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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1276
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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261.  山形スクリーム 《ネタバレ》 
監督兼落武者の人物には全く関心がなく、先生役の女優が素っ頓狂な演技をするのが面白そうなので見た。これはこれで好きだが、できればもう少しまともな役をやってもらいたいという思いも残るし、最後はゾンビなのでもう誰だかわからない。 それで内容に関しては、くだらない映画、と言い捨てて終わりにしたいところだが、監督本人がくだらない映画にしたいと言っているので悪口にならない。また、憎まれっ子世にはばかる的に開き直った感じなので憎めない映画とも言いたくない。全くコメントに値しない映画とでもいえばいいか。とにかく突然の脈絡ない発言や劇中歌のノリなど、監督の独特なセンスにはいちいち付き合っていられない気になる。中で唯一、「うちに代々伝わる歌」のくだりは失笑してしまったが、もう少し全世代に通じるネタを考えてもらいたいものだ。またその後に女子高生が「この子」と言ったのも微妙に可笑しかったが、だから何だというほどのこともない。基本的には全然笑えない映画だが、しかし文芸志向で面倒臭いわりに感動もせず面白くもない映画よりは娯楽性の面で明らかにマシなので、相対評価で採点しておく。 なお余談として、映画のロケに使われた地方は「たそがれ清兵衛」や「おくりびと」では割とまともな扱いなのに、この映画では存在自体がギャグのようになっているが、これは主に標題に冠した県名のせいだろう。「スウィングガールズ」との親和性が高そうな映画である。何にせよ女子高生が最強ということだ。
[DVD(邦画)] 3点(2012-08-28 22:47:31)
262.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
登場人物の多い映画だが、主人公とヒロインに限ってみれば著しく都合のいい青春ドラマである。内気な男子が自分では何もしないのに、年上女子が勝手に手を握ったり抱きついたりしてくれて、その上「あの子をよろしく」とまで言われて本当はうれしいのに迷惑顔できるような、年少男子の願望丸出しの気恥かしいストーリーになっている。ただ、よろしくと言われたのは主人公しか知らないことなので、あとは自分でがんばれということだろう。   また、映画に出るインターネット上のサービスがコミュニケーションや商用機能だけでなく、インフラなどの社会システムまで担っている設定は不自然に思われる。しかしパソコンやネットには詳しくとも実社会とは接触不良の青少年が、自分も現実世界を救うヒーローになれる、と感じられるシチュエーションを準備するためには、多少無理でもこうする必要があったということか。ネットやゲームを馬鹿にする母親(=劇中の主婦連)を見返してやるというような展開は大人気なく、これもまた年少者に極めて甘い内容になっている気がするが、それでも最後は主人公が新しい人間的なつながりを作って終わっていたので、まあよかったとすべきだろう。   ところでこの映画では、インターネットに依拠しない旧世界の「つながり」と、ネット上の新しい「つながり」が競うように危機に対処していたが、前者代表の曽祖母が電話で言っていたのが、要は“あきらめるな、元気を出せ”というだけなのは大変拍子抜けだった。本当の大事件なら関係機関では落胆する暇もなく対策に奔走している最中だろうから、この人は明らかに的外れなことを一生懸命言っている。福島第一原発の所長を電話口に呼び出すようなもので、相手先の組織的対応を邪魔しているようにしか思えない。これがリアルの「つながり」というならお粗末なことで、この映画自体が実社会と接触不良のように感じられた。   以上、前作に引き続き青少年向けの作りになっているが、対象範囲はさらに狭まった感じである。自分としては普通に面白い娯楽大作という以上の評価はできないが、映像面や人物描写ではいいところが多かった。消防3兄弟、自衛隊員と漁師のオヤジが格好いいが、ヒロインも可愛いと思う(実は予告編の「…1名なの!」という場面につられて映画を見た)。またラストの写真は素直にほめたい。
