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枕流さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 496
性別 男性
年齢 42歳
自己紹介 皆様のレビュー、いつも参考にさせていただいております。私のレビューも参考になれば幸いです。

2012年以降忙しくなったので、レビューを一言にしています(上半期分は6月末にまとめて投稿)。参考にしにくいかもしれませんが、あしからずご了承ください。採点基準は以前と同様です。

私の連絡先はこちら⇒えむいーあーる75jp[あっとまーく]yahoo.co.jp

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241.  イージー・ライダー 《ネタバレ》 
正直言って、ニューシネマ全般が苦手なので友人に勧められるまで観る気はなかったが、観てみると意外に面白かった。  ベトナム戦争時代の閉塞感とニューシネマの関係はよく取り上げられるが、この映画ほどそれが分かりやすいのは珍しいとも思う。完全なるヒッピーにも、当然体制側にも属することが出来ない主人公二人の根無し草のような気持ちがよく伝わってきたし、ラストの終わり方も悪くない。また、場面の切り替え時のフラッシュバックはいただけないが、LSDのシーンは素晴らしいと思った。マリア像にもたれるピーター・フォンダは絵になる。あそこで退廃的に終わってもよいと思うが、製作サイドの父親世代の田舎者への敵意のほうがそれに勝ったのだろう。  アメリカに住むことはあっても南部の田舎には住みたくないもんだと思った。
[DVD(字幕)] 7点(2010-01-10 17:20:27)
242.  羅生門(1950) 《ネタバレ》 
物凄くエロい映画だと感じた。昔のお公家さんのようなメイクで、現代では全くエロく見えないはずの京マチ子が凄くエロく見えて仕方なかった。意識的、無意識的を問わない記憶の美化や荒廃した世界におけるヒューマニティなど、多くの抽象的な事柄を扱った作品であることは理解できるが、個人的には女性のつかみ所の無さ、そこから来る怖さに最も惹かれた。そしてそれがたまらなくエロいと感じた。  木こりは別として、結局生き残るのは女一人であり、女の行動が話のキーとなる部分であり、そして女の行動自体が一番意見が分かれるところなのだ。この話は男が語る「女」の話であり、この「女」は男(僕)から見た女性一般を表象している、様な気がする。怖ろしや怖ろしや。
[DVD(邦画)] 7点(2010-01-10 16:58:33)(良:1票)
243.  仁義なき戦い 代理戦争
僕にとって広島のイメージを決定付けるシリーズとなってしまった「仁義なき戦い」。ヤクザ映画自体初見でしたが、これにはやられました。「昨日の敵は今日の友」という言葉がぴったりの乱世を生きる男たちの熱い戦い、そして権謀術数の数々。菅原文太の演技がうますぎで怖いこと怖いこと。他のヤクザ映画とは出来が違うと評されるのも頷けました。  それにしても深作欣二監督は昔はこんなに面白い映画を作っていたんですね。「バトル・ロワイアル」で騒いでいる若人たちにはこちらを観てほしい。かと言って僕は「ピストル・オペラ」で懲りているので、他の作品に手が伸びるかと聞かれれば伸びませんが。このシリーズをもっと観るかどうかは迷いどころです。
[DVD(邦画)] 7点(2010-01-10 16:39:02)
244.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
