2361. 評決のとき
サミュエル・L・ジャクソン、ケビン・スペイシー、ドナルド・サザーランドと脇を固める実力派たちの演技が支えとなって、まとまった法廷サスペンスに仕上がっていると思う。テーマの濃厚さのわりに論理的展開に欠ける脚本は優れたものではないが、全体のバランスは良かった。今作で大型新人と期待されたマシュー・マコノヒーは及第点であったが、サンドラ・ブロックの役所はあまり意味がなく印象も薄い。 [ビデオ(字幕)] 5点(2003-10-28 14:32:46) |
2362. ラヂオの時間
三谷幸喜の「監督作」としては、この映画が殆ど唯一の“傑作”と言える作品だと思う。 劇場公開時も楽しく鑑賞したことを覚えているが、随分と久しぶりに観直してみても、色褪せず“楽しい”と思えることが、この映画が本当に優れた「喜劇」だからだろう。 この映画は、ものづくりの現場に総じて共通するであろうジレンマと愚かさ、そして何にも代え難い素晴らしさを可笑しみの中で表現しきった傑作だ。 “喜劇作家”である三谷幸喜が、迷走を続けて久しい。 その理由は明らかで、世間的な成功に伴って与えられた潤沢な資金と多大な重圧によって、この気の弱い脚本家は、無闇矢鱈にオールスターキャストを揃え、大風呂敷を広げれば広げていく程に、明確な「失敗」を続けている。 “オールスターキャスト”という言葉は、そのキャストのそれぞれがベストパフォーマンスを見せて初めて価値があるものだと思う。 そういう意味で、この映画は本当の意味で“オールスターキャスト”だと言える。 唐沢寿明、鈴木京香、西村雅彦らメインキャストは勿論良いが、この映画の場合それよりも脇役のハマりぶりが最高だ。 今回特に印象に残ったのは、井上順と布施明。それぞれいかにも業界人らしい憎らしいほどに飄々として軽薄なキャラクターを演じているのだが、両者とも一寸垣間見せる“暗さ”が実にリアルだった。(布施明によるあのエンディング曲は反則だ) この映画や、「12人の優しい日本人」で顕著なように、この作家の真骨頂は舞台の領域が狭ければ狭いほど発揮される。今一度、原点に立ち返ってくれないかと切に願う [映画館(邦画)] 9点(2003-10-28 11:09:20) |
2363. スーパーの女
今や日本に何千件とあるスーパーの日常に目をつけ、それを1本の映画に仕上げてしまう伊丹監督の力量は流石である。「マルサの女」や「ミンボーの女」などと比べると、舞台が舞台だけに目に見えるほどの毒々しさはないが、身近なものだからこそ迫るブラックユーモアは秀逸だった。ラストには爽快感もあり、面白い映画に仕上がっている。 [地上波(邦画)] 6点(2003-10-28 10:45:40) |
2364. ブローン・アウェイ/復讐の序曲
主演俳優や題材からはもっと膨らみがある映画に仕上がってもよさそうなものだけど、実際は面白みの無い陳腐な映画に終始してしまっている。「復習の序曲」って邦題もとても安っぽく見えてくる。 [ビデオ(字幕)] 2点(2003-10-28 10:40:27) |
2365. ザ・フライ2/二世誕生
蝿男。これほど、科学への危惧を表す上でインパクトのあるキャラクターと題材はない。悲し過ぎる。むごすぎる。 5点(2003-10-28 10:36:32) |
2366. おもひでぽろぽろ
晩夏の深夜。ふいに観たくなった“ジブリ作品”の中でもマイナーの筆頭とも言えるこの映画を、DVDで観る。 観る季節としては、とてもいいタイミングだと思う。 “マイナー”と言っても、この作品でさえ鑑賞回数の延べ数は2、3回では留まらないだろう。 だが、「良い映画」というものは、観るほどに深みが増すものだ。 そして、この作品の場合、歳を重ねたり、環境が変わるほどにその風合は大きく変わってくると思う。 詰まるところ、これまでの印象以上に素晴らしく良い映画だと思った。 27歳を迎える都会育ちのOLの心象を、小学5年生時の自分の「思い出」と共に描き出す。 時間の壁を懐古感と情感たっぷりに行き来するその描き方が、非常に巧みだ。 