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彦馬さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 450
性別 男性
自己紹介 大阪府出身、岡山県在住、阪神・下柳と同年月日生

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261.  情婦
数年前、自転車キンクリート公演の「検察側の証人」を舞台で拝見しましたが、やはりおもしろかったです。ストーリィを知っているので、それが逆に役者の演技に伏線を見つける楽しみがありました。みっちょんの役者センスはよかったね~。ということで、ストーリィを知った上で、この映画を見てみるとまたおもしろい。その意味で、やはりロートンの台詞、しぐさ、表情がこの作品を見事に支えています。辣腕弁護士でいながらおちゃめ~。さて、ラッセル・ハーランのカメラは、舞台劇の雰囲気をそのまま表現したような、パンフォーカスが随所にみられます。弁護士事務所、法廷での人物を縦に配置した奥行きあるシーンでたたみかけてきます。弁護士、検察、被告、証人、陪審員、裁判長、これらの登場人物を同じ画面の中では、等分にピントをあてることにより、いったい全体正しいのは誰だ、何が真実で何が嘘なんだという雰囲気を作り上げています。そこへミディアムショットで、それぞれの登場人物のしぐさ、表情を射し込む事により、ワイルダーはこの舞台劇を映画として完成させたのだ、といえるでしょうか。
9点(2004-09-03 21:27:35)(良:1票)
262.  マイ・フェア・レディ
ヒギンズ教授宅の美術セット、丁寧で重厚でいいな~。蔵書にあふれたクラシカルな知的空間。一瞬ですが広角でフレームいっぱいに広がる蔵書を捉えたショット、お~~と歓声を上げました。そこに不似合いだった薄汚れた花売り娘が、少しずつその空間に同化し、ラストにはその空間以上にヒギンズ教授の心の中にもいなくてはならない存在となる様は、痛快であります。そして、この舞台劇を単調になることなく捉えたハリー・ストラドリングのカメラ。上の階を見上げたり、下の階を見下ろすなど空間を立体的に利用したり、構図に気をつかいながら回り込ませたりしているカメラワークは、アカデミー賞撮影賞も納得です。ともすれば、話のつながりを分断することで嫌われるミュージカルも、この映画ではストーリィが単純なだけ、レビューを楽しむ余裕が生まれていますし、事実、見ていて心が躍りました。しかし、3時間近くの長さは、さすがに2時間を超えると集中力が少しなくなり、そこが少しマイナスです。さ~、オードリーといっしょにお~どりましょう。うっ、靴を投げないでね。
8点(2004-09-03 01:19:37)
263.  賭博師ボブ
メルヴィルさんは、ゴダールの『勝手にしやがれ』の中で空港でインタヴューを受ける小説家の役として出演していますが、同映画の中で「賭博師ボブなら~」「ヤツは服役中だ~」というような台詞があります。まあメルヴィルの映画の宣伝みたいなものですが、なぜ賭博師ボブが務所にいるのかがこの映画を見るとわかります。出だしは、ボブの顔だけ光をあてずに、暗黒街の乾いた男、隙のないギャンブラーを想像させます。そして昔の仲間たちを集めて、ドーヴィルのカジノから8億フランをせしめようと入念な計画を練ります。ところが、女に寝物語で計画をしゃべってしまったり、また女房にばれたりするヤツがいて、ポロポロ破綻が見え始め、なんと肝心のボブが、賭博師の本能に目覚めてしまって・・・。う~ん憎めない、この脇の甘さ。薄暗さの中に情緒あふれるアンリ・ドカエのカメラが、モンマルトルの夜の町並み、店の雰囲気を作り上げ、そこに男を惹きつけるイザベル・コーレイ、ボブに信頼を寄せる警察署長などがフィルムにうまくのせられています。見終えると「賭博師ボブ」、このタイトルの味わい深さにきっと気付くことでしょう。賭けてもいいです、とは言いませんが。
7点(2004-09-02 00:13:11)(良:3票)
264.  LOVERS