[DVD(邦画)] 6点(2012-08-11 17:31:44)(良:2票)
263.  ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない 《ネタバレ》 
笑って泣ける娯楽映画である。題名の「ブラック会社」というのは社長の言動で匂わされる程度で、実際にはどこの組織にもあることを誇張しただけのように思えるが、これは他のレビュアーも書かれているように、若い連中が自分の職場実態を大げさに語って笑い合っているような感覚だと思えばいいのだろう。ちなみに2chの当該スレッド(まとめサイト)に登場する会社は、映画よりさらにまともに感じられる。 それより自分としては、七五三と言われる若年者の離職率との関係の方が強く感じられた。病気になるほど合わない職場だとか、中の人間を腐らせるような本当のブラック企業でもない限り、少々きつくてもとりあえず今いる場所で頑張ってみろと言いたいわけで、いずれ転職するにしてもキャリアの有無が重要なのは劇中に出ているとおりである。それまでは、その場その場で自分なりの限界突破を重ねていくのが職業生活だろうし、それがちゃんと描かれているのはこの映画のいいところである。 ほかにも雇用関連の各種要素が盛り込まれているようだが、ただし主人公が高校中退で10年くらいも社会経験がないという設定では、本人がコミュニケーションスキルの問題を免れないのでさすがに無理がある。大学中退で数年のひきこもり体験という程度でも筋書きに支障ないのではと思うが、まあネット由来のストーリーに注文付けても仕方ないだろう。 なお余談として、「中西さん」役の女優は容姿端麗でいい感じだが、劇中人物としてはけっこう天然で微笑ましい。こういう人はプレッシャーを素通しにして、毎日が限界のような業界でもけっこう務まるかも知れないと思わせる。
[DVD(邦画)] 7点(2012-08-05 20:14:36)(良:1票)
264.  コンセント 《ネタバレ》 
以前、主演女優がNHKのドラマに出ていたのを見て探したのがこれで、そういう面では何かと満足のいく映画だった。結果的にかなり得した気分である。極端に個性的な風貌だが個人的に嫌いではなく、役柄にも合っている。 その役柄について、劇中では「シャーマン」と言っており、具体的にはイタコとかユタの例が挙がっていたが、しかし実際にやっていたことからすると、むかし日本にいた市井の(神社所属でない)巫女のイメージをもとに創作したのではないかと思われる。そういった前近代的なオカルト要素を現代社会にまともに位置づけようとした感じの映画であり、劇中では主人公の専攻が心理学だったことから、その関連知識で現状を自己分析していたのが面白かった。 ところで映画の最後を見ると、主人公はこの能力を使って何か起業でもするのだろうかと思うのだが、原作を読んでみると具体的な業態まで書かれており、どうもこの部分は評判が悪いらしい。確かにこれをそのまま映画に出すのがよかったとも思えないが、しかし映画の終わり方だと主人公にとって新たな世界が開けたというだけで、それが本人の天職につながることが表現されていないため、だからどうした、という感情だけが残ってしまう。これはストーリー的には難点かと思う。 ただし全体としては主演女優のほか、特に精神科の医師役の好演と映像美(後半の特殊効果を除く)が印象的であり、自分としては低い点をつける気にならない。
[DVD(邦画)] 5点(2012-08-05 20:12:49)
265.  MAIL 《ネタバレ》 
