261. 冬のライオン
肉親の確執がこれでもかという嫌みな物言いで描かれているだけで退屈。やけに明るいラストシーンにポカーンとするのみ。期待外れ。 [DVD(字幕)] 4点(2014-03-03 22:02:03) |
262. 殺し(1962)
川原の遺体から始まる物語、登場する容疑者達が揃って何だか情けない。しかし、最後まで飽きさせない作りになっていて結構惹き込まれ楽しめました。忘れられない名シーンがあります。罵り合いから包丁を取り出した母にすかさず傍にあったアイロンで身構えた娘。猛女のド迫力はイタリア映画ならではか。周りのオバサン達が割って入って事なきを得てホッとするやらガッカリするやら。 [映画館(字幕)] 6点(2013-10-12 23:16:03) |
263. 反撥
人間が壊れてゆく様子がネットリと描き上げられています。遠因すら語らないカトリーヌ・ドヌーヴの面持ち。妄想を示す映像。鐘・電話のベル・呼び鈴・微かな蠅の羽音といった音。これ等が渾然一体となりヒタヒタと纏わりついてくる恐ろしさに逃げ出したいのを堪えながらの鑑賞となりました。 思い返しても寒気がします。 [映画館(字幕)] 7点(2013-10-12 22:42:57) |
264. 日本のいちばん長い日(1967)
理性無き愛国心の恐ろしさを黒沢年男と天本英世の鬼気迫る言動から痛感させられます。戦争を終結させた天皇陛下のお姿に、開戦阻止が叶わなかった残念さをあらためて感じました。陛下は民を思って涙なされた。すすり泣く幹部達は何を思って涙したのか。綺羅星の如き俳優陣。一人一人が歴史の証人として後世に伝えたいという気迫でもって見せた史実に2時間半もあっという間でした。 [DVD(邦画)] 9点(2013-10-07 23:33:55) |
265. 処女の泉
《ネタバレ》 信仰心厚いテーレは常々一家を悪の手よりお守りくださいと祈ります。最愛の娘が山羊飼い兄弟に受けた仕打ち。丹念に描かれていて思い出すと吐き気がします。厚顔無恥が災いしてテーレにばれてしまいます。このシーンも丹念に描かれていて母の絶望を思い出すと血圧計が振り切れます。テーレは悪に対する復讐を果しますが、無辜の幼い末っ子まで亡き者にしてしまいます。これもまた悪。神に縋っている姿とそれに応えたかのようなラストに少し違和感がありました。インゲリの存在価値が不明だったのが残念でした。 [映画館(字幕)] 7点(2013-08-23 22:53:57) |
266. 袋小路(1965)
人間は独りでは生きて行けない。人間は孤独を生ききらねばならない。ラストの彼の佇まいに痛切に感じました。30歳そこそこでこのような人間関係を描く監督、凄すぎます。 [映画館(字幕)] 9点(2013-08-10 11:27:26) |
267. 水の中のナイフ
《ネタバレ》 妻を前にして内心張り合って火花を散らす夫と青年。何時爆発するのかハラハラさせられていたら、夫婦のほうが爆発するも腐れ縁を続けて行く。湖上のヨットにおける密室劇で描かれる人間模様は夫婦の倦怠のみならず体制対反体制をも浮き彫りにさせるもの。斬新なアングルの瑞々しい映像美、バックに流れるジャズ、妻が歌う歌にも心奪われます。29歳での長編処女作とは、監督の無尽蔵の才能に脱帽します。 [映画館(字幕)] 8点(2013-08-03 22:03:52) |
268. モラン神父
《ネタバレ》 モラン神父が語る神は興味深いものでした。それ以上に印象深かったのが思慕を超えて、ぬくもりを感じたい触れ合いたいせめて手を繋ぎたいという欲に、姿を見つめる事さえ叶わなくなる報いを与えられる切なさでした。「来世で会おう」泣ける言葉です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-03-17 01:37:52) |
269. 昭和残侠伝 唐獅子牡丹
しっかりしたストーリーを、強欲ながら石工魂が垣間見られる親爺と知性の「ち」の字もないアホ息子ども(特に山本麟一がいい仕事をしています)の悪方陣が盛り上げています。善人役で特筆するのは三田良子。漂う気品に見惚れました。残念だったのは池部良の役どころで、何時もの厭世観が感じられなかった点です。 [DVD(邦画)] 7点(2013-01-28 02:23:56) |
270. 華麗なる週末
世間の仕組み・不条理・温かみ・恋心・男らしさ。少年がこれ等を感じ取った4日間の濃密さが感慨深い。「コミカル」「純朴」という、らしくない役柄でも光り輝くマックィーンの魅力で全編カラリとした空気が心地良い。その中でのボスの存在感が圧倒的で、「自分の行動に責任を持ち、結果が招いた重荷に耐えろ」と両手を広げる姿が圧巻。草競馬の迫力も特筆もの。深い余韻に浸った作品。 [DVD(字幕)] 9点(2012-12-30 01:19:55) |
