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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
性別
自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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241.  ツーフィンガー鷹 -Two Finger Fist-
 孤高の存在である。捕手にして監督というポジションで、チームを優勝に導いた野村克也は華々しい戦績を惜しまれながらも、衰えを振り切れずに1980年引退した。  彼は頭脳戦や分析を日本の野球に持ち込んだ人間の中核に位置し、野村前、野村後という線引きが可能なまでに日本の野球を昇華させたのである。  しかし、同時代には選手としての彼を上回るプレーヤーが存在した。王、長嶋である。同じ器の大きさを与えられた三人の中で、野村は王に努力量で勝てず、才能で長嶋に勝つ事が出来なかったと述懐している。その脚光は、独特に翳っていた。  「ボッボボ、ボー」 「ハイーハッハ」  数人の少年がカンフーで戦っている。昭和の小学生の定石ともいえるこの小競り合いは珍妙なポーズと効果音でいつも演じられていた。そう、誰だって経験があるはずだ。三人以上がジャッキーゴッコを始めると、誰もがジャッキーを演じ切る事が出来ない事を、皆ご存じの通りだろう。  集団の中には突然、ジャッキー以外の誰かを演じる事で優位に立とうとする人間も出て来るのである。中でも人気があったのは少林寺をイメージした(と間違いなく本人はそう思っている)固い動きのカンフーと、もう一つは高い声で「ハイー、ちょっ待って、まだ構えてないから」と、道化を演じるデブゴンである。   ジャッキーやサモ・ハンらは、彼らの中で永遠のスターで有り続けた。同窓会の席での出現率が高い今でもそうである。しかし、一人の少年が颯爽と二本指で珍妙なカンフーバトルを始めたとき、一同は刮目し、当惑もしたのである。本人の中で妙に強すぎる設定でなかなかやられてくれない彼は、ユンピョウを演じていた。  全員から 「なにそれ」  である。ちょっと待て、そんなの見た事無いから無しね。という無情な言葉に抗議した彼は次の日にツーフィンガー鷹のビデオを見せる。と言う事で、皆に了解を取り付けたのだった。彼らの色褪せた思い出になっている。   しかし、富士の麓のキャンプ場に集まる今の彼らの中ではツーフィンガー鷹を覚えているものがおらず、珍妙な二本指カンフーばかりが酒の席に踊るのだった。一人が自生する花を見て地味な花だね、などと話題は流れていく。   同じような器を持っていた三人のカンフーレジェンドだが、ユンピョウは佳作とともにいつも埋もれていくのだった。しかし、彼もまた月見草なのである。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-26 02:31:08)
242.  ジェイン・オースティン/秘められた恋 《ネタバレ》 
 絵的な雰囲気は重厚でなかなか惹き込ます手腕に長けた話だった。しかし、なんであれで惚れちゃうんだろう。んーよく分からないけどま、いいか。  最後くっつかなかったけど、なんか永遠の愛みたいな終わり方で盤石のオチで安心した。
[地上波(吹替)] 7点(2013-04-24 20:51:20)
243.  SP 野望篇 《ネタバレ》 
 その男が何かやっているかやっていないか。殴り合いになった瞬間に分かっていたら遅い。始まったときには既に力量の差に押しつぶされるからだ。逃げ場があればいい。止めてくれそうな人間の前でふっかけるのも手としては、良い。負けは一瞬では決まらない。一瞬で決まっているのは、確実に負けた状態に至る大量の伏線で有り、それを一つ一つ回収しながら、殴り倒されるのだ。それならば、はじめから逃げの手を方々に打っておくべきだ。そうやって、力量ではなくいろいろなダメージの量で勝つのも一つの殴り合いだ。   はっきりとクソつまらないストーリーが大雑把な脚本に大胆な実装がなされたSPシリーズは、テレビの時から衝撃であった。なかなかのイケメンであるはずの岡田准一は、その小柄を生かした格闘シーンをリアリティ満載で描く。はっきりと岡田准一の力量に支えられたその骨子は、太い。ただひたすら太い。力不足の監督や日本と日本人を勘違いしているとしか思えない脚本や、適役とは思えない役者たちの群れに囲まれて重機のように前進する。   逃げの布石を打てば良いのに打たない。この男は太い。それが岡田准一だ。CGと光源が合っていなくたって、演出のために武装を捨てて素手になってもだ。迫真の格闘の質は等価である。ブルースクリーンの前で格闘を演じる岡田准一の技術の後ろに何があろうと、青いただの背景でもかまわないのである。  CGがトランスモーファーの様にヘボい。脚本が赤ん坊の吐瀉物。設定がミジンコの排泄物。犯行の動機構成が領海侵犯の良い訳程度。仏像泥棒の裁判理論程度。それでも、この映画が無類の面白さを誇るのは、岡田准一が魅せるからなのである。   セガールみたいで良いよね。ね?
