221. アバウト・シュミット
この物語の主人公は米国では一般的なサラリーマン像なのかわかりませんが、彼の境遇を日本に当てはめると非常にしっくりきます。 ひとつの会社に定年まで勤め上げ、その間にささやかな家庭を築き、会社員生活最後の日を静かに終える。 送別会では後任の若手に持ち上げられて「退職後もいつでもおいでください」と言われ、真に受けて訪ねてみれば「何の御用ですか?」と言われてしまう。ゴミ捨て場には彼の書類がうち捨てられ、もはや会社には彼が存在していたことさえ忘れ去られたよう。 家に帰れば所在なく、年老いた妻にも長年積もり積もった小さな不満が一杯、結婚を控えた娘のフィアンセは標準以下の男で気にくわないが、彼の意見など娘は気にとめるでもない。 孤独な男、ウォーレン。自分の人生は何だったのだろう・・・。 この状況、日本のサラリーマンでも共感する人が多いのではないでしょうか。 米国の映画でこんな描写が描かれているというのは新鮮でした。 そんなことで、この映画は劇場では見逃したものの何度もDVDで観ているのですが、今回BSハイビジョンで放送されたので改めて観てみると、ニコルソンの徹底した役作り、歩き方、しゃべり方、仕草、ちょっとした表情まで、非常に計算され尽くされ、表現されていることにあらためて気付きました。 一番の発見は、妻を亡くし、彼女の浮気の手紙を発見して自暴自棄になるウォーレンが生前の妻の言いつけを初めて破ってトイレで小水をまき散らすシーン。当初は単なる復讐心からの行動だと思っていたのですが、ハイビジョンで観ると、彼の目に涙が光っているのがはっきり見えました。唸りました。そしてウォーレンの心情を察して切なくなりました。 今はこうやって分析的に観ていますが、最初はもうニコルソンが真面目な老紳士ウォーレンにしか見えませんでした。あれだけ毒のある役所が多い俳優なのに、それを一切消し去って役になりきっている。 アレキサンダー・ペインがニコルソンを主役に抜擢したのは、やはり彼の俳優としての素質を知っていたからなのでしょう。勿論向こうではニコルソンの実力は周知のことなのでしょうが。。。 今までジャック・ニコルソンという俳優は余り好きではありませんでしたが、本作を見て彼の俳優としての実力の高さを思い知らされました。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2004-07-23 07:39:17) |
222. オールウェイズ
最後は不覚にもうるっと来てしまったが、スピルバーグ演出はストレートすぎて見ていておしりがむずむずしてくるような気恥かしさがあった。 6点(2004-07-13 14:42:50) |
223. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 ショーン・ペンにどうも感情移入できなかった。娘が行方不明になり、遺体が発見され、兄弟を使って犯人探しをする過程で(娘が殺されて混乱しているとしても)どうも感情表現がちぐはぐで一貫性が無いように見える。デイブを誤って殺してしまったことがわかっても、余り彼は動揺しないというのも腑に落ちない。一体どういう人間として描きたかったのか。 5点(2004-07-12 22:19:54) |
224. Shall we ダンス?(1995)
人生ってちょっとしたきっかけと勇気さえあれば変える事ができるのかもしれないって思わせてくれる映画。 9点(2004-07-09 20:57:41) |
225. ロスト・イン・ラ・マンチャ
時折挿入されるラッシュフィルムを観る度幻の「ドン・キホーテ」を観ることが出来ないのがつくづく残念だ。監督の頭の中では既に完成されているそうだが・・・。規模は全然違うが本作の第一助監督に似た立場にいたことがあるので、彼の苦労は身につまされることばかりだ。観ていて胃が痛くなった。 8点(2004-07-09 11:26:06) |
226. あの頃ペニー・レインと
特に目新しい所はないんだけど、製作者のこの映画に対する愛情が詰まっている感じがして観ていて気持ちよかった。ケイト・ハドソンはゴールディ・ホーンの娘だと知ってびっくり。このあいだ「続・激突カージャック」を観たばかりだったので。 8点(2004-07-09 11:20:56) |
227. ベティ・サイズモア
ストーリーの展開に無理がありすぎるのだが、全編通してテンポ良く、肩こらずにみれた。主人公が魅力的であることが大きな救いになったと思う。 6点(2004-07-07 21:19:48) |
228. 裸足の1500マイル
アボリジニの歴史については殆ど知らなかったので新鮮だった。ニールはこの映画では悪役だが、当時の白人としてはごく一般的な考えの持ち主だったのではないかと思う。現在の価値観で当時を裁いてみるのではなく、事実として記憶することが大切なのだと思う。今から半世紀も経てば、我々が当たり前に思っていることは酷く非文明的で野蛮なものであったと言われるかもしれない。 7点(2004-07-07 21:15:47) |
229. イン・アメリカ 三つの小さな願いごと
家族を持っている人にはたまらない映画かもしれない。自分は独り者なので自らの人生に重ね合わせることが出来ないのが残念だ。巨大なNYの片隅で家族が運命に翻弄されながらも強く生きていく。これぞ人生。きっとこういうドラマは大都会のあちこちで繰りひげられているんだろうなと思う。しかしマテオの役回りがちょっと都合よすぎるようで気になった。最初は荒くれ者で、一筋縄では行かない男だと思っていたのに、子供達に随分簡単に心を許してしまうところに違和感が残った。 7点(2004-07-06 12:28:18) |
