や抗争へと向かうドライビングフォースがいかにも顕著で、映画の中に敷かれた物語のレールが透けて見えており、こうなるともう、息子を失った哀しみ・慟哭、暗黒世界へ足を踏み入れる躊躇・逡巡、そういったものはあまり感じられなくなります。ラストで主人公はトラヴィス化してしまうに至っては、「ホラ言わんこっちゃない」と言いたくなっちゃう。じゃあ何よ、ケビン・ベーコンならダメで、“ぶろんそん”なら良いのかよ、と言われれば、まあ、残念ながらそうなんでしょう(笑)。しかし、「今さらこんな映画作っちゃって」というツブヤキの影には、「待ってました!」という嬉しさプラス懐かしさがあるのもまた事実。中盤の、街で突然ギャングに襲われるシーンがいいですね。街中だったのに、路地裏に逃げ込むと途端に周囲の光景がスラム化する怖さ(ホントにこういう地理なのかは不明)。立体駐車場での長廻しのオモシロさ(手持ちカメラがクレーンに乗ってまた手持ちに)。クライマックスの銃撃戦もなかなか見事でした。 [DVD(字幕)] 7点(2011-05-06 23:41:48)(良:1票) |
2315. 不毛地帯
長い説明ゼリフを何とかうまくこなそうと一生懸命な出演陣、その愚直さとぎこちなさとの徹底した積み重ねの上にこそ、このどうしようもないドロドロ感がある。というわけで、とても面白かったです。ただ、3時間という長尺でも、まだまだ物足りない感じはありますね。主人公の私生活なども、前半のボロ家が後半で突然豪邸に変わっているという描写だけで、消化不良かな(主人公の影が薄い印象)。政財界のドロドロを描くにしたって、とりあえず何かにつけて“高級料亭”、ってのも、どうなんでしょ、もう少し意外性と細かさとを感じさせるような描写があってもよいかな、と。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-05-04 18:48:39) |
2316. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
《ネタバレ》 『ニュー・シネマ・パラダイス』、あんまり評判がいいもんで何だか胡散臭く、きっとワタシには無縁の映画でしょう、と避けてきた作品なのですが・・・いや、泣けました。そんなに警戒しなくていいよ、と誰か言ってくれりゃよかったものを(笑)。取り壊し寸前の映画館で、「映画」に埋もれた自分の「過去」を必死で探す主人公の姿、これにはもう参りました。どうしたらこんなヒトの弱みにつけ込むような、泣きたくなるような、頭抱えたくなるようなシチュエーションを思いつくんですかね、プンプン(「映画」に限らない「何か」。その「何か」に埋もれてさせてしまった、幻の過去)。かつて主人公を旅立たせたアルフレードは、自らの死によって、映画館が取り壊される直前に主人公を故郷へ呼び寄せ、“過去”と対面させ、その“過去”との和解へと導く。アルフレードこそは天使。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2011-05-04 18:25:09)(良:1票) |
2317. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
百万両の壺をめぐる騒動。マンガのように大仰な大河内傳次郎の丹下左膳を始めとする、ヒト癖もフタ癖もある登場人物たちの絡み合い。っていうよりむしろ、妙な「噛み合わなさ」のオモシロさ。各自が互いの引力の影響をうけつつも、めいめい勝手な公転軌道で壺のまわりを周回し続けることで、不思議なまとまりを見せる。とにかく滅法面白くって、しかもコレ「歴史的な名作」なんだそうですから、もう観ない手は無いでしょ。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-04-30 23:27:59) |
2318. 華麗なる賭け
どうです洒落た映画でしょ、スタイリッシュな映像でしょ、的な主張の強い演出にいささか辟易するのですが、まあ、ド変態映画であることは間違いないですね。直接的な描写は無くとも、例えばチェスのシーンの思わせぶりなところなど、相当エゲツないと思います。スティーブ・マックィーンが富豪の役なんて似合わんのにこりゃどういうキャスティングなんだ、思ってたら、これまたエゲツないキスシーン。はい確かに、ミスキャスト以外の方法でこれだけの絵ヅラを作り出すことは不可能です、参りました。この作品では、スリルを楽しむために銀行強盗を計画するお金持ちの男と、彼の犯罪を暴こうと彼に接近する女との、“華麗なる駆け引き”が描かれますが、ストーリー性よりも、二人の間の微妙な空気が作品の中心。二人の所作こそが見どころであり、いわばマックィーンとフェイ・ダナウェイの“舞い”の映画です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-04-30 15:49:29) |
2319. 特攻野郎Aチーム THE MOVIE
かつて毎週ビデオに録画して完全に惰性で観ていた、あの特攻野郎Aチームが、ついに映画になりましたとさ。今さら「ついに映画化」とか言うのも白々しくて、むしろ「例によって映画化」が正しい。何となく、よく巷で言われる「あの政治家、期待してたのに、いざ総理大臣になったらやっぱりダメね、総理なんて誰がやっても同じよね」とかいうコメントを思い出しますね。Aチーム、お前もか、ってな感じ。企画は立てたけど映画化すべき内容が思いつかないらしい。うーん、とりあえずAチームを名乗るんなら、困ってる人を助けるオハナシ(通常営業モードですね)でよかったんじゃないの。で、この際、CGは使わない。クルマはたくさん壊す(特に横転が好ましい)。勿論、死人は出さない。どうですか。21世紀にはこういうの、通用しませんか? (ところであのパワーボム野郎、すっかり太ってしまって、しっかりとミスターT化してましたね。コングに似てるで賞を差し上げます) [ブルーレイ(字幕)] 5点(2011-04-30 15:22:39) |
2320. わが谷は緑なりき
ウェールズ地方の炭鉱の町を舞台に、ええと、要するに、一家離散のオハナシですね(←その安っぽい言い方やめなさいっての)。一家の様子、町の人々の様子、さまざまな事件が、一家の末っ子の少年の目を通して描かれていくのですが、その見事な繊細さ。内容的には全然関係ないけど、中勘助の『銀の匙』をどこか思い出させるものがあります。炭鉱の町らしい、煙を吐く煙突群の幾何学的な面白さと、炭鉱の中の厳しさ。自然の美しさと冬の寒さの厳しさ。人々の交流と反目。これらが何ともノスタルジックに描かれ、どこまでも引き込まれていきます。上記のように、結局は一家がバラバラになっていってしまうのですが、そこに浮かび上がってくるのはむしろ、人と人との「絆」。映画が、悲しさよりもむしろ懐かしさをもって描かれていくのが、かえって感動を呼びます。神々しくすらある映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2011-04-28 21:57:22)(良:1票) |