[地上波(邦画)] 7点(2013-04-18 03:39:43)
244.  十三人の刺客(2010) 《ネタバレ》 
 新しい季節が始まる。桜が飽きずに花びらを降らせてくれるのを眺めて、窓枠から教室の中に目を移す。新しい学校に、新しい仲間、新しい恋もきっとやってくるんだろう。このクラスの中に同じ中学校だった友達は居ないけど、三五人は気がつけば友達になっているに違いない。  いつもと違う匂いの教室で、一人では心細い。とりあえず前に座っていた西山に声を掛けると「ん?俺は西山。ニックって呼ばれてたから君もそう呼んでよ」と前からの友人であったかのように気安く返事をしてくれ、ちょっとひるんだ僕は安心したのだった。ハードロックが好きなんだという彼と話題が合ったのも幸いして、その日のうちに僕らは長い時間を過ごす友達になれた。   僕らの席は掃除箱と呼ばれていたモップやバケツが入れられたロッカーの前で、一番後ろの窓側という一等地に有ったが、その対角線の終点に彼女が居た。担任の先生が挨拶やジョークを交えた注意事項などを話している間は気付かずにいて、お昼には最初の登校は終わってしまったけど、ニックはしっかり彼女を見つけていた。  数日だけ続いたオリエンテーションだとか挨拶だとか、そう言う時間を過ごすうちに、彼女に向かう視線はニックだけじゃ無く僕の視線も向かう事になって、少しずつ話す仲間も増えてきた。  もう授業が始まる頃の帰り道に、ニックは彼女の事を話題に出すと、実は僕も、っていうやりとりになった。  やっぱりか。君も良いとか思っちゃった訳ですか。などと自分だけが見つけた原石が、じつは同時に誰かが見つけていたものだったかのような言い方に思わず「彼女をうちの学校に連れてきたのは彼女自身だよ」と突っ込むと、イヤイヤそうなんですがと二人笑いあった。後に分かったが、同じように想っていたクラスメートは多かった。   とか言う記憶力バッチリ多感な時期でさえ、一瞬で一三人分のクラスメートの名前を覚えていただろうか(いや覚えていない)。二時間ちょっとの映画で一三人。悪役と女房を含めて一六人である。覚える事を放棄した私に怖いものは無い。血しぶきや意味不明な演出もすっ飛ばして痛快に楽しんだのであった。  顔しか覚えていないけど、最後の方にはもっと居なかったっけ?的な勘違いを起こし大変満腹な出来だった。とにかく勧善懲悪は気持ちいいのである。   で、最後には玉砕するのである。友人も私も。
[DVD(邦画)] 7点(2013-02-13 01:59:12)
245.  ファンタジア 《ネタバレ》 
 完全に長期化に入っていた戦線は拡大の兆候を現実のものとし、列強諸国は中国軍に対し支援を行っている。進撃を続ける日本軍は増長を重ね、はち切れそうなほどの害意をユーラシア大陸にばらまこうとしていた。  1940年、11月の事である。密に反撃を企図する国民政府、と言う誤解の元、彼らを殲滅するために行動が開始される。二号作戦と名付けられたその作戦は一方的に幕と閉じ、大日本帝国は錯誤としか言いようのない見失い方であらぬ方向から糺す事無く、歩を進めた。   単発銃の鳴り響く中、藪蚊と疫病に悩まされる日本兵はアメリカ製の機関銃に悩まされながら、南方の奥地へと逃げていく。先進国の脅威に震えながらただ死ぬだけの任務に身を投じる。裸の帝国軍に秀麗な末路は用意されていなかった。破竹の勢いをうちに収める事が出来なかった1940年の冬から数年後の事だ。   とか、馬鹿極まりない大日本帝国と、その犠牲者が単発銃でパーンパーンとか敵を撃ってる間にアメリカ兵がズドドドドドドドドドドドドとか反撃してきて、とつげーきとか言わされて死んでこさせられてた時代に、ファンタジアが絶賛公開中な訳だ。アメリカ本土では。  カラーの超大作が多数制作されている。