7年前に投稿が3件あっただけで、あとは忘れられたらしい。当時の上映版とは異なり、DVD2巻の「完全版」(少し長い)を見たのだが、大体同じということで書かせていただく。どうせ誰も読まないだろうが。 それでまず、構成としては全9回のTVシリーズを並べたようなもので、途中で連続2回も貞子が出るのはどうかと思ったが、ちょっとほろりと来る回などもあってそれほど退屈ではない。第4話の女優が台本を何回読んでも泣いちゃうと言っていたのは同感である。 また9話全体を通じたストーリーも一応あり、第2話からレギュラーで出るヒロインは顔が好みでないのだが、毎度見ていると愛着がわくのはシリーズ物ならではと思う。終盤で出る少女の子役も愛らしいので、少し切ないラストはいい感じに思えた。 これが映画としてどうなのかは問題もあるだろうが、見た時間を損したとまでは思わなかったし、また個人的には最後の言葉が底なしに悲しいので、少しいい点を付けておく。このサイトでは破格の点数になってしまうが、どうせ誰も読まないからいいだろう。
[DVD(吹替)] 6点(2012-08-05 20:11:54)
266.  クローズド・ノート 《ネタバレ》 
日頃から芸能ネタに関心がないので、これが例の問題を起こした映画と気づかないまま、先入観を持たずに見た。 内容としては映像がノスタルジックで美しく、登場人物は暖かくて微笑ましい。伊吹先生のクラスでは問題も起きるが、不登校児は素直ないい子でお母さんも優しい人のようだし、何よりクラスの全員が「太陽の子」で心優しく友だち思いである。…というようなことは現実問題として絶対ありえないと思うわけで、全体の雰囲気からしてまあいいかと思わされそうにはなるものの、さすがに紙飛行機の不自然さは耐えがたい。 また主人公が劇中で成長したところを見せようとするあまり、以前の方のレベルを落として楽器の練習に身が入らないことにしたのは、登場人物の人格に関わることなので見過ごしにできない。そのほか全体のストーリー構成も原作の方がすっきりして素直に受け取れる(泣ける)し、学校がらみの不自然さも感じられず、やはり他の原作付き邦画と同様に、原作さえ読んでいれば映画は見なくても事足りると思わなくもない。  一方キャストについては、伊吹先生の方は申し訳ないが好きになれず(顔が好みでない)、あまりに不自然な役柄と相まってそれほど共感できなかったが、バイト先の童顔の先輩についてはさすがにいい感じを出していた。 また主人公に関しては、これはもう非の打ちどころなく魅力的であり、外見はもちろん人物像にも強く惹かれてしまう。一般的なイメージからこれほどかけ離れた人物になり切れるというのは、やはり演技の力と思うしかないだろう。ただ終盤で負け惜しみを言ったように聞こえるところなどは主演女優の色が出ているようで、原作の方がより素直に愛すべき人物になっていると思わなくもないが、しかしこれほど可愛い沢尻エリカが見られるという点だけは、間違いなくこの映画固有の価値だと思われる。 そういうわけで、評点のうち5点は沢尻エリカに献上する。個人的感覚ではこれが沢尻エリカ映画の最高峰である。
[DVD(邦画)] 6点(2012-07-27 21:28:48)
267.  月の砂漠 《ネタバレ》 
自分としては最初の方に出た「中村さん」役の女優を見るために映画を見たのだが、そこ以外には出ないのだった。顔はあまり見えないがスレンダーな姿が印象に残る。 映画の内容については見てもよくわからない。家族がテーマだとすれば示唆するところは多いようだが、少し考えても通俗的な解釈しか出て来ず、特に感動するわけでもない。奥が深いのかも知れないが、あまり付き合ってもいられない気がする。 そういうことで、真価のわかる人にぜひ見ていただきたい。見る人が見れば価値のある映画なのだろうと想像している。
[DVD(邦画)] 2点(2012-07-27 21:28:00)
268.  パコダテ人 《ネタバレ》 
主演女優のおかげもあって部分的には見るべき場面もある。一つだけ書くと、人間が涙する代わりに雨が窓ガラスを伝って落ちたのは非常に印象的だった(偶然ではないと思われる)。 しかし残念ながら映画全体をほめる気には全くならない。他人と違う⇒それは個性⇒すばらしい、とかいう短絡的な発想がそもそも気になるが、それでも「ハッピーが生えてきた」というのがキャッチコピーであれば、あくまで主人公の姉のノリのまま全編を通せばいいだろう。にもかかわらず、後半の波乱要素の中にはかなり不快で笑えないものが含まれており、ご当地映画にそんなものを持ち込んで一体何を表現したいのかと思う。どこか別の場所でやれと言いたい。 