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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3957
性別 男性
年齢 53歳

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2561.  100万ドルの血斗
ちゃんとしたレビューを読みたい方は↓下の皆さんのレビューを、どうぞ。確かに、ジョン・ウェインなら何でもありかよ、みたいな内容の映画です、ハイ。まあ、これは要するに、ジョン・ウェインという西部劇の神サマのための、一種の神話なわけです。だからデタラメでもよい。んだろうかねえ。悪党団の襲撃からいきなり映画は始まり、問答無用の大虐殺と少年の誘拐。身代金の要求額は100万ドル。救助隊が赴くも、逆襲を受け、惨憺たる結果。まさにお約束ですね。そこで活躍するのが、少年の祖父であるジョン・ウェイン。ああ、お約束。ははは、これだけ聞いてもかなりショーモナイ感じがしますよねえ。かなりのご老体なのに、ムヤミに腕っ節が強い。妙に決断力があり、迷うことなくバシバシと的確やらなんやらよくわからない指示を出しまくる。あちこちで「あなたでしたか、失礼しました!」と、黄門様みたいに敬意を払われる。うん、やっぱり、神サマでなければ、こんな映画作れませんよねえ。ジョン・ウェイン、だから、スター。ジャイアント馬場、だから、馬場チョップや十六文キックが効く。理解できなくとも理解する努力を惜しむべからず。一線を越えさえすれば、あなたを快感が待ち受けていることをお約束します。でまあ、途中、100万ドルを横から強奪しようとするチンピラとも戦いつつ(まさに波乱万丈!)、ついに悪党団との対決! ここで、ジョン・ウェインが敵を干し草用のフォークとおぼしき凶器で倒すシーンがあるのだけど、カメラから見て敵役の陰になってしまっており、何を手に戦っているのやらワカリマセン。西部劇の神サマともあろう者、たいがいこの業界長いんだから、せめてカメラの死角には入らないという初歩的なことくらい、気をつけて欲しかったなあ。と言う訳で、欠点はあれど、全体的になかなか面白かったので、7点です。ダメですか?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-14 16:12:15)
2562.  三悪人 《ネタバレ》 
ゴールドラッシュに沸く西部の町カスター。まずは、この町に殺到する人々、無数の幌馬車行列のスケール感に圧倒されます。カスターの町は、悪徳保安官ハンターによって牛耳られているのですが、そこにフラリと現れたるは、3人のお尋ね者。これがモンダイの「三悪人」な訳ですが、そのポンコツオヤジぶりが、何とも憎めません。三悪人、今日も今日とて、荒野を行く馬の列を発見。馬泥棒に及ぼうとするものの、他の馬泥棒に先を越されたもんだから、逆にこれを撃退した挙句、襲われていた娘さんを救出しちゃったりなんかして。と言う訳で、娘さんと、彼女をサポートする三ポンコツ親父、との珍道中。「3人(のポンコツ)が守る」ってのがミソで、その後の映画でもお馴染みのテーマであります、ってな感じのことをDVDの解説の淀長さんが言ってましたが、私はとりあえずディズニーの『眠りの森の美女』を真っ先に思い出してしまいました、こちらは魔法使いには似ても似つかないキタナイ親父3人組ですけれども。さて、3人は、娘さんの婿を探そうなんぞと要らぬお節介を焼いたりするのですが、コワモテ親父が因縁をつけるかのように婿探しをするもんだから、うまくいく訳もなく、この辺りが実にユーモラス。チャップリンをそのまま超美男子にしたような優男とのやりとりが笑えます。そうこうしているうちに、娘さんは、道中ですでに知り合っていたカレシと再会、ごっつええ感じのまま、いよいよ、土地争奪大レースの日を迎えます。この大競争シーンこそが、本作の白眉とも言うべき、圧巻のシーン。物量を駆使したスケール感と、迫力あふれるカメラは、見ごたえアリマクリです。という派手なシーンのあとで、ついに迎えるハンター一味との対決。ひっそりと誰にも知られることなく、名もなき3悪党が、命を投げうって娘さんを守る姿にはもう、シビレまくりです。ああ、これぞ西部劇だよなあ、としみじみ。一方、競争に出遅れ金を手にできなかった名もなき庶民が、「でも農地を手に入れることができた」というあたりにも、この映画の優しい視線が感じられます。でもでもやっぱり。この“早い者勝ち”という文化、どこが公平なのか、理解に苦しむよなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2009-08-12 18:04:50)