当時カラー映画は日本には存在さえしない。   はっきり言って当時の政府のアホさ加減には言葉では表せないほど呆れられる。wikiペディアを読むだけで腰が抜けるほどだ。こないだの民主党もきっとこんな感じだったんだろうな。とにかくすんげー馬鹿ですね。  徹底的に訓練された米軍特殊部隊員に、FPS(戦争ゲーム)が上手いからという理由で殴りかかる人間位エキセントリックである。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2013-02-12 23:48:21)
246.  スパイダーマン2
 主人公のピーター・パーカーがぐちぐちと悩む。正直、結構秀才なんじゃ無いのかあんたはと言う位の科学者の卵だったりしながら、彼女が出来て金持ちの友人が居て、夜な夜なこっそりNYを護っている。そう言う彼がぐちぐち悩んでいるから面白い。  普通の人は、上司が馬鹿で悩んだり、自信のなさに悩んだり、成績で悩んだり、彼女が居なくて悩んだり、友達が居なくて悩んだりとか。とにかくぐちぐち悩んで当たり前というか、悩んで当たり前なのを日々何となく小さな喜びで前進していったりするのだ。   何でもありでも凄く人間的に色々ややこしくて、見ていて不思議と感情移入できてしまうヒーローっていうのがなんともアメコミで、痛々しいスパイダーマン。  いちいち悩むな、とかついつい突っ込んでしまうのだが、仮に彼が全然悩まなかったらはっきり言って私らは完全敗北な訳で、ちょっとIT企業の役員さんなんかに居酒屋で出くわしたくらいのことで敗北を禁じ得ないでいる普通人にとっては、丁度良いダメさを纏ってくれているのだったりする。   なるほど、受け手に優しい痛々しさな訳である。MJがブスなのも、これがもの凄く可愛かったりして見ると突然脇の甘さがなくなってしまって大変だ。ピーターが悩まない、大学生活をエンジョイしてNYでブイブイ活躍してその上可愛い彼女が存在したあげく、金持ちの友達と上手くやれてしまっていたら学年に一人位は居る、勝ち目の無いイケメンで秀才で金持ちになってしまう。コイツの成功談話を聞きたくないから同窓会が嫌だな的な、そんな勢いが付いてしまうから気をつけたい。   色々考えると、ヘンテコで古くさいモチーフを使い回さないといけない老舗アメコミで、アメコミ必殺のめんどくさい主人公で、どうでも良いような事で皆が争って。これで良いんだよな。日常の痛みを彼らも戦ってるような気がして、なんか妙に等身大なんだ。  ここがスーパーマンとの最大の違いか。良く、大雑把で、超能力で何でも解決できて御都合主義でと言うのがアメコミの様に捉えられている節があるけど、それは極端かもしれないが古代の単体スーパーマンというマンガだけだろう。アメコミは世界で一番ぐちぐちと悩むマンガだ。最近はスーパーマンでさえバットマンと言い争いをしてぐちぐちと悩むらしい。  そう言う訳で、この映画は非常にアメコミ然として良い雰囲気で、結構好きだったりする。
[DVD(吹替)] 7点(2013-01-28 05:19:19)
247.  スパイダーマン(2002)
 スペシウム光線だとか、ギャラクティカマグナムだとか、サイコフレームだとか。もうね、作者がつよくなるんだぞっつってんだから納得しろよ。っていうものっていっぱいある。スパイダーマンの糸だって言ってみればそう言う物の一種だ。場合によっては不二子ちゃんだって絶世の美女?そうなの?って事だって無いことも無い。   学校一の人気者だったMJがブスなのはもう10年以上語り継がれているが、もうとっくにその事に言及しておくべきだったと今になって激しく後悔している。だけど、実はその事も10年の間に自分の中で消化できてしまっているのも事実だ。  