一方ストーリー的には2つのカップルの関係が並行的に進むわけだが、うち社会人カップルの方は終盤まで本筋と関係がなく、存在意義が不明なのは残念である。TV中継の前のプロポーズで初めて両者がつながるわけだが、その直後に製薬会社の重役連が真相を明らかにしなければ、この男は単なるバカに終わっていたところである。ついでに連行場面で「調査団長」がわざわざ悲痛な顔をして見せるのは苛立たしい。顔など出さなくていい。 そういうわけで、見ていて次第に腹が立って来る映画である。ただし高校生の2人はあくまで純粋で可愛らしく、またシングルファザーと女性保育士の関係も微笑ましいのは結構なことで、その点まで否定するつもりはない。
[DVD(邦画)] 3点(2012-07-27 21:26:56)
269.  sWinGmaN 《ネタバレ》 
見た後に何の感慨もなかった。怖くもなく悲痛でもなく切なくもない。全体的によくわからない話なのだが疑問を解消したいという気にもならない。 まずは主人公が今回初めて変になったというより元から変だったようにしか思えないため、普通に恋人や友人がいるのが自然に感じられず、こんな男に少女が同情を寄せるのも気が知れない。またこの主人公のために、少女や恋人という癒しの要素があらかじめ用意されていること自体が安易で甘ったれた感じがする。自分としては北村一輝が画面に出ると閉塞感が破られて救いのように感じられたのだが、そんなことも主人公には気に入らなかったらしく、あくまで観客側の感情移入を拒む映画になっていた。 外部情報によれば主演俳優のために作られた映画とのことだが、個人的にはこの俳優に注目する理由はなく、また世間的な価値としては宮崎あおいの映画キャリアの初期段階が見られることだろうが、その面でも自分としては特に関心がない。ほか主人公の恋人役に関しては、キャラクターとしての魅力が感じられないので特に面白くはなかったが、「だから煙草だってやめてたじゃん!」という台詞にはどきりとした。
[DVD(邦画)] 1点(2012-07-27 21:25:33)
270.  サヨナラ COLOR 《ネタバレ》 
監督兼主演には何の思い入れもなく、主演女優が目的で見た。昔あこがれたマドンナが、今は普通に世間ずれした顔の大人の女性になっているのだが、心を開けば昔のままの(劇中人物というより主演女優の)笑顔がよみがえるというのがいい。筆談の場面は自分のことのように嬉しかった。  ところで、愛する者に生命を捧げるというのは本来泣ける話のはずだが、この映画の主人公が複数の女性を周囲に配した上、一番いいと思ったのだけに特別にこだわっているのは傍から見ると嫌味である。また自分の生命をヒロインに気前よく与えるならともかく、死んだ後まで出てきて恩着せがましく自己アピールし、一生かけて代償を払わせるつもりなのは自己犠牲どころか自分本位で、こうなるともうヒロインにとって本当によかったのかどうかわからない。別の医者にかかっても助かったのではないのか(執刀したのは中島みゆき先生だし)。これほど主人公のしつこさを徹底しなくても感動的な映画にはできたはずだが、そこを譲らないのが監督の自己満足映画ということか。 ただ、それでこの映画が気に入らないかというとそれほどでもなく、しょうがない奴だと笑って済ませるような感覚である。劇中にも出てきていたが、みんな笑って許しあえる同窓会のような雰囲気があり、本人が瀕死の白鳥のなりきりをやっていたのも、バカな奴が余興をやってみせたような印象だった。手放しでほめる気にはならないが、何か憎めないところがあるというのは認めざるを得ない。  なお編集で落とされた映像も含めて、この映画は海の風景に開放感がある。人が死んだら海の向こうに行くともいうが(自分の地元では山に行くが)、この映画は現世と来世の接点で展開したストーリーだったということか。本来この映画で提示するはずだった死生観のようなものがきちんと前面に出ていれば、主人公の身勝手な印象も少し薄められていたかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2012-06-23 21:24:58)
271.  DEAD END RUN 《ネタバレ》 