2563.  デス・プルーフ in グラインドハウス
いままで以上に「単なる思い付き」っぽい映画ではあり、「勢いとノリで作っちゃいました」という弱点はあるのだけど、その勢いとノリが半端じゃ無いもんだから、やっぱり惚れ惚れしてしまいます。映画のかなりを占めるオネーチャン達のクダラナイ会話、ここではもちろん、中身よりも、そのヒップホップ的な音感と、まるでカメラ同士が会話するかのようなショットの生み出す、リズムにこそ意義が(中には、こういう会話の中身自体が好きな人もいるだろうけど)。狭い車中での会話を、このリズムが支えております。さらにはクライマックスのカーアクション&超絶スタントから、ラストの“オチ”にいたるまで、リズムがいいですね。ただし、“リズム過剰・中身なし”という点では、いささかミニマル・ミュージックに近い感覚があり、物足りなさがあるのも事実。「単なる思い付き」と言わせないような、一本筋の通った作品でもって、この勢いとノリが表現できれば、なあ。 ※私がDVDを観ているとカーチェイスの部分で子供がやってきて「コワいから止めよう」と言ってたのですが、ラストは2人で大喜びしました。大人から子供まで楽しめる作品です。ウソ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-08-11 15:38:00)
2564.  マトリックス レボリューションズ
シリーズが進行するよりも賞味期限の方が進みが早い、この『マトリックス』シリーズ。1、2作はある種そのバカバカしさを楽しませてもらった面があるのだけど、この3作目に至っては、もうアキマヘン。大体このシリーズ、割と陳腐なSF設定を、少しだけ難しそうに描いて見せ、「一応ボクチャンにも理解できちゃった」みたいな虚栄心を抱かせることで我々におもねっている面がありますよね。そうなるとこちらとしては極力ストーリーとか設定とかは無視して映像を楽しもう、ということになるのだけど。で、そうなると、1作目からすでに変な映画であって、「こりゃ映画じゃなくてコンピュータゲームの映像だよなあ」ということになっちゃうのだけど。でもこれが。「格闘ゲームのギクシャクした動きを、生身の人間が演じる」というおバカぶりが、1作目あたりの、何とも知れぬオモシロさだったわけです(「カンフーがへたくそ」という批判が多いのは、確かによくわかるけど、でも、ギクシャクやってるのは明らかに故意であって、私がオモロイと思ったのもその点、なんですけどね)。2作目のカーチェイスもそう。スローモーションの多用で、スピード感が損なわれる、という問題はあるものの、「ゲーム映像を人間がわざわざ演じてみせる」という点を、楽しんだものです。でもこの3作目は、もう、楽しくない。小賢しい物語、設定を無視して観ててはもう成り立たない。と言って、無視しなければ、もっと楽しくない。映像ももはや目新しいものは無く(勿論、ミフネとかいうオヤジの暑苦しい顔のアップを観たい訳もなく)、もはや「ただのゲーム」以上の何物でもない(、他人がやってるコンピュータゲームを横で見させられている感じ。もつべき感想は「早く終わらないかな」。と言って、この終わり方で納得いくわけもなし。まさに、我々が納得しようがしまいが、(竹本健治が「ウロボロスの偽書」で書いたように)作者が終わりと言えばそれが終わり、なんだよなあ。
[DVD(字幕)] 4点(2009-08-09 16:47:41)
2565.  ヴェニスの商人