初めて3Dの映画を鑑賞。メガネのかけ心地はイマイチだったが、圧倒的な映像美は溜息が出るほど素晴らしかった。絶対に映画館(それも充実した設備の)で観るべき作品だ。  ストーリーは、相互理解を売り物にする戦後の西部劇のようで、特に新鮮味はないのだが、異形のクリーチャーやマシン達が躍動する世界はとても魅力的だった。現在のファイナルファンタジーのムービーを極限までリアルに近づけたという印象で、まさにその世界に取り込まれてしまうような不思議な感覚を覚えた。映像が美しすぎて、端っこにある字幕を読むのを忘れてしまうこともたびたびあった。ありふれたストーリーだが、生身のジェイクとナヴィのネイティリが邂逅する終盤のシーンはなかなか感動的でもある。  エンドクレジットに並ぶ膨大な人名を見て、製作者の苦労を思った。これだけのものを作れれば、その苦労は見事に結実したと言えるだろう。
[映画館(字幕)] 7点(2009-12-25 01:22:27)
245.  イングロリアス・バスターズ
往年の「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」の切れ味の鋭さはないが、懐かしいタランティーノ節は健在だった。しょうもない会話の中でじりじりと高まっていく緊張感は冒頭の場面から堪能できるし、完全にイッちゃってるキャラクター造形も気持ちがいい。特にナチスの将校であるランダ大佐のキャラクターは、演じる俳優の演技力も相俟って本当に素晴らしく、実質上の主役と言っても良いくらいの存在感を見せていた。こういう屈折したキャラは大好きだ。  シリアスな場面の中にコミカルな要素を入れたり、逆にコミカルな場面の中にシリアスな要素を入れてくるのもうまい。普通なら余計に見えることが彼が演出すると余計じゃなくなってしまう。中でも悲喜劇が入り混じる怒涛のラストが凄い。これはタランティーノじゃないと出来ないと思う。正直、まさかこんなふうに来るとは思っておらず、度肝を抜かれた。  ただし、キャストについて言えば、ブラッド・ピットがミスキャストではないかと感じた。そもそもアパッチの末裔に見えないし、ちょっとコミカルな演技が浮いちゃっている感じがして痛々しい場面もあった。あとは、冗長な場面が多すぎることも気になった。冗長な会話を緊迫した場面に挟むのは彼の十八番で、それはそれで良いのだが、そもそも必要ないのでは?と感じるシーンもあった。  グロシーンが多いので、万人にはお勧めできないが、期待を裏切らない作品だったと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-28 23:42:33)(良:1票)
246.  ストロベリーショートケイクス
里子はデリヘルの電話番で秋代はデリヘル嬢。ちひろはOLで塔子はイラストレーター。この2組の女性の群像劇。原作は魚喃キリコという漫画家で本人も塔子役で出演している。彼女のマンガは前から読んでみたかったので、偶然この映画に出会ってちょっと得した気分になった。映画としては、脚本も演技も共に自然で全く違和感は感じなかったし、飽きずに最後まで観られた。ただし、異様に登場人物の声が小さく録音されているのがストレスフル。終始イヤホンをつけて鑑賞せざるをえなかった。  男性が観れば、「女って怖い」という感想が自然と出てきそうな映画だ。「女ってこんなこと考えてんだ」とか「女性に比べて男は子供だ」とか。女特有のねっとりとしたというか隠微に淫靡な雰囲気が濃厚に感じられる。それはそれで面白かった。でも、ちょっとこれはやりすぎと言うか何と言うか、「男には分からない女」を描くことに固執しすぎたがゆえに、嘘っぽく見えてしまうところもある。  世の中は、女性が男性を打ち負かすことを良しとする戦闘的なフェミニズムの時代から、女性が「ありのままに」「自分らしく」生きていくことを是とする時代になった。この映画は完全に後者の視点で作られており、それが少し俗っぽく感じられた。例えば、この映画にはデリヘル嬢が出てくるんだけれども、一抹の寂しさはあれど、彼女の生きかたはまったく否定されていない。それどころか、この映画を観た女性のレビューは概ねこの4人の生きかたを支持しているものが多い。彼女たちの色んな意味での奔放さは「何かかっこいい」のである。  