結構面白かったなーとか思っていた10年前、その後ででもなぁMJブスだから説得力全然ねーよ、なんて笑っていたのだが実際は説得力が無いのはMJがブスだったからだろうか。  彼女がブスな位で説得力を失うんじゃストーリーとしてはあんまりだ。はっきりとブスと分かる彼女と付き合っているイケメンの男だっていくらでも居る。彼らだってラブロマンスの中心にいる。   何がおかしいんだろうか。というのは実は08年になってから判明する。ダークナイトが公開され全く弱点の無い脚本だ、と座ってる劇場の椅子に激震が走った。このヒロインのレイチョーがどう見ても、主人公が追い求める美女って感じでは無く、むしろ霊長的な……。という訳で、ブスでも脚本と演技力が合わさる事でとんでもない説得力を生む事がまざまざと証明されたわけだ。  つまり。MJがブスな事はそれ程重要なわけでは無く、脚本の練り込み不足と演技の説得力が不足していたと言う事なんだろう。  そう言うわけで、練り込めなかった最後の1ピースが、ほころびとなって出て来る場所が面白くないとかそう言う事では無く別の所だった、と言う事だった。  そこそこ面白く、革新的なCGIが乗っかって冒険活劇と悩みを併せ持つヒーローが結構まともに出てきたら、リービッヒの桶に空いていた穴はそう、MJだった。という訳だ。
[映画館(字幕)] 7点(2013-01-26 23:55:54)
248.  ハードロック・ハイジャック 《ネタバレ》 
 新宿駅の東口で降りて、三丁目に向かう。旨そうな天ぷら屋を通り過ぎて三越を曲がると俺達のユニオンだ。ランチが安いらしいから入ってみようぜなんて言いながら、寿司屋を通り過ぎるとあのビルが待ち構えている。各ジャンル専門のフロアではしゃぎながら色々漁った。あまり関係無いがアンヴィルなんかもその一つだったりする。  クラスの中のHR/HM大好き人間グループ一味は何も男だけだったわけでは無く、女の子だってちゃんと居たわけだ。その女のこのうちの一人と、二人だけで帰る事だってあったのだがどう言うわけかその時はバンドの話では無く、進学とかの話だった。  土曜日にこっそり二人で大学でも見に行こうと言う話になって、小田急線沿いの大学にいく事になった。   新宿から始めた大学探索はお金持ちな雰囲気の学校がある急行の停車駅を過ぎて、もう一つ行ってみようと神奈川県の大学に忍び込む事になった。山の上にあるその学校は理系の学部で、その大学然とした雰囲気に僕は圧倒されてしまった。  その次の日からグループの中で、彼女だけはあまり音楽の話題で新しい話を出さなくなっていった。たぶん、あの帰り道で交換したMDをずっと卒業まで聞いて居たからなんだ、と思う。急に勉強に熱心になった彼女と、今のままのペースの僕とでは何となく行く方向が離れ始めているっていう事に、全然気付いていなかった。  あの帰り道、メカのようなヤギにこう言う学問があるのかなんてはしゃいで居たけど、ガード下で何となく言った「よし、ここ来よう、ここ」と言った言葉は彼女の中では強く焼き付いていた。   そんな事をすっかり忘れていても、いくつものバンドが演奏する楽曲が流れて季節は変わっていく。そうこうしているうちにもうすぐ高校で迎える三度目の春、という季節だった。  HRとHMの三年間はあっという間に終わってしまって、それからは時々の飲み会に顔を合わせるだけの関係に戻ってしまった。僕も彼女も、小田急線の学校に進学したけれど、あの山の上の学校の合格発表で僕のために用意された数字の配列が無いのは何となく分かっていた。努力をしていなかったことを、彼女への罪悪感で明かす事はしなかった。  哀しい目をしていたのは、僕よりも、彼女の方だった。   この映画はHR/HM好きがこう言う気持ちになる装置が満載されていている。   ホントか?