3話オムニバスのうち第1話の女優が目的で見たので、歌って踊れるヒロインの魅力を十分に(失笑しながら)満喫させてもらった。ミュージカルの舞台に突然引っ張り出されて戸惑う男の表情もキュートかもしれないが、死んだヒロインもまた魅力的である。終わってみれば超コンパクトなラブストーリーになっており、これは何度でも見たくなる。 そのほか第2話は少々地味だが、第3話は映像全体が明るくなり、またこの回だけは行き止まりを突き抜けられるのでいわば解脱感がある。出発点が同じで何回か繰り返すとやがて先へ進める時が来るのはゲーム感覚かと思ったが、登場人物は異なっているのでプレイはそれぞれ1回きりらしい。第3話の登場人物だけがたまたま幸運をつかんだということだろうが、個人的には第1話の結末でも十分受け入れられる。 なお第1と第3の男が、サスペンス調で生死を賭けた逃避行をしていながら硬派な印象がなく、女優とのからみの中でその辺の兄ちゃんのような素顔が丸出しになるのは現代のリアリティかと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2012-06-06 22:53:00)
272.  カフーを待ちわびて 《ネタバレ》 
ヒロインは目鼻立ちがはっきりして洋風の顔に見えるが、くどさはなくて素直に美しく、またフレンドリーな表情が可愛らしい。テーマ曲PV(「もうひとつの物語」)に出ていた白い鳥の羽根のように軽やかで清潔な印象があって、主人公の青年が触れるのをためらう気持ちもわかる気がする。 こんな女性が自分から押しかけて来るのは主人公に限らず(自分を含む)しがない男の夢というか妄想だが、主人公が至って謙虚なので見ていて妬み根性も起きない。男所帯に美女ではまさに掃きだめに鶴といったところだが、その正体を知ってしまえば鶴女房の話のように、全てを失ってしまうのではないかという不安もあるだろう。こうなった事情については劇中でも一応の説明があったが、そもそもこのお話自体が鶴女房の民話を取り入れたものと思えば、少々ファンタジックな展開も一応の納得がいく。 また中盤で主人公の言った「まわりのみんなが…」は原作にはない要素だが、これを終盤でヒロインが再現したのは感動的だった。これまで自分以外の幸せを願う余裕など全くなかったヒロインが、他人に対して“カフー アラシミソーリ”の気持ちを向けることができたとき、はじめて本人にも果報がもたらされたのだと考えたい。  なお少し苦情をいえば、映画ではヒロインと母親のイメージを重ねていたように見えるので、また同じことが繰り返されるのではないかという不安感が残ってしまう。もしそうなっても主人公は、みんなが幸せならと言うのかと思うと悲しい。 さらに、エンディング後の後日談的なもの(DVDチャプター名は「その後の島」)が必要だったかどうかは微妙である。劇中の現世的な問題がそれほど簡単に解決されるわけでもないだろうし、また最後の「お帰りなさい」が本編中にある映像と全く同じに見えるので、これは主人公の夢想の世界を描いただけで、実はヒロインは帰って来ていないのではないかという疑念も生じる。原作になかったラストを追加するのはいいとしても、主人公とヒロインの再会までで止めておいた方が、かえってその後の2人の幸せが素直に信じられた気がする。 ただ最後のヒロインの笑顔は、いわばアンコールまたは最後まで見た人へのご褒美だったと考えてもいいだろう。これは何回見せられてもかまいません。
[DVD(邦画)] 8点(2012-06-02 09:51:27)(良:1票)
273.  奇談 キダン 《ネタバレ》 
原作は「新世紀エヴァンゲリオン」に元ネタの一つを提供したマンガだが、映画もそのストーリーを基本的に尊重しているのは評価する。期待していた「三じゅわんさま」もちゃんと出てきたので嬉しかった。ただこの場面の神父の発言には、原作にあった微妙な可笑しさが感じられなかったのが残念である。 また原作の短編を長編映画にするためか、もとの話と直接関係のない要素がかなり加えられており(同じ作者の「天神さま」から取ったか)、「7歳」で無理につなごうとしたようだが、どうも本筋との統一感がないので困る。 それでもヒロインが年齢のわりには(昔の女性らしく?)清純そうで可愛いのは高評価で、これは原作よりずっといいかも知れない。稗田センセイも、あくまで堅物というか紳士なので安心して見ていられた。マンガのとおり尊敬できるお方である。 なお、自分としては特に原作者のファンとは思っていないのだが、DVD特典で初めてご尊顔を拝することができたのは感激だった。