チャン・ツィイー、アンディ・ラウ、金城武、この3人のクローズアップの嵐、嵐、嵐・・・。ロングショットでちらっと惹かれるような構図を見せたかと思うと、すぐにクローズアップ。これだけ徹底してクローズアップで語られると、さすがに不快指数がどんどんアップ。そしてアクションがなければ20分で語り尽くせそうな陳腐な脚本。アクションもCG過多で、なんらのスリル、臨場感もなく、退屈なだけでした。よかったシーンは、草原でのラブシーンの後、金城武とチャン・ツィイーが空を見上げているところ。ここは2人の思いが、無言のうちに流れ行く雲に託されており好感がもてました。それでは私も風にまかせてこのへんで退散といたします。うっ、私の胸にも飛刀剣が・・・。
4点(2004-08-31 22:31:42)(良:2票)
265.  雄呂血
阪妻演じる平三郎ですが、この人には世界の中心で不幸をさけばしてあげたいですね~。見ている私が「誰か助けて下さい!」と画面に向かって言いそうになりました。奈美江さんもお千代さんも人妻におさまっちゃって、そりゃーヤケにもなりますわな。カメラはさすがに据えたショットがほとんどですが、平三郎が逃げるところなどに移動撮影が使われ、ラストの立ち回りを捉えたロングショットはじわじわフレームが動いていて、大人数を1コマにのせ動かすことで、まさしく大立ち回りとなっております。これだけの出演者を揃えたのですよ、と誇らしげなシーンでもありますね。阪妻がにゅ~っとカメラに近付く超クローズアップ、この侍の葛藤、矜持。はたして善事の仮面を被った偽善者=悪人と無頼漢の謗りを受ける浪人=善人の結末やいかに。浪人の刀が理不尽な世をバッサリ斬る、ことができるのかはどうかご覧下さいませ。おろちくお願いいたします。く、く、苦しい~、私がバッサリ斬られそうですな。
8点(2004-08-31 00:00:16)(良:2票)
266.  今日限りの命
『雨』でそのカメラワーク、構図にうなされた当方としては、撮影が同じオリヴァー・マーシュ、同じジョーン・クロフォード主演、そして今作は監督がハワード・ホークスでゲイリー・クーパーが加わり、しかもこのセンチメンタルなタイトル。メダル、メダルと煽るどこかの国のスポーツ文化と同じで、私もこれは間違いなく金だと勝手に期待していたのであります。ところが・・・技術点、芸術点、ともに芳しくなく入賞も厳しい現実が待ち受けておりました。まずカメラ、バストショットを中心としたオーソドックスなカットバック、あまりおもしろみがなく、構図もあまり考えていないぞ、きっと。今作はクロフォードに婚約者がいながらクロフォードとクーパーが愛しあうという設定で、その説得性が肝要なのですが、これが本当のジャンプカットかと思うぐらいに、突然クロフォードとクーパーが愛に落ちている・・・愛に理由はないのだ、ん・・そういうことなのか。後半は、ホークスお得意の空中アクション、そして水上アクションでの銃撃戦が展開されていきますが、大味な大技を突拍子もなく連発しているような印象です。タイトル通り、今後見ることはないかもしれませんなー、こりゃー。
5点(2004-08-29 19:53:41)
267.  残菊物語(1939)
ひゃ~凄い作品です。舞台役者の花柳章太郎、森赫子(かくこ)を迎え、ワンシーン・ワンショットを基本とする長回しがとことんまで研ぎ澄まされております。全体をローキーで捉えた三木滋人(稔)さんのカメラは、この哀切極まりない物語を実に哀切たらしめております。また森赫子さんの艶やかで控えめな演技が、緊張感の持続強いられる長回しに映えてお見事。舞台でスポットを浴びる菊之助と舞台下の暗闇でひたすら手をあわせるお徳のまさしく明暗、菊之助が調達した呉服の生地に顔を埋めるお徳・・・あ~涙。菊之助が台所で餅を眺めるシーンの切なさよ。「あらっ、若旦那こんなところにいらしたん」のノー天気な台詞が拍車をかけます。病床で芸人の女房として振舞うお徳、その弱々しい肢体、口調とは裏腹に力強い菊之助への言葉・・・あ~、涙涙。安易な感傷とは無縁のお徳の物語、完。
10点(2004-08-27 00:21:58)(良:1票)
268.  キートンのセブン・チャンス
「ラン・キートン・ラン」のようなこの作品、しかしキートン、けっして走るだけではありません。走る車に飛び乗る、クレーンにしがみつく、木の枝に飛びつく、川を泳ぐ、岩をよける、斜面を転がる・・・キートンのアクロバティックなアクションの数々、そのへんのオリンピック選手顔負けの身体能力、そこへギャグが散りばめられているものですから、ひたすら美しくおかしいのであります。女性の大群、岩の大群が彼を襲い、おまけに時計の大群にも悩まされるのが笑います。オープニングで季節がめぐるごとに大きくなっていた犬が、ラスト見事にオチをきめてくれて「一本!」、キートンさんに金メダルであります。