271. シベールの日曜日
《ネタバレ》 心の病に苦しみ壊れそうなピエールの言動並びに彼を惑わせ遂には壊してしまったシベールの言動に、「純真」の思慮も思いやりも足りない残酷な一面を見せつけられました。シベールがスラスラ吐く台詞は12歳のものではないのですが、12歳相応に言葉の重みは何もありません。全編を通して上滑りした言葉を聞かされて退屈と怒りで苦痛のひとときでありました。マドレーヌの存在感が中途半端であったのも退屈さの一因でした。 [映画館(字幕)] 2点(2012-12-30 00:04:51) |
272. 昭和残侠伝 人斬り唐獅子
縄張り争いがベースな為か、渡世の義理に惹かれるところがありませんでした。悪方が何時にも増して狡すっからい、小山明子の描かれ方がベタベタしていない、片岡千恵蔵の往生際が見事。これ等が見所でした。 [DVD(邦画)] 6点(2012-12-22 01:06:20) |
273. 昭和残侠伝 一匹狼
うまい具合に話が繋がっていくのは織り込み済みとして、度々都合よく現れる藤純子に辟易してしまいました。痺れる切なさを味わえず残念でした。 [DVD(邦画)] 5点(2012-12-20 22:25:43) |
274. 日本侠客伝 関東篇
《ネタバレ》 水産局長サマと結託して横車を押しまくる悪方一味と江戸一の面々の一進一退の攻防から血沸き肉躍る大乱闘へ至る展開は、豪華俳優陣から発せられる魚河岸の気風と相まって画面に釘付けでした。「堅気さんの仕事場血で汚してしまって・・ヤクザって奴は・・・」興奮を醒ましてくれる鶴田浩二の渋さに目が眩み身悶えしちゃいました。 [DVD(邦画)] 8点(2012-10-07 13:01:55) |
275. おしゃれ泥棒
犯行動機、計画立案、過程、首尾、結末、登場人物全員の一つ一つの身のこなしと台詞。全てがお洒落で軽妙洒脱。ウキウキ・ワクワク・ウットリし通しの素敵なひと時を過ごさせてもらいました。名セリフを拝借して「いやぁ、映画って本当にいいものですね」 [DVD(字幕)] 10点(2012-06-21 21:21:39) |
276. 切腹
《ネタバレ》 生き恥を晒す事を良しとしない侍、妻子の為に恥を忍ぶ侍、竹光で切腹を強要する情けを見せぬ侍、お家の体面第一に幕を引いた恥を知らない侍、主君に忠義を立てて切り死にした家臣達。それぞれの境遇での武士としての価値観が、見事な脚本、端正な映像、重厚な演技により浮き彫りにされます。半四郎の覚悟が那辺にあるかが明らかになるまでの息詰まる緊迫感、明らかになる瞬間の鬼気迫る姿は何度思い返しても痺れます。結末に、皆が絶対的な善にも悪にも断ぜられなく、詰まるところ「恥」が命のやり取りになってしまう武家社会そのものの功罪に考えが及ぶ作品でした。 [映画館(邦画)] 9点(2012-04-02 18:50:37) |
277. 悪い奴ほどよく眠る
現実離れしていた西の素性がばれる瞬間を境に面白味がだんだんと薄れていきました。とりわけ無知でお人形さんのような奥さんに興を削がれました。悪を気取ったところで世間の仕組みには今も昔も勝てないという事を思い知らせてくれるタイトルが強烈です。一番興味深かった人物が、その世間の仕組みを体現していた岩淵。森雅之さんは何処に出ていたのかの答えを本サイトで知り仰天、役者魂に感嘆しております。 [DVD(邦画)] 6点(2012-03-20 09:34:56) |
278. 昭和残侠伝 唐獅子仁義
私がシリーズに惹かれる「滅びの美学」を本作では感じられませんでした。本作の収穫は重厚な存在感を見せてくれた志村喬。滅びの美学なんぞありゃしないと逝った姿が印象に残ります。 [DVD(邦画)] 5点(2012-01-27 11:56:28) |
279. 赤い砂漠
病人の独り言をメリハリもなく延々と綴っているだけで退屈で苦痛でした。色がついていようがいまいが私にはカンケイのない事でした。 [DVD(字幕)] 1点(2011-12-28 00:02:32) |
280. 昭和残侠伝 血染の唐獅子
今作の風花コンビの絡みは道行きを始めとして今一つ趣きに欠けていました。しかし、 本シリーズが魅せてくれる滅びの美学を存分に堪能できました。今作では竹>染次>風間重吉でありました。個人的に苦手な津川雅彦が唖然とするほどの男振りで、文代の「あんたも行くの」に答えた台詞に涙腺決壊寸前となり、「三社祭の馬鹿踊りだいっ」に鳥肌が立ちました。 [DVD(邦画)] 7点(2011-12-23 03:57:28) |