絢爛豪華と呼ぶに相応しい映像美。と言いたいところだけど、この映像の美しさに対し、出演者の面々、どーして揃いも揃ってバッチい感じ人たちばかりなんだろうか。キャスティングの段階で悪意を感じてしまいます。そして、このボソボソとした雰囲気、どうしてこうも暗いのか。まあ、シェイクスピアの原作戯曲からしてそんなに楽しい内容でも無い気がするけど(今まで読んだ喜劇の中で、楽しく読めたのは『お気に召すまま』くらいだなあ)、それにしたって、この映画、暗いよなあ。暗過ぎる。そして例によって、アル・パチーノはどんな役であろうと、映画に出れば熱く語りまくる。はいはい、わかりました、もういいからさあ。それにしても、ユダヤ人への差別を払拭しようと気を使った揚句、“要するにみんなヤなヤツ”という内容になってしまった、この『ヴェニスの商人』。次はぜひ、江戸川乱歩の通俗長編小説についても同じスタンスで映画化してもらいたい(かなり珍奇な作品になるでしょうなあ)。
[DVD(字幕)] 7点(2009-08-09 16:25:56)
2566.  萌の朱雀
西吉野村。現在では五條市に編入されました。梅で有名な賀名生地区、一度は観梅に行きたいと思いつつも遠いのでまだ行けてません(ついに春が来たとばかり、毎年梅ばかり熱心に観に行ってたりする)。五新鉄道。五條と新宮を結ぼうという、トンデモない鉄道計画、こんなの出来てたら、世界遺産に認定されたかどうか? 工事跡が映画の中で印象的に登場。映画では鉄道の代わりに国鉄バスが走ってますが、今では我らが奈良交通がバスを走らせているらしい。なお、この路線の傍には、日本最長路線である「八木駅~新宮駅」路線が走っており、ウチの親が最近、コレで本宮まで行ったけど、意外に快適だったとか(私は本宮~新宮間しか乗ったことありませんが)。映画に出てくる光景の中では、洞川温泉が懐かしい。二度行ったことがあるけど、うち一度は新婚旅行。海外か国内かなんて聞かないでよ、県内旅行なんだから(笑)。・・・・なーんてことはすべて、この映画には実はあんまり関係なかったりするのです。もっと普遍的な、何か。いや確かに明らかにこれらの実在の場所や史実と重なる部分はあるのですが(しかも奈良県が一生懸命「奈良の映画」として持ち上げてたりするのですが)、もっと、どことも知れぬ舞台、いつとも知れぬ舞台の映画、ですね。登場する素人の出演者がこの上もなくイイ味出してて、まるで関西電気保安協会のCMみたい(みたことない人はHPで確認してください)。で、豊かな自然と、その自然の一部であるようなイイ味の地元民の皆さんの中で、プロの役者たちが、明らかに作り物である“演技”を繰り広げる。その間の溝は決して埋まることがありません。映画のストーリーとしてのドラマの外側に、「映画を作る」というドラマが、はっきり描かれる訳ではないけどはっきり感じ取ることができる、そこから生まれる不思議な感慨。ああ、そういう手があったのか、そこからこんな不思議な感覚が生まれるのか。物語が終わり、映画の製作が終わっても、この自然と、この人々の生活は、存在し続ける。しかも実は意外に近くにあるんだ、同じ県内なんだから。やっぱり、いつか、行ってみよう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-08-07 01:10:05)(良:1票)
2567.  七人の侍
高校の頃、教師へのアンケートをとったりなんかすると、「好きな映画」の欄にやたらこの作品の名前が挙がってて、「ああ、ウチの高校、年寄りの先生ばかりだから、こういう古い映画しかきっと知らないんだろう」くらいにしか思ってなかったのですが。大学入ってから実際にこの映画を観て、アイタタタ、“本当にオモシロい”からこそ、この映画を教師達があげていたんだな、と気づいたのでした(しかし年寄りばかりだったのは事実)。アクションの凄さ、キャラの魅力、心地良いヒューマニズム。究極の娯楽作と呼べる一本だと思います。これだけの長尺なのに、長さを感じさせず、しかしやっぱりこの長さならではの満足感がしっかりと味わえます。もっとも、ストーリー的には、昔話の「桃太郎」とあまり変わらない気もしますが(笑)。しかしこの映画が無ければ、アノ映画もコノ映画も存在しなかったのではないか、と思うとやっぱり凄い(『荒野の七人』はともかく、『プライベート・ライアン』も本作との関係が本当に深いと思う。最近観た際には、ジョン・ウェインの『アラモ』すらも思い出してしまった。これは実際に関係あるのかどうか知らんけどね、えへへ)。つまり、映画の原点は、桃太郎だったのですな。それはともかく、本作、七人の誰が好きか、というので話が盛り上がったりもするのですが、今の私からすれば、加東大介が一番、サラリーマンらしくて好きです、ハイ。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2009-08-07 00:16:40)