9点(2004-08-24 23:18:52)(良:1票)
269.  ゴールキーパーの不安
これは、サッカーファンだから、サポーターを自負しているからという理由で見てはいけません。間違っても先のアジアカップ、ヨルダン戦の川口に触発され、ゴールキーパーという職業に魅惑された者が衝動的に見てはいけません。審判の判定に怒った主人公のキーパーが試合場を飛び出し、うだうだ映画を見たり、女性と関係をもったり、喧嘩をしたりする内容です。日常をたんたんと描いているのかいえば、突然とんでもない非日常的なこと、お縄頂戴的なことをしでかします。しかしそこに感情の起伏は見えず、やたらジュークボックスへコインを投げ入れるだけです。どうもこのジュークボックスが意味ありげなんですが、うーん・・・。なにやらヴェンダースらしきフェロモンに惹かれそうにもなりながら、正直、自陣でディフェンダー同士がパスを回しているようで、ブーイングが聞こえてきそうな作品でありました。
5点(2004-08-23 11:09:38)
270.  いかレスラー
その日は確かに『少女へジャル』を見ようと劇場に向かったはずであった。が、窓口でチケットを買う時、隣りのスクリーンからのイカくさい臭いが私の嗅覚を刺激し、脳が「いかレスラー」と発声するよう命じてしまった。トルコ人とクルド人の対立に静々と涙するはずが、イカとタコの対決にバカバカしくて涙することになってしまったのだ。しかしこれは真面目にパカをやってくれている。それがすがすがしい。オレンジに染まる夕景、超ロングショットで捉えたいかレスラーのシルエットには感動したぞ。石田香奈とかいう女優のお遊戯演技が、またこの作品のチープさにマッチしている。煩悩を克服するためにお寺で行に励むレスラーと神社で願をかける恋人のクロスカットも日本の宗教事情を現していておもしろいじゃないですか。ラストにはどんでん返しまで用意。監修・実相寺昭雄、これは河崎実監督が描く真剣なおパカスポ根ムービーであります。この点数が精一杯ですが、けっして見て損はない、とおスミをつけておきましょう。
6点(2004-08-23 00:02:51)(笑:4票) (良:1票)
271.  マダムと女房
日本で最初の本格的トーキー作品であります。楽士であった土橋兄弟が開発したので土橋式トーキーというそうですが、オープニングの会話からいきなり映像と音が同調していない(笑)、シーンによっては大きくずれている・・・しかししかし全編、音にあふれており、とにかく音の缶詰のような作品になっていて私は大満足であります。ねずみ、猫の鳴き声、赤ちゃんの泣き声、目覚まし時計の音、鐘の音、ミシンの音、飛行機の音、そしてなんといってもジャズバンドの演奏。音を意識しすぎただけの作品という評も一部あるようですが、せっかくの初トーキーなんですからいいじゃ~ないですか。とぼけた渡辺篤、そして田中絹代が若い、かわいい~、声も若い。「ねぇ、あなた~」うーん、たまらない魅力です。この田中絹代はクレジットでは女房としか記されていませんが、夫が「おーい、キヌヨ、キヌヨー」と言っているのが楽しいです。さてこの夫、劇作の締め切りにおわれているのですが、隣家のジャズバンドの演奏がやかましくて文句を言いにいきます。ところが、そこのマダムにそそのかされ一緒に歌い踊りお酒を飲み・・・そのジャズバンド名が「MAMMY JAZZ BAND」、これはマミーソングを歌う『ジャズ・シンガー』を意識したものでしょうな、きっと。ラスト、日本髪がすっかり洋風になった田中絹代(着物は着物のままです)、♪ららら~、と口ずさみ寄りそう二人、オチもきまって、1時間足らずですが実に愛すべき作品でありました。「ねぇ、あなた~」、言われてみたいものでありますな~。
9点(2004-08-21 23:57:25)
272.  マーサの幸せレシピ
まばゆい厨房を人物構図などを緻密に計算し、時にはじわーっと、時にはすーっとカメラを移動させています。格子状の窓越しにマーサとマリオを窓のサンで分断した映像などは、2人のギクシャクとした間柄を巧く表現していますねー。さてさてマーサさん、自分が作った料理を姪っ子のリナは食べてくれません。がマリオの作ったパスタを食べるリナ。シェフとして自らに足りないものを少しずつわかっていくのかと思いきや、また客に当たってるー!姪っ子を引き取られた喪失感、焦燥感などを現す演出だと理解しますが、大きくマイナスー!塩と砂糖を間違えたような舌触りになってしまったような・・・。ラストのカウンセリングもあまり効果的とは思えんなー。しかしカメラワークを主に、サンドラ・ネットルベック監督の次作以降は是非見てみたい、と思わせるものは十分ありました。ということで期待を込めて7点です。