となると、この映画はリアルではないのではないか?という疑惑が生まれてくる。人間は、普通自分にないものを持っている者をかっこいいと感じるからだ。男性に隠されている女性のリアルな部分が濃縮された結果、この映画はリアルではなくなったのではないか。この映画のもつ不自然な「女臭さ」(「男臭さ」と対比して)が同性の支持者たちの憧れの対象なのではないか。ということで、結論は以下のとおり。  結論:この映画はリアルではなく、「女臭い」映画である。したがって、女はそんなに怖くない。  でも、僕は所詮男だから「いや、本当に女はあんなふうに考えていつも行動してるんだよ。」と女友達に言われたら、信じるしかなくてちょっと怖くなる。「女なんて怖くないさ!」と嘯く僕はまだ子供なのかもしれない。
[DVD(邦画)] 7点(2009-11-19 23:09:32)(良:1票)
247.  スペル 《ネタバレ》 
出だしでちゃちゃっとプロローグとヒロインの紹介を済ませ、あとはもうひたすら怖がらせる演出の連続。怖がらせ方も昔ながらで、音と映像でシンプルに攻めてくる。和製ホラーの精神的な嫌らしさは全く無く、どこまでも陽性な攻撃を仕掛けてくる。  いや、でも本当に一人で見なくてよかった。一人だったらマジで怖かったはず。安心してるところで急に襲い掛かってくるから、本当にこのジプシーの婆さんは悪質。何回かたぶんでかい声で「ぎゃっ」とか「うわっ」とか叫んだと思う。  怖いんだけど笑えるというよくわけの分からない展開もまた良い。ヒロインはとあるきっかけで婆さんに呪われるんだけれども、この婆さんがマジで気味が悪い。臭そうだし、色々と変な色の液体を出すし、入れ歯は鋭くとがってるし。死体になっても攻めてくるからね。その婆さんの復讐の一生懸命さとか気持ちの悪さが逆に笑える。逆に、最初は怖がってたはずなのに、段々と戦闘モードになっていく強気なヒロインもツボだった。ラストは酷いんだけど笑うしかなくて、なぜか逆に清清しい気持ちになる。ヒロインとそれを演じたアリソン・ローマンには心からの拍手を送りたい。お疲れ様でした!  サム・ライミが「スパイダーマン」シリーズで溜めたストレスを一気に吐き出したという印象の映画。これで気持ちはリセットできただろうか。次は何で来るか楽しみだ。
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-16 19:49:12)
248.  マイケル・ジャクソン/THIS IS IT 《ネタバレ》 
最初はバックダンサーへのインタビューから幕を開ける。笑顔が抑えられない者、涙を隠せない者、彼らの誰もがどれほど彼とのステージを夢見ていたかが、痛いほどよく分かる。「神」と同じ空間を共有することへの興奮や期待を語る彼らの言葉やしぐさはとても自然で違和感が無くて、まっすぐに僕の心に響いた。  往年の彼の名曲を一曲ずつ紹介していくことで、映画は進行する。ステージでの振り付けや巨大なバックスクリーン映し出される動画は全てが桁違いにファンタスティックだ。まさに惜しげも無い金の使い方で、マイケルのショウにかける意気込みの強さが、うかがわれる。  そして、最も驚かされるのはマイケル本人の動きだ。「smooth criminal」を観た時には思わず涙してしまった。なぜ、彼が死ななければならなかったのか。50歳と言う年齢を超越したダンスのキレは尋常ではない。そして、終盤の「billie jean」はムーンウォークこそ無かったものの、やはり演出の粋を集めた洗練の極みとも言える内容だった。この曲に限って言えば、マイケルの動きだけを追った映像で構成されているのも良かった。あの動きさえ見られれば、他の余計な映像など必要ない。  僕もこのコンサートがもし行われていたら、10万円出しても観たかったと思った。しかし、彼の死によってこの映画が公開されなければ、そうは思わなかっただろう。それだけの価値があると気づかなかっただろう。