[DVD(邦画)] 4点(2012-05-14 22:36:17)
274.  メタル・オブ・ウォー 《ネタバレ》 
[2024/7/13改訂] 1999年のコソボ紛争関連の映画である。製作国をアルバニアとする情報もあるが、脚本・監督や出演者からみて実質的にコソボ映画と思われる(公開当時は独立宣言していなかった)。場所設定としては首都プリシュティナ周辺が多かったようで、撮影地も主にコソボだろうがアルバニアの首都ティラナの映像も少し見えた。 内容的には映像が古くさく、昭和のTVドラマのように見える。戦争映画といえるものではなく、戦闘場面はあるが茶番にしか見えない。ドラマとしても雑な展開で、特にコソボ解放軍の指揮官(だった男)の登場は都合がよすぎた(7回)。よかった点としては、主人公の表情を映していたときに、後方で待機していたネコがタイミングよく走り出す場面があったのは感心した。  物語の主な要素は次の①~⑤と思われる。コソボ文化省の支援を受けたと冒頭に出るので政府見解からは外れていないと思われる。 ①セルビア軍が民族浄化のためアルバニア人を虐殺し、若い女性を集団的に強姦した。 ②敵の強姦で生まれた子は戦後も社会に受け入れられず疎外される。 ③強姦で生まれた子や戦災孤児を集めて人身売買する犯罪集団ができている。その正体は、戦争犯罪の証拠隠滅が目的とすればセルビア人ということになるだろうが、ただし首謀者がアルバニア人だと言っていたのはどう解釈すべきか不明。 ④コソボ解放軍は英雄的に戦った。戦後は武装を解いたが、③の犯罪集団を壊滅させるため再武装して出動した。 ⑤なぜかアメリカ人の報道記者が出て来て①の実態を世界へ知らせ、③に関しても当局に通報して主人公を助けた。④のコソボ解放軍には好意的だったが、国連警察のやり方には抗議した。 以上により主に表現されていたのは、①セルビアは邪悪、④コソボ解放軍は正義、⑤アメリカは友人だが国連は信用できない、というような感じに見える。特に政府としてはコソボ解放軍を肯定的に扱わなければ済まなかったはずで、この点については終始一貫していたようだった。ただし終盤の意味不明な会話を聞くと、実はもっと深遠なテーマが背景にあって、意味不明な原題もそれを表現していたのかと想像できなくもない。本来は上記②③あたりも重要でなかったのかと思った。 なお宗教関係についてはキリスト教(正教とカトリック?)だけで、イスラム教がほとんど出ないのはなぜか不明だった。アメリカ向けに作ったからか。  登場人物に関して、主人公の結婚相手は川谷拓三か仁科貴に見える(コソボの役者は人材不足か)。またアメリカ人「ローラ」役の演者は1995年のミス・コソボだったようで、劇中この人が変に美人扱いされていたのはそのためかも知れない。主人公はなかなか感じのいい人で、こういう心正しい人がまっとうに生きられる社会であってほしいという思いが感じ取れる気はした。
[DVD(吹替)] 3点(2012-05-09 23:13:03)
275.  となり町戦争 《ネタバレ》 
原作既読だが、主演女優が目的で映画を見た。この映画には出てほしくなかったという思いが残るものの、とりあえずこの人のために2点つけておく。 内容については、最後が真面目な感じで終わったことから、基本的には真面目なことを語ろうとした映画だと想像するが、実態としてはドタバタばかり見せられて呆れ返る。役場が原作でいう“バカドモ”扱いなのは世間の常識通りとしても、ヒロインにまでコントの役を振るのでは真面目に見る気が早々に失せる。 もともと原作も完璧とは思えないが、それでもこの社会のありように対する作者の思いは確かに感じられた。しかし映画ではそれが全部抜け落ちて、その跡を空々しいセリフと取ってつけたようなBGMで埋めてあり、登場人物が真面目な顔で語るほど鼻で笑いたくなる。大変残念な映画化と思う。 [2012-09-02変更] 配点を変更し、主演女優のために2点、それ以外を-2点とする。
[DVD(邦画)] 0点(2012-03-12 20:30:43)(良:1票)