昔の自分を顧みるだけでなく、その心情を軸として現在と自分自身と向き合っていく様が、この映画をただの「昔懐かし映画」に留まらせていない。 小学5年生の自分、東京でOL暮らしをする自分、田舎生活を満喫する自分、様々な「自分」を見つめながら、新たな「自分」を見出していく。 この映画を初めて観たのは小学生の頃だが、その時はこの映画の持つテーマの意味合いなんて分かるはずもなかった。結果、“なんだか地味なアニメ映画”という印象が根強く残る。 でも、まあそれは仕方がない。 ある程度、観る者自身が歳を重ねないと、この映画が“物語るもの”に感情は反応しないだろう。 と、いうことを25歳になる年の夏に気づいた。 歳を重ね、思い出はあるときぽろぽろと降り落ち、自らの足元に積もっていく。 そういうものなのだと思う。 [DVD(字幕)] 10点(2003-10-28 10:32:41)(良:1票) |
2367. トイ・ストーリー
今や当たり前のように作られているフルCGのアニメーションは、クオリティも高く革新的であった。しかし、個人的にはやはりディズニー映画といえば古典的なアニメーションに愛着があるので、作品に深みは感じなかった。技術の高さは嫌というほど分かるが、内容は子供向けという域を出ていないと思う。 6点(2003-10-28 10:26:40) |
2368. ボルケーノ
パニック災害映画の王道という展開で、ストーリー的にはありがちと言えるものだが、最低限楽しめるだけのクオリティは保っている。溶岩のCGは非常に熱そうで良いできだったと思う。 6点(2003-10-28 10:20:27) |
2369. 陰謀のセオリー
複雑にしようとしているのは分かるけど、そこがぎゃくにあざとさになっているようにも思う。メル・ギブソンとジュリア・ロバーツの演技は可も無く不可も無くという感じであるが、全体の雰囲気はサスペンスフルで良かった。サスペンス映画として高い評価に値はしないが、1回観る限りでは楽しめる作品に仕上がっている。 [映画館(字幕)] 5点(2003-10-28 10:15:41) |
2370. ファイナル・プロジェクト
相変わらずの盛りだくさんのアクションは見応えはあるが、全体的にまとまりが悪かった。いまいちジャッキーが乗り切れてないというか、動きにキレがなかった感じがした。いつものことだけど、ラストのあっけなさもマイナス点。 [ビデオ(字幕)] 4点(2003-10-28 10:10:12) |
2371. コン・エアー
何度観てもこの“馬鹿アクション映画”は面白い。 もう流石に見飽きたかと思い、一番好きなラストカットだけ観ようと動画配信サービスにて再生を始めたが、結局最初から最後まで観てしまった。 この手の大味さこそが売りの愛すべき娯楽映画のことを“馬鹿アクション映画”と勝手に呼ばせてもらっているわけだが、この映画こそが、その頂点に君臨する作品と言って過言ではない。 個人的には、中学生時分に一人で映画館に通い始めた頃に観た作品でもあり、自分の映画鑑賞人生においても印象が強い作品の一つと言える。 思い返してみれば、ジョン・マルコヴィッチもジョン・キューザックもスティーヴ・ブシェミも、出演映画として初めて観たのはこの映画だったような気がする。 故に、勿論その後彼らの他の映画も沢山観ているけれど、この映画のキャラクターの印象度が極めて高い。 何と言っても豪華に取り揃えた“凶悪犯軍団”が、馬鹿馬鹿しいほどに魅力的な要素で、彼らの存在感がこの映画の“馬鹿”面白さを助長している。 ボス役の名優・ジョン・マルコヴィッチを頂点にし、ヴィング・レイムス、ダニー・トレホとアクの強い脇役を取り揃え、伝説の連続殺人鬼役にはスティーヴ・ブシェミが不気味な存在感をこれでもかと見せつける。 わらわらと群がるように襲いかかる悪党たち、それに無精髭と長髪を振り乱して奮闘するニコラス・ケイジ、爆発につぐ爆発……、暑苦しくて、工夫の無い娯楽映画に見えがちだが、随所に散りばめられたエスプリが小気味良く効いている。 今後も、観る気がなくとも目の前に映し出されてしまえば、きっと最後まで観てしまうのだろう。 前述の通り、大好きなラストカットを見届けて、そうつくづく思う。 [映画館(字幕)] 9点(2003-10-28 10:06:13)(良:1票) |