[地上波(字幕)] 7点(2013-01-26 21:43:18)
249.  釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様 《ネタバレ》 
 2008年ですか。北京オリンピックのバブルが日本にも波及していて、もの凄い時代だった。私もその流れに上手く乗って非常に豊かな生活を享受していたりしたのが懐かしい。派遣社員の人たちもキラキラとした目で遅くまで働いて、皆が皆幸せだった。  が、そんなの一部地域の一部産業だけだ。あたかも派遣社員が良いものだから私は誇りを持って続けますよ、みたいな流れが今となってはもの凄く空恐ろしい。未来を見ないで今だけ楽しもうという様な。  だけど、今考えても異常な数年だった。月に十万も二十万も出かける暇を惜しんでAmazonで買い物し、一日に何度も宅急便のおじさんが来る。家の中はあのクソでかい段ボールだらけになり、物で溢れ返っているのだった。  今は本当にあの景気はなんだったの?とがらんとした部屋で、あの時無数に購入したものの見る時間も無かった映画をのんびり消化している。   この映画はそんなことは無く、地方の問題や格差の問題を取り上げつつも高度に派遣会社への配慮をするなど何でもありでも良く出来て居た。  しかし、佐藤浩市である。嫌いな人も多いだろうが、すっかり大物に成り、なかなかの演技をこなしシリアスとコミカルを軽妙に織り交ぜる日本屈指の俳優といえる。  息子に追い越され、年齢的な衰えからむしろスーさんの方がゲストと言っても良い位実力に差があるのに、良く親子ででるもんだと妙に感心したものだ。  だが、その同じ職業を同じ映画で分かち合う画に妙に感動してしまったりもする。それにしても演技の鬼だった父と、傑出した演技力の息子。凄い親子だ。   こんな事を思っていると、西田敏行が盤石の好演で締めるのだった。なんか普通の話だななどと思っていたが、何気なく非常に楽しんでいる自分に気がつく。楽しんでいる事を意識もさせないなんていう空気みたいな作品だった。19作も続いているのにこう言う物が作れるとは、作っている人たちをちょっと尊敬してしまう。
[地上波(邦画)] 7点(2013-01-26 20:48:29)
250.  インクレディブル・ハルク(2008) 《ネタバレ》 
 待っていては何も始まらないのが現実世界だ。周りだけが動き出して、自分はタイムマシンに乗って未来の世界に連れて行かれてしまう。気がつくと進歩しているのは周りの人間が作り出した世の中とガジェットで、自分だけが骨董品になっている。煤けても、動きが悪くなっても動かなければならない。表面だけ磨いて、油を差して、見かけ上の姿をごまかすようにそれらインフラとガジェットとを利用して、古い自分に鞭を打つ。   それでも、ハルクほどじゃない。彼は待つ場所も時間もない。全て無くして、自分というアイデンティティもどこかに行ってしまった。怪物であるという、記号性だけを埋め込まれたあと、彼はとにかく逃げるしかなかった。  一縷の望みをたぐって帰って来た彼は、それが幻想でしかない事を知っていながらもそれに縋った。そうやって起こった惨劇は、彼が戻ろうとした過去と、現在と、未来をさんざんに壊してしまったし、そこに生きてきてこれからも生きていくはずだった沢山の生活も壊してしまった。  だから、彼はずっと逃げるしか無いのだと決まっているのだ。もう、立ち止まる事も出来ない。   って所までは良いけど、技名絶叫(見開き)はねーだろ。車田正美かと思うよ。ねえよな。うん、ない。とってつけたようなアイアンマンのひととか無い。番宣ですか?そうですか。
[地上波(吹替)] 7点(2013-01-26 17:56:54)
251.  長靴をはいた猫 80日間世界一周 《ネタバレ》 