そして、皮肉なことにこの映画公開によってコンサートの観客の何十倍もの人が彼のステージを観ることになった。ある意味でマイケルは最期までショウを完遂したと言えるのかもしれない。  映画と呼ぶには抵抗があるが、最高にエンタテイメント性の高いメイキング映像と考えれば、一見の価値はある。そして、観るなら是非劇場の大画面で観たほうがよい。日本風の言い方をすれば、この映画を観て、皆が感動することが彼にとっての最高の供養なのかもしれないと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-09 23:28:21)(良:1票)
249.  沈まぬ太陽 《ネタバレ》 
爆発的な面白さはなかったが、202分と言う長さにもかかわらず、最後まで飽きずに観られたのは原作の功か渡辺謙のおかげか。ただし原作は未読。 この原作を映画化するには、角川映画をはじめとした各社の並々ならぬ努力があったと聞くが、それも頷ける濃い内容だったことにまずは賛辞を送りたい。主人公の恩地元は国立航空(日本航空がモデルとされる)の元組合長。その彼が、左遷を繰り返されながらも会社のため、社員のために会社組織と奮闘する姿が感動的に描かれる。僕のように左翼に対してかなり厳しい目を持つ人間でも「こりゃ酷い」と感じるほどだから、一般的に観ればかなりの同情票は集まると思う。それほど会社側が酷い。一社員に対して組織的な陰謀で対抗するようじゃ全然ダメだ。正々堂々と戦うべきだ。それで勝てないならば、よっぽど会社のあり方が間違っているんだろう。一方で、彼は継続的に会社を改善しようとひたすら努力する。それは観る者の心を打たないではおかない。「そんなに会社に嫌われているのになぜ?」と皆訊くが、それは彼の意地が許さないのだ。何となく分かる。 演技では、恩地を演じる渡辺謙の迫力も物凄い。この映画はほとんど彼のためにあると言っても過言ではないだろう。プレミアで涙したと聞くが、それも頷ける熱演を見せる。「演じきる」とはこういうことかと思った。しかもそれが過剰になっていないのがまた素晴らしいところ。脇役も三浦友和、松雪泰子、石坂浩二と顔ぶれが揃っているが、ちょっと次元が違う印象がある。海外進出する実力は伊達じゃない。 それでも最後に言わせてもらえば、現実の日航七労組の主張は目に余るものがある。彼らの主張に興味がある方はサイトを見れば、組合ニュースが載っているから見てみればよい。これじゃ会社が危機に瀕するのも無理は無い。
[映画館(邦画)] 7点(2009-10-27 00:06:51)
250.  この自由な世界で 《ネタバレ》 
ケン・ローチ監督の作品はかなりリベラルよりの視点のものが多く、あまり肌に合わないなと感じることが多いのだが、この映画については、割と偏った感じがしなくて観やすかった。ただ環境と時代に流されていく女主人公の強さや弱さはリアリティがあったし、子供や親との関わり方もよく世相を反映していると感じた。ちょっと甘いラストには不満も残るが、観てよかったと思える作品だった。
[DVD(字幕)] 7点(2009-10-23 19:11:43)
251.  フローレス 《ネタバレ》 
デ・ニーロにシーモア・ホフマンと役者をそろえ、演技面ではすごく面白かったのだが、何かが足りない映画。漠然と何が足りないのかなと考えながら観ていたが、自分の中では分かり合いのドラマとしての盛り上がりに欠けるのではないかという結論に達した。 厳しく言えば、結局ウォルトが同性愛に理解を示すのは、自分が脳梗塞をわずらったからだし、異質なもの同士の理解に過ぎないのではないかと感じた。そこには最初からドロップアウト組同士の連帯感が存在しているわけで。こういう環境の力に頼らずに、理解しあわなかった二人がお互いを尊重していくような映画の方がもっと感動したかもしれない。 ただし、愛情とカネという描きにくいテーマにも踏み込んでいるのは好い。社会的な弱者ほど、愛を求めていてそれを得られないのは必然とはいえ、何とも悲しい話である。エンディングの二人のやり取りも面白い。アドリブの可能性もあり、この二人の卓越した演技力を象徴するカットだ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-09-27 18:41:50)