2372. マーヴェリック
珍しくコメディ映画に出演しているジョディ・フォスターが可愛らしく魅力的だった。3人の登場人物による騙し合いが最後の最後まで痛快だった。「娯楽映画」という言葉がぴったりな映画だった。 [地上波(吹替)] 6点(2003-10-28 09:58:29) |
2373. ザ・ターゲット(1996)
当然ながら期待すべきほどの映画ではないが、「陰謀系サスペンス」が無類に好きな人なら最低限の緊張感は楽しめる。もはやB級映画俳優になってしまったチャーリー・シーンの演技も独特の味わいはある。相変わらず「絶対何か企んでる!」というキャラクターを演じるドナルド・サザーランドの貫禄も魅力。 [映画館(字幕)] 4点(2003-10-28 01:25:07) |
2374. 素晴らしき日
この手のラブコメとしてはよくあるストーリーではあるけど、この映画には良質な雰囲気の良さがあった。主人公や子供たちの細かな仕草がとてもあたたかい空気感をかもし出している。映画には出始めのジョージ・クルーニーは今と比べると洗練されていないが、その相手のミシェル・ファイファーは子持ちのキャリアウーマンを愛すべきキャラクターで好演している。 7点(2003-10-28 01:17:01) |
2375. アライバル-侵略者-
ビデオ映画並のB級っぽさはあるが、映画全体の出来は悪くなかった。むしろある種のチープさがストーリーに合っていたように思う。あまり大作には出演できないチャーリー・シーンであるが、こういった雰囲気の作風にマッチするキャラクターも俳優として重要なものだと思う。 6点(2003-10-28 01:10:39) |
2376. マルタイの女
他の作品と比べると、何か派手さを意識して「~の女」シリーズ特有の社会の裏を描いた良い意味での地味さがなかったようには思う。しかし、伊丹作品独特の台詞回しや、曲のあるキャラクターは健在で充分楽しめる。この映画を最後に監督は自殺してしまったわけであるが、飄々と社会の本質を描いてきた伊丹監督の持つ心の闇とは一体何だったのだろう。 6点(2003-10-28 01:06:10) |
2377. プロゴルファー織部金次郎3 飛べバーディー
武田鉄矢演じる織金のキャラクターは、面白みがあり、それにスポ根的要素がバランスよく噛み合っていたのがパート1の痛快さであった。シリーズ3作目となる今作もそういった痛快さがないわけではないが、もはや二番煎じ、三番煎じもいいとこで、同じことの繰り返しという印象しかもてない。 [地上波(邦画)] 3点(2003-10-28 00:59:35) |
2378. ケーブル・ガイ
ケーブルテレビ屋的ストーカーを強烈なキャラクターで演じたジム・キャリーは見事なインパクトを見せたと思う。しかし、ストーリー的には盛り上がりがなく、意外に淡々と終わってしまった印象がある。 [ビデオ(字幕)] 4点(2003-10-26 14:41:47) |
2379. 炎の大捜査線
ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、レオン・カーフェイ、アンディ・ラウ、と香港の豪華キャストを揃え、そのほとんどを殺してしまうという破天荒なバイオレンス(?)には、唖然とするしかなかった。どこまで本気で作っているのか、その真意は分からないけど、今思えば、愛すべき駄作と言うにふさわしい映画だったのかもしれない。 1点(2003-10-26 14:37:40) |
2380. 花嫁はエイリアン
やはり、本質的によく出来た映画というものは、有名でなくても、ヒット作でなくても、観た人の心に強く残るものだということを実感させる映画だったと思う。キャスティング的にはスターが顔を揃えているが、ほとんど名の知られていないこの作品は、小気味いいキャラクターとストーリー展開で、不思議なインパクトを残すB級映画の秀作である。 [地上波(吹替)] 6点(2003-10-26 14:33:13) |