 長靴を履いた猫がとうとう世界一周までしてしまうんだから観ないわけにはいかない。見事なチョイスをやってのける僕らのMXさんに感謝しつつ、レコーダーを起動した。   ぐるぐると駆け回る猫と豚。豚と狼と悪い猫。ぐるぐる回る。考証だとか、プロットなんかどうでもよくて、とにかく追いかけっこが楽しい。作者がわざと残したつっこみどころにしたり顔になるのも楽しくてやめられないが、この映画はそういう話ではない。  童心に帰ってしつこく追いかけてくるわるいヤツから一緒になって逃げたらいい、再生ボタンを押してスリル満点の時計塔にもう一度上るのだ。
[地上波(邦画)] 7点(2013-01-21 22:09:17)
252.  ハイジ(2005) 《ネタバレ》 
「頭は悪くないようじゃ」  藁をまき散らしながらフフフウフフフグフゲヘと高笑いを続ける少女をそっと見つめて、老人はつぶやいた。  それが、ハイジだ。この頭がどうかしてしまったとしか思えない女の子がハイジであり、私の中のアルムの原体験である。そして加減を知らないあの口調に週一でイライラするのだ。低燃費車の宣伝にでてくる彼女と、食品劇場のアホ少女は実際、等価である。   一方思う様陰惨で、いやな性格のペーターが作中白眉である。鉛筆をガジガジかじりながら、 「俺は勉強なんかしねえから」  と嘯く彼の堂々たる様は水晶体で逆さまに写し取られて、脳内で電波を発し始めた。「羊飼いに文字は必要ない」と吐き出す彼の姿はまるで、「人殺しに家庭はいらねえ」と呟く暗殺者だ。  正直、風景や建築様式や美術の美しさなんて目じゃない。古くて新しいハイジは二一世紀に生まれ変わっていたのである。   そういうどうかしちゃったの?なハイジとは違う、原作小説のエッセンスをより投影したであろう二〇〇五年版ハイジは盤石の純粋少女であった。  TokyoMXのカッティングも相まって少し早足で進みすぎるきらいもあったが、十分に感動作だ。  旧12チャン,TVK、MXの映画チョイスはヤバい。ものすごい手腕である。開始三十分(CM込みである)でババアが連れ戻しにきたときは、まだ早すぎて腐ってるぞと思わないでもなかったが、各局要チェックだ。
[地上波(吹替)] 7点(2013-01-21 01:57:24)
253.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 
 この不愉快な独創性にやられた。何から何まで不愉快で、込められたテーマも噴飯物であるのだが、思う壺の中で思う様振られてるのが私なんだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2013-01-14 01:59:29)
254.  パーフェクト・ワールド 《ネタバレ》 
 子供と大人の関係。大人が子供に接するとき、独特の感情が湧く人も多いと思う。家族的な愛情とも友情とも違う慈しみのようなものだ。親戚の家や友人の家に遊びに行って、そこの小さな子供と遊んですっかり懐かれてしまうと、帰るときの辛い気持ちに驚く。  あまり子供が好きなわけでは無いのだが、それでも子供が慕って来て一緒に過ごす時間をともにするとまた違った感情も湧いてくる。不思議な物だと思う。   ブッチが目指したアラスカは彼が望んだ全てがかなう世界などでは全く無いのだろうが、すがる物はそれしか無かったのだろう。きっと途中で手折られる逃避行の中で、絶望と贖罪にさいなまれていたのだろうけれど、罪人になってしまった自分自身を救ってくれるのは少年が自分のようにならないで普通の生活を生きる事だけだったのだろう。  それなのに彼を引きずり回してしまったブッチは、最後の瞬間素直な気持ちで少年に謝罪の言葉を用意する事が出来た。彼の安らかな表情は、清算しきれない大きな間違いを認めて短い逃避行に温かさを感じられたからではないか。
[ビデオ(字幕)] 7点(2012-12-05 04:35:52)(良:1票)
255.  俺たちフィギュアスケーター 《ネタバレ》 
 クスクスできる。フィギュア好きの人とみたらかなり楽しめる。Dreamworksの技術は伊達では無いのである。
[DVD(吹替)] 7点(2012-11-29 13:09:03)
256.  メン・イン・ブラック 《ネタバレ》 