2568.  ランド・オブ・ザ・デッド
で、「ドーン~」に続いてまたゾンビです。父ちゃん、またこんなの観てます。いや、こちらの話。この映画。だいぶ殺伐としてます。いやゾンビ映画なんだから映画の中が殺伐とするのはモットモなのだけど、映画の外の、滲みだしちゃいけない領域にまでそれが滲み出していて。ロメロのゾンビ映画における寓意性。「ナイト・オブ~」ではまだ視点が日常にあり、戦争という暴力が渦巻く現代社会の中に属した平和な日常、という欺瞞を裏返して見せたような作品だったと思うのですが。この作品ではとうとう、映画の視点が現在の国際関係にまで踏み込んできたようで、ここではまるで、人間=先進国、ゾンビ=新興国。ゾンビが意志を持ち、互いにコミュニケーションをとり、道具を使う、ということだけがそれを示しているのではなく、ついにここでは「ゾンビ頑張れ!もう少しで防御線と突破できるぞ!人間なんかやっつけちゃえ」みたいな感じすら起こさせる、この作品の色合いが、それを示しているとともに、作品の存在そのものを殺伐としたものにしている点でもあります。とうとう、ここまで来てしまったか、と。勿論、グロテスクさを売りにするホラーとしてのファンタジー性は、作品を十分楽しめるものにしており、一方では独特の哀感というものもよく感じられたのですが(比べる意味もないだろうけど、一応、『ドーン~』より面白いと思った、というのが私の感想)、しかし、大いに限界を感じさせる作品でもあります。もう次はないんじゃないか(あるかもしれないけどやめた方がいいんじゃないか)。しかし、その限界というものをここで観ることができたのも、まあ、良かったかな、という気も。ま、気にせず、まだまだ作ってくださいな。 あのモハヤお馴染みとなった、“ゾンビ役のヒトが嫌そうな顔で屍肉をむさぼる表情”、大好きです。
[DVD(字幕)] 9点(2009-08-06 23:55:58)
2569.  ドーン・オブ・ザ・デッド
「何借りてきたの?」「えと、あの、ゾンビものを」「えっゾンビ。まだ卒業してなかったの?」とカミさんの非難を浴びてしまう。そりゃまあ、カミさんの前でロメロの『ゾンビ』を熱く絶賛したことはあるけれど、別にゾンビものに入れ込んでいる訳ではなく、何だか、入学もしていないのに卒業を迫られているような。「この7月、BS11さんが雷蔵の若親分シリーズを全作放送するねんで」「えっ雷蔵。まだ卒業してなかったの?」「・・・で、あの、8月はガメラを」「・・・」。肩身が狭い。それはともかく、ロメロの『ゾンビ』のリメイク作、という本作ですが。元映画における象徴性みたいなものが本作では希薄なのをもって、「『ゾンビ』を全く理解しとらん!表面的過ぎる!」と怒ってしまっては身もフタもなくて、こりゃ確信犯な訳でして。むしろ、元映画の表面、あくまで表面をなぞりつつ、中身はなるべく新鮮なものに置き換えていこうという、その意欲がスゴイ。これはこれで印象的なシーンが多く、なかなかの面白さ。ただ、いささか性急過ぎてその個々の印象を十分深めるところまで至らず、結果的には「何だか、とりあえず、盛りだくさんではあったぞ」というのが、一番強い印象。そもそも、『ゾンビ』における「人間そっくりだけど人間じゃないから楽しんで殺してよい」というアナーキーさから来る後ろめたさ、これを本作では、屋上からの射撃シーンにおいて、主人公に非難させてしまった、この点だけとっても、やっぱり『ゾンビ』って二度と生まれない傑作なんだろうなあ、このリメイク作じゃあ、とても太刀打ちできんよなあ、という感想を持っちゃう。・・・ところで映画の良し悪しには関係ないけど、早朝に起きだしてこの映画を観てて、妊婦が云々という展開に、少々ヤな気分になる。何しろ、カミさんも臨月で、先ほど、夜中に、「陣痛が来たかも」と騒いでたところだったのだから。って、そんな状況で、本作なんぞを観てる自分の方が明らかに悪いんだけどね。で、朝が来てカミさんは産院へ。昼には無事、息子が誕生したのでした。はっはっは。名前は、雷蔵にしようかな(ウソです)。ではまた、今から産院に面会に行ってきます、ハイ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-08-02 15:16:10)(良:1票)