252.  人狼 JIN-ROH 《ネタバレ》 
庵野監督とか押井監督のアニメ映画は全般的に苦手だが、この映画はなかなか良かった。と思ったら、原作・脚本だけで監督は別の人なんだ。  とりあえず、脚本がしっかりしているのが良いし、説明不足に陥っていないのが良い。映画にしても小説にしても、芸術作品は一回観て分かるように作るべきだと僕は思うのだけれど、これはだいたい観て分かった。「エヴァ」とか「攻殻」とかの「分かるやつにしか分かんねえよ」的な独善臭が無いのはありがたい。その世界について知るために一回観て、ストーリーを把握するために一回観て、伏線も含めて全てを把握するためにもう一回観て、更にその世界全体について理解するために副読本を読んだりしなきゃいけないような映画は嫌いだ。  その点、この作品は架空の世界のお話でありながら、冒頭の時代背景等の説明がしっかりしているため、スッと馴染むことができた。主人公が無口すぎるため、心情の変化を読み取りにくいのには少し閉口したが、過去を思い出すシーンや伏線となる童話「赤頭巾」の効果的な引用のおかげで十分推測が可能だった。組織と組織の争いに翻弄される個人というテーマは陳腐といえば陳腐だが、二転三転するストーリーやバイオレントな戦闘シーンは観ていて面白く最後まで飽きなかった。きちんとした起承転結のあるアニメ映画。  結構暗い話なので観る人を選ぶと思うが、そこが大丈夫ならば、コアな押井ファンもそうでない人も楽しめると思う。アニメ嫌いの人にもお勧めできる。
[DVD(邦画)] 7点(2009-09-13 22:41:17)
253.  エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? 《ネタバレ》 
こういうドキュメンタリー映画にありがちな一面的な描写が鼻を衝く部分もあるが、印象的なキーワードを配して、全体としてはうまくまとまっている。エンロンという化け物企業が誕生して没落するまでが実に面白くて観ていて飽きない。怪物的な創業者であるケン・レイや異様なまでに精力的なCEOジェフ・スキリングなど役者が揃っている。実際、下手な役者を観ているより面白い。  だが、この映画から学べたことはあまり多くなかったような気がする。つまり「身の丈に合わないことはやらない」とか「法律を守ろう」とかその程度で、「んなこと言われなくても分かってるよ!」と言いたくなる。興味深いのは、なぜ才能と知力に溢れた大企業のお偉いさんたちがこんなことをやってしまったのか?ということなのだ。その原因について、この映画が出している答えは彼らの「強欲さ」(greediness)だが、本当にそれだけなのだろうか?僅か十数年でエンロンを巨大企業に成長させた男たちがそれだけで動いていたとは考えにくい。確かに最後に自社株を売り抜けたのはかっこ悪いが、彼らには彼らなりのビジョンがあったのだろうし、そこを批判的にだけ見るのではなく、もっと分かり易く丁寧に映してほしかった。意外と勉強になるかもしれないし。  翻って、一般的な日本の企業に足りないのは、この攻撃性ではないかと思う。日本の企業風土として仕方が無いのかもしれないが、石橋を叩いて叩いて叩き壊すような動きの鈍い企業と比べれば、このエンロンの身軽さは羨ましい。凄まじいまでに実力主義でトップダウンのこの会社はさながら翼の生えた獅子だ。ちょっと道を誤ると奈落の底だが、なかなかスリリング。こんな会社に入っても面白いかも。映画の意図とは裏腹にそんなことを感じた。
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-29 23:51:05)