7点(2004-08-21 21:23:18)
273.  アダプテーション
うー、書けない!いいレビューを書く才能なんて私にはないんだ!アイデアが素晴らしいとか声高々なレビューは書きたくないんだ!よし、こうなったらレビュー講座へ行ってみよう。なになに「普通にレビューしても読む者は退屈するだけ、誇張してドラマチックに語りなさい」だって。そうか!よーし、元気が出てきた。書くぞ!「皮肉ることがこれほど痛快に迫ってくるのはまさに奇跡である。もし天才がこの世に存在するのならこの作者にこそふさわしい。こんな才能にめぐりあえた幸せにただひたすら感謝し、生きる喜びを謳歌しよう。私が100年後生まれ変わって、歴史上の人物で誰と食事をしたいかと聞かれたら、チャーリー・カウフマンと答えようではないか」
6点(2004-08-21 16:53:09)
274.  はつ恋(2000) 《ネタバレ》 
まずは長回しの多い、落ち着いたカメラワークがとても気に入りました。そしてなんといっても気に入ったのがラスト。まばゆいキッチンの映像に重ねられる会話。多々良くんの「お父さん」の台詞。そして、犬。母の死後の家族のさびしさとそれを乗り越え一歩を踏み出した聡夏の今を見事に表現。あんたでないことは確かだったラブレター、母のはつ恋は娘に伝わったんですねー。私は夜桜のシーンより断然このシーンが好きなのです。
7点(2004-08-21 16:52:24)
275.  12モンキーズ
映像の質感にニヤリ。マルクス兄弟やらヒッチコックが登場してニヤリ。ラストのおばさんの顔をみてニヤリ。三度でもニヤリとはこれいかに。
7点(2004-08-21 16:51:48)(笑:1票)
276.  わらびのこう 蕨野行
日本の原風景。四季。母娘の心の交流。いかにも「邦画でございます」的雰囲気が見る者を遠ざけているように感じますが、なしてなして。風景や母娘の描写はほどよく抑えられていて、蕨衆(わらびしゅう=蕨野で暮らす老人たち)の生死をも含みこんだ主体的な生き方が前に出ます。この作品ではそこに重さや暗さがないのです。川で水を浴びる女たちのしぐさ、言葉など実にかわいい。しかし土地柄、60歳になると蕨野に移り住んで自ら糧を得なければならないという慣習、知恵はなんとも暗示的ですねー。このまま地球の人口が増え続ければ近い将来、国際的に蕨野行法なんかができんとも限らんね、実際。
8点(2004-08-21 16:50:43)
277.  リアリズムの宿
なんともいえない“間”、いやいや笑いました。顔ぐらいは知っていた男2人がやむなく旅をすることになって、生み出される空気。そこに加わる女1人。その3人が、低温で微妙な関係を保ちながら、日常の延長のようなだらだらとした旅を続けます。長回しの会話で生み出される独特の間、長塚圭司と山本浩司の会話の間は、監督と2人の役者とが入念に築きあげた信頼関係から生まれる、即興的な部分もかなりあるような印象です。「異邦人」のタイミングにも笑いました。3人そのものがその宿では異邦人的なのですが、歌う山本浩司を異邦人でも見るかのように見つめる2人がまたおかしいですね。また彼らが泊まる宿が、風変わりな宿ばかり。笑わしてくれます。なんともけだるくアンニュイで、見る者を心地いいまどろみに引き込む、鳥取ロードムーヴィーです。
8点(2004-08-21 16:50:16)(良:1票)
278.  ジャズ・シンガー(1927)
「お楽しみはこれからだ!」の台詞から、おっ、ここからトーキー全開になるのかと思って見ていたら、ほとんどサイレントで完。私もしばしサイレント・・・。私は完全なトーキーとして期待し、すっかり拍子抜けしたクチであります。先に↓を読んでおけば・・・(笑)。内容的にも、ニューヨークのユダヤ人街、ジャズシンガーが賛美歌を歌うことの意味、贖罪の日、顔を黒塗りする舞台など、それらの伝統や歴史、文化をあまり理解していない私には辛いところでありました。拍子は抜けましたが、トーキー映画の表紙を飾るようなこの映画、敬意を表して8点と評しましょう。トーキー映画のお楽しみはこれからだ!