276.  第9地区 《ネタバレ》 
予備知識なしで、なんでヨハネスブルグなのかも考えずに見始めた。最初、タイトルの場所がいかにも黒人居住区のように見えるにもかかわらず、扱いに手こずる宇宙人連中を見ていると、知的生物とはいえ意思疎通もできないようだし、一軒一軒ハンコをもらって歩くようなのは馬鹿らしく、移住させても問題先送りなだけで、そもそも人類でもないのだから、皆殺しにしてしまえば簡単ではないか、と思ってしまった。 しかし、主人公と宇宙人の親子がコミュニケーションを始めると、ちゃんと意志の通じる、われわれと同じ人間だということがわかり、殺してしまえなどと思っていたのは何だったのかという気がした。もともと前半と後半で視点が移動する映画なので、そのように思うのも当然だろうが、自分としては見事にレイシズムを疑似体験させられてしまったという思いがある。対象を人類ではなくしたことでそういう効果が生じたわけだが、それにしても自分で呆れてしまった。 ただ、180万もの人口がありながらまともに話が通じるのはごくわずかで、あとはみな野蛮人同然というところや、また全編を通じての殺伐とした雰囲気まで、南ア社会の現状を描写しているように受け取るのは、さすがに行き過ぎなのだろうと思う。多分。 なお主人公は、最初は見ていて嫌悪しか感じず、ワーワー騒いでいるのを見て死んじまえこのバカなどと思っていたのだが、最後は真人間になったようでよかった。
[DVD(字幕)] 5点(2012-02-26 22:55:12)
277.  涼宮ハルヒの消失 《ネタバレ》 
文庫で出ている限りの原作は全て読んでいる。TVアニメも一応全部見た。 原作はわりと淡々とした印象の小説だが、映画化に当たってはストーリー上のポイントになる台詞が特に強調されていたり、また原作ではモノローグのようだった箇所に独自の映像が充てられているなど明らかに効用を増しており、かつ原作のストーリーの根幹も完全に保たれている。原作をいわば純粋な形で映像化したもので、そこまで含めてファンの期待通りである。 また、いわゆる“消失長門”に関してもファンが見たい映像の宝庫だろうと思う。個人的には別に消失長門フリークでもないのだが、それでも見ていて破顔というかニヤニヤしてしまうような場面が多かった。映画では、このキャラクターを象徴するアイテムとして、眼鏡のほかに膝かけが加えられていたのも要注意かも知れない。  ただし、この映画を一般の人が見てどう感じるのかはわからない。長編一冊分をまるごと映画化しているので一応のまとまりはあるわけだが、シリーズ開始以来の登場人物の微妙な変化が前提となって今回のストーリーがあることや、このエピソード自体がシリーズの一つの転機になっているといった背景事情がどの程度伝わるのかと思うと、一本の映画としては疑問があるのも確かである。 しかしそれでも、結局は見た本人がどう思うかが基本だろうから、一応のファンとしては、やはり見てよかったと開き直るしかない。  なお余談として、この映画ではTV第1期のオープニングテーマが復活していて嬉しいのだが、その直前に県立北高校の空撮映像があり、劇中の部室が校舎のどの位置に設定されているのかわかったので、Google Earthで目印をつけておいた。どうでもいいことだが。
[DVD(邦画)] 7点(2012-02-26 17:47:05)
278.  村の写真集 《ネタバレ》 
個人的な事情から主人公の姉の登場を心待ちにしていたのだが、なかなか出ない。しかしその間、妹を見ていてなごんだので許すことにする。DVDのメイキング映像を見ると、姉役の女優に対する監督の特別な思い入れと、そこに突っ込む出演俳優のコメントが笑える。  それで本編に関しては、地域住民の描写にいいところが多い。まず主人公の妹が屈託なくて可愛い(ちょっと野性味がある)のだが、若いのに働き者らしく、家族の和に気を使いながら不平も言わず必要な仕事をこなしているのに感心する。近隣の人々とのつき合いも自然で、いわゆる地域の教育力のたまものではないかと思う。ぜひ看護師の仕事をがんばってほしい。 また主人公と喧嘩した青年は、心を世界に開いていながらも家を継がざるを得ず、黙々と家業に精を出していた。寡黙な男のようだが、こういうのが地域社会や農林業を支える力になるのである。 