2570.  それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ
こういう作品であまりケタケタ喜んで褒めちぎるのは、製作側の思うツボのようなもんで、「あーどうせボクのような単細胞人間をターゲットにしてるんだろー」と思っちゃうんだけど。そうなんだけど、でも、とりあえず大抵は一通り観れば納得するウチの子が、珍しく観終わった直後に「もういっかい見たい」と言ってたくらいだから、ウン、この際、褒めておこうかと。まあ、とりあえずストレートに説教臭いオハナシなんですけれども、何しろ、クライマックスがですねえ。あ、言うのやめとこ。とにかく、そこまでやるか、と。しかも、ここでバックに流れるのは、男性合唱による荘重この上無いアンパンマンマーチ! この男性合唱が想起させるは、ブラームスの『アルト・ラプソディ』か、ショスタコーヴィチの『バビ・ヤール』か、はたまた中島みゆきの『世情』か。映画で言えば、『テンタクルズ』の巨大ダコとシャチの死闘、ですかね。でまあ、そのシブシブにシブい男性合唱に対して、画面は“アンパンマン”ですから。これはもう、まさに、甘いだけのアンパンじゃないんだぜ。というわけで。
[DVD(邦画)] 8点(2009-07-28 22:57:19)
2571.  出口のない海
回想が回想につながる階層構造、というと大げさかもしれないけど、緊張感を失うことなく過去と現在(潜水艇の中)をうまく描いています。そこはさすが。しかしなあ。主演エビゾーが、ひとりでオーラ出しまくり。まあこれは仕方ないか。でも、主人公の言動がイマイチ心に響かないのがイタイ。そもそも「昔、人間魚雷(テリー・ゴディのことじゃないヨ)があったということを伝えるために死ぬ」みたいなセリフ、なんやそれって、「この映画を作った理由」そのものやんか。映画の中で映画自身の肩をもつような、口実がましいことを言っては、いけません。でもやっぱりしつこいようだけど、構成はラストに至るまで、なかなか面白かったなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2009-07-26 16:34:20)
2572.  スターシップ・トゥルーパーズ2
監督フィル・ティペット、ってのがもう、すでに誰も期待しないんだけども。大体、ついに自分で監督しようっつうのに、しかも金が無いというのに、こういうデカイ作品の続編に乗っかっちゃあ、いけません。あなたたち特撮マンに求められているのは、ただただ、アイデアです。とは言え本作。前作のバグ軍団を登場させつつも、今回の目玉は、人間に寄生し意識を乗っ取る新種のバグ。閉ざされた空間の中、バグに寄生されているのは一体誰なのか!?というスリル。前作とは趣向を変えてきましたけれども。ふむ。これはこれで、アリガチな内容ですな。しかーし。この映画の変わっている点というのもありまして。それは、「登場人物が、誰が誰やら、もひとつよくわからん」という点。画面も暗いし、人物描写も乏しく、これじゃあ親戚が出演してても気付かないかもなあ。という中で、バグの感染が広がっていくもんだから、意外な錯綜感が、“結果的に”表現されてしまっていて、おお、フィル・ティペット、なかなかやるやんか、と。このヒト今まであまり信用してなかったけど。今後も信用するわけじゃないけど。
[DVD(字幕)] 6点(2009-07-26 16:17:25)
2573.  アイ・アム・レジェンド 《ネタバレ》 