254.  アフター・ウェディング 《ネタバレ》 
スザンネ・ビア監督らしい「喪失」がテーマの作品だが、これは彼女の他の作品と少し毛色が違い、「喪失の過程」を描いた映画だ。ヤコブに感情移入するかヨルゲンに感情移入するか、人によって観方は様々だと思うが、どの観方をしても興味深い内容であることは確かだ。家族モノを撮らせたら、今、私の最も好きな監督だ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-29 22:51:29)
255.  ある愛の風景
「しあわせな孤独」に引き続き、こちらを鑑賞。家族の葛藤を丁寧に切り取る作風は変わらないが、「事件」が多すぎて、「結果」の描写が若干不十分だと感じた。過不足の無いストーリーテリングやテーマは好みなので、他の作品も観ていきたい。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-28 17:00:10)(良:1票)
256.  ダーウィン・アワード
ありえないほどおバカな死に方をした人に与えられる賞、「ダーウィン・アワード」。なぜ「ダーウィン」かというと、死に方からして明らかに人間の「進化」に反するような人間なのだから、遺伝子を残さないでくれてありがとう!という趣旨らしい。当然架空の賞なのだが、窓ガラスの強度を誇示しようとしてビルから転落死したりとか、車にジェットエンジンを搭載して激突死したりとかスポーツ紙の社会面の片隅に載るような本当にくだらない死に方ばっかりで笑える。 しかし、この映画はそのバカさ加減を肯定的に捉えていて、上から目線で笑うなんてことはやってないのが良いところだ。いわゆる破天荒な次男坊の魅力をどこまでも温かい目で見守っているので、観ているこっちとしては彼らのひたむきな思いをだんだん応援したくなってくる。ちょっと規範を逸脱しちゃったり、常識の枠をはみ出しちゃったりする人達は、ストレスフルな世界で生きる僕たち一般人を時に笑わせてくれたり、時にブレイクスルーのヒントをくれたりするとても大切な存在なのではないか。 人が死んだり、怪我をしたりすることがテーマなので。、ブラックコメディに分類されるのかもしれないが、人が溝にはまったり、無様に転んだりするのを見て、心配する前に思わず「ぷっ」と吹き出してしまった経験がある方ならご理解いただけるはず!久々に観たウィノナ・ライダーは相変わらず綺麗。大好きな女優の一人だ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-13 16:10:23)
257.  アクロス・ザ・ユニバース
反戦運動で沸く60年代のアメリカを舞台にした、若者たちの青春を描いたミュージカル。選曲はすべてビートルズで、サイケな雰囲気が楽しめた。かと言って筋が破綻しているわけでもなく、途中に冗長な箇所も感じられるもののバランスが取れた構成になっている。 改めてビートルズが偉大であることを確認した。色々な雰囲気の曲があり、それぞれが登場人物の感情を引き出せている。喜怒哀楽それぞれに対応した曲があるというのはすごいことだ。 曲をうまく活かした演出も巧みだ。特に「Strawberry fields forever」や「Happiness is a warm gun」の使い方は秀逸。ここでこの曲か!と意外性を感じさせながらも歌詞はその場面にぴったりとあっているから不思議だ。小ネタでは「She came in through the bathroom window」が台詞として使われていたりするのも面白い。 ミュージカルは人によって好き嫌いがあるが、複雑な感情の動きを表現することは放棄しているから、何も考えずに映画の世界に浸れるところが好みだ。小難しい理屈など放り投げて、突き抜けたように自由な気持ちにさせてくれるこの映画はミュージカルの良いところが十二分に発揮されている。All you need is love!