そのほか男ばかりで飲んでいたところへ現れた同級生女子が、暴力的な言動でその場の雰囲気をぶち壊したのは実際にありそうで笑った。それからほんの一瞬だったが、役場職員の奥さんが何ともいえず感じのいい人で、こういう家族はいいなと思った。  ところで主人公は当初、自分の原点はブレッソン(フランスの写真家らしい)と言っていたが、実際に原点となったのは自分の故郷だったわけで、その価値が世界に通用することは、押しかけ外国人や村在住の芸術家夫妻も普通に認めていたようだった。 彼がこれから世界での成功を目指すのは、まずは当然ながら自分のためだが、しかしそれだけでなく、心ならずも故郷に残った人々の思いも背負って、いわば成功してみせる責任が彼にはある。それが彼の原点となった故郷への恩返しだろうと思う。この映画には、故郷を離れた人間へのエールとともに、故郷のことを忘れないでくれという地元側の思いも感じられる。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-18 22:34:33)(良:1票)
279.  あゝ! 一軒家プロレス 《ネタバレ》 
主人公の妻役の女優が目的で見た。途中は随分ひどい扱いと思ったが、最後まで見ればそういうことですかとまあ納得。「あなた」の歌声に癒される。エンドロールの終わりまでちゃんと見ましょう。 その他の部分も意外に面白いので、見てそれほど落胆はしない。ホラー調の(無理にかさぶた剥がすような)気色悪い場面などなくていいので、ソニンの活躍がもっと見たい気がした。
[DVD(邦画)] 3点(2012-02-11 20:13:46)
280.  真木栗ノ穴 《ネタバレ》 
この映画では、まずはヒロインが清楚で色っぽくて可愛らしくて怖くて悲しく複雑で不思議な雰囲気を出しているのが非常にいい。メイクは最小限にして素材のよさを最大限生かしているのも好印象で、この点では誠に期待通りの映画である。 それだけを期待していたにもかかわらず意外にもといっては何だが、見ると窃盗の共犯の女にも妙に惹かれるところがあり、中盤の再会場面などはもう泣けてしょうがない。ヒロインと並ぶ存在感があり、この二人だけで両横綱という印象だった。 しかしさらによく見ると、もう一人の女性である雑誌編集者も決して無視できない存在である。若くて生気があり、基本的に明るい世界の住人で、見ていて眩しいようにも感じられた。最後、この人の声は主人公に届いたのかどうかが心残りである。  ところで、劇中では生きている人とそうでない人が混在していたようだが、そのほか空想が現実に介入しているようにも見えており、何が空想で何が現実だったのか整理がつけにくいため、観客としては画面に出たものをまともに受け取っていいのかどうかわからなくなる。また、さらにこの映画では、見ているわれわれを含めて空想と現実の区別が相対化(階層化)されているらしく、それを意識してしまうと、どうせ全てが空想なのだから観客が本気になって(前記のように)感情移入するのは愚かなこと、と嘲られているような気もして来る。 あるいは、そのようにして鑑賞者の心理を翻弄するのが作家(とか映画を含めた創作者)の力であり、それは劇中の編集長が言っていたように「頭ん中を覗くことなんかできない」ほどの深みを持った穴だというのが、この映画の隠れた主題なのかも知れない。しかし題名の意味はその通りとしても、それが映画制作者自身のことまで含めた主張だとすると自画自賛のメタ作品のように思われて、自分のように特に映画ファンでもない一般の鑑賞者などは疎外感を覚えてしまう。  まあ別に一般人に喧嘩を売っているわけではないのだろうから、ここはひとまず創作者に騙されておくことにして、愛すべき登場人物のいる懐かしい(怖い)空想の世界に浸り、愚かな主人公の哀れなラブストーリーに共感を寄せているのが正解なのだろう。 そういうことで、多少面倒くさいところはあるものの、全体としては非常に印象深い映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-11 20:12:01)(良:1票)
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