あの、無人のニューヨーク。平然と狩りを繰り広げる主人公、そして平然と獲物を奪うライオン(アメリカにもライオンいたのか)。いいですよね~、何だか。昼はこういう非現実の世界を圧倒的なCGで描き、夜は夜でゾンビみたいな連中がモリモリ襲ってくるというわけで、とりあえずギミックには事欠かないはず。なのに。なのにこの、映画全体から受ける印象の、なんとも地味~なこと。この地味さは、はっきり言って、“伝説”級ですよ。そりゃまあ、主人公ひとりニューヨークに生き残った、という設定から来る地味さもあるでしょうけど、問題点はそれだけじゃなさそう。まず、水平的展開(物語が展開していく推進力、非可逆性)の弱さ。そもそも、一人生き残った主人公が、律儀にも肉体をバリバリ鍛えつつ、律儀にコザッパリした身なりで、これまた律儀にも白衣に着替えて熱心にワクチン開発を続ける、という優等生ぶりがツマラナイ訳で、普通、もっと自暴自棄になったり、何らかの“心の傷”があってもよさそうなもの。で、この過剰な優等生が、難なく、ある日ワクチンを完成させちゃって、はい、オシマイ、と。やっぱりさー、「転機」なり「決断」なりの劇的なモノがあってこそ、人間、レジェンドにでも何にでもなるだろうけど、この映画、何もないよね~。という、展開の弱さが、まさに地味・・・。次の問題点、垂直的展開(意外な設定下の思考実験としての面白さ)の弱さ。大体、人類滅亡寸前というサバイバルを描くのに、「あ、どうやら電気と水は来てるのね」という時点で、SFとして弱い。都会が無人になっている、という映像のインパクト以外に、これといって面白さを示せていないのがツライ。大体、変なゾンビみたいのがいくら襲ってきても、CGのチャラチャラ感が恐怖感を弱めていて、はっきり言って、この映画の中では、現実に存在するマネキン人形の方が、よほど不気味に見えるわけです。主人公とマネキン人形の関係、やりとりの描写を、もっと深めていてこそ、サスペンスを生み、映画の印象を深めたのではないでしょうかね。いや、きっと製作者も、そう思いつつも、それができなかったんじゃないかな。マネキンの不気味さを一応は描いてみつつも、イマドキ、CGモンスターを出さなきゃ皆さん納得しないよな~とやっぱりついつい陳腐な方向に走ってしまう、というジレンマが、感じられなくもなく。
[DVD(字幕)] 6点(2009-07-24 23:51:21)(良:1票)
2574.  学校Ⅱ
寅さんシリーズとは違って、毎回テーマが変わる学校シリーズ。だけど、この「学校がテーマ」という制約の中で、これだけ“おもしろい”作品を作ってしまうのは、やはりすごいと思う。さすが、フーテン男で48作撮ってしまう山田監督ならでは。制約があるほど燃えるタイプなのではなかろうか(笑)。ファンタジー色の強い後半の展開など、第1作と雰囲気を変えてきて、よくこんなストーリー思いつくなあ、と、ひたすら感心する。ただ、やはり難しいテーマだと思う。そして、その難しさに対して、この、寅さん映画と大差の無いマンネリズム的なマトメ方は、やはり釣り合わない(娯楽色が勝ち過ぎ)。頂点とともに限界を露呈しているのが、例えばこの映画だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-20 12:46:35)
2575.  僕らはみんな生きている
アジアの某国で日本のサラリーマンがクーデターに遭遇、という訳で、命からがらの逃避行がコミカルに描かれるのですが、笑えるシーンと、泣かせる“ちょっとイイ”シーンの配合が絶妙です。何といっても、大規模なロケ撮影が、映画を盛り上げます(戦闘シーンはなかなかリキが入ってます)。でまあ、日本のODAからサラリーマンの悲哀まで、とりあえず現代社会の矛盾をこれでもかと詰め込んでみた点、批判精神にあふれつつも、その解答を暗示するところまでは至っておらず、「そーだよそーなんだよ」とオヤジが飲み屋でアイヅチうつのが関の山、という気もするのですが、それはそれで本作の優しさ、とも言えるかも知れません。また、バブル期の残り香が感じられる本作、描かれている内容にも当時の世相が垣間見え、ああ、当時はこういう考え方だったかもなー、と、懐かしい面も。主人公が反乱軍に対し、「てめーらが8人も9人も子供作ってる間に、俺達日本人はアクセク働いてきたんだ」ってな感じの演説をブチまけますけども、さて、まさに今、現状を見れば、「日本人はマトモに子孫を増やすことすらできず、少子高齢化社会への道を驀進中。経済というものは、右肩上がりでなければおよそ立ち行かないというのに、人口を増やし市場を拡大するという、こんな簡単なことすら日本はできない。だもんで、経済拡大のための新しい市場を求め、アジアの国々を“新興国サマ”と呼んで、売り込みに必死」という状況。この映画のセリフが、当時は想定していなかった形で、現在の状況を言い当てている面も、あるのだなあ、と。