230. クラッシュ(2003)
どんな名作映画のきめ台詞よりも本物の人生を生きるひとのなんてことの無い言葉が心を打つ事がある。このドキュメンタリーの価値は太田哲也をはじめ夫人や息子、レーサー達の淡々とした言葉にあると思う。しかし純粋にドキュメンタリー作品としての完成度で点数をつけると、良い点はつけられない。ナレーションも後半になると尻切れトンボになってしまい、構成が段々ととっ散らかって、まとめるにまとまらなくて終わってしまったように思う。 5点(2004-07-02 20:54:38) |
231. レザボア・ドッグス
悪党どもをクールに描くことにかけては天下一品のタランティーノ。デビュー作で低予算だが斬新なプロットとここ一発の冴えたアクション演出で非凡な作品に仕上げた。やはりただ者ではない。カイテル始めキャストの人選もひたすらかっこいい。 7点(2004-06-26 20:22:00) |
232. ゼイリブ
ハヤカワ文庫のSF短編集を読んでるような映画。「もし~だったら」、というようなアイデア一発で映画をつくってしまったような。カーペンターらしいといえばそうなのだ。 6点(2004-06-24 23:53:12) |
233. ドッペルゲンガー
この映画を観る前に、TVで黒澤監督のロングインタビューをみました。その監督の人柄がそのまま出たような、知的でクールな世界観が個性的で印象深かった。だが、各キャラクターの人物描写があっさりしすぎていて、永作がいっしょに働きたいという動機や、ユースケの企みなど、なぜそのような行動に至ったかというところが省略されてしまって、観ている方が置いてきぼりを食ってしまったような気がします。 6点(2004-06-24 23:46:46) |
234. 刑務所の中
最後まで一気に観てしまったが、これ、オチといえるオチがないんですね。うーん原作があるのでそうなったのだと思いますが、映画としてはどうなんだろう。かなり挑戦的なまとめ方だと思いました。しかしそれでも観れたのは山崎勉をはじめとする個性あるキャストの素晴らしさと、出すぎず、つぼを押さえた演出、しっかりした撮影、照明、編集の技術があったからだと思います。 7点(2004-06-24 23:37:08)(良:1票) |
235. アンダーワールド(2003)
どんなに見せる技術がしっかりしたかっこいいアクションも必然性が無ければドキドキもしないし手に汗握ったりもしないということが良くわかる見本のような映画です。監督は自分が見てきたかっこいいアクションシーンを真似してみたかっただけなのでしょう。 3点(2004-06-18 21:25:24) |
236. 打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993)<TVM>
初めて岩井作品を見ました。男の子達の生態はものすごくリアルで生き生きとしていたけど、なずなは僕にはどうも男性のつくったファンタジーのようにしか見えなかった。女性から見てどうなんだろう。 6点(2004-06-18 17:48:27) |
237. Dolls ドールズ(2002)
点数をつけるのが難しい・・・1点でもあるし10点でもある 5点(2004-06-17 21:44:33) |
238. 地雷を踏んだらサヨウナラ
邦画でよく感じることなのだが、一つ一つのカットはそれ単体で見るとそれなりなのに、全体の流れで見るとどうにもつながりが悪かったり、空気が分断されているように思えることが多い。この映画もそういうたどたどしさが気になってしまった。爆撃シーンや戦闘シーンもどこか遠慮がちで臨場感に欠けた。題材もいいのにもったいない。浅野忠信は飄々としていて、健闘したと思うが、プロカメラマンの身のこなしが出来ていたかというと、ちょっと疑問だ。映画で一番大事なのは脚本だと思うが、本がよければ他はなあなあでいいということはなく、細かいディティールの丹念な積み重ねが物語に真実味や臨場感を生むのだと思う。 5点(2004-06-17 16:03:05) |
239. WINDS OF GOD/ウインズ・オブ・ゴッド(1995)
舞台劇のままでよかったのではないか。何のために映像化したのか全く不明。舞台から開放されることでリアリティを追求したかったのだとしたら完全な失敗だろう。予算も技術も演出もあまりにも煮詰めが足りないし準備不足。だからゼロ戦の飛行シーンだけ機体色が違うなんて学生映画みたいな事が起きる。そんなこと瑣末なことだというレベルを超えている。たとえば、時代考証がおかしいとか、そういうことなら詳しい人にしかわからないから、まだ仕方ない部分もある。でも飛んでいる飛行機が灰色で、次のカットで緑色のゼロ戦から降りてきたら誰だっておかしいと思う。人からお金取る映画でこれをやったら作り手として完全な敗北ですよ。他にもあげれば切りがないが・・・。チープな音楽にもイライラさせられた。百歩譲ってそういうところに目をつぶったとしても、今井が青臭い「平和平和」をその時代に生きる特攻兵にぶつけるのにも共感できなかった。おちゃらけてたと思ったら急にかっこいいセリフいってみたり・・・。なんか安っぽいですよ。今井雅之の情熱と大げさな舞台調の演技が空回りしていて痛々しい。 1点(2004-06-16 21:58:59) |
240. リング(1998)
実はリメイク版「リング」を先に観ました。はっきりいってあらゆる点でレベルが低い・・・元祖なのに・・・テンポも悪いし画面がチープ。何よりも松嶋菜々子が大根すぎ!学芸会じゃないんだから。真田広之もなんか覇気がなかった。怖がってるところもどっかで「素」なんだよなあ。目が怖がってない。 3点(2004-06-15 18:13:05) |