[DVD(字幕)] 7点(2009-05-22 13:51:12)
258.  アキレスと亀 《ネタバレ》 
「芸術」に憑かれた男の巻き起こす悲喜劇を、北野監督らしい観点から切り取った良作だ。この映画から感じられるのは、彼の「厳しさ」である。やっぱり自分の力で名声を勝ち得た人間の考え方は違うものだと思った。この作品で主人公の真知寿と関わった者の多くが非業の死を遂げている。少し大袈裟に言えば、彼の父、娘や美術学校の仲間は芸術(もしくはその申し子である主人公)に殺されたようなものだ。その主人公には才能が無い(と描かれている)のだから更に始末が悪い。彼らの死は犬死と言っても過言ではない。しかし、北野監督の視点には、ユーモアこそあれ彼らへの同情はほとんど無く、淡々と彼らの死を見つめるのみだ。監督にその点を質せば、「芸術とはそんなものだ」という実も蓋も無い返事が返ってくるのだろうが、私も全く同感だ。ひたすらに何かを追求することは独善的に生きることも意味する。それも仕方が無いことだ。しかし、同時にそれはどこ悲しい。人間じゃないものを愛するのは無理だ。幸子は根は温かい真知寿のことを知っているから、その彼のことを好きだったから、彼を一度は見捨てながらもラストで戻ってきたのだろう。芸術の愛情に対する敗北ととれるラストには賛否両論あろうが、私はこの結末でよかったと思う。「アキレスが亀に追いついた」という最後の言葉は、芸術を極限まで追い求める激しいが満たされない真知寿の生き方と、彼の思いは理解しながらも最後は常識的で愛情に満ちた現実世界に帰って行った幸子の生き方を比喩的に表した名言だ。 映画のコピー「スキ、なのに。スキ、だから。」からすると、配給会社としては一種の恋愛映画として売ろうという思惑もあったのだろうが、この映画は真知寿と幸子の二人から夫婦愛の素晴らしさだけを描こうとした映画ではない。そもそも主人公の少年時代に割かれる時間がかなり長いことからも明らかだ。身も心も何か(この映画では芸術)に捧げ尽くすことの功罪、その悲しさやおかしさをリアルに描いたこの映画はもっと深い地点まで到達している。作品内に出てくる彼の手に成る絵画も含め、「さすが世界のキタノだ」と改めて納得した。 一点だけ疑問があったのは主人公の子供時代の描写で、先生が「分母を同じに『してあげる』」という言葉遣いをしていたこと。戦後間もない時代にそういう言葉遣いがされていたのか、細かい部分だがちょっと気になった。
[DVD(邦画)] 7点(2009-04-30 13:35:10)
259.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
期待値が上がりまくった中で観たので、ちょっとした肩透かし感は否めないが、こういう映画があってもよいのではと肯定的な判断はできた。人によってはもっと酷評しそうな気もするが。 まず、良かったところを褒めるとすれば、圧倒的な躍動感!特に子供時代の警官との追いかけっこは、巧みなカメラワークによってスラムの活力が伝わってきて興奮した。色彩も鮮やかで、インドの魅力がもろに伝わってきた。「シティ・オブ・ゴッド」はリオのスラムを描いた傑作だが、それを髣髴とさせるシーンだった。子役の自然さ、元気さ、かわいさも特筆に価する。人生のどん底や頂点がこれでもかと詰め込まれているにもかかわらず、少しも食傷しないのは、監督の才能によるところが大きいのだろう。 一方で少し残念だったのは、心の動きの捉え方が甘いところ。兄のサリムがラストで自殺的行為に出るのは、あまりにも唐突で違和感を拭えなかった。ボスを殺して自分が組織をのっとるくらいの行動に出るのかと思いきや、意外とセンチメンタルな行動に及ぶのは説明不足だろう。ストーリー上、何らかの布石を打っておいて欲しかった。また、ジャマールのラティカに対する強烈な想いも理解はできるが、もう少し子供時代のジャマールとラティカのエピソードを描いておいたほうが、もっと分かりやすいだろう。2人の親密さが愛に変わっていくことを示すシーンが欲しかった。 映画中にちょっとした暴力シーンや残虐シーンはあるが、女性が観ても許容できる範囲だろう。明日への活力が湧いてくるポジティブなエネルギーを与えてくれる映画であることは間違いない。日曜日の夜に観たのは正解だった。
[映画館(字幕)] 7点(2009-04-21 22:06:59)(良:1票)
260.  ギター弾きの恋 《ネタバレ》 
アレンの音楽愛と人間愛がひしひしと伝わってくる映画。感情表現が苦手なエメットとハッティのやり取りは子供同士の初恋のようでほほえましかった。目と表情だけで見事な演技を見せたサマンサ・モートンは素晴らしかったし、不器用でだらしのないエメットをコミカルに演じたショーン・ペンも良かった。ユマ・サーマンもはまり役だ。 少しコンパクトにまとまりすぎていて、アレンお得意の無駄話がなくなっているのが難点といえば難点。おとぎ話のような映画だ。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-21 21:45:33)(良:1票)
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