[地上波(邦画)] 7点(2009-07-18 11:41:27)(良:1票)
2576.  真昼の死闘
いかにも定番な邦題で、個性を主張することを放棄しておりますが、実際にはなかなか異色の作品でして。一見、“アメリカ製マカロニ”という感じですが、作品を貫くドライな雰囲気が何とも前衛チックで、さらに尼僧姿の女性がウロチョロするもんだから、もはや、ウェスタンというより、オカルト映画に見えてきてしまいます(しかもその役を演じているのが、シャーリー・マクレーンと来た日には・・・)。ひょんなことで、彼女を窮地から救った流れ者のガンマン、しかし彼女は実はゲリラ活動に関わっていてフランス軍に追われる身。という訳で、二人の(珍)道中がサスペンスフルかつはハードボイルドに描かれる訳ですが。列車爆破作戦や、クライマックスの戦闘シーンなど、アクション映画としての見どころも多いのですが、その一方で、先住民の矢で負傷した主人公が、矢を抜いて治療するという、ストーリー上はどうでもいいようなシーンも丹念に描かれたりしており、こういうシーンの方がかえって印象的だったりします。すべてのシーンが、主人公の男女二人の関係へと集約されていく巧さ、ですかね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-18 11:15:12)
2577.  大阪物語(1957)
めくるめく展開する、ドケチ・ワールド。その名も『大阪物語』。あの世界に名だたる『東京物語』に対して、こちらは『大阪物語』ってんだから、頼りないというか何というか(例えば、“東京ディスニーランド”と聞けば何だかゴージャスな感じがするけど、“大阪ディスニーランド”と聞けば、途端にチープな匂いがプンプンするでしょ)。そんでもって、『東京物語』の監督が、あの世界のオヅであるなら---本当に『東京物語』が小津監督のベストワークと言って、いいのかねえ、とは思いつつも---こちら『大阪物語』は何と、世界のミゾグチだぜ、という訳ではなくて、何とその代役だぜ、とほほほ。こうも頼りない条件が重なると、天下の市川雷蔵サマまでが、何となく「よく見りゃ似てなくもない“自称・そっくりさん”」ってな感じの、ニセモノに見えてきちゃう。ま、それはともかく、本作の魅力は何といっても、目を三角に釣りあげて、これでもかとドケチぶりを発揮する中村鴈治郎。いや、私も大阪で生まれ育った身、彼の言動の7割くらいは特に違和感を感じないけど(えー!)、さすがにここまで徹底されると、呆れ返り、舌を巻き、もはや痛快と言えるほど。ストーリーもキャラ設定も明快で(勝シンのヌルヌル感がこれまたスゴイ)、観てる間は何とも楽しい映画なのですが・・・ちょっと余韻に乏しいかな、という気も。「映画って、こんな表現ができるのかー」みたいな感動が、あまり感じられず、やや一本調子、セリフもやや過剰か。これなら、映画として観るよりも、名人芸の落語で味わってみたい内容だなー。そんな訳で、やっぱり何だか頼りない映画なんだけど、うん、だからこその“大阪”、なんだと思う。永遠の二流感。私はそこに、愛着を感じるよ。
[地上波(邦画)] 7点(2009-07-15 23:04:03)
2578.  スリー・キングス
以前観たときに、すげーっおもしれーっ って思った記憶だけはあって、一体何に自分が喜んだのやらそろそろ記憶があいまいになってきたもんで、観直してみたんだけれども。ホント、何に一体自分はそんな喜んだんだっけか(笑)。いや、でもヤッパリ、オモシロいよなあ、と。 もしこの作品が、単に、湾岸戦争を茶化し、アメリカの姿勢を茶化しただけの映画だったならば。そんでもって、第三者を決め込んだニッポンジンである私が、「そーだそーだ」とハナクソでもホジリながらいい気に眺めてる、そんな映画に過ぎなかったならば。もしそうなら、一度目には楽しめちゃったとしても、二度目には反動が来て一気にツマラなく感じちゃうところ。しかし、本作は違う。いや違わないけど、それは作品の一面に過ぎなくて、そういう内容に相応しい、あるいはそれ以上の、“破天荒さ”ってのが、やっぱり本作の魅力だなあ、と思うのです。どこに収まるのやら得体の知れぬストーリー(この映画に見られる妙なヒューマニズムって、現実世界への「皮肉」「批判」でもあるだろうけど、単純に「ストーリーをワケ判らんようにする仕掛け」として見ても十分に機能している、と思うのですが、どうでしょう)と、そこに挟まるいささかシュールなギャグの数々は、まさに出色だと思います。それに、一風変わった映像。何が変わってるかというと、例えば、「一画面あたりに映ってるヒトの多さ」とでも言いましょうか。会話している主要人物だけ映すようなお手軽撮影だって、しようと思えば出来るハズなのに、敢えて画面の向こうの方に、兵士役のエキストラなんぞを配置してガサゴソやらせてみたりする。そういう部分での茶目っ気が、本作を憎めないものにしております。言わば、ちょっとしたヒト手間、ってやつが、料理をおいしくしたり映画を面白くしたりするのです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-07-12 23:32:16)
2579.  チザム
ジョン・ウェイン演じる牧畜王ジョン・チザムが主人公、なんでしょうけど、正直、影が薄いですねえ。どっちかってと、ビリー・ザ・キッドの方が物語において中心的、かな。それに、銃の撃ち合いなんかも結構あるのだけど、ヒトがムヤミにあっさり死にまくって、かえって盛り上がりに欠けたり。という訳で、正直、前半はピンと来ないのですが・・・クライマックスは一転、ものすごいんです、これが。追い詰められ店舗内に立てこもったビリー・ザ・キッドの繰り広げる銃撃戦、そして彼の危急に○○をひきつれて駆けつけるチザム(ジョン・ウェインのアノ映画を彷彿とさせるシーン!)。しかもそれだけ盛り上げておきながら、最後はジジイ同士の取っ組み合い、ってのがまた良いですな(かなり代役クサイですけど)。で、ラストシーン、「いつもの位置」にピタリとはまり込むチザム氏の姿で、映画は締めくくられる。そのジョン・ウェインの横顔に、「やっぱこのヒト、日本で言えば、人間国宝だよなあ」なんぞと思ってしまうのです。映画自体もまた、そういう気持ちがフト湧いてくるような、懐かしテイストの作品でありました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-05 22:33:27)
2580.  若親分喧嘩状
大陸に亡命中の若親分が、(何やらよくわからんが)お姫様(とやら)を救出するところから始まる本作。若親分が帰国すると、南条組も解散しちゃっているとのこと、こうなると、主人公演じる市川雷蔵、もはや、若親分でも何でもなく、単なる一介の書生さんか何かにしか見えませーん。その口から、渡世だの任侠だのと言われても、違和感バリバリ(いやまあ、第1,2作が違和感無かった訳では勿論無いのだけれど)。しかーし、今回の敵であるイノハラ組は、株を買い占め企業を買収する経済ヤクザ。インテリ若親分にはピッタリの好敵手、なんだろうかねえ・・・。いつもカードを持ち歩きパラパラやってるイノハラに、オレも海軍出だからトランプの心得ぐらいあるぜ(この辺りも意味不明)と、ポーカー対決を挑む若親分。ファイロ・ヴァンスもびっくり、ですな。でまあ、物語は、暴力にペンで立ち向かおうとするブン屋とのカラミがあったり、例によって例のごとく軍内部のゴタゴタがあったり、した挙句、クライマックスは、港の倉庫でのチャンチャンバラバラとなる訳ですが。大みそかの吹雪の中、大勢の敵が待ち受ける港に、悲壮感を漂わせながら単身乗り込む若親分の姿は、感動モノと言えば感動モノ、マンネリと言えばマンネリ(また単身乗り込み。いつも通り)。除夜の鐘に載せて百八人連続斬り、とまではいかないけれど、眠狂四郎バリの殺陣が堪能できます。・・・それにしても、本作。被写体を手前の小道具や人物越しにカッチョ良く撮ろうとするのはいいけれど、あんまし調子こいてナメナメとナメまくるショットの多用は、さすがに観てて鬱陶しくなることが、よくわかる作品でもあります、ハイ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-05 22:09:52)
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