 子供の頃、妙に興奮したクラスメートが「ムー」を持ってきた。怪しすぎる表紙と内容に僕らは釘付けになったのだが、とりわけ目を惹いたのは「神奈川県で多数の目撃情報があった」という未確認飛行物体の記事だ。大型の石油ストーブで温めた牛乳を飲みながら、夜は空を見ながら帰ろうぜ的な話題で持ちきりになったのは言うまでも無い。   程なくして僕らはすっかり暗くなった夜に、もの凄い速度で北に消える飛行物体を見た。その事で僕らは大興奮だった。赤く光る編隊が消えるという物を目撃したのは廻りでは僕ら三人だけだったが、僕らはあれがいわゆる未確認飛行物体であると言う事は間違いないと確信していた。  「ムー」はアメリカが宇宙人と共同でUFOを開発しているだの、エリア51で極秘だのそう言う話を更に盛り上げていた。  しかし、大人になってから気がつく。神奈川県で未確認飛行物体である。米軍の陰謀でも何でも無く、それは真っ当に米軍の戦闘機なのである。もちろん、近所で黒服の男など目撃されていない。   しかし何でも「ムー」のやつは米軍とUFOを結びつけやがって、子供が米軍機を見りゃそりゃ何だってUFOである。
[DVD(吹替)] 7点(2012-11-29 13:01:41)(笑:1票)
257.  JAWS/ジョーズ 《ネタバレ》 
 ジョーズに喰われるゴッコ。を、思い出す。これは、要するに布団の中に急に頭を突っ込んで海面から消える喰われちゃった人を表現し、そのリアルさを競う訳だがその恐怖の対象はこのごっこ遊びにアウフヘーベンされる課程において、海面からとぷんと消える頭のコミカルでさでサメの恐ろしさを置換し、現実ではあり得ない限定的な事象である事を経て競技として成立したわけである。   このジョーズに喰われるゴッコが行われることになった直接の原因は、幼稚園児にはあまりに恐ろしすぎる映像と脚本が、体を使った遊びとして一度対立し消化する事を要し、恐怖の対象を認識する上での高度な内省であったことは間違いの無いことだろう。  この様な行動はじぇいそーんゴッコや、ターミネーターゴッコにも見ることが出来、ごっこ遊びが恐怖の対象にも向いているという多面性にも触れ、興味深いのである。
[地上波(吹替)] 7点(2012-11-29 11:47:29)
258.  推定無罪 《ネタバレ》 
 子供の頃好きだったサスペンスだが、今見るとマンガ読みながら見てしまう勢いで起伏に乏しい。ハリソンフォードバブルのような雰囲気が当時あったが、そう言えばハリソンフォードを見たくて借りてきた記憶がある。  あの挙動が好きだったが、今だとああいう癖を持つ俳優って無いな。リアリティが一気に無くなる。
[ビデオ(字幕)] 7点(2012-11-27 13:25:47)
259.  ダイ・ハード2 《ネタバレ》 
 いや、これで良いんじゃ無いだろうか。毎年クリスマスになると災難が降りかかって、閉じ込められた空間でテロリストと戦わなければならない変な男。  このルールで移行と決心したからこそのこの仕掛けだったんだから、これはこれで良い。良いんだ。突っ込みどころ満載でもまあ仕方ない。  この映画の見所はマクレーンのがんばりではなく、映画そのものがどこまで踏ん張るかだ。結果そこそこ面白かったからこの映画は結構好きだ。
[DVD(吹替)] 7点(2012-11-27 13:20:59)
260.  薔薇の名前 《ネタバレ》 
 確かに面白いのだが、やはり結末というかオチには唖然としてしまう。現実はこんな物という事を言いたかったのかもしれないしそうでは無いのかもしれないが、どうしても安っぽく感じる人も居ると思う。  あと、特殊メイクで良いと思う。変な顔を特殊メイクで撮ったらつまらなくなるレベルの映画なんだな、と捉えられてもこのオチでは仕方ないと思う。終盤に向かう流れとか演出、美術は非常に良かったのに、残念だ。  大人の事情が詰まった映画と感じた。
[DVD(字幕)] 7点(2012-11-27 13:16:18)
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