8点(2004-08-20 14:25:56)
279.  誰も知らない(2004)
実話の映画化、その内容からドキュメンタリー風の手持ちカメラぶんぶん丸ではないかと、映画館に入る前は嫌~な汗が流れていました。まずは列車の中、手持ちで揺ら揺ら、きたぞきたぞ(苦笑)と思っていたら、ありゃりゃカメラが止まり始めます。据えたカメラは、移動もズームもなく、固定されたフレームに出入りする、子供たちお母さん。カメラを移動させるのは、屋外の人物移動シーン。そこへ手持ちで撮られる、子供たちのクローズアップ、手もと、足もと。手垢のついていない子供たちの演技、その表情のなんと映えたることか。台詞が非常に少ないので、この子供たちが顔で表現する心理状態、そして手もと足もとのショットで表現しようとする作り手、いいぞいいぞ。終始、カメラの撮り方が一貫していますし、2時間20分の長さを全く感じることなく映像的には実に楽しく見ることができました。しかし、柳楽くん演じる明くんが、弟の茂くんがいなくなって、どこへいったか妹たちに聞くシーンは泣けました。「知らない」。「知らない」。誰からもその存在を知られていない子供たちが、とうとう兄弟姉妹同士からも知られなくなってしまう、そこは思考力、行動力を奪う、電気の止められた真夏の室内。その他にも、下の妹のキュッキュッという靴音、母親の手紙のハートマークを見つめる明くんの視線、などなどよかったなー。見終えてから、監督自ら「泣き顔は撮らない」とおっしゃっているのを読みましたが、その演出の狙い見事に、子供たちだけの空間、子供の王国世界が構築されており、ドキュメンタリーどころかファンタジーのようでありました。しかしこの映画を仕事をさぼって見たことは“誰も知らない”のであります。うわっ、言ってしまった・・・。
9点(2004-08-11 19:47:10)(良:1票)
280.  オアシス
オアシスのタペストリーに木の影が不気味に揺らめき、風が窓を打つ音、ラジオの音、犬の泣き声、車の音などが重なったオープニングからなにやら見せてくれそうな予感。全編を通じてムン・ソリ、ソル・ギョングをドキュメンタリータッチで追うように、手持ちカメラで撮られた映像がテンポよく展開していきます。障害者と前科者の2人をそれぞれの家族が、自らの打算や体裁に利用しているのですが、厄介者をせいぜい利用させていただこうといった風情でそこに悪意を感じさせない、悪意のなさが、一般者のこの2人への距離感を象徴しているようです。車椅子にのったムン・ソリが空を見上げ、空からムン・ソリの表情を捉えたショット=天上からのショットの次シーンに牧師様が登場しますが、後半、牧師様の祈りの最中にソル・ギョングが警察から逃亡するシーンにより、実はすべてをお見通しであるはずの神でさえも、2人のことはわかっていないんだなー、と少し切なくさせられます。そして、夜間にひたすら木を切るシーンは、涙があふれるほどの名場面。ラジオのボリュームをマックスに応えるムン・ソリ、その視線から捉えた眼下のソル・ギョング、パトカーの音、近所からの苦情、それらが混ぜんと見ている者に迫ってきます。夢想シーンと蝶々のCGなどは、ドキュメンタリータッチの中にもファンタジックなシーンを挟むことで緩衝的な役割をしているものと解釈しております。しかし、ムン・ソリの演技には、恐れ入りやの鬼子母神です。
8点(2004-08-10 01